とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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小ネタ デートの帰り道



楽しかったデートの帰り道。
いつものように自販機のある公園で別れたくなくて、もう少しだけ一緒にいたくて。
「暗いから」「不良に襲われたらどうするの?」なんて柄にもないわがままを言って、
寮の前まで送ってもらうことになった。

寮の前に着いても、それでも彼の腕を離さない私に、彼は困り顔で。
「俺も美琴も明日は学校あるんだから」「寮の前(ここ)まで来ておいて門限破ったら元も子もないだろ」
なんて言いながら、優しく私の頭を撫でる。

「明日だってまた会えるだろ?」と彼は言うけれど。
「明日」なんていらない。ずっと「今」が続けばいいのに。


以前は、私を「超電磁砲(レベル5)」ではなく「御坂美琴(わたし)」として見てくれる人が欲しかった。
難しいかもしれない、でもそんなに多くを望んでいたわけではないと思っていた。
だけど、今は「上条当麻(彼)」が欲しいと、その人じゃなきゃダメだと本能が訴える。
いつからだろう、こんなにわがままになってしまったのは…

もし彼をこのまま部屋まで連れて帰ることができたら、どれだけ安心して眠れるだろうか。
もし彼に抱きしめられたまま眠りにつけたら、どれだけ幸せな夢が見られるだろうか。
目が覚めた時、もし彼がそこにいてくれたら、その日はどれだけ素晴らしい日になるだろうか。

わかってる、そんなことはできないって。
これは私のわがままなんだって。


門限まであと3分。もう限界かな。
困り切っている彼の腕を不意に引っ張って、触れるだけの口付け。
そのまま小走りで数歩離れて振り向き、

「今日は楽しかった。最後にわがまま言ってごめんね。じゃあまた、明日ね。」

不意を突かれて、少し驚いていた彼の顔が、
ホッとしたような、でもどこか寂しそうな笑顔に変わり、

「おう、俺も楽しかったよ。また明日な。おやすみ、美琴。」

引き止めてくれたら、なんて。心の片隅での望みは打ち砕かれる。
それでも彼の言葉を心に、寮の入り口まで走る。
もう1分を切っている。本当の本当にギリギリだった。
入る直前にふと後ろを振り返ったら、彼はまだ先程と同じ場所に立っていて。
私の顔を見て、小さく手を振った。


(終)


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