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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/Time enough for Love/Part06 - (2011/05/24 (火) 23:10:25) の1つ前との変更点

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---- #navi(上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/Time enough for Love) 本章 6. 「The Door into Summer」  上条当麻と御坂美琴が結ばれたのは、春も盛りを過ぎた頃。  あれから平穏な日々は過ぎ、初めての夏が近付いてきた。  今は梅雨真っ盛りの6月も下旬。  美琴が上条の部屋に泊まるときは、ベッドの上で猫のように戯れてくる。  上条はそんな美琴に苦笑しつつも、いつも名状しがたい暖かなものを、胸の中に感じている。 ――「ね~とうまぁ~だいしゅきぃ~ね~」 ――「ねぇ……とうま……キス……してぇ……」  昼間はかわいい子猫が甘えるように、夜の帳が下りる頃は、獲物を狙う女豹のように変化した。  されど誇り高い猫族同様、彼女は惰性に馴れ合うことを嫌う。  上条は、そんな美琴に、今ではすっかり魅了されてしまっていた。 「ねぇ、当麻。今年の夏はどうするの?」 「どうって、何かしたいことあるのか?」 「私ね、海に行きたい」  ここ学園都市は東京都下西部に位置するため、海が無い。  また高位能力者はセキュリティ上の問題もあり、むやみと「外」へは出られない。  その為、美琴にとっては、夏の海での海水浴とは夢のひとつでもある。  かねがね、季節の中では夏が一番好きと言っていた彼女にとって、恋人と行く海水浴とはまさに憧れの世界なのだ。 「どうしたら、私の『夏』は手に入るのかな……。 昔、よく思ってた。 私の夏はどこにあるのかなって。 ある日、どこかのドアを開けたら、そこが夏への入口だったらいいなって。 どっかの小説みたいだけどね」 「なら俺と一緒に、そのドア開けて、海に行こうか?」 「うん。嬉しい!当麻のこと大好き!」 「じゃ、今度水着買いに行こうな」 「えへへ……とうま……だいすきぃ……」  そんなある日の夜、上条は部屋の窓から、街の明かりをじっと眺める物憂げな表情の美琴に気が付いた。  彼女は不安と憂愁に満ちた、遠くを見るような目をしていた。 「どうした、美琴。何か気になることでも?」 「あ、いや、なんでもないの……」  そう言うと、安心したように上条に笑いかけた。 「お前……でもさっきの顔……」  美琴は、不安を吹き飛ばそうと言わんばかりに明るく答えた。 「ちょうど4年前の今頃だったのよ。私が当麻と初めて会ったのは……」 「あ……そうなんだっけか……」 「そう。当麻の記憶には無いけどね……。 でも今となっては、私には大切な思い出……」 「――すまん……」 「あ、ごめんなさい。そんなつもりじゃないのよ。 それに記憶喪失は当麻の責任じゃないんだし……。 ちょっと寂しくなっちゃっただけ……ほんとごめんなさい……」  上条を傷つけたかと思ったのか、あわてた様子に、そんな美琴をいじらしく思った上条は、彼女の傍に近付くと、そっと抱き締めた。 「大丈夫だ。心配してくれてありがとな……」  抱き締められた美琴は、少し涙目で上条の顔を見ていた。 「――もしあの時、当麻と出会ってなかったら、私、今頃どうなっていたかって思ったの……。 そうしたらなんか、どうしようもなく不安になっちゃって……。 こんなの……、あの時全部置いてきたはずなのに……。 あの時……誓ったはずなのに……」  上条は美琴の頭を、右手でやさしく撫ぜた。 「何を置いてきたんだ……?何を誓ったんだ……?」 「――当麻をロシアで救えなかった時、私の気持ちは死んだの」 「――美琴……」 「だから今の私は昔の私じゃないのかも……」 「……」 「私のこと、こんな尽くす女だと思ってた?」 「ん、俺はそうだと思ってたんだが違うのか?」 「昔の私は、もっとわがままで、自分勝手で、ジコチューで、素直じゃなかったわ」 「そうだったな……」 「だけど、ロシアで当麻が行方不明になったとき、私、自分を殺したの。 私の力じゃ、当麻と一緒に戦えない。 当麻の力になれないってわかったから。 あの時ほど悔しくて、悔しくて、自分がどうしようもなく惨めに思ったのは生まれて初めてだった。 だったらせめて、当麻の笑顔だけでも守れたらって思ったの」 「俺は美琴がいるだけで笑顔になれるさ」 「今はね、そうかもしれない。 でもあの頃、当麻の中にはインデックスがいた。 だから当麻が笑っていられるように、当麻さえ幸せになればいいって思った。 当麻のことだけを考えるようにしたの。 当麻が喜んでくれるなら、私はどうなってもいいって決めた」 「お前、そうまでして……」 「最初はつらかったわ。当麻の笑顔は私に向いていない。 そう思うだけで胸が締め付けられるようだった。 でも、当麻が傷ついて、苦しむのを見るよりはずっとマシだと思った。 当麻を失うことを思えば、私の前に居てさえくれるなら、それ以上何も望まない。 御坂美琴は、上条当麻とを愛している。 その思いだけを『自分だけの現実』にすると決めてきたの。 そうしたら不安も何も感じないようになった。 だって最初から、私にはそれ以外、何も無かったことに気が付いたんだもの。 失うものなんてなにもね。 あとは当麻の帰る場所だけでも守ろうって誓って……。 でも、今は違う……。そう思ったら……もう……ダ……メ……」  そう言うと美琴は上条の胸にすがって泣き出した。 「――当麻を……失うことが……こんなに……怖かったなんて……」  上条はそのまま何も言わず、そのまま彼女を抱き締め続けた。  美琴は今まで戦ってきたんだと気が付いた。  俺のために、全てをなげうって。  こんな儚げで、泣き虫で、どうしようもなくいとおしい彼女を見たのは、いつ以来だろうか。  だからこそ、上条はそんな美琴を必ず守ってやりたいと思った。 「もう独りで戦わなくてもいいんだ。 美琴のおかげで俺は救われた。 だから次は俺がお前を救ってやる。 お前とお前の周りの世界と、そしてお前の帰る場所を守ってやる。 おれは絶対にお前から離れたりはしない。 どこに居ても、何があっても、最後は必ず生きてお前の元に帰ると誓う。 美琴、お前は俺と一緒に、夏への扉を開けに行くんだろ? だから何の心配もいらない。 俺達の未来は、過去よりずっと素敵だと思うからさ……」 「――ああお願い……忘れさせて……優しくなんてしないで……狂いそうだから……」 「忘れさせてやるとも。そんな過去の幻想、おれのこの手で全てぶち壊してやるよ……」  上条は熱く、激しく貪るように口付けた。  美琴も激しくそれに応じた。 「とうま……めちゃくちゃに……こわして……早く……お願い……ん……はぁん……」  雨音がいつしかまた大きくなっていた。  それに重なるように、恋人達の救いを求め合う声が物憂げに響く。  梅雨の夜はまだ長い。 ---- #navi(上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/Time enough for Love)
---- #navi(上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/Time enough for Love) 第2章 超電磁砲の恋 6. 「The Door into Summer」  上条当麻と御坂美琴が結ばれたのは、春も盛りを過ぎた頃。  あれから平穏な日々は過ぎ、初めての夏が近付いてきた。  今は梅雨真っ盛りの6月も下旬。  美琴が上条の部屋に泊まるときは、ベッドの上で猫のように戯れてくる。  上条はそんな美琴に苦笑しつつも、いつも名状しがたい暖かなものを、胸の中に感じている。 ――「ね~とうまぁ~だいしゅきぃ~ね~」 ――「ねぇ……とうま……キス……してぇ……」  昼間はかわいい子猫が甘えるように、夜の帳が下りる頃は、獲物を狙う女豹のように変化した。  されど誇り高い猫族同様、彼女は惰性に馴れ合うことを嫌う。  上条は、そんな美琴に、今ではすっかり魅了されてしまっていた。 「ねぇ、当麻。今年の夏はどうするの?」 「どうって、何かしたいことあるのか?」 「私ね、海に行きたい」  ここ学園都市は東京都下西部に位置するため、海が無い。  また高位能力者はセキュリティ上の問題もあり、むやみと「外」へは出られない。  その為、美琴にとっては、夏の海での海水浴とは夢のひとつでもある。  かねがね、季節の中では夏が一番好きと言っていた彼女にとって、恋人と行く海水浴とはまさに憧れの世界なのだ。 「どうしたら、私の『夏』は手に入るのかな……。 昔、よく思ってた。 私の夏はどこにあるのかなって。 ある日、どこかのドアを開けたら、そこが夏への入口だったらいいなって。 どっかの小説みたいだけどね」 「なら俺と一緒に、そのドア開けて、海に行こうか?」 「うん。嬉しい!当麻のこと大好き!」 「じゃ、今度水着買いに行こうな」 「えへへ……とうま……だいすきぃ……」  そんなある日の夜、上条は部屋の窓から、街の明かりをじっと眺める物憂げな表情の美琴に気が付いた。  彼女は不安と憂愁に満ちた、遠くを見るような目をしていた。 「どうした、美琴。何か気になることでも?」 「あ、いや、なんでもないの……」  そう言うと、安心したように上条に笑いかけた。 「お前……でもさっきの顔……」  美琴は、不安を吹き飛ばそうと言わんばかりに明るく答えた。 「ちょうど4年前の今頃だったのよ。私が当麻と初めて会ったのは……」 「あ……そうなんだっけか……」 「そう。当麻の記憶には無いけどね……。 でも今となっては、私には大切な思い出……」 「――すまん……」 「あ、ごめんなさい。そんなつもりじゃないのよ。 それに記憶喪失は当麻の責任じゃないんだし……。 ちょっと寂しくなっちゃっただけ……ほんとごめんなさい……」  上条を傷つけたかと思ったのか、あわてた様子に、そんな美琴をいじらしく思った上条は、彼女の傍に近付くと、そっと抱き締めた。 「大丈夫だ。心配してくれてありがとな……」  抱き締められた美琴は、少し涙目で上条の顔を見ていた。 「――もしあの時、当麻と出会ってなかったら、私、今頃どうなっていたかって思ったの……。 そうしたらなんか、どうしようもなく不安になっちゃって……。 こんなの……、あの時全部置いてきたはずなのに……。 あの時……誓ったはずなのに……」  上条は美琴の頭を、右手でやさしく撫ぜた。 「何を置いてきたんだ……?何を誓ったんだ……?」 「――当麻をロシアで救えなかった時、私の気持ちは死んだの」 「――美琴……」 「だから今の私は昔の私じゃないのかも……」 「……」 「私のこと、こんな尽くす女だと思ってた?」 「ん、俺はそうだと思ってたんだが違うのか?」 「昔の私は、もっとわがままで、自分勝手で、ジコチューで、素直じゃなかったわ」 「そうだったな……」 「だけど、ロシアで当麻が行方不明になったとき、私、自分を殺したの。 私の力じゃ、当麻と一緒に戦えない。 当麻の力になれないってわかったから。 あの時ほど悔しくて、悔しくて、自分がどうしようもなく惨めに思ったのは生まれて初めてだった。 だったらせめて、当麻の笑顔だけでも守れたらって思ったの」 「俺は美琴がいるだけで笑顔になれるさ」 「今はね、そうかもしれない。 でもあの頃、当麻の中にはインデックスがいた。 だから当麻が笑っていられるように、当麻さえ幸せになればいいって思った。 当麻のことだけを考えるようにしたの。 当麻が喜んでくれるなら、私はどうなってもいいって決めた」 「お前、そうまでして……」 「最初はつらかったわ。当麻の笑顔は私に向いていない。 そう思うだけで胸が締め付けられるようだった。 でも、当麻が傷ついて、苦しむのを見るよりはずっとマシだと思った。 当麻を失うことを思えば、私の前に居てさえくれるなら、それ以上何も望まない。 御坂美琴は、上条当麻とを愛している。 その思いだけを『自分だけの現実』にすると決めてきたの。 そうしたら不安も何も感じないようになった。 だって最初から、私にはそれ以外、何も無かったことに気が付いたんだもの。 失うものなんてなにもね。 あとは当麻の帰る場所だけでも守ろうって誓って……。 でも、今は違う……。そう思ったら……もう……ダ……メ……」  そう言うと美琴は上条の胸にすがって泣き出した。 「――当麻を……失うことが……こんなに……怖かったなんて……」  上条はそのまま何も言わず、そのまま彼女を抱き締め続けた。  美琴は今まで戦ってきたんだと気が付いた。  俺のために、全てをなげうって。  こんな儚げで、泣き虫で、どうしようもなくいとおしい彼女を見たのは、いつ以来だろうか。  だからこそ、上条はそんな美琴を必ず守ってやりたいと思った。 「もう独りで戦わなくてもいいんだ。 美琴のおかげで俺は救われた。 だから次は俺がお前を救ってやる。 お前とお前の周りの世界と、そしてお前の帰る場所を守ってやる。 おれは絶対にお前から離れたりはしない。 どこに居ても、何があっても、最後は必ず生きてお前の元に帰ると誓う。 美琴、お前は俺と一緒に、夏への扉を開けに行くんだろ? だから何の心配もいらない。 俺達の未来は、過去よりずっと素敵だと思うからさ……」 「――ああお願い……忘れさせて……優しくなんてしないで……狂いそうだから……」 「忘れさせてやるとも。そんな過去の幻想、おれのこの手で全てぶち壊してやるよ……」  上条は熱く、激しく貪るように口付けた。  美琴も激しくそれに応じた。 「とうま……めちゃくちゃに……こわして……早く……お願い……ん……はぁん……」  雨音がいつしかまた大きくなっていた。  それに重なるように、恋人達の救いを求め合う声が物憂げに響く。  梅雨の夜はまだ長い。 ---- #navi(上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/Time enough for Love)

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