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【デルタフォース】クラスの3バカの日常/10-11 - (2011/08/30 (火) 21:04:20) の1つ前との変更点
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その頃、第一七七支部では初春が今現在、学園都市で起こっている出来事をモニターで確認していた。
浜面狩り、五和と舞夏の追いかけっこを確認した初春だが、特に気にした様子も無く椅子から立ち上がる。
「特に異常も無さそうですね。固法先輩、私達これから巡回に行って来ますからお留守番よろしくお願いします」
「ちょっと待ちなさい! 異常が無いってその画面に映ってる二件、明らかに異常事態でしょ! 白井さんと一緒に止めに行きなさい!」
「この程度なら問題無いですよ♪ 日常のささやかなハプニング程度ですから放っておいても」
「い・い・か・ら・だ・ま・っ・て・い・き・な・さ・い」
「……はい」
浜面と五和の件を無視した初春に固法は静かに、それでいて激しく怒ると共に目の前の常識人だった女の子の変わりように頭を痛めた。
しょげる初春の頭を撫でながら付いて行く神裂の後を黒子、佐天、絹旗の順で第一七七支部を出て行った。
片付ける用件が二つあるので黒子が二手に分かれるように提案するが、それが彼女の不幸の始まりに。
「じゃあ私と涙子さんと火織お姉ちゃんが五和さんの方、白井さんと最愛さんが浜面さんの方ということで」
「じょ、冗談じゃありませんわ! 何でわたくしがこの怪力チンチクリンをご一緒しなくてはいけませんの!」
「私も超反対です! どうせならそっちのグループに超入りたいですよ! 変態ジャッジメントの白井さんは一人で超行動すればいいんです!」
ついさっき犬猿の仲になった黒子と絹旗は当然ながら猛反対。
しかし初春はそんな二人の反応を予測済みで、もっともらしい意見で二人を丸め込みにかかる。
「浜面さん達の方は人数も多い上に能力者、それに実力のあるスキルアウトも何名か混じってます。だからレベル4のお二人が事に当たるのが一番なんですよ」
「……それもそうですわね。仕方ありません、ここは協力して暴動を抑えることにいたしますわ」
「飾利がそう言うなら……。さっさと片付けて早くそっちに超合流するようにしますから、待っててくださいね」
初春の言葉に丸め込まれた黒子と絹旗は火花を散らせながらも、浜面狩りの鎮圧へと向かった。
二人を見送った後で初春達も五和と舞夏の追いかけっこを止めさせる為に歩き出すが、その途中で佐天が初春に尋ねる。
「飾利、あの二人を組ませたのって本当は打ち解けてもらおうって思ってだよね?」
「やっぱり分かります? ちょっと荒療治かもしれませんけどこれでお二人が仲良くなってくれればと思いまして」
「それもあるでしょうけど飾利はちゃんと適材適所で選んでいますよ。浜面仕上には絹旗、五和には私。対処方法を理解してる者をちゃんと選別してます」
(本当は浜面さん達の方に私達、というか火織お姉ちゃんが行ったら男の人達が興奮するからダメだって言うのはやめておこう……)
実は神裂に一度やられた当麻をシメる会の男連中は、彼女の全てに惚れてしまっていたりする。
そんな連中の前に神裂を前に出すのは快く思わない初春の判断だが、それを当の本人と佐天は知る由も無かった。
「では私達も巡回ついでに五和たちを止めに行くとしましょうか。飾利、はぐれては大変ですからお姉ちゃんと手を繋ぎましょう」
「はい♪ じゃあ空いた手は涙子さんと繋ぎましょう」
「う、うん(は、恥ずかしーーーーーーーーーーーっ!)」
初春、佐天、神裂は他人が見たら仲良し3姉妹にしか見えない状態となり、それを恥ずかしいと思ってるのは佐天だけである。
もう一グループの黒子、絹旗の呉越同舟コンビは浜面狩りをさっさと片付けようと躍起になって辺りを探し回っていた。
「浜面……超恨みます……」
「場所はここで会ってると思いますが……って○○様!?」
そこには愛しの青髪ピアスこと○○が倒れていた。それだけではない。他にも数人倒れている。
「○○様!?どうしてこのような目に!?」
「浜面はんや……アイツめっちゃ強いねん。すごい策士だわ……今までうちの学校の最強候補はカミヤンとアクセラやったけどそれに十二分並ぶで」
「あの二人と同等の強さですって……?信じられませんわ……はっ!!そう言えばあのカルタ!!確か右目と左腕がなかったような……!!」
「まあ確かに超ショボい浜面ですけど殺る時は超殺りますからね…って何で超殺気出してるんですか!?」
「あの茶髪猿が……私の針のさびにしてさしあげますわ……」
(超怖いですッ!!)
----------
そのころの浜面はというと…
「はまずら、どうしたの?」
「まあクラスのバカどもをぶん殴っていた」
浜面はとりあえず滝壷に練絡し、待ち合わせ場所を決めて、合流したのだ。
「とりあえず、昼食にしようぜ!」
「はまづらがそうするならそうする」
そういうことで浜滝は昼食を取ることにしようとしたが!
「お待ちなさいな。そこのお2人さん♪」
ものすごい殺気で黒子が目の前にやってきた。
「なんでしらいがすごい殺気が立っているの?」
「俺に聞かれても知らないけど、と、とりあえず逃げるぞ!」
「お待ちなさいって言っているでしょうが!」
とりあえず、浜滝は白井からの殺気がすごいものなので、とりあえず逃げることにした。
ちなみに絹旗は白井がテレポートしたもので遅れている。
テレポーターから逃げ切れる訳もなく数分後。
近くの公園で。
「さて5秒ほど待ってさしあげますので言い訳が有るならおっしゃいな♪」
((なんかにたシチュエーション知ってるよ!!))
そう思いつつも「えー、つまりですね。」浜面が説明しようとすると。
「12345!!!」
予想通り実質1秒で白井のカウントは終わった。
すなわち。
無能力者最大のピンチが訪れる。
「ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・で・す・わ・は・ま・づ・ら・さ・ん・♪」
浜面は何も言うことなく滝壺を抱いて疾走。
「お待ちなさいな、一瞬では終わらせませんから…」
はっきり言って黒子は余裕だった。じわじわと歩いて攻めていく。見失いかけたらテレポートで追いかければいい話だ。そんな事お構いなしに浜面は車の陰に隠れる。
「あらあら、車の裏なんて意味が有りませんわよ?」
白井は知らなかった。
浜面に鍵を開けるスキルがあるなんて。
「なっ!?」
プーッ!
車は白井に突進してくる。
「おっとっと!!」
何とかテレポートでかわすが車はそのまま逃走。
「逃がしませんわよッ!!」
すぐに車の後部座席にテレポートする。二人共前部座席に居たから問題ない
はずだった。
「動くな。」
何故かと言うと黒子は頭に拳銃を押し付けられていたからだ。
「なっ!?」
浜面と滝壺は運転をいつの間にか変えていたのだ。(ちなみに、滝壺だって運転の仕方ぐらい知っている。)
「俺の指とお前のテレポート、どっちが早いか勝負するか?」
今フィールドは狭い車の中、迂闊に動けず。テレポートで体制を整えるスペースも無い。
「…参りましたわ。」
黒子は素直に自分の敗けを認めた。
-----------
乱は終わるかと思われた。
だが!
観念して車から降りた黒子めがけて飛んでくる一台の廃車の姿があった、しかも黒子の真上から。
浜滝は慌ててその場を離脱、黒子も焦りながらも『空間移動』で廃車から逃げることに成功する。
なお、真上に廃車が飛んできたのでさっきの車と接触せず、炎上なんて惨劇は起きなかった、奇跡的に。
「……ちょっと、どうゆうつもりですの? わたくし達の狙いはあの茶髪猿ですわよ、怪力チンチクリン」
廃車を投げ飛ばしてきたのは『窒素装甲』を使っている絹旗だった。
黒子の疑問に絹旗は浜面に決して優しくない答えを突きつける。
「浜面を殺すことには別段超反対はありません。むしろ超オールオッケーです。ですが! 滝壺さんを巻き込むとはどうゆう了見ですか!」
「あらあら、物を知らないとは哀れですわね。『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』の言葉通り、茶髪猿も憎ければその恋人も憎いというわけですわよ」
「……なるほど、超ふざけた考えですね。浜面だけ殺るなら協力しましたが滝壺さんも殺る気なら話は超別です。まずは変態ジャッジメントの白井さんから超殺ってやりますよ!」
黒子の浜面(滝壺も)虐殺ショーから一転、黒子VS絹旗のレベル4同士のバトルが始まりそうな雰囲気に。
かやの外状態の浜面は自分の扱いに心底落ち込むが、当麻をシメる会の残党が追ってきたので慌てて滝壺を抱えてその場を逃げ出そうとするが、
「「邪魔ッ!!!!!!!!!!!!!」」
勝負に水を差された黒子と絹旗の手にかかってしまい一掃される、所要時間わずか1分足らずで。
あまりの事態に動けずにいる浜面の隙をついて、黒子は金属矢を『空間移動』させると浜面を近くの木に縫い付けた。
「とりあえず目的の一つの暴徒鎮圧は果たせましたのですぐに殺すようなことは止めに致しますわ。あなた方はそこでわたくしとこのチンチクリンの戦いを眺めてなさいな♪ 今度は不覚を取りませんので」
「ちょっと待てやコラァ! 俺はお前らの景品か! こんな扱いされる謂れなんてこれっぽっちもねーぞ!」
「超黙れです浜面……。こっちは飾利や涙子と巡回したかったのにお前のせいでこの超変態と一緒、あまつさえ滝壺さんまで狙われてムカムカしてるんです。超縊り殺しますよ?」
「すみませんでしたっ! ……滝壺、俺って相当情けねーよな」
「大丈夫、はまづらがどんなはまづらでも私ははまづらを愛してる」
ヘタレ浜面と心の広い滝壺が逃げるのを忘れていちゃついているが、今の黒子と絹旗にとってはどうでもいいことだった。
初春には悪いが目の前の人間と仲良くなんて出来るわけが無い、二人は偶然にも同じ思いを抱いていた。
かくして『空間移動』の白井黒子VS『窒素装甲』の絹旗最愛の真剣勝負が幕を開ける。
----------------
「テレポーターに勝てるなんて本気で思ってますの?」
「お遊び程度のテレポーターなら超簡単ですね。使い手も使い手ですし」
「随分と言ってくれますわね…」
「こういうやり取りは超面倒です。さっさとケリ超つけましょう。」
「喜んでお引き受け致しますわッ!!」
黒子が右手を太ももにふれる。と同時に素早く左に避ける。そのまま
・・・・・・・・・
地面を蹴りあげた。
「なっ!?」
慌てて上にテレポートするが次から次にコンクリートやベンチ、更には近くに植えてあった木まで、
(このままでは確実にヤバイですが弾切れと同時にケリをつけますの!!)
そして最後に近くにあった車を投げた。それも黒子はテレポートで交わす。
(これで決めさせていただきますわ!!)
そうして最後に全部の針を思いっきり絹旗の居るべきはずの場所にテレポートさせる。しかし、
・・・・・・・・・
そこに絹旗はいなかった。
「なっ!?」
白井は周りを見渡すか何処にもいない。そこに、
「全く、超単純ですね。」
・・・・・・・
絹旗の声が後から聞こえた。
「グハッ!?」
そのまま黒子は意識を失った。
---------------
ここで簡単な種明かし、絹旗が何故黒子の後ろに居たかと言うと、車を投げてそのまま張り付いただけである。正に絹旗にしか出来ない技である。
「さてと、浜面、死ぬ覚悟は超いいですか?」
「まてよ絹旗!!お前は張り付けの人間をボコる様な奴だったのか!?」
「えっ!?浜面って超人間だったんですか!?」
「ひでえ!!」
「きぬはた、さすがに今のは言い過ぎだと思う。」
「滝壺さんが言うなら……浜面!!超さっさとして下さい!!」
「待て!!後三本!!」
「うんしょ、うんしょ、」「おお!!滝壺!!手伝ってくれるのか!?(踏ん張ってる滝壺萌えー!!もう死んでもいいや!!)」
そんなこんなで何とか全部外せました。
「さてと……、逃げますか!!」
「超逃げるなー!!」
浜面は小物の道を生きる男、そんな言葉を無視して逃げる(今回は相手が絹旗なので滝壺は木陰に座っている)。
(今回絹旗はマジで殺しにかかってきている……こっちも本気でやらないとな!!)
(所詮浜面、私を倒すなんて超できっこ有りません!!)
----------------
ちょうどその頃、初春、神裂、佐天は五和と舞夏の追いかけっこを無事に片付けて巡回を続けていた。
五和と舞夏の件は五和を大人しくさせることで簡単に片付いたが、その方法はいたってシンプルだった。
「火織お姉ちゃんのおかげで五和さんと上手く交渉できました♪」
「そんなことはありません。私はただ五和を拘束させただけ。最終的には飾利が五和を大人しくさせたではないですか」
「でもまさかアレを渡すだけで大人しくなるなんてねー。噂通りの当麻兄さん好きっぷりですよ」
五和を大人しくさせた方法、それは神裂のワイヤーで彼女を拘束し、初春があるものを渡しただけという単純明快なものだった。
あるもの、それはクリスマスの時に詩菜から何枚か頂いた当麻の幼少時代の写真で、五和にはその一枚を渡したというわけだ。
「……しかし良かったのでしょうか? 上条当麻本人の確認も無く、彼の子供時代の写真を渡しても」
「大丈夫です。このことは当麻お兄ちゃんに了承を得てますし、美琴お姉さんにはすでに何枚かプレゼントしてますから♪」
ちなみに五和に渡した写真をレベルで例えるなら2、美琴に渡したものが5で、それなりに萌えレベルに差があったりする。
こちらの用件はすでに片付いたので後は気楽に巡回をしようと考えていた初春と神裂だが、佐天がある心配事を漏らす。
「ところでさ、最愛と白井さんって仲良くやってるのかな? あたしとしてはそっちの確認に行った方がいいと思うよ。今頃喧嘩してる気がするし」
「うーん、最愛さんも白井さんもイイ人ですし、仲良くなってると思いますよ?」
「飾利が信じたい気持ちも分かりますが佐天の言うことも一理あります。飾利、もしあの二人が仲良くしてなかったらどうするつもりですか?」
初春の答えをお仕置き方面だと予測を立てていた神裂と佐天だが、彼女の答えは予想外のものだった。
「それは、とっても悲しいことですね……。もしそうなっていたら多分私、泣いちゃいます。お二人には仲良くしてもらいたいのに」
((飾利が泣く姿……み、見てみたい!))
「でもやっぱりそんなことは無いと思いキャッ! か、火織お姉ちゃん??」
初春の泣き顔に不謹慎ながらも萌えを感じた神裂と佐天は、黒子と絹旗の二人に喧嘩してて貰いたいなどと願っていた。
しかしそれを既に通り越して、絹旗VS浜面が始まっていようとは誰一人として思っていない。
現場に急行する決意を固めた神裂は初春をお姫様抱っこして、佐天を自分の背中に背負うとちょっと楽しげに初春に告げる。
「では早速参りましょう♪ あの二人のことも心配ですからね、一応」
「ちょ、か、火織お姉ちゃん、お、降ろしてくださいーーっ! こ、これはいくら何でもは、恥ずかしいですよーーっ!」
「大丈夫、私はちっとも恥ずかしくありません。むしろ気分は最高です!」
「(神裂さん本当に変わったなぁ、飾利に対してだけだけど)そうそう♪ 急がないと大変なことになってるかもだよ?」
「む~~~~~っ。わ、分かりました。じゃあ火織お姉ちゃんのペースに任せますから現場に向かって下さい」
女子中学生をお姫様抱っこ&背中におぶさる神裂の姿に誰もが注目していたが、それに気付いていたのは恥ずかしがってる初春のみ。
初春の泣き顔で萌えたい不届き者の神裂と佐天は黒子と絹旗が仲が悪いままと信じ、内心で楽しそうにしている。
そして初春のゴーサインと共に神裂は凄まじいスピードで現場に急行することに。
「うおっ! な、何や今の。何か見たことある人達やったような……ってイカンイカン。ボクも早う黒子はんの所へ向かわんと!」
途中で聞き覚えのある声がしたが3人はそれが誰か判別できる状態ではないのでスルーすることにした。
初春、神裂、佐天が惨劇の起きている現場に着くまであと3分。
その頃の浜面は必死に逃げながらも絹旗との戦い方を必死で模索している所だった。
その頃、第一七七支部では初春が今現在、学園都市で起こっている出来事をモニターで確認していた。
浜面狩り、五和と舞夏の追いかけっこを確認した初春だが、特に気にした様子も無く椅子から立ち上がる。
「特に異常も無さそうですね。固法先輩、私達これから巡回に行って来ますからお留守番よろしくお願いします」
「ちょっと待ちなさい! 異常が無いってその画面に映ってる二件、明らかに異常事態でしょ! 白井さんと一緒に止めに行きなさい!」
「この程度なら問題ありません♪ 日常のささやかなハプニングですから放っておいても」
「い・い・か・ら・だ・ま・っ・て・い・き・な・さ・い」
「……はい」
浜面と五和の件を無視した初春に固法は静かに、それでいて激しく怒ると共に目の前の常識人だった女の子の変わりように頭を痛めた。
しょげる初春の頭を撫でながら付いて行く神裂の後を黒子、佐天、絹旗の順で第一七七支部を出て行った。
片付ける用件が二つあるので黒子が二手に分かれるように提案するが、それが彼女の不幸の始まりに。
「じゃあ私と涙子さんと火織お姉ちゃんが五和さんの方、白井さんと最愛さんが浜面さんの方ということで」
「じょ、冗談じゃありませんわ! 何でわたくしがこの怪力チンチクリンをご一緒しなくてはいけませんの!」
「私も超反対です! そっちのグループに超入りたいですよ! 変態ジャッジメントの白井さんは一人で超行動すればいいんです!」
ついさっき犬猿の仲になった黒子と絹旗は当然ながら猛反対。
しかし初春はそんな二人の反応を予測済みで、もっともらしい意見で二人を丸め込みにかかる。
「浜面さん達の方は人数も多い上に能力者、それに実力のあるスキルアウトも混じってます。だからレベル4のお二人が事に当たるのが一番なんですよ」
「……それもそうですわね。仕方ありません、ここは協力して暴動を抑えることにいたしますわ」
「飾利がそう言うなら……。さっさと片付けて早くそっちに超合流するようにしますから待ってて下さいね」
初春の言葉に丸め込まれた黒子と絹旗は火花を散らせながらも、浜面狩りの鎮圧へと向かった。
二人を見送った後で初春達も五和と舞夏の追いかけっこを止めさせる為に歩き出すが、その途中で佐天が初春に尋ねる。
「飾利、あの二人を組ませたのって本当は打ち解けてもらおうって思ってだよね?」
「やっぱり分かります? ちょっと荒療治かもしれませんけどこれでお二人が仲良くなってくれればと思いまして」
「それもあるでしょうけど飾利はちゃんと適材適所で選んでいますよ。浜面仕上には絹旗、五和には私。対処方法を理解してる者をきちんと選別してます」
(本当は浜面さん達の方に私達、というか火織お姉ちゃんが行ったら男の人達が興奮するからダメって言うのはやめておこう……)
実は神裂に一度やられた当麻をシメる会の男連中の殆どは、彼女の全てに惚れてしまっていたりする。
そんな連中の前に神裂を前に出すのを快く思わない初春の判断だが、それを当の本人と佐天は知る由も無かった。
「では私達も巡回ついでに五和たちを止めに行くとしましょうか。飾利、はぐれては大変ですからお姉ちゃんと手を繋ぎましょう♪」
「はい♪ じゃあ空いた手は涙子さんと繋ぎましょう」
「う、うん(は、恥ずかしーーーーーーーーーーーっ!)」
初春、佐天、神裂は他人が見たら仲良し3姉妹にしか見えない状態となり、それを恥ずかしいと思ってるのは佐天だけである。
もう一グループの黒子、絹旗の呉越同舟コンビは浜面狩りをさっさと片付けようと躍起になって辺りを探し回っていた。
「浜面……超恨みます……」
「場所はここで会ってると思いますが……って○○様!?」
そこには愛しの青髪ピアスこと○○が倒れていた。それだけではない。他にも数人倒れている。
「○○様!?どうしてこのような目に!?」
「浜面はんや……アイツめっちゃ強いねん。すごい策士やわ……今までボクの学校の最強候補はカミやんとアクセラやったけどそれに並ぶで」
「あの二人と同等の強さですって……?信じられませんわ……はっ!!そういえばあのカルタの第四位!!確か右目と左腕が無かったような……!!」
「まあ確かに超ショボい浜面ですけど殺る時は超殺りますからね…って何で超殺気出してるんですか!?」
「あの茶髪猿が……わたくしの針の錆にして差し上げますわ……」
(超怖いですッ!!)
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その頃の浜面はというと…
「はまづら、どうしたの?」
「クラスのバカ共をぶん殴ってきた」
浜面はとりあえず滝壷に練絡し、待ち合わせ場所を決めて、合流したのだ。
「とりあえず昼食にしようぜ!」
「はまづらがそうするならそうする」
そういうことで浜滝は昼食を取ることにしようとしたが!
「お待ちなさいな、そこのお2人さん♪」
もの凄い殺気で黒子が目の前にやってきた。
「何でしらいがすごい殺気立ってるの?」
「俺に聞かれても知らないけど、と、とりあえず逃げるぞ!」
「お待ちなさいって言っているでしょうが!」
とりあえず、浜滝は白井からの殺気が凄いものなので、とりあえず逃げることにした。
ちなみに絹旗は白井がテレポートしたので遅れている。
テレポーターから逃げ切れる訳もなく数分後。
近くの公園で。
「さて5秒ほど待って差し上げますので言い訳が有るならおっしゃって下さいな♪」
((何か似たシチュエーション知ってるよ!!))
そう思いつつも「えー、つまりですね。」浜面が説明しようとすると。
「12345!!!」
予想通り実質1秒で白井のカウントは終わった。
すなわち。
無能力者最大のピンチが訪れる。
「ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・で・す・わ・は・ま・づ・ら・さ・ん・♪」
浜面は何も言うことなく滝壺を抱いて疾走。
「お待ちなさいな、一瞬では終わらせませんから…」
はっきり言って黒子は余裕だった。じわじわと歩いて攻めていく。見失いかけたらテレポートで追いかければいい話だ。そんな事お構い無しに浜面は車の陰に隠れる。
「あらあら、車の裏なんて意味が有りませんわよ?」
白井は知らなかった。
浜面に鍵を開けるスキルがあるなんて。
「なっ!?」
プーッ!
車は白井に突進してくる。
「おっとっと!!」
何とかテレポートでかわすが車はそのまま逃走。
「逃がしませんわよッ!!」
すぐに車の後部座席にテレポートする。二人共前部座席に居たから問題無い
はずだった。
「動くな。」
何故かというと黒子は頭に拳銃を押し付けられていたからだ。
「なっ!?」
浜面と滝壺は運転をいつの間にか代わっていたのだ。(ちなみに滝壺だって運転の仕方ぐらい知っている。)
「俺の指とお前のテレポート、どっちが早いか勝負するか?」
今フィールドは狭い車の中、迂闊に動けず。テレポートで体制を整えるスペースも無い。
「…参りましたわ。」
黒子は素直に自分の敗けを認めた。
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乱は終わるかと思われた。
だが!
観念して車から降りた黒子目掛けて飛んでくる一台の廃車の姿があった、しかも黒子の真上から。
浜滝は慌ててその場を離脱、黒子も焦りながらも『空間移動』で廃車から逃げることに成功する。
なお、真上に廃車が飛んできたのでさっきの車と接触せず、炎上なんて惨劇は起きなかった、奇跡的に。
「……ちょっと、どうゆうつもりですの? わたくし達の狙いはあの茶髪猿ですわよ、怪力チンチクリン」
廃車を投げ飛ばしてきたのは『窒素装甲』を使っている絹旗だった。
黒子の疑問に絹旗は浜面に決して優しくない答えを突きつける。
「浜面を殺すことには別段超反対はありません、超オールオッケーです。ですが! 滝壺さんを巻き込むとはどうゆう了見ですか!」
「あらあら、物を知らないとは哀れですわね。『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』の言葉通り、茶髪猿も憎ければその恋人も憎いというわけですわよ」
「……超ふざけた考えですね。浜面だけ殺るなら協力しましたが滝壺さんも殺るなら話は超別です。まずは変態ジャッジメントの白井さんから超殺ってやりますよ!」
黒子の浜面(滝壺も)虐殺ショー(未遂)から一転、黒子VS絹旗のレベル4同士のバトルが始まりそうな雰囲気に。
蚊帳の外状態の浜面が自分の扱いに心底落ち込んでいると当麻をシメる会の残党が追ってきたので慌てて滝壺を抱えてその場を逃げ出そうとするが、
「「邪魔ッ!!!!!!!!!!!!!」」
勝負に水を差された黒子と絹旗の手にかかってしまい一掃される、所要時間わずか1分足らずで。
あまりの事態に動けずにいる浜面の隙をついて、黒子は金属矢を『空間移動』させると浜面を近くの木に縫い付けた。
「とりあえず目的の一つの暴徒鎮圧は果たせましたのですぐに殺すようなことは止めに致します。あなた方はそこでわたくしとこのチンチクリンの戦いを眺めてなさいな♪ 今度は不覚を取りませんので」
「ちょっと待てやコラァ! 俺はお前らの景品か! こんな扱いされる謂れなんてこれっぽっちもねーぞ!」
「超黙れです浜面……。こっちは飾利や涙子と巡回したかったのにお前のせいでこの超変態と一緒、あまつさえ滝壺さんまで狙われてムカムカしてるんです。超縊り殺しますよ?」
「すみませんでしたっ! ……滝壺、俺って相当情けねーよな」
「大丈夫、はまづらがどんなはまづらでも私ははまづらを愛してる」
ヘタレ浜面と心の広い滝壺が逃げるのを忘れていちゃついているが、今の黒子と絹旗にとってはどうでもいいことだった。
初春には悪いが目の前の人間と仲良くなんて出来るわけが無い、二人は偶然にも同じ思いを抱いていた。
かくして『空間移動』の白井黒子VS『窒素装甲』の絹旗最愛の真剣勝負が幕を開ける。
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「テレポーターに勝てるなんて本気で思ってますの?」
「お遊び程度のテレポーターなら超簡単ですね。使い手も使い手ですし」
「随分と言ってくれますわね…」
「こういうやり取りは超面倒です。さっさとケリを超つけましょう!」
「喜んでお引き受け致しますわッ!!」
黒子が右手を太ももに触れる。と同時に素早く左に避ける。そのまま
・・・・・・・・・
地面を蹴りあげた。
「なっ!?」
慌てて上にテレポートするが次から次にコンクリートやベンチ、更には近くに植えてあった木まで、
(このままでは確実にヤバイですが弾切れと同時にケリをつけますの!!)
そして最後に近くにあった車を投げた。それも黒子はテレポートでかわす。
(これで決めさせていただきますわ!!)
そうして最後に全部の針を思いっきり絹旗の居るべきはずの場所にテレポートさせる。しかし、
・・・・・・・・・
そこに絹旗はいなかった。
「なっ!?」
白井は周りを見渡すか何処にもいない。そこに、
「全く、超単純ですね。」
・・・・・・・・
絹旗の声が後ろから聞こえた。
「グハッ!?」
そのまま黒子は意識を失った。
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ここで簡単な種明かし、絹旗が何故黒子の後ろに居たかと言うと、車を投げてそのまま張り付いただけである。正に絹旗にしか出来ない技である。
「さてと浜面、死ぬ覚悟は超いいですか?」
「待てよ絹旗!!お前は張り付けの人間をボコる様な奴だったのか!?」
「えっ!?浜面って超人間だったんですか!?」
「ひでえ!!」
「きぬはた、さすがに今のは言い過ぎだと思う。」
「滝壺さんが言うなら……浜面!!超さっさとして下さい!!」
「待て!!後三本!!」
「うんしょ、うんしょ、」「おお!!滝壺!!手伝ってくれるのか!?(踏ん張ってる滝壺萌えー!!もう死んでもいいや!!)」
そんなこんなで何とか全部外せました。
「さてと……、逃げますか!!」
「超逃げるなー!!」
浜面は小物の道を生きる男、そんな言葉を無視して逃げる(今回は相手が絹旗なので滝壺は木陰に座っている)。
(今回絹旗はマジで殺しにかかってきている……こっちも本気でやらないとな!!)
(所詮浜面、私を倒すなんて超できっこ有りません!!)
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ちょうどその頃、初春、神裂、佐天は五和と舞夏の追いかけっこを無事に片付けて巡回を続けていた。
五和と舞夏の件は五和を大人しくさせることで簡単に片付いたが、その方法はいたってシンプルだった。
「火織お姉ちゃんのおかげで五和さんと上手く交渉できました♪」
「そんなことはありません。私はただ五和を拘束しただけ。最終的には飾利が五和を大人しくさせたではないですか」
「でもまさかアレを渡すだけで大人しくなるなんてねー。噂通りの当麻兄さん好きっぷりですよ」
五和を大人しくさせた方法、それは神裂のワイヤーで彼女を拘束し、初春があるものを渡しただけという単純明快なものだった。
あるもの、それはクリスマスの時に詩菜から何枚か頂いた当麻の幼少時代の写真で、五和にはその一枚を渡したというわけだ。
「……しかし良かったのでしょうか? 上条当麻本人の確認も無く、彼の子供時代の写真を渡しても」
「大丈夫です。このことは当麻お兄ちゃんに了承を得てますし、美琴お姉さんにはすでに何枚かプレゼントしてますから♪」
ちなみに五和に渡した写真をレベルで例えるなら2、美琴に渡したものが5で萌えレベルに差があったりする。
こちらの用件はすでに片付いたので後は気楽に巡回をしようと考えていた初春と神裂だが、佐天がある心配事を漏らす。
「ところでさ、最愛と白井さんって仲良くやってるのかな? あたしはそっちの確認に行った方がいいと思うよ。今頃喧嘩してる気がするし」
「うーん、最愛さんも白井さんもいい人ですし、仲良くなってると思いますよ?」
「飾利が信じたい気持ちも分かりますが佐天の言うことも一理あります。飾利、あの二人が仲良くしてなかったらどうするつもりですか?」
初春の答えをお仕置き方面だと予測を立てていた神裂と佐天だが、彼女の答えは予想外のものだった。
「それは、とっても悲しいことですね……。もしそうなっていたら多分私、泣いちゃいます。お二人には仲良くしてもらいたいのに」
((飾利が泣く姿……み、見てみたい!))
「でもやっぱりそんなことは無いと思いキャッ! か、火織お姉ちゃん??」
初春の泣き顔に不謹慎ながらも萌えを感じた神裂と佐天は、黒子と絹旗の二人に喧嘩してて貰いたいなどと願っていた。
しかしそれを既に通り越して、絹旗VS浜面が始まっていようとは誰一人として思っていない。
現場に急行する決意を固めた神裂は初春をお姫様抱っこして、佐天を自分の背中に背負うとちょっと楽しげに初春に告げる。
「では早速参りましょう♪ あの二人のことが心配ですからね、一応」
「ちょ、か、火織お姉ちゃん、お、降ろして下さーーいっ! こ、これはいくら何でもは、恥ずかしいですよーーっ!」
「大丈夫、私はちっとも恥ずかしくありません。むしろ気分は最高です!」
「(神裂さん本当に変わったなぁ、飾利に対してだけだけど)そうそう♪ 急がないと大変なことになってるかもだよ?」
「む~~~~~っ。わ、分かりました。じゃあ火織お姉ちゃんのペースに任せますから現場に向かって下さい」
女子中学生をお姫様抱っこ&背中におぶさる神裂の姿に誰もが注目していたが、それに気付いていたのは恥ずかしがってる初春のみ。
初春の泣き顔で萌えたい不届き者の神裂と佐天は黒子と絹旗が仲が悪いままと信じ、内心で楽しそうにしている。
そして初春のゴーサインと共に神裂は凄まじいスピードで現場に急行することに。
「うおっ! な、何や今の。見たことある人達やったような……ってイカンイカン。ボクも早う黒子はんの所へ向かわんと!」
途中で聞き覚えのある声がしたが3人はそれが誰か判別できる状態ではないのでスルーすることにした。
初春、神裂、佐天が惨劇の起きている現場に着くまであと3分。
その頃の浜面は必死に逃げながらも絹旗との戦い方を必死で模索している所だった。
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