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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/9スレ目短編/112 - (2010/05/09 (日) 14:48:21) の1つ前との変更点
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*ツンデレガールの母
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「ったく…私にも色々都合があるんだから、急に来て呼び出さないでよねー」
とある日の放課後、御坂美琴は喫茶店に呼び出された。
その相手とは。
「ごめんごめんー!美琴ちゃん、今日は当麻くんとデートの予定だった?それだったら悪い事したかなー」
御坂美鈴――美琴の母である。
反省の欠片もない謝罪に美琴は無視を決め込むが、続く言葉に思わず反応してしまう。
「べっ、別に。っつーかアイツとはそんなんじゃ…」
「またまた~。美琴ちゃんったら、照・れ・屋・さんなんだからー」
「ちょっと!最後まで人の話はー」
美琴は反論を試みたが、美鈴はあっさり受け流して、
「それでね、今日ここに来たのは、美琴ちゃんにお願いがあるからなのよー」
* ・ * ・ * ・ * ・ *
「はぁっ?!ちょっ…冗談じゃないわよ!」
と、美琴は顔を赤くして口をパクパクさせながら抗議する。
「いいじゃない、予行演習だと思えば♪」
しれっと美鈴は言ってのける。
「よっ…予行演習?!な、なななな何をさらっとトンでも発言してんのよアンタは!!」
美琴は、パチパチと青白い火花を散らしている。
そんな娘の様子に、美鈴は特に気にもせず続ける。
「そう?何事も経験だと思うのよーそれで…どうかな?」
と美鈴は尋ねつつ、まぁ美琴ちゃんの方は先に話を通しちゃってるけどねと付け加える。
「……………は?」
この追撃に、美琴はあいた口が塞がらない。
(――最初から、私に拒否権は無かったわけね…ならば、)
「あ、私は別に…いいわよ?アイツがしてもいいって言うならね。
っつーか、いつもアンタがお世話になってる友人の頼みだか
何だか知らないけど…大体そんな話安請け合いしてくるなっ!
それとね、私抜きに勝手に話を進めて巻き込むな!…って聞きなさいよー!」
美鈴はどこかに連絡を入れてるらしく、全く聞いてないようだ。
はぁ~と美琴はため息をつく。そりゃまぁ、興味がないわけではない。
けれどそれとこれとは話が別だ。
(…そう簡単にアイツは捕まらないし、この話はこれでお終いよ!)
「じゃあ、あとは当麻くんの了承を得ればオッケーね!」
「ぶっ!!……よ、呼んでるの?!」
美鈴の発言に美琴はテーブルに突っ伏し、先ほど言った事を後悔した。
(うそっ…いつも連絡入れても捕まらないのに、何でこういう時に限って!)
「当たり前じゃないー」
娘の心境を知ってか知らずか、抜かりはないと美鈴はウィンクしてみせた。
――ちりん
「お!来た来た、当麻くんこっちよ~」
手を振って呼んでいるのは、美鈴さん。
その手前の席では美琴がテーブルに突っ伏していて、何やらゴニョゴニョ呟いている。
「……え~と?」
呼び出されたのは自分だけと思っていたのだが、そうではなかったらしい。
しばらく突っ立ったままでいると美鈴さんに、こっちに座りなさいと手招きされ、美琴の隣に上条は座らされた。
* ・ * ・ * ・ * ・ *
開口一番。
「当麻くん、美琴ちゃんとは最近どう?」
美鈴さんからの質問の意味が分からず上条は???と頭に乗せた状態だ。
隣に座る美琴は何やら反応し、耐えられないとでも言うように肩を震わせている。
「はい…?」
上条のイマイチな反応に、美鈴は小首を傾げ、
「ん~~~、ねぇ美琴ちゃん…ちょっといいかな?」
と先ほどから沈黙している娘に声を掛ける。
呼ばれた美琴は顔を上げ、何よ?と言った風に美鈴を睨みつけた。
「当麻くんと何かあった?……喧嘩でもしたの?」
「あのねぇ…最初に言ったわよ、『そんなんじゃない』って!」
だから人の話は最後まで聞けよと美琴は言いたい。
娘の証言から美鈴は何か結論が出たらしく、なるほどねーと呟き。
「美琴ちゃんのアタック不足か~」
「うっ、うるさい!どういう理屈でそうなるのよ!」
顔を真っ赤にして反撃する娘に対し、そうかしら?と美鈴は止めの一撃を繰り出した。
「もっと素直にならなきゃだめよー?」
図星である。
「……………、」
返す言葉もなく、美琴はまたもやテーブルに突っ伏した。
そんな2人のやり取りの中、上条は1人だけ取り残されて傍観者となっていた。
(それにしても、ほんっと仲の良い母娘だなーいや姉妹って感じだなこれは…)
などと1人心の中で突っ込み、よく分からないが自分から話が逸れた事はありがたい。
と安心していたら、美鈴さんと目が合った――今までのは余興、ここからが本題ですよとその目が語っている。
「当麻くんを呼んだのは、これをお願いするためよ」
と、美鈴は話を切り出し、パンフレットを上条に渡す。
「最近、学生結婚が増えてるの知ってる?それで、ちょっと頼まれちゃったのよー」
「へぇ、いや俺そういうの疎いんで…その話と関係が?」
そう、まぁ見れば分かるわと美鈴は言う。
「何すかこれ?学園都市の……えーと、チャペル…ウェディングドレス、ん?モデル?!」
上条は、美鈴さんから渡されたパンフレットをペラペラとめくり…そのめくる手が止まった。
よもやお願いとはこれのことですか?相手は…まさか―――と、隣の未だ突っ伏している美琴に視線を向ける。
「ビンゴ♪」
と上条の動きに気付き、美鈴は満足げに告げて微笑む。
「もちろん、当麻くん…引き受けてくれるわよね?」
上条の手を取り、迫る美鈴。
「はっ?いや…えっ?!」
「引 き 受 け て くれるわよね?」
美鈴さんからの有無を言わさぬ迫力に、思わず頷きそうになる上条であったが、美琴はどうなのだろう?と疑問が沸く。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
上条は疑問を口にする。
「その…俺とじゃイヤなんじゃないんですかね?」
と、上条は美琴の方を見る。
「………(そんなわけないじゃない!)」
娘の様子に美鈴は気付き、上条に続けてと促す。
「俺は別に頼まれたことはやります、けれど…これはもっと相応しい人がいると思います」
絵的にも俺じゃ無理があるし、モデルっていう柄でもないと上条は続ける。
「だから…「そ、そんなことないわよ!」」
突然の美琴の声に、上条の言葉は遮られた。
「み、御坂…?」
「あ、えっと…その……」
続きを言えないでいる娘に、美鈴は助け舟を出す。
「ねえ、当麻くん…私じゃなくて、美琴ちゃんに直接聞いてみるのがいいんじゃないかしら?」
気を利かせたつもりなのか、お手洗い行って来るからーと美鈴は席を外し、上条と美琴は2人っきりにされた。
「「……………」」
意を決して上条は、美琴に話しかける。
「いやさ、お前も色々大変だろうけど、これ…本当に俺でいいのか?」
「そんなことないって言ったわよ!…っつーか何、私とじゃイヤなの?」
何でこんなに踏ん切りが悪いのよアンタは、と恥ずかしさも手伝って美琴は捲くし立てた。
「あ、いや…イヤじゃねえよ、むしろ上条さんは光栄に思うといいますか…」
少々照れながら、上条は正直に答えた。
「えっ…?」
思わぬ言葉に、ポンっと音を立てて美琴の思考は停止した。
「あらあら?これはこれは…ちょっとーいい感じじゃないー」
手洗いに行く振りをして、こっそり2人の様子を影から見守っていた美鈴。
「決まりね!」
とある教会で、とある良く晴れた日曜日、上条と美琴は撮影に臨んでいた。
「当麻くんー!」
呼ばれて、振り向く。
「何ですか、美鈴さん?」
やっぱり男の子の方が準備が早いわねーと言った感じで、じろじろと上条を見つめる美鈴。
「うん、似合ってる、似合ってる、様になってるじゃないー!これは美琴ちゃん、イチコロねー」
「はっ?いや、何言ってるんですか…ハハハ」
似合っていると言われて悪い気はしない、むしろ照れる。
(それにしてもイチコロって…まさかそりゃねぇだろ)
美鈴さんに迎えに行ってあげてと言われて、上条は部屋に向かう間、美琴の事を考えていた。
「おーい、準備はいいか?」
ドアをノックし、返事を待つ。
どうぞーと言う声に、上条は扉を開ける。
「…………っ!」
扉を開けた瞬間、上条は息を呑んだ。
部屋の中心にいる美琴から目を離す事が出来ない。
「…な、何ジロジロ見てるのよ!」
一言も喋らず、惚けた様子の上条。
「…………ねぇ」
美琴はそんな上条からの視線を感じ、もう色々と限界だった。
「黙ってないで、なっ何か言いなさいよ…」
「………綺麗だ」
上条の口から発せられた言葉はありきたりの文句。
「!!」
嬉しい…。
「……あ、ありがと」
頬が熱くなるのを美琴は自覚しながら、ほんのちょっとだけ素直になろうと決めた。
「その、アンタも…か、格好いいわよ」
照れながら、最上級の笑顔で告げる美琴に、
――上条はまんまと一撃でコロリと心を奪われた。
「ねぇ、当麻…覚えてる?」
「ああ、覚えてるよ」
数年前、2人は結婚式のモデルをした。
当時は、恥ずかしいものだったが、今となってはいい思い出だ。
「いやー同じ事を考えてるとは…」
「何言ってんの!どうしたって思い出しちゃうわよ、だって今日は」
今日は、あの時のようなモデルではない。
2人とって新しい旅立ち、本当の結婚式だ。
さぁ行こうかと上条は手を引く、美琴は不意に立ち止まり。
「当麻、あの時と今どっちが綺麗?」
どうなのよ?と聞いてくる。
――扉を開けたとき、その姿を見て綺麗だと思った。また、心を奪われた。
今もそうだ、また惚れ直した、イチコロだ。
「あの時も今も関係ない、とっくに俺はお前にやられてるんだから」
(終)
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*ツンデレガールの母
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「ったく…私にも色々都合があるんだから、急に来て呼び出さないでよねー」
とある日の放課後、御坂美琴は喫茶店に呼び出された。
その相手とは。
「ごめんごめんー!美琴ちゃん、今日は当麻くんとデートの予定だった?それだったら悪い事したかなー」
御坂美鈴――美琴の母である。
反省の欠片もない謝罪に美琴は無視を決め込むが、続く言葉に思わず反応してしまう。
「べっ、別に。っつーかアイツとはそんなんじゃ…」
「またまた~。美琴ちゃんったら、照・れ・屋・さんなんだからー」
「ちょっと!最後まで人の話はー」
美琴は反論を試みたが、美鈴はあっさり受け流して、
「それでね、今日ここに来たのは、美琴ちゃんにお願いがあるからなのよー」
* ・ * ・ * ・ * ・ *
「はぁっ?!ちょっ…冗談じゃないわよ!」
と、美琴は顔を赤くして口をパクパクさせながら抗議する。
「いいじゃない、予行演習だと思えば♪」
しれっと美鈴は言ってのける。
「よっ…予行演習?!な、なななな何をさらっとトンでも発言してんのよアンタは!!」
美琴は、パチパチと青白い火花を散らしている。
そんな娘の様子に、美鈴は特に気にもせず続ける。
「そう?何事も経験だと思うのよーそれで…どうかな?」
と美鈴は尋ねつつ、まぁ美琴ちゃんの方は先に話を通しちゃってるけどねと付け加える。
「……………は?」
この追撃に、美琴はあいた口が塞がらない。
(――最初から、私に拒否権は無かったわけね…ならば、)
「あ、私は別に…いいわよ?アイツがしてもいいって言うならね。
っつーか、いつもアンタがお世話になってる友人の頼みだか
何だか知らないけど…大体そんな話安請け合いしてくるなっ!
それとね、私抜きに勝手に話を進めて巻き込むな!…って聞きなさいよー!」
美鈴はどこかに連絡を入れてるらしく、全く聞いてないようだ。
はぁ~と美琴はため息をつく。そりゃまぁ、興味がないわけではない。
けれどそれとこれとは話が別だ。
(…そう簡単にアイツは捕まらないし、この話はこれでお終いよ!)
「じゃあ、あとは当麻くんの了承を得ればオッケーね!」
「ぶっ!!……よ、呼んでるの?!」
美鈴の発言に美琴はテーブルに突っ伏し、先ほど言った事を後悔した。
(うそっ…いつも連絡入れても捕まらないのに、何でこういう時に限って!)
「当たり前じゃないー」
娘の心境を知ってか知らずか、抜かりはないと美鈴はウィンクしてみせた。
――ちりん
「お!来た来た、当麻くんこっちよ~」
手を振って呼んでいるのは、美鈴さん。
その手前の席では美琴がテーブルに突っ伏していて、何やらゴニョゴニョ呟いている。
「……え~と?」
呼び出されたのは自分だけと思っていたのだが、そうではなかったらしい。
しばらく突っ立ったままでいると美鈴さんに、こっちに座りなさいと手招きされ、美琴の隣に上条は座らされた。
* ・ * ・ * ・ * ・ *
開口一番。
「当麻くん、美琴ちゃんとは最近どう?」
美鈴さんからの質問の意味が分からず上条は???と頭に乗せた状態だ。
隣に座る美琴は何やら反応し、耐えられないとでも言うように肩を震わせている。
「はい…?」
上条のイマイチな反応に、美鈴は小首を傾げ、
「ん~~~、ねぇ美琴ちゃん…ちょっといいかな?」
と先ほどから沈黙している娘に声を掛ける。
呼ばれた美琴は顔を上げ、何よ?と言った風に美鈴を睨みつけた。
「当麻くんと何かあった?……喧嘩でもしたの?」
「あのねぇ…最初に言ったわよ、『そんなんじゃない』って!」
だから人の話は最後まで聞けよと美琴は言いたい。
娘の証言から美鈴は何か結論が出たらしく、なるほどねーと呟き。
「美琴ちゃんのアタック不足か~」
「うっ、うるさい!どういう理屈でそうなるのよ!」
顔を真っ赤にして反撃する娘に対し、そうかしら?と美鈴は止めの一撃を繰り出した。
「もっと素直にならなきゃだめよー?」
図星である。
「……………、」
返す言葉もなく、美琴はまたもやテーブルに突っ伏した。
そんな2人のやり取りの中、上条は1人だけ取り残されて傍観者となっていた。
(それにしても、ほんっと仲の良い母娘だなーいや姉妹って感じだなこれは…)
などと1人心の中で突っ込み、よく分からないが自分から話が逸れた事はありがたい。
と安心していたら、美鈴さんと目が合った――今までのは余興、ここからが本題ですよとその目が語っている。
「当麻くんを呼んだのは、これをお願いするためよ」
と、美鈴は話を切り出し、パンフレットを上条に渡す。
「最近、学生結婚が増えてるの知ってる?それで、ちょっと頼まれちゃったのよー」
「へぇ、いや俺そういうの疎いんで…その話と関係が?」
そう、まぁ見れば分かるわと美鈴は言う。
「何すかこれ?学園都市の……えーと、チャペル…ウェディングドレス、ん?モデル?!」
上条は、美鈴さんから渡されたパンフレットをペラペラとめくり…そのめくる手が止まった。
よもやお願いとはこれのことですか?相手は…まさか―――と、隣の未だ突っ伏している美琴に視線を向ける。
「ビンゴ♪」
と上条の動きに気付き、美鈴は満足げに告げて微笑む。
「もちろん、当麻くん…引き受けてくれるわよね?」
上条の手を取り、迫る美鈴。
「はっ?いや…えっ?!」
「引 き 受 け て くれるわよね?」
美鈴さんからの有無を言わさぬ迫力に、思わず頷きそうになる上条であったが、美琴はどうなのだろう?と疑問が沸く。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
上条は疑問を口にする。
「その…俺とじゃイヤなんじゃないんですかね?」
と、上条は美琴の方を見る。
「………(そんなわけないじゃない!)」
娘の様子に美鈴は気付き、上条に続けてと促す。
「俺は別に頼まれたことはやります、けれど…これはもっと相応しい人がいると思います」
絵的にも俺じゃ無理があるし、モデルっていう柄でもないと上条は続ける。
「だから…「そ、そんなことないわよ!」」
突然の美琴の声に、上条の言葉は遮られた。
「み、御坂…?」
「あ、えっと…その……」
続きを言えないでいる娘に、美鈴は助け舟を出す。
「ねえ、当麻くん…私じゃなくて、美琴ちゃんに直接聞いてみるのがいいんじゃないかしら?」
気を利かせたつもりなのか、お手洗い行って来るからーと美鈴は席を外し、上条と美琴は2人っきりにされた。
「「……………」」
意を決して上条は、美琴に話しかける。
「いやさ、お前も色々大変だろうけど、これ…本当に俺でいいのか?」
「そんなことないって言ったわよ!…っつーか何、私とじゃイヤなの?」
何でこんなに踏ん切りが悪いのよアンタは、と恥ずかしさも手伝って美琴は捲くし立てた。
「あ、いや…イヤじゃねえよ、むしろ上条さんは光栄に思うといいますか…」
少々照れながら、上条は正直に答えた。
「えっ…?」
思わぬ言葉に、ポンっと音を立てて美琴の思考は停止した。
「あらあら?これはこれは…ちょっとーいい感じじゃないー」
手洗いに行く振りをして、こっそり2人の様子を影から見守っていた美鈴。
「決まりね!」
とある教会で、とある良く晴れた日曜日、上条と美琴は撮影に臨んでいた。
「当麻くんー!」
呼ばれて、振り向く。
「何ですか、美鈴さん?」
やっぱり男の子の方が準備が早いわねーと言った感じで、じろじろと上条を見つめる美鈴。
「うん、似合ってる、似合ってる、様になってるじゃないー!これは美琴ちゃん、イチコロねー」
「はっ?いや、何言ってるんですか…ハハハ」
似合っていると言われて悪い気はしない、むしろ照れる。
(それにしてもイチコロって…まさかそりゃねぇだろ)
美鈴さんに迎えに行ってあげてと言われて、上条は部屋に向かう間、美琴の事を考えていた。
「おーい、準備はいいか?」
ドアをノックし、返事を待つ。
どうぞーと言う声に、上条は扉を開ける。
「…………っ!」
扉を開けた瞬間、上条は息を呑んだ。
部屋の中心にいる美琴から目を離す事が出来ない。
「…な、何ジロジロ見てるのよ!」
一言も喋らず、惚けた様子の上条。
「…………ねぇ」
美琴はそんな上条からの視線を感じ、もう色々と限界だった。
「黙ってないで、なっ何か言いなさいよ…」
「………綺麗だ」
上条の口から発せられた言葉はありきたりの文句。
「!!」
嬉しい…。
「……あ、ありがと」
頬が熱くなるのを美琴は自覚しながら、ほんのちょっとだけ素直になろうと決めた。
「その、アンタも…か、格好いいわよ」
照れながら、最上級の笑顔で告げる美琴に、
――上条はまんまと一撃でコロリと心を奪われた。
「ねぇ、当麻…覚えてる?」
「ああ、覚えてるよ」
数年前、2人は結婚式のモデルをした。
当時は、恥ずかしいものだったが、今となってはいい思い出だ。
「いやー同じ事を考えてるとは…」
「何言ってんの!どうしたって思い出しちゃうわよ、だって今日は」
今日は、あの時のようなモデルではない。
2人とって新しい旅立ち、本当の結婚式だ。
さぁ行こうかと上条は手を引く、美琴は不意に立ち止まり。
「当麻、あの時と今どっちが綺麗?」
どうなのよ?と聞いてくる。
――扉を開けたとき、その姿を見て綺麗だと思った。また、心を奪われた。
今もそうだ、また惚れ直した、イチコロだ。
「あの時も今も関係ない、とっくに俺はお前にやられてるんだから」
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