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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/バイト生活/Part01 - (2010/01/29 (金) 21:32:53) のソース

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バイト生活 0日目



家計簿をみていた上条は、不意に何かを決意したように宣言する。

「決めた!」

「何? とうま、何を決めたの?」

インデックスは突然あげられた声に驚きながらも、尋ねる。

「俺は、この冬休み、バイトをする!」

「え~っ!?」

上条は胸をはりつつ堂々と言い、インデックスは大袈裟なリアクションをとっていた。

「だから、インデックス。お前のご飯は作ってやれない。特に昼」

「そ、そんな! そんなことされたら私は飢え死になんだよ!?」

「そうだな。だが、これも未来のためだと思って諦めてくれ」

「ど、どういうこと?」

「ふっ……誰かさんの食欲のせいでいつも貧困な生活を送っている、わたくし上条当麻は、この冬休みにバイトでお金を貯めるのさ! これによって冬休みが終わる頃にはお金も貯まり、心身共に楽に生活を送れるようになっているということだぁ!」

「わ、私のせいだっていうの? とうま!」

「お前じゃなかったら一体誰のせいだと言うんだぁぁぁぁぁぁぁ!!」

インデックスはガーン!!と表現出来そうな衝撃を受けたかのように石化している。
そこへ、さらに上条の追い討ちが襲う。

「だからインデックス。この冬休み、お前は小萌先生のところな」

「とうま!? 私を見捨てるっていうの!?」

「誤解を招くような表現すんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」





その後、いろいろ(噛まれたりとか、噛まれたりとか、噛まれたりとか!)あって、渋々インデックスは小萌先生のところへいくことになった。ついでに、冬休みの間は出入り禁止!(冷蔵庫漁りを防ぐため)という通達をした上で、合い鍵も返してもらった。

(インデックスには悪いけど、こうでもしなきゃ脱!貧乏生活!は不可能ですのことよ)

そう思いながら、上条はバイトを探して片っ端から電話開始。
3時間後、見事バイトはみつかった。

「まさか、よりにもよってあのファミレスとは……。なんだか不幸な予感!」

あのファミレスとは、夏のとある日にバイトしていた場所で、開始数時間でクビになったという、あのファミレスである。(ドラマCD参照)
なぜ雇ってくれたのかはわからなかったが、バイトが見つかったのでよしとすることにした。

バイト生活 1日目



バイト初日。

午前中は補習があったため、バイトは昼頃からである。
挨拶して、真っ先に言われたこと。それは。
「ドリンクバーには触るな」だった。
いきなり言われてすこし落ち込む上条だったが、言われるのも無理はないので接客に励む。
1時間が経って、接客にも慣れた頃。
来客がやって来た。

「いらっしゃいま―――ってビリビリ!?」

御坂美琴が現れた。

「ビリビリいうな! って、アンタまたバイト?」

「おうよ。上条さんにもいろいろあってですねー」

「アンタ、まさかまたお金なくしたとか? そうならまたお金貸してあげてもいいけど?」

「それはいいかも……! って違う! 上条さんはそんな誘惑には負けませんのことよ。というか今回は違うし」

「……ホントにー?」

「うわっ、お前絶対に信じてないな?」

「そりゃそうよ。アンタの不幸体質は筋金い―――さ、さーて、席につこうかなー」

美琴は途中までいいかけると、突然棒読みで言いながら席に向かった。

「は? いきなりどうし―――って、店長!? す、すいませんすぐに仕事に戻ります!」

後方からの怖い視線に気づいた上条は謝りながらそそくさと仕事に戻る。

オーダーを持って、すぐに美琴のところへ。

「…ご注文は?」

「ん。ナポリタンで」

「…かしこまりました。ナポリタンをお一つですね?」

恥ずかしい。知り合いに敬語をつかうのは、なんか恥ずかしい。

「……へー。ちゃんと接客できんのね」

失礼な!と言いそうになるが、グッとこらえる。
美琴は実は一瞬見とれてしまったのを隠すために言った言葉だったが、当然上条は気づかない。

「……ナポリタンをお一つですね?」

「あ、そうだ。いつバイト終わるの?」

無視かい…と嘆きそうになるが堪える。

「ん? 4時くらいかな」

「わかった。じゃあ、4時過ぎにまた来るわ」

「は? なんで?」

「アンタがなんでバイトなんてし始めたのか聞き出すため」

「うわー。バックレようかな」

「そんなことしたら砂鉄の剣振り回すわよ」

「殺す気かっ!?」

「ほらほら、今はバイト中でしょ? 怒られない前にさっさと仕事に戻る!」

「…言ってきたのはお前じゃねえか」

「何か言った?」

「…いいえ、何もでございます」

上条は奥へと戻っていく。
その後ろ姿を見送ってから、美琴は思考を開始する。

(バイトするってことは、お金に困ってるってことよね。ってことはやっぱりまた? でも今回は違うとか言ってたし。…嘘である可能性もあるのよねー。やっぱり問いただすしか―――ってなんで私がアイツのことで頭悩ませてんのよー! そんなのは記憶喪失のことだけで……って、アイツ、記憶喪失なんだったわね。あまりにもいつも通りすぎて忘れるところだったわ。いつかそっちについてもまた問いただすしか―――ってだからー! ……と、とにかく今回はアイツが私のせいでクビになったりしないようにしないと!)

なんで悩んでしまうのかは既に知ってはいるのだが、あの感情を再確認するのは恥ずかしいので考えない。
うあー。と美琴は首をふったり頭をかいたりと忙しく動いていると。

「……何やってんだ?」

「ほぅわぁ!? い、いきなり驚かさないでよ!」

「あ、悪ぃ。……えっと、ナポリタン、お持ちしました」

「え? あ、あああありがと…」

(な、なんかお礼いうのも恥ずかしい! って、だ、大丈夫よ! ただのお礼なんだから! 恥ずかしがる必要なんかないわよ! あーもう私の馬鹿ー!)

美琴は顔を少し赤くしながら再びうあー。と首を横に振ったりし始める。
それをみた上条はちょっと心配になって。

「大丈夫か? なんか顔赤いぞ?」

美琴のおでこに右手を置いた。
それによって美琴の頭の中はさらにパニックになる。

(ぎゃああああ!? 手。手ー! 右手がお、おでこに。おでこにぃぃぃぃー!)

「だ、だいひょうぶろ。らいひょうふにひまってんへひょ」

「御坂さん? 呂律が回ってないですよー? 本当に大丈夫か?」

「上条」

突然背後からかけられた声に上条は驚いて美琴から手を離し跳びはねるように後ろを振り向く。
姿勢は見事だった。
突然のことに驚いた美琴は漏電することはなかった。

「はいぃぃぃぃぃ! な、何でしょう? 店長」

「…いちゃつくのはバイトが終わってからにしろ」

『ぶぅっ!?』

二人は同時に吹く。
その直後、二人は同時に慌てて否定を開始。

「い、いちゃついてなんかいませんってば!」

「ななな、なんでわ、私がコイツと、その。い、いちゃいちゃしなくちゃいけないわけ!?」

美琴は顔を赤くして手をわたわた振りながら否定しているので、説得力がない。
ついでに他人行儀な話し方にし忘れている。
お互い必死だったため、お互いの発言は聞こえていなかった。

「そうか。どちらにしろ、さっさと仕事に戻れ」

「は、はい……」

店長が去って行くと、上条は悪態をついておいた。

「くっそー。絶対今の信じてねえな…。と、そうだった。……以上でよろしかったでしょうか?」

「ふぇっ!? え、あ、う、うん」

「うい。じゃ、また後で」

「あ、うん」

PM16:36

御坂美琴はファミレスの近くにある喫茶店の椅子に座っていた。
まだ上条のバイトは終わっていない。
多少イラついてはいたが、連絡は来ていたのでいつもよりも怒ってはいない。
何分か経つ、来ない。

「おっそいわねー」

思わず呟きが漏れる。
と、そこへ。

「わりーわりー。なかなか終わってくれなくて、長引いちまった」

「遅いわよ」

上条は謝りながら美琴の向かい側に座る。
少し不満げな表情をしながらも美琴は早速切り出した。

「んで? なんでいきなりバイトなんて始めたの?」

「それはだな。上条さんは貧乏学生なので、今のうちにバイトしてお金を溜めて後々楽になろうという考えなんだ!」

「…ふーん。そっか」

「な、なんか、せっかく力説したのにその反応は一体…?」

「ん? じゃあ。おーすごーい頑張れーがよかった?」

「…いやいいです」

上条はあまりの反応に心の中で泣いた。

「まーよかったわよ。またアンタがお金なくて死にそうになってなくて」

「ん。心配してくれてたのか?」

「……! か、勘違いしないでよね! 私はアンタが心配だっただけで、別にアンタを心配なんてしてないんだからね!!」

「は? あのー、御坂さん? 言ってることが無茶苦茶なんですが」

「えっ!? あ、いや。その、これは」

指摘された美琴は慌てて何か弁解しようとするが言葉が見つからない。
上条はそれを見て少し笑いながら、

「わかったわかった。お前が俺を心配してくれてたのはわかったから。……サンキュな。御坂」

そういって上条は美琴の頭に手をポンッと置く。
美琴の顔はみるみるうちに真っ赤になって、

「なっ……ななななななななななー!!」

「お前……さっきからどうしたんだ? やっぱり体調でも悪いのか?」

……プチッ。
その、何にもわかっていない発言に美琴の中で何かが切れた。

「ッ! こ……こ…こ」

「こ?」

「こんの馬鹿ぁー!!!!」

「うおあぁあ!? み、御坂さん!? 電撃はっ。電撃はやめてぇー! ここは喫茶店ですのことよー!!?」

電撃を上条一点狙いで打ち続けること数分。
上条はなんとか右手で全て防いだので被害はない。
そう、上条にも。
美琴は再び何かが切れそうになるが、なんとか抑える。

PM17:11

とりあえず周りの迷惑になるので二人は喫茶店から出ることにした。
現在は特に行くあてもなく歩いている。

「全く。アンタも一度くらい食らいなさいよ。私の気が静まらないじゃない」

「そんなことしたら上条さんは死んでしまいます」

「死なない程度にしてあげるから」

「…私はMじゃないので例え死ななくてもくらいたくありません」

「……なら無理矢理当ててやるわぁ!」

「ってまた!? やめてぇー! 上条さんのライフはもう0よ!」

「パクってんじゃないわよぉぉぉー!!」

「ぎゃあああああ!! なんかホントいろいろすいませんでしたー!!!」

ぎゃあぎゃあ騒ぎながらの追いかけっこが始まった。

PM19:54

「な、なんでバイト初日からこんな疲れるハメになるんだ……。はあ、不幸だ…」

「う。ちょ、ちょっとは悪かったかなーって思ってるわよ」

二人とも疲労困憊でいつもの公園のベンチに座っている。
現在二人の間は30cm程度空いている。

「ちょっとかよ……。まあいいか。なんか飲むか?」

「ん、じゃあヤシの実サイダーで」

「お前それ好きだよなぁ…。まあ、別にいいんだけどさ」

上条は自販機の前に立つと自分は何にしようかと悩み始める。
そこでふと、疑問に思って。

「? そういやお前、蹴り入れないんだな」

「…この疲れてる体で蹴りをいれろと? アンタ、人使い荒いわね」

本当は前に蹴りをいれない方がいいと言われたからなのだがそんなことは口が裂けても言えない。

「いや、やれとは言ってねえよ! …前言った時に妙に素直に従ってたから、そのまま守ってたのかと」

「ッ!? ち、違うわよ。わ、私は他人に言われたくらいで止めるほど意思が弱くなんかないわよ」

「……それもそうだな」

「む、何よソレ、わ、私が頑固者って言いたいわけ?」

「? 自分で言ったんだろ」

「うっ、そうなんだけど……」

(なんか、墓穴掘ってばっかじゃない? 私ー!)

美琴はなんだかいつもの調子が出なくて困っていた。
と、そこへ上条がヤシの実サイダーを差し出してくる。

「ほれ。買ったぞ」

「ん。あ、ありがと。…ってアンタもヤシの実サイダー?」

「ん? ああ、選ぶのが面倒だったからな」

上条はベンチに腰掛ける。
何故か先程よりも近づいて座っていて、距離は20cmに縮まっていた。
上条は気づいていない様子だが、美琴は気づいていた。

(な、何故かさっきよりも近いんだけど…。ま、まあ私は嬉しいけど、もっと近づきたいかも……って私は何考えてんのよー! ここは無心よ、無心!)

無心でいようと考えるも、考えれば考えるほど意識してしまって逆効果になっていく。
顔は知らないうちに少し赤くなっていて、ジュースはあまり飲めていない。
上条はそれに気づいて覗き込む。

「あれ? 熱でもあんのか? 顔赤いぞ。それにあんま飲んでないみたいだし」

「ふぇ? あ、い、いや! だ、大丈夫よ。赤くなんかなってないわよ」

美琴は慌ててジュースを飲み始める。
顔が近かったことを考えないようにするが、全くできない。
すると、

「あああああ!」

「え? ど、どうしたの?」

突然叫びだした上条に恐る恐る尋ねる。
上条はわなわなと手を震わせている。

「今日、スーパーの特売日だったってこと、すっかり忘れてた…」

「………ご愁傷様です」

「だああああー! 不幸だぁー!!」

手を合わせられて上条の気分は絶不調へと堕ちた。
地面に手をついて、いわばorz状態である。
さすがにそれをみて哀れだと同情した美琴は。

「食料、買ってあげようか?」

「ぇ? …いやいやいやいや! それには及びませんのことよ!?」

「でも、その。わ、私のせいでスーパー行けなかったんでしょ?」

「う……。気持ちはありがたいけど、そこまでする必要はねえよ」

その言葉を聞いて、美琴は悩む。
少しして、思い付く。

「じゃ、じゃあ! ご飯作ってあげよっか?」

「ぶごふぅっ!? い、いいい一体何を言ってるのでせうか御坂さん!?」

「だ、だから。お詫びにご飯を作ろうか? って言ってんのよ」

上条は葛藤を開始する。

(た、確かに女の子にご飯を作ってもらうというのはこの上ない幸せイベントではあるんだけど、果たして我が家に常盤台中学のお嬢様が入るというのは本当に大丈夫なんでせうか!? 誰かに見つかったりしたら絶対ヤバイのでは!? ならばやはりなんとか言って御坂を家に……って違う! やはりお詫びを別の方向に持って行くしかないんですか? ないんですね? ないんです三段活用!)

上条は決意を固める。
美琴はなんて言われるのかドキドキしながら待っている。
そして。

「い、……うーん。やっぱり食材でいいです」

(あ、危ねえ……危うくいいぞって言うところだった)

「……そっか」

上条が内心ホッとしている時、美琴は内心悔しがっていた。

(もうちょっとでコイツの家がわかったっていうのにー!)

PM20:47

二人はスーパーで買い物を終えて帰路についていた。
結局、美琴に全部払わせるのは悪いといって、上条は半分以上支払った。

(これじゃあお詫びじゃないじゃない…)

美琴は心の中でぼやく。
いっそ上条の家までついていって強引にご飯を作ってやろうかと思ったが、迷惑だと思われたら嫌なのでさすがに止めておくことにした。

「寮まで送ってこうか?」

さすがに寮までついて来てもらうのは悪いし、困ったことになりかねないので、本当はきて欲しいけどそれは言わないでおく。

「いや、いいわよ。アンタは袋持ってるでしょ? 中身をぶちまけないように気をつけなさいよ~?」

「その程度の不幸なぞこの上条さんにかかれば予想済みよ」

「あはは。それじゃ、私コッチだから」

「ああ。じゃあな! 今日はなんだかんだで楽しかったぞ」

「ぇ? そ、そうね。私も楽しかったわよ」

楽しかったと言われて嬉しさで笑みが零れそうになるのを抑えながら、美琴は上条のもとを離れる。
大分離れたあと、笑みを抑え切れずにニヤニヤしてしまう。
通りすがりの人からすれば奇妙なことだろうけど。
今の美琴にはそんなの関係なかった。

「えへへ……。楽しかった。かあ」

(…明日も行こうかな)

美琴は明日への期待に胸を膨らませながら寮へ向かって行った。



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