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*うささん用うぉーどれすの開発 #ref(rabbiplus.jpg) &ref(usawd1.jpg) L:うささん用うぉーどれすの開発 = { t:名称 = うささん用うぉーどれすの開発(イベント): t:要点 = {もはやうささんとは言えない大気圏外戦闘能力を付与するこのプランは、豊富な物資を背景に強行された。間違った愛といえなくもないが、愛は全て、間違っている物ではあった。} t:周辺環境 = 宇宙 } } t:周辺環境 = t:評価 = なし t:特殊 = { } t:→次のアイドレス = } #contents() *機体スペック **うささん用うぉーどれす &bold(){『ラビプラス』} #ref(usawd2.jpg) **対宇宙用インナースーツ #ref(inner.jpg) *装備紹介 #ref(usawd3.jpg) -&bold(){RADAR:} ER流体に満たされた帯状構造の上に、小型化されたアンテナを配置したフェーズドアレイレーダー。 表裏合わせて同時対応可能目標数40。通称HAGOROMO。 -&bold(){MISSILE:} 本体にレーダーを内蔵したARH(アクティブレーダーホーミング)。 中間誘導は慣性誘導および、本体とのデータリンクを介したアップデート誘導。通称MISSO。 -&bold(){TANK:} 内部に小型化されたロケットエンジン用燃料『NIN-ZIN』のユニットが装填される。 詰め替えが容易なため燃費と継続航行能力が反比例せず、自力での宇宙対応において莫大な燃料消費と引き換えに、継続航行を可能とした。 -&bold(){ROCKET:} クラスターロケット形式。NIN-ZINそれ自体が固体燃料ロケットユニットとして機能する。 固体ロケットゆえに比推力が低いため燃費は悪いものの、推力的には過剰なほどの数値を叩き出すこととなった。 -&bold(){LASER:} 腰部ユニットに搭載された大型THEL(Tactical High-Energy Laser)二門と、腕部、脚部に合計二対存在する小型THEL。 腰部THELに関しては、大型IDウエディングドレスにおいて使用されていた『ウエディングケーキ』のレーザー機構を縮小する事に成功し、サイズに比べて高出力のレーザー兵器となっている。 また、腕部、脚部のものに関しては、うささんから引き継がれて近接のレーザーサーベルとして機能するほか、小出力のレーザー兵器としても用いられる。 -&bold(){THRUSTER:} 脚部、肩部、腰部に取り付けられた無電極プラズマ推進器によるスラスタ。 固体ロケットの性質ゆえに制動の難しい背部ロケットを、サポートする形で組み込まれている。 *イントロダクション 第五世界での戦いはひとまず幕を下ろした。 次の戦場は宇宙である、と各国が慌しく動き始める。 結論から言ってしまえば各開発国家が新型I=Dをもってして打って出ようという頃。 その開発競争に参加するつもりなどひとかけらも無かったキノウツンで、話は始まる。 「うささん使いてぇなあ。 あぁ、うささん使いてぇなあ」 全ての発端ははるであった。 いまや語り部イアイドとして国内有数の影響力を持つこの男は、そんな事をぼやきながら議会を召集。 ”うささんで宇宙に行こうぜ!”などと言いはじめたのだ。 「いやまぁ、わからんではないがー。 hin-にゅーの宇宙用装備は…」 誰かの残念そうな呟きが聞こえる。 キノウツン最新鋭機、hin-にゅーうささんは高いスペックを誇るI=Dではあった。 が、テスト機体であるカグヤうささんで実現された宇宙対応能力は、量産の時点で必要水準に到達しなくなった。 ぶっちゃけ開発陣の誰もが予想していなかった。 帝国の名機、フェイクトモエ3を共和国にも、というコンセプトが真正面から瓦解した瞬間だった。 先の呟きは、元々宇宙対応を見込んでいながら、届かなかった事からくるものである。 「hin-にゅーうささんだけでは駄目だというなら、追加装備を作ればいいんだよ」 そういってはるが持ち込んできたのはウォードレスの資料。 宇宙に行くなら宇宙服、宇宙服といえばウォードレス見たいなもんだろ、という流れである。 事実として、甲殻ウォードレスの一部は宇宙で使う前提で開発されている。 「ウォードレスならキノウツンでも作れるぜ。元々軽装甲だから着せやすいしな」 で、物資については外交でなんとかしてくれ、以上、とはるが言って、ひとまず皆資料を読みふける。 実際に、反対する要素はほとんど無かったし、ほぼ全員一致で”そうかー、んじゃやるかー”となったのである。 技術面においても、宇宙関連技術はもっと向上させていきたい分野であった。 こうしてhin-にゅーうささん用うぉーどれすの開発はスタートしたのである。 今思えば、初代開発から開発シリーズがここまで続いてるI=Dはあまり多くない。 これはひとえに、うささんが長く長く愛されている証なのだろう。 ”間違った愛といえなくもないが、愛は全て、間違っている物ではあった。”とは帝国宰相の言。 それに対し、我らキノウツン藩国は「この愛こそが全て」と今回の開発をもってして答える事になる。 *本体設計 月を見上げるたびに、思い出されるものがあった。 キノウツン藩国において、月の模様は蟹ではない。 日本の心というべきか。そこには確かに、兎が居た。 そしてキノウツンの兎は、月を見て跳ねるのだ。 私を月へ連れてって、と、彼女が言ったかはわからない。 しかし、お前を月まで飛ばしてやるよ、と、そんな言葉と狂った愛故に施された武装たちは、最早うささんを原型から極度に引き離していた。 それでも尚、キノウツン藩国民たちは、うささんを愛していたのだった。 国家と並んで己らのアイデンティティの確立に寄与した、この機体を。 ***1:いくぞ宇宙 宇宙に対応するためにまず求められたものは、機体内部の恒常性であった。 地上において生物に求められるそれらが、宇宙においてはうささんに施される必要があった。 そこでまず、機体内部と外部を隔てるための、インナースーツが作成された。 これは、機体の機密性保持と同時に、地上とは異なり空気シャワーによって減衰しない宇宙線を隔てるために、うささんの身体を覆う形で装着されることとなった。 (ちなみに余談であるが、このインナースーツだけを装着した状態を極端に好む紳士が居た事をここに記しておく) このインナースーツには、宇宙線を遮るために金属蒸着を行なったのに加え、半導体素子を破壊する可能性のある高エネルギー宇宙線の持つ運動量を静止させるべく、荷電粒子トラップのために重要部位を庇うように無酸素銅円筒電極に電磁場を流し、荷電粒子をPenningトラップする機構が組み込まれた。 これによって、うささんは宇宙空間における長時間の稼動を可能とした。 なお、噂の域を出ない話だが、このトラップしたイオンのポテンシャルが調和振動子に近似できることから、一部の科学者がうささん用WDに量子計算機を組み込んだためにエネルギーの必要量が増加したという説も在るが、真偽の程は定かではない。 ***2:跳ねろ天まで 次に必要となったのは、自力での大気圏脱出、宇宙空間航行、そして自力での帰還である。 まず、ペイロード確保のためにWD背部ロケット(クラスターロケット)の推力は、非常に大きくなった。 これによって、うささんは燃料不足に陥った。いわゆるはらぺこ状態である。 この問題の解決のために、うささんの主要ロケットエンジン用燃料『NIN-ZIN』が開発された。これは固体燃料と燃焼室を兼ねた円錐状構造を持つ、いわば詰め替え式ロケットである。 これらを大量に用意し、切れた燃料から詰め替える事で、うささんは推力の維持を可能とした。 また、これに際しては、クラスターロケットの形式にしたことによって、一つ一つのNIN-ZINのサイズを小さく出来た事。そして小サイズ化によって燃焼停止を容易に出来たことなど、ある意味後から幸運な要素が積み重なった結果として、上手い形に落ち着いたといえる。 しかしここで問題点として、固体ロケットの比推力の低さが挙げられた。 これによって、うささん用WDは燃料を馬鹿食いするようになってしまった。 わかりやすくいうとはらぺこな女の子が、細いくせにパフェたくさん食べる感じだった。 また、吸気の不可能な大気圏外において、うささんのジェットエンジンを使用することはまず不可能となる。 そこで、背面バックパックにクラスターロケットを備え付けたのに加え、脚部、肩部、そして腰部に、姿勢制御用に無電極プラズマ推進器によるスラスタを追加した。 そして最終的に大気圏内へと降下する際には、WDを纏ったうささんは、背面から大気圏へ突入する事となる。 膝を抱え、背部ロケットの背後に隠れる形で大気圏へ突入。 そして通常の稼動区域まで落下した所で、背部ロケットをパージ。 うささん備え付けのジェットエンジンで、通常航行する。 ***3:もっと光とミサイルを(対空的な意味で) こうして大気圏外運行能力を得たうささんであるが、戦力となるには必要なものがあった。 宇宙戦で用いる事の出来る、武装である。 通常宇宙空間は障害物が無い事や、大気による偏光が存在しない事から、遠距離からの視認が用意となる。 そこで、うささんも宇宙用の機体の例に外れず、光学兵器の搭載量を増加させた。 大型I=Dウエディングドレスにおいて使用されていたレーザー兵器の小型化に成功した結果として、WDによって外付けの形で、腰部に一対の大型レーザー砲が。 腕部、脚部に、うささんから引継ぎのそれぞれ一対の小型レーザーが搭載された。 これによって、うささんは宇宙空間での戦闘能力を保持する事となった。 またそれに加えて、こちらは主に迎撃や、敵要塞などの大型建築物の攻撃を目的として、背部ロケットと一体化したバックパック内に、大量のミサイルが配備された。 これらは宇宙空間における戦闘の特徴から、戦闘において用いられることは殆どなく、爆風による敵視界の目くらましや敵藩国船の破壊などが主な想定用途となっているため、個々のミサイルの威力と噴煙は大きく設計された。 これらの武装の正常運用に向けて、うささん用WDには、最終的にアクティブ式のフェーズドアレイレーダーが装着された。 これは頭部に存在するうさみみから繋がるようにデザインされ、背後肩甲骨付近から伸びる一対のER流体(電気を流すと固化する)に満たされた帯表面に搭載され、これによってうささんのレーダー範囲を三次元的に拡大する事に成功した。 *サイドストーリー ウォードレスとは鎧である。 これを着る事はすなわち闘いに出向くことであり、死を覚悟したものであった。 この場合の戦場とは宇宙である。 うささんを星の戦場へと向かわせるために作り上げたこのドレス作成計画は通称「サンドリヨン計画」と呼ばれていた。 つまり、ガラスの靴とかぼちゃの馬車を与える事。それが今回の計画であった。 宇宙での戦いは孤独である。宇宙では誰もが一人だ。 遠い星だけが見つめるあの場所では誰もが孤独を感じずにはいられない。 彼女達は機械である。だが、それ故にはるは何かを思ったのだろう。 その日、書類を処理していた浅田の部屋に誰かがふらりとやってくる 「はるさん、ノックしてください」 「したぞ」 「ノックしたら名乗ってください」 「俺だけど入るぞ」 「入ってから言わないでください」 「へい」 「…用件はなんですか」 はるは、懐から一枚の書類を取り出すと浅田の前に置いた。 書類に2秒で目を通すと、はるが何か言い出す前に判子を押す。 「まだ何にも言ってないんだが」 「読めば判ります。世話、ちゃんとしてくださいね」 「うい」 次にはるが向かったのはアシタ工房と呼ばれるアシタの私室の一つであった。 「アシタいるか」 「んー。どうした」 がらがらとキャスター付きの椅子に乗って回っていたアシタが振り向く。 全く関係ないアシタのストレス解消兼暇つぶしである。 「花を摘みに行きたいんだが」 「唐突だな。まあ判った」 中世だったら見事に誤解されそうな台詞をまあはるだし、で承諾すると、二人は政庁前の通りへと歩き出した。 数日の後である。 完成間近のウォードレスに一つの仕様が加えられた。 それは機能とは何の関係もない、ただのポケットである。 桜の花びらが一輪入れられているだけだった。 闘いに赴く彼女達へと送れる、せめてもの想いのように、そのポケットは大事に作られていた。 *スタッフ イラスト・デザイン:はる イントロダクション:アシタスナオ 本体設計、武装解説:浅田 SS:高原鋼一郎
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