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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/12スレ目短編/637 - (2010/09/27 (月) 02:11:15) のソース

*初めてのおつかい(with_my_two)
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「ママー、パパー。じゃあミユおつかいしてくるねー」
「行ってらっしゃい。分からなくなったら店員さんに聞くのよ。ちゃんとおつかいできたらまた遊園地に連れて行ってあげるから」
「パパたちは『家で待ってるから』ちゃんとおつかいしてくるんだぞー」
「うん! 行ってきまーす!」
 今日は娘の初めてのおつかい。スーパーがあるのはここから二百メートルくらいの所なので五歳児でも十分おつかい可能だ。

 美結<みゆ>が出て行った後、上条と美琴は戦国武将もびっくりな荒々しさでサバイバルジャケットに着替え始めていた。
 上条と美琴はいそいそした様子で、
「にしても早いもんね。あの子が生まれてもう五年なんて……色々感慨深いもんがあるわ」
「そうだな。目を瞑れば~、だ。生まれてきた日が昨日のように思えちまうよ」
 高性能カメラの調整をしながら上条は語る。
「来年からは美結も小学生で、きっとアイツの世界は大きく広がっていく。俺たちが受け入れられない事や悲しい事だって、これからたくさんあるだろう。……お前は耐えられるか?」
 美琴は胸ポケットにトランシーバーをガッ! とハードボイルドに突っ込んだ。
「……どうかしら。ものと場合によるわね」
「俺はどんな事があろうともアイツの味方であり続ける」上条はサングラスをつけ、「けど、今日は助けない。いつまでも甘やかしてちゃいけないんだ。アイツだっていつかは俺たちから巣立っていく……今日はその第一歩」
 だから、と、
「手出しは無用。何でも一人でできるようにしてやるのが親の義務だ。たとえ理解されなくてもな。そうじゃねえと―――」
「本当の意味で美結のためにならない」
 美琴は言った。そう、これが親としてできる事。性。血を分けた子供にも、時には厳しく接しなければならないのだ。
 二人は帽子を深々とかぶる。
「あ。でも……誘拐とかされちゃったらどうしよう……最近は幼児に対する犯罪も増えてるし……」
「はは、そんな奴がいたらぶち殺すに決まってんだろ? 灰も残さねえよ」
 最後に、二人は今日のために買っておいた一つ六万五千円の超高性能双眼鏡を首にかけると、
「よし、行くか」
「ええ」
 準備万端であった。

 ☆

 電柱の影にて。
「こちら幻想龍。美結との距離五メートル。アイツはこちらに気づいてない模様、どうぞぅ」
「こちら電磁砲。私の所からじゃ美結は確認できないわ。……それどころか視界がぼやけてるし頭痛もする……すでに敵の攻撃は開始されている模様、どうぞぅ」
「それは近いのに双眼鏡使ってるせいだと思う、どうぞぅ」
 常識人ぶってツッコんだ上条だが、もしここに本当の常識人がいたら、なんで二人の距離は十センチもないのにトランシーバーで会話してるの? とツッコんでいるだろう。つかここは外なので普通に人はいる。が、君子危うきに近寄らず体制。不気味がって誰も関わろうとしない。ちなみに上条と美琴は、普段は理想の夫婦だけど娘の事になるとたまにおかしくなる事でこの辺りでは結構有名だ。
「むむ! 北緯百三十七度に推定六十歳男性が接近! 備えろ!」
「え、ど、どこ!? ……くっ! 視界がぼやけて……!」
「とりあえず双眼鏡使うのやめろ! 肉眼で確認だ!」
 双眼鏡を眼前につけ、ものすごい勢いでキョロキョロする美琴にちょっとキュンとした上条。

 美琴はその男を直で見て、
「……なんだ。加藤さんじゃない。アンタ、いくらなんでもいつもお世話になってる人にその言い草はないでしょ。そういえばこの間のお返しまだしてなか―――」
「馬鹿かお前、よく見てみろ」
 え? と美琴が声を漏らすより早く、上条が静かな表情でこう言った。
「アレ魔術師だ」
 えーっ!? と言葉を驚嘆する美琴。
「魔術師って、第三次世界大戦の黒幕の!?」
「ああ。誤解を生まないように補足しておくけど、魔術師の皆が皆悪い奴ってわけじゃねえぞ。むしろそういうのは少数派だ」
 けどな、と上条は一息置いた。
「過激派だっている。おそらくアイツは、偽海原みたいな肉体変化できるタイプの魔術師。遺伝子レベルには変化できないらしいが……」
「くっ! 何でそんなのが!」
 FUCK!! と美琴は壁をたたいた。
「ど、どうするのよ!? あの子に暴力を振るうところなんて見せたくないし……」
 いっそ電撃で、と物騒な考えが浮かぶ。
 と、上条が。
「まあ俺に任せろ。考えがある」

 美結は保育園には行っておらず、ずっと家で育てられてきたので親元を離れるのはこれが初めてだったりした。
「えーっと、たまねぎにぃ、にんじんにぃ、……あとなんだっけー……」
 小女はポケットからメモ帳を取り出して、
「じゃがいも!」
 きゃわいきゃわい! と小躍り始めた。なんか後ろの方で騒がしい音が聞こえるが、とある映画を見て、美結のモットーは振り返らない事になっているので気にしない事にした。
 と、少し先の所に。
「あ、カトーさんだ」
 加藤さんは好きだ。よくアメちゃんやクッキーをくれるしママやパパもお世話になってるらしい。『おつかい』という大きな任務を任された美結としては、この事を大いに自慢したいところであった。
 少女は老人のもとへ小走りする。が、

 瞬間。ピカッ! と何かが光り、美結の視界が真っ白になった。

「ぅわ!?」
 うぅううううううぅぅ……と縮こまる美結。横から『あわわわ……だ、大丈夫美結?』とか何とか聞こえるが気のせいだろう。
 美結の視界が戻った時には、すでに加藤さんはそこにはいなく、
「???」
 何だかよくわからないうちによくわからない事が勝手に終わっていた。

「おのれ魔術師ェ……一般人まで囮に使うとは」
 結局加藤さんは偽加藤さんではなく、本物の加藤さんだった。
「というかアンタね。スタングレネード……じゃないか。音は死んでなかったからそれの改良版? アレどこから調達したのよ一体……普通に犯罪じゃない……」
「細けぇ事はいいんだよ。それよか美結だ」
 二人は角からひょっこっと様子を伺う。
「良かった。平気みたいね」
「よし、続けるぞ」

 しかしその後も……。
「おい! あの男、今美結の事チラ見しなかったか!? アイツ犯罪者だ!!」
「アンタ落ち着きなさいよ。あれは隣の新村さんじゃない。ほら、いつも新鮮な野菜くれ―――!? 何であの車あんなにスピード出してんのよ!? ガードレール破壊しかねないわよアレ!! 正気!?」
「あのクソジジイ、美結が道尋ねてるのにボケた振りしやがって……ッ!! これから毎日老人ホーム燃やすぞ!?」
「ちょっと!? 男子小学生の集団が美結に近づいてるけど変な事されないわよね!?」
「うそ、だろ……? あれはカメカメ波ごっこの演出のためにカメカメ波を受けた者がものすごい勢いで自ら後ろに下がっていくという! でっていう! 後ろを見ずに遊びやがるから二次被害必至!!」
「あれって女子高生の大群!? 不味い! 奴ら、可愛いものを『可愛い~!』と叫ぶ自分が世界で一番可愛いと思っちゃってる病にかかってやがる! 美結があんな下衆どもの玩具に……!」
 ぎゃあぎゃあと上条と美琴は騒ぎまくっていた。

 嘘のように長かった二百メートルも終わりを告げ、美結はスーパーへと入っていった。
「ふぅ……スーパーの中なら流石に安全だろ……どっと疲れたような気がする」
「八割方どうでもいい事で騒いでたような気がするんだけど……とにかく、ようやく落ち着いて美結の観察ができるわね」
 サングラスをかけたサバイバルジャケット姿の二人はおっしゃ! と気合を入れカメラを携えて、

「……あ、あのー、申し訳ありませんお客様……店内でそのような格好は不審者として扱われますので……」

「「へ?」」
 その後上条と美琴はもう特急で家に戻り普通の服に着替えたがスーパーに向かっている途中で用を済ませた美結とバッタリ会いそのまま遊園地に行ったとか行かなかったとか……。

 to be continued...?

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