第4章 アーティフィシャルインテリジェント
12/24 PM8:55 晴れ
上条「お願い事?」
美琴の隣を歩く上条が聞き返す。
美琴「そうよ。今日のプレゼントはアンタを幸せにする事っつったでしょ。不幸を防いだだけじゃ幸せじゃないから、何か
アンタ的に幸せになれそうなお願い事を一つだけ聞いてあげるってことよ」
上条「………何だか大盤振る舞いだな」
アンタ的に幸せになれそうなお願い事を一つだけ聞いてあげるってことよ」
上条「………何だか大盤振る舞いだな」
既についさっきこの学区のスキルアウトを追い払ってもらったばかりである。
美琴「そんなことないわよ。私が出来ることの範囲内だけだし、私が嫌だったり面倒なら全部拒否するもの」
上条「何だそりゃ?てことは俺が望んで、お前も望む事じゃなきゃ駄目って事か?難問だな」
美琴「そ。だから帰るまでに考えられるように、今言ったわけ。ほんとは最初に言うべきだったかもしれないけど」
上条「何だそりゃ?てことは俺が望んで、お前も望む事じゃなきゃ駄目って事か?難問だな」
美琴「そ。だから帰るまでに考えられるように、今言ったわけ。ほんとは最初に言うべきだったかもしれないけど」
そんな余裕は無かった気がする。
美琴「んで、アンタはどっか行きたいとことかある?無いなら私行きたいところあるんだけど」
上条「うーん。その前にさ」
美琴「ん?」
上条「門限とか良いのか?一応お前お嬢様だろ?」
美琴「一応って何よ……こんな日は寮生が全員で結託するのよ。今日は別の子が何とか誤魔化すし、明日は私が誤魔化す
ってわけ。まぁ12時超えるとさすがにきついけどね。皆寝ちゃうし」
上条「うーん。その前にさ」
美琴「ん?」
上条「門限とか良いのか?一応お前お嬢様だろ?」
美琴「一応って何よ……こんな日は寮生が全員で結託するのよ。今日は別の子が何とか誤魔化すし、明日は私が誤魔化す
ってわけ。まぁ12時超えるとさすがにきついけどね。皆寝ちゃうし」
寮監との全面戦争は正直骨だが、女子中学生にとってクリスマスというイベントはそれほど価値がある物なのだ。
上条「なるほど………ん?てことはクリスマスにこんな風に出歩くのはこれだけか」
美琴「ッ!?………わ、悪かったわねつまんない人間で!明日は昼間に黒子主催のパーティーがあるだけよ」
美琴「ッ!?………わ、悪かったわねつまんない人間で!明日は昼間に黒子主催のパーティーがあるだけよ」
パーティーと言っても女の子が集ってわいわいやるだけなのだが。
上条「いやだから何故そこでキレるんだよ」
美琴「あ、アンタだって、よく見るあの小っこいのとか、妙におどおどした紫の子はどうしたのよ」
上条「ん?ああ、アイツらは一応アレでも宗教関係者だからな、クリスマスとか年末年始は猫も手も借りたいほど忙しいんだとさ」
美琴「あ、アンタだって、よく見るあの小っこいのとか、妙におどおどした紫の子はどうしたのよ」
上条「ん?ああ、アイツらは一応アレでも宗教関係者だからな、クリスマスとか年末年始は猫も手も借りたいほど忙しいんだとさ」
インデックスや五和が毎年その時期忙しいという訳ではないのだが、恐るべき上条不幸パワーの影響か、知り合いの宗教関係者は
軒並み多忙を極めることになっていた。結果、上条は一人きりとなったのである。
軒並み多忙を極めることになっていた。結果、上条は一人きりとなったのである。
美琴「ふーん。なんか私達一般的な日本人って結構お気楽よね」
上条「んーそーだなー」
上条「んーそーだなー」
どう考えても一般ではない二人が自覚無しに呟く。
美琴「って、話が逸れたわね。私ゲーセン行きたいんだけど、別にいいわよね?」
上条「ゲーセン~?やめておいた方が良いと思うぞ」
上条「ゲーセン~?やめておいた方が良いと思うぞ」
上条があまり面白く無さそうにそう言った。
美琴「何でよ」
上条「俺と行くと楽しくないからな。切ない気持ちになって終わり。何も当たらないし、お金は飲まれるし、機械は壊れそう
になるし……」
美琴「ああ何だ。そんなことか」
上条「俺と行くと楽しくないからな。切ない気持ちになって終わり。何も当たらないし、お金は飲まれるし、機械は壊れそう
になるし……」
美琴「ああ何だ。そんなことか」
美琴は簡単にその忠告をバッサリと切って捨てた。
上条「そんなことってお前……」
美琴「このゲーセン大好き美琴センセーに任せておけば大丈夫よ。そんな退屈はさせないわ」
上条「いや、俺でなくてお前がつまらなくなるっての。過去の経験からそうなることはもう決まり切ってんだって」
美琴「私は全然これっぽっちも問題ないわよ?」
上条「何ですかーその自信は?何か理由でもあんのか?」
美琴(………アンタと一緒だからに決まってんじゃないのよ。気付け鈍感)
美琴「このゲーセン大好き美琴センセーに任せておけば大丈夫よ。そんな退屈はさせないわ」
上条「いや、俺でなくてお前がつまらなくなるっての。過去の経験からそうなることはもう決まり切ってんだって」
美琴「私は全然これっぽっちも問題ないわよ?」
上条「何ですかーその自信は?何か理由でもあんのか?」
美琴(………アンタと一緒だからに決まってんじゃないのよ。気付け鈍感)
心の中で叫ぶ。
美琴「要はアンタの変な体質が絡まないもんなら良いんでしょ。当たり外れがない物とか、対戦ゲームとか。最悪私の能力
ならチート行為とかできちゃうし」
ならチート行為とかできちゃうし」
美琴は悪そうに笑う。
上条「お前………普段からそんな味気ねえ遊びしてんのか?」
美琴「してないわよ!………………た、たまにしか」
上条(たまにはやるのかよ………)
美琴「つうか何、アンタもしかしてゲームで私にボロ負けするのが怖いんじゃないの?」
上条「そんな安い挑発に乗る上条さんではありませんよー。でもまぁ、お兄さんは心が広いから、お前がきちんとお願いするなら
対戦してやらないでもない」
美琴「………まんまと乗ってんじゃないのよ………つかもう着いちゃったんだけど」
上条「え?」
美琴「してないわよ!………………た、たまにしか」
上条(たまにはやるのかよ………)
美琴「つうか何、アンタもしかしてゲームで私にボロ負けするのが怖いんじゃないの?」
上条「そんな安い挑発に乗る上条さんではありませんよー。でもまぁ、お兄さんは心が広いから、お前がきちんとお願いするなら
対戦してやらないでもない」
美琴「………まんまと乗ってんじゃないのよ………つかもう着いちゃったんだけど」
上条「え?」
美琴が指さした方には大きなデパートらしき建物があった。
クリスマスイブだけあって、それらしいBGMが掛けられ、厚着をした人々がひっきりなしに出入りしている。
クリスマスイブだけあって、それらしいBGMが掛けられ、厚着をした人々がひっきりなしに出入りしている。
美琴「ここの15階」
上条「どこへ向かって歩いてるのかと思ったら、目的地はもう決まってたのかよ」
美琴「まぁまぁちょっと寄って見なさいよ。他のゲーセンと違ってヘンテコなのがいっぱいあるから、見てるだけでも面白いわよ」
上条「どこへ向かって歩いてるのかと思ったら、目的地はもう決まってたのかよ」
美琴「まぁまぁちょっと寄って見なさいよ。他のゲーセンと違ってヘンテコなのがいっぱいあるから、見てるだけでも面白いわよ」
上条は渋々といった感じで付いていく。
美琴が案内したゲームセンターは、学園都市の様々な研究所が共同で運営している実験的なものであった。
その特徴としては、最新技術がふんだんに使われたゲーム機が多い代わりに純粋な面白さは追求していないことや、能力開発
で使う装置に似た物が置いてあったりすること、料金が異常に安いことなどがある。
ゲームセンターの名前も『総合能力開発研究グループ第三支部試験場』などという固いものだ。
しかしそれでも最新のゲームが楽しめるとあって、レベル1以上の学生にはすこぶる人気であった。
その特徴としては、最新技術がふんだんに使われたゲーム機が多い代わりに純粋な面白さは追求していないことや、能力開発
で使う装置に似た物が置いてあったりすること、料金が異常に安いことなどがある。
ゲームセンターの名前も『総合能力開発研究グループ第三支部試験場』などという固いものだ。
しかしそれでも最新のゲームが楽しめるとあって、レベル1以上の学生にはすこぶる人気であった。
上条「確かに混んでるな。って、何でレベル1以上?」
美琴「能力開発に似たものもあるからでしょ。無能力者にとっては学校で能力開発受けてるみたいで嫌だとか何とか」
上条「……胸が痛い」
美琴「ま、今日はそう言う系はやらないわよ」
上条「そっか。……あとさ、何で俺たち見られてるわけ?」
美琴「能力開発に似たものもあるからでしょ。無能力者にとっては学校で能力開発受けてるみたいで嫌だとか何とか」
上条「……胸が痛い」
美琴「ま、今日はそう言う系はやらないわよ」
上条「そっか。……あとさ、何で俺たち見られてるわけ?」
先程からから妙にチラチラ見られている気がしてならない。
上条(見られているというか、警戒されてる?)
特にクリスマスデート中のカップルなんかより、そんなことお構いなしのゲーマーっぽい人達がそう言う動きを見せている。
美琴「……私、常連とはいかないまでも、たまにここに来るわけよ」
上条「知り合い?」
美琴「ううん。違うと思う。多分私がゲームで打ち負かした人達と、その噂を知ってる人達………」
上条「知り合い?」
美琴「ううん。違うと思う。多分私がゲームで打ち負かした人達と、その噂を知ってる人達………」
能力開発に近いゲームが置いてあるため、自ずと高位能力者は有利になる場合が多い。
リアルでもゲームでも強い者を求めていた美琴は、一時期ゲームセンターに入り浸っているゲーマーを片っ端からフルボッコにした
経験があった。
おかげで一部ゲームセンターでは美琴が伝説として畏怖の対象になっていたのだ。
上条は自分の過去と重ね、彼らに心から同情をする。
リアルでもゲームでも強い者を求めていた美琴は、一時期ゲームセンターに入り浸っているゲーマーを片っ端からフルボッコにした
経験があった。
おかげで一部ゲームセンターでは美琴が伝説として畏怖の対象になっていたのだ。
上条は自分の過去と重ね、彼らに心から同情をする。
上条「ああ、それは何と可哀想なことだ。さぞ怖かったろうに……」
美琴「…………喧嘩売ってるわけ?」
上条「いやお前、そりゃ雷落すような奴がつっかかってきたら怖くて泣くって!」
美琴「…………喧嘩売ってるわけ?」
上条「いやお前、そりゃ雷落すような奴がつっかかってきたら怖くて泣くって!」
第一位も第三位も打ち負かした奴がそんなことを口にするのはおかしい話だが、美琴はその発言に対して地味にショックを受けて
しまう。普段なら『アンタが悪いんでしょ』と理不尽なキレ方をするが、今回はそう言う気が起らない。
しまう。普段なら『アンタが悪いんでしょ』と理不尽なキレ方をするが、今回はそう言う気が起らない。
美琴「あの……なんて言うか、その件については謝るわ。ごめん」
上条「え?い、いや、別に謝らなくて良いよ。俺覚えてねえし。今日はまだビリビリされてねえし」
上条「え?い、いや、別に謝らなくて良いよ。俺覚えてねえし。今日はまだビリビリされてねえし」
妙に素直な美琴の態度に少し驚く。
上条(そういえば、これだけ一緒にいて電撃を浴びせられないというのは新記録かも?)
美琴は美琴なりに頑張っているのだ。
二人はとりあえず荷物や手袋などをロッカーに入れ、少し店内を見回ることにした。
普通のゲームセンターにあるオーソドックスなものから、説明書を読んでもイマイチ何をしたいのか理解できない物。さらに
ミニゲームから安全性を疑いたくなる大規模なものまで、様々なゲームがあり確かに見ているだけで面白いと上条も感じた。
二人はとりあえず荷物や手袋などをロッカーに入れ、少し店内を見回ることにした。
普通のゲームセンターにあるオーソドックスなものから、説明書を読んでもイマイチ何をしたいのか理解できない物。さらに
ミニゲームから安全性を疑いたくなる大規模なものまで、様々なゲームがあり確かに見ているだけで面白いと上条も感じた。
美琴「さてと、そろそろ今回の最重要目的地へ行くわよ」
上条「あー、やっぱ何かあるわけか」
上条「あー、やっぱ何かあるわけか」
上条は美琴に付いていくと、一台のプリント機に行き着いた。
外観は飾る気が無いのかシンプルで、『AIによる撮影シミュレーション実験筐体No.3』とタイトルだけ飾られている。
外観は飾る気が無いのかシンプルで、『AIによる撮影シミュレーション実験筐体No.3』とタイトルだけ飾られている。
上条「写真でも撮りたいのか?」
美琴「この機種のフレームが可愛いんだけどね」
上条「ああ、はいはいなるほど」
美琴「この前黒子と来た時、あらかた撮りまくったわけよ」
上条「あらかた?」
美琴「185枚!」
上条「……………………白井もよく付き合ったな」
美琴「いや、あの子死ぬほど喜んでたけどね」
上条「……………………」
美琴「なんだけどさ、一番重要なのが撮れなくて…………」
上条「重要………ああ、いやいい、言わなくても分かる。もう何度目だよこのパターン。ゲコ太だろ?」
美琴「よく分かったわね」
美琴「この機種のフレームが可愛いんだけどね」
上条「ああ、はいはいなるほど」
美琴「この前黒子と来た時、あらかた撮りまくったわけよ」
上条「あらかた?」
美琴「185枚!」
上条「……………………白井もよく付き合ったな」
美琴「いや、あの子死ぬほど喜んでたけどね」
上条「……………………」
美琴「なんだけどさ、一番重要なのが撮れなくて…………」
上条「重要………ああ、いやいい、言わなくても分かる。もう何度目だよこのパターン。ゲコ太だろ?」
美琴「よく分かったわね」
美琴は目を丸くして驚く。
上条「そりゃぁクマのぬいぐるみ作るのにお前のこと色々考えたからな。行動パターンはもうお見通しなのですよ」
上条は少し得意げに言う。
ちなみにそのうちの半分程度は舞夏から諭されたようなものだ。
ちなみにそのうちの半分程度は舞夏から諭されたようなものだ。
美琴(な、何恥ずかしいこと言ってるのよ)
美琴には上条が『お前のことをずっと考えていた』『お前の事なんてもう何でもお見通しだ』と言っているように聞こえて焦る。
慌てて手を胸に当て、目を瞑り落ち着こうとする。さすがにそう何度もふにゃふにゃになってはいられない。
上条はそんな美琴の様子を見て、また具合が悪くなったのではないかと勘違いし、肩に手を掛ける。
慌てて手を胸に当て、目を瞑り落ち着こうとする。さすがにそう何度もふにゃふにゃになってはいられない。
上条はそんな美琴の様子を見て、また具合が悪くなったのではないかと勘違いし、肩に手を掛ける。
上条「御坂?」
美琴「にょわっ!」
美琴「にょわっ!」
いきなり話し掛けられてビクッ!とする。
美琴「ななな、何?」
上条「また具合悪いのか?」
美琴(や、やめ……て。そんな顔で私の顔を覗き込まないでっ!鼓動が余計速くなるじゃないのよ)
上条「また具合悪いのか?」
美琴(や、やめ……て。そんな顔で私の顔を覗き込まないでっ!鼓動が余計速くなるじゃないのよ)
美琴はプイッと横を向き、「うっさい、大丈夫よ」と何とか言う。
上条「何かよく分かんないけどさ、具合悪かったら言えよ?倒れたら色々やべーだろ?」
美琴「う、うん。確かに」
上条「……んじゃさっさと入るべー」
美琴「あっ、ちょっと待って」
美琴「う、うん。確かに」
上条「……んじゃさっさと入るべー」
美琴「あっ、ちょっと待って」
仕切りになっている垂れ幕を上条がめくったところで美琴はそれを一旦制止する。
美琴「この機種。AIが馬鹿だから覚悟して頂戴」
上条「へ?」
AI 「イラッシャイ。オカネヲ、イレテネ」
上条「へ?」
AI 「イラッシャイ。オカネヲ、イレテネ」
上条がくぐりきると、機体から声優が演じている子供のような声がブツ切りで発せられる。
後から入ってきた美琴が100円玉を1枚だけ投入する。
後から入ってきた美琴が100円玉を1枚だけ投入する。
AI 「アアッ、マタキテクレテ、アリガトウ」
美琴「…………」
AI 「スキナフレームヲ、エランデネ」
美琴「…………」
AI 「スキナフレームヲ、エランデネ」
美琴は画面上に出た幾つかのカテゴリから『恋人』と書かれたハート形のボタンを押し、次にお目当てのフレームを選択する。
そのフレームはゲコ太のみならず、ケロヨンやピョン子、その他ラブリーミトンのキャラクターが数多く出てくるマニア垂涎
のものだった。
わざわざ上条をゲームセンターまで引っ張ってくるだけの価値はある。
そのフレームはゲコ太のみならず、ケロヨンやピョン子、その他ラブリーミトンのキャラクターが数多く出てくるマニア垂涎
のものだった。
わざわざ上条をゲームセンターまで引っ張ってくるだけの価値はある。
上条「そういえば何で白井とは撮れなかったんだ?」
美琴「このフレーム、どういうわけか男女ペア向けなのよ。開発者が適当にカテゴリに入れたのかしら?その時はそんなこと無視
して撮ろうと思ったんだけど、この機体が忌々しいことに顔認識とかしてきやがって、『アレレ?オトコノコジャナイヨ?』
とかふざけたこと言って拒否されたってわけ」
上条「………また妙なところに凝った仕様だなそりゃ」
美琴「でしょ?作ってるのが研究者だからそこら辺適当すぎるのよ。の割りに金が掛かってるから、外注のフレームとかは
出来が良いし…………。あん時はぶっ壊してでも撮ろうとしたんだけど、さすがにあの子に止められたわ」
美琴「このフレーム、どういうわけか男女ペア向けなのよ。開発者が適当にカテゴリに入れたのかしら?その時はそんなこと無視
して撮ろうと思ったんだけど、この機体が忌々しいことに顔認識とかしてきやがって、『アレレ?オトコノコジャナイヨ?』
とかふざけたこと言って拒否されたってわけ」
上条「………また妙なところに凝った仕様だなそりゃ」
美琴「でしょ?作ってるのが研究者だからそこら辺適当すぎるのよ。の割りに金が掛かってるから、外注のフレームとかは
出来が良いし…………。あん時はぶっ壊してでも撮ろうとしたんだけど、さすがにあの子に止められたわ」
ジャッジメントとしてギリギリの判断だったのかもしれないな、と上条は少し哀れむ。
上条「キョウハソンナコト、シナイデホシイナ」
美琴「アンタが協力すればすぐ終わるわよ。あとその口調本気でやめて」
上条「へい……」
美琴「アンタが協力すればすぐ終わるわよ。あとその口調本気でやめて」
上条「へい……」
必要な入力が全て終わる。
美琴「全部で5回撮るんだけど、たまに変なこと要求してくるかも」
上条「変なこと?」
美琴「ジェスチャー認識の一環でかっこ悪いポーズ撮らされたり」
上条「うぇー……………ま、まぁ壊すのよりはマシじゃねーの。はぁ」
AI 「1マイメ、イキマース。ハイ、チーズ」
上条「変なこと?」
美琴「ジェスチャー認識の一環でかっこ悪いポーズ撮らされたり」
上条「うぇー……………ま、まぁ壊すのよりはマシじゃねーの。はぁ」
AI 「1マイメ、イキマース。ハイ、チーズ」
パシャリとフラッシュが焚かれ、一瞬目が眩む。
上条と美琴の距離は人一人分の微妙な距離が空けられている。
上条と美琴の距離は人一人分の微妙な距離が空けられている。
AI 「アレレー?チョット、フタリノアイダガ、トオスギルネ!モットチカヅイテ!」
美琴「こういうふざけたことを言う訳」
上条「無駄に演技くさいあたりがイラッとくるな」
美琴「こういうふざけたことを言う訳」
上条「無駄に演技くさいあたりがイラッとくるな」
仕方なしに二人はほんの少し近づき、普通に直立のまま撮る。
今度は良かったらしい。
今度は良かったらしい。
AI 「オネガイガ、アルンダケドー?コウイウポーズ、シテホシイナ!」
美琴「やっぱ来たか」
美琴「やっぱ来たか」
画面に何やら人の絵が出てきた。青い方が赤い方の肩を抱いている。
カテゴリが『恋人』であるからそう言うポーズが要求されるようだ。
カテゴリが『恋人』であるからそう言うポーズが要求されるようだ。
上条(これって………)
美琴(あー、何かデジャブ)
美琴(あー、何かデジャブ)
写真でこのポーズと言えば、一度撮りかけたことがあったはずだ。
二人で同じ事を考えていたが、口にしてもしょうがないのでその件には触れない。
二人で同じ事を考えていたが、口にしてもしょうがないのでその件には触れない。
上条「ど、どうする?」
美琴「…………えっと」
美琴「…………えっと」
美琴は当時のことを思いだし、あの時はまだ漏電なんかしなかったからなぁ……なんて自分が退化しているように感じて
憂鬱になる。
二人の距離はあの時から縮んだのだろうか。
憂鬱になる。
二人の距離はあの時から縮んだのだろうか。
美琴「うん。そうね、やっぱ手っ取り早くこいつ殺るか」
上条「…………冗談に聞こえねーぞおい」
美琴「本気だもの。あ、殺るって言ってもソフトウェア的な話よ?」
上条「どちみち駄目だっつの!」
上条「…………冗談に聞こえねーぞおい」
美琴「本気だもの。あ、殺るって言ってもソフトウェア的な話よ?」
上条「どちみち駄目だっつの!」
仕方がないので上条は美琴の左側に回り、右手を肩に回す。
美琴は徐々に顔が赤くなるが、まぁアンタが止めるなら仕方ないわねやってあげるわ、と言わんばかりの表情でじっと耐える。
この程度なら以前にもやったし、さっきも無意識にやっていた気がするので両者共に許容範囲だ。
美琴は徐々に顔が赤くなるが、まぁアンタが止めるなら仕方ないわねやってあげるわ、と言わんばかりの表情でじっと耐える。
この程度なら以前にもやったし、さっきも無意識にやっていた気がするので両者共に許容範囲だ。
上条(つか、写真を諦めるって考えはないんだな。すげぇ執念………)
無事2枚目も撮り終える。
AI 「オネガイガ、アルンダケドー?コウイウポーズ、シテホシイナ!」
美琴「………………………」
上条「………………………」
美琴「………………………」
上条「………………………」
次の画像は、青い人が赤い人を抱っこし、赤い人が青い人の首に手を回している絵。いわゆるお姫様抱っこ状態だ。
上条(何の冗談ですかこれは)
上条が美琴の方をチラッと見てみると、美琴はポケーッと子供のようにその画像を眺めていた。数秒すると上条の視線に気づき、
愛想笑いをしてきたので、上条も愛想笑いを返してみる。
愛想笑いをしてきたので、上条も愛想笑いを返してみる。
上条「やーや-、無理だわ。ギブギブ」
美琴「そ、そうね。私もこれはちょっと………って思ったんだけどさあ、なーんかアンタのその言い草、まるでやりたくない
ような感じね」
上条「な、何怒ってんだよ。して欲しいのか?」
美琴「ばっ!!?んな分けないでしょ!!じゃなくて、アンタがしたくないんでしょ!!」
上条「んなこと言ってねえだろ!そもそもしたくないも何も、お前のその格好じゃできねーじゃねえか!」
美琴「そ、そうね。私もこれはちょっと………って思ったんだけどさあ、なーんかアンタのその言い草、まるでやりたくない
ような感じね」
上条「な、何怒ってんだよ。して欲しいのか?」
美琴「ばっ!!?んな分けないでしょ!!じゃなくて、アンタがしたくないんでしょ!!」
上条「んなこと言ってねえだろ!そもそもしたくないも何も、お前のその格好じゃできねーじゃねえか!」
美琴の短いプリーツスカートを指差さして叫ぶ。
美琴「ざーんねんでした。短パン穿いてるんだわこれが」
美琴はプリーツスカートの下をほんの少しまくって短パンを見せる。
上条「くっ!!い、いやでも待て!どうせまたお前のビリビリ落ちになるんだろ、そうなんだろ!」
美琴「今日は一回もアンタにビリビリしてないじゃん!」
上条「それはお前が俺の右手を掴んでたからだろ!」
美琴「うっ……わ、忘れかけてたんだから思い出させるんじゃないわよ」
AI 「ミギテヲツカッテ、ダッコシテネ」
上条「…………………」
美琴「…………………」
上条「え、何で反応してるんですか?こいつ」
美琴「あー、たまにボソッと介入してくるのよね。こっちの声は多分聞こえてないと思うんだけど」
上条「ホラーじゃねえか」
AI 「ハヤクー」
上条「…………………」
美琴「…………………」
美琴「今日は一回もアンタにビリビリしてないじゃん!」
上条「それはお前が俺の右手を掴んでたからだろ!」
美琴「うっ……わ、忘れかけてたんだから思い出させるんじゃないわよ」
AI 「ミギテヲツカッテ、ダッコシテネ」
上条「…………………」
美琴「…………………」
上条「え、何で反応してるんですか?こいつ」
美琴「あー、たまにボソッと介入してくるのよね。こっちの声は多分聞こえてないと思うんだけど」
上条「ホラーじゃねえか」
AI 「ハヤクー」
上条「…………………」
美琴「…………………」
AIが言ったことは確かに正論なので、二人で固まってしまう。
美琴「ま、まぁ、フレームゲットのためには仕方がないわ」
若干口元が緩みそうなのをどうにか押さえてわざとらしく言う。
上条「………ったく、しゃぁねえな」
上条も諦めて頭を掻く。冷静でいられるかかなり怪しいが、やるしかないようだ。
上条「じっとしてろよ?」
美琴「う…うん」
美琴「う…うん」
上条は右腕を美琴の背中に回し、左腕を膝の後ろに回すと、美琴を少し後ろへ倒し一気に抱え上げた。
抱えた脚と背中や、自分の胸とくっついた部分などから美琴の体温が伝わってきてかなり気恥ずかしい。
美琴は両手を胸の前で固く握り、カチコチに固まって身を預ける。自然に前を向くとすぐ目の前に上条の顔があり恥ずかしい
ため、カメラの方を向く。
抱えた脚と背中や、自分の胸とくっついた部分などから美琴の体温が伝わってきてかなり気恥ずかしい。
美琴は両手を胸の前で固く握り、カチコチに固まって身を預ける。自然に前を向くとすぐ目の前に上条の顔があり恥ずかしい
ため、カメラの方を向く。
上条(人間って意外と重いんだよな。っとか言ったら絶命しそうだから言わないけど)
上条「…………あれ?撮らねえな」
AI 「ポーズガ、チガウヨ」
上条「ああ、み、御坂、腕だ腕」
美琴「……!……!!……!!!」
上条「…………あれ?撮らねえな」
AI 「ポーズガ、チガウヨ」
上条「ああ、み、御坂、腕だ腕」
美琴「……!……!!……!!!」
上条に言われて顔を再び見る。言わんとしていることは理解できるのだが、緊張しすぎて声が全く出ない。恐らく表情も
死ぬほど固くなっていることだろう。
上条の右手が肋骨の当たりを触っている。
上条の左手が脚を触っている。
更にここから動くと別の所まで触られそうで、怖くて体が動かない。
もちろん腕も同様で、赤ん坊のようなそのポーズを崩せそうにない。
予想していたものを遥かに超える恥ずかしさで頭がどうにかなりそうだ。
徐々に後悔の念が沸いてくる。
死ぬほど固くなっていることだろう。
上条の右手が肋骨の当たりを触っている。
上条の左手が脚を触っている。
更にここから動くと別の所まで触られそうで、怖くて体が動かない。
もちろん腕も同様で、赤ん坊のようなそのポーズを崩せそうにない。
予想していたものを遥かに超える恥ずかしさで頭がどうにかなりそうだ。
徐々に後悔の念が沸いてくる。
上条(うわ、無茶苦茶嫌そう。何か一人で恥ずかしがってるのが馬鹿みたいだな)
上条「あー………なんと言いますか、まぁそんな脅えきった顔すんな。今下ろすよ」
美琴「……!!」
上条「あー………なんと言いますか、まぁそんな脅えきった顔すんな。今下ろすよ」
美琴「……!!」
しかし美琴は首をブンブンと横に振ると、涙目になりながら腕をおずおずとゆっくり差しだし、どうにか上条の首へ回す。
恥ずかしさの限界値を超えるようなこの状況はさすがに美琴にとっても不本意だったが、それが上条自体が嫌だからという
理由だとは絶対に勘違いされたくなかった。
恥ずかしさの限界値を超えるようなこの状況はさすがに美琴にとっても不本意だったが、それが上条自体が嫌だからという
理由だとは絶対に勘違いされたくなかった。
上条(そ、そこまでして写真を撮りたいのか?)
ただし上条には通じない。
AI 「イイネイイネ。3マイメ、イキマース。ハイ、チーズ」
二人とも心の準備が出来ないままフラッシュが焚かれる。
恐らく写った二人の顔は真っ赤に染まり、目が泳いでいるに違いない。
上条は「終わったぞ」と声を掛けて美琴の足を静かに下ろす。
しかし美琴は相変わらずカチコチで、腕が離れない。
立ち上がると抱き付くような形になった。ただし体と体のスペースはかなり空けて、顔は思いっきり俯いている状態なので
恋人っぽくはない。
上条は予防のため美琴の肩に右手を置きつつ、少しずつ腕を離そうとして―――画面を見て再び絶句。
恐らく写った二人の顔は真っ赤に染まり、目が泳いでいるに違いない。
上条は「終わったぞ」と声を掛けて美琴の足を静かに下ろす。
しかし美琴は相変わらずカチコチで、腕が離れない。
立ち上がると抱き付くような形になった。ただし体と体のスペースはかなり空けて、顔は思いっきり俯いている状態なので
恋人っぽくはない。
上条は予防のため美琴の肩に右手を置きつつ、少しずつ腕を離そうとして―――画面を見て再び絶句。
AI 「オネガイガ、アルンダケドー?コウイウポーズ、シテホシイナ!」
上条「……なんつうか、俺もこいつに殺意沸いてきた」
上条「……なんつうか、俺もこいつに殺意沸いてきた」
美琴が恐る恐る振り向くと、青い人が赤い人を肩車している絵が表示されていた。
上条(高さ足りねーだろ)
と思って上を見上げると、何故か肩車をやる分くらいのスペースは設けられていた。
開発者は一体何をさせたいのだろうか。
開発者は一体何をさせたいのだろうか。
美琴「は、ははは、はは。これは、前もあったわ」
力なく笑う。
黒子相手の時は面白がってやったが、上条相手にそんなノリで出来るわけはない。
黒子相手の時は面白がってやったが、上条相手にそんなノリで出来るわけはない。
美琴「ど、どうしよう……」
美琴が不安そうな声で上条に問う。
そう言う態度を取られると上条としても弱い。
とりあえず首に掛かってた腕を外して、子供に話し掛けるように優しく話す。
そう言う態度を取られると上条としても弱い。
とりあえず首に掛かってた腕を外して、子供に話し掛けるように優しく話す。
上条「どうしようって………辛いならやめた方が良いんじゃないか?」
美琴「そ、そんなんじゃない!」
美琴「そ、そんなんじゃない!」
そこだけは確実に否定する。
上条「んじゃぁフレームのためだと割り切っちゃうしかないんじゃねえかな?」
美琴「う、うん………そうね。コレクターとして負けてられないわ」
美琴「う、うん………そうね。コレクターとして負けてられないわ」
結局そこに行き着くらしい。
仕方がないので上条は美琴の後ろへ回り、しゃがむ。
赤を基調としたプリーツスカートと白のコートに覆われた美琴のお尻、さらにそこから伸びるすらりとした細い脚が視界を占める。
仕方がないので上条は美琴の後ろへ回り、しゃがむ。
赤を基調としたプリーツスカートと白のコートに覆われた美琴のお尻、さらにそこから伸びるすらりとした細い脚が視界を占める。
上条(……………無心だ無心。何も考えるなよ上条当麻)
上条は頭を振る。
美琴「へ、変なこと考えたら殺すから」
上条「………、おまえなぁ、せっかく今振り払ったのに」
美琴(振り払ったってことは考えてたってこと?)
上条「………、おまえなぁ、せっかく今振り払ったのに」
美琴(振り払ったってことは考えてたってこと?)
とりあえず美琴は脚を肩幅くらいにそっと開く。
それを確認して、上条は美琴の足首を掴み、脚の間に頭を通していく。視界の横にはニーソックスが見える。
それを確認して、上条は美琴の足首を掴み、脚の間に頭を通していく。視界の横にはニーソックスが見える。
上条(無心無心無心無心無心無心無心無心無心)
美琴(ゲコ太のためゲコ太のためゲコ太のためゲコ太のため)
美琴(ゲコ太のためゲコ太のためゲコ太のためゲコ太のため)
上条のツンツンした髪が美琴の脚を撫でていく。
その感触がかなりむず痒い。
その感触がかなりむず痒い。
美琴「ちょっ、ちょっと」
上条「ん?」
美琴「わー!!上見るな馬鹿!!」
上条「痛ってー挟むな馬鹿!見ねえよ!っつか短パン穿いてんだろ!」
美琴「それでも嫌なの!」
AI 「ハヤクー」
上琴「うるせー!!」「うるさい!!」
上条「ん?」
美琴「わー!!上見るな馬鹿!!」
上条「痛ってー挟むな馬鹿!見ねえよ!っつか短パン穿いてんだろ!」
美琴「それでも嫌なの!」
AI 「ハヤクー」
上琴「うるせー!!」「うるさい!!」
二人でハモる。
上条「あーもうめんどくせーうらあああああああ!!」
美琴「わっ、わわ」
美琴「わっ、わわ」
一気に頭を押し込み美琴を持ち上げる。
肩に美琴の柔らかな太ももが感じられるが気合いで無視する。
美琴はというと左手でスカートを押さえ、右手で上条の頭を押さえている。
肩に美琴の柔らかな太ももが感じられるが気合いで無視する。
美琴はというと左手でスカートを押さえ、右手で上条の頭を押さえている。
上条「おい、重心もっと前にしろあぶねえ」
美琴「む、無理!」
AI 「4マイメ、イキマース。ハイ、チーズ」
美琴「む、無理!」
AI 「4マイメ、イキマース。ハイ、チーズ」
パシャリ。
上条「た、倒れる………っだぁああああ」
上条が後ろに倒れそうになり、咄嗟に美琴は頭上にあった機体のフレームを掴んでそれにぶら下がる。
結果上条だけバランスを崩し後ろに仰向けに倒れた。
結果上条だけバランスを崩し後ろに仰向けに倒れた。
上条「あ」
美琴「うわー馬鹿、覗くなー!!」
AI 「オネガイガ、アルンダケドー?」
美琴「うわー馬鹿、覗くなー!!」
AI 「オネガイガ、アルンダケドー?」
上条の頭は美琴の真下にあったため、スカートの中が丸見えである。といっても短パンであるが。
むしろ美琴がもじもじと腰をくねらせるせいで扇情的に思えるのではないか。と上条は手を顎に当てて冷静に分析する。
むしろ美琴がもじもじと腰をくねらせるせいで扇情的に思えるのではないか。と上条は手を顎に当てて冷静に分析する。
美琴「ッ!!」
美琴はついにキレて手を離す。迫り来る美琴の足を上条が寸前で横に避ける。
上条「あっっっぶねぇ!何すんだテメェ!」
美琴「アンタが悪…………………は?」
上条「ん?どした?」
美琴「アンタが悪…………………は?」
上条「ん?どした?」
美琴は画面の方をチラッと見て固まっている。画面は上条からは見えない。
仕方がないので起き上がろうとする。
仕方がないので起き上がろうとする。
美琴「わわっ、あ、アンタは見なくて良いわよ」
しかし止めるのが遅かった。
次のお題を見て上条も無言になる。
次のお題を見て上条も無言になる。
上条(なんつか、ここまで来たのに終了ですか)
画面の中では青い人と赤い人の絵が二人で両手を繋ぎ、キスをしていた。
さすがにこれはギブアップだろうと思い、上条は気楽に話し掛けることにする。
さすがにこれはギブアップだろうと思い、上条は気楽に話し掛けることにする。
上条「あーあ。残念だったな。まぁ恋人が」
美琴「やるわよ」
上条「……………………………………………………はい?ごめん。もう一回言って」
美琴「やるっつってんの。これのために!」
美琴「やるわよ」
上条「……………………………………………………はい?ごめん。もう一回言って」
美琴「やるっつってんの。これのために!」
美琴が指差した先には5枚目のフレームがあった。
なんとラブリーミトンの歴代キャラが大集合していて、豪華に写真の周囲を囲っている。
美琴の中で色々なものが天秤に掛けられた結果、それが勝ったらしい。
しかしそんな美琴の態度を見て、上条は少しイラッとする。
なんとラブリーミトンの歴代キャラが大集合していて、豪華に写真の周囲を囲っている。
美琴の中で色々なものが天秤に掛けられた結果、それが勝ったらしい。
しかしそんな美琴の態度を見て、上条は少しイラッとする。
上条「ふざけんな、いくら好きだからって、テメェはこんな物のために俺とキスしようってのか!?」
美琴「………何怒ってんのよ。するフリに決まってんでしょフリに」
上条「へ?…………あ、あー……………」
美琴「アンタまさか、変なこと想像してたんじゃないでしょうね?」
美琴「………何怒ってんのよ。するフリに決まってんでしょフリに」
上条「へ?…………あ、あー……………」
美琴「アンタまさか、変なこと想像してたんじゃないでしょうね?」
美琴が意地悪そうな笑みと共に横目で見る。
上条「…………………で、でもこいつを騙せると思うか?」
上条はそれを無視する。
美琴「この絵を見る限り、真横じゃなくても良いんでしょ。なら付いてるかどうかなんてきっと分からないわよ。余裕余裕」
自分に暗示を掛けるように言い放つ。正直変な汗が出てきているが、この際それは無視する。
まぁここまで来たんだしやってみるか、という実験的なノリで上条は応じた。
二人はとりあえず立ち位置を決め、大体45度の角度で上条が画面側に立った。
次に両手を指を絡めるように握る。触った瞬間に美琴の手がピクッっと動いたが両者緊張しているのでその程度は気にしない。
まぁここまで来たんだしやってみるか、という実験的なノリで上条は応じた。
二人はとりあえず立ち位置を決め、大体45度の角度で上条が画面側に立った。
次に両手を指を絡めるように握る。触った瞬間に美琴の手がピクッっと動いたが両者緊張しているのでその程度は気にしない。
美琴「と、とりあえずゆっくり、30センチくらいまで顔を近づけるわよ」
上条「30センチー?いくら何でもそりゃばれるだろ」
上条「30センチー?いくら何でもそりゃばれるだろ」
そう言うと上条はやや屈み込み、美琴の手前約20cmのあたりに顔を持ってくる。
突然だったせいか美琴が仰け反る。
突然だったせいか美琴が仰け反る。
上条「………………おい、お前この程度でかよ」
美琴「う、うっさいわね!びっくりしただけよ。ゆっくりって言ったでしょうが」
美琴「う、うっさいわね!びっくりしただけよ。ゆっくりって言ったでしょうが」
そう言って美琴は体をゆっくり戻したが、緊張して肩に力が入っているのが見え見えであった。
上条(そこまで俺を毛嫌いしなくても良いんじゃねえのか)
AI 「ポーズガ、チガウヨ」
上条「………だそうです」
美琴「すこーーーしずつ、近づけるしかないわね。1秒に1ミリくらいの速さで」
上条「凄い遅さだな………けどまぁそれしかねえか」
AI 「ポーズガ、チガウヨ」
上条「………だそうです」
美琴「すこーーーしずつ、近づけるしかないわね。1秒に1ミリくらいの速さで」
上条「凄い遅さだな………けどまぁそれしかねえか」
言われたとおりにジリ……ジリ……と顔を近づけていく。
この速度だと距離が無くなるまで大体200秒は掛かるだろう。
この速度だと距離が無くなるまで大体200秒は掛かるだろう。
上条(ん?)
上条はジーッと美琴の顔を見つめていて、面白いことに気付く。
美琴はボーッと上条の顔を数秒眺めているのだが、徐々に頬が赤くなっていき、ハッとして視線をオロオロと右や左に
移動させる。だが、それを気取られたくないのか、2秒くらいしたあとにキッっと上目遣いに睨んでくる。そのままで居ると
その目が少しずつトロンとしてきて、ボーッとしだす。そして最初の状態に戻る。
上条にはそれが何だか可愛らしく思えて少し笑ってしまう。
美琴はボーッと上条の顔を数秒眺めているのだが、徐々に頬が赤くなっていき、ハッとして視線をオロオロと右や左に
移動させる。だが、それを気取られたくないのか、2秒くらいしたあとにキッっと上目遣いに睨んでくる。そのままで居ると
その目が少しずつトロンとしてきて、ボーッとしだす。そして最初の状態に戻る。
上条にはそれが何だか可愛らしく思えて少し笑ってしまう。
美琴「…………何ニヤケてんのよ」
上条「いや別に」
AI 「ポーズガ、チガウヨ」
上条「いや別に」
AI 「ポーズガ、チガウヨ」
60秒以上は経っただろうか、唇と唇の距離はもう10センチとちょっとしかない。
お互いに息をするのが聞こえる程度になる。
お互いに息をするのが聞こえる程度になる。
美琴「ま、まだなの……?」
徐々に美琴は焦り出す。
もしこのまま最後までチガウヨと言われ続けたらどうなるのだろうか。
もしこのまま最後までチガウヨと言われ続けたらどうなるのだろうか。
美琴(……………………………)
上条を見る。
さすがにこの近さだと恥ずかしいのか、たまに目が泳いでいる。
さすがにこの近さだと恥ずかしいのか、たまに目が泳いでいる。
美琴(ま、さっき何か怒ってたし、嫌になったらこいつがやめるか)
もしやめなかったら?ということは考えないことにする。
AI 「ポーズガ、チガウヨ」
上条「……なんで無駄に精度が良いんだよ」
上条「……なんで無駄に精度が良いんだよ」
もう10センチはとうに切っている。
喋ると相手に息が掛かる。
喋ると相手に息が掛かる。
美琴「ちょっ、あんま喋んないでよ」
上条「へ?まさか俺の息匂う?」
美琴「そ、そう言うことじゃなくて…………」
上条「へ?まさか俺の息匂う?」
美琴「そ、そう言うことじゃなくて…………」
それっきり黙ってしまう。
美琴の顔は更に赤くなり、呼吸が速まる。正直そろそろ限界が来そうだ。
それでも上条は近づくのを止めない。
美琴の顔は更に赤くなり、呼吸が速まる。正直そろそろ限界が来そうだ。
それでも上条は近づくのを止めない。
AI 「ポーズガ、チガウヨ」
上条はボーッと美琴の顔を見つめていた。
ファミレスでは薄暗くてよく分からなかったが、その空間は写真を撮るために相当明るく、顔の隅々までよく見える。
意外と睫毛が長いことや、瞳の色、眉毛の色が茶色がかっていること、肌が肌理細かいこと、その肌が紅く染まってること、
化粧もしていないのに朱く瑞々しい唇、その唇がやや速いペースで息を吸ってること、たまに唾を飲み込んでるが、緊張のためか
上手くできていないこと………
見ている内に恥ずかしさはどこかへ消え、徐々にそれが心地よい興奮へと変化していく。
ファミレスでは薄暗くてよく分からなかったが、その空間は写真を撮るために相当明るく、顔の隅々までよく見える。
意外と睫毛が長いことや、瞳の色、眉毛の色が茶色がかっていること、肌が肌理細かいこと、その肌が紅く染まってること、
化粧もしていないのに朱く瑞々しい唇、その唇がやや速いペースで息を吸ってること、たまに唾を飲み込んでるが、緊張のためか
上手くできていないこと………
見ている内に恥ずかしさはどこかへ消え、徐々にそれが心地よい興奮へと変化していく。
上条(恋人同士のキスなら、この距離で普通は目を瞑るよなぁ)
しかし両者の目は見開いたままだ。
寸止めするにあたって目を閉じていてはまずい。
寸止めするにあたって目を閉じていてはまずい。
AI 「ポーズガ、チガウヨ」
美琴はもう恥ずかしさとか言う次元を超え、とっくに居心地が良くなっていた。恐らく手を繋いでいなければ漏電している
ことだろう。
上条が見つめている。ただそれだけで幸せを感じていることに気がつく。
やがて両者の顔の距離は、寄り目をしても相手の顔がぼやけて見えるほどに近くなる。
ことだろう。
上条が見つめている。ただそれだけで幸せを感じていることに気がつく。
やがて両者の顔の距離は、寄り目をしても相手の顔がぼやけて見えるほどに近くなる。
上条(このまま……してしまいたいな)
上条は陶酔した頭で思う。
もししてしまったら美琴はどういう態度を取るだろうか。
怒り暴れるだろうか。また雷を落すだろうか。軽蔑した目で見るだろうか。
でも、もしそうだとしてもこのまま距離をゼロにしてしまいたいと感じた。
もししてしまったら美琴はどういう態度を取るだろうか。
怒り暴れるだろうか。また雷を落すだろうか。軽蔑した目で見るだろうか。
でも、もしそうだとしてもこのまま距離をゼロにしてしまいたいと感じた。
上条(ビリビリされてないせいで御坂への印象が違うのかな)
普段はいつ電撃が飛んでくるか分からないため緊張状態にあることが多かった。
しかし今日は最初の宣言がある。だから美琴を冷静に落ち着いて見ることが出来たのかもしれない。
ということは、ビリビリしてこない美琴のことを、自分は好きなのだろうか。
そんなことを思っていると、美琴の瞼がゆっくりと閉じた。
しかし今日は最初の宣言がある。だから美琴を冷静に落ち着いて見ることが出来たのかもしれない。
ということは、ビリビリしてこない美琴のことを、自分は好きなのだろうか。
そんなことを思っていると、美琴の瞼がゆっくりと閉じた。
上条「!?」
上条の動きが止まる。
そして既視感を覚える。似たようなことが過去に数回あった。
そういえば、あの時の美琴は結局何を考えていたのだろうか。
そして既視感を覚える。似たようなことが過去に数回あった。
そういえば、あの時の美琴は結局何を考えていたのだろうか。
上条(もしあのシーンでキスをしていたら?)
どうなっていたのだろう。
答えは恐らく目の前にある。
上条は再び動き出す。少し震えている唇に近づいていく。
答えは恐らく目の前にある。
上条は再び動き出す。少し震えている唇に近づいていく。
そして―――
AI 「5マイメ、イキマース。ハイ、チーズ」
上条「!?」
美琴「!?」
上条「!?」
美琴「!?」
ビックゥ!!と二人仲良く痙攣して、バッと顔が離れる。
その瞬間にパシャッとフラッシュが焚かれる。
数秒で頭のもやが晴れていくと、初めて自分達の心臓がすごい速さでリズムを刻んでいることに気がついた。
その瞬間にパシャッとフラッシュが焚かれる。
数秒で頭のもやが晴れていくと、初めて自分達の心臓がすごい速さでリズムを刻んでいることに気がついた。
上条「……………………………お、おお、俺たちの大勝利だな」
美琴「そそそ、そうね」
美琴「そそそ、そうね」
お互い目を合わせずに話す。
とりあえず上条の右手側は繋いだままで、左手側だけを離した。
とりあえず上条の右手側は繋いだままで、左手側だけを離した。
AI 「モウスコシ、マッテネ」
上条「………………」
美琴「………………」
上条「………………」
美琴「………………」
手を繋ぎながら目を合わせず無言で待つ。
ややあって取り出し口から二人用に切り分けられた写真が出てきた。
ややあって取り出し口から二人用に切り分けられた写真が出てきた。
美琴「………………」
フレームは超絶に可愛いのだが、メインである写真の方を見ると黙ってしまう。
上条「あの、さ、これ二人分あるけどどうする?なんつうか………」
美琴「も、持っててよ。私だって今これどうすりゃいいんだろ?って悩んでたところなんだから」
美琴「も、持っててよ。私だって今これどうすりゃいいんだろ?って悩んでたところなんだから」
仕方が無く上条は胸ポケットに、美琴は財布へと仕舞う。
美琴「あ、アンタは気をつけなさいよ?うっかり落して誰かに見られるって状況が簡単に想像できるわ」
そう言ってようやく上条の方を向く。
上条「俺も余裕で想像できるから言わなくて良い」
何故か血の雨が降りそうな気がする。誰の血かは自明。
上条「つかお前も白井に見られないようにしろよな?」
美琴「分かってるわよ」
美琴「分かってるわよ」
テレポーターなんかと一戦交えるなんてのはごめんだし、黒子はそれ以上に執念とか怨念とかいう点でも怖い気がする。
二人は急にどっと疲れが出たような気がして、同時に溜息を吐き、プリント機からトボトボと出ることにした。
二人は急にどっと疲れが出たような気がして、同時に溜息を吐き、プリント機からトボトボと出ることにした。
AI 「アリガトウ。マタキテネ」
上琴「「来るか馬鹿!!」」
上琴「「来るか馬鹿!!」」
ガンッ!と蹴りを一発ずつ残して。