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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/2スレ目短編/947 - (2010/02/03 (水) 13:20:58) の編集履歴(バックアップ)


※こちらの世界観としては、「ロシア帽のフラグ男」の番外編と捉えていただければ。
(上条さんが常盤台中女子寮で有名になってる、という前提ってことです)


「あの~、どういうことなんでせうか?」
「し、知らないわよ。緊急の件らしいから」
「俺たちだけ…って想像つかねえんだけど」
「『当麻と呼ばれている人も一緒に』て言われたんだもん…」
御坂美琴と上条当麻は、ファミレスで気まずそうに座っている。

「お、お待たせしました.!先輩方から遅れて申し訳ないです!」
「い、いや。念のため待ち合わせ時間早めただけだから。えーと、俺が上条当麻です」
「はじめまして!ジャッジメントをやっております初春飾利です!よろしくお願いします!」
「えーと初春さん、どーいうことなの?早速で悪いんだけど」
「はい、由々しき事態が発生しておりまして。」
「由々しき事態?」

「お二人の流出画像が、ネット上に。」

「「はあ?」」
上条と美琴は顔を見合わせる。
「流出画像…っていわゆる芸能人のニャンニャン写真、とかそういうノリか?」
「と言われても、私たちの…って、何よ?」
「いや、ありえねーだろ。想像もつかねえぞ」
「まさかアイコラ!?合成とかだと許せないわね…」
「にしても俺たちにそんなことして、誰が得するんだ?」
2人はぎゃあぎゃあ論じている。

「まあ、実物見て貰った方が、早いですよね」
初春はカバンから2冊のクリアファイルを取り出し、2人に手渡す。
ページをめくっていく2人の顔が、面白いように変わっていく。
「なんじゃこりゃあああああああ」
「なによこれええええええええ」

それは、A4サイズに印刷されたものを、初春が綴じたものであったが。
1ページにはこうタイトルが振ってあった。

―――『ふにゃふにゃレールガン!』

数日前、初春はデータサーバーのメンテナンスを頼まれた。
どうやら一部のファイルが壊れていて、バックアップサーバーとの間で障害が発生しているらしい。
初春にとっては特に難易度の高いものではなく、障害の原因を突き止め、修正を行った。
ただ、一旦フルバックアップをやらなければ同期処理ができないため、
バックアップ処理をスタートさせると、相当ヒマになった。
(1時間はかかりますねえ…どうしましょうか)

システムメンテナンス用の強力なアクセスパスを借りているので、色々データを覗けるが、
漠然と探してもいいネタなどない。
肩肘をつきながら適度に眺めていると、常盤台中のBBSログらしきデータの固まりにぶち当たった。
(へえ~、あそこのお嬢様たちってどんなチャットしてるんだろう?)
とログを読み出した。

中身は他愛のないものだった。噂話、悪口など、他の中学と変わらない様子だ。
書き込みから察するに、どうやら限定コミュであるらしい。同じ趣味同士の閉じた世界ということか。
たまに御坂美琴の名前が出てきてハッとするが、おしなべて好意的だ。
(さすが御坂さんですねー。尊敬されてますね…)
さーっと読んでいると、気になる言葉がでてきた。
『ふにゃふにゃレールガン!』
(なんでしょうこれ?レールガンって御坂さんですよねえ?)

その中で検索してみると、
「ふにゃふにゃレールガン3みのがしちゃった><」
「ふにゃふにゃレールガンは限定公開ですからねえ」
「もう一度ふにゃふにゃレールガン3お願いします!」
等とある。

初春は思案して、まずデータサーバーに該当のファイルが残っているか探すが、やはり無い。
ならば、とバックアップサーバーのアーカイブを検索する。
ビンゴ!
ファイルを覗いてみる。

……

初春飾利は黒春飾利に変化した。
関連情報全検索モードに突入した。
そして手に入れたるは、
「ふにゃふにゃレールガン!」「〃2」「〃3」の3部作。

常盤台中寮生が、想像で書いた同人誌らしい。
流出して立場が悪くならないよう、限定公開、さらには画像ファイルも保存できない形式にしてあった。
しかし、黒春に見つかったが運の尽き。まさかバックアップサーバーからぶっこ抜かれると思わなかったろう。

(それにしても、この「当麻」なる人物は…?)
中身は御坂美琴が「当麻」という男にベタ惚れな内容である。
近くに本当にいるのだろうか、その男が。

(こんなおいしいネタ、御坂さん、うっふっふっふ~~~~~)
そして次の日、初春は美琴に電話した、のである。

初春は上条当麻を見つめる。うん、マンガの方はよく特徴を捉えている。間違いなくこの男だ。

2人は読み終わって脱力している。
「何なのよこれ!私の知らない世界で何がおこってんのよ!」
「まあ、あくまでマンガの世界ですから…同人誌ってやつでしょうけど」
「そ、それにしても!」

美琴はあまりに恥ずかしくて、上条の方を見ることができない。
見事に、自分の妄想の世界を表している。
もう放電の一歩手前だ。

「上条さん、は感想はどーですか?」
「うーん」
上条は唸った。
「自分がマンガ化されてるのは新鮮だなーと思うし、割りきって見れば面白いんじゃね?」
「へ?」
意外な感想に初春が驚く。

「ま、リアリティがあれば、もうちょっと違う感想もあるけど、御坂はこんな可愛らしい仕草しねえだろ」
「どーゆーことよ!」
美琴は怒って割り込む。
「作った奴は、お嬢様の御坂しか知らねえんだろなあ。こんな素直で可愛らしかったら…なあ」
「…たら、何よ」
「まあ、仮定の話してもしょうがねえさ。」
上条ははぐらかす。
「でもこれが流出は確かにまずいな」

「私ができるレベルでは止めましたけど、まあネット上の話ですので、どう漏れるか…」
今回のケースではまず流出はない、と初春は睨んでいる。
しかし、それは教えない。
「こんなの流出したら、私外歩けないわよ…」

「一応、確認させてもらいますけど、お二人は恋人では、ない?」
「違う!」「ないな」
即答だ。
しかし初春は美琴の表情を見逃さない。
(…これは。御坂さんはおそらく、この人に惚れてますね。この人は良くわかりませんが。
 では、追討ちと参りましょう)

「分かりました。続いて…」
2人は驚愕の顔になる。
「まだあるの?」「まだあるのかよ!」

初春は『2』の方を、また2人に差し出す。

2人は撃沈した。

「…前言撤回。これはダメだ、シャワーとか泊まりって何だよ!ワイシャツとか!」
美琴は声すら出ず、まさにふにゃあ状態である。突っ伏したままだ。

もう初春は2人の反応が楽しくてたまらない。
上条ももう美琴の方を見れないようだ。
「想像の世界とはいえ、すごいですよねー。お二人もいっそのこと、既成事実にしちゃうとかどうですか?」
「いや、さすがにその挑発はやめてくれ…ちょっと思考がまとまらねえ」

「じゃあ最後の一冊…」
美琴の肩が落ちた。

最後の『3』を差し出す。美琴は動かない。
上条は受け取り、パラパラとめくる。
「うはあ、もう普通に外でデートか…ああ、もうラブラブで正視できねえ…」

初春はさすがに気の毒になってきた。
上条は3冊をトントンと揃え、初春に返した。
「初春さん、ありがとう。いやー、たいていのことは何とかなると思ってたが、これはもう…」
上条はフラフラと立ち上がり、会釈して立ち去ろうとする。

「そうだ御坂。お前はこういうことが『できる』んかね?一度見てみたい気もするぞ。…んじゃな」

上条が去った後、美琴はようやく顔をあげる。
「今…なんて?」
「私的に意訳しますと、一度こういう雰囲気になってみるか?というお誘いに聞こえましたけど」
「こんな…こと。やれるのかな…絶対無理よ…」
「御坂さん、できますって!素直になるだけですよ!」
「素直…」
そこで美琴は『3』をパラパラと見る。

また沈んだ。「無理…」

「御坂さん、見たところ、あの人脈アリますよ。全然否定してませんでしたもん」
「…」
「がんばりましょう!応援しますよ!」
初春は気づいていた。
美琴はもはや素直になることを否定していても、上条を好きなことを否定していない。
本にアテられて、否定する箇所が狂っているのだ。


美琴は呆然としながら、帰っていった。三冊を小脇に抱え。
(あの本、白井さんに見つからなければいいですけど…)



その夜。

初春は誘惑に負け、今度はハッキングしてまた常盤台中コミュに潜入した。
(意外にああいうの読んで落ち着けば、御坂さんも積極的にいくかもですねー)
などと思いながら、該当の箇所にたどり着く。

『待望の新作!限定公開!』
(おぉっ。これはラッキー!また御坂さんに渡してあげましょう!)


『超電磁砲のおとしかた』 へえ、どれどれ…


fin.

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