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EV90-2偵察 歩兵」を以下のとおり復元します。
***作戦
パイロット
・暗視スコープ(赤外線+光増幅式)を使用し慎重に検索をかける。
・暗順応の為に作戦前にはサングラスを常にかけ、闇に目を慣らしておく。
・装備が音を立てないように、音を立てそうな部分はガムテープで固定しておく。
・曲がり角、遮蔽物には十分に注意し、不用意に飛び出さない
・姿勢を低くし、危険に備える
・周辺視を心がけ、監視対象を注視せず少し隣や奥を見る。視野を広く保ち、反射や光、あるいは影や気配に対して敏感になる。
・視覚だけに頼らずにスコープによる熱感知、携帯型のソナーによる音波、振動なども参考に偵察する。
・映像やセンサー情報は常にI=Dへ送り続ける。
・臭いや空気の流れにも気をつける。
・遮蔽物や曲がり角、地面の起伏を利用して危険に備える
・服装や塗装は暗めの配色にし、見つかりにくくする
・音を立てないように装備はガムテープでパイロットシートに固定
・先行してダンジョンに潜った聯合国の部隊から情報を得ておく
・地面や壁面、天井に罠や不自然な痕跡、足跡がないかを調べる。
・光増幅機能付きの望遠鏡を使用
・常に退路を確保する

敵が出た場合
・敵の規模、人数を探る。
・望遠視認によって行動している内容を探る。
・位置を特定しマッピングした地図に反映。マップを記号で分割し、どこ記号の部分にいるかを把握する。
・敵の特徴を探り、部隊を識別。装備なども確認する。
・以上を順序立てて報告、I=D部隊が復唱を行う。

***イラスト&SS&応援RP
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 アシタスナオは激怒していた。
――また歩兵、また歩兵...
 摂政のせいでパイロットアイドレスが着れなかったあの時代は過ぎたのだ。
 だと言うのにまた歩兵。
 しかも操縦者はどうとは言わないがK太郎である。それがまた気にくわない。
 K太郎はというと、長距離移動を終えて、後は任せたという風にのんびりしている。I=Dに乗っていて実際にのんびりしているのかどうかなど分かるはずないのだが、K太郎の場合は乗っているI=Dすらもそういう雰囲気を持ち合わせていた。
「...これでこいつだけオーマに目覚めるとかなったら、ぜってー脱藩してやる」
 ここ最近口癖のようになってきた言葉を呟いてアシタスナオは検索を始める。
 と言うか、誰だよこいつら一緒になるように編成したの...

 洞窟の中は暗い。
 あたりまえである。
 あたりまえだが、それを再確認するぐらいに暗かった。
 僅かな光を増幅して暗視を行えるスコープも持ってきているが、光さえ届かない闇の前ではなんの威力もない。
 このスコープはアクティブ式赤外線暗視装置も兼ねていたが、アクティブでは敵に(がいた場合)に露見する可能性が高く、音波・電波・熱感知式センサーを併用して敵の気配を探ってから作動させる必要があった。
 非常にめんどくさい。夜目や耳鼻の利く猫妖精ならともかくドラッガーパイロットのする仕事ではない。もっとも、感覚だけなら猫にも負けないのだが。

 併用の携帯センサーに反応があった。
 遮蔽となっている岩の先である。人一人――いや、骸骨兵一体ぐらいは余裕で隠れられるだろうか。ただし、センサーの熱源は小動物程度にしかないが。

 ネズミか何か...か?
 
 唾を飲み込む。
 油断は禁物だ。ネズミと見せかけて評価値20ぐらいのネズミのオーマとかかもしれない。アイドレスは常識が通じない、片時も油断がならないのだ。

 連絡を取るべきか――?

 その考えをアシタは2秒考えてから拒絶した。
 これぐらいは、自分で確かめよう。
 K太郎に応援を頼むなどはダメだ。いや、癪だとかそういう事じゃなく、あいつに今連絡を入れると何をしでかすかさっぱり分からない。大声で「なにかあったんですかいな」とでも近寄られた日には、怒ることさえ出来ずに腹を抱えて笑ってしまいそうだ。
 なにより、あいつ等は一回の偵察と長距離移動で疲れている。身体的な疲労はそうでもないが、精神的にはいっぱいいっぱいの筈だった。
――彼らにはまだ、敵との戦闘という大一番が想定されている。
 今、オレが少しでも頑張らないでどうする。

「しゃーねえ。あいつらのために、少しだけ頑張ってやるか...オレってカッコイイねぇ」
 誰にともなく呟いて、アシタはじりじりと静粛歩行を始めた。
 
 一方その頃

K太郎「よし、今年最初の蚊を撃墜」
せい「むう、無益な殺生はやめた方が――」
わびすけ「蚊を殺すことは無益じゃないと思うなあ」

 見知らぬ影におびえながら回り込んだものの、そこにはなんの影もなく。いつの間にかセンサーの反応もない。いや、その直前にキィキィばさばさとコウモリが飛ぶような音はしたが。

「ほら、楽勝楽勝...」

 ため息。
 心細かった。
 なんで俺一人だけで偵察なんてやってるんだろうか。
 オレ、摂政だよなあ。
 ここのところのアシタスナオ、不運と不遇と理不尽の連続で心が折れかかっている。
 自分の指揮の下でうささんは爆散するし、国の方針で独自兵器も開発できそうにないし、騎士専用機ましてや自分専用機なんて夢のまた夢になってきている。その傍らで高鋼がオールドシルバーなんて凄い物ひっさげて帰ってくるわ、もうしらんもういやだもうおれ芥辺境藩国に浅田と一緒に亡命するよ状態だった。
 向こうの国でのんびり平和に浅田にセクハラしてやると思っていた。

 一方其の頃、浅田は対アシタスナオセクハラ用最終兵器の開発に成功していた。

 洞窟は暗かった。
 風の音がうるさい。反響でどこから吹いてるのかさえ分からない。
 土の臭いが水っぽくて気持ち悪い。マイナスイオンが鬱陶しい。 
 足場はどこもかしこもデコボコしていて、軍靴だからあり得ないはずなのだが靴の中まで濡れているような感じさえしてくる。
 帰りたい。
 恐怖よりもなによりも、そんな気持ちでいっぱいになる。
 もちろんマジックアイテムは持ち帰らなければならない、だが今毛穴の隅々からじくじくと滲み出てくるこの感情と、胸の奥底に眠る使命感とは、また別の話だった。
 どんなに高潔な意思があろうと、目先の空腹に負けることはある。

 心がくたびれている。
 自覚があった。
 
 そして、そんな時、どうすればいいのかも。
 わかっている。陛下が教えてくださったのだ。
 つらいとき苦しいとき、心が折れそうなとき、そんなときは――思い出せばいい。

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 アシタスナオは少しだけ、目を閉じた。
 洞窟の冷気に、身をさらし、頭を冷やす。
 気持ちいい。恐怖さえ涼やかだった。
 獣の方向のような風の反響を無視して、耳を澄ませる。
 遠くから――はるか遠くからの声に。

応援RP
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 目を開ける。
 その頃には恐怖も、心細さも...そして怒りも、何もかもが消え失せていた。いやまあ、まだ腹は立ってはいるが。そのいらだちにさえもどこか居心地の良さを感じてしまう。
「...ん、じゃまあ。もうちょっとだけ頑張るかね」
 アシタスナオは暗視ゴーグルの位置を直して、歩みを続ける。

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