とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part00

最終更新:

NwQ12Pw0Fw

- view
だれでも歓迎! 編集


~プロローグ~


「はぁ…」
上条当麻はいつもの公園で大きく溜息をついた
いつもの…そういつもビリビリ中学生こと御坂美琴と出会う、あのお金を飲み込む自販機がある公園だ。

日差しはそれほど厳しいわけでもなく、むしろ優しさすら感じるほどのものでしかない
それでも上条当麻は目を細めながら天を仰いでいる…
何故なら昨日から今に至るまでの不幸(きおく)を思い出しているからである

□ □ □

季節は春
高校二年に進む事のできた上条は危なげなかった進級をものにした事により少しながら幸せを感じていた。
戦争は終わり、戦争の傷跡はまだまだ回復したとは言えないがいずれ癒えるだろう
同居人のインデックスはまだイギリスで療養している
フィアンマの使った霊装により多大な負荷がかかった為、しばらく療養する事になった
心配かと言われれば心配だが、神裂やステイル、天草式の建宮等が任せてくれと言ってくれた。
インデックスの状態は五和や神裂の送ってくる便りで知る事もできている。

「はぁ…今日から二年か、そーいう実感がわかないんですがね…」
上条は始業式を終え、人もまばらになった教室で一人ぼやく…
そこへ見慣れた2人が寄って来る

「かみやんと同じクラスになるなんてどうしたもんかにゃー」
「いやいや、かみやんと同じクラスになる事でまた小萌先生が担任やから幸せやで~」
そう青ピと土御門、デルタフォース(三バカ)は進級しても継続される事が決定しました

「俺と小萌先生が何故セットにされてるか激しく疑問なんだが、これからもよろしくな」
そう言ってよくよく考えれば吹寄も姫神もこのクラスの一員だ…
またアクの強いメンバーが揃ったものだ

「それでかみやん、この後予定はあるのかにゃ?あるんだったら急いで帰った方がいいぜよ」
不適な笑みを浮かべた土御門はこちらを遠くから睨みつけている吹寄をチラッと見た
「どうやら役員が足りなくて俺らを捕まえたいらしいのにゃー」
軽く言ってるが逃げる気満々と言った土御門の態度が吹寄を煽っている気がする…
「な、なあかみやん、そろそろ射程範囲に入ることやし…逃げへんか?」
「そ、そうだな」
「それじゃ、俺は舞夏との約束があるんで先に失礼するぜよ」
土御門が脱兎の如く走り出した瞬間を合図に3人は走り出した。

□ □ □

「はぁ、はぁ、はぁ…なんとか逃げ切ったか」
吹寄の追跡を振り切っていつもの公園まで来ていた

「いつもなら御坂に追いかけられるのに今日は吹寄か…
まさかこの後御坂にも追いかけられるとかって言うんじゃねえだろうな…」

ベンチに背を預けグッタリしている上条は「不幸だ…」と呟いた
「・・・・・・ん?」
ふと誰かの視線に気付いたが…公園にはひとっこひとり見当たらない

「???誰かいんのか?」
誰も見当たらないが気配は感じるので、一応声を出して確認してみた
するとベンチの後ろ、つまり背後から小さい声が聞こえてきた

「あ、すいません。驚かしてしまいました?」
少年の声のような少女のような声といった感じの声だった、つまり若いが少し高い音域の声だ

「いや、そういうわけじゃないが視線を感じたもので・・・」
そう言っている間に後ろからごそごそと起き上がる音がして上条の前に出てきた

「こんにちは、上条さん」
「?あ、どうも」
あれ?こんなやつ知り合いにいたっけ・・・
上条はもしや『数ヶ月ぶりに再会した記憶喪失前の知り合い』の可能性に焦った
しかし…
「いやですね~上条さん、今日から同じクラスになった人に敬語はないですよ?」
笑いながらそう言った彼?彼女?は私服も容姿も中性的で結論からしてどっち?の状態だ

「あー、すまん、まだ新しいクラスのメンバー全員名前は覚えてないんだ…悪いな」
本当にすまなそうにしていた上条を見てか彼?彼女?は

「あーごめんごめん、馴れ馴れしかったかな?私は汰鶴、縁田(えにしだ)汰鶴(たつる)」
彼女?彼?は縁田汰鶴と名乗った

「縁田か、一応知ってるかもしれないけど自己紹介するか、上条当麻だよろしくな」
そういって縁田をよく見ると中性的過ぎてまだどっちかよく判らなかった
そんな首をかしげている上条を見て縁田が

「なんですか、人をジロジロ見て…まさかそっちの気があるんじゃないですよね?」
と言ってきたのを聞きはっきり分かった
「いや~ははは、なんと言うか中性的過ぎてどっちか迷ってたんだが…男か」
上条は安堵の溜息をついた
女性だったらジロジロ見たことを謝らなければならないと思っていたからだ
しかし縁田には違う意味で捉えられたらしい…

「女じゃなくて悪かったですね、個人的にはこういう中途半端な容姿っていうか中性的過ぎるのが嫌いなわけであっちの気がある奴から見たらそれはもう極上の獲物と言われる位で…そういえばフラグ体質でモテモテなんですよね上条さん?」
前半早口な上非常に暗い顔をされたので困ったが話は別方向へ流して消したいらしい…

「へ?」
縁田の話を聞いてていきなりの自分への質問に対応できなかった

「上条さんの仲間の方で…名前はまあいいです忘れました
青い髪のピアス君が『かみやんはフラグ体質で女の子の敵なんやでー』
って言ってましたからプレイボーイかなんかかと思ってたんですが違うみたいですね」
青ピの声マネを織り交ぜ、あははと軽く笑う彼を見て上条は好感が持てると思った
そしてふとまた誰かの視線を感じた

□ □ □

少し時間をさかのぼり

御坂美琴は例の公園に向かって歩いてた
「まったく、アイツはどこであぶらうってんのかしら」
そう呟いて彼女は周りから見てもイライラしてるのが分かるような雰囲気を出している
しかも、あぶらをうるもなにもアイツと呼ばれた人物こと上条当麻は美琴とは約束らしい約束もしてないのでどこにいようが自由のはずである

「電話は電池切れだし、やっぱりいつもの公園で待ち伏せしかないか」
そう御坂美琴は上条当麻に惚れていて今週の週末の予定を聞きだしてデートにでもなればなぁ…
なんて淡い期待を鈍感男上条に求めているのである

鈍感な時点で気付くはずも無く、大覇星祭や罰ゲーム、一端覧祭にクリスマスとバレンタイン…すべて空振りに終ってしまった。
「まあ、楽しかった事は楽しかったけどさ…ブツブツ」
思い出に浸りながらも懸命に上条を探さんとする今の美琴を後輩の白井や初春、佐天らが見たら不自然だとツッコムだろうが今はその知り合いは近くにいない
常盤台の制服で目立つが余りにも行動が怪しく誰もが避けるような感じである

そうこうしているうちに公園に着いたが…
「アイツは…あ、いたいた…ってアイツ誰と喋ってんのよ」
後半は若干イライラが入ったが同じクラスとか聞こえてきたのでクラスメイトだと理解した
盗み聞きは悪いと思いながらもこっそりと木陰から木陰へと移り話が聞こえるところまで来た

「…プレイボーイかなんかかと思ってたんですが違うみたいですね」
あははと笑っているアイツの隣の…男?女?は普通に上条と話しているのだが…
美琴はそんな上条の普通に話している顔をそれほど見た事がないような気がする…

「なによアイツ…私といる時はあんな顔あまりしないのに…」
それはそうであろうなにかあれば電撃を飛ばし、一方的に怒ったりもすれば上条はゲンナリする方が多いだろう。しかも、周りの雰囲気がそうさせない場合もある絶対能力進化計画や大覇星祭初日、戦争などである。

「ああいうふうに落ち着いて話せたら、ああいう顔もたくさん見れるのかな…ってやば」
いいなぁと羨望の眼差しを送っていた所為か上条がふとこちらに視線を向けそうになり隠れた
「ん?気の所為か?」
「どうしたんです?上条さん」
「いや、誰かに見られてたような…」
と会話が続いていたが美琴は隠れてしまった事への葛藤があり今ばかりは聞いてる場合ではない

あーもう!なんで素直に出て行けないのよ、罪悪感があるなら謝れば済む事でしょうが
と一人葛藤と戦っていたが落ち着いてきたところで重大な話を聞いてしまう

「上条さんは好きな方がいますか?」

□ □ □

「「へ?」」

間抜けな声が出た
もちろん美琴は二人に聞こえない程度に声を抑えた

「ちょっとまて、上条さんはいきなり過ぎてどうして聞かれてるか分からないのですが…」
上条はローテンションのままゆるーいツッコミを入れる

「理由ですか?それは簡単ですよ上条さん、私は上条さんに助けられた恩返しですよ」
縁田はさらっと引っかかるような謎めいた一言を言った
「まぁ、覚えてないのも無理はありませんか…なんせこの姿じゃなかったですし」
そう言うと彼は話してくれた、彼を助けた時の話を…

「いいですか、上条さん…私は上条さんに先月2度も救われているんですよ」
彼の顔は真剣で嘘ではない事を物語っている
「にしても、本当に覚えてないんだが…」
上条は本当にすまなそうにしているが記憶にないものはない

「あーそれはですね、私が女装してたからで…」
「へ?」
驚愕の事実で上条は本日3度目の間抜けな声を上げた

「えっとですね、彼女の趣味で…そのまま放置されまして…」
どんよりと忘れ去られた姫神のような暗さが漂ってきた…

「縁田…お前も苦労してるんだな…」
上条は縁田の肩に手を置き涙を流した

「まぁ、一回目は不良に囲まれた所を助け出してもらったのですが…二回目は…」
そこで縁田は詰まったこれは言ってもいいものだろうかと…

「あ、そうでした二回目の話も聞いてもらうのが一番なんですが…
彼女に呼び出されてたのを忘れてました…というか忘れたいんですがね…
まぁ、変なところを除けばどこに出しても恥ずかしくない(主に私)彼女なんですが」
「それじゃまた明日会いましょう」と言い残し縁田は去っていった。

「縁田か…いい奴だと思うが…苦労してそうだな…」
最後に聞いたところは涙がまたでそうになった
「そういえば…質問に答えるの忘れてたような…
というか恩返しとあの質問の接点が分からないのですが…」

□ □ □

少し時間を戻してみる
美琴は先程は自分を抑えて声を小さくしたが結構危ないところだったと自覚している
「理由ですか?それは簡単ですよ上条さん、私は上条さんに助けられた恩返しですよ」
アイツ私の知らないところで人助けをしてたのか…
「まぁ、覚えてないのも無理はありませんか…なんせこの姿じゃなかったですし」
目の前にいるあの人は中性的過ぎて分からないが…
実は女の人でアイツのためにイメチェンしましたとか言われてもアイツのフラグ体質からすれば驚きはない

「いいですか、上条さん…私は上条さんに先月2度も救われているんですよ」
二度も…かそれはフラグが建つんでしょうね…
美琴は少し暗くなる、もしこのまま彼女が告白してしまうようなら…
そして、結ばれてしますなら自分はこの後アイツにどういう顔で会えばいいのだろうか

「あーそれはですね、私が女装してたからで…」
「へ?」
こちらも変な声が出た…多分聞こえてはないと思う…
どういうこと?あの人は…女の人じゃないの?
だったらさっきまで落ち込んでた私が馬鹿みたいじゃない
と急に顔が羞恥で赤くなる

「えっとですね、彼女の趣味で…そのまま放置されまして…」
なんか…アイツほどじゃないけど可哀相になってきたわ

「縁田…お前も苦労してるんだな…」
上条は縁田の肩に手を置き涙を流した
美琴も心の中ではあるが上条と同じ行動を取った

「まぁ、話は戻るんですが私が救われた一回目は不良に囲まれた所を助け出してもらったのですが…二回目は…」
そこで縁田はふと思い出したように詰まった
美琴はそんな事には気付くはずもなく
まあ、あの容姿で女装すれば男は多分コロッと騙されるだろう
それどころかアイドルとしてもバレない限りはやっていけるんではないかと思うほど綺麗な顔立ちをしているとか考えていた

「あ、そうでした二回目の話も聞いてもらうのが一番なんですが…
彼女に呼び出されてたのを忘れてました…というか忘れたいんですがね…
まぁ、変なところを除けばどこに出しても恥ずかしくない(主に私)彼女なんですが」
「それじゃまた明日会いましょう」と言い残し縁田は去っていった。

「ふう…これでアイツに…ってこっちに来るじゃない」
あわあわと美琴は焦ったがふと気付いた事がある
「あれ?今こっちに手招きしたような…?」
そうこうしている内に彼は美琴の横を見もせず通り過ぎ公園から出て行った
「うーん、アイツには会いたいけど…うぅー」
と結局上条を一旦諦め気になる行動を取った彼の後を追う事にした

それほど時間もかからずに彼を見つけて追いつく事ができた
なぜなら公園を出て少し行った所でこっちを見て待っていたからだ

「説明してもらいましょうか?」
言える立場ではないのは分かっていたが気になったので言ってしまった
「まぁまぁ、立ち話も…って事だけど、君にはそんな余裕はないよね?」
スッと目を細めたがいやらしいというのではなくなにやら優しい眼差しを受けた

「私は縁田汰鶴、話をどこから聞いていたか分からないけど一応男だよ」
そういって一つ小さな溜息をつく
「えっと、盗み聞きしてたのは謝りますけど…」
美琴は女装のことを思い出して目をそらしたそして…

「なんだ、結構初めから聞いていたんだね…」
とどんよりとしたオーラを出した
「いや、まあそれはどうでもいいんだ、君の気になっていることは上条当麻の好きな人」
すぐに体勢を直し、直球ストレートで聞いてきた

「なっ、ちょ、えぇと、その…ち、ちがいます」
いきなりの事で慌て耳まで真っ赤にしたことがそれを物語っているが美琴は否定してみる

「ま、私が勝手に喋るから勝手に聞いているといいよ」
縁田は気楽にそういうと独り言のように語りだした
「彼、上条当麻は今現在好きな人はいない。ちなみに彼の場合気になる女性もいないみたいだよ…興味はあるみたいだけど今のところ完全フリーだね」

「ちょっと待ってさっきはそんな話してなかったじゃない」
美琴も言うのも間違いではない、さっきは好きな人は?と聞いてはいたが
誰がとかはアイツは答えていないはずだ

「私の能力『質疑分析(Lv3)』ってのがあるんだけどね」
読心能力者ですと縁田は言ってくれた
「効果はマンツーマンでの質問をして答えてくれるだけでフラッシュバックで顔や名前が分かるだけの能力なんですけど…上条さんからは顔も名前も出てきませんでしたね」
と溜息…
「実は今日上条さんと同じクラスになって話は聞いたのですがフラグ体質なのに彼女はいないうえ、不幸体質だと聞きます…私は上条さんに彼女を作ってあげたいと思います」
そこには真剣に言い切る彼女に女装を共用される中性的な男

これって、アイツにとって不幸…な要因なんじゃないのかしら
と思わないでいられない美琴ではあったが彼女を作るという点では彼女の敵になりそうだ

「それはそうと君は上条さんにいたく惚れてるようだけど告白はしないのかい?」
一番痛いところを射抜かれました…

「そ、そそそ、そんなこと軽い気持ちでい、言えるわけないじゃないですか!」
後半は若干叫んでしまった…ただそんな自分を見て縁田はふっと優しく笑った

「なら手伝いますよ?君の名前を上条さんに聞いてどう思っているのかや、その他諸々…」
聞いていれば縁田は私を応援してくれるらしいが…

「いえ…あの、まずは自分で何とかしてみます…」
ありがたい話だったが何故そこまでしてくれるのが分からない為一応断るようなことを言った

「そう…わかったよ、でもね二回目に助けられた時は君と上条さんになんだから君にも恩返ししたいんだよ…まあ、いつでも見かけたら言ってくれても構わないよ手伝うからさ」
そう言って軽く手を挙げ彼は去っていった、美琴は逆に上条の元へ戻るように歩き出す
縁田が少し行った所で美琴の見知らぬ少女に掴まり連行されて行ったのは別の話


ウィキ募集バナー