クリスマスに珍しく計画を立ててアプローチしてきた美琴
学園都市にクリスマスが訪れた。
が、カップルたちにとって幸せな日でも彼の不幸は止まらない。
「不幸だ……。」
上条当麻のカレンダー。
12月24日は真っ白のままである。これについては毎年の事のようなのでそこまでしょげた上条ではなかったが、別の「不幸」が彼に降りかかっている。すなわち、
「冷蔵庫が空っぽだぁー!!!!」
貧乏学生上条とてクリスマスはいいものを食べたい。
そのためにいろいろと買っていたのだが、隠していたにもかかわらず、言っておいたにもかかわらず、あの暴食シスターが全てを飲み込み消化した。
「しゃあねえ、買い物にでも行くか。」
ちなみにその暴食シスターは本日小萌先生のうちで開かれる「ドキッ、男子禁制・女子だけのクリスマスどんちゃんパーティー!!」とやらに出席するため不在である。
「あの野郎、人の食いもの全て食べて自分はさらにパーティーかよっ!」
おそらく彼のクリスマスの中でもワーストの部類に入るだろう。彼自身は覚えてないが。
軍資金は今までの買いためでほとんど使い切っていたためもはや彼のクリスマスはいつもよりさらに貧乏な食事という事になりそうである。
・・・・・・30分後・・・・・・
とりあえず食糧を得た上条だが、帰り道数多くのカップルがいちゃいちゃしながら行くのを見て居たたまれずいつもの公園に逃げ込んだ。そして、
「不幸だぁああああああああ!!!!!!!!!」
いつもの3倍くらいの声で叫んだ。
すると、
「アンタ、こんなところで何絶叫してんのよ。」「…不幸だ。」
「人の顔見て言うな!!」「だっておまえ、逢うたびに電撃飛ばしてくるじゃん!!」
「それはアンタがいっつもしかとするからじゃぁ!!!!」ビリビリバッチィン!!
「やっぱり電撃してくるじゃねえか!!」
美琴の電撃は上条の右手に触れた瞬間消えうせた。
「ところでアンタ、今日予定とかあんの?」
「ヘン、どうせ上条さんはクリスマスも暇ですよーだ。」
「やっぱりねぇー。」
「………」
「………」しばしの沈黙
「じゃあ俺帰っからー。」
「ちょっ、ストーップ!!」
「な、なんだよ?」上条は彼に腕を掴んであっちを向き、何やら深呼吸している美琴に問う。
「アンタ暇なんならさ、つ、付き合いなさいよ。」
「へっ?」
「嫌なのかしら?」ニコニコと(人を殺せそうな)笑顔で美琴は言う。
「…嫌じゃございませんの事よ!」
「そう、じゃこれ」「はい??」
手渡されたのは小さめの袋。
「これってクリスマスプレゼント?」「ま、まあね。」
「俺のために?」「っ!!いや!違うから、エーっとそのなんというかあれでそのあのこんな」
「もしもし美琴サン?日本語になってませんよ。」「う、うっさい!!いるのいらないの!?ハッキリしなさい!!」
「もちろんいただくけどよ。ありがとう美琴。」「う、うん(こいつ今私の事、美琴って呼んだ!!!!!“”““”“”“)」
「何赤くなってんだ?」「なっ、何でもないわよ。ちょっと付いてきなさい!!」
「ハイーッ!??ていうかこれどうすんだ?それと俺の食いもん!」
「そこのコインロッカーに入れとけばいいでしょ。」「あ、ああ。で、どこ行くんだ?」
「内緒。いいから来て来て。」「???」
「あーもう、何ぼけーっと突っ立ってんのよ。(よーし作戦第一弾「プレゼント渡し」成功!!次行くわよーっ!!)」
「お、おう(何でこいつ今日こんなにテンション高いんだ??)」
珍しく計画を立ててアプローチしてきた美琴に???な上条さんであった。
上条が連れてこられたのは彼にとっては場違いなレストラン。
「御坂様ですね。……ご予約承っております。二名様。奥のお部屋となっております。」
どうも個室レストランらしい。しかも予約。
「なあ美琴サン」「何?」
「予約ってどういう事??」「いやー、ホントは黒子とか何人かで来るつもりだったんだけど。」
「いま2名様って言ってなかったか?」「ぶっ!気、気のせいよ気のせい。ハハ、ハハハハ」計画的犯行に慣れていない美琴、致命的なミスを犯した。ちなみにその人たちは……
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「「ハックション!!」」
「あれー、白井さんも佐天さんも風邪ですかー?気を付けてくださいよー奮発して買ったクリスマスケーキが台無しになったら大変ですー」
ここは初春や佐天たちの寮。
「いやーゴメンゴメン、って言うか私としてはクリスマスプレゼントは初春自身が良かったなあー」
「何さらりと公共良俗に反する事を言ってるんですか!?」
「誰かがクリスマスに私のうわさをしている気がしますの。」
「白井さんの噂する男の人なんていませんよー。って痛い!!」
「それ以上言うと花飾りをお外にテレポートして差し上げますの。」
「うわー!!それだけはやめてくださいー!!」
「ところで白井さん、今日は御坂さんは??」
「何か用事があるからと言ってお出かけになられましたの。ああ、黒子が何度もお誘いしたというのに!!」
「あははー、残念ですねー。ってあれ??」「どうしたの初春?」
「御坂さんと言えばこの間クリスマスプレゼントをセブンスミストで買ってましたよ。ラッピングからしてあれはそうでしたー。」
「ななななんですって!!??」「白井さんへのプレゼントでは?」
「お姉さまからのプレゼントはもう頂きましたし、セブンスミストのラッピングではありませんでしたの!」
「おおーもしかしてもしかするとっ!」「何々初春??」
「もしかして彼氏!?」「うっそー!でも御坂さんならいてもおかしくないよねー。」
「ですよねー…って白井さん!?」
なにか白井からもぞすごく黒―いオーラが出ている。
「初春。あなたお姉さまが今日どちらにいらしたかご存じ??」怖い、静かん口調だけにさらに怖い。
超高速で首を横に振る初春&佐天
「そうですか。…でしたら…」「「???」」
危険だ。白井さん危険すぎる!と二人が思ったのと白井が爆弾指示を出したのはほぼ同時だった。
「初春!第7学区の監視カメラの映像をすべてチェック!何が何でもお姉さまを見つけ出しなさい!!」
「無理ですよー!!そもそもアンチスキルとかへはどう説明するんですか!!??」
「言い訳なんて後からあなたが考えなさい!!」「ひえーっ!!」
初春のクリスマスもまた不幸なものとなりそうであった。
話は変わってこちらは上琴空間。
「それのこの個室2人利用だぜ。」「あーもう!!!いいじゃん二人で来てんだから!!」
「いや、なんか矛盾してません?」「だから!!!そもそもアンタと来るつもりだったんだから!!」
「…………ハイ?」「あっ!(やばい、言っちゃったー!!!)」
「えーと、そのー」「い、いや何でもないから忘れて!!」
「ありがとう。」「へ?」
「だからありがとう、美琴」「べ、別にいいわよ。どうせあたしも今日暇だったし。」
黒子が聞いたら絶叫していただろう。クリスマスをお姉さまと過ごしたいとそれこそ耳にたこができるほどいって、無視されたのだから。
「あー、それと俺からもクリスマスプレゼントと行きたいんだけど生憎なくてなー、この後御坂の欲しいもんかってやっから我慢してな。」
「いいわよ別に。あっ料理が来たみたい。とりあえず食べましょ。お題はもう払ってあるから。」
「ホントにありがとなー。」生まれて初めてこんなうまいもん食べた上条さんはちょっと涙目になっていたりする。
「な、泣かなくてもいいじゃない(よっしゃー!こいつすごく喜んでるー!!)」
上琴の夜(ディナー)は過ぎていく。
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その頃
「白井さーん、もう止めましょうよー。」半泣き状態の初春。
「そうですよ白井さん、そんな眼を血走らせてミニター見る事は…」何とかしてとめようと必死の佐天。
しかし
「だまらっしゃいお二人さん!!これは黒子の未来とお姉さまの貞操がかかっておりますのよ!!すべこべ言わずモニターを見なさいな!!!」二人の願いはツインテールのヤバイモードに突入した百合ぎみのジャッジメントによって粉砕された。
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「こんなのでよかったのかー??」「これがいいのー!ってミサカは」
「こらっ!妹の真似すんじゃねえ」「テヘ。」何かおかしい。オリジナルがやけにデレデレしてますよー!!
「そういえば、さっきの店でこいつ酒みたいなの飲んでた気が……」「なーにー?」
「何でもございませんって言うか酔いさませ美琴!!」ビクッ
あまり酔いはひどくなかったらしく下の名前呼ばれたことで覚醒。…とは行かない。
「ねえねえもう一度言ってー。」「何を?」
「もう、当麻ったらいけずー。」「はっ、はいぃいいいい!!??(今こいつ俺の事当麻って言わなかったか!?)」
「グフ、もう歩けましぇーん」「って、どうすんのよ!?」
「そう言えばアンタんちってそこらへんよねー」「え?あ、ああそうだけど(やな予感が…)」
「泊めてけ。」「やっぱりー!!??」
文句あんのかこらぁー(バチバチバチ)やめろこの至近距離で電撃するなあ!といいつつ結局美琴を寮に連れ込むことになってしまった上条さんでした。
ちなみにこの時やけに美琴の足元がしっかりしていたのは何ででせうか?