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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/Equinox/Part09」(2010/02/28 (日) 15:36:11) の最新版変更点

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---- #navi(上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/Equinox)  学舎の園の中ではそれ以外に所属する生徒の姿が目立つように、平凡を絵に描いたような上条の高校の校門前では常盤台中学の制服は実に人目を引く。  三々五々に帰宅する学生達は一様に、校門の前で両腕を組んで右足の爪先で地面をトントンと叩いてイライラしながら立っている美琴をチラチラと眺めつつ足早に行き過ぎる。勇気を出してナンパを挑む男子学生は雷撃の槍で追い払い、美琴はポケットから携帯電話を取り出すと、受信メールフォルダの中身をもう一度確認する。  今日の上条の言い訳は『完全下校時刻まで居残り』だ。それが本当ならここで待っていればいずれ上条は出てくるが (わったっしっはー、待ち伏せも持久戦も得意じゃないっつーの!)  そろそろ我慢の限界だった。  とてもじゃないが完全下校時刻まで待っていられない。教師達に見つからないよう壁を登って校内に侵入してやろうかしらと美琴が危険な考えに至ったところで、校舎の方からツンツン頭の学生がややお疲れの様子でトボトボと歩いてきた。 「ちょっとアンタ待ちな―――――――――――――――ッ?」  上条を呼び止めるべく叫びかけて、美琴はとっさに校門の影に身を潜めた。上条の左隣に、見慣れない人物が一人。彼女は肩を超えて伸ばされた髪、美しく整えられた眉とおでこ、膝丈より上で揺れるセーラー服のスカート。そして美琴では太刀打ちできないサイズに素直に負けを認めて舌打ち。 (またか……またか、またかアンタはコンチクショーッ! 彼女ほったらかしで鼻の下伸ばして他の女とにこやかに何話しちゃってるわけ? これは一体どういうことなのよーっ!!)  薄っぺらな学生鞄と拳を振り回し今すぐ上条の首根っこを掴みたいのをぐぐぐと堪え、美琴は校門の影にしゃがみ込んで二人をやり過ごす。美琴のそばを二人が通り過ぎた時に会話の内容に耳を傾ければ上条が鼻を伸ばしていたわけでもにこやかに会話していたわけでもないのはすぐに分かるのだが、今の美琴の耳には入らない。  二人の腰の高さくらいまでしゃがみ込んでいだ美琴には気づかず、上条とおでこな少女は何事かを話しながら通り過ぎて行った。  距離は五メートル。風向きは北北西。もうすぐ完全に太陽が西に沈む時刻。  美琴は立ち上がると薄っぺらな学生鞄を肩に担ぎ、二人の追跡を開始した。  美琴の追跡劇はあっという間に終わった。  とある高校から一キロも離れないうちに、上条の左隣を占める少女がポケットから何かプラスチックボトルのようなものを取り出し、上条の左腕を取ると親指でキャップを弾いてからボトルの中に入っていた錠剤のようなものをザラザラザラーッと上条の掌に山盛りに注ぎ、最後に上条に頭突きをお見舞いして足早に立ち去ったのだ。  少女の頭突き一発で倒された上条は、仰向けにひっくり返りながらも掌の中の錠剤を一つもこぼさない。なかなかどうして律儀な奴だ。  上条はうう、と頭を振って立ち上がり、次に周囲をキョロキョロと見回して自動販売機を見つけると、ポケットの中から小銭を探り出して小さなペットボトルのミネラルウォーターを購入する。上条は掌の中の錠剤を全部まとめて口の中に放り込むとゴキュゴキュと音を立て、一気にミネラルウォーターと共に飲み干した。  上条の掌の中にあったのは、たぶん何かのサプリメントだろう。でもサプリメントはそうやって摂るもんじゃないわよとツッコミそうになって、美琴は慌てて自分の口を塞ぐ。  ペットボトルをゴミ箱に捨てた上条は、肩に学生鞄を担ぎトボトボと歩き出す。その後を美琴が五メートルの距離を開けて尾行する。上条は何かの目的があるのか、ややうつむき気味のままでも足取りはしっかりしていた。 (アイツ、どこに行くつもりなんだろう?)  美琴は上条を呼び止める事も忘れ、五メートルの距離を置いたまま上条の後ろを歩く。雑踏に紛れる二つの足音は等間隔で歩き続け、上条は急に足を止めた。  ビルだ。  最近外壁を塗装し直したらしく、建物の古さに似合わず壁が不自然に白いビルだった。四階にはピザ専門店が入っている、いわゆる複合飲食店舗だ。上条はそのビルを一度だけ見上げ、また歩き始めた。 (???)  上条の行動の意味が分からない。次は地下街にある携帯電話のサービス店の店頭で足を止めた。店頭に展示された携帯電話ではなく、店の中をじっと見つめ、それから上条は歩き出す。美琴がそれを追い駆ける。  コンサートホール。  大通り。  非合法地下カジノの入った雑居ビル。  第二二学区の第七階層。  川をまたぐ鉄橋――――――――そして学園都市外れの工業地帯にある操車場。  順番はバラバラだった。道順はでたらめだった。行き先にはいくつかの抜けもあった。そしてそれらには共通項が存在した。  今日上条が赴いた場所は全て、ケンカ友達だった頃の美琴と上条が二人一緒に立っていた場所だった。  後ろから美琴が付いてきている事も知らず、上条は鞄を担いだまま歩き、最後に路上にぽつんと立つ一機の自動販売機と向かい合う。美琴が叩き込んだいくつもの蹴りの跡を労るように、上条は自動販売機の側面を右手でそっと撫でると、今度こそ自分が暮らす学生寮に向かって歩き出した。  上条当麻は防犯の役に立っているか分からない寮の入り口をくぐり抜け、上の階に止まっているエレベーターが一階に下りてくるのを待っていた。  キンコーン、と言うチャチな電子音が響き、落書きをシンナーでこすって消したように薄汚れたドアが自動で開く。上条はエレベーターに乗り込むと中で回れ右して七階のボタンを押そうと指を伸ばしかけ、御坂美琴はその後ろから全速力で走って閉まりかけたエレベーターのドアを手で押さえると、飛び込むように乗り込んだ。 「久しぶり」 「……御坂か。久しぶりだな」  上条は美琴から目を逸らしたまま七と書かれたボタンを押し、閉ボタンに指をかける。エレベーターのドアは鈍い音を立てて閉まり、無言の二人を乗せて七階へと向かう。もう一度キンコーン、という電子音が鳴るとドアは開き、二人はエレベーターの外へ放り出された。エレベーターホールから上条の部屋までは直線通路で、鞄を肩に担いだ上条の後ろを左手に鞄を提げた美琴がついて歩く。 「何か用か? っつーかお前、もうすぐ門限じゃねえか。何こんなところで油売ってんだよ。鞄置いたら送ってってやるからちっと待ってろ」  上条は自分の部屋の前でポケットから鍵を引き抜き、シリンダー錠に差し込む。カチャリと一回右に回して解錠するとドアノブを握り締め、鞄を中に放り込めるだけのすき間を空けた。美琴は上条の後ろからそのすき間にすかさず右手を差し込んで 「アンタに話があるの」 「俺には何もねえぞ」 「アンタの都合なんか聞いてない。中に入れて」 「それはまた今度聞くって」 「大事な話なの。アンタにも、私にも」  上条の肩がギクン! と固まり、それまで無関心を装っていた黒い瞳が不安定に揺れ出した。上条は一度苦しげに息を吐き出すと、ドアを大きく引いて玄関に足を踏み入れる。美琴もその後に続き、背後でドアが閉じるのを確認すると、左手に鞄を持ったまま上条を後ろから抱きしめた。 「先に言っとくけど、今夜は帰らないわよ」 「…………」 「覚悟して来たから」 「……好きにしろよ」  上条を抱きしめていた両腕のうち右手だけを離し、美琴は後ろ手に玄関の扉の鍵をガチャリ、とわざと上条にも音が聞こえるように閉める。  退路は断った。覚悟は決めた。  御坂美琴は退かない――――――――――――全てを知るまでは。  上条が作ってくれた料理を食べて、上条のYシャツとバスタオルとユニットバスを借りてお風呂を済ませ、上条が床に敷いた布団の上にぺたんと座り、美琴は上条を待っていた。  美琴は若干乾きの甘い茶色の髪をかき上げながら (やっぱりこっちでお膳立てしないとダメ、か)  はぁ、とため息をつく。  こう言った事は、上条はおそらく『初めて』だろう。と言っても美琴に何ができるわけでもない。  あの日の夜にしてやれなかった事を、今夜してやるだけの話。  上条が自炊生活の先輩を名乗るなら、美琴が恋愛の先輩を名乗ったって良いはずだ。 「ん? お前布団の方が良いのか? そういや常盤台じゃふかふかな高級ベッドだから、やっぱこういう日頃使わないもんに変な憧れ持ってたりすんのか?」  風呂を終えてツンツン頭の上にタオルを乗せて、わしゃわしゃと髪を拭きながら 「じゃあ俺ベッドで寝るけど」  上条は頭にかぶせたタオルで美琴の視線を遮り、ベッドに腰を下ろした。美琴は布団から立ち上がり、上条の隣に座ると 「ほら、頭出せー」  両手を使ってわしゃわしゃわしゃー、と上条のツンツン頭をタオルで拭いてやる。 「ちょ、良いって俺子供じゃねーから自分で拭ける拭けます拭くんだってば!」  上条がベッドの縁に沿って横に一歩ずれる。 「動いたらちゃんと拭けないでしょうが」  美琴がそれを追い駆ける。 「だから良いって!」  上条がもう一歩ずれる。 「おとなしくしなさいよ!」  美琴が追い詰める。  ベッドの端から端へ移動する追いかけっこは、上条が反対側の縁に追い詰められて行き詰まる。 「そっから動くんじゃないわよ」  タオルの上から美琴がガシィッ! と上条の頭を掴み、ゴシゴシゴシゴシと上条の髪についた余分な水分をタオルで拭き取っていく。逃げ場のない上条は無理に抵抗するのが余計子供臭く見えるのがよっぽど嫌なのか、あきらめて美琴に任せていた。 「よし、できた」  美琴は上条の頭からタオルを取り去ると、近場のハンガーを手に取ってタオルを掛けて壁に干す。ベッドに腰掛ける上条の隣に、わざと距離を詰めて座ると 「で……話があるんだけど」 「……何の話だよ」 「アンタが、私に……しなきゃなんない話があるはずよ」 「……俺は何にもねーぞ」  上条は美琴に背を向け、視線は下へ。  今の自分を見て欲しくない。離れて欲しいと訴えるように。  美琴は上条の両頬に自分の両の掌を添えて 「アンタね……彼女にいつまでも隠し事ができっとでも思ってんのか、こんのド馬鹿!」  そのままグキッ! と上条の首を強引にひねり、上条の顔を自分に向けさせた。 「こうやってアンタが私の顔を見るのは、私がアンタを学校まで送ってった日以来じゃない?」 「……そうだっけ?」 「アンタの考えてる事なんて、顔見りゃ分かるって前に言ったでしょ。……っつー事で、とっとと吐け」 「……何を?」 「あの日アンタが私を見て思った事全部よ」 「……何にもねーって」 「とぼけんな。……私には分かる。私もアンタと同じだったから、アンタがあの時何考えてたか分かる。私はあの日アンタを一人で帰すんじゃなかった。そしたらアンタはこんなに苦しまずに済んだ。……違う?」  美琴が上条に告白する前、美琴は上条を目の前にすると息もできないくらいに苦しくてたまらなかった。言いたくても言えないもどかしさで胸がいっぱいになって、どうして気持ちが伝わらないんだろうと一人でずっともがいていた。そのくせ上条のそばにいたいと願っては、反発を繰り返した。  あの頃の美琴と、今の上条は同じ目をしていた。  『それ』は蒸気のように熱を持って体内で暴れ回り、押さえつけなくてはならないと思っても押さえつける事に苦痛を感じる、誰かへの止められない思いそのもの。  答えは矛盾。  愛する者の名を口に出せずに呼び続ける、魂の叫びが生み出す矛盾だった。  美琴は上条の頬からいったん両手を離し、 「私の顔見て話すのがつらかったら、こうしててあげるから。アンタのそれは言っちゃった方が楽になるから。ゆっくりで良いから、彼女の私に全部言いなさい。アンタは私と違って、フラれる確率ゼロパーセントなのよ? 何が怖いの?」  母親が子にするようにそっと、上条の頭を両手で包み込んだ。 「アンタね、人に弱音吐いて良いとか言いたい事全部言えとか言っといて、何でそれを自分に当てはめないのよ。何で自分の理論を自分にだけは当てはめないのよ。何でアンタは、アンタの隣にいる私に何にも言わないのよ! ……ここにはアンタと私しかいないんだから、全部吐き出してもう楽になんなさい」  上条は小さくゆっくり頷いて 「……御坂、俺はさ。初めてお前にあった時『変な奴』だと思った。俺の中にお前の記憶はなくて、でもお前は俺を知ってて、いきなり電撃浴びせてくるし中学生なのにタメ口だしな。年上に対して口の利き方を知らない、生意気な奴だと思ったよ」 「うん」 「お前は見ず知らずの他人に恋人役を頼んでくるような非常識な奴で、何かあるとすぐ突っかかってくるしケンカ売ってくるし、わがままでうるさい奴だと思った」 「……わ、悪かったわね。その節はどうも」 「そんなお前が俺の事を好きだと言ってきて、最初は騙されてると思った。でもお前は本気で俺の事を好きでいてくれて、片思いでも良いって言い切った。俺はお前をすげーと思った。年下なのにすげー奴だって心から尊敬した。あの時俺は本当に負けたと思った」 「……だからアンタ、あの時勝った負けたって言って……」 「そんなお前の事をだんだん可愛いと思うようになって、でもお前はまだ中学生で、やっぱりそれは、そんな風に考えちゃいけねえって……。だから御坂、俺はお前と友達でいたかった。友達のままで…………いたかったんだ…………」  上条は心の中からかなわぬ願いを取り出して 「……そんなの無理ね。私はアンタの恋人になりたかった。ずっとアンタのそばにいたかったから。アンタの隣で、誰よりもアンタの一番近くにいたいと、そう願ったから」  美琴はかなえたい思いを差し出した。 「そうだよな。お前は俺に打ち明けて、俺はそれをオッケーしたんだから、友達でいるのはあの時で終わりだったんだよな。でも俺は戻れるんじゃないかと思った。お前から距離を置けば、風邪を引いた熱が下がるように戻れるんじゃないかと思ってた。……お前の言うとおり、無理だった。離れれば離れるほどどんどんお前に会いたくなって、声が聞きたくなって、そばにいて欲しいと思うようになっちまった。お前が苦しい時にはそばにいてやりたいと思った。お前が俺にそうして欲しいと思う事をしてやりたいと思った」 「……で? 友達だとか距離を置くとか会いたいとかそばにいたいとかいて欲しいとかそう言う小っさい事を取っ払って、アンタの心の中に残ったものは何?」 「御坂」  上条はおそるおそる美琴を抱きしめて 「俺は、お前が、好きなんだ。……苦しかった。すげー悩んでつらかった。でも全部取っ払ったら最後に残ったのは『お前が好きだ』って気持ちだけだった」  きっぱりと告げた。  上条当麻という少年は好意を向けられる事に対して非常に疎い。というより、好意を向けられる事をどこかで恐れているように見えた。そうではなく、『特別な好意』そのものが分からなかったから、自分から遠ざけていただけだった。  初恋に立ち向かっていった美琴と、初恋の前で途惑っていた上条の、友達以上恋人未満だった時間はこの日終わりを迎えた。 「やっと言ったか、この馬鹿。……大好き。アンタを誰よりも大事にするからね」  美琴は今できる精一杯の笑顔と共に、今度こそ恋人を強く抱きしめた。 「御坂、誰かを好きになるって、こんなにつらくて苦しいんだな。俺はちっとも知らなかった。こんなもんを抱えられるなんて、お前はやっぱすげーよ」 「でもその分、好きな人がそばにいてくれるってのは幸せでしょ? その人に何かしてあげられるって事は、嬉しいと思わない?」  上条は美琴の腕の中で 「やっとお前の言う事が分かった」  大きく頷いた。 「そ。だからアンタはこれから、私の事をよく見てなさい。私が何をすれば喜ぶか知りたかったらね」 「ああ」  そして、美琴はニヤリと笑うと上条を抱きしめていた腕を解いて 「さて、私の彼氏のアンタに早速聞いておきたい事があんだけど。……アンタが今日の放課後、学校から一緒に出てきた髪の長い女の子はアンタの何?」  上条の胸ぐらをむんずと掴み上げる。 「あ、あの……お前どこにいたの?」 「アンタに会いにアンタの学校へ行ったら、アンタが私の居場所に他の女の子侍らせて出て来るんだもん。人の事避けといてあれは何? ちゃんと分かるように説明してもらうわよ! 大体アンタの周りはどうして揃いも揃って………」  胸が大きい子ばかりなのよ、と言えずに美琴は口ごもる。 「あー、えーと、お前が見たのは吹寄だな。俺のクラスメートで委員とかをするのが大好きな仕切り屋の委員が趣味……って言えばいいのか? お前との事を相談してたんだよ。俺、女の気持ちなんてわかんねーから」 「……はい?」  それで相談結果がサプリメントと頭突きのセットとはどういうことだったんだろう? 「そしたら何か吹寄怒っちゃってさ。話になんなくて……だからお前が前に言ってた浮気? とかじゃねーから」  俺はお前だけだから、と上条がニカッと笑って美琴の頭を撫でる。美琴はそれが嬉しくて、嬉しい顔を上条に見せるのが何となく悔しくて少しだけうつむいた。  上条は美琴の髪を撫でる手をゆっくりと離し 「だからえーと。改めて、これからもよろしくな。『彼女』」 「……初めまして、『彼氏』。これからよろしく」  美琴は顔を上げて、小さく微笑んだ。  上条当麻は最低の彼氏だ。  下の名前で美琴を呼んでくれない。美琴がおしゃれをしても気づかない。まともにデートに誘ってくれない。美琴の誕生日も血液型も知らない。美琴を子供扱いしてキスさえ満足にしてくれない。  そんな上条に我慢できずに別れようとした事もあった。上条を思い続ける苦しさに押しつぶされそうになった事もあった。みっともなく泣き喚いて上条の前でだだをこねた事もあった。  それらは全て、この先にまだ長く続く物語のプロローグ。  少しだけ長いプロローグがやっと終わって。  こんなにももどかしい世界の上で、御坂美琴と上条当麻は今ようやく、恋人の一歩を踏み出した。 ---- #navi(上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/Equinox)
---- #navi(上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/Equinox) もどかしい世界の上で Ordinary_world.  学舎の園の中ではそれ以外に所属する生徒の姿が目立つように、平凡を絵に描いたような上条の高校の校門前では常盤台中学の制服は実に人目を引く。  三々五々に帰宅する学生達は一様に、校門の前で両腕を組んで右足の爪先で地面をトントンと叩いてイライラしながら立っている美琴をチラチラと眺めつつ足早に行き過ぎる。勇気を出してナンパを挑む男子学生は雷撃の槍で追い払い、美琴はポケットから携帯電話を取り出すと、受信メールフォルダの中身をもう一度確認する。  今日の上条の言い訳は『完全下校時刻まで居残り』だ。それが本当ならここで待っていればいずれ上条は出てくるが (わったっしっはー、待ち伏せも持久戦も得意じゃないっつーの!)  そろそろ我慢の限界だった。  とてもじゃないが完全下校時刻まで待っていられない。教師達に見つからないよう壁を登って校内に侵入してやろうかしらと美琴が危険な考えに至ったところで、校舎の方からツンツン頭の学生がややお疲れの様子でトボトボと歩いてきた。 「ちょっとアンタ待ちな―――――――――――――――ッ?」  上条を呼び止めるべく叫びかけて、美琴はとっさに校門の影に身を潜めた。上条の左隣に、見慣れない人物が一人。彼女は肩を超えて伸ばされた髪、美しく整えられた眉とおでこ、膝丈より上で揺れるセーラー服のスカート。そして美琴では太刀打ちできないサイズに素直に負けを認めて舌打ち。 (またか……またか、またかアンタはコンチクショーッ! 彼女ほったらかしで鼻の下伸ばして他の女とにこやかに何話しちゃってるわけ? これは一体どういうことなのよーっ!!)  薄っぺらな学生鞄と拳を振り回し今すぐ上条の首根っこを掴みたいのをぐぐぐと堪え、美琴は校門の影にしゃがみ込んで二人をやり過ごす。美琴のそばを二人が通り過ぎた時に会話の内容に耳を傾ければ上条が鼻を伸ばしていたわけでもにこやかに会話していたわけでもないのはすぐに分かるのだが、今の美琴の耳には入らない。  二人の腰の高さくらいまでしゃがみ込んでいだ美琴には気づかず、上条とおでこな少女は何事かを話しながら通り過ぎて行った。  距離は五メートル。風向きは北北西。もうすぐ完全に太陽が西に沈む時刻。  美琴は立ち上がると薄っぺらな学生鞄を肩に担ぎ、二人の追跡を開始した。  美琴の追跡劇はあっという間に終わった。  とある高校から一キロも離れないうちに、上条の左隣を占める少女がポケットから何かプラスチックボトルのようなものを取り出し、上条の左腕を取ると親指でキャップを弾いてからボトルの中に入っていた錠剤のようなものをザラザラザラーッと上条の掌に山盛りに注ぎ、最後に上条に頭突きをお見舞いして足早に立ち去ったのだ。  少女の頭突き一発で倒された上条は、仰向けにひっくり返りながらも掌の中の錠剤を一つもこぼさない。なかなかどうして律儀な奴だ。  上条はうう、と頭を振って立ち上がり、次に周囲をキョロキョロと見回して自動販売機を見つけると、ポケットの中から小銭を探り出して小さなペットボトルのミネラルウォーターを購入する。上条は掌の中の錠剤を全部まとめて口の中に放り込むとゴキュゴキュと音を立て、一気にミネラルウォーターと共に飲み干した。  上条の掌の中にあったのは、たぶん何かのサプリメントだろう。でもサプリメントはそうやって摂るもんじゃないわよとツッコミそうになって、美琴は慌てて自分の口を塞ぐ。  ペットボトルをゴミ箱に捨てた上条は、肩に学生鞄を担ぎトボトボと歩き出す。その後を美琴が五メートルの距離を開けて尾行する。上条は何かの目的があるのか、ややうつむき気味のままでも足取りはしっかりしていた。 (アイツ、どこに行くつもりなんだろう?)  美琴は上条を呼び止める事も忘れ、五メートルの距離を置いたまま上条の後ろを歩く。雑踏に紛れる二つの足音は等間隔で歩き続け、上条は急に足を止めた。  ビルだ。  最近外壁を塗装し直したらしく、建物の古さに似合わず壁が不自然に白いビルだった。四階にはピザ専門店が入っている、いわゆる複合飲食店舗だ。上条はそのビルを一度だけ見上げ、また歩き始めた。 (???)  上条の行動の意味が分からない。次は地下街にある携帯電話のサービス店の店頭で足を止めた。店頭に展示された携帯電話ではなく、店の中をじっと見つめ、それから上条は歩き出す。美琴がそれを追い駆ける。  コンサートホール。  大通り。  非合法地下カジノの入った雑居ビル。  第二二学区の第七階層。  川をまたぐ鉄橋――――――――そして学園都市外れの工業地帯にある操車場。  順番はバラバラだった。道順はでたらめだった。行き先にはいくつかの抜けもあった。そしてそれらには共通項が存在した。  今日上条が赴いた場所は全て、ケンカ友達だった頃の美琴と上条が二人一緒に立っていた場所だった。  後ろから美琴が付いてきている事も知らず、上条は鞄を担いだまま歩き、最後に路上にぽつんと立つ一機の自動販売機と向かい合う。美琴が叩き込んだいくつもの蹴りの跡を労るように、上条は自動販売機の側面を右手でそっと撫でると、今度こそ自分が暮らす学生寮に向かって歩き出した。  上条当麻は防犯の役に立っているか分からない寮の入り口をくぐり抜け、上の階に止まっているエレベーターが一階に下りてくるのを待っていた。  キンコーン、と言うチャチな電子音が響き、落書きをシンナーでこすって消したように薄汚れたドアが自動で開く。上条はエレベーターに乗り込むと中で回れ右して七階のボタンを押そうと指を伸ばしかけ、御坂美琴はその後ろから全速力で走って閉まりかけたエレベーターのドアを手で押さえると、飛び込むように乗り込んだ。 「久しぶり」 「……御坂か。久しぶりだな」  上条は美琴から目を逸らしたまま七と書かれたボタンを押し、閉ボタンに指をかける。エレベーターのドアは鈍い音を立てて閉まり、無言の二人を乗せて七階へと向かう。もう一度キンコーン、という電子音が鳴るとドアは開き、二人はエレベーターの外へ放り出された。エレベーターホールから上条の部屋までは直線通路で、鞄を肩に担いだ上条の後ろを左手に鞄を提げた美琴がついて歩く。 「何か用か? っつーかお前、もうすぐ門限じゃねえか。何こんなところで油売ってんだよ。鞄置いたら送ってってやるからちっと待ってろ」  上条は自分の部屋の前でポケットから鍵を引き抜き、シリンダー錠に差し込む。カチャリと一回右に回して解錠するとドアノブを握り締め、鞄を中に放り込めるだけのすき間を空けた。美琴は上条の後ろからそのすき間にすかさず右手を差し込んで 「アンタに話があるの」 「俺には何もねえぞ」 「アンタの都合なんか聞いてない。中に入れて」 「それはまた今度聞くって」 「大事な話なの。アンタにも、私にも」  上条の肩がギクン! と固まり、それまで無関心を装っていた黒い瞳が不安定に揺れ出した。上条は一度苦しげに息を吐き出すと、ドアを大きく引いて玄関に足を踏み入れる。美琴もその後に続き、背後でドアが閉じるのを確認すると、左手に鞄を持ったまま上条を後ろから抱きしめた。 「先に言っとくけど、今夜は帰らないわよ」 「…………」 「覚悟して来たから」 「……好きにしろよ」  上条を抱きしめていた両腕のうち右手だけを離し、美琴は後ろ手に玄関の扉の鍵をガチャリ、とわざと上条にも音が聞こえるように閉める。  退路は断った。覚悟は決めた。  御坂美琴は退かない――――――――――――全てを知るまでは。  上条が作ってくれた料理を食べて、上条のYシャツとバスタオルとユニットバスを借りてお風呂を済ませ、上条が床に敷いた布団の上にぺたんと座り、美琴は上条を待っていた。  美琴は若干乾きの甘い茶色の髪をかき上げながら (やっぱりこっちでお膳立てしないとダメ、か)  はぁ、とため息をつく。  こう言った事は、上条はおそらく『初めて』だろう。と言っても美琴に何ができるわけでもない。  あの日の夜にしてやれなかった事を、今夜してやるだけの話。  上条が自炊生活の先輩を名乗るなら、美琴が恋愛の先輩を名乗ったって良いはずだ。 「ん? お前布団の方が良いのか? そういや常盤台じゃふかふかな高級ベッドだから、やっぱこういう日頃使わないもんに変な憧れ持ってたりすんのか?」  風呂を終えてツンツン頭の上にタオルを乗せて、わしゃわしゃと髪を拭きながら 「じゃあ俺ベッドで寝るけど」  上条は頭にかぶせたタオルで美琴の視線を遮り、ベッドに腰を下ろした。美琴は布団から立ち上がり、上条の隣に座ると 「ほら、頭出せー」  両手を使ってわしゃわしゃわしゃー、と上条のツンツン頭をタオルで拭いてやる。 「ちょ、良いって俺子供じゃねーから自分で拭ける拭けます拭くんだってば!」  上条がベッドの縁に沿って横に一歩ずれる。 「動いたらちゃんと拭けないでしょうが」  美琴がそれを追い駆ける。 「だから良いって!」  上条がもう一歩ずれる。 「おとなしくしなさいよ!」  美琴が追い詰める。  ベッドの端から端へ移動する追いかけっこは、上条が反対側の縁に追い詰められて行き詰まる。 「そっから動くんじゃないわよ」  タオルの上から美琴がガシィッ! と上条の頭を掴み、ゴシゴシゴシゴシと上条の髪についた余分な水分をタオルで拭き取っていく。逃げ場のない上条は無理に抵抗するのが余計子供臭く見えるのがよっぽど嫌なのか、あきらめて美琴に任せていた。 「よし、できた」  美琴は上条の頭からタオルを取り去ると、近場のハンガーを手に取ってタオルを掛けて壁に干す。ベッドに腰掛ける上条の隣に、わざと距離を詰めて座ると 「で……話があるんだけど」 「……何の話だよ」 「アンタが、私に……しなきゃなんない話があるはずよ」 「……俺は何にもねーぞ」  上条は美琴に背を向け、視線は下へ。  今の自分を見て欲しくない。離れて欲しいと訴えるように。  美琴は上条の両頬に自分の両の掌を添えて 「アンタね……彼女にいつまでも隠し事ができっとでも思ってんのか、こんのド馬鹿!」  そのままグキッ! と上条の首を強引にひねり、上条の顔を自分に向けさせた。 「こうやってアンタが私の顔を見るのは、私がアンタを学校まで送ってった日以来じゃない?」 「……そうだっけ?」 「アンタの考えてる事なんて、顔見りゃ分かるって前に言ったでしょ。……っつー事で、とっとと吐け」 「……何を?」 「あの日アンタが私を見て思った事全部よ」 「……何にもねーって」 「とぼけんな。……私には分かる。私もアンタと同じだったから、アンタがあの時何考えてたか分かる。私はあの日アンタを一人で帰すんじゃなかった。そしたらアンタはこんなに苦しまずに済んだ。……違う?」  美琴が上条に告白する前、美琴は上条を目の前にすると息もできないくらいに苦しくてたまらなかった。言いたくても言えないもどかしさで胸がいっぱいになって、どうして気持ちが伝わらないんだろうと一人でずっともがいていた。そのくせ上条のそばにいたいと願っては、反発を繰り返した。  あの頃の美琴と、今の上条は同じ目をしていた。  『それ』は蒸気のように熱を持って体内で暴れ回り、押さえつけなくてはならないと思っても押さえつける事に苦痛を感じる、誰かへの止められない思いそのもの。  答えは矛盾。  愛する者の名を口に出せずに呼び続ける、魂の叫びが生み出す矛盾だった。  美琴は上条の頬からいったん両手を離し、 「私の顔見て話すのがつらかったら、こうしててあげるから。アンタのそれは言っちゃった方が楽になるから。ゆっくりで良いから、彼女の私に全部言いなさい。アンタは私と違って、フラれる確率ゼロパーセントなのよ? 何が怖いの?」  母親が子にするようにそっと、上条の頭を両手で包み込んだ。 「アンタね、人に弱音吐いて良いとか言いたい事全部言えとか言っといて、何でそれを自分に当てはめないのよ。何で自分の理論を自分にだけは当てはめないのよ。何でアンタは、アンタの隣にいる私に何にも言わないのよ! ……ここにはアンタと私しかいないんだから、全部吐き出してもう楽になんなさい」  上条は小さくゆっくり頷いて 「……御坂、俺はさ。初めてお前にあった時『変な奴』だと思った。俺の中にお前の記憶はなくて、でもお前は俺を知ってて、いきなり電撃浴びせてくるし中学生なのにタメ口だしな。年上に対して口の利き方を知らない、生意気な奴だと思ったよ」 「うん」 「お前は見ず知らずの他人に恋人役を頼んでくるような非常識な奴で、何かあるとすぐ突っかかってくるしケンカ売ってくるし、わがままでうるさい奴だと思った」 「……わ、悪かったわね。その節はどうも」 「そんなお前が俺の事を好きだと言ってきて、最初は騙されてると思った。でもお前は本気で俺の事を好きでいてくれて、片思いでも良いって言い切った。俺はお前をすげーと思った。年下なのにすげー奴だって心から尊敬した。あの時俺は本当に負けたと思った」 「……だからアンタ、あの時勝った負けたって言って……」 「そんなお前の事をだんだん可愛いと思うようになって、でもお前はまだ中学生で、やっぱりそれは、そんな風に考えちゃいけねえって……。だから御坂、俺はお前と友達でいたかった。友達のままで…………いたかったんだ…………」  上条は心の中からかなわぬ願いを取り出して 「……そんなの無理ね。私はアンタの恋人になりたかった。ずっとアンタのそばにいたかったから。アンタの隣で、誰よりもアンタの一番近くにいたいと、そう願ったから」  美琴はかなえたい思いを差し出した。 「そうだよな。お前は俺に打ち明けて、俺はそれをオッケーしたんだから、友達でいるのはあの時で終わりだったんだよな。でも俺は戻れるんじゃないかと思った。お前から距離を置けば、風邪を引いた熱が下がるように戻れるんじゃないかと思ってた。……お前の言うとおり、無理だった。離れれば離れるほどどんどんお前に会いたくなって、声が聞きたくなって、そばにいて欲しいと思うようになっちまった。お前が苦しい時にはそばにいてやりたいと思った。お前が俺にそうして欲しいと思う事をしてやりたいと思った」 「……で? 友達だとか距離を置くとか会いたいとかそばにいたいとかいて欲しいとかそう言う小っさい事を取っ払って、アンタの心の中に残ったものは何?」 「御坂」  上条はおそるおそる美琴を抱きしめて 「俺は、お前が、好きなんだ。……苦しかった。すげー悩んでつらかった。でも全部取っ払ったら最後に残ったのは『お前が好きだ』って気持ちだけだった」  きっぱりと告げた。  上条当麻という少年は好意を向けられる事に対して非常に疎い。というより、好意を向けられる事をどこかで恐れているように見えた。そうではなく、『特別な好意』そのものが分からなかったから、自分から遠ざけていただけだった。  初恋に立ち向かっていった美琴と、初恋の前で途惑っていた上条の、友達以上恋人未満だった時間はこの日終わりを迎えた。 「やっと言ったか、この馬鹿。……大好き。アンタを誰よりも大事にするからね」  美琴は今できる精一杯の笑顔と共に、今度こそ恋人を強く抱きしめた。 「御坂、誰かを好きになるって、こんなにつらくて苦しいんだな。俺はちっとも知らなかった。こんなもんを抱えられるなんて、お前はやっぱすげーよ」 「でもその分、好きな人がそばにいてくれるってのは幸せでしょ? その人に何かしてあげられるって事は、嬉しいと思わない?」  上条は美琴の腕の中で 「やっとお前の言う事が分かった」  大きく頷いた。 「そ。だからアンタはこれから、私の事をよく見てなさい。私が何をすれば喜ぶか知りたかったらね」 「ああ」  そして、美琴はニヤリと笑うと上条を抱きしめていた腕を解いて 「さて、私の彼氏のアンタに早速聞いておきたい事があんだけど。……アンタが今日の放課後、学校から一緒に出てきた髪の長い女の子はアンタの何?」  上条の胸ぐらをむんずと掴み上げる。 「あ、あの……お前どこにいたの?」 「アンタに会いにアンタの学校へ行ったら、アンタが私の居場所に他の女の子侍らせて出て来るんだもん。人の事避けといてあれは何? ちゃんと分かるように説明してもらうわよ! 大体アンタの周りはどうして揃いも揃って………」  胸が大きい子ばかりなのよ、と言えずに美琴は口ごもる。 「あー、えーと、お前が見たのは吹寄だな。俺のクラスメートで委員とかをするのが大好きな仕切り屋の委員が趣味……って言えばいいのか? お前との事を相談してたんだよ。俺、女の気持ちなんてわかんねーから」 「……はい?」  それで相談結果がサプリメントと頭突きのセットとはどういうことだったんだろう? 「そしたら何か吹寄怒っちゃってさ。話になんなくて……だからお前が前に言ってた浮気? とかじゃねーから」  俺はお前だけだから、と上条がニカッと笑って美琴の頭を撫でる。美琴はそれが嬉しくて、嬉しい顔を上条に見せるのが何となく悔しくて少しだけうつむいた。  上条は美琴の髪を撫でる手をゆっくりと離し 「だからえーと。改めて、これからもよろしくな。『彼女』」 「……初めまして、『彼氏』。これからよろしく」  美琴は顔を上げて、小さく微笑んだ。  上条当麻は最低の彼氏だ。  下の名前で美琴を呼んでくれない。美琴がおしゃれをしても気づかない。まともにデートに誘ってくれない。美琴の誕生日も血液型も知らない。美琴を子供扱いしてキスさえ満足にしてくれない。  そんな上条に我慢できずに別れようとした事もあった。上条を思い続ける苦しさに押しつぶされそうになった事もあった。みっともなく泣き喚いて上条の前でだだをこねた事もあった。  それらは全て、この先にまだ長く続く物語のプロローグ。  少しだけ長いプロローグがやっと終わって。  こんなにももどかしい世界の上で、御坂美琴と上条当麻は今ようやく、恋人の一歩を踏み出した。 ---- #navi(上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/Equinox)

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