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上洛狸談赤井棗

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「じょうらくりだんあかいのなつめ」と読む。通称は「鶴右衛門の件」。
茂林寺と東山につたわるぶんぶく茶釜の昔話と、上野国館林の赤井家に伝わる新左衛門狐の昔話とを取り入れた講釈。
2010年7月31日~8月2日にかけてhyousen氏によって、高速記版がtwitterで口述された。

登場役名

鶴右衛門(つるえもん)
猿楽師 五松(ごしょう)
赤井の狐
小町太郎(こまちのたろう)
文屋康秀の霊(ふんやのやすひでのれい)
破落戸 あんこの伴平(あんこのばんへい)
辰永秀久(たつながひでひさ)
秀久娘 お巳乃(おみの)
赤木左馬之助(あかぎさまのすけ)
玉井周作(たまいしゅうさく)
阿弥陀が峰の大狸(あみだがみねのおおだぬき)
守鶴和尚(しゅかくおしょう)
足利義輝(あしかがよしてる)

内容

  • 1◆茂林寺のやぶに住んでる狸の鶴右衛門は、赤井家にやって来た猿楽師のひとり五松をだまくらかそうとするが、城の狐たちに邪魔をされて川の中に落ち、片耳に大きな傷を負う。
  • 2◆傷の痛みで化けの才能が中途半端になってしまった鶴右衛門だったが、数ヵ月後、都へ戻る猿楽師の一行の何人かが城の狐が化けたものであるのを見とめる。ひとに化けて駕篭に乗り、ついて行こうとする。
  • 3◆途中で化けの皮が剥がれてしまって駕篭かきに田んぼに叩き込まれる。するとそこに五松が現われ、ナゾの合図をするとひとりの男が辻堂から飛び出して何やら話す。どうやら五松は役名に「実は○○」がつくキャラだったらしい。と、泥の中できく鶴右衛門。
  • 4◆猿楽師の一行が泊まってる鎌倉の屋敷。なにやらゴソついてる五松。ひとつの棗(なつめ)を荷物の中からみつけて屋敷を出ようとすると、猿楽師(狐たち)にとり押さえられて斬られてしまう。狐たちが五松の懐を探るが棗は出て来ない。
  • 5◆五松から棗をこっそり奪い取っていた鶴右衛門、屋敷からだいぶ離れた野道でコレはナンダロと透かしてみるがよくわからないで居ると、五松と田んぼで話していたナゾの男に手裏剣を撃たれる。(このとき地蔵の首や石塔が崩れる振りあり)
  • 6◆手裏剣を避けつまろびつ鶴右衛門は棗を落として転がしてしまう、ナゾの男がこれを拾おうとするのを見て、鶴右衛門はあたりの地蔵の落ち首や石を全部棗に変えてしまう。ナゾの男は鶴右衛門が人間ではないことを知ると、態度を変える。
  • 7◆ナゾの男・実は小町太郎(♀)は三河が生国の文屋康秀の子孫で男装の強盗。あやしいものが赤井家から何か大事なものを都に運ぼうとして居るのを康秀の霊から知らされて、それを取り戻そうとしていた顛末を語る。
  • 8◆狐にギャフンと言わしてやろうと思った鶴右衛門は、小町太郎に加担しようと術を解いて棗を渡すが、その棗は何も入っていないニセモノ。五松が盗み出していた時点からコチラが化されてたと知って、小町と鶴右衛門は猿楽師の一行を追って東海道を進む。
  • 9◆清見関で猿楽師たちが行なった興行のなかに、鶴右衛門が土地の暴れ者に化けてなだれ込む。その騒ぎの最中に差し入れを届けに来た村娘に変装した小町太郎が棗を奪いとる。ふたりは狐たちに追跡されるが康秀の霊が起こした大風で助かる。
  • 10◆小町太郎が、康秀の霊の指示に従って棗のなかに入っていたふしぎな液体をアレコレしていると、康秀の霊がものすごい煙と共に巨大化したので、小町も鶴右衛門も仰天する。
  • 11◆赤井家の狐が猿楽師の一行に混じって運んでいた棗(なつめ)の中に入ってたヘンな液体の作用で巨大化した文屋康秀の霊、小町太郎がやつらのせんとしていた事は何?と訊かれると、形相を変えて襲い掛かり、小町をかじり殺す。
  • 12◆康秀の霊は、姿を変えて正体(阿弥陀が峰の大狸)を明かしてどこかへ消え去ってしまう。小町は絶え入る前に鶴右衛門に「自分の腎臓を食べろ、腎は耳を補すものなり」と告げる。鶴右衛門は小町の腎の臓を喰べて術の才を取り戻す。
  • 13◆東山にある辰永家の別荘では足利義輝公のご臨席をたまわって闘茶の会をひらくというので準備におおあわて。この家の娘、お巳之は義輝公のオメガネにかなったキレイクビ。しかし少々おでかけ癖がございまして、準備を抜け出てお出かけ中であります。
  • 14◆お巳之が出歩いていると、ごろつきたちが因縁つけてカラミツキ。そこをほおずき売りの若者(実は阿弥陀が峰の大狸を追跡中の鶴右衛門)が助ける。(ほおずきを蛸や蜂や妖怪にかえてごろつきを追い回す振りあり)
  • 15◆ごろつきの親玉格・あんこの伴平はほおずきの化け術に怖じずに挑みかかって来たので、お巳之を森の中へ迯がして、鶴右衛門はかぶっていた渦巻き模様の手拭を振って、中から波を出す。伴平はこれに押し流されて近くの川に転落してしまう。
  • 16◆鶴右衛門が快哉をあげていると、ひとりの坊様が錫杖を差し延べて伴平を助ける。伴平が礼も言わずに失せると、坊様は鶴右衛門に向かって一喝。鶴右衛門は狸の姿になってしまい、「狐狸の業ならばあくまでも眩術で脅かすにとどめよ実際に川に落とすは以てのほかぢゃ」と説かれる。
  • 17◆お巳之が容子を見に戻ってくるが、坊様とは顔見知りのようで、お巳之も小言を喰う。ふたりが喋っている間に、またほおずき売りの姿に化けた鶴右衛門。やがて辰永の屋敷からとんで来た乳母と侍女がすっ飛んで来て、お巳之と坊様を連れて行く。
  • 18◆花道の途中で辰永の侍女のひとりが「おや、ほおずき屋さん」と鶴右衛門に気づいて、「ほおずきを飾るからお屋敷について来な」と、ついでに連行。辰永の屋敷にはあわてんぼうの大名たちは既に到着していて、お供たちが「巳之さまはキレイだねー」「高いお茶は目が飛び出る程高い」などと噂話
  • 19◆乳母に座敷に通され礼をされるが「イヤ娘御を救ったはサンショウをひさいでおった者ぢゃ」と言う坊様だが、乳母は「サンショウ(酸漿)」の意味が「?」更に「キトウ(鬼灯)」と言えば「貴僧」と聴く始末。そこへ侍女に「こっち持って来て」と庭前に連れられた鶴右衛門が出て来る。
  • 20◆乳母は鶴右衛門に礼をする(軽く)すると慌てて辰永秀久が坊様に向かって深く礼をして、うやうやしく手にのるくらいの茶壺を受け取る。鶴右衛門は庭でほおずきを飾りながら聴いている。なんでも明から直輸入された天竺の高級香がチョッピリ入っているお茶で今回の闘茶の目玉だソウナ。
  • 21◆辰永家では闘茶の会の準備がととのう。侍女が庭にひいてある懸け樋のもとへ行って、鑵子(茶釜)に水をくむが、不思議なことに鑵子の重みが大増して、どう頑張っても持ち上げられなくなってしまう。
  • 22◆侍女が困っていると、赤木左馬之助と玉井周作が庭にあらわれて、理由をきいて赤木が鑵子を持ち上げて運んでくれる。侍女と赤木が屋敷に入っていくと、玉井はあたりを見回し、懸け樋の先にある池から藻をすくいとって先ほどの侍女そっくりに化ける。
  • 23◆これを障子の中から見ていた鶴右衛門は、障子を開けて侍女を呼びとめる。「お前はいつかの狸めか」と侍女の姿のまましゃべる声を聴いてみると相手は猿楽師に化けていた赤井の狐のひとり。「お前らが邪魔をしたせいで…!」と挑みかかりますが、鶴右衛門は屋根にとびあがって遁走。
  • 24◆赤木左馬之助と侍女は茶室に向かって廊下を歩いていると突然、庭の松の木がうごめきだして赤木を絡めとる。赤木は宙返りをしてするが鑵子に気をとられてヨロついて、松の木にぐるぐるまき。しかし、しばらくすると松の木の後ろから赤木と侍女が立ち戻り、茶室に向かう。
  • 25◆続いて、廊下まで逃げてきた鶴右衛門だったが、狐の化けた侍女が扇をひらいて招き仰ぐと、そのまま足がもつれて屋根から落ち狸の姿に戻されてしまう、が、そこに乳母から逃げようとしているお巳乃の声、狐の侍女は急いで鶴右衛門を鑵子に変えて手に持つ。
  • 26◆乳母につかまるお巳乃、狐の侍女を見て乳母は「はやくお部屋へ行け行け」と推し進める。炉の部屋に行くとさっきの赤木とバッタリ、鑵子がふたつになってしまうが、狐の侍女が「丁度よい、先ずはこいつを炉にかけてやらう」と鶴右衛門を炉にかけます。
  • 27◆「アチチゝゝ」と苦しみだす鶴右衛門を見て「いい気味よ、お前のせいで我々が新左衛門様の命で運んで来た神薬を奪われてしまい、コチラは大迷惑」と呟くと、赤木が急に狐にズブリ。屏風の後ろにこれを隠すと同時に、この侍女そっくりになって出て来ます。この正体、かの大狸なり。
  • 28◆「フハハ、お前がいまだにうろついてくれたお蔭で狐どもを片付けられたわ」と言うと鶴右衛門を炉からおろすと、赤井家から伏見に届けられるはずの神薬を奪って術を増し、この闘茶の会で義輝を化かし殺してすり替わり、天下をおおいに乱してやるわ、という自己計画を告げます。
  • 29◆大狸の侍女がプイっと振り向いて、鶴右衛門をほおずきの一輪挿しに変えると、上様や大名や辰永、お巳乃、侍女たちが部屋にやって来て闘茶の会がはじまりますが、「では一服」と碗が進められる段になると、あの坊様が立ち現れて一喝。
  • 30◆すると一輪挿しのほおずきが日輪のように膨らみ燃えて茶が全部蒸発する。 大狸は「おのれ守鶴か」と化けの皮をはがして巨大化、軽く屋台崩しをして屋根にドゴーンと穴。茶釜に化けて迯げますが、日輪はどんどん近づいてこれを蒸し焼き。座敷に落下します。
  • 31◆守鶴は茶釜をあけて中に残った神薬をすくうと、お巳乃に棗を持ってこさせてこれに入れ、事の次第を義輝公に申し上げると、「うむ、和尚の神通、奇妙奇妙」とお褒めのことば。
  • 32◆ポンと手を叩くと鶴右衛門がお供姿で現れて、鶴「それでは和尚、伏見にこれを」(ト棗を受け取り)守「つつみて(ト腹鼓を打って)参ろう」 ト芽出たく打ち出し。


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