「上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/1スレ目ログ/1-892」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/1スレ目ログ/1-892」を以下のとおり復元します。
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冬が近い日、曇り空の下をツンツン頭の少年がぼーっと道を歩いていた。
彼に陰りが見えるのは日があたっていないだけではない。

理由は禁書目録と呼ばれていた少女のことだ。
彼女はもう日本にいない。
ロシアでの決戦の際、上条の手により今度こそ本当にヨハネのペンは砕かれたが、
そのとき、彼女は魔術によって失われていた昔の記憶を取り戻した。
そして変わりにこの1年の記憶を失っていた。
もちろん上条のことも覚えていなかった。
上条はインデックスに向かって出来る限りの笑みを浮かべ、別れを告げると
逃げるように日本に帰ってきた。

その上条を後ろから呼ぶ。
「ちょっと!アンタ!最近一体何してたのよ!」
名門、常盤台の冬服を着た少女、御坂美琴は
そのツンツン頭に向かって背後から声をかけた。
だが、少年は答えない。
いつもの通りの無視かと思い、電撃を放つ準備を始める。
が、そこで気づく。少年は本当に上の空だった。

少し考えてから美琴は少年の前に立ちふさがるように移動した。
そこで少年はやっと美琴に気づいたようだった。
「ああ、御坂か、どうした?」
どことなく元気のない声でツンツン頭の少年、上条当麻は彼女に声をかけた。
元気のない上条を見たことがあまりない美琴は少したじろいだ、がすぐに気を取り直し声をかけた。
「アンタ最近見なかったけど、どこで何してたの?この間ロンドンとか言ってたけど」
腕を組み、少しふてくされたような顔をして聞いた。顔は少しだけ赤い気がした。
しかし、上条は元気のない声で答えただけだった。
「ああ、ロンドンの後野暮用でロシアに行ってな…昨日帰ってきたところなんだ。」
あまりに突拍子のない話に美琴はさすがに驚いた。
「あんたそんなところに何しに行ったの?」
「いやちょっとインデックスの里帰りを手伝っただけだよ……」
顔は笑っていたが、さびしげな表情で上条は答えた。
本当に何か、大事なものを失ったような顔だった。

その顔を見て御坂美琴はうつむいて肩を震わした。
寒さに耐えるのに似たような形で。
自分にとって上条の近くは陽だまりのような暖かさがあった。
しかし今は、とても寒い。
自分よりも彼のそばに人がいたことがとても寒い。
きっと彼女のいた陽だまりに自分は入れないのだろう。
その思いが唐突に美琴自身にも思ってもいなかった言葉を吐き出させた。

「私は彼女の代わりにはなれないの?」

自分で言って驚いてしまった。きっと顔上げれば上条も驚いた顔をしているだろう。
そして自分の浅ましさに後悔する。
自分の場所がなかったから、人がいなくなった場所を奪い取ろうなんて。

「あいつの代わりはいない。」

予想通りの答えが返ってくる。後悔で瞳が潤む。下を向いていてよかった。泣き顔は見られない。

その後、御坂の頭がなでられる。
「そして、俺にとってお前の代わりもいないんだよ。だから代わりなんていわないでくれ」
御坂の動きが止まる。
「インデックスは泣かせたくない女の子だった。いなくなって寂しいよ。でもお前は俺にとって大切な女の子なんだ」
ゆっくりと、やさしく美琴の頭をなでながら上条はつづける。
「代わりってことは、今のお前はいなくなるってことだろ?俺の近くから御坂美琴がいなくなる。そんなこと、俺は絶対にごめんだ。」
顔をゆっくりと上げると上条の顔が見えた。彼は微笑んでいた。今度は彼女の知っている顔で。
美琴の目が再び潤む。後悔ではなく、喜びで。
肩が震える。寒さではなく心の温かさで。
自分の場所はちゃんとあった。

「?どうかしたか?震えてるぞ?寒いのか?」
心配そうな声がかかる。ほんとにこいつは鈍感だ。私の前で別の女のことをしゃべるくらいだから当然か。
そんなやつには意地悪してやりたくなる。
美琴は意地悪な笑顔をつくりこういった。
「うん。寒いからちょっと抱きしめてよ。」
上条がぶふぉっ噴出す。
「えっと!?御坂さん!?唐突に何をおっしゃってますのか上条さんにはわかりかねます!」
ちょっとあとずさりする上条。顔を上げる美琴。
美琴はまだ潤んでいる瞳で上条を上目遣いで見つめる。
(ちょっ!なんかその顔反則なんですけど!)
上条が心の中で取り乱す。
全力疾走した時よりも心臓の鼓動が早い。
(ま、まつんだ上条当麻!相手は中学生!中学生に手を出したすごい人になるつもりですか!?俺に負けるな上条さん!)
美琴がゆっくりとこちらへ歩いてくる。
目は潤んでるのにちょっと意地悪な笑みを浮かべてゆっくりと近づく。
上条は負けた。美琴を抱きしめる。

雲が切れて陽だまりが出来る。
二人は確かに同じ陽だまりの中にいた。


後日談

「そういえばアンタ一端覧祭でなにかやるの?」
美琴のその問いかけに上条はまえに自販機に二千円を飲み込まれたときと同じような首の動作をした
「なに?その動きは。ちゃっちゃと答えなさいよ!」
放電を開始する美琴に向かって上条はぼそっとつぶやいた
「……執事喫茶……そして私めは執事の役です……」
とある学校のとある出し物で波乱が起こる?
とある学園の執事喫茶!

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