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EV90-2偵察 I=D - (2007/06/25 (月) 20:44:31) のソース

***作戦
パイロット
・暗視スコープ(熱線暗視+光増幅式)を使用し、遮蔽物に注意を払いながら慎重に検索をかける。
・暗順応の為に作戦決行の数時間前からI=Dのライトを赤色灯に切り替え、サングラスをかけ、闇に目を慣らしておく。
・作戦時は必要の無いときはモニター以外のライトを消しておく。
・曲がり角には十分に注意し、不用意に飛び出さない
・姿勢を低くし、危険に備える
・周辺視を心がけ、監視対象に注視しない。視野を広く保ち反射や光、あるいは影に対して敏感になる。
・かもしれない運転を心がける。

コパイロット
・視覚だけに頼らずに電波、音波、振動、サーマル・イメージャーを中心に偵察する。
・目立つ岩などをポイントに地図を描き、また映像も撮りながら情報を集める。
・コパイが定期的に外に顔を出し、夜目と耳、鼻で識別を行う
・遮蔽物や曲がり角、地面の起伏を利用して危険に備える
・服装や塗装は暗めの配色にし、見つかりにくくする
・音を立てないように装備はガムテープでパイロットシートに固定
・先行してダンジョンに潜った聯合国の部隊から情報を得ておく
・地面や壁面、天井に罠や不自然な痕跡、足跡がないかを調べる。
・光増幅機能付きの望遠鏡を使用
・常に退路を確保する

敵が出た場合
・敵の規模、人数を探る。
・望遠視認によって行動している内容を探る。
・位置を特定しマッピングした地図に反映。マップを記号で分割し、どこ記号の部分にいるかを把握する。
・敵の特徴を探り、部隊を識別。装備なども確認する。
・以上を順序立ててパイロットが正確に報告、コパイロットが復唱を行う。


***イラスト&SS&応援RP
  K太郎がキノウツ藩国に貢献しているかという点では、国民の誰もが頷かざるを得ない。
  死亡率の高い戦いにも進んで命を差し出す、技族の多くが嫌がる施設系の絵を二つ返事で引き受ける、会議もほぼ皆勤賞。
  そんな彼だが藩国内での評価はめっぽう低かった。会議で真っ先に「いいからお前は黙ってろ」とアシタに言われるのが彼である。

  そう、K太郎は空気が読めない人間だった。空気を読まず、すぐに話の腰を折る。場にそぐわない発言をあっさりする。まったくと言っていいほどこちらの話しについて来ない。
  キノウツン二大空気読まない奴の片割れである。

  そして、それゆえに、どれだけ彼が努力していようと、彼の周囲には絶えず「なんだかなあ」 な雰囲気がつきまとい、そして、それゆえに、彼とは真逆の極に位置するかのようなアシタスナオの怒りを買うのだ。
  まあ、ある意味キノウツン名物ではある。

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  鼻歌をうなりながら、K太郎(パイロット)は操縦席の赤色灯を切った。コックピット内部はモニターの間接照明を残しぼんやりと闇に染まる。
「さあ偵察をしましょう、そうしましょう」
「そうだね」と剣呑に応じたのは男装の麗人――せい(コ・パイロット)。
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  ハスキーな声で囁くように、
「じゃあ、まずその敵モンスターを呼び寄せるかのような鼻歌をやめよう、」
  言い捨てた。
「うわ、そうでした。」あわてて息ごと鼻歌を止めようとするK太郎。唾を気管支に入れたか、噎せてえへんえへんと洞窟じゅうに響くかというぐらいに咳をした。
「なあんか判定前から自動失敗しているきがするなあ、」
もう一人の男女、わびすけ(コパイ)が口を開いて天井をあおいだ。

  大丈夫かこの部隊…

/*/

「メイド1よりご主人様、パッシブセンサーに敵性反応無し。どうぞ」
「マスターよりメイド1、了解」
  マスタースクリーンに洞窟内部図と熱線感知(サーマル・イメージャー)による暗視画像が映し出される。
「あまり詳しくは分からないんだね、洞窟の方」
  暗視画像ではなく、それで得た内部見取り図の方のことである。
「そりゃ、暗視と受動センサーだけじゃ、衝立の向こうまではなかなか見えないだろうさ」
「うんうん、ソナーとか透視装置じゃないしねえ」
  光増幅式ではないため、突然発生した光源にもホワイトアウトしない優れものだが、いかんせん洞窟内部では見える領域が限られる。
  岩の奥をも見通して地図を作るためには、受動式では限界があるのだ。
「じゃあその、パッシブセンサーから...ええと」
と、K太郎は少し思案して
「ポジティブセンサー?」
「そんな前倒しなセンサーがあるか」
「はいはい、アクティブセンサーね」
  K太郎のボケにもなれたもので、せいはアクティブセンサーの準備に取りかかる。
「いいのケータロ?  敵に露見しちゃうよ」
「いいよいいよ。どのみち、洞窟内でI=D歩けば、音が出るでしょうし」
「K太にしては正論だねえ」
  ネコミミを防護できるヘッドセットを被るせい。コンソロールをいじくり、K太郎のモニターに管制の一部を回す。
「ソナーのレベルは?」
「MAXで。高音響ソナーで洞窟全域の見取り図を作っちゃいましょう」
  次々とソナーのロックを外しながらK太郎。慣れた速度のある手つきだった。逆に言えば手順だけ踏んで何にも確認してないのだが。
「え、ちょ、ちょっと待って」
  わびすけが冷や汗を垂らす。
「いくよー」
  最後のボタンを押した。
「ぎゃああああああああああああああ」
  次の瞬間、わびすけがネコミミを押さえてのたうち回った。
  ボタンを押して反応があったのはそれだけだった。
「...?  ソナー鳴らないね」
「鳴ってるよ。君には聞こえない高音域で、ね」
  ヘッドセット(耳栓)を押さえながらせいがのんびりと答えた。
「ぎゃあああああああああああああああああ」
  わびすけ、なおものたうち回る。
  ひょっとしてこれはボタンを押したらわびすけがのたうち回る装置なのではないかと、K太郎は、スイッチの配線を確認してみた。
「凄いの?」
「音響爆雷が目の前で爆発したみたいな感じじゃないかな」
「へぇ~」
  と言いつつもK太郎はスイッチを切ることもなく。
  くたり、とわびすけがシートに倒れた。わずか数秒で、体中の精神と魂が抜けたかのような顔をしている。
  それをのんびりと見てから、せいは、
「終わったよ」
「結構早いですね。もう一回やりましょうか」
「やめんかあああああああああああああ」
  0.1秒で復活したわびすけがK太郎を蹴り倒した。


「ううう。外で、哨戒してくる」
  わびすけ、器用にコパイロットシートから飛び出して四足歩行中のアメショの背中に出る。
「ぎゃうん。まだ頭がわんわんするし」
  まったくなんて奴だろう。
  空気が読めないどころの話ではない。あれはきっと脳の回路が何の抵抗もない直列つなぎになっているのではないか。
  アメショーと背中あわせになって天井を仰ぐ。
  しばらく洞窟の水っぽい涼しさに触れる。ぶっちゃけ、寒い。
  防寒具の中にある腕章の感覚を確かめる。「☆冒険係☆」と書かれた腕章の手応え。
  ちょっとだけ気分が落ちついた。
「ふふ~ん」
「ご機嫌だな」
  声がして、わびすけはそちらを向いた。
  ミノムシがいた。いや、蓑虫ではなくアシタスナオだった。
  同じくアメショーの背中にタンクデサントしているのだ。ただ、わびすけとは違って虎ロープやらでぐるぐる巻きにされた上で、無理矢理背中に固定されている。
  猫ほど軽くもなければ敏捷性もない故の固定措置だったが、見ようによっては猫が捕らえた獲物を背負って運んでいるようにも見えなくはない。
「それ、楽しいの?」
「んなわけあるか。AR温存のために仕方なくだな」
「そんなんで温存できるARっていったい...」
  半眼でうなって、わびすけはアシタスナオにまたがった。
「へへーん。いい格好だね、摂政☆」
「乗るな。重いんだよ、この男女!」
「ひっどーい。僕だって、こう見えても浅田より胸あるんだから」
  メイドを目指してキノウツンへ泳いできた天才、わびすけ。
  彼の性別は[男・女]不明だったりする。
「胸囲のこと言ってるんじゃないだろうな。だいたい、ガキと比べて嬉しいのかよ」
「じゃあ、青狸と比べても」
「余計悲しいわ!!」
「へへーん。敵いた?」
「知らん、不貞寝してた」
  さいでっかと、つぶやいてわびすけは周囲を見回す。
  冗談を言いつつも、わびすけは猫天然の光増幅装置でアメショーが死角としそうな足下や後方の哨戒を続けていた。
「で、ロボはなにをフテてるのカナ?」
「ロボ言うな。この状況でフテない人間がいたらお目にかかりたいわ」
「爪の垢でも煎じる?」
「いや、お前は間違ってるときっちりみっちり説得してやる」
  さいでっか。
「まあ、たまにはK太郎にも華を持たしてあげようよ」
「わびすけ。ようく考えろ」
  何かを堪えるように、アシタスナオ。
「頑張ってる奴に花を持たせるのはいい、むしろ大賛成だ。だが、その前によく考えろ」
「なにさ?」
  不思議そうな顔で聞き返す。綺麗な猫目がアシタスナオを見つめている。こういう時のわびすけは、あどけない美少年のようであった。
――見ようによっては美少女にもなるような、
  またがって見下ろされていたアシタスナオは視線をぷいとそらす。
「頑張ってる奴に華を持たせるのはいい。出番を譲るのも当然だろう。だがな、」
「いままでの俺に、こころよーく出番を譲ってやるぐらいの華があったか?」
「ないね」
  即答するわびすけ。
「ぐっ。ま、まあそういうことだ。道理を守るのはいいが、それは俺もきっちり含んだ上でのことだ。平等ってのはそういうもんだろ?」
「そんなもんかにゃあ」
「わび、今、子供だなあって思っただろ」
「そだね」
  正直に頷く。正直なのは子供の特権である。
「子供でいいよ、おれは。自分をガマンするのが大人って言うのなら、俺はそんなプレイングはぜってーにしねえ。誰かを助けることも、誰にも平等であることも子供のままでやってやる。それできっちり俺の権利を主張してやる。俺はI=Dに乗りたいんだよ!
  独自兵器だって欲しいし、俺専用機がもっと欲しい!!  悪いかよ!!!」
  偵察中だというのに大演説のアシタスナオ。
  わびすけは、はぁと天を仰いで、ミノムシにもたれかかる。
  顔が近づいた。
「悪くないよ。悪いと思ってるのはアシタだけさ」
  わびすけの瞳にアシタが映る。
  暗闇に晒されて瞳孔の開いた瞳は、目映いばかりの紅玉に輝いていた。
「そんなこといって、いっつも摂政は僕らのために苦い汁を飲むわけだよね」
「...なにが言いたい」
  ミノムシに抱きつくように体重全部を預けるわびすけ。
  小柄で男とも女とも付かないまだまだガキだが、ミノムシの状態で(一応は)キノウツンのメイドに抱きつかれると言う状況に汗を垂らすアシタスナオ。
  なんというか、呼吸が浅い。
「べっつにぃ」
  知ってか知らずか、わびすけはそう呟いて丸くなる。


「上は楽しそうですね。いいなあ、」
「いいのかい?」
「だって、ほら。タンクデサントって楽しそうじゃないですか。僕もやりたかったなあ」
  のほほんと答えるK太郎。
  盛大なため息がコパイロットシートから漏れる。
「君は本当にお気楽極楽だねえ。羨ましいよ」
「あはは、ありがとうございます」
  まったく羨ましい限りだ。
  へこたれず、あきらめず、ただ自分にまっすぐで、やりたいことをやれるだけやっている。
  それは、本当に羨ましいことなのだ。
  僅かに目を細め、男装の麗人せいはデータから精細な地図を作成にかかる。
と、
「おや、応援メールだよ」
「応援?  外からですか」
  見えるわけないのにアメショを身じろぎさせて天井を見あげるK太郎。
  I=Dで、そんな動作するものだから背中のアシタスナオとわびすけはそれはもう凄いことになっていたのだが、割愛。
「まだ地表近いからね、ぎりぎり間に合ったってところかな」
「死亡フラグにならないといいですね~」
  どこまでものほほんと言い放つK太郎。
「縁起の悪いことを言わないでくれたまえ。長そうか?」
「そうですね。外にも流してあげて下さい」
「メイド1からご主人様、了解。BGMには最適だね、」

応援RP
/*/

/*/

わびすけ「ねえ、アシタ」
アシタスナオ「聞こえてるよ」
わびすけ「とりあえずさ、成功するといいよね。冒険」
アシタスナオ「...そうだな。というかそろそろどけ」

文(はる)
絵(船橋)
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