海に行こう☆☆
「いや~、二人はもう周囲の事なんてお構い無しだね」
「良いではないですか、その方が面白いですし、とミサカ10032号はいいぞもっとやれ、と思いつつ二人の発展に期待します」
「良いではないですか、その方が面白いですし、とミサカ10032号はいいぞもっとやれ、と思いつつ二人の発展に期待します」
ニヤ付いた顔で到着した二人を突き始めた番外個体と御坂妹。
当然予想していた反応ではあるが、それでも恥ずかしいらしく、当麻は頬を掻きながら視線を逸らし、美琴は頬を染めて、もじもじしながら、
当然予想していた反応ではあるが、それでも恥ずかしいらしく、当麻は頬を掻きながら視線を逸らし、美琴は頬を染めて、もじもじしながら、
「う、うぅ…。あんた達、お願いだからあんまりからかわないで…」
と懇願する。
すると、10039号と、19090号がニヤ付いた顔を元に戻すと、
すると、10039号と、19090号がニヤ付いた顔を元に戻すと、
「…仕方が無いですね、とミサカ10039号は先の失敗からこれ以上の羞恥プレイを勘弁する事にします」
「そうですね。では、お二人も早速いかがですか?とミサカ19090号はお二人を迎え入れる準備をしつつ促します」
「その前に、あちらのプールで砂を落としてきてはどうでしょう?とミサカ10039号はお二人に提案します」
「そうですね。では、お二人も早速いかがですか?とミサカ19090号はお二人を迎え入れる準備をしつつ促します」
「その前に、あちらのプールで砂を落としてきてはどうでしょう?とミサカ10039号はお二人に提案します」
10039号がビニールプールを指差すと、彼女達の言葉責めが意外に早く終わった事にほっと胸を撫で下ろした当麻と美琴は、
「まさか、砂落とし用の為だけにあれを準備したのか…?」
「…あんた達、本当用意周到というか…、普通こんな事しないわよ?」
「…あんた達、本当用意周到というか…、普通こんな事しないわよ?」
ビニールプールを準備した妹達に言葉を返す二人に、19090号がエッヘンと胸を張る。
「ミサカ達に隙などありません、お二人が楽しく過ごせるように準備するのがミサカ達の務めなのです、とミサカ19090号は誇らしげに回答します」
「…とても酸欠でぶっ倒れた奴の台詞とは思えませんね、とミサカ10039号は19090号の汚点について鋭い指摘をします」
「本当、そのお陰でこっちは苦労したってのに、呑気なもんだね」
「…とても酸欠でぶっ倒れた奴の台詞とは思えませんね、とミサカ10039号は19090号の汚点について鋭い指摘をします」
「本当、そのお陰でこっちは苦労したってのに、呑気なもんだね」
ジト目で見る10039号と番外個体の視線にダラダラと脂汗を掻いた19090号は、
「ま、まぁ外野は放っておいて、砂を落としてきたらどうですか?とミサカ19090号はやっべーと思いながら話題を少し逸らします」
二人の視線から逃げるように美琴の手を取ろうとする19090号だが、
「折角だけど、私も早く混ざりたいから今はいいわ。それよりあんた達、先に食べちゃうなんてちょっと酷いんじゃない?」
やんわりと断った美琴が、先に食べてしまっていた10032号と番外個体に言葉を向けると、
「試しに焼いてみたら美味しかったのでつい、とミサカ10032号は先に食べていた理由を説明します」
「ミサカは帰ってきたら10032号が食べてから。それに、面白い寸劇見てたらついつい食が進んじゃった」
「寸劇って…。はぁ…もういいわ…」
「まあまあ、それより俺達も食べようぜ」
「ミサカは帰ってきたら10032号が食べてから。それに、面白い寸劇見てたらついつい食が進んじゃった」
「寸劇って…。はぁ…もういいわ…」
「まあまあ、それより俺達も食べようぜ」
眉一つ動かさずに淡々と答える御坂妹と、全く悪びれる様子の無い番外個体に溜め息を付いた美琴。
当麻がその肩をぽんぽんと叩くと、美琴は諦めたように『そうね』と呟く。
そして、10039号が気を利かせて持ってきたパーカーを羽織ると、紙皿と箸を19090号から受け取り、ようやく食事の時間となる。
当麻がその肩をぽんぽんと叩くと、美琴は諦めたように『そうね』と呟く。
そして、10039号が気を利かせて持ってきたパーカーを羽織ると、紙皿と箸を19090号から受け取り、ようやく食事の時間となる。
――――
――
――
「う、美味い…、こんな美味しい肉を食べれるなんて上条さんは幸せ者です…」
炭火でじっくり焼かれた肉を食べた当麻がそんな事を呟くと、美琴がくすっと笑う。
「やっぱり、こうやって外で食べるのって何か気分的にいいわよね」
そう言うと、ぱくっと肉を口に運び、『ん、おいし』と顔を綻ばせる。
「でも、バーべキューってさ、何でこう美味しく感じるんだろうな?」
「そうね~、炭の近赤外線効果云々~って聞いた事はあるけど…」
「そうね~、炭の近赤外線効果云々~って聞いた事はあるけど…」
一旦言葉を切る美琴。
赤外線の効果で表面が一気に硬化する事で旨みを逃さず、燻煙効果によって程よい香りが付くからという話を聞いた事があるが、そんな事はどうでも良いと考えた彼女は、
赤外線の効果で表面が一気に硬化する事で旨みを逃さず、燻煙効果によって程よい香りが付くからという話を聞いた事があるが、そんな事はどうでも良いと考えた彼女は、
「一番の理由は、こうやって皆で楽しく食べるからでしょ?」
そして、一人一人の笑顔が最高のスパイスになっているという事をニコニコしながら語る美琴。
すると、その言葉に素早く反応した妹達が暴走を始める。
すると、その言葉に素早く反応した妹達が暴走を始める。
「嬉しい事言ってくれるね~。お礼にミサカのピーマンを進呈するよ」
「ちょっと、あんた何人の皿に入れようとしてんのよ?つか、あんたってピーマン苦手なの?」
「いや?普通に食べれるよ。食べれなかったら箸付けるわけないじゃん」
「では、ミサカのお肉を差し上げます、とミサカ10032号は感謝の気持ちと共にお肉を泣く泣く提供します」
「いや、別に無理しなくて良いから。まだまだあるんだし、あんたが食べれば良いでしょ?」
「ちょっと、あんた何人の皿に入れようとしてんのよ?つか、あんたってピーマン苦手なの?」
「いや?普通に食べれるよ。食べれなかったら箸付けるわけないじゃん」
「では、ミサカのお肉を差し上げます、とミサカ10032号は感謝の気持ちと共にお肉を泣く泣く提供します」
「いや、別に無理しなくて良いから。まだまだあるんだし、あんたが食べれば良いでしょ?」
その言葉に一瞬ほっとしたような表情をした10032号が、差し出そうとした肉を自分で食べ、ほぅ、と恍惚の表情を浮かべると、今度は19090号が、
「では、お飲み物でもいかがですか?とミサカ19090号はお二人に問いかけます」
「ん~、じゃあ貰おうかな?」
「あ、俺も頼むわ」
「分かりました。では暫らくお待ちください、とミサカ19090号はお役に立てるときが来たと目を輝かせながら準備を始めます」
「ん~、じゃあ貰おうかな?」
「あ、俺も頼むわ」
「分かりました。では暫らくお待ちください、とミサカ19090号はお役に立てるときが来たと目を輝かせながら準備を始めます」
紙皿と箸を置いた彼女は紙コップにジュースを注いでいく。すると、
「あ、ミサカのもよろしくー」
「ではミサカのもお願いします、とミサカ10032号は19090号にお願いをしました」
「ついでにミサカのも頼みます、とミサカ10039号は玉葱の甘さに驚愕しつつもお願いをします」
「…ミサカは妹達のパシリではありませんが、まあいいでしょう、とミサカ19090号はせっせこと紙コップにジュースを注ぎます」
「ではミサカのもお願いします、とミサカ10032号は19090号にお願いをしました」
「ついでにミサカのも頼みます、とミサカ10039号は玉葱の甘さに驚愕しつつもお願いをします」
「…ミサカは妹達のパシリではありませんが、まあいいでしょう、とミサカ19090号はせっせこと紙コップにジュースを注ぎます」
結局全員のジュースを準備した彼女が再び戻ると、それぞれがお礼を言ってそれを受け取る。
「ありがと、あんたってこういう時、気が利くっていうか、健気に働くわよね~。感心しちゃうわ」
「ありがとうございます、とミサカ19090号は褒められてむず痒くなります」
「そのミサカはそういう事に特化してますからね、とミサカ10039号は羨ましく思いつつ説明します。あ、この肉いただきです」
「!!…10039号、それはミサカが大事に育てていたお肉です、とミサカ10032号は大事なお肉を強奪した10039号を糾弾します」
「ありがとうございます、とミサカ19090号は褒められてむず痒くなります」
「そのミサカはそういう事に特化してますからね、とミサカ10039号は羨ましく思いつつ説明します。あ、この肉いただきです」
「!!…10039号、それはミサカが大事に育てていたお肉です、とミサカ10032号は大事なお肉を強奪した10039号を糾弾します」
声を上げた御坂妹に見せ付けるように、ぱくっと肉を食べた10039号は、
「他人の育てた肉を強奪して食べる…うめぇです、とミサカ10039号は至高の瞬間にゾクゾクします」
軽く震えながらそう呟く。
すると、御坂妹がワナワナと震え出すのだが、不穏な空気を感じた美琴が御坂妹に接近する。
すると、御坂妹がワナワナと震え出すのだが、不穏な空気を感じた美琴が御坂妹に接近する。
「ほら、そんなに怒らないの。私のあげるから」
「…あーん、とミサカ10032号は要求をします」
「は?なんでそんな事する必要があんのよ?」
「フフフ…たまには姉に甘える妹を演じてみたい時があるのです、とミサカはわりと素直に返答します。ささ、どーんと来て下さい」
「…あーん、とミサカ10032号は要求をします」
「は?なんでそんな事する必要があんのよ?」
「フフフ…たまには姉に甘える妹を演じてみたい時があるのです、とミサカはわりと素直に返答します。ささ、どーんと来て下さい」
大きく口を開けて待つ御坂妹。
全く予想をしていなかった展開なだけに、戸惑いを隠せない美琴。というか半分引き気味なのだが…
全く予想をしていなかった展開なだけに、戸惑いを隠せない美琴。というか半分引き気味なのだが…
「ったく、本当どうしようもない妹ねー。ほら、あーん。…はもうしてるか」
こうなってしまった妹は本当にやるまでテコでも動かない事を嫌という程知っている美琴は、渋々といった様子で御坂妹に食べさせた。
満足そうにモゴモゴ口を動かす御坂妹を見ながら、何で私がこんな事…とブツブツ呟いていると…
満足そうにモゴモゴ口を動かす御坂妹を見ながら、何で私がこんな事…とブツブツ呟いていると…
「10032号ばかりずるいです。ミサカにもあーんをお願いします、とミサカ19090号はあーんをしてもらった10032号を羨望の眼差しで見つめつつ要求します」
「面白そうですね、ミサカにもお願いします、とミサカ10039号も調子に乗って混ざります」
「もう一回お願いします、とミサカ10032号はあーんを再度要求します」
「ちょっ、あんた達!?どうしたのよ急に!?」
「面白そうですね、ミサカにもお願いします、とミサカ10039号も調子に乗って混ざります」
「もう一回お願いします、とミサカ10032号はあーんを再度要求します」
「ちょっ、あんた達!?どうしたのよ急に!?」
わらわらと群がってきた三人の妹達に圧倒された美琴は大きく仰け反る。
三人は横に並び、まるで親鳥に餌を要求する雛のように口を開けて、彼女のあーんを待つ。
そんな異様な光景を目にした当麻と番外個体はというと、
三人は横に並び、まるで親鳥に餌を要求する雛のように口を開けて、彼女のあーんを待つ。
そんな異様な光景を目にした当麻と番外個体はというと、
「お、おい。あいつ等一体どうしたんだ?」
「ん~、お姉様に甘えたい時もあるって事じゃない?さすがにミサカはやらないけど」
「それにしてもあーんって…。あいつ等のキャラじゃない気もするが…」
「それよりこのまま放っておいていいの?同性だからって安心してると痛い目遭うよ。ほら、あの白井黒子って子みたいに」
「ん~、お姉様に甘えたい時もあるって事じゃない?さすがにミサカはやらないけど」
「それにしてもあーんって…。あいつ等のキャラじゃない気もするが…」
「それよりこのまま放っておいていいの?同性だからって安心してると痛い目遭うよ。ほら、あの白井黒子って子みたいに」
怪しい笑みを浮かべながらそう語る番外個体は既に遊びモードに入っている。
一方、白井黒子という単語を聞いた当麻は、普段美琴にベタベタと引っ付こうとする彼女の素行を思い出し、その表情から徐々に余裕が消えていく。
先程の美琴とのやり取りの影響もあり、『もしかしたら』という可能性に焦った当麻は紙皿と箸を置き、美琴に群がる三人に近づくと、
一方、白井黒子という単語を聞いた当麻は、普段美琴にベタベタと引っ付こうとする彼女の素行を思い出し、その表情から徐々に余裕が消えていく。
先程の美琴とのやり取りの影響もあり、『もしかしたら』という可能性に焦った当麻は紙皿と箸を置き、美琴に群がる三人に近づくと、
「お前等ストップ。美琴が困ってるだろ?」
当麻が美琴の前に立ち、妹達に注意をする。
すると、口を閉じた妹達は含みのある顔を浮かべると、総攻撃へと打って出る。
すると、口を閉じた妹達は含みのある顔を浮かべると、総攻撃へと打って出る。
「何故邪魔をするのですか?とミサカ10032号は憤慨します」
「そうです。お義兄様が姉妹の間に割って入る隙など無いのです。早くそこを退きなさい、とミサカ10039号は偉そうに命令します」
「空気の読めないお義兄様はミサカとお姉様がいちゃいちゃしてる所を黙って見てれば良いのです、とミサカ19090号はお義兄様の空気の読めなさに嘆息します」
「さあ、お義兄様はあっちいって下さい、とミサカ10032号はしっしと追い払います」
「そうです。お義兄様が姉妹の間に割って入る隙など無いのです。早くそこを退きなさい、とミサカ10039号は偉そうに命令します」
「空気の読めないお義兄様はミサカとお姉様がいちゃいちゃしてる所を黙って見てれば良いのです、とミサカ19090号はお義兄様の空気の読めなさに嘆息します」
「さあ、お義兄様はあっちいって下さい、とミサカ10032号はしっしと追い払います」
本気で怒っているかのような、また、その容赦ない物言いに戸惑った当麻だが、後ろで何かを言おうとした美琴を手で制す。
「おや、何か言いたげですね?まあ主張くらいは聞きましょう、とミサカ10039号は寛大な心を見せてみます」
「お前等が何を考えてるかは分かんねぇけど、美琴が困るような事をするってんなら許さないぞ?」
「お姉様が困る?そうなのですかお姉様?ミサカがお姉様に甘えるのは迷惑ですか?とミサカ10032号はお姉様に問いかけます」
「お前等が何を考えてるかは分かんねぇけど、美琴が困るような事をするってんなら許さないぞ?」
「お姉様が困る?そうなのですかお姉様?ミサカがお姉様に甘えるのは迷惑ですか?とミサカ10032号はお姉様に問いかけます」
10032号が当麻の後ろにいる美琴の方を見ながらそう問いかけると、美琴がふるふると首を横に振る。
「そんな事は無いけど…。ねぇ、あんた達一体どうしちゃったの…?」
今まで当麻と妹達が衝突する事がなかっただけに、どうして良いか分からずオロオロする美琴。
そんな彼女に、19090号が、
そんな彼女に、19090号が、
「…どうしたも何も、見ての通りお姉様を取り合っているだけですが?とミサカ19090号は回答します」
美琴に言葉を返すと、再び当麻の方を見ながら、
「お義兄様がお姉様の事を愛しているのは知っていますが、ミサカだってそれは同じです。なのでそこを退きなさい、とミサカ19090号はイライラしながらお義兄様を睨みつけます」
「それとも、退かない、退けない理由でもあるのですか?とミサカ10032号はお義兄様に問いかけます」
「まあ、ミサカ達を退かせるだけの理由なんて無いと思いますが、とミサカ10039号はふふんと鼻で笑いつつお義兄様を挑発します」
「それとも、退かない、退けない理由でもあるのですか?とミサカ10032号はお義兄様に問いかけます」
「まあ、ミサカ達を退かせるだけの理由なんて無いと思いますが、とミサカ10039号はふふんと鼻で笑いつつお義兄様を挑発します」
あくまでも淡々と、それでいて真剣さを滲ませる言葉に戸惑う美琴は、助けを求めるかのように番外個体の方に視線を向けるのだが…
「…へ?」
思わず気の抜けた声が美琴から発せられる。
何故なら番外個体が呑気に紙コップにジュースを継ぎ足していたからだ。…しかも全員分。
まるで、この後、何も無かったかのように食事が再開される事を知っているかのように。
何故なら番外個体が呑気に紙コップにジュースを継ぎ足していたからだ。…しかも全員分。
まるで、この後、何も無かったかのように食事が再開される事を知っているかのように。
(…どういう事?)
美琴は混乱した頭で思考を巡らそうとするが、次の瞬間、その思考は全て吹き飛ぶことになる。
「悪ぃ、お前等が本気で美琴の事好きだったとしても、美琴は渡せない」
「ほぅ、何故ですか?とミサカ10032号は更に問いかけます」
「お前等だって知ってるだろ?美琴は俺にとって一番大切な人だし、愛しい人だ。だから、お前等が俺から美琴を取り上げようってんなら、お前等でも容赦しない」
「…言ってくれますね、では、ミサカ達の前で『それ』が証明が出来るのなら認めて差し上げましょう、とミサカ10039号は提案します。
出来ない場合は所詮その程度。ミサカがお姉様を幸せにします、とミサカ10039号はお義兄様を焚きつけます」
「…いいぜ、よく見てろよ?」
「ほぅ、何故ですか?とミサカ10032号は更に問いかけます」
「お前等だって知ってるだろ?美琴は俺にとって一番大切な人だし、愛しい人だ。だから、お前等が俺から美琴を取り上げようってんなら、お前等でも容赦しない」
「…言ってくれますね、では、ミサカ達の前で『それ』が証明が出来るのなら認めて差し上げましょう、とミサカ10039号は提案します。
出来ない場合は所詮その程度。ミサカがお姉様を幸せにします、とミサカ10039号はお義兄様を焚きつけます」
「…いいぜ、よく見てろよ?」
10039号の挑発に乗ってしまった当麻は、後ろに居る美琴をグイッと横に引っ張って来ると、そのまま抱きしめ、
「へ?…ちょっ!とう――ンッッ!!?」
驚いた美琴を無視してその唇に口付けをする。
しかも、先程のような触れるだけのようなものではなく、妹達に見せ付けるように時間をかける。
美琴は当麻の胸を叩き抵抗をするが、その抵抗は徐々に弱くなり、瞳はトロンと蕩けていく。
そして、二人の唇が離れると…
しかも、先程のような触れるだけのようなものではなく、妹達に見せ付けるように時間をかける。
美琴は当麻の胸を叩き抵抗をするが、その抵抗は徐々に弱くなり、瞳はトロンと蕩けていく。
そして、二人の唇が離れると…
「これで分かったろ?美琴は俺のも――痛ってぇ!!」
ごつん、と言葉の途中で耳まで真っ赤になった美琴の鉄拳が炸裂する。
「バカぁ!!何乗せられてんのよ!?」
「いやいや!?こいつ等が証拠を見せろって言うから!」
「だからってあ、あんな事しなくてもいいでしょ!?」
「まあまあ、そんなに恥ずかしがらなくてもいいではないですか。本当は嬉しいのでしょう?とミサカ10032号はニヤニヤしつつ問いかけます」
「そ、そりゃぁ…じゃなくてあんた達も!なんて事すんのよ!?」
「はて?ミサカ達は何もしていませんが?とミサカ10039号は白々しい事を言ってみます」
「ほふ…あんな濃厚なキスシーンを見せられる事になるとは…とミサカ19090号は思考がショート寸前である事を赤裸々に告白します」
「いやいや!?こいつ等が証拠を見せろって言うから!」
「だからってあ、あんな事しなくてもいいでしょ!?」
「まあまあ、そんなに恥ずかしがらなくてもいいではないですか。本当は嬉しいのでしょう?とミサカ10032号はニヤニヤしつつ問いかけます」
「そ、そりゃぁ…じゃなくてあんた達も!なんて事すんのよ!?」
「はて?ミサカ達は何もしていませんが?とミサカ10039号は白々しい事を言ってみます」
「ほふ…あんな濃厚なキスシーンを見せられる事になるとは…とミサカ19090号は思考がショート寸前である事を赤裸々に告白します」
妹達からは先程の緊迫感が霧散し、きゃっきゃと美琴を弄り始めた。
一方、そんな妹達を見た当麻は目を点にしながら…
一方、そんな妹達を見た当麻は目を点にしながら…
「…どういう事だ?」
と、全く事態が飲み込めていない様子だ。
そんな彼に、何か重大なミッションを成功させたような顔をした妹達が、
そんな彼に、何か重大なミッションを成功させたような顔をした妹達が、
「どういう事も何も、そういう事です、とミサカ10032号は悪戯の成功に歓喜します」
「まあミサカの迫真の演技を持ってすれば当然ですね、とミサカ19090号は自身の演技力について自画自賛します」
「早い話がお義兄様の嫉妬を引き出し、目の前で強引にいちゃつかせたという次第です、とミサカ10039号はまんまと引っかかったお義兄様をせせら笑います」
「まあミサカの迫真の演技を持ってすれば当然ですね、とミサカ19090号は自身の演技力について自画自賛します」
「早い話がお義兄様の嫉妬を引き出し、目の前で強引にいちゃつかせたという次第です、とミサカ10039号はまんまと引っかかったお義兄様をせせら笑います」
彼女達の言葉に脱力し、その場にがくっと膝をついた当麻は、
「…お前等なぁ…つーことはあれか?美琴を愛してるってのも冗談だったのか?」
彼女達が本気ではなかった事に安堵する反面、その言葉全てが嘘というのもなんだか悲しく感じられた当麻は、そう妹達に問いかける。
すると、彼女達はニヤ付いた表情を戻して、
すると、彼女達はニヤ付いた表情を戻して、
「…冗談だと思いますか?とミサカ10032号は逆に問い返します」
「ミサカ達は割りと本気だったりしますが、お義兄様からお姉様を取るつもりは無いですよ?とミサカ10039号は分かりきった事を念押しします」
「というかお義兄様があんな安い挑発に乗るとは思いませんでした、とミサカ10032号は妹達に嫉妬したお義兄様に嘆息します」
「それより、こうも統率が取れているのは、やはりクローンだからでしょうか?とミサカ19090号はもうミサカネットワークいらないんじゃね?とぶっちゃけてみます」
「ミサカ達は割りと本気だったりしますが、お義兄様からお姉様を取るつもりは無いですよ?とミサカ10039号は分かりきった事を念押しします」
「というかお義兄様があんな安い挑発に乗るとは思いませんでした、とミサカ10032号は妹達に嫉妬したお義兄様に嘆息します」
「それより、こうも統率が取れているのは、やはりクローンだからでしょうか?とミサカ19090号はもうミサカネットワークいらないんじゃね?とぶっちゃけてみます」
そこまで言った所で、番外個体が口を挟む。
「はいはい、いつものコントはその辺にして、食事に戻ったら?大体、妹達の気持ちなんて始めから知ってるでしょ?」
「…いや、お前等見てると冗談に見えないんだよなぁ…」
「それだけ慕ってるって事ですよ、とミサカ10032号は食事に戻りつつ返答しました」
「ところでお姉様、先程はあまり食べていないようでしたが、もう少し食べた方が良いのでは?とミサカ19090号は食の細いお姉様を心配します」
「…アンタ、人の事散々おちょくっといてよくそんな台詞が吐けるわね…」
「まあまあ、そう仰らずに気を取り直して食事にしましょう、とミサカ10039号はお姉様に新しい紙皿と箸を手渡します」
「…いや、お前等見てると冗談に見えないんだよなぁ…」
「それだけ慕ってるって事ですよ、とミサカ10032号は食事に戻りつつ返答しました」
「ところでお姉様、先程はあまり食べていないようでしたが、もう少し食べた方が良いのでは?とミサカ19090号は食の細いお姉様を心配します」
「…アンタ、人の事散々おちょくっといてよくそんな台詞が吐けるわね…」
「まあまあ、そう仰らずに気を取り直して食事にしましょう、とミサカ10039号はお姉様に新しい紙皿と箸を手渡します」
先のやり取りで地面に落ちてしまった紙皿と箸を片付け、新しいものを美琴に手渡す。
美琴は溜め息と共にそれを受け取り、箸を再び動かし始めるのだが、すっかり食べるペースが落ちてしまった美琴の様子に気が付いた番外個体が彼女に話しかける。
美琴は溜め息と共にそれを受け取り、箸を再び動かし始めるのだが、すっかり食べるペースが落ちてしまった美琴の様子に気が付いた番外個体が彼女に話しかける。
「お姉様?箸が進んでないけどどうしたの?」
「…そんな事ないわよ?」
「隠さなくてもいいじゃん。さっきの事が原因なんでしょ?」
「…そんな事ないわよ?」
「隠さなくてもいいじゃん。さっきの事が原因なんでしょ?」
番外個体の言葉に一旦箸を止めた美琴は、ふぅーっと息を付くと、
「…まあね。さすがにあんた達の前であんな事しちゃったら、恥ずかしくて食欲なんか失せるわよ」
「あらら、そりゃ悪いことしちゃったね。ごめん、お姉様」
「別に謝んなくても良いわよ。その…嬉しかったのは事実だから」
「あらら、そりゃ悪いことしちゃったね。ごめん、お姉様」
「別に謝んなくても良いわよ。その…嬉しかったのは事実だから」
愛しいと言ってくれた彼の言葉が。
自分を独占しようというその行動が。
自分を独占しようというその行動が。
「…驚いたけど、あんな強引な当麻もいい…かも…」
先程の事を思い出した美琴は頬を染め、ぽーっと当麻を見つめながらそう呟く。
すると、
すると、
「……何言ってんの?つか口半開きなんだけど…?」
「!」
「!」
その言葉にハッとした美琴は慌てて口を閉じると、俯いてぶるぶると震え出す。
「………なさい……」
何かを言った美琴に番外個体が『ん?』っと聞き返すと、彼女がグバァ!っと顔を上げ、カッ!っと目を見開くと、
「今聞いた事!見た事は全部忘れなさいって言ってんのよ!出来ないの!?出来ないなら消してやる!!その頭から消し去ってやるぅ――!!」
凄まじい勢いで番外個体に詰め寄り、バチバチと空気を鳴らす。
あまりの剣幕に、そして、突然の出来事に大きく仰け反り返った番外個体は、
あまりの剣幕に、そして、突然の出来事に大きく仰け反り返った番外個体は、
「ちょ!?お姉様!?突然キレられても困るんだけど!?」
「うわ――ん!!」
「うわ――ん!!」
今まで蓄積されてきた恥ずかしさがついに限界点を突破した美琴は、そう叫んだ後、炭火で次々焼かれる肉や野菜、魚介等を手当たり次第食べ始めた。
「おお!?お姉様が覚醒しました!とミサカ10032号は電光石火の勢いで網の上を消滅させるお姉様に驚愕します!」
「み、ミサカの肉が!?とミサカ19090号は目の前で次々狩られていく食べ物を見送る事しか出来ません!!」
「これはミサカへの挑戦状ですね!?とミサカ10039号は焼くスピードを上げつつ自分の食べるものを死守し…!?」
「み、ミサカの肉が!?とミサカ19090号は目の前で次々狩られていく食べ物を見送る事しか出来ません!!」
「これはミサカへの挑戦状ですね!?とミサカ10039号は焼くスピードを上げつつ自分の食べるものを死守し…!?」
自分の肉を死守する為に箸を出した10039号だが、それを上回る速度で奪い去る美琴。
「うっは!面白い事になってきた!ミサカも参戦するよ!ほら、お義兄様も食べないとお姉様に食べ尽くされちゃうよ!」
「お、おう…」
「お、おう…」
箸と箸が交差する時、奪い合いが始まる――!
と言わんばかりの戦いが、網の上で繰り広げられ始める。
と言わんばかりの戦いが、網の上で繰り広げられ始める。
「…酷いです、とミサカ19090号はまたしてもお肉を奪われてしょんぼりします」
「ぼーっとしてる…もぐ…あんたが悪いのよ…もぐもぐ…」
「ぼーっとしてる…もぐ…あんたが悪いのよ…もぐもぐ…」
19090号をバッサリと冷たく切り捨てた美琴は次なる標的に箸を伸ばす。
「そうはさせません!とミサカ10039号は玉葱を堅守します!!」
寸前で美琴の箸が止まり、その隙に奪い取る10039号だが、その玉葱を食べた瞬間『シャリッ』という音がし、彼女が涙目になる。
「……うぅ…辛いです…」
「ちゃんと焼けてるか見ないからそうなんのよ」
「ちゃんと焼けてるか見ないからそうなんのよ」
素知らぬ顔で10039号を陥れた美琴は、次々と獲物を捕獲していく。
完全にスイッチが入ってしまった彼女の姿に御坂妹が焦りの色を浮べる。
完全にスイッチが入ってしまった彼女の姿に御坂妹が焦りの色を浮べる。
「くっ、フェイクまで駆使してくるとは…、とミサカ1032号はお姉様のテクに戦慄しつつも焼き加減を見極めます」
「お姉様、容赦ないね~。ま、ミサカはそこそこ取れてるからいいけど~っと、んー!美味い!」
「くそっ!ミサカの食べるものがないではないですか!?とミサカ19090号はやけくそになります!」
「うお!?お前等!ちょっとは落ち着けって!」
「お姉様、容赦ないね~。ま、ミサカはそこそこ取れてるからいいけど~っと、んー!美味い!」
「くそっ!ミサカの食べるものがないではないですか!?とミサカ19090号はやけくそになります!」
「うお!?お前等!ちょっとは落ち着けって!」
暴走した姉妹を止める術がない当麻は、何とか自分の分を確保しようとするが、殆ど取れていない。
何故なら、彼の狙っているものを番外個体が横から取っていくからだ。
そんな事を暫らくやっていると、当麻が取れていない事にようやく気付いた美琴が、
何故なら、彼の狙っているものを番外個体が横から取っていくからだ。
そんな事を暫らくやっていると、当麻が取れていない事にようやく気付いた美琴が、
「ちょっとアンタ、当麻が全然食べれてないじゃない?」
「そんな事言われても、お姉様に勝てる気はしないしね。気に入らないならお姉様が取ってあげればいいじゃん」
「…そうね、そうさせてもらうわ。当麻、何か食べたい物あったら言ってね。取ってあげるから」
「いや、そもそも焦って食べる必要なんかないんだから、ゆっくり食べようぜ?」
「…この状況を作った私が言うのもなんだけど、あの子達完全にスイッチ入っちゃったから、今更ゆっくり食べるとか無理じゃない?」
「そんな事言われても、お姉様に勝てる気はしないしね。気に入らないならお姉様が取ってあげればいいじゃん」
「…そうね、そうさせてもらうわ。当麻、何か食べたい物あったら言ってね。取ってあげるから」
「いや、そもそも焦って食べる必要なんかないんだから、ゆっくり食べようぜ?」
「…この状況を作った私が言うのもなんだけど、あの子達完全にスイッチ入っちゃったから、今更ゆっくり食べるとか無理じゃない?」
ある程度おなかが膨れた事で落ち着きを取り戻した美琴が三人の妹達に視線を送ると、ハンターのような目で、焼く→強奪して食べるを繰り返している三人の姿が目に入る。
網の上はさながら戦場と化し、相変わらず箸が飛び交っている。
網の上はさながら戦場と化し、相変わらず箸が飛び交っている。
「…ね?」
「はぁ…じゃ、悪いけど適当に取ってくれるか?」
「うん、任せといて!」
「はぁ…じゃ、悪いけど適当に取ってくれるか?」
「うん、任せといて!」
当麻に頼られた事で俄然やる気を出した美琴は、そう返事をすると、妹達が暴れ回る戦場に向き直り、次々と焼きあがったものを当麻と自分の皿に取り分け、仲良く食べていく。
そして、そんな彼女の笑顔はいつの間にか妹達にも伝わり、慌しくも笑いの絶えない彼等の食卓は、持ってきた食材が尽きるまで続けられるのだった。
そして、そんな彼女の笑顔はいつの間にか妹達にも伝わり、慌しくも笑いの絶えない彼等の食卓は、持ってきた食材が尽きるまで続けられるのだった。
―――――
――
――
食事を終えて、簡単に片付けを行うと、6人は各々行動を開始していた。
番外個体と10039号は食後の軽い運動と称して波打ち際で組み手のような事を始め、御坂妹と19090号は少し離れた砂浜でしゃがみ込んで何かをしている。
そして、当麻と美琴はというと、ビーチパラソルの下で並んで座っていた。
番外個体と10039号は食後の軽い運動と称して波打ち際で組み手のような事を始め、御坂妹と19090号は少し離れた砂浜でしゃがみ込んで何かをしている。
そして、当麻と美琴はというと、ビーチパラソルの下で並んで座っていた。
「ふー、少し食べ過ぎたな…」
「大丈夫?」
「あー、もう動けないー。ちょっと横になるわ」
「ん、横になるなら膝枕してあげよっか?」
「…いいのか?」
「うん」
「んじゃ、お言葉に甘えて…」
「大丈夫?」
「あー、もう動けないー。ちょっと横になるわ」
「ん、横になるなら膝枕してあげよっか?」
「…いいのか?」
「うん」
「んじゃ、お言葉に甘えて…」
ちょっぴり赤くなった彼の頭が膝に乗り、心地良さそうに目を瞑る。
「あー、俺、これ好きだわ。なんかこう…安心できる」
「…ありがと、そう言ってくれると私も嬉しいな」
「…ありがと、そう言ってくれると私も嬉しいな」
自分の場合は安心とは少し違い、この瞬間は彼の信頼を強く感じる事ができる。
いや、信頼されている事も、大事にされている事も分かっている。
それでも、こうしている間は、彼がその全てを委ねてくれている事を強く感じられるから。
だから、嬉しい。
いや、信頼されている事も、大事にされている事も分かっている。
それでも、こうしている間は、彼がその全てを委ねてくれている事を強く感じられるから。
だから、嬉しい。
「…本当に幸せだなぁ」
自分の事を一番大切に、そして愛しいと言ってくれた大好きな彼が側にいる。
それに、多少…いや、かなり行き過ぎた面はあるけど、自分の幸せを願い、背中を突き飛ばすくらい押してくれている妹達がいる。
そして何より、皆の笑顔に囲まれて過ごす事のできる今日という日が幸せでたまらない。
それに、多少…いや、かなり行き過ぎた面はあるけど、自分の幸せを願い、背中を突き飛ばすくらい押してくれている妹達がいる。
そして何より、皆の笑顔に囲まれて過ごす事のできる今日という日が幸せでたまらない。
「こんな日々が、ずっと続くといいのにな…」
妹達の置かれた環境を考えると、そうそう上手く行かないのが現実かもしれない…
でも…
でも…
「――続くさ」
マイナスに傾きかけた思考を切り裂くかのように放たれたその言葉に、思わず彼の方を見る。
どうしてそう言えるの?
普通の人が妹達を受け入れる事なんてあり得ないし、学園都市に帰れば、こんな風に皆で集まって、一緒に遊んだりする事も難しくなる。
なのにどうして…
どうしてそう言えるの?
普通の人が妹達を受け入れる事なんてあり得ないし、学園都市に帰れば、こんな風に皆で集まって、一緒に遊んだりする事も難しくなる。
なのにどうして…
「――だって俺達は…『家族』なんだろ?」
ニカッっと彼が笑みを浮かべる。
まるで自分の抱えている悩みを『下らない』と吹き飛ばすように。
まるで自分の抱えている悩みを『下らない』と吹き飛ばすように。
(…本当にこの男は…)
簡単に言ってくれる。
でも、不思議と信じる事ができた。
それは多分、彼がそう言うからではなく、皆で積み上げてきた時間と、困難を乗り越える度に強くなっていった絆が、何があっても大丈夫と思わせてくれるのだろう。
それにしても、家族か…
でも、不思議と信じる事ができた。
それは多分、彼がそう言うからではなく、皆で積み上げてきた時間と、困難を乗り越える度に強くなっていった絆が、何があっても大丈夫と思わせてくれるのだろう。
それにしても、家族か…
「当麻、それってプロポーズって事でいいのかな?何か前は『プロポーズはちゃんとしたい』とか言ってたような気がするんだけど?」
「へ!?いやいや、そういうつもりじゃなかったんだが…覚えてたのか…」
「へ!?いやいや、そういうつもりじゃなかったんだが…覚えてたのか…」
少し慌てる彼が可愛い。
折角だからもう少しからかってやろう。
折角だからもう少しからかってやろう。
「当然。忘れるわけないでしょ?つか、いつになったら本番来るの?」
「あ~、え~と、それはですね…」
「もー、いつもいつも…あんなのプロポーズみたいなもんじゃない」
「…ごめんなさいです」
「はぁ…まあいいわ。ねえ当麻」
「あ~、え~と、それはですね…」
「もー、いつもいつも…あんなのプロポーズみたいなもんじゃない」
「…ごめんなさいです」
「はぁ…まあいいわ。ねえ当麻」
プロポーズ云々はいずれちゃんとした形でしてもらうとして、それより今は…
「この幸せを皆で守ろうね」
そう、皆で。
もう一人で悩む必要なんてなかったんだった。
根拠も保証もないけど、当麻と、そして妹達と一緒なら、どんな高い壁が立ち塞がっても、きっと超えていける。
だって、私達はもう家族なんだから。助け合って、支え合っていけば、なんだって出来る…そうだよね?
彼の方を見る。すると、
もう一人で悩む必要なんてなかったんだった。
根拠も保証もないけど、当麻と、そして妹達と一緒なら、どんな高い壁が立ち塞がっても、きっと超えていける。
だって、私達はもう家族なんだから。助け合って、支え合っていけば、なんだって出来る…そうだよね?
彼の方を見る。すると、
「…ああ」
優しげな笑みと共に、そう返してくれた。
――――
――
――
あの後も美琴の膝枕は暫らく続いていたのだが『足が痺れたわ』という言葉でその終わりを告げる。
そして『妹の様子見に行ってくるね』と言い残した彼女は、何処から行こうか迷った末に、少し離れた所でしゃがんでいる御坂妹のところへ向かう。
そして『妹の様子見に行ってくるね』と言い残した彼女は、何処から行こうか迷った末に、少し離れた所でしゃがんでいる御坂妹のところへ向かう。
「…そんな所で何やってんの?」
美琴が背後からそう声を掛けると、御坂妹は振り向く事無くぽそっと言葉を発する。
「―――カニ、」
「は?」
「は?」
よく聞き取れなかった美琴は御坂妹の前を覗き込むように見る。
すると、そこには御坂妹を威嚇するように高々とハサミを上げている10センチ位の蟹が居た。
すると、そこには御坂妹を威嚇するように高々とハサミを上げている10センチ位の蟹が居た。
「――カニは何故、横に歩くのでしょうか?とミサカは疑問を抱きますが、目の前のカニはやたら挑戦的で生意気です」
「……」
「ミサカに挑戦しようなど身の程知らずもいいところですが、その意気は買いましょう、とミサカは勇気ある蟹に身震いします」
「………」
「いいでしょう、ではハンデをあげます、とミサカは余裕の笑みを浮かべつつカニを強襲します。フフ、フフフ……」
「……」
「ミサカに挑戦しようなど身の程知らずもいいところですが、その意気は買いましょう、とミサカは勇気ある蟹に身震いします」
「………」
「いいでしょう、ではハンデをあげます、とミサカは余裕の笑みを浮かべつつカニを強襲します。フフ、フフフ……」
不気味な笑みを浮かべた御坂妹は、蟹を攻撃すべく右の人差し指を近付ける。
すると―――
すると―――
「――痛っ!!?」
蟹のハサミで見事にカウンターを食らった御坂妹はバチィ!と思わず電撃を発生させる。
「ああ!?カニが!カニが焼きガニになってしまいました!とミサカは黒焦げになったカニにショックを受けます!」
「……」
「うぅ…ミサカは罪のないカニを殺めてしまいました、とミサカは完全敗北を認めつつ己の未熟さにうな垂れます」
「……」
「……」
「うぅ…ミサカは罪のないカニを殺めてしまいました、とミサカは完全敗北を認めつつ己の未熟さにうな垂れます」
「……」
驚いたとはいえ、本気で能力を使ってしまった御坂妹は黒焦げになったカニの前で両手を付いてガックリとする。
その様子を終始真横で見ていた美琴は、
その様子を終始真横で見ていた美琴は、
「……、(この子…本当に何考えてるのか読めないわね…)」
酷く落ち込んだ様子の妹に掛ける言葉が見つからなかった為、そっとその場を後にする。
そして、次に、砂浜でしゃがみ込んで何かをしている19090号の所へ歩いていくのだが、
そして、次に、砂浜でしゃがみ込んで何かをしている19090号の所へ歩いていくのだが、
「妹ー、あんたさっきから何し…て…?」
19090号に接近した美琴は、前方の地面に何か書かれている事に気付く。
「……!!」
バチ!っと美琴の前髪から電撃が飛び、砂に描かれた物を消す。
「妹~、ちょろっと聞きたい事があるんだけどさ~。これ、どういうつもり?」
「何?と聞かれましたら相合傘と答えます、とミサカは短く答えました」
「うんうん。それは分かるけど、当麻とあんた達が一緒に入ってるのは何故かしら?」
「何?と聞かれましたら相合傘と答えます、とミサカは短く答えました」
「うんうん。それは分かるけど、当麻とあんた達が一緒に入ってるのは何故かしら?」
周囲の砂に書かれた相合傘を指差しながら問い詰めていく美琴に19090号はうるうると涙を溜めると、
「…ダメですか?とミサカは可愛らしく尋ねてみます」
上目遣いに懇願するのだが、
「ダメ」
見事に一刀両断されてしまった。
「ちっ、ならここは撤退あるのみです!とミサカはお姉様が怖いので逃げ出します!」
身の危険を感じた19090号は美琴に背を向け逃走を図る。
「あ!こら!待ちなさ――って、こっちを先に何とかしないと!」
咄嗟に追おうとした美琴だが、相合傘をこのまま放置するわけにもいかなかった為、すぐに追うのは断念する。
(ったく、何してるのかと思えば…つか、多すぎでしょこれ…)
周囲を見渡すと、かなりの量の相合傘が書かれていて、よく見ると『お義兄様、ミサカ(検体番号)号』と地味な違いがある事に気付く。
美琴は、その一つ一つを確認しながら足で消していくのだが、
美琴は、その一つ一つを確認しながら足で消していくのだが、
(…ん?そういえば、何で『当麻』じゃなくて『お義兄様』なんだろう?)
あまりの馬鹿馬鹿しさにかえって冷静になってしまった美琴はそんな疑問を抱く。
(あの子達が当麻をお義兄様って呼ぶって事は、私のって認めてるって事だから……もしかして)
ある予想を立てた美琴は何かを探すように周囲を見渡す。そして、
(…やっぱりあった)
無数にある相合傘の中に『当麻、美琴』と他の物より少し大きく、傘の上にハートマークが書かれている相合傘を発見した。
(……本当、下らない事ばっかり考えるわね)
それを見つけた事で、19090号が自分を怒らし、これを見たときの反応を面白がろうとしているという予想が確信に変わる。
そして、彼女が逃走した方を見ると、案の定、物陰から薄笑いを浮かべて覗いているその姿を見つけた。
そして、彼女が逃走した方を見ると、案の定、物陰から薄笑いを浮かべて覗いているその姿を見つけた。
(…とりあえず他のは消しとくか)
バチィィィイン!!と周囲に電撃を撒き散らして、周囲の相合傘を一気に消し去った美琴は、手招きをして19090号を呼び寄せる。
すると、冷静な対応を見せる美琴に作戦失敗と感じ取ったのか、大人しくそれに従って物陰から出てきた。
すると、冷静な対応を見せる美琴に作戦失敗と感じ取ったのか、大人しくそれに従って物陰から出てきた。
「残念だったわね、あんたの思惑通りにならなくて」
「…まさかお姉様に見破られるとは思いませんでした…、とミサカは悪戯の失敗に落胆します」
「…まさかお姉様に見破られるとは思いませんでした…、とミサカは悪戯の失敗に落胆します」
御坂妹に手伝ってもらったとはいえ、かなりの時間を費やして準備をしただけに、ガックリと肩を落として落ち込む19090号。
だが、俯いた時に美琴の足元に例の相合傘が残っていた事に気付くと、彼女のテンションが元に戻る。
だが、俯いた時に美琴の足元に例の相合傘が残っていた事に気付くと、彼女のテンションが元に戻る。
「おやおや、ちゃっかりそれだけは残したのですか、とミサカはラブラブ傘が無事だという事実にニヤニヤします」
「うん。だって消す必要がなかったし、あんたが私たちの事を祝福してくれてるみたいで嬉しいし」
「うん。だって消す必要がなかったし、あんたが私たちの事を祝福してくれてるみたいで嬉しいし」
からかい口調の19090号に淡々と言葉を返す美琴。
そのいつもと全く違った反応に19090号が戸惑っていると美琴が、
そのいつもと全く違った反応に19090号が戸惑っていると美琴が、
「だから、ありがとね」
と、短く感謝の言葉を述べた。
その言葉と、屈託の無い美琴の笑顔に罪悪感を感じた19090号はしゅんと小さく身を縮めると、
その言葉と、屈託の無い美琴の笑顔に罪悪感を感じた19090号はしゅんと小さく身を縮めると、
「…申し訳ありませんでした…、とミサカは先の悪戯について謝罪します…」
「何で謝るの?」
「ミサカはお姉様をおちょくって楽しもうとしていました。なので本来は叱られるべきなのです、とミサカは己の行動を反省します」
「何で謝るの?」
「ミサカはお姉様をおちょくって楽しもうとしていました。なので本来は叱られるべきなのです、とミサカは己の行動を反省します」
寧ろ叱ってくれといったオーラを醸し出す19090号に首を横に振った美琴は、
「あんたは私の味方だもん。だから、私が不快に思うような事する筈ないじゃない」
「…うぅ…もうやめてください、全てミサカが悪かったです、とミサカはお姉様の対応に胸が苦しくなります」
「…うぅ…もうやめてください、全てミサカが悪かったです、とミサカはお姉様の対応に胸が苦しくなります」
美琴の言葉が胸に突き刺り、罪悪感や後悔、反省といった感情によって涙目になった19090号は、その場に膝を着く。
そんな様子に美琴は小さく溜め息を付き、髪の毛をくしゃっとすると、
そんな様子に美琴は小さく溜め息を付き、髪の毛をくしゃっとすると、
「…ま、こんな所か。これ以上は可哀想で見てられないわ…」
「…お姉様…?」
「私がいつもと違った反応見せたらどうなるかなーってやってみたんだけど、こりゃダメね」
「…お姉様…?」
「私がいつもと違った反応見せたらどうなるかなーってやってみたんだけど、こりゃダメね」
19090号の計画を見破ったことで余裕があった美琴は、先の失敗を踏まえ、どうすれば上手く困らせれるのかを考え、それを試していた。
「てかさー、何も泣かなくてもいいじゃん」
「な、泣いてなどいません、とミサカは反論します」
「…目、充血させながら言っても説得力ないっつーの。ほら、私が悪かったからいつまでも落ち込んでないで顔洗って、元の元気なあんたに戻りなさいよね」
「…泣いてなどいませんが、そうさせていただきます、とミサカは割りと素直に従うことにします」
「な、泣いてなどいません、とミサカは反論します」
「…目、充血させながら言っても説得力ないっつーの。ほら、私が悪かったからいつまでも落ち込んでないで顔洗って、元の元気なあんたに戻りなさいよね」
「…泣いてなどいませんが、そうさせていただきます、とミサカは割りと素直に従うことにします」
美琴が手を差し伸べて19090号を立ち上がらせると、19090号も彼女の言葉に従い、当麻が休憩している場所へと歩き出した。
彼女の背中を見送る美琴は、やれやれといった感じで息を吐く。
彼女の背中を見送る美琴は、やれやれといった感じで息を吐く。
(…つか、嘘は言ってなっかったんだけど…)
それなのに泣かれてしまったという事実に少なからずショックを受けた美琴は、今後はどう対応しようか考えながら番外個体と10039号の元へ歩いて行く。
そして、組み手を終え、波打ち際で休憩を取っている二人の元に近づいた美琴は『お疲れ様』と言いながら混ざっていく。
そして、組み手を終え、波打ち際で休憩を取っている二人の元に近づいた美琴は『お疲れ様』と言いながら混ざっていく。
「お姉様?ミサカ達に何か用でも?」
「用っていうか、様子を見に来ただけよ」
「……折角来てもらったのですが、ミサカ達はこれから模擬戦を行う予定ですので、お姉様はお義兄様と遊んでてください、とミサカはお姉様に伝えます」
「模擬戦って…、海に来てまでそんな事やんなくても…」
「こういった場所では勝手が違うので良い経験になります、とミサカ砂浜を指差しながら回答します」
「そうかもしれないけどさ、今日くらい羽を伸ばせばいいじゃん。…そうだ、皆でビーチボールでもしない?」
「用っていうか、様子を見に来ただけよ」
「……折角来てもらったのですが、ミサカ達はこれから模擬戦を行う予定ですので、お姉様はお義兄様と遊んでてください、とミサカはお姉様に伝えます」
「模擬戦って…、海に来てまでそんな事やんなくても…」
「こういった場所では勝手が違うので良い経験になります、とミサカ砂浜を指差しながら回答します」
「そうかもしれないけどさ、今日くらい羽を伸ばせばいいじゃん。…そうだ、皆でビーチボールでもしない?」
模擬戦を阻止しようと美琴がそう持ちかけると、
「…いえ、ですからミサカ達は…」「ミサカは別に良いよ」
番外個体が被せるように言葉を放つと、10039号がムッとした顔をする。
「…番外個体、ミサカとの模擬戦はどうなるのですか?とミサカは問いかけます」
「中止」
「な!?何故ですか!?とミサカは中止の理由を求めます」
「ビーチボールの方が面白そうだから」
「…随分勝手ですね、とミサカは番外個体の横暴っぷりに落胆します」
「まあまあ、今度相手になってあげるって」
「今度ではダメです、砂地での訓練は貴重な経験になるはずなので、模擬戦を行いましょう、とミサカは再考を求めます」
「10039号の気持ちは分かるけど、そんなに焦ったってすぐには強くなれないよ?」
「ですが、模擬戦を行うことで、不測の事態に対応する準備をするのは必要です、とミサカは主張します」
「うんうん。その考え方は正しいけど、息抜きも重要。そんでもってミサカはもう模擬戦やる気なくなったから、皆で遊ぶ事に決定~」
「中止」
「な!?何故ですか!?とミサカは中止の理由を求めます」
「ビーチボールの方が面白そうだから」
「…随分勝手ですね、とミサカは番外個体の横暴っぷりに落胆します」
「まあまあ、今度相手になってあげるって」
「今度ではダメです、砂地での訓練は貴重な経験になるはずなので、模擬戦を行いましょう、とミサカは再考を求めます」
「10039号の気持ちは分かるけど、そんなに焦ったってすぐには強くなれないよ?」
「ですが、模擬戦を行うことで、不測の事態に対応する準備をするのは必要です、とミサカは主張します」
「うんうん。その考え方は正しいけど、息抜きも重要。そんでもってミサカはもう模擬戦やる気なくなったから、皆で遊ぶ事に決定~」
番外個体の言葉にむぅ…と不服そうに唸る10039号。
完全にいつもの様子とは違う彼女の様子に疑問を抱いた美琴は、その理由を番外個体に尋ねると、
完全にいつもの様子とは違う彼女の様子に疑問を抱いた美琴は、その理由を番外個体に尋ねると、
「そのミサカはもう戦闘モードだったから、模擬戦が中止になって不満なんでしょ」
「別に今やらなくてもいいと思うんだけど?」
「仕方ないよ。そのミサカはもっと強くなりたいみたいだから」
「別に今やらなくてもいいと思うんだけど?」
「仕方ないよ。そのミサカはもっと強くなりたいみたいだから」
その言葉を聞いた美琴は、10039号が以前『二人を守れるくらい強くなる』と言っていた事を思い出す。
それに、例の活動を続けて行く上で、今の彼女の力では辛い部分も出てくるだろう。
それに、例の活動を続けて行く上で、今の彼女の力では辛い部分も出てくるだろう。
(……誰かを守る為の力…か…)
それが彼女の進む道に必要なものなら…と美琴は考え、10039号に話しかける。
「そんなに強くなりたいなら、今度私と一緒に勉強でもする?」
「なんですか?藪から棒に、とミサカは唐突な申し出に疑問を抱きます」
「あんた何か忘れてない?私はレベル5で、あんたと同じ電撃使い。学べる事は多いと思うんだけど」
「…なるほど、確かにお姉様に教わればレベルを上げる近道になるかもしれませんね、とミサカは思考します」
「なんですか?藪から棒に、とミサカは唐突な申し出に疑問を抱きます」
「あんた何か忘れてない?私はレベル5で、あんたと同じ電撃使い。学べる事は多いと思うんだけど」
「…なるほど、確かにお姉様に教わればレベルを上げる近道になるかもしれませんね、とミサカは思考します」
遺伝子レベルで同質なのだから、レベル5まで上り詰めた美琴にレッスンを受ければあるいは…と思考を巡らせる10039号。
「では、お姉様の時間が空いている時にでもお願いします、とミサカはお姉様に頭を下げます」
「いいの?」
「本当はあんまり良くないんだけど…この子の気持ちは分かるから」
「いいの?」
「本当はあんまり良くないんだけど…この子の気持ちは分かるから」
美琴としては、レベルが上がれば上がるほど相応の危険が付きまとう為、本当はこれ以上強くなってほしくない。
だが、『守りたいものがあるから強くなりたい』という彼女の気持ちが痛いほど分かるからこそ、力になる事を選んだ。
だが、『守りたいものがあるから強くなりたい』という彼女の気持ちが痛いほど分かるからこそ、力になる事を選んだ。
「それに、模擬戦を繰り返して怪我されるよりはマシだからね」
「ミサカは模擬戦で怪我をさせるような事はしないよ。つか、怪我させないように妹達を沈めるのがミサカのやることだし」
「まぁ、あんた達はダメって言ってもやめないだろうからあんまり強くは言わないけど、程々にしてよね」
「分かりました。その代わりミサカの指導をお願いします、とミサカは講師であるミコト先生に返事をしました」
「ミサカは模擬戦で怪我をさせるような事はしないよ。つか、怪我させないように妹達を沈めるのがミサカのやることだし」
「まぁ、あんた達はダメって言ってもやめないだろうからあんまり強くは言わないけど、程々にしてよね」
「分かりました。その代わりミサカの指導をお願いします、とミサカは講師であるミコト先生に返事をしました」
真面目な顔で放たれた言葉に、美琴は目をパチパチさせると、
「……美琴…先生…?」
「はい、ミサカの講師を務めるとの事ですのでそう呼んだほうが良いのかと…それとも師匠が良いですか?とミサカは新たな呼び方を用意しました」
「…いや、普通にお姉様でいいわ。小馬鹿にされてるみたいでなんか腹立つ」
「……ぶっひゃ、…美琴先生!?師匠!?なんだそりゃああああ!!ひゃっはははははは!!!」
「ちょっと!そこまで笑わなくても良いでしょ!?」
「はい、ミサカの講師を務めるとの事ですのでそう呼んだほうが良いのかと…それとも師匠が良いですか?とミサカは新たな呼び方を用意しました」
「…いや、普通にお姉様でいいわ。小馬鹿にされてるみたいでなんか腹立つ」
「……ぶっひゃ、…美琴先生!?師匠!?なんだそりゃああああ!!ひゃっはははははは!!!」
「ちょっと!そこまで笑わなくても良いでしょ!?」
二人の反応に首を傾げる10039号。彼女は純粋にそう呼んだほうが良いと思ったようだが、どうやら美琴はお気に召さなかったらしい。
美琴の横では番外個体が『笑い殺す気か――!』と叫びながら腹を抱えて大笑いしている。
美琴の横では番外個体が『笑い殺す気か――!』と叫びながら腹を抱えて大笑いしている。
「ところでお姉様、お姉様のレッスンはどのような事をするのですか?とミサカは興奮気味に聞いてみます」
興味津々といった様子で10039号が尋ねると、美琴は未だに笑っている番外個体から視線を移しながら、
「んぇ?ん~、そうね……私が今までやってきた事を話したり、イメージの訓練とかが主になると思うわよ?
でも、よくよく考えたら、あんたは私と同じだけど、私とは違うから、『自分だけの現実』の構築方法はちょっと違ったりすると思うのよねー。
だから、近い事は教えれるけど、結局はあんたの努力次第って事になるわね」
「……、そうですか、まぁ楽しみにしておきましょう、とミサカは色々突っ込みたい事を我慢しつつ、お姉様とのマンツーマンレッスンを想像します。フフ…フフフ…」
「……あんた、一体どんな想像してるのよ…」
でも、よくよく考えたら、あんたは私と同じだけど、私とは違うから、『自分だけの現実』の構築方法はちょっと違ったりすると思うのよねー。
だから、近い事は教えれるけど、結局はあんたの努力次第って事になるわね」
「……、そうですか、まぁ楽しみにしておきましょう、とミサカは色々突っ込みたい事を我慢しつつ、お姉様とのマンツーマンレッスンを想像します。フフ…フフフ…」
「……あんた、一体どんな想像してるのよ…」
不気味な笑みを浮かべる妹の姿に寒気を感じ、ブルッと身を震わせた美琴。
「それはご想像にお任せします。それではこの話はここまでにして、ビーチボールで遊びましょう、とミサカはお姉様とのやり取りに満足しつつ促します」
「それもそうね。んじゃ、行きましょうか」
「それもそうね。んじゃ、行きましょうか」
美琴と10039号が並んで歩き出すと、ようやく笑いを止めた番外個体が二人を追いかける。
「あ、ちょっと、ナチュラルにミサカを置いて行くって酷いんじゃない?」
「ねえ妹、ずっと気になってたんだけど、そのスク水って何処で買ったの?」
「これですか?これは学園都市にあるコスプレ専門店で購入しました、とミサカは報告します」
「…あんた、そんな所に何しに行ってんのよ…」
「あそこには男性の喜ぶ衣類が大量にあるとの情報をキャッチしましたので、足を運んでみた次第です。
今度お姉様も一緒に行きますか?あれらを着ればお義兄様の理性などペラペラの紙切れ同然です、とミサカはお姉様を誘ってみます」
「…ちょっと興味あるかも」
「では、お姉様の都合が良い日にでも行きましょう、とミサカはお姉様と会う口実ができた事に歓喜します。むふふ…」
「だからその怪しい笑みは何なの!?」
「ちょっと二人とも!聞いてるの!?…ねぇってば!」
「ねえ妹、ずっと気になってたんだけど、そのスク水って何処で買ったの?」
「これですか?これは学園都市にあるコスプレ専門店で購入しました、とミサカは報告します」
「…あんた、そんな所に何しに行ってんのよ…」
「あそこには男性の喜ぶ衣類が大量にあるとの情報をキャッチしましたので、足を運んでみた次第です。
今度お姉様も一緒に行きますか?あれらを着ればお義兄様の理性などペラペラの紙切れ同然です、とミサカはお姉様を誘ってみます」
「…ちょっと興味あるかも」
「では、お姉様の都合が良い日にでも行きましょう、とミサカはお姉様と会う口実ができた事に歓喜します。むふふ…」
「だからその怪しい笑みは何なの!?」
「ちょっと二人とも!聞いてるの!?…ねぇってば!」
先程盛大に笑った仕返しと言わんばかりに番外個体を無視する美琴と、彼女と楽しそうに会話をする10039号。
番外個体の訴えは二人には届く事無く、本拠地に戻るまで二人の楽しそうな会話を聞く事になるのだった。
番外個体の訴えは二人には届く事無く、本拠地に戻るまで二人の楽しそうな会話を聞く事になるのだった。
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