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#navi(上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/side by side)

―あれから一週間― 


「―――で?何となく聞きたいことは予想できるけど、一体何を聞きたいわけ?」
「多分…と言うか、絶対その御坂さんが予想していることで合ってると思います!」
「……はぁ」

 美琴が予想している話の内容、それは言うまでもなく上条についてのこと。
 別に美琴は今までに何度かノロケ話を二人にしていたため、そして、それはこの一年の間一回も話していないため、話すことに関しては特別に嫌と言うわけではない。
 むしろ二人が聞きたがっているのなら、この一年間で心配させ、気をつかわせてしまった分、元気になりましたと言う意味を込めて、望むのであれば話をしてもいいとさえ思っていた。
 ……彼がいない時に。
 これまでと今日で絶対的に違うもの、それは上条がいることだ。
 以前に話した時とかなりの間があいていると言うことももちろんあるが、それは今の場合に関しては些細なこと。
 自分だけの場合ならば、自分のペースで自分の言いたいことだけを話していれば良いのだが、その話の内容には上条に聞かれては困る内容も多少なりとも含まれている。
 だから、いつものペースでいつもの話題ができない。
 このまま上条と離れたまま解放してくれればそれでいいが、この二人に限ってそれはないと言える。
 恐らくこの後は上条と合流してお話をするというイベントが待っているだろう。
 それだけが、気がかりであり、憂鬱。

「あの人、御坂さんの彼氏さんですよね?」

 とても大きな花飾りを頭にのせた少女、初春が、何かを期待しているような、それでいて少し安堵の色も含ませた目で見つめてきた。
 彼女の言葉は疑問形ではあるが、それは質問ではなく、ほぼ確信を持った確認。
 この二人はもう既に、今回のように真っ正面からではないものの、上条の顔を見ているし、彼氏の存在も嫌というほど知っている。
 だからこその言葉であり、かと言って変に隠し立てすることは最早不可能。

「……ええそうよ。ってか、アンタ達も顔は見たことはあるでしょ?別に取り立てて聞くようなことってあるの?」

 そして同時に、今まで美琴は二人には話で彼のことについての話も嫌というほどしてきた。
 それこそ彼の人間性についてはあることないこと、ほぼ全て。
 この期に及んでどんな情報が欲しいというのか。
 それを、美琴は内心不思議に思う。

「それはそうですけど……街中で御坂さんを見かけて、前の御坂さんの雰囲気が戻ってたので、つい…」
「うんうん。御坂さんも水くさいなー、元気になったらなったで教えてくれたらよかったのに」
「え…?……あ」

 そうだった、そういえば、この二人に上条が帰ってきたという連絡、自分はもう大丈夫という連絡をすることを忘れていた。
 一番親しい後輩である黒子には上条が帰ってきたその日の内に会うことができたので話ができたのだが、そのせいか、この二人にも連絡したつもりになっていた。
 あれだけ心配をかけ、本来ならもっと早くに連絡をとるべき相手なのにもかかわらず。

「そ、そっか、連絡まだしてなかったんだっけ……ご、ごめん…」
「あ、いや、別に謝ってほしくて言ったんじゃなくてですね……あーもう!とにかく御坂さんが元気になってよかったって話ですよ!」
「そ、そうですよ御坂さん。別に私達はそんなことは気にしてませんし、御坂さんの元気な姿が見れてよかったと本当に思ってますよ?」
「でも、それでも、ごめん…」

 二人への視線を外し、少し俯く。
 ここは謝るしかないと思ったから。
 例え目の前の二人が気にしていないとは言っても、自分自身がそれを許さない。
 せっかく心配してくれていたのに、その上で元気づけようとしてくれていたのに。
 今心の中にあるのは、二人への申し訳なさと、自分自身への軽い憤り。

「……それじゃあ、御坂さん」
「……?」

 そこへ、花飾りの初春が声をかけてきた。
 外していた視線も、俯いていた顔も、そのせいでまた二人の元へと戻される。

「御坂さんがそこまで思うのなら、私達にお茶を一杯奢ってください。そして彼氏さんと少しお話させてください」
「へ…?」
「おっ、流石初春、それは名案だね!」
「えっ?ちょ、ちょっと…!」

 それは彼とこの二人を前にして話すということ。
 そして初春が提案した案は、自分の中でなんとなくの想定はしていたが、できたら避けたかった展開。
 なのでちょっとした理由、もしくはただ話がしたいというだけでそうしたいとこの二人が言おうものなら、すぐに切って捨てるつもりであった。
 しかし、そこへ行き着くまでの流れは自然で、かつ自分が非常に断りにくい。
 始めからこうすると決めていたことで、自分の退路を塞いだのかと思うくらい。
 さらに、目の前にいる大きな花飾りを身に付け、普段はとてもおとなしそうな顔をしているが、時々この人は同一人物なのかと思うくらい黒い面ももつ彼女なら、有り得るとも思えるからなお怖い。
 不意に、少し離れた場所で自分の帰りを待つ彼を見た。
 いつもはずっとそばにいて欲しいと思う彼でも、今この瞬間だけは多少の憎ささえも覚えた。

「―――やっと戻ってきたか。……って、美琴さん?なんか顔色悪いけど大丈夫か?」

 これからのことを思うと悪いことしか考えられない。
 そんな今後のことを憂いている美琴を迎えてくれたのは、なんでもない、いつも通りの上条の顔。
 彼が発した言葉通り心配したのか、美琴の顔色を伺うように腰を若干低くし、彼は美琴の顔を覗き込んできた。
 いつもの美琴なら、自分を心配してくれていると歓喜していただろうが、今はその動作も素直に喜べない。
 今はとにかくこれからのことで頭がいっぱいいっぱいだから。
 それは美琴の後ろの後輩二人、もしくは目の前の彼女の大好きな人、このうちどちらかがこの場からいなければ万事解決なのだが…
 そんな簡単にこの問題が解決するのなら、こんなにも悩まないだろう。

「なんでもない。……それで、この後のことなんだけど」
「うん?その後ろの友達とはもういいのか?」

 彼は自分の後ろにいる後輩二人を不思議そうな顔をして指を指す。
 何故だかやたらとニヤニヤしながら後ろに控える後ろの二人を。
 以前は頼もしくも思えていた彼女達の笑顔も、上条同様やはり今は憎たらしい。

「……正直、私はもういいんだけどね」
「いや、あたし達はよくないです!」
「そうですよ!御坂さん、もうなしにすることはできませんよ?」
「……はぁ」

 今この場で、先ほど了承してしまったことを撤回できたらどんなに楽だろうか。
 そんなことを考える美琴であったが、それは叶わない。
 後輩二人がそれを許すとも思わないのもそうなのだが、そもそも了承した理由も理由なのだ。
 その理由と美琴の性格から、今更撤回するというのはかなり難しい。

「な、なんだぁ?……じゃあ、今日はもうこの辺で別れるか?その後ろの友達がまだお前と話しがしたいようだし…」
「「いや、ちょっと待ってください」」
「……へ?俺?」

 話を終わらせようとしてさっさと退散しようとする上条を、二人は声を重ねて引き止め、腕を掴んで用があるのは彼だと主張する。
 そのあまりの突然のことに、上条は少々間抜けな声を小さく漏らした。
 まさか、この二人の目的が友達である美琴ではなく、自分自身であるというのは、様々なことに鈍感な彼は思いもしていなかったから。

「さっき私は最後まで言ってなかったでしょうが……いつものことだけど、アンタは人の話を最後まで聞きなさい」
「はい……それで、これからどうするんでせうか?先ほどの続きをどうぞ」
「その言い方、えらく久しぶりに聞いたわね。……まぁそれはいいとして、これからこの子達と一緒にちょっとお茶しない?」
「……はぃ?なんでまた急にそんなことを?……というか、いつもは俺がお前以外の女の子と話をするだけで怒るくせに…」
「わぁーー!!この子達の前で余計な事言わないでいい!」

 上条と、彼の腕を掴む二人の横をズバッと顔を真っ赤に染めた美琴が割って入り、上条の話を強引に遮ろうとする。
 先輩で、慕ってくれている後輩に自分がそんな馬鹿なことをしていると知られたくなかったから。
 しかし、上条の腕を掴んでいた二人が彼の話を聞き逃すはずもない。
 二人はそれを聞いてともに顔を見合わせ、よりわざとらしい口調で、

「……初春、今の話ちゃんと聞いた?」
「もちろんですよ。御坂さんって、見かけによらず独占欲強いんですねー」
「うぐっ…」

 見かけ上はとても明るく、純真無垢な笑顔で初春はそう呟いた。
 無論、呟いたと言っても声量はちゃんと美琴に聞こえるような大きさで。
 彼女は度々こういった顔で、人の核心を突いたことを口走るため、怖い。
 しかも見かけ上は本当にお世辞抜きに可愛く、純粋な笑顔を見せる分、余計に。

「二人を前にして早速御坂さんの知らない一面が発覚……これはかなり期待できますね、佐天さん」
「だよね。思わず上条さんへの質問に熱が入っちゃうよ!」
「お願い、質問しないでとは言えないけど、二人ともほどほどに…」

 だが、そこで美琴は一旦言葉を切った。
 お願いをしようとしている二人から、無言の強烈な視線を感じたからだ。
 それも、二人そろって極上の笑顔で。
 そんな二人のその視線と笑顔は、明らかにある一つのことを示唆していた。
 少なくとも美琴にはそう感じとった。

(……『そんなこと無理に決まってます♪』って感じ?……はぁ、もう帰りたい…)

 この二人はこういった色恋沙汰には目がない。
 それは憧れや羨望からきてるのか、あるいは単に普段はからかえない美琴をからかえるからなのかはわからない。
 その理由はわからないが、決まって首を突っ込んでくる。
 それもかなり深いところまで。
 だが、わからないことはあっても、一つだけ確実にわかることはある。
 それは…

(この後、私はとんでもない目に遭うのね…)

 色恋沙汰の絡んだ時、二人の、特に初春の追求力は半端じゃない。
 いつもは風紀委員として、彼女は情報収集、処理、整理などの分野でその実力を遺憾なく発揮しているが、それをこなす執念と根性を彼女はこの関係のことについても発揮してくるためだ。
 そのため、二人の性格とこれが合わさることで、このあとに起こるであろうことは容易に想像できる。
 なんで今、なんで今日、なんで彼といる時に…
 様々な感情が美琴の中を渦巻くが、もう遅い。
 この二人の後輩に街中であった時点で、既に歯車は動き始めていたのだ。
 これを回避するには、よほどのイレギュラー因子が割り込んでこなければ成し得ない。
 こんな時こそ上条の不幸をとも思ったが、こういったものは望んだ時にはやってこないもの。
 辺りを見回せど、何ら変わった様子は見られない。
 その辺の店が爆発したり、何やら事件が起きそうな雰囲気は全くない。

「……はぁぁぁ」
「何をそんな大きなため息をついてるんでか?行きますよ?」

 美琴はひとしきり大きなため息をついたが、それを初春に軽くあしらわれる。
 最早、抵抗は不可能。
 美琴は、近くにあるファミレスへと連れていかれた。




 同日16時、とあるファミレス

「いやー、ここ全部奢りだなんてすいませんね御坂さん。でも、いくらなんでもちょっとは控えた方がいいんでしょうか?例えばこんなパフェでも…」
「……いいわよ、別に。なんも遠慮しなくて」
「いいんですか!?なら遠慮なく……すいませーん!」
「もう、佐天さんいくら奢りでも少しくらい遠慮した方がいいですよ?」
「はぁ…」

 佐天の隣に座る初春の少々の叱咤を無視して、佐天は元気よく大きな声で近くにいた店員を呼び、それに対して、二人の対面に座る美琴はまた一つ小さくため息。
 佐天の反応を見るに、始めから美琴が断らないとふんでの行動だろう。
 美琴の了承を得ると、何の迷いもなくすぐさま店員を呼び出し、行動に移したからだ。
 一方美琴の方も、ため息の理由は確かに彼女のその反応に呆れも少なからずあるのだが、大半はこれからのことを憂いていたため。
 一刻も早くこの場から逃げ出すための策も幾つか練ってみるが、どれもこれもあまり有効打にはなり得ない。
 だから悩んでいた。

「え、奢り?ここの代金全部お前持ちなのか?」
「……そう聞こえなかった?」
「いや、そう聞こえたけどよ。なんでまたそんな気前のいいことを?」
「……き、気分よ、気分!いいでしょたまには!」
「ふーん…?じゃあ俺も軽く何か頼むかな」

 美琴の隣に座る上条は、それを聞いて若干不思議そうな表情を見せつつ、視線をメニューへとおとす。
 気分、などと言ってはいるが、実際はこの二人に連絡をするのを忘れていて、それの罪悪感と成り行きでそうなった。
 こういう経緯があったためここの代金を全て持つことになったわけなのだが、それについては美琴は敢えて言わなかった。
 なんとなく、ちゃんと話すには話し辛い理由だと思ったからだ。

「……ところで、上条さん」
「んー?なんでしょう?」

 メニューに目を通し、何を頼むかと思案している上条に、何を頼むか決めたのか、急に顔を上げた初春が突然話をふる。

「御坂さんのどこに惹かれたんですか?」
「「「ぶっ!!」」」

 初春の突然の質問に、上条と美琴、さらには話を初春の隣で聞いていた佐天までもがたまらずふき出す。
 美琴も佐天も、どんなことを聞くにしても、いきなり、しかも何の前振りもなく突然そこを聞くとは思っていなかったためだ。
 上条に関しては言うまでもなく、今日初めて知り合ったような相手にそんなことを突然聞かれるとは思っていなかったため。

「な、なな何を…!」
「う、初春いきなり攻めるねぇ…」

「そうですか?」

 いきなりの展開にテンパる上条に対して、初春はいたってとても冷静だった。
 しかしもちろん内心はそんな訳もなく、冷めた外見とは対称に心中は興奮していた。
 今までで美琴が話さなかったこと、聞きだしたかったができなかったことをまとめて聞ける滅多にない機会、さらに久々に美琴をいじれる機会のため。

「………」

 そして美琴は美琴で初春が尋ねた質問には興味があった。
 今まで何度か『好き』や『愛してる』などの感情を伝える言葉は言ってはいるが、何故好きなのか、何が好きなのかなどのことは美琴も聞いたことがなかったからだ。
 なので、後輩である佐天と初春とはまた違ったベクトルで、美琴もこの質問には興味がを持ち、上条の答えに耳を傾ける。

「ど、どこを好きになったかって……ってか、そもそもなんで俺とこいつの関係を…!」
「御坂さんに聞いたからです。あと街中でのお二人を見てればイヤでもわかります。」
「……あぁ、そうですか…」

 初春の回答に、上条はゆっくりとその視線を美琴へと移した。
 当然ながら、上条は誰にも恋人関連のことは言ってはいない。
 それが一番上条のためにも、彼女のためにもなるため。

 もし口外してしまえば、上条の場合、それを聞きつけたクラスメートやら友人やら彼女に好意を抱いていた者達などに襲撃されかねない。
 実際問題、上条は今日彼女の存在が知れた途端にえらい目にあった。
 そして美琴の場合、無能力者と付き合っていると知られるのは、それを聞いた者にあまり良い印象を与えないだろう。
 超能力者で、元常盤台のお嬢様で、しかも容姿もかなりかわいいと言える美琴と、無能力者の上条は明らかに釣り合わないと。
 だから上条は黙っていたし、美琴も性格的に率先して言わないだろうとは思っていた。
 それが…

「こ、この子達がどうしてもって言うから仕方なく……そ、それに、誰にも言うなとも言ってなかったじゃない!」
「………はぁ、不幸だ」

 思わず上条の口から本日何度目かの、大きなため息がこぼれた。

「……えっと、それで上条さん?」
「あぁはいはい……ん?でもこれって別に無理して言わないとダメってことは無いよな?そこまで強制される言われもねぇし…」
「「ダメ(です)!言って(ください)!!」」
「はぁ!?」

 質問した初春のみならず、美琴までもが上条が言わないという意見を即座に却下する。
 これは目的は違うが、この場にいる全員がその答えを欲している。
 初春と佐天は単にからかうため、美琴は自分のどこに惹かれたのか興味があったため。

「……俺が、美琴をどこで好きになったか…」

 そう呟いて、上条は言葉を一度切る。
 本当に今日知り合ったばかりの子二人を相手に、こんなことを言うのかと、少し迷った。
 こんなことを他人に言うなど、上条には経験がないし、例えそうでなくとも普通に恥ずかしい。
 しかも互いに気心の知れた仲の者ならまだしも、相手は今日知り合ったばかりの美琴の友人。
 彼女達がどういう人間で、本当に信用できるのかもわからない相手。
 信用という点に関しては、美琴の友人というくらいなので大丈夫だろうが、それだけでは問題の全ては解決しない。

「俺は…」

 それでも上条は言おうと思った。
 我を通せば言わないということももちろんできただろう。
 だがそれは敢えてしない、してはいけないと彼は感じた。

「俺は、単にこいつを外見で好きになったわけじゃない。勿論全くないかと聞かれればそれは嘘になるけど、それの比重は絶対小さい。だから、俺が本当に惹かれたとこは別にあってだな…」

 そこで上条が再度言葉を切り、照れがあってかポリポリと頬をかくと、他の三人はゴクリと息をのむ。

「初めの辺りは何かにつけてケンカばかりふっかけてきて、電撃いきなり浴びせてくるわ、追っかけてきたりで変な奴だと思ったよ。……けどな、詳しくは流石に言えないけど、こいつがちょっと厄介な事件に巻き込まれたのがきっかけで、この時点では恋愛的なものじゃなものじゃないけど、気になりだしたんだよ」

 上条が詳細は言えないという言うところの厄介な事件とは、言うまでもなく妹達と一方通行の事件。
 美琴は上条がそれを口にすると、それまでに上条が言っていた変な奴ということに対して少し高ぶっていた気持ちが少しだけ落ち込み、若干表情を曇らせる。
 当然、佐天や初春はそれがなんなのか、詳細は全く知らない。

「それからかな、こいつの色んなとこを知るようになってさ。……多分知ってると思うけど、こいつってほら、優しいだろ?それを知ったのはその時。それまではこいつがやたらと好戦的過ぎて知らなかったんだ。それから、能力とかすごくてとんでもなく強いやつかと思えば、案外泣き虫なやつってことも、超能力者とか言っても根っこはただの年相応の女の子ってことも知った」

 美琴はこれを聞いている間、一瞬怒ったかと思えば、顔を赤くするなどの繰り返し。

 そして佐天や初春に関しては、美琴がやたらと好戦的だった、案外泣き虫、根っこは女の子、などの様々なワードを余すとこなく聞いていた。

「そうして、二年前の秋くらいからで特にこいつの色んなとこ知って、魅力も長所もわかって、気がつけば、始めとは別の意味で気になってた。きっと、こいつと一緒にいれたら楽しいんだろうなって。……まぁ、情けないことにはっきり好きって自覚したのは告白されてからだよ。だからぶっちゃけた話、俺がこいつのどこに惹かれたってのはない。悪いとこも良いとこも全部ひっくるめて御坂美琴っていう一人の人間に惹かれた、こいつの全部が好き、そんなところかな」

 上条が全てを言い終えると、美琴は完全に顔を真っ赤にして俯き、佐天と初春は少し呆然としていて言葉を失っていた。
 対して、上条は上条で反応があまりにないことで、逆に気恥ずかしい気持ちになる。
 今は時間が時間のため、店内には客はほとんどはいっておらず、そして少なくとも上条達の席の周りには誰も座っていない。
 そのため周りからの音は全くなく、店内にかかるBGMくらいのものである。
 その周りの静けさと二人の沈黙が相まって、上条の気恥ずかしさに拍車をかけているのかもしれない。
 そのため上条は、視線を前に座る二人から外し、外の方へと移す。

「……み、御坂さんって、上条さんにとっても愛されてるんですね!とても、とっっても羨ましいです!」

 その辺りに展開されていた妙な沈黙を一番始めに破ったのは、質問をしてきた初春。
 今まで呆けていて静かだったのが一変。
 目をキラキラと輝かせ、興奮からか、対面に座る美琴に対して前のめりの姿勢をとり、声を荒げて美琴に食いついた。

「え…?えぇ!?」
「そうですよ御坂さん!あーあ、あたしにもこんなこと言ってくれる彼氏さんが欲しいなぁ~」
「うんうん、こんなこと言ってくれる人なんてそうそういないですよ!」
「え、で、でも、えと……じゃぁ、アンタ達も頑張ってそんな人を見つけなさぃ…」
「……自分で言うのもなんだが、そこまで立派な人間じゃないぞ、俺は…」

 今は恥ずかしさが勝っているためか、美琴は戸惑い、声量も隣に座る上条がようやく聞こえるほど。
 だが小声ながらも、確かに美琴はそう言った。
 だが二人の少女はこれを聞き逃してはいなかった。

「「はい、頑張ります!」」

 その二人の新たな決意表明の言葉は、客のはいっていない閑散としたファミレスに大きく響いた。

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