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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/素直になったら/Part03 - (2010/05/30 (日) 13:01:06) の編集履歴(バックアップ)




お姉さまの様子がおかしい。
白井黒子は思っていた。
数日前から無理やり笑っているようなそんな感じがする。
常盤台中学内では分からなくもないが、同室である自分にさえ何か隠している。
まあ元々あまり弱音は吐かない人だ。
人のことには首を突っ込むくせに。
どうしても気になった白井は思いきって聞いてみた。

「お姉さま?最近どこか変ですわよ?」
「え、そう?」
「何か悩み事でもあるんですの?」
「べ、別にないわよ…」

明らかに沈んでいる。
あの類人猿が寮に来た時、実は御坂はピンチだった。
それでも何か隠している感じはしなかった。
なのに今回は明らかに隠している。

「本当にないんですの?」
「ないわよ」
「それならいいのですが」

この状態では話してくれそうにない。
そう思った白井は翌日初春に聞いてみることにした。
御坂の様子がおかしいのは自分が寮監から制裁を受けた時、
つまり初春、佐天の二人と遊んだ時からだったから。



「お姉さまに何がありましたの?」

翌日、風紀委員一七七支部で初春に聞いてみた。

「御坂さんがどうかしたんですか?」
「初春達と遊んだ時から何か様子がおかしいんですの」

「私たちと遊んだ時…あ!」
「何か思いだしたんですの?」
「いや、アレは白井さんには言えません」

初春は顔をちょっと赤くし何か顔が緩んでいるような、そんな表情をした。

「どうして言えないんですの?」
「それは…」

完全に緩みだした。
これはもう多少痛い目にあわせないといけない。

グリグリ

「痛いです。頭をグリグリしないでください」
「なら、何があったのか吐くんですの」
「それは無理です」
「次は金属矢でハチのs」

「やっほー、初春いる~?って、何やってるの!?」
「佐天さ~ん助けてください」
「そういえば、佐天さんも知っているんですよね」

「何がですか?」
「あなたたちと遊んだ時、お姉さまに何があったのか」
「あぁ、アレですか」
「佐天さん、教えてくれますよね?」

「いやあ、白井さんには言えないなあ」
「吐かないと二人ともハチの巣ですわよ?」

白井は足につけてある金属矢を手に取る。
鬼みたいな表情をしながら…

「「言いますからそれだけはご勘弁を!」」

流石に命が惜しかった二人はあの日に会ったことを吐いた。

「お、お姉さまがキス!?」
「はい」
「あの類人猿があああああ!」
「「ひぃ!!」」

鬼も逃げ出してしまいそうな、そんな顔を白井はしている。
初春、佐天の両名はただブルブルと震えていた。
そんなことはお構いなしに普通の顔に戻って白井は考え込む。

「それにしてもおかしいですわね」
「ど、どうしてですか?」
「それだと落ち込む理由になりませんの」
「え、御坂さん落ち込んでるんですか?」
「真っ赤になって去って行ったのに?」

これには二人とも驚いた。
好きな人にキスして、一人で悶々としているだろうと考えていたから。

「流石にこれはお姉さまに直接聞くしかありませんの」
「でも、話してくれるでしょうか?」
「御坂さん、なかなかそういうこと話してくれないからなあ」

「初春、私は用事を思い出したので今日は帰りますの」
「ちょっと待ってください。まだ仕事が」
「誰のせいでこんな用事ができたと思ってますの?」
「うぅ」

言い返せなかった。
そもそも自分たちの軽い気持ちでやったゲームが最終的に御坂を落ち込ませたのだ。
その後処理をしようとしている白井を止める権利は自分たちには無い。

「それでは」

一言だけ残し、白井は風紀委員一七七支部から出て行った。



街に出た白井はとある人物を探していた。

「ったく、あの類人猿はどこにいますの?」

出る前に出現場所を調べておくんだったと思いながら街をさまよった。
探し出して五分後、初春に調べさせようかと考え始めた時、目的の類人猿は見つかった。

「上条さん、ごきげんよう」
「ん、白井か」
「何ですかその反応は」
「わりぃ」

挨拶もそこそこに白井はストレートに質問をぶつける。

「あなた、お姉さまのことどう思ってますの?」
「御坂のこと…か?」
「ええ」
「自分でもよく分からねえんだ」

「なら質問を変えます。お姉さまからのキスは嫌でした?」
「そんなわけねえだろ!」
「それなら、お姉さまのこと嫌っていませんわよね?」
「嫌いになんかなるかよ」

「そうですか、そのお言葉お忘れにならないように。それでは」

いきなり声をかけ、御坂に関する質問をしてきたらすぐ去って行った。
上条は何だったんだあいつ?と思いながらも担任に指定された場所へ向かった。

上条と別れた白井は美琴がいるであろう寮に戻ってきた。
自室のドアを開けてみる。
そこにはどんよりとした空気を身にまとった愛しのお姉さまがいた。

「おっねえさまーーーー」
「…」

相変わらず落ち込んでいるようである。
流石にこれは重病だと認識した白井は美琴に普通に声をかける。

「お姉さま?」
「あ、黒子おかえり」
「お姉さま、いくつかお伺いしてもよろしいですか?」
「何?」

「どうしてお姉さまはあの殿方とキスをしたのに、そんなに落ち込んでいますの?」
「!!」

まさか黒子にばれているとは。

「どうしてそれを」
「初春達に吐かせましたの」

やっぱり誤魔化せなかったか…と少し自嘲的な感じで思いながらポツポツと話し出した。

「キスしてた瞬間はね、どうでもよくなったの。
 でも、し終わった時は恥ずかしくなってすぐ寮に帰って来たわ」

寮に帰って来た時からなんだけどと御坂は続け

「冷静になったら今度はこれからどうやって会えばいいか分からなくなったのよ
 今まではさ、ビリビリしたり追いかけまわしたりしながらも普通に会えたじゃない?
 でも、あんなことしちゃったらその関係も終わっちゃうんじゃないかって思って…」

ここまで話して御坂の目に涙がこぼれた。
それでも白井は何もせず黙って聞いていた。

「そう思ったら…ぐすっ…もう悪いことしか…ぐすっ…考えられなくなっちゃって…
 だいたいいきなり声かけてきてキスされたら…ぐすっ…黒焦げにしてやるわよ」

そしてとうとう、御坂の涙腺が崩壊した。

「うわわああああん」

白井は感情をコントロールできなくなった御坂を泣きやむまでずっと抱きしめた。


あれから何分たったのだろう。
時間を忘れるほど泣いた御坂が落ち着いたのを見計らって白井は質問を続ける。

「お姉さま、お姉さまが好きになった殿方はその程度で人を嫌う人間ですの?」
フルフル
「ならばなぜそんな考えに至りますの?」
「だって…ぐすっ…私なら嫌うと思ったから」

「それなら上条さんにされたらどう思いますの?」
「えっ?」
「答えてください」
「そんなの嬉しいに決まってるじゃない…」

「嫌ではありませんの?嫌ったり黒焦げにしたりしませんの?」
「嫌なわけないじゃない!嫌うわけないじゃない!」
「それなら問題ありませんわね」
「えっ?」

上条にした質問に上条と同じ答えを言ってきた御坂にそろそろ潮時かと、今日の上条との会話を伝える。

「あの殿方も同じことを言いましたの」
「どういう…こと?」

「キスが嫌だったかと聞くと『そんなわけねえだろ!』と。
 お姉さまのことを嫌っていないか聞くと『嫌いになんかなれるかよ』と」
「嘘…」
「本当ですの。私が直接この耳で聞きましたから」

未だに信じられないと言いたそうにしている御坂に最後に一言告げる。

「ですから、そんなに不安になる必要は一切ありませんの」
「黒子ぉ」

御坂は本日二度目の大泣きをした。


30分後、御坂は泣き疲れたのかぐっすりと眠っていた。
その寝顔にはさっきまでの負のオーラは無くなっていた。


それからまた30分後、御坂の携帯が鳴りだした。
その音で目を覚ました御坂は携帯のディスプレイを見た。
そこには『メールあり』と表示されている。
誰からだろうと御坂は携帯を開いた。そこには…

From:上条当麻
Sub:

『今からいつもの公園に来てくれ』

これだけ書いてあった。

「どうしよう黒子」
「行ってくればいいじゃありませんの」
「でも…」
「そんな調子だと、本当に嫌われますわよ?」

黒子の言葉にそれだけは嫌だと思った御坂は呼び出された公園へ向かった。


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