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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/6スレ目ログ/6-360 - (2010/03/21 (日) 14:25:43) の1つ前との変更点
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とある喫茶にて。
「最近、寒くて寝付けないのよね」
だから冬は嫌いなのよ、と美琴は頬を膨らます。
そんな美琴をも可愛いと思ってしまう上条は、美琴の膨れたほっぺをつんつんと突く。
「ちょっと、やめてよ!なに公衆の面前でやってんのよ」
「わりぃわりぃ。あまりに美琴さんの膨れっ面が可愛いもんで、上条さん的には突っつきたくなったわけですよ」
上条がこっ恥ずかしい事を言ったりやったりして、美琴がそれに照れて赤くなる。
この2人における、おきまりのパターンであるが、人はそれをバカップルと呼ぶ。
今ではあの白井でさえ、呆れを通り越して関与しなくなったほどだ。
「で、なんだ。美琴は夜寒くて寝付けないと?」
「そうなのよ。入った途端の布団って冷たいし、じっとしてると暖かくはなるけど動くとまた冷たくなって……もう嫌」
溜息と共に肩を落とす。
上条としてはそれくらい我慢したらなんとかなるだろ、と言いたいところではあるがそんな事を言えばどうなるかは分かったものではない。
「常盤台の寮とか温度管理はすごそうだけどな」
「もちろんよ。何の苦もなく寝れるわ」
「はぁ?お前今、寝付けないって言ったところじゃねぇか」
「ばか。アンタのとこに……その、泊まったときの話よ」
「あぁ、そういうことか」
美琴は週に2度ほど、上条の部屋に泊まりに来る。
インデックスが英国にかえってしまってから、1人で寂しいとか思っていた上条にとっては嬉しい事ではあった。
しかし、戸主にも関わらずベッドは奪われ、『風呂じゃ死ぬ!』とか言い倒してようやく、同じ部屋の硬い床で寝る許可を得た。
しぶしぶ床で寝てみると、毎回、小さい声で『意気地なし』とか言われることになる。
―――女心は分かりません―――
上条は怪訝な表情で美琴の背中を見ながら寝ることになっている。
「お前……文句言うならわざわざ泊まらずに寮まで帰れよ」
―――辛い思いまでして泊まっていくのは勝手だが、文句まで言われるとは―――
上条はわりと本気で対策を考える。
「エアコンは使わねぇぞ!電気代も馬鹿になんねぇし」
「うっさいわね!分かってるわよ」
「こたつで寝るわけにもいかんしなぁ……と、そうだ、美琴、今から買いもん行くぞ」
上条は何かを思いついたかのように立ち上がり、美琴の手を引いて喫茶を出る。
「なな、何よ、いきなり」
「湯たんぽだよ湯たんぽ!」
「ゆたぽん?」
「違わないけど、違う!!」
「これが先人たちの知恵の結晶!湯たんぽなのです!」
上条と美琴はデパートの寝具コーナーに来ていた。
最近、流行りらしく、いろいろな湯たんぽが置いてある。デザイン的にオシャレなものも多い。
「さぁ、選べ!エアコンは付けない上条さんだが、湯たんぽなら買ってやろうっっ!!」
「結構いろんなデザインあるし、迷っちゃうわね……っ!?」
急に固まってしまった美琴の様子に、上条はその目線の先をたどる。
「げっ」
上条の顔が引きつる。そこにあったのはもちろん『ゲコ太ゆたんぽ』である。
ご丁寧に小さな子供用としてに安全対策もばっちりの代物らしい。
「美琴サン?」
「当麻、分かってるわよね?」
両目をキラキラキラキラァァッとさせた美琴が上条を見つめる。
「ハイ、ワカッテオリマス………」
上条は手に負えなくなった美琴に肩を落とし、店員さんを呼ぶ。
「すいませーん。これ欲しいんですけど……」
上条の声に反応した店員さんは高速安定ラインのような身のこなしでやってくると、近くの棚の引き出しを開け始める。
「あー、お客様申し訳ございません。こちらの商品はただ今、品切れとなっておりまして、お取り寄せになるのですが………」
「そうですか、どうしようかな」
上条は美琴の様子を窺う。
キラキラキラキラァァァッとしていた。
―――無理だ。別のにしろなんて、言えねぇっ!!―――
「取り寄せ、おねがいします」
上条は店員さんに支持されたとおりに注文書を書き終え、結局何も買わうにデパートを後にした。
夜。
美琴はパジャマ姿で上条の寮にいる。お泊りです。
「まったく、結局湯たんぽ買えなかったじゃねぇか」
「ううううるさいっ!げ、ゲコ太が私を呼んでたのよ!」
なんじゃそりゃ、と上条はコップに入ったお茶を飲むと、床に枕と毛布を準備する。
「そろそろ寝るぞ」
「はぁ、今日も寒い中寝るのか………」
美琴はガックリと肩を落とすと、おそるおそる布団に入る。
「湯たんぽ代わりに、上条さんが添い寝してあげましょうかー、なんて……」
上条はよっこいしょ、と床に転がりながら冗談を飛ばし、毛布をかぶろうとした。
ぐいっ、と驚くような力で襟元を引っ張られる。
「添い寝、お願いするわ」
「はいっ!?」
「湯たんぽ代わり。ゲコ太が届くまで」
そう言って美琴は上条をベッドに促す。
―――め、目がすわってしまわれてますよぉぉっ―――
抵抗むなしく、上条はベッドの中に引きづり込まれる。
美琴は上条にも布団をかぶせると、思いっきり抱きつく。
「あー、こりゃ暖かいわ。今夜はグッスリ眠れそうね」
「上条さんは全く眠れそうにありませんけどね」
「おやすみ、当麻」
「聞く耳持たずかよっっ…………不幸だ」
結局、抱きつかれたままの上条はろくに眠れないまま朝を迎え、美琴は今までにない快眠具合にご機嫌であった。
後日談。
上条宅に『ゲコ太ゆたんぽ』が届いて早一ヶ月。
お子様センス全開の湯たんぽは開封されてはいるものの、使用された形跡が全くない。
一ヶ月の間美琴が上条宅を訪れていないわけではない。むしろ、週に3回と頻度が増えたくらいだ。
「おい、美琴っ。折角、買ったんだから湯たんぽ使って1人で寝ろよ」
「そんなの無理!ゲコ太を足蹴にするなんて考えられないわ」
湯たんぽは足元を暖める為に置いて使うもんだ、と上条が教えてから、美琴は頑なに使用を拒否する。
「はぁ?じゃぁ、何でもいいから1人で寝てくれよ」
「アンタは………私と寝るのはいや?」
―――うっ!?―――
上目使い攻撃に、上条の抵抗が弱くなっていく。
「嫌じゃないですけど……なんていうか、ですね」
「湯たんぽじゃ私1人しか暖かくないけど、添い寝してくれたら、2人とも暖かいでしょ?」
「…………ふ、不幸だ?」
―――もうわかりません―――
上条の寝不足はまだ続きそうだ。
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