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#navi(上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/memories)

 あのビルから戻ってきた上条当麻は取っていたホテルに戻っていた。
 フロントに預けていた鍵をもらい、部屋に入ると疲れが一気に体を襲った。様々なことがあったと思うが目覚めて二日では、あったではなくありすぎたと、多かった出来事を整理する時間が欲しかった。
「美琴、結局いなかったな」
 あのビルに行ったのはいいものの、美琴はいなかった。その代わり、得なくてもいいものを得すぎたような気がしてならなかった。だがそれも上条当麻のものだと言われ……初めは動揺はしたが今は納得はいった。
 俺ってものわかりがいいな、と思いながら、眠りを欲した身体をベットに倒した時だった。

「にゃー、大変だったようだにゃー、カミやん」

 初めて聞いた男の声に誰だと思うよりも先に、なんでこの部屋にいると自分の危機を感じ、跳ね起きて声の方に構えた。そんな上条に何を思ったのか、男はニヤリと笑って、何もしないぜいと手を上げた。
「久々にあったと思ったら、敵だと勘違いするとは、友人として悲しいぜよ。ま、ねーちんと会ったあとじゃ、刺激が強すぎたかにゃー?」
「友人……お前が?」
 短い金髪をツンツンに尖らせ、青のグラサンかけ、おかしな口調で話す男。外見はともかくよく見ると学ランを着ているため、男ではなく少年と訂正した方がいい。その少年は自分のことを上条の友人といった。
 上条は少しだけ警戒を解くと、誰だお前と少年に聞いた。
「土御門元春。カミやんのクラスメイトけんお隣さんにゃー。んで、面倒だから説明すると、さっきあった神裂火織と同じ魔術師ぜよ」
「?! 魔術師?!」
 また魔術師かよ、と上条はため息をつくと今度こそ警戒を解いた。神裂火織という名前が、上条を安心させたのだ。上条はベットに腰をかけ、向かい側のベットに座っている土御門を見た。
「それにしてもカミやん。この部屋で常盤台の『超電磁砲』と寝るつもりだったのかにゃー? おうおう、記憶を失ったからってついにロリコンに目覚めたのかぜよ?」
「んなわけあるかぁー!! 大体、ベットが二つあるのは偶然で、部屋は二人とも違う」
「ホント、鈍感なのは変わらんにぜい。カミやんはやっぱりカミやんにゃー」
「褒められている気がしねぇし、嫌味しか聞こえねぇよ。はぁー、それで。お隣さんが俺の部屋に侵入して何の用だ?」

 釣れないねと、土御門は残念そうにため息をつくが、初対面の相手がこんな友人であったことのほうが残念だと上条はため息をつきたい。土御門は、窓側にあった一人がけ用のソファーに座り、上条を見たと思ったら、携帯電話を取り出した。
「一つは、カミやんが復活したって言うから見に来ただけぜい。それでもう一つは、これ」
「その携帯電話が何だって言うんだ?」
「まぁ見てなよ、カミやん。そろそろねーちんから連絡が来る頃だにゃー」
 土御門は軽口ながらも、読めない表情で話を区切った。するとに噂をすればと土御門の携帯が音を鳴らした。
「ねーちん、無事に終わったみたいだにゃー。…………そうだ、カミやんと一緒だ。…………ああ………ああ。わかったぜよ」
 土御門はそこで話を切ると、上条に向かって携帯を投げた。咄嗟に取った携帯を落しそうになったが、なんとかおとさず、上条は土御門から渡された携帯で相手と話した。
「神裂火織、か?」
『はい、神裂です。またすぐに会えるとは思いませんでしたが』
 同感だと言って、上条は土御門を盗み見ると、面白そうにこちらを見ていた、一体何が面白いのか、上条には理解できなかったが、今はとりあえず無視しておいた。
「それで、俺に何のようだ?」
『まずは…謝らせていただきます。時間稼ぎとはいえ、ご友人と戦うことになってしまったことを』
「………でも、仕方なかったんだろ。"その日"になったら俺が謝るから気にするな、神裂」
 はいと弱い返事が聞こえた。少なくとも"この件"は神裂ではなく自分に非がある。上条は、胸に手をやり痛みを堪えながら話を続けた。
「それで、二人は?」
『はい。そのことで土御門と代わってもらいました』
 そういうと神裂はことの経緯を説明し始めた。

 十時半をすぎ、外は朝から昼へと移り変わる準備を進めていた。
 とある一室で、御坂美琴は目を覚ました。
「えっと……あれ? なんでここに?」
 美琴は寝起きの身体を起こしてあたりを見渡すと、見覚えのある部屋だったことに気づいた。
 上条と一緒に取ったホテルの一室。西洋の香りが漂うベットと小さめの窓。その横には一人用のソファーが二つと間に机が一つ。そこに一人見慣れた人影が一つ。
「起きたみたいだな、御坂」
「……あれ? なんでアンタがいるのさ」
 ソファーに座っていた上条当麻は、目を覚ました美琴を笑顔で迎えた。その顔に一瞬だけドキッとしたが、すぐさま自分は何がどうなっているかわからない現状の方に戸惑っていた。
 美琴はとりあえずベットからおきると、もう片方のベットで寝ている人影の存在に気づき、顔を覗いてみた。
「黒子? ちょっと、どういうことなの?」
 美琴と白井はベットで寝かされていた。そして、上条もこの部屋にいた。
 美琴はことの現状が理解できず、上条に問いかけた。それもそうだよなと、美琴の疑問を察した上条はソファーに座りながらよくわからないと言いたげな美琴に話し始めた。
「お前と白井…だっけ? 倒れてるって俺の友人から聞いたから、お前の部屋に運ばせてもらったんだよ。病院を考えたけど、怪我はないって言うから、とりあえずここに寝てたというわけだ」
「………………ねぇ一ついい?」
 さりげなくことを話しているようだが、自分の記憶と上条の話がおかしいことを、美琴は見逃さなかった。
 自分たちはあの"神裂"という女魔術師と戦って負けたはず。だというのに、倒れていたと言う連絡を受けてここまでつれてきた? それはあの神裂と何が関係があるのではと美琴は思ったのだ。だから、もしそれが本当であれば……。
「アンタに連絡をしてきたって相手は、誰?」
「誰って、お隣の土御門だけど…」
「土御門……」
 土御門元春、美琴が実際に会ったことはないが、妹の舞夏とは友人であったため名前や噂は聞いたことがある。だが美琴が知っている土御門は表の姿のみ。裏の姿は今の美琴は知らない。
 しかし、ここにも疑問を感じた。ただのお隣が、上条の友人である(だろう)土御門が上条を見つけ、私たちのことを連絡したと言うことはどういう意味なのか。
「なんで土御門に会ったの?」
 土御門元春のことは良く知らない。だが上条が夜に負けてしまった自分たちを知っていることも不自然だし、その土御門が連絡先も知らない上条のことを知っているなんて、おかしなこと。もし話が矛盾したり疑問を思わせるものを感じたら、それはきっと……上条は魔術に精通したと言うことだ。
 美琴はそれが嘘であって欲しいと思いながら、それを聞いた。対して上条は、さも当然のような口ぶりで答えた。
「そのあたりは上条さんの不幸なのか、なんなのか知りませんがね。御坂の隣の部屋、土御門が泊まってた部屋なんだよ」
「へ……?」
「だから、あいつら二人が泊まってた部屋なんだよ。なんの理由かは、聞いたけど言えねぇけど」
 上条はその友人に忌々しそうな思いを抱きながら、答えた。美琴はその答えには半分納得したが、半分疑問だった。
「ちょっと、どういうことよ? 土御門って家があるんじゃないの?」
「あ、そっか。御坂は知らねぇんだよな」
 上条はソファーから立つと近くにあった小さめのカバンから一枚の紙を出した。そして、それを美琴に手渡しした。

「…………温泉旅行?」
 もらったのは今から数日ほど古い時期のチラシ。中身は学園都市近くにある二泊三日の温泉旅行のチラシだった。
「二人でそれに言ったんだとよ。でも帰る途中で、緊急警報が鳴っちまって仕方ないからここに泊まったんだとよ。そんなにおかしかったら、隣に言ってみればいいんじゃねえか? 良く知らないけど、お前の知り合いみたいなやつに舞夏ってやつがいたぞ」
 俺の知り合いでもあったらしいな、と上条は付け加えると美琴のベットの脇に腰をかけた。
 何も疑問を感じない言葉、上条の話におかしな部分はない。美琴は、疲れておかしくなっちゃったのかなと自分の疑問への執着にため息をつきたくなった。
「そうだ。ついでだから、着替えでも借りればどうだ? 何があったかは知らないが、そんなドロドロの制服で外になんか出れねえんじゃないか?」
「制服…? あ」
 自分の制服を見てみると、意外とドロドロに汚れているのが良くわかった。考えてみれば地下鉄を全力で走りぬけたり、ボロボロになったビルを走り抜けたりしたのだ。そんな場所にいて走っていたのだから、自然と制服に汚れがついてしまうのは自然なことだ。
 さらに走り続けていたので、体中がべたついて気持ち悪かった。同時にシャワーも浴びないとなと美琴は思うと、それじゃあそうしてみるわと美琴は相槌を打った。
「それじゃあ俺も朝飯がまだだし、一旦自分の部屋に戻る。あと、これがここの鍵だ。フロントの人に無理やり頼んでもらっちまったけど、あの時は緊急だったから電撃は勘弁な」
「アンタね、こんな状況だったのに怒ると思ったの? それと電撃はあとにとっておくわ」
「なんであとにとっておくのでせうか、御坂さん。せっかく付き添ったのに、不幸だ」
「え……?」
 付き添ったと言われ、美琴は頬を染めてあることを考えた。いや考えて当然のことを考えた。
「えっと……だったら、ずっと見ていてくれたの?」
「さすがに夜は寝たけど、朝飯を買ってからずっといたぜ。一時間前までは舞夏もいたんだが、飯食いに行っちまったから、多分三時間ぐらいここにいたんじゃないか?」
「三時間!!?? アンタ、その間この部屋でずっと見ててくれたの?」
 上条は、まあなと照れながら答えた。
 だが真実は、土御門舞夏に押されて、朝早くからここに缶詰状態だった。本当はそれを言おうとしたんだが、舞夏曰くずっと一緒にいた事実だけを言えばみさかには十分だぞー、らしい。上条はその意味を良く理解していなかったが、とりあえずそういわれたのでそうしたのだが、美琴はそんなことも知らず、嬉しそうに笑った。
「そっか………ありがとう」
 上条はへいへいとぞんざいに答えると、腰を上げた。
「あれ、どこ行くの?」
「自分の部屋に戻るんだよ。お前だけならまだしも白井と一緒にいちゃ都合が良くねえし、女の子二人の部屋に年上の男が一人ってのは考えてみればダメだろ」
 そういうと上条はさくさくと歩いてドアノブをまわした。そして出る直前、上条は振り返らずに言った。
「とりあえず、無事で安心したぜ。"美琴"」
 言い終わったのと同時に、上条はドアを閉めた。後に残された美琴がその言葉を理解するのに、一分ぐらいかかった。
「…………ばか当麻」
 今はいない彼氏に照れ隠しで言った言葉は、どこか暖かかった。

 ドアを閉めた上条は、そのまま隣にあった自分の部屋の鍵を開けて、ドアを閉めた。
 そして、閉め終わり誰もいないことを確認すると、叫び声をあげながらベットに倒れた。
「ああああー!!! お前の理性は鉄壁だと証明された!! よく耐え切った、上条当麻!!」
 自画自賛しながら、上条は耐え切った開放感を感じていた。
 実のことを言うと、上条はあの部屋に三時間もいることは拷問以外の何者でもなく、自分の理性との戦いだったのだ。美琴が起きた時、安心のあまり一瞬だけ理性が吹き飛びそうになったが、なんとか自分の鉄壁に理性が最後の最後まで崩壊することなく、戦士として戦った上条は自分の部屋という場所に生還した。そして、生還した戦士はぐったりと昨日一日以上の体力を消費した気分になっていた。
「土御門の妹のやつ、俺がこんな苦労をかけることを知っていて言いやがったんじゃねえだろうな」
 上条は今この部屋にはいない舞夏に、恨むような言葉を言った。だが断らなかった上条も上条であったが、それは恥ずかしいので考えないことにした。
「………それにしても、あいつ」
 上条は美琴のボロボロだった服を思い出した。そして、服のことを思い出したのと同時にやるべきことも思い出し、携帯電話を取り出した。慣れきっているとは言いがたいボタンを押して、その人物に電話をかけると3コール目でその相手は出た。
『はい、神裂です』
「あ、神裂か。俺だ、上条だ」
『上条当麻…ですか。ということは、彼女たちは起きたのですね』
 ああ、と上条は頷くと寝転がっていたベットから起きて脇に腰をかけて話を続けた。
「怪我もなかったし、意識とかも問題ない」
『そうですか。それを聞いて、安心しました』
 電話の奥の神裂は、ふぅと安心したような息を吐いた。どうやら彼女なりにもとても心配していたようだ。
「まだ美琴しか意識を取り戻してないけど、あの調子じゃ白井もそろそろに目を覚ますんじゃないか。そこまで強いものじゃなかったんだろ?」
『はい。威力は弱めに設定していました。ですが彼女たちの疲労が激しかったこともあったので、この時間に目を覚ましたのでしょう』
「なるほど。意識を失うって言っても、それと疲労は別問題だからな」
『ええ。私たちが追っていた魔術師は、体力には自信がありましたから、彼女たちはそれに付き合わされて自分が想像している以上に疲れていたのでしょう』
 そっかと上条は頷いた。そして、美琴たちの服が汚れていたことにも納得がいった。
「だけど、結局は神裂が捕まえたってわけか」
『はい。ですが、あなたの友人である彼女たちを利用させたような結果になったことは、謝罪させてください。本当に申し訳ありません』

 神裂は電話越しから頭を下げているような気がした。本当は目の前で謝りたかったのだろうけど、神裂は二人の前に姿を現せられない。だが神裂なりにも神裂の決着をつけたかったのだろう。
「俺に言うのもおかしな話だけど、仕方ないか。まあ、とりあえず了解した」
『ありがとうございます、上条当麻。それと、私から一つあるんですが』
「ん? なんだ神裂」
『わかっていると思いますが、今回の件は内密にしてください。今回の件で私はしばらく、表に出ることが難しくなりました。今ステイルと土御門がそのことで手を回していますが、それまでの間は私も指名手配犯です。ですので、次に私が顔を出すまで静かにしていてくれませんか?』
 これは神裂個人のではなく、魔術師として頼みだった。
 上条は学園都市と魔術師のことは土御門から少しは聞いている。なので、神裂の言うことは正しいしこれはお互いのためだ。上条はわかったと頷き、魔術師としての頼みを受け入れた。
『ありがとうございます。助かります』
「いいって。一応、知り合い同士だし、昨日は美琴たちと鉢合わせになるのを防いでくれたじゃないか。それと比べたら、安いもんだよ」
『はい。ですけど、ありがとうございます』
 外見はともかく、中身は礼儀正しい。いや正しすぎるな、と神裂の印象を変えたときだった。
 トントンと控えめなノックの音が聞こえた。
「悪い神裂。誰か来たみたいだ」
『わかりました。では上条当麻、今回はこれで。また後日』
 そういうと神裂の方から電話を切った。
 さてと、と上条は隠れ話の緊張を切らし、だるそうに美琴かと思いながら、ドアの鍵を開けた。
 そして、そこにいたのは御坂美琴………なのだが。
「………………………………………ワーイ?」
 何故か頬を赤くして俯いていた。だがしかし問題はそこではなかった。
「………あのー……これは、一体………」
「つ、つちみかどが……これしか……ない、からって」
 土御門舞夏。そういえばと上条は決定的なことを思い出した。
(あいつ……メイド服着てたな…………でも、これは…!)
 そう、メイド服しか持っていない。つまり、美琴が着替えを貸してくれと頼んだ土御門が持っている服は一つにしか限定されない。
「……………………………………」
「そ、そんなに見てないで何か言ってよーー!!!」
 御坂美琴、土御門舞夏と同じ制服、つまりメイド服の御坂美琴が涙目になりながら、上条の前にいたのだった。

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#navi(上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/memories)

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