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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/8スレ目ログ/8-424 - (2010/04/25 (日) 14:13:28) の最新版との変更点

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#asciiart(){{{ 上条当麻は不幸だった、いつものように。 白いシスターに噛みつかれ、クラスメイトに殴られ、補習で干されるといういつものメニューを消化しきって満身創痍の家路の途中、いつもと違うことが起きた。 不意に後ろから電撃のはじける音がした。振り向き右手をかざそうと思う間もなく、上条の意識は闇に落ちた。 「ここは……?」 何やら遠くで声が聞こえる。誰の声だろう。 「……っと、……た!…っかり……さい!」 ああ、御坂か、何やら必死だな。そうか、電撃が当たったからか。よし、起きて返事を…… そう思った時、上条は自分の体が動かないことに気付いた。目も開けられない。声も出せない。意識もぼんやりとした闇の中だ。 「俺、もしかして死んだ?」 病院に運ばれ、処置されるらしい。顔なじみのあの医者だ。最善は尽くすだろう。 そんな、どこか他人事のように考えている自分に驚きつつ、もう一度上条は闇の中に落ちて行った。 それから、どれくらい時が経っただろう、どうやら助かったらしい。坊さんは訪ねてきてないもんな。 それでも、体は動かず、暗い世界の中、独りでいた。 「独りって、さみしいんだな」 そう漏らしても、誰も聞いてくれるわけでもない。 そんななか、美琴が訪ねてきているときは、唯一、上条が孤独でない時間だった。 彼女が語ることは、学校での出来事、怖い寮監の話、変態ルームメイトの愚痴など、とりとめのないものだった。 それでも、少年の心は救われた。 だが、徐々に美琴の声が弱弱しくなっていった。 そんな美琴の声を聞くのが辛くて、何もできない自分に腹が立った。そして寂しかった。真っ暗な世界に一人取り残されるようで。 今回も、美琴が話を始めた。うれしい反面、辛くもあった。 だが、今回は違った。弱弱しくも思いのこもった言葉だった。 「よく考えてみたら、まだアンタに謝ってなかったわね。本当にゴメン。 これまでは『鈍感なアンタのせいよ』とか何とか言ってごまかしていたけど、それは違うわよね、悪いのは私。 ……ほんとはね、アンタにかまってほしかったの。アンタと一緒にいたかったの。でもアンタを前にすると何を話せばいいかわからなくて。 今考えるとバカな話よね、素直に言えばよかったのに。でも、アンタが断ったらどうしようとか、くだらないこと考えて怖くなって身動きとれなくなってた。 そう、私は……アンタが好きなのよ、どうしようもないくらい。だからさ、だから……早く、目を覚ましてよ……」 上条の胸に熱いものが流れ込んできた。その時、右手に微かな、確かなぬくもりを感じた。 あいつはこんなに正直に向き合ってくれた。こんなに温かい言葉をくれた。あいつの望みをかなえたい。あいつと一緒にいたい。 心の底から願った時、右手のぬくもりが一層強くなった。 独りのさみしさから救ってくれた、そしてこんな自分を好きになってくれた。そんなあいつのいるところへ帰りたい。 そう願った時、上条の意識は暗い世界から飛び出した。 久しぶりに見た明るい世界。見慣れた病室もなんだか新鮮だ。 そしてそんな上条の前には、涙で顔をぐしゃぐしゃにした少女がいた。 必死に伝えようとする彼女は、とても痛々しくて。 「大丈夫、全部聞いてた」 気づいたらこう言っていた。 「俺さ、今まで真っ暗な世界にいる悪夢みたいなもの見てたんだ。いや、夢……じゃないな、外の声とか、ちょっとは聞こえてたし。 そこで俺はずっとひとりきりでさ、寂しかった。 御坂は何回もここにきて俺に話をしてくれたよな。あれ、すっげえ嬉しかったんだぞ。その時間だけは、なんつーか、あったかかった。独りじゃないって思えた。 今さっきだって、お前の声はちゃんと届いてたんだ。だからもういい。ありがとな、美琴」 そう言い終わると、より一層激しく泣きじゃくる美琴を抱き寄せた。腕の中にはさっきより確かで強いぬくもりがあった。 }}} #back(hr,left,text=Back)
*小ネタ 生と死の間で 2 ~当麻~ #asciiart(){{{ 上条当麻は不幸だった、いつものように。 白いシスターに噛みつかれ、クラスメイトに殴られ、補習で干されるといういつものメニューを消化しきって満身創痍の家路の途中、いつもと違うことが起きた。 不意に後ろから電撃のはじける音がした。振り向き右手をかざそうと思う間もなく、上条の意識は闇に落ちた。 「ここは……?」 何やら遠くで声が聞こえる。誰の声だろう。 「……っと、……た!…っかり……さい!」 ああ、御坂か、何やら必死だな。そうか、電撃が当たったからか。よし、起きて返事を…… そう思った時、上条は自分の体が動かないことに気付いた。目も開けられない。声も出せない。意識もぼんやりとした闇の中だ。 「俺、もしかして死んだ?」 病院に運ばれ、処置されるらしい。顔なじみのあの医者だ。最善は尽くすだろう。 そんな、どこか他人事のように考えている自分に驚きつつ、もう一度上条は闇の中に落ちて行った。 それから、どれくらい時が経っただろう、どうやら助かったらしい。坊さんは訪ねてきてないもんな。 それでも、体は動かず、暗い世界の中、独りでいた。 「独りって、さみしいんだな」 そう漏らしても、誰も聞いてくれるわけでもない。 そんななか、美琴が訪ねてきているときは、唯一、上条が孤独でない時間だった。 彼女が語ることは、学校での出来事、怖い寮監の話、変態ルームメイトの愚痴など、とりとめのないものだった。 それでも、少年の心は救われた。 だが、徐々に美琴の声が弱弱しくなっていった。 そんな美琴の声を聞くのが辛くて、何もできない自分に腹が立った。そして寂しかった。真っ暗な世界に一人取り残されるようで。 今回も、美琴が話を始めた。うれしい反面、辛くもあった。 だが、今回は違った。弱弱しくも思いのこもった言葉だった。 「よく考えてみたら、まだアンタに謝ってなかったわね。本当にゴメン。 これまでは『鈍感なアンタのせいよ』とか何とか言ってごまかしていたけど、それは違うわよね、悪いのは私。 ……ほんとはね、アンタにかまってほしかったの。アンタと一緒にいたかったの。でもアンタを前にすると何を話せばいいかわからなくて。 今考えるとバカな話よね、素直に言えばよかったのに。でも、アンタが断ったらどうしようとか、くだらないこと考えて怖くなって身動きとれなくなってた。 そう、私は……アンタが好きなのよ、どうしようもないくらい。だからさ、だから……早く、目を覚ましてよ……」 上条の胸に熱いものが流れ込んできた。その時、右手に微かな、確かなぬくもりを感じた。 あいつはこんなに正直に向き合ってくれた。こんなに温かい言葉をくれた。あいつの望みをかなえたい。あいつと一緒にいたい。 心の底から願った時、右手のぬくもりが一層強くなった。 独りのさみしさから救ってくれた、そしてこんな自分を好きになってくれた。そんなあいつのいるところへ帰りたい。 そう願った時、上条の意識は暗い世界から飛び出した。 久しぶりに見た明るい世界。見慣れた病室もなんだか新鮮だ。 そしてそんな上条の前には、涙で顔をぐしゃぐしゃにした少女がいた。 必死に伝えようとする彼女は、とても痛々しくて。 「大丈夫、全部聞いてた」 気づいたらこう言っていた。 「俺さ、今まで真っ暗な世界にいる悪夢みたいなもの見てたんだ。いや、夢……じゃないな、外の声とか、ちょっとは聞こえてたし。 そこで俺はずっとひとりきりでさ、寂しかった。 御坂は何回もここにきて俺に話をしてくれたよな。あれ、すっげえ嬉しかったんだぞ。その時間だけは、なんつーか、あったかかった。独りじゃないって思えた。 今さっきだって、お前の声はちゃんと届いてたんだ。だからもういい。ありがとな、美琴」 そう言い終わると、より一層激しく泣きじゃくる美琴を抱き寄せた。腕の中にはさっきより確かで強いぬくもりがあった。 }}} #back(hr,left,text=Back)

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