とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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だれでも歓迎! 編集

お互い敵わない



授業が終わり、足早に帰ろうとしていた上条に土御門が声をかけてきた。

「カミやんお願いがあるにゃ~。ちょっとこれを一日預かってくれないかにゃ?」
「これは……ってエロビデオじゃねえか!!」

土御門が袋に入っている一つをパッと取り出したのはなんともいえない女の子が妙なポーズをしている
パッケージが描かれたDVDだった。


「にゃ~…今日は舞夏が来る予定で…これだけ部屋にあるのが許せないらしいにゃ。
隠しても見つかった時を考えると恐ろしいし…」
「メイドフィギュアとかそのへんにあるようなエロ本は許されるのにこれだけダメなのかよ?」
「そうだぜい。『兄貴、これでナニやってんだぁ~?』と言われた時は死にそうだったぜよ」
「あぁ~。母親に見つかった時より修羅場になるな。でも待て、俺の部屋にはインデックスがいる。毎日居るから俺のほうが危険だろ!?」
「パンでも入れてなければ鞄から出さなければあのシスターは大丈夫だろ?それに持ち物チェックするヤツでもないだろい?」
「……そうだな。よし!!なら心優しい上条さんに任せなさい!」
「恩に切るぜいカミやん。見たいなら自由に見ていいぜよ?」
「かりに見たくなったとしても見れる環境じゃねえからな遠慮しとくよ」
「んじゃ、夜にでも取りに行くからよろしくにゃ~」

土御門はヒラヒラと手を振って教室を出て行った。残された上条はそっと中身を覗く。
DVDが数本入ってあった。


『発掘!メイド義妹』
(いや、これはもう土御門のためにある一品じゃねえか)


『シスターさんに懺悔したいゾ☆』
(このコスプレとスタイルはオルソラを彷彿とさせるがここはあえて何も考えませんことよ)


『永遠のライバル!?最強ツンデレ姫~別にアンタが好きって言いたい訳じゃ~』
(土御門ってツンデレ好きなの?キャラじゃねえなぁ。でも誰かに似ている…)

他にも2、3本あったがこの三つのタイトルが強烈すぎた。
鞄にこれらを忍ばせてスーパーで買い物を済ませ寮に帰宅した。

のだが…


「………………………は?」
「あっ、おかえり~」

玄関に入ると何故か御坂美琴が出迎えてくれていた。


美琴は上条愛用のエプロンを着用しており、ちょうど作業が何か終わったかみたいな様子でお茶を飲んでいた。
インデックスは美琴と向かい合って座りテレビにかじりついていた。とりあえず険悪なムードではないみたいだ。

「何故ここに御坂さんがいるのでしょうか?」
「何故ここにインデックスが住んでいるのでかしら?」
「いや、俺の質問に答えろよ!?」
「それがね…話せば長くなるけど」



放課後の帰り道、上条がいないかとあちこちを探していた美琴。しかし出会ったのは上条ではなく、

路上で倒れていたインデックスだった。

「ちょっと!大丈夫?怪我でもしたの!?」
「……お腹減った」
「へ?」
「お腹減っておうちに帰れないかも」
「つまり、ここで何か食べさせてもらうか家に連れて行けと?」
「私的にはおうちに連れて行ってくれてごはんをご馳走してくれると嬉しいかも」
「図々しいにも程があるわよアンタ…」
「短髪、私は健全なるシスターなんだよ?図々しいとかやましいとかそんな心はなく、
とりあえずお腹いっぱいごはんが食べられたら嬉しいというそれだけの心だけであって
つまりこれは…」
「わかったわよ!おんぶしてあげるから。道案内してよね?」
「ありがとう短髪」
「その短髪ってやめてくれない?私には美琴って名前があるの…よっと。意外と軽いのねアンタ」
「じゃあみこと、意外ってどういうこと?それと早速だけど向かっている場所反対かも」
「アンタが住んでいる場所知らないから仕方ないでしょ!?」



ギャーギャー言い合いながら美琴がインデックスをおんぶして寮まで運ぶ。だが美琴は寮に着いてあることに気付く。

「ここって男子寮じゃない?」
「ここはとうまの部屋だよ」
「…何故アンタは家までと言ったのにあのバカの部屋に案内したのかしら」
「だって私もここに住んでいるからだけど?」
「んな!っ………」
「大丈夫?顔赤いよみこと?」
「なんでもにゃい!とりあえずアンタとあのバカには聞きたいことが山ほどできたから。
とりあえず部屋の鍵開けてくれる?ご飯食べたいんでしょ?」
「ありがとうみこと!でも冷蔵庫の中はあんまりないかも」
「私に任せなさい。どんな残り物でも美味しい料理作ってやるから!」


この言葉だけで既にインデックスの心を掴んでいた美琴。だが本人は気付いていない。
部屋に入るといかにも学生らしいシンプルな部屋。ここがアイツの部屋…
でもそうウキウキしていられない。インデックスの腹の鳴り方が迷惑な程うるさくなってきた。

冷蔵庫の中を見ると意外と上条が綺麗に使用していることに驚かされた。残った食材はラップして保存。
容器も使い分けて意外と几帳面な性格。

上条には申し訳ないがこの食材で料理を作った。味には絶対の自信がある。だから帰ってきた
上条にも食べてもらおうと余分に作ったつもりだったがインデックスはとても満足そうに
全部食べきってしまった。

「インデックス…あれだけの量を一人で…」
「幸せなんだよ~…みことはいいお嫁さんになれるかも」

今はこの笑顔を見れただけで美琴は満足になった。まあ、これでいいかと。



「…というわけなの。で、何でインデックスはアンタと一緒に住んでいる訳?」
「いや、それは~」

土御門から預かったDVDが見つかるよりも説明するのがめんどくさいことになってしまったと
上条は心の中で不幸だ~と呟いた。でも今日の神様は上条に見方した。

「私が学園都市に住める所がないからとうまの所に預かってもらっているんだよ」

インデックスだ。いつもより美味しい料理を食べたからか今の彼女はとても上機嫌だ。
上条をかばっているつもりはないが上条からすればそうなる。

「え?それって本当?」
「だって私はイギリス清教のシスターだから学園都市にいる必要はないんだよ?」
「そう。どうりでアンタの周りにはシスターさんや巨乳の人間が多い訳だ」
「え!?きょ、巨乳は関係ないだろそこは!」

美琴の口から巨乳の単語が出てきてドキっとしてしまう上条。鞄の中にあのDVDがバレた
のかとつい無駄に意識してしまう。

「い、いや、インデックスに飯を食わせてくれたのは非常に助かったよ。ホラ、寮の門限とかあるだろ?」
「アンタ、そのわかったからもう帰っていいよ。みたいな言い方は何?一応私は招いてもらったお客さんなのよ?」
「じゃ、じゃあお茶でも飲んで行けよ。お嬢様の口に合うかわからないけど」
「悪いけどもう勝手にいただいてますが?」
「ぐ…なら…ごゆっくりくつろいでください」
「ん、それでよろしい」


上条からすればとんだ迷惑になってしまった。自分の鞄には何せテポドンがある。もしこれがばれたら
ただのスケベ高校生の称号だけでは収まらない。
土御門が取りに来る時間まで隠し通せる自身がない。

(でも鞄から取り出さなければいい話だ。いつものような冷静を取り繕って…)

いかにも普通ですよ~とアピールするように鞄をベッドの上にポイと投げてベッドに座る。

だが御坂美琴は上条の全てが気になるのでついついどうでもいいこと、上条からすれば地雷を踏まれるような質問をした。

「アンタ、やけに鞄薄っぺらいけど教科書とか入れてるの?何か入ってる?」
「ぎっくぅ!!!」
「何よその反応?」
「い、いや~。バカでドジでマヌケな上条さんが教科書を持ち帰る?365日机の中に入れっぱなしですことよ?
鞄なんて登校中の飾り、携帯のストラップみたいなモンですから。あは、あはははは…」
「…んま、アンタが真面目に教科書持って帰る人間ではないわよね。中学生の私に教えてもらうくらいだから」
「そのとおりでございます」
「じゃあその鞄の中には何が入ってるの?」
「はっは~、健全な高校生の持ち物検査なんてしようと思わないことですよ?」
「まさかエッチな本…///」
「んな訳ねえだろ!インデックスがいるこの部屋のどこで読むんだ?見ろこの部屋を!
そんな代物どこにもございませんことよ!」
「………あっそ。インデックス、そのアニメ面白い?」

無事乗り越えられた?美琴は勝手に話題を変えてくれたしインデックスも好きなアニメに
興味を持ってくれたと思いノリノリで応える。

とりあえずここでのピンチは免れた?のだった。



「御坂、晩飯食って行くか?」
「いいの?」
「インデックスが世話になったんだし。男料理が口に合うかわかんねえけど」
「じゃあご馳走になろうかしら」
「みことがご飯作ってくれると嬉しいのに」
「うるさいですよインデックスさん?」

夕飯の時間帯になってもまだ美琴は上条の部屋にいた。上条からすれば今すぐにでも帰ってほしいがここは煙たがれない。

上条がキッチンに立ち美琴とインデックスはなんと仲良く隣同士に座りテレビを見ている。
先ほどスーパーで買った食材を使って料理をやり始めた。

「とうまー。何か面白いテレビない?この時間ニュースばっかりでつまんないんだよ」
「録画してやったアニメのDVDがあるだろ?それを御坂に見せたらどうだ?」
「だって覚えてるからつまんないんだよ」
「ん~…なら」

全く何も考えないでつい口走った。言ってしばらくするまで自分でも理解していなかった。

「俺の鞄にDVD入ってるぞ~?」
「わかった~」
「あれ?アンタ何も入ってないってさっき言ったじゃない?」
「…………んあ?」

手元の作業をしながら2人のほうを見る。インデックスがベッドにある上条の鞄を開けようとしていた。
血の気がサーっと引いていったのがわかった。


「ま、待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!」

逃げ足レベル6の力を発揮して瞬時にインデックスから鞄を奪う。

「何するんだよとうま!」
「待て、これは友人から預かった大事なものだから二人にはとても見せられない!」
「でも今DVDあるからって言ったんだよ!」
「ダメだ!これは特にダメ!今日だけ預かってくれと頼まれたんだ!!」
「むぐぐぐ…」
「アンタ、インデックスに噛み付かれるのと私に超電磁砲喰らうのどっちがいい?」
「今回はどっちも受け止める覚悟です!!だからこれだけは本当に勘弁してください!」
「あら、それなら余計その中身が気になるわ~。インデックス、頼んだわよ」
「了解なんだよ!!」ガブっ!!
「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


美琴とインデックスは見事な連携を見せた。インデックスが上条に噛み付き、必死に抵抗している内に美琴が上条の鞄を開けた。
おもむろに手を突っ込み手に触れたものを適当に掴みそれを取り出した。それは


『永遠のライバル!?最強ツンデレ姫~別にアンタが好きって言いたい訳じゃ~』


「………アンタ………これ」
「違う!違うんだ御坂!いだだだだだだ!!」
「みこと、これ何!?」
「インデックス、アンタは絶対にコイツの頭から離れたらダメだから。私がいいというまで
噛み付いていいからね?」
「了解だよ!!」
「アンタ!今すぐテレビの前に座りなさい!!抵抗したら家電とアンタを焼く!いいわね!?」
「は、はいいぃ!」
「こ、こここここ、これ、再生しなさい」
「は、はあぁぁぁ!?絶対無理!!」
「これ見たかったんでしょ!?私が代わりに料理作っといてあげるからアンタはゆ~っくり
見ていていいわよ?」
「い、いや、これはだから…」
「ささ、じっくり堪能しなさい。騒いだらキッチンから包丁投げつけてやるんだから」
「ひいぃぃ!!」
「インデックス、コイツがちゃんと見てるか監視しといてね?」

ここまで満面の笑顔で上条に詰め寄るが目は鬼のようだ。インデックスはまだ上条に噛み付いており、

「さっさと再生するんだよ!!」

とこちらも鬼になっていた。
もう逃げられない。しぶしぶデッキに入れて再生ボタンを押す。

「俺は世界一不幸だ」
「うるさいんだよ!」ガブっ
「うぎゃぁぁぁ!!」

いよいよ本編がスタートした。



『ちょっとアンタ、待ちなさいよ!』
『…またお前か』
『うっさい!私にはちゃんと名前があるの!アンタはいつも私のことお前って…』
『お前だって俺のことアンタってしか呼んだことないじゃないかよ』
『だってそれは……/////』
『だってなんだよ?』
『う、うるさい!この鈍感!バカ!』

(………なんかこれ私とアイツに似てる…)

キッチンからコソコソと見ている美琴。どうせあのパッケージだからこれからどのようにしてあの展開が…
ついつい目が行ってしまって料理に集中できない。

一方インデックスはパッケージはちゃんとみていなかったのでただのラブコメかと思っている。

…上条の頭にかじりついたまま…


そして物語は進み…

テレビの中は夜の鉄橋の下。そこに少年と少女はいつものように生死を彷徨うような追いかけっこをしていた。

『はあ、はあ、お前、しつこいぞ…』
『はあ、はあ、うるさい。アンタが私に捕まれば終わることじゃない!』
『なら勝手にしろ。俺はもう走れないぞ。もう煮るなり焼くなりすればいいじゃねえか』
『そう…なら…』
『おい……むぐっ』

少女が少年の唇を強引に奪った。

『お前…』
『アンタを捕まえてこうしたかった…ずっと…アンタのことが好きなんだもん』


もうこうなったらこういうジャンルのビデオではお約束。鉄橋の下だろうがどこだろうがどんどん進んで行った。

「ちょっととうま!!これ何!?こんないかがわしいビデオは許せないかも!!」
「待て!だからこれは俺のじゃない!!」
「問答無用なんだよ」ガブリ!
「にゃぁぁぁぁぁぁ!!!土御門めぇぇぇぇ!!!」


(ちょ…これ凄い…なんかアイツに接する勉強になったかも…いや、エッチなことじゃなくて。
アイツに振り向いてもらうならこれくらい強引に行かないと…でも強引にキスなんて///)

結局料理に集中できず美琴としてはできが悪い料理になってしまった。



いまいちな料理を済ませ(それでも上条とインデックスは美味しいと全部食べた)そろそろ門限を気にしないといけない時間帯。
インデックスは何とも思ってないようだが上条と美琴はきまずくて会話の盛り上がりに欠けた。

「私そろそろ帰らないと」
「じゃあ俺が途中まで送ってやるよ」
「えっ!?/////」
「いや、もう夜だし女の子がこの時間歩いたら危ないだろ?」
「そ、そう。じゃあお願いしようかな?」
「おう。インデックス。御坂を送ってくるから風呂にでも入ってろ」
「とうま。みことにさっきのビデオみたいなことやったら許さないからね」
「しねえよ!!」


こうして2人夜の街に出た。


「………」
「………」
(うおぉぉぉぉ!!!気まずいにも程があるだろ!この空気を誰か壊して~)
「あのさ」
「うぉ!何だ?どうした?」
「あ、あの、まだ門限までもう少し時間あるからちょっと寄り道してもいい?」
「んお?あぁ、いいぞ?」

そして美琴が連れて行った場所はこういうイチャイチャSSではお約束の…

「どうしてここなんでせうか御坂さん?」


鉄橋の下。まるで先ほどの再現してくださいといわんばかりの人のいなさ。

「アンタさ」
「ん?」
「さっきインデックスに釘刺された時、しねえよ!って言ったよね?」
「う…まあな。奥手上条さんができる訳ねえだろ」
「じゃあさ」

ジリっと美琴が距離を詰める。

「私があれみたいに動いたらどうする?」
「??????????何を言っているのですか御坂さんんん???」

距離をゼロに縮め上条の肩に手を置く。

「言ったまんまよ。どうなの?」
「いや、あの、御坂だと特に理性を保てるかわからないです…」

ここでさらに上条に追い討ちの一言。

「理性なんか捨てちゃえば?」
「………………ゴクリ」
「………………ねえ?」
「…………………」
「…………………ふ」
「ん?ふ?」
「ふにゃぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~」
「おい!御坂!!漏電!!」


倒れそうになった美琴を慌てて右手で支える。美琴は積極的に行こうと思って行動に出たが
彼女の性格上無理だった。しかも相手が思い人ならなお更。

「御坂?御坂?」

上条が何度呼びかけても美琴は起きそうにない。無防備に上条の腕の中で…



その頃
「カミや~ん、約束のブツ返してもらうぜい!」
「あ、つちみかど。とうまなら今外出してるよ?」
「ならいいにゃ~。明日にでもまた来るぜよ」
「返してもらいたいのって…これ?」
「んなっ!!何故それをお前が…」
「つちみかどがとうまにこんなもの預けたおかげで私は大変なものを見てしまったんだよ!!」
「落ち着けい。これには深い訳が…」
「とうまも同じこと言っていたけど問答無用なんだよ!!」ガブっ!!
「んぎゃぁぁぁ!!!噛み付くのはカミやんだけにすてくれ!魔術使うより体に堪えるぜよ!!」


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