小ネタ たまにはこんな朝も
「ふぁあ………朝…」
目が覚める。常盤台の寮ではない、だがよく見慣れた天井が目に入る。
時計を見れば既に時刻は8時半、今日が日曜なのを考えると、まだそこまで遅い時間ではない。
が。
「目ぇ覚めちゃったしなぁ…朝ご飯作らなきゃ…」
まだまどろんだ頭でそんなことを考えていると、ふとこの部屋の主がどこにもいないことに気付く。
「あれ…当麻は…?」
美琴と上条が付き合いだして早一年。
翌日が休みの場合、美琴は時々こうして上条の家に泊まりに来ているが、上条の方が先に目覚めていることなどただの一回もなかった。
それなのに今日に限って見えぬ上条の姿。
まだ眠い目で辺りを見回しても人影一つ見えない。
が、
次第に意識がはっきりしてきて、ふと胸部に違和感を感じた。
いや、違和感というか、その。
重い。
「…重い?」
そっと布団をめくる。
そこに見えたのは自分の胸ではなく、
つんつんした黒い”なにか”。
「こいつ…なに人の胸を枕代わりにしてるのかしら…」
それは、胸に頬を擦り寄せ、美琴を抱きかかえるようにして眠っている上条。
「起きろー…って、まぁいっか。それにしても可愛い寝顔よね…」
頬をプニプニとつつくが起きる気配は無い。
それどころか、「んー…みことぉ…」などと寝言を言いながら微笑んでいる。
「ホント幸せそうな寝顔…どんな夢見てるのかしら…。夢の中でも私と一緒にいてくれてるの…かな…?」
今日は日曜、時刻は間もなく9時になろうとしている・
「ま、たまには昼まで寝ててもいいよね…?」
誰に問うわけでもなく、美琴はつぶやく。
そして、
ちゅっ
上条の額にキスをし、彼の頭を抱き締めながら二度目の眠りに入る。
願わくば、夢の中でも彼と共にいられますように、と思いながら………