とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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とある二人の補習風景



「ここ、だよな」
上条当麻は見知らぬ学校の校舎の前にいた。

何故、上条が見知らぬ学校の前にいるかと言うと
「上条ちゃーん、上条ちゃんは明日この学校に行かないといけないのですよー」
と小萌先生から、召集命令がくだされたからである。

上条は校舎の中に入り、手に持っている紙を確認する。
紙はクシャクシャになっていて読み取りずらくなっているが、
幸いにも学校の方でどこに向かえばいいのか、しるされていた。
「えーっと、ここの廊下を右か、」
学校は休みだけあって、静まり返っている。いつも思うが静まり返った学校と言うのは、何とも言えない威圧感がある気がする。
上条は廊下を進み階段を上るうちに、目的の教室にきた。
「一体こんな所でなにをするんだ?ああ、不幸だ・・・」
とりあえず、教室に入るためドアを開ける。

ガラガラガラ

ドアは大きな音を立て、開く。教室を見渡すと、何人か種類の違った制服を着た学生が座っていた。
上条はそこに、ある制服を見て固まるが、スルースキルを全開にして指定された席に座る。不幸なことにその制服をきたある人物は隣の席だった。

「アンタ、こんな所で何にやってんのよ」

御坂美琴、常盤台中学でレベル5でもあるトンデモ中学生は、上条に話しかける。上条のスルースキルもこんなに近ければ命が危ない。
しかたなく、上条はげんなりして答える。
「こちらが聞きたいくらいです。なぜ、レベル5がここにいるんでしょうか?」
「それはこっちのセリフよ!ここは確か、大能力者以上の能力者が集まっているはずだけど?」
あれ、大能力者以上?絶賛無能力者の上条には縁の無い話だ。でも、上条はここにいる。

「な、何故だ・・・」
上条が混乱を極めていると、ガラガラガラっとドアが開き先生”らしからぬ”先生がはいってきた。
小萌先生だ。
「はーい、皆さん注目。今回、大能力者以上の合同補習の先生を勤めさせていだだく月詠小萌先生ですよー」
皆が驚いているが上条はいつも会っているので驚かない。皆が絶句している間に上条は何故ここに自分がいるのか、疑問を投げつける。
「小萌先生!なぜ無能力者の上条当麻がここにいるんでしょうか!?」
すると、小萌先生はにこやかな笑顔で、
「実は、先生この仕事がありまして、上条ちゃんの補習を受け持てなかったんですけど、
冗談で上条ちゃんをこの補習に出れるかどうか聞いてみたらOKがでちゃたんですよー」
「でちゃったんですよー、って!無能力者ですよ、無能力者!この上条は場違いだと思うのですが!?」
「上条ちゃんにもいい機会ですよ?なにせ大能力者以上の授業が受けられますからね。あ、ついていけなくても大丈夫ですよ、こういうのは経験ですら」
「ふ、不幸だ」

上条はこれから先にまっているであろう不幸に恐怖する。

そして、
(アイツと、一緒に授業!?いや、いや、別にそんな深い意味はないんだから気にするほどじゃ・・・ゴニョゴニョ)
美琴のほうは完全に舞い上がっていた。

「えーと、なぜか席が空いている気がするのですよー?」
小萌先生は席を見渡しながら、確認している。そういえばチラホラ席が空いている。
すると、博学そうないかにもって奴が、手を上げた。
「ん?理由を知っているんですかー?」
「はい、実は私が他の先生からこんなものを預かっています」
小萌先生はその生徒が持っている紙を取って、内容を読む。
「どれどれ、えー『食中毒により○名欠席、理由は全員○○○弁当によるもの。一応生徒に注意しておくように』って書いてありますねー」

ガタッ、上条はいきなり席を立つ。先生よりも上条を見つめていた美琴のほうが先に驚く。
「あ、アンタなにやt」
「先生・・・今○○○弁当と言いましたか?」
上条は汗を垂らしながら、聞いている。顔は青かった。
「どうしたのですか、上条ちゃん?まあ先生、今確かに○○○弁当と言いましたよー」
もしや、もしや、上条は焦る気持ちを抑えながら、鞄に入っている買い食い弁当を取り出す。
そこには、まごうことなき○○○弁当の文字が。
教室は騒然となる。
「(おい、おい、確かあの弁当って早々に回収された筈だぞ)」
「(まさか、まだ回収していない所があったのかしら)」
「(だとしたら、アイツ運ねーなー)」
飛び交う言葉はいずれも上条を哀れむ言葉ばかり。
上条はいつもの不幸と、昼間弁当なしの境遇に頭を抱える。
「どーすんだ、仕送り直前だったからなけなしの金を使って贅沢にコンビに弁当を買ったっていうのに・・・不幸だ」
すると、隣の美琴が話しかけてきた。なぜかそわそわしている。
「えーっと、アンタ今お金ないってんなら、今日昼飯奢ってあげるわよ?」
「あ、でも御坂に迷惑かけるのもなー。一食ぐらいなら何とかなるかもしれねーし」
上条はそっけなく答える。
すると美琴は怒ったように突っかかってきて
「なによ、わ、私とでは飯が食えないって言うの!?借りなら、この前映画館につれ回したじゃない!」
「いや、別に嫌ってわけじゃねーが。まあそこまで言ってくれるんならよろしくたのむわ」
上条は美琴の気迫に押されながら、とりあえず奢ってもらうことにした。
なんか美琴は更にそわそわしくなっていたが、上条は気づいていない。
「え。うん、じゃあそういうことで、うん。」

そこで、騒然となっていた教室を小萌先生が静める。
「はーい、上条ちゃんの不幸についてはそこまででーす。とりあえず、そのお弁当は回収しておきますねー」
「小萌先生、なぜかとても悲しくなって来たんですが」
上条は先生公認の不幸体質に、とても悲しくなってきた。


1時限目、

上条当麻はバカである。クラスではデルタフォース(クラスの3バカ)という不名誉な称号を与えられるほどのバカである。
まず、大能力者レベルの授業についていけるわけがない。まるでしている授業は外国の授業なんかと思うほどである。専門用語から理解が追いつかない。
もともと少なかったやる気をさらに吸い取られた上条は机に突っ伏す。教室を見渡してみると、皆真剣に授業を聞いていた。
一人を除いて。
「御坂、お前授業聞いてるか?」
美琴は無意識にさっきから上条ばっかり見つめていたので、授業なんて聞いているはずが無い。
美琴は慌てて、ペンを持ってノートを開く。
「な、ちゃんと聞いてるわよ!別にアンタに見とれてたわけないじゃない!!そ、そういうあんたはどうなのよ?」
「あー上条さんがまずここにいるのが間違いであって、授業を聞いている暇は・・・
あれ、見とれてた?」
上条は美琴の言葉を思い出しかける。美琴はかなり慌てて、
「な!?忘れなさい今すぐ!!」
「な、なにをですか!?御坂さん!?」

「はーい、二人ともうるさいので廊下に立っていてくださーい」
小萌先生が、いかにもな罰を二人に下す。
「な!?アンタのせいよ、アンタの!!」
「補習なのに、廊下に立つのか、不幸だ」


廊下、

廊下意外とひんやりしていて、教室から聞こえてくる音のせいでかなり静かに感じる。
上条はそれなりに廊下に立つのは慣れているので、そんなに苦とは思わない。
ちょっと気になるのは隣のことだろうか。
「うーん、廊下に立ってるんはいいんだけどさ、そんなに見つめられると、なんか気まずいぞ御坂」
「!?、見つめてなんかいない!見つめてなんかいないわよ!!」
美琴の大声が廊下に響く。さっきまで上条に向けていた視線をキョロキョロ宙に浮かして。
「(あのなー、うるさくして罰を受けたんだから、ここでうるさくしたら意味無いだろ)」
「(う、うるさいわね元々アンタのせいでこうなったんじゃない!反省してよ)」
俺のせいなのか、上条は理不尽な責任転嫁に少しげんなりする。

でも、このままだとつまらないので何気なく、美琴に話題をふっかけてみる。
「御坂さんはどのような料理が好きでせうか?」
「は?い、いきなりなによ?」
「廊下マスターの上条さんから言わせてもらうと、暇だ話相手になれ」
「な、なにそのぶっきらぼうな頼み方!?」
「いいじゃないですか。ところでさっきなんの話してたっけ?」
「アンタからふっかけおいて、忘れんじゃないわよ!確か好きな料理はどうとかこうとか」
「そだったけか、俺は何でもいいなー食えれば」
上条がそういうあやふやな答え方をすると、美琴はしばらく考え込んで
「もっと具体的に、」
「な、なにをそんな真剣な目つきで考えておられるのでしょうか?」
「い、いいじゃない!で、何なのよ!?」
何故かこっちが質問してた筈なのに、今はこっちが質問攻めにあっている。
とりあえず、ちゃんと答えて置かないと電撃かましそうな雰囲気だったので、適当に、なおかつ無難に答える。
「か、カレー?」
「か、カレーね。だったら・・・・・ゴニョゴニョ」
無難に答えたはずなのに美琴は自分の世界へと入っていった。なにを考えているか、わからないが触れないでおこう。
あたらぬ雷、怖くない!・・・いや、なんでもないです。

上条がしばらくボーっとしてたら、美琴がこっちの世界へと戻ってきた。
「ねえ、ねえ、アンタの寮って台所ある?」
一体どこのファンシー世界に行ってるのかと思ったら、台所だったようだ。わけがわからない。
上条が美琴の顔を覗き込む。別段と異常はないが、顔は赤い。
「お前、熱でもあるのか?」
「な!?話を逸らすんじゃないわよ!」
美琴の身体からバチバチ聞こえてくる。いつ地雷を踏んだのだろう?
「わ、わかった言う!言う!」
「わかればいいのよ」
「一応あるぞ。言っとくが、お前の考える一般常識から離れた台所ではないからな」
「わかってるわよ!」
美琴はなにを聞きたかったのだろう?鈍感男、上条は疑問に思う。

「はーい二人とも1時限目は終わりましたよー」
小萌先生がドアから顔を出して、そう告げてきた。
上条はやっと終わった1時限目に安堵し、その場に座り込む。
「あーやっと一つ目か、次もわけわからない授業ですか、小萌先生」
「いやー、次は面白い授業ですよ」
「?」
なんだろうと上条が思っていたら、
「ちょっアンタ、スカート中覗かないでよ!」
隣に立っていた美琴から頭の上に拳骨をもらった。


2時限目、

「はーい、皆さんまずペアを組んでくださーい」
小萌先生は何を考えているのか、いきなりそんなことを言ってきた。
すると、
「あ、アンタ!私と組まない?」
隣の美琴が電撃の速さで、こっちに寄ってきた。
まあ、確かにこの教室には知り合いも美琴以外にいないので異存はないのだが、
素直に答えるのも何かあれだ。ここは相手の真意を聞いてみよう。
「ん?なぜ、この上条さんと組もうと言うのです?」
「い、いいじゃない!別に!いいの!?だめなの!?どっちなのよ!!」
なぜが怒り出したので、上条は怯む。
「わ、わかった。わかったから!」
「どっち」
「上条さんは御坂さんと組ませてもらいます、組まさせてもらいます。」
結局、上条は美琴に負けて何にも成果があげられなかった。美琴は一体何を考えているのだろか。
そんなことをしていると、一通りクラスにいた奴らはペアを組み終わっていた。

「はーい、皆さんがペアを組んでもらったところで、これをもらってくださーい」
小萌先生が取り出したのは、昔はやったらしいルービックキューブ、らしいもの。
らしいものというのは、何故か縦横8マスもあってさらに色が存在しないのだ。これではゲームとして成り立たない。
それにペアを組んだ意味も不明だ。一体これでなにをするのだろうか。
上条はとりあず美琴の分も教卓からとって席に戻る。
皆が取り終えると、小萌先生は二つのルービックキューブらしいものを皆に見えるように、取り上げた。
「皆さん、見えますか?はい、じゃあ説明していきますね」

―――――――――――――――――――――――

要約するとこうだ
このルービックキューブらしいものは、キューブという名前で、二つのキューブは連動していて、
片方のキューブを動かすと、もう片方のキューブに色が付く仕掛けになっている。
そして縦横8マス×6面、計384のブロックに面ごとに色をつける、というものらしい。
色や色が付く場所とかはある法則があるらしいのだが、それを見つけるのがこの授業内容だ。
小萌先生いわく、
「これは柔軟性がなければ解けませんよー。頭をフル活用するのです!
一人では難しいかもしれないので、二人協力して知恵を合わせて頑張ってくださいねー」
とのこと。

上条はとりあえずいろいろいじってみたが、美琴の持っているものを見てみるとまったく揃っていなかった。
なんだか花火みたいに色が付いているが、ルール的には完全にアウトだ。美琴のほうも苦戦しているみたいだが、
こっちをむくと一瞬であっちに向きなおす。そんなに急いで何がしたいのだろうか。
上条の方はさっぱりこの仕組みが解らないので、美琴に聞いてみる。
「御坂さん、上条さんは全くこの仕組みがわからんのですが、貴方はわかりましたか?」
「え?あ、うん、まだわかんない」
美琴はそう答えてるが、手が動いてない気がするのは気のせいだろうか。上条がそんなことを考えてると、
美琴が俺の顔とキューブをチラチラ見てきた。そして、なにか意を決したように、キューブを強く握り締めると顔をこっちに向けてきた。ほんのり赤い気がする。
「ねえ、離れていると見づらいから、もうちょっと近づかない?」
「え、いや、まあそうか。わかった。でも俺は知恵とか出せないぞ?」
「いいわよ、どうせアンタはそういうのは苦手でしょ。私に任せてよ」
グイッっと美琴は近づいてそう答える。上条の方は何もそんなに近づかなくてもと思う。これ、なんてデジャブ。
美琴はガチャガチャといじり始めたが、時々回し損ねたりしている。心なしか、手が震えているような気がする。
「おい、お前、手大丈夫か?」
上条は美琴の手があまりにも不自然なので自分の手に取ってみる。
美琴の手は冷たいかなと、思ってたが予想に反して、温かかった。
「な、な、な、あ、アンタ!?」
異常なのは美琴自身だろうか。なんだか顔を真っ赤にした上、こっちの手を握り返してきた。
かなり動揺している気がする。
「なんか、調子悪いんだったら先生に言った方がいいぞ?」
「ば、馬鹿いってんじゃないわよ!調子が悪いのはアンタのせ・・・!?
いや、いや!!い、いいからアンタもこれ考えて!!」
美琴は持っていたキューブをグイーっとこっちに押し付けてきた。
「だから、わからないって・・・あれ?」
ふっと自分の持っていたキューブを見てみたら、ある1面がきれいなハートマークになっていた。
すると、小萌先生が近づいてきて、
「上条ちゃん、奇跡のラブコールされちゃいましたか?まさか、先生もこんな使い方されるとは思ってなかったのですよー」
「「ち、違う!!」」
見事、上条と美琴は息ぴったりに返事をした。


結局あれから二人とも無闇に、キューブを回せなくなり小萌先生の答え合わせまで何もできなかった。
「まだ、理解できてねーんだけど」
上条は答え合わせしてもなお、仕組みを理解することはできなかった。
「私もあやふやなくらいだから、アンタがそれでも仕方ないわよ」
「うう、馬鹿なんだな俺」


3時間目、

「はーい、皆さん今度はこの紙粘土をつかって授業をしていきますよー」
今度、小萌先生が取り出したのは、昔懐かしの紙粘土。実は学園都市では新技術を使った、紙粘土ならぬ鉄粘土が流行ってるので、
この学園都市で紙粘土を見かけるのは珍しい。だから、わざわざ紙粘土を使う理由は違う所にある。
「それでですね、これを能力を使って、好きな形を作ってみてくださーい。材質は紙粘土なので、脆かったり、だんだんと弾力がなくなってきたりするので、
結構難しいですよー。頑張ってみてくださーい」
どうやら、紙粘土の材質を利用して能力の細かな制御を勉強するらしい。
紙粘土が皆に配り終わると、皆それぞれの能力を使って紙粘土を削る、歪める、振動させるなどして形を作り始めた。

上条というと
能力は使えないので、立ち往生していた。能力を使わないのなら、どうとでもなるのだが、なんだかそれでは意味が無い気がする。
「先生、わたくし上条当麻は無能力者なので能力は使えないのですが」
「上条ちゃんは、見学をしてくださいなのです。なにせ今ここにはレベル4以上の能力者が集まってますからねー。おもしろいですよー」
そう小萌先生は言ってくれたのだが、皆さん近寄りがたい雰囲気を醸し出しているので、遠くからしか見えないし、なんだか俺だけってのも恥ずかしい。
とりあえず、隣の美琴の見てみることにする。
「御坂、何作ってる?」
「ちょ、ちょっと話しかけないで!これ、かなり難しいのよ!?」
上条にはわからないが、かなり難しい作業らしい。美琴の手を見てみると、手を震わせながらピリピリと細々しい電気を発していた。
形はどっかで見た気がするカエルだと思う。美琴の顔はいたって真剣なので、触れないでおこう。

結局することがなくなった上条は、紙粘土をいじってみるが元々こういうのが得意な方ではないのですぐ飽きる。一応変なものはできたのだが、
なんというかネコっぽいものができた。我ながら酷い出来だと思う。
そうこうしている内に、皆さんは作業が終わったようで、とても楽しそうに自分の作品の出来栄えを見ていた。さすが小萌先生といったところか。
さて、美琴のはどうなっているだろう。
美琴の机には、さっきのカエルらしきものと、二つの球体が縦に積み重なっていて、その上の球がウニではないが、きれいにツンツンしていた。
「お前二つも作ったんだな。なんつうか器用だったんだなお前」
「な、な、アンタ!み、見た!?」
「いやーすごいよな。一つはカエルだろ?もう一つは・・・・・えーと、すまん、わからん」
「ふう・・・いや、なんでもないわよ。適当に作ってみただけ。な、なにかあるわけじゃないわよ!」
「そうか、俺はこんなんしか出来なかったがな」
と上条はネコらしいものをツンツンと突いてみる。粘土は固くなっていてもう作り直しは出来ないようだ。
「え、それアンタがつくったの?」
「いや、そうだけど・・・・・御坂さん?何故そんなに目を輝かせているんでせうか?」
「ちょ、ちょっと見せて!」
そう美琴は言うと、上条からネコらしいものを取っていく。美琴はそれをまるで可愛いと言わんとばかりに、鑑賞している。
どうやらネコらしいものは、美琴のツボを抑えているらしい。上条にはわからないが。
「アンタこんな可愛いものも作れるのねー」
「ほしいなら、あげるぞ。俺いらないし」
「え、いいの?」
「むしろ、こんなものでも誰かが喜んでもらえるなら、うれしいしな。そのネコっぽいものも本望だろう」
「えへへ、じゃあこのネココはもらうわね」
「ね、ネココ!?」

いつも間にかネコっぽいものはネココという名前になっていたようだ。


4時限目、

4時限目は身体能力についての授業になるらしいから、小萌先生は他の先生とバトンタッチして今度はその先生の授業を受ける。
一同は、体操服に着替えて教室から校庭へ出る。上条が外へ出てみると、ここの学校の校庭はそれなりに広くて土もなかなかいいものだった。
上条は純粋な身体能力ならレベルが関係ないので、それなりにやれるとはりきっていた。
だが、

「おー、皆集まったじゃん」
そこには何故か見たことのある女教師。わが学校の先生、鬼教官こと黄泉川愛穂がいた。
彼女はナイスボディーな身体とは裏腹に、警備員(アンチスキル)に所属していて、上条の学校では彼女の授業(しごき)はそれなりに有名である。
彼女がいる訳が無いと思っていた上条は動揺を隠せない。
「なぜ、アンタがここに!?」
「いやー、警備員にいるからさ、こういうことは結構任されるじゃん?」
「任されるって・・・・・・・・ただの、警備員じゃないからな」
「ん?なにか言ったじゃん?」
「いえ、いえ!何でもありません!」
本音を聞かれそうになって上条はごまかす。聞かれていたら間違いなく上条の命は無かっただろう。
しかし教官が彼女なら、瀕死ですら免れない。結局はこれからの不幸にげんなりするしかない上条だった。

そんな時、上条にいきなりゲシッっと
なんだかいつの間にか隣にいた美琴が足を蹴ってきた。何故だ。一体、何時、何を、俺は美琴にしただろうか?
「あの、少し痛かったんですけど御坂さん?上条さんなにかしましたでしょうか?」
「・・・・・・・なんでもない」
なんでもないのに蹴られたのかよっと突っ込もうとしたが、よく見てみると、美琴はさっきからそっぽ向いてこっちを見ない。
なんでもないわけでは無かったようだ。とりあえず謝って損はないので、何かしてしまった上条は美琴に謝っておく。
「いや、すまん」
「なんで謝るのよ」
「なんか御坂を怒らせちまったみたいだからな。謝っておいた方がいいかなーと」
「!?、べ、別に怒ってなんか無いわよ!」
「そう?」
「別に、そんな意味で怒ってないわよ」
どんな意味か解らないが、とりあえず美琴は怒ってはいないようだ。
「それなら良かった」
「いいわよ別に・・・・・でなんでアンタ、今日は鋭いわけ?」
「ふふん、この上条さんの洞察力をなめないでいただきたい。その話は今日に限りませんことよ」
「あてにならないわね。その洞察力。」
「な!?御坂さんはどの根拠でそんなことを言うのですか!?」
「どのもこのも無いわよ。アンタを、すっ!?わー!!わー!!今のナシ!今のナシ!!」
何が梨なのか解らないが、美琴は慌ててさっきのはナシ!と念を押してきた。
なにが言いたかったのか解らなかった上条には無意味なのだが。

ピー!
そんなことをしていたら、例の教官が笛をならしてきた。
「ほーら、無駄話は終わりにするじゃん。これから授業を始めるぞ!で、どうしようか・・・・・・・・んじゃあ、持久走、いくじゃん♪」

「はぁ、はぁ、み、御坂、もう、諦め、ても、はぁ、いいんだ、ぞ」
「な、なにを、はぁ、いって、るの、はぁ、かしら」
持久走が始まって、かれこれグラウンド15周くらいになっていた。上条は自分のペースで走っていたのだが、なぜか美琴の方は無理してでも上条についてきていた。
上条の方も美琴を振り切ろうとしたが、無駄に体力を使っただけだったので、もう美琴を振り切るのは諦めている。
ということで、今二人は並んで走っていたのだった。
走っていると脱落者がチラホラ見える。やはり15周ともなってくると脱落者も出てきていた。
上条の方もかなりきつかったが、いつもがいつもなのでまだ走れている。
しかし、いつもは気持ちが高ぶってあんなことができるのであって、こんな時に気持ちを高ぶらせるのは無理なのである。
できる、できないの問題では話は違うが、もう走れるか、走れないかと言ったらもう少しで走れなくなるだろう。
上条がそんな限界ではない限界を極めていたら、隣にいた美琴が足をもつらせた。
「わ!?」
こけそうになった美琴を上条は寸前の所で支えた。美琴を見ると、どうらやもう走れそうにない。
「大丈夫か。ほら、肩を貸してやるから腕に力入れろ」
「う、うん。ん!」
美琴は上条に言われて腕に力を入れようとするが、余程無理をしていたのかあんまり力が入らない。
上条も限界がきていたが、美琴をとりあえず先生のとこまで運ぶため、美琴の全体重を持ち上げる。
「そんなに無理して俺についてくるからこうなっちまうんだよ。よっと、じゃあ先生のとこまで運ぶぞ」
「だって、アンタが逃げるから!」
「いや、これそういうものだから」
「そういうものでも嫌なの!置いてかれるのは!!」
「なにが嫌なのか上条さんはわかりかねます」
「・・・・・・・・・バカ」
「?」

上条は美琴を先生のとこまで運び終えると、
「小萌先生のとこのはやるじゃん。でも、まだ余力が残っているみたいだからあと5周じゃん♪」
と死の宣告をされ、最後には一人で走らされることとなった。

「だ、大丈夫?」
上条はあれから余力どころか寿命をまで使い果たしたんじゃないかというくらいボロボロだった。
今では、美琴に肩を貸してもらわなくては歩けないほどである。さっきとは逆の立場に男として情けなくなってくる。
「うう、すみません御坂さん。男上条当麻もう女の子に肩を貸してもらわなければ歩けないほどボロボロです。面目ないぃー」
「べ、別にさっきのお返しだし、アンタだから・・・・・問題ないわよ」
「ん?俺だとなんなんだ?」
「う、うっさい!いいからアンタはあたしについてくればいいの!」
「御坂さん!?なんか強引ですよ!?」
上条は美琴に強引に連行され、体中から悲鳴を上げることとなった。

上条が連れていかれたのは、保健室。休みなので先生は居らず、他に生徒がベットにいたりサボっていたりしていることはない。
あの鬼教官は、かわいい彼女に手当てしてもらうといいじゃん♪と責任を放り投げの上に、美琴にギャーギャ騒がれる要因を作ってどっかへ行ってしまった。
なので、保健室にはあの授業でたった一人の重病人上条と、その付き添いの美琴しかいなかった。
美琴は上条の手当てを始める。
「アンタはいつも無茶するんだから。私が倒れたとき運んでくれたけど、その時もう足震えてたでしょ?」
「いやー、あの時は仕方ないとしても、あと5周がきつ過ぎたよ。無理やり走ってこの様・・・・・・・不幸d」
「はーい、無駄口叩いてないで、美琴さんの手当てを大人しく受ける!」
「むご、むごごご、むごむがががーーー!(おい、ガーゼで口塞ぐなーーーー!)」
「はい!これでOK。足から外れないようシップ張っといたから、外すんじゃなわよ」
「ぷはぁ、御坂、なぜか俺の口元からガーゼの臭いがするのだが」
「じゃあ、アンタ次の授業出れるか分からないから、一応先生にそのこと伝えとくわねー」
「おい、無視かよ!?」
「へーんだ。いつも無視ばっかしてくるアンタが悪いのよ」
と美琴はあっかんべーをして、無理して立ち上がんじゃないわよーと釘をさし、保健室から出て行った。
美琴がいなくなったあとは保健室はなんだか静かで居心地が悪かった。普段の入院ではこんなこと思ったことはないのにと上条は思う。
さっきから美琴と騒いでいたからだろうか。
「普段の入院では、病院だけあって騒げないからかな、こんなこと思うのは。いや、結構騒いでいるか?」
でも、やっぱり美琴は一緒にいるだけで楽しい相手でもあるのかもしれない。危険な相手でもあることは外せないが、周りを考えてみるとまだ、ましな方だ。
そんなことを上条が考えていたら、はやくも美琴が戻ってきた。
「お、まっていました、いとしのみことさん」
「な、な、な、な!!!!!!なに、ぶっ飛んだこと言ってんのよアンタぁ!!!!!!」
「いや、ただのジョーク・・・ってここでビリビリするなー!」
「アンタが悪いんでしょうが!」
「ただのジョークに過剰反応するからだろ」
「ジョークにも限度ってもんがあんでしょうが!」
「・・・?。なんの限度でしょうか?」
「なんでもないっ!」
美琴はビリビリ!と一回放電してきたが、そのあと深呼吸して怒りを抑えようとしていた。上条は触れたらアウトなのを本能で感じ取ったので、
これ以上保健室に被害をもたらさないよう、喋らないことにする。
しばらくすると、美琴が大きなため息を吐いて、口を開いた。
「で、先生はアンタと私は次の授業でなくていいって」
「え、なぜ?」
「次の授業は能力測定なのよ。アンタはレベル0でしょ?だから、出る必要も大してないから出なくていいっていうこと。
私の場合は、測定が滅茶苦茶大掛かりだから元々無しだったの」
「そんな御坂さんに俺はいつもビリビリされているというのですか・・・」
「アンタが無視するのが悪いんでしょ」
「ふ、不幸だ」
「で、これから昼食食べに行くんだけど、アンタ一人で着替えられる?」
「手伝ってくれるのでしょうか?」
「ば、バカいってんじゃないわよ!・・・・・・い、いきなりそんなことは・・・・・・」
「いや、大丈夫です。一人で着替えられます」
上条は純情乙女の心を弄んだ結果、能力ではない強力なパンチが飛んできた。

「アンタもタフよねー、あんだけボロボロになってもう歩き回れるんだから」
あれから上条と美琴の二人は昼飯をどこで食うか迷いながら歩き回っている。
上条は何とか回復して歩きまわれるくらいまでには至ったのだが、まだ走れるほどではない。それなりにダメージは残っている。
携帯の時計を見てみると、時刻は1時くらいと少し昼食の時間が過ぎていた。時刻も時刻なので腹が結構減ってくる時間帯である。
それに、上条はさっきかなりの体力を使い果たしたので、さっきからお腹がギュルギュル鳴ってしまっていた。
「俺としても脅威のタフさだが、腹が減ってしまうのはどうしようないな」
「アンタ、さっきからうるさいわよ?」
「ひどい!」
「あははは、冗談よ冗談。で、腹が減ってるんでしょう?早く食べましょう、どこ行きたい?」
「うーん、特に無いしなあ。御坂に奢ってもらうから御坂が知ってるところでいいぞ」
「そう?じゃあ、あそこいこ!」
美琴は駆け足で動き出したが、上条は速く歩けないので美琴のあとを追いながら付いていった。
前を走っている美琴は時々止まりながら、上条を催促する。速く!速く!と。そんな風に言われると頑張らないわけにはいけないので、
上条は美琴にばれないよう、ちょこっと無理をして追いかける。美琴の知っている店はそんなに遠くはなく、すぐに着くことができた。
「あれよ♪」
美琴が指を指したのはあきらかに繁盛していなさそうな小さな店。その店は学園都市には似つかわしくない古風な雰囲気を出しており、
とても異質な空気を放っている。一見するだけでは入る気もならないようなところである。
上条としてはまがりなりにもお嬢様学校に入っている美琴が選ぶ店として、色々想像して「高いレストランとかだったらどうしよう!」と
心配していたのだが、まさかこんなところとは。全くの予想外だった。
経験上この場合は余程の穴場か、とんでもないハズレである。以前、土御門に「ここは穴場だにゃー」と嘘をつかれて腹を壊したのはまだ記憶にあたらしい。
上条はあんなおもいはもう二度とごめんである。
「なあ、御坂一応聞いておくが、行ったことのある店だよな」
「当然。なにを疑ってるのかわかないけど、食べてビックリすんじゃないわよ」
「ほう、それは楽しみだ。もしこの上条さんを唸らせるほどの味だったら何でも言うことを聞いてやろう」
「・・・・・いったわね。その言葉忘れんじゃないわよ」
なんだか自信満々の美琴はもう既に小さくガッツポーズをしている。
しかし、この上条さんは甘くは無い。理由は簡単で隣の部屋の妹さんが食のプロレベルの職人さんだからである。いつもあそこのお料理にはお世話になっていて、
上条の舌は貧乏人であるにもかかわらず肥えていた。だから、上条は負ける気などさらさら無かった。
あの料理を食べるまでは・・・
「う、うまい!」
出てきた料理は本能までくすぐる様な匂いを発し、その匂いにつられて食べると、これまでに感じたことの無い味を舌の上で醸し出す。
まさに絶品と呼ばれるのに相応しいものだった。
「へへん、どう?私は初めてじゃないから大丈夫だけど、大体初めての人は手が止まらないって・・・・・・ちょっ聞いてる!?」
「うまい!うまいぞー!!」
「アンタ、キャラ変わりすぎ!」
結局、美琴に頭下げてまでおかわりをして、綺麗に完食した上条であった。


上条達はさっきの店を出て、別に向かう先はないからブラブラ歩いていた。
「ふう、すごいものを食ってしまった」
「どう、すごかったでしょう?」
「ああ、すご過ぎた。もう上条さんは満身創痍ですよ」
「良かった♪」
美琴は楽しそうにそう言って、満面の笑みを見せてきた。そんな仕草に上条はちょっとドキッとしてしまった。
慌ててそっぽを向くが、そっぽを向いたことで美琴に怪しまれてしまう。
美琴は尋問をするような目つきでこっちを睨んできた。
「なによ」
「な、なんでもありません!」
上条は短く、なおかくスタンダードな言い訳をいう。
美琴はそんな上条の顔を一通り見回すと、諦めたのか向きを前に向きなおす。
しばらく二人とも黙って歩いていたが、しばらくすると美琴が口を開いた。
「変なの。でも、こうしているとなんだか授業一緒にサボっているみたいね」
「・・・そうか?」
「なに、アンタはそう思ってないの?」
美琴は何故か怒った様にそう言う。上条としては、美琴と同じ学校という状況が想像できないので、わからない。
「そういうわけではないが・・・。じゃあもし、俺と御坂が同じ学校だったらこんな感じだと御坂は思うのか?」
「な!?なな、なにを言ってんのよアンタ!?」
「いや、なにもそんなに慌てるようなことを言ったつもりは・・・」
「べ、別に・・・・・・一緒の学校でなくとも・・・・・・こういうことは・・・・・・・できるわよ」
「そうか、そうだな。じゃあ御坂、またこういうことがあったらよろしくたのむわ」
「あ、アンタがそう言うなら・・・・・・・」
「あと特に、ビリビリなしのあたりをな」
「うっさいわね。私だって年がら年中ビリビリしてないわよ!」
なんだか余計なことを言ってしまったようだ。美琴の周りがビリビリ言い始めた。
上条は美琴と距離を取ろうとするが、美琴は逃げようとする上条を追い詰める。
「み、御坂さん?これからどういたしますか」
「どうしようかしらねー。あ、さっきなんでも聞くって言ったわよね」
「!?」
「じゃあ、まず一つ目。これからゲーセンに行くから付き合いなさい!」
「一つ目って、いくつあんだよ!?」
「二つ目はゲーセンまで私の鞄を持つこと」
「だから、いくつまであるんですか御坂さん!?」
「うっさいわね、次で最後よ。で、最後は・・・・・・・・」
「・・・・・最後は?」
「あ、後でアンタの寮に連れて行きなさい!」
「!?。どういうことですか御坂さん!?」
美琴はその上条の質問には答えず、上条に自分の鞄を投げてよこしてきた。
上条は思わず鞄を取りこぼしそうになって、危うく掴み取る。
「はい。それ3時間目に作ったものが入ってるから、乱暴に扱うんじゃないわよ」
「罰ゲームは決定事項ですか!?」
「はーい、ゲーセンまで競争ー」
「ちょ、まてよ御坂!」
美琴はさっさと走り出して、上条から離れていく。上条は見失ってもまずいので、痛む体を酷使しながから美琴を追いかけていった。


おわり。


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