小ネタ ココロはいつも。
12月14日 PM.23:49
日付がそろそろ変わる時間帯。しかし、上条は寝ていなかった。ベットに寄りかかり、ぼんやりと月を見ていた。
上条は現在高校2年生。
居候だった白いシスターは、今は仕事でイギリスにいる。
1人になった寮の部屋。来客もめったにないので一段と寂しくなっていた。
1年前までは。
「すー・・・」
柔らかな寝息をたてて上条のベットで眠っているのは、愛する恋人の御坂美琴である。
現在、上条は中学3年生の美琴と恋人同士だ。1年前から付き合い始め、今では美琴は頻繁に泊まりに来るほどラブラブだった。
「お前はホント・・・無防備だよなぁ・・・」
そっとつぶやく。確かに、年頃の男女が同室で寝るのはあまり良くない。
上条は美琴の羽毛布団を肩まで掛け直すと、美琴の頭を撫でた。
少し伸びた、茶色の美しい髪。絹の糸に触れているようだった。
「サラサラだな・・・俺とは大違いだ」
髪に触れていた手が、頬に移る。柔らかく、温かい肌から体温が感じられる。
自分は1人の少女をこんなにも愛しているということを実感した上条は、優しく美琴の頬にキスをした。
「んッ・・・」
すると、美琴の瞳がゆっくりと開いた。どうやら起こしてしまったようだ。
「・・・当麻?ど・・したの?眠れないの?」
「起こしちまってごめんな・・・。ああ、ちょっと眠れなくてな」
「そっか・・・何してたの?」
「寝顔の鑑賞」
「え・・・ッ」
とっさに美琴の顔が赤くなる。上条はくすっと笑い、
「寝顔も可愛いな」
「・・・もう・・・感想言えるまでジロジロ見てたってことだよね」
「悪い悪い。」
「ねぇ、当麻。明日は今日より冷え込むらしいから、あったまる場所行かない?」
「おっ、いいな。どこ行きたい?」
「温泉はどう?」
「そうだな。安いし、明日は予定もないから温泉行くか!」
「やったぁ。ありがと、当麻」
「俺も行きたかったしな。案出してくれてサンキューな」
「えへへ。どういたしましてー」
何気ない会話。それだけでも十分に恋人の幸せを感じていた。
この少女が笑ってくれるだけで。
不幸は幸せに変わる気がしていた。
12月15日 AM.0:18
「美琴。そろそろ寝ないと明日起きられなくなるぞ」
「うー。もっと話したいもん」
そういうと美琴は両手を布団から出して小さくバタバタさせた。
「ほら、冷えるから布団に入れろって」
上条は美琴の両手を羽毛布団に入れると、肩まで掛け直した。
「おやすみ、美琴」
「おやすみ、当麻」
日常の中に、幸せがある生活にこの少女と歩みたい。
そう決めた。
少年は目を閉じると、ゆっくりと眠りについた。
12月15日 AM.8:23
まぶしい朝の陽ざしが窓から差し、澄んだ空が広がる頃。
「おはよ!当麻」
美琴の元気な声が聞こえた。
目覚めない頭とともに目を開けると、美琴がのぞきこんでいる。
「おはよう、美琴」
思わず笑みがこぼれる。そのくらい彼女は明るかったから。
上条はいつだって、素直なココロで美琴を愛しているから。
fin.