nanaki(2007-1-10)
…お待たせしました(笑)
「おいおい…あいつまた狐のところにいるぜ…」
「ほんとだ…好きだなぁ…あいつも」
「あの狐さ、頭いいんだろ?」
「そうそう。狐の分際で…」
「あいつさ、誰だっけ…」
「あいつ?ああ。伝吉だよ。袋狢の伝吉」
「ほんとだ…好きだなぁ…あいつも」
「あの狐さ、頭いいんだろ?」
「そうそう。狐の分際で…」
「あいつさ、誰だっけ…」
「あいつ?ああ。伝吉だよ。袋狢の伝吉」
かつて妖怪狐と妖怪狸は一度だけ戦争を起こしたことがある。
東西の“出汁”を巡る戦い…後の「狐狸妖怪大戦争」である。
千年という長期に渡る戦争であったが、話し合いの末引き分けという形で幕を閉じた。
最終的に話し合いを持ち出したのが“妖怪狐連盟”と“妖怪料理協会”である。
東西の“出汁”を巡る戦い…後の「狐狸妖怪大戦争」である。
千年という長期に渡る戦争であったが、話し合いの末引き分けという形で幕を閉じた。
最終的に話し合いを持ち出したのが“妖怪狐連盟”と“妖怪料理協会”である。
それに伴い、“アンチ妖怪狐”を掲げ一部の妖怪狸達が立ち上がり“妖怪狸連盟”という組織を設立。
戦争がなくなった今でも裏ではお互いいがみ合っていた。
戦争がなくなった今でも裏ではお互いいがみ合っていた。
それを知った妖怪料理協会は、「今後の妖界における差別をなくそう」をスローガンに、妖界料理を極める“匠”を育てる“妖怪大学”を開校。狐、狸に限らず、色々な妖怪が在学し今までに何匹もの“料理妖怪”を育ててきた。
しかし“匠”と呼ばれる妖怪は未だ生まれず、妖怪料理界はある意味での危機を迎えていた。
しかし“匠”と呼ばれる妖怪は未だ生まれず、妖怪料理界はある意味での危機を迎えていた。
そして…
――宗旦狐…何者だ…?
――主領、どうやら最近出てきた狐、のようですな…
――妖怪料理界のホープ…か…
――若干100歳で妖怪栄養学を取得…もしかしたらこれからの妖怪料理界が変わるやもしれぬな…
――主領。如何致しましょう…
――うむ…連れてまいれ…といいたい所だが…少々問題があるようだな
――ああ…あいつですか…
――あれが邪魔だな…
――それでは…某が「排除」してきましょう…
――主領、どうやら最近出てきた狐、のようですな…
――妖怪料理界のホープ…か…
――若干100歳で妖怪栄養学を取得…もしかしたらこれからの妖怪料理界が変わるやもしれぬな…
――主領。如何致しましょう…
――うむ…連れてまいれ…といいたい所だが…少々問題があるようだな
――ああ…あいつですか…
――あれが邪魔だな…
――それでは…某が「排除」してきましょう…
「伝吉!こんな所にいたのか」
「宗旦…」
「なんだ?どうした?」
「…俺、卒業できないよ…」
「!?どうして…」
「さっき、学長に呼ばれて…お前は今期を以って退学だって…」
「そんな…」
「なぁ…宗旦。俺、何もしてないんだ」
「分かってるよ」
「じゃぁ…何で…」
「伝吉…これは何かの間違いだ。私が学長に直談判してくる」
「宗旦!それだけは…!」
「伝吉。私はね。大学を出たら妖界の小さな町で店を開業するのが夢なんだ。その時はお前、伝吉も一緒に店を手伝ってほしいと前から思っていたんだよ」
「宗旦…」
「それなのに何だ…上層部は未だ大昔の事を引きずっている…。それではいつまで経っても妖怪料理界は廃れたままだ!」
「それは…」
「最近、私の周りでは妖怪狐が狢とつるんでいると好奇の視線で見られるようになった。私がここに入った時と随分と変わってしまったようだ」
「宗旦…俺は…」
「伝吉。お前は何も気にすることはないんだよ。私が掛け合ってくる」
「宗旦…」
「なんだ?どうした?」
「…俺、卒業できないよ…」
「!?どうして…」
「さっき、学長に呼ばれて…お前は今期を以って退学だって…」
「そんな…」
「なぁ…宗旦。俺、何もしてないんだ」
「分かってるよ」
「じゃぁ…何で…」
「伝吉…これは何かの間違いだ。私が学長に直談判してくる」
「宗旦!それだけは…!」
「伝吉。私はね。大学を出たら妖界の小さな町で店を開業するのが夢なんだ。その時はお前、伝吉も一緒に店を手伝ってほしいと前から思っていたんだよ」
「宗旦…」
「それなのに何だ…上層部は未だ大昔の事を引きずっている…。それではいつまで経っても妖怪料理界は廃れたままだ!」
「それは…」
「最近、私の周りでは妖怪狐が狢とつるんでいると好奇の視線で見られるようになった。私がここに入った時と随分と変わってしまったようだ」
「宗旦…俺は…」
「伝吉。お前は何も気にすることはないんだよ。私が掛け合ってくる」
―そうだ…宗旦はあの後…俺を裏切ったんだ…
伝吉は今“太郎そば”のある通りに来ている。
先刻、天邪鬼から「白い狐と小さい狐」が訪れたという話を聞いていてもたってもいられなくなり飛んできたのだ。
先刻、天邪鬼から「白い狐と小さい狐」が訪れたという話を聞いていてもたってもいられなくなり飛んできたのだ。
「宗旦…やはり俺を捨てて狐とつるんでいやがった…」
伝吉はゆっくりと歩き出す。
やがて向こう側から一つの小さな灯りが見えてきた。
「…あそこか」
かすれた文字で“太郎そば”と書かれた看板が見えてくる。
伝吉は静かに扉に手をかける。
「…確かに、まだ妖怪狐独特の妖気が残っている…」
まずはここの店主から聞き出す…もしかしたらあいつらの居所が分かるかもしれない…
伝吉はゆっくりと扉を開ける。
すると突然、店の中から「うひゃぁぁぁぁ!!!!」という素っ頓狂な叫び声が聞こえてきた。
伝吉は…呆然と立ち尽くしていた。
それではからすさん、後は頼みました(笑)