とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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小ネタ 上条さんお勤めご苦労様です



「ぶぼおああぁ……みことぉお、みゆぅぅ、ただいまぁああぁああ」
 上条は勤め先の上司に大量の酒を飲まされ大いに酔っ払っていた。
 既に緩んでいたネクタイをキューッと引っ張り廊下に放り投げ、リビングの電気をつけてドバーとソファーにダイブする。
「あれー、みことさーん? もう寝ちゃったのー? うぷ、み、みゆちゃーん?」
 ベロンベロンな声でそう言うが返事はない。
 クラクラする頭で腕時計に目を移すと、ちょうど二三時になった所だった。
(……もう寝たのか)
 微妙に寂しくなりつつ、よっこらせと立ち上がりキッチンの水道で適当に顔を洗う。
「うぷ……、ぶ、部長めぇぇ、たらふく飲ませやがって……さ、流石に気持ち悪い……明日土曜日でマジよか……ん?」
 ふと、テーブルに目を移すと、サランラップに覆われた料理が作り置きされていた。
 から揚げにエビチリ、胡麻ダレドレッシングとサラダ。
 上条の好物ばかりだった。
 それに小さな紙が一枚に、画用紙が一枚。
「?」
 はて? と上条は軽く折られている小さい方の紙を手に取る。
(……あー、もしかして今日なんかの記念日だったか……?)
 流石に、結婚記念日や妻と娘の誕生日を忘れるほどうっかりしていないと上条は思う。
 一通り予想してあとなんかあったっけ? と上条は自問し、地味にビクビクしながら手紙を開く。
(大切な事じゃありませんように……)

「……なになに? 自分の誕生日の時くらいしっかり帰ってこいバカヤローby美琴………………あー」
(……そういえば今日俺の誕生日だった)
 上条はから揚げを一つだけ摘み口に運ぶ。
(うわー、アイツらのを忘れるよりは数倍マシだけど、この所々噛んだ跡があるクラッカーが上条さんの心にグサッと刺さってきますよ……)
 察するに、美結が今か今かと自分の帰りを待っていてクラッカーで遊んでいたのだろう。……地味に危なそうだ。
 ラップに付着している水滴が僅かなことからして、ついさっきまで美琴と美結は起きていたようだ。
(っつーことはこっちの画用紙は……)
 ペラッと裏返してみるとそこにはツンツン頭の男と茶色の髪の女性、そしてその男女の間で少女が笑っている、クレヨンで描かれた絵が。
 お世辞にもうまいとは言えないが、言うまでもなく、上条と美琴と美結の絵だった。美結が描いたのだろう。
 そして、こう一言添えられている。

『ずっとしあわせ!』

(……………………、)
 しばしの沈黙の後上条は。
「はぁー、明日は一日寝るつもりだったのに……二日酔いとバトルか。お父さんの休みはいつ来るんだろ?」
 トパー、と風呂場へ向かい簡単にシャワーを済ませ酒の臭いを少しでも紛らわすために念入りに歯を磨いた後、美琴と美結が寝ている部屋に小走りした。
 二人が寝ているのを確認すると、足音を潜ませて美結の隣に静かに横になる。
「ごめんな、二人とも。明日は遊園地にでも行こう」
 上条は二人にそっとキスをして、
「……おやすみ」
 そう一人呟いて、眠りについた。


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