小ネタ 知恵の輪
『カチャカチャ……』
「なかなかウマく行かないわね」
『カチャカチャ……』
「ここをこうして……」
『カチャカチャ……』
「ウーン、難しい……」
「オイ、何やってんだ?ビリビリ」
「ヘッ!?」
「何真剣な顔してやってんのかな~と思ってさ」
「あ、アンタ!?」
「あのなぁ……「アンタ」とか「このバカ」とか、オレには『上条当麻』って言う立派な名前があるんだよ!!」
「アンタこそ、私のことを『ビリビリ』って言うじゃない。私にも『御坂美琴』って言う名前があるの。いい加減覚えなさいよ……」
「へいへい……ところで何やってんだ、お前?」
「あ、知恵の輪よ……後輩が貸してくれたんだけど……」
「へえ、面白そうじゃん。オレにもやらせてくれよ」
「あっ、ちょっちょっと……もう」
『カチャカチャ……』
「アレ?結構難しいな」
『カチャカチャ……』
「ウーン……ダメか……」
『カチャカチャ……』
「アレ?」
『カチャ……』
「……」
「何やってんのよ、サッサとやりなさいよ」
「いや、やりたくない」
「ヘッ!?何言ってんのよ。勝手に人から取り上げといて。それで『やりたくない』って、ワガママもいい加減にしてよね」
「だってよ、この知恵の輪……ハートの形になってるだろ?」
「そう言えば、そうね」
「コレ外しちゃったら、何か御坂との関わりも外れちゃうような気がしてきてさ……」
「えっ?」
「だから、やりたくなくなっちまった」
「……」
「……」
「フフッ、正解よ」
「えっ!?」
「この知恵の輪は外しちゃいけないの。外れないようになってんのよ」
「お、お前!?オレを嵌めやがったな!!!」
「嵌めてなんかいないわ。ちょっと試しただけ……」
「試す?何を?」
「アンタが……当麻が、それに気付くかどうかを……」
「えっ!?……お前、今」
「好きよ、当麻」
「えっ!?」
「私は当麻が好き」
「み、御坂……」
「この知恵の輪みたいに私を離さないで」
「お、おう。わかったよ、……美琴」
「エヘッ!!」
(Fin)