とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part51

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とある右手の番外編(パラレルワールドストーリー)


 ドモ。右手です。

 えっ!?何でオマエが出てくるんだって?……イイじゃないですか……タマには……。
 別にこの前出たことで味を占めた訳じゃありません。
 何か前回より腰が低い?
 前回は後ろ盾があったから、ちょっと大きな顔が出来ただけですってば。
 元の私はこんなのです。
 ゑっ!?オマエなんか出なくてイイから……早く、やっちゃった後のイチャイチャな美琴と当麻を書け?
 イヤ、私が書いてる訳じゃないんですけど……。

 今回はちょっと事情がありまして、その説明というか……何というか……。この低姿勢もその現れでして……。
 まぁ、私にも色々あるってコトで、その辺りはお許しいただきたいな……と。

 実はですね……この前私どもの会合がありましてね。
 何だよ?会合って……?……そりゃ、そうですよね。その反応が普通。

 ええっとですね……何から話せばイイかな……?

 皆さん、並行世界(パラレルワールド)ってご存知ですか?
 並行世界(パラレルワールド)って言うのは……ある世界(時空)から分岐し、それに並行して存在する別の世界(時空)を指す訳ですが、今私が居るこの世界でも色んな世界が並行して存在してるって訳です。
 で、その並行世界の右手が集まって(変な想像しないで下さいね。異様な光景ですから……)今の上琴の現状ってヤツを話し合った訳ですよ。
 そしたらまぁ……出るわ、出るわ。秘守義務ってヤツがあるんで詳しくお話は出来ないんですけど……ココのエピソードの比じゃないですから。
 とてもココじゃあ書けないような泥沼化したのもあれば、もう桃色空間全開過ぎて18歳未満はヤバイのまで……中にはかなりな鬱展開まっしぐらなのもあったりしましたが……。
 で、話がどんどん進んでいって、結局行き着く先は、美琴さんの電撃を消すのは結構骨なんだよなぁ……っていう、話になっちゃったんですよ。

 私としましては、最近美琴さんの電撃は……あんまり消してないかな?
 この前、スンゴイのを一発喰らいそう(実際に喰らいましたっけ……)になったんで……さすがにあの時は慌てましたけどね……。ハハハハハ……ハァ……。
 今はどちらかと言うと、電撃より、漏電を止めてる方が多いですね。

 えっ!?
 あの首筋の件はどうなんだって?
 そ……そんなコトもありましたっけかねぇ……。どうだったけかなぁ……。(遠い目……)

 で、ですね……さっきの会合の話に戻すと、その中の一人(と言うとおかしな話かも知れませんが……)がですね、かなり落ち込んでる訳ですよ。

 『もう、毎日毎日が辛くって……。だって、美琴さんと来たら、顔を合わせる度に『バチバチ。ビリビリ。ドッシーン。ズッシーン。バッシャーン。ビビューン』と、やりたい放題で……しかもそのパワーがハンパない訳ですよ……正直、カラダが保ちません。少しお休みが欲しい訳で……一日でイイから、どなたか変わっていただけませんかねぇ……』

 てな話が出て来ましてね。……で、誰が行くか?ってコトになって、なぜか満場一致で私に決まっちゃったんですよ……。
 他の連中が言うには……『オマエが一番美味しい想いしてんだから……』って言うんですが……。
 心当たり……無いんですよね……。

 今までは、イマイチ『不幸』ってコトが分からなかった訳ですけど……今回は身に染みましたね。
 ああ、『不幸』ってこういうことを言うんだ(遠い目……って目は付いてないんですけど……)……って。

 だから言わせて下さい……。
 不幸だ……。

 ただ、私だけが行ったってどうにかなる訳じゃあないので……だって、私が力を揮えるのは上条さんのカラダの中に居る時だけなんですから……。
 ということで、今回は上条さんと一緒に一日だけ、並行世界(パラレルワールド)に行って来ます。

 それにしても……アッチの世界の私が、今日入れ替わるって言ってたけど……一体いつ入れ替わるつもりなんだろう?

 変な時間に入れ替わられるとなァ……ホントは上条さんにちょっと説明した方が良いんだろうけど……

 言う時間もないし……言っても信じて貰えるかどうか……

 実際のトコロ、なるようにしかならない……と投げやりになっちゃいけないんだけど……ハァ、不幸だ……

「ン~……何だ?誰かが独り言をボソボソ言ってるよーな気がするんですけど……気のせいでせうか?……ん~……第一オレしか居ねえもんな」

 などと独り言を言いながら、朝の準備を始めてる上条さん。
 最近は美琴さんからのモーニングコール前に起きて、3コール以内には電話に出るように心掛けておられます。
 美琴さんもその事がエラくお気に入りのご様子で、もう朝からイチャラブ全開です。
 時々、電話の向こう側で白井黒子さんの叫び声が聞こえる時があるんですけど……、大体美琴さんの電撃でやられてます。

 学校の成績の方も、さすがにうなぎ上りとは行かないモノの、もう補習や追試とは無縁の生活が当たり前になっておられますよ。
 人間、変われば変わるというか……変われるモノなんですねぇ……。

『ピンポーン』

「さすが美琴。定刻通りだな」

「おはよう、当麻。んっ」

 玄関に入ってドアを閉めたら、もう朝のキスの催促ですか?

「ハイハイ。好きだよ、美琴。んっ……」

 上条さんったら、おはようの代わりの『好きだよ』なんて言っちゃって……もう……。

「ウン……私も、当麻が好き。エヘへへ~……」

 スイマセン……ストロングブレンド、プレスで煎れて戴けません?
 あ……砂糖いらないんで……。ハイ……。

「あ、そうそう、昨日出しといてくれた課題でさ、分かんないところがあるんだよな。まずそこを教えてくれないか?」

「え……ちょっと難しすぎたかな?今の当麻ならイケると思ったんだけど……」

「期待してくれるのは嬉しいけどさ、基本的にはまだまだなんだから……」

「そんなコト無いよ。かなり頑張ってると思うよ……当麻は」

「そうか?でも、美琴が居なかったら、オレはこんなに変われてないぞ。全部美琴のお陰だよ」

「そんな……でも、お世辞でもそう言って貰えるのは嬉しいな」

「お世辞な訳無いだろ。本気でそう思ってるよ。今のオレがあるのは美琴のお陰だ」

「エヘヘ~……ねぇ、当麻。そこまで言ってくれるなら……何かご褒美が欲しいな♪」

「ご褒美か……何がイイんだ?」

「……あのね……また……お泊まり……がイイな」

「オイオイ、ここんとこ連続過ぎないか?……そりゃ、オレだってずっと美琴と一緒に居られるのは嬉しいけど……」

「お泊まりがイぃイ~~~~」

「分かった、分かったよ。もう……ワガママなお姫様だ……」

「そのお姫様を強引に押し倒した勇者様はドコのどなたでしたっけ?」

「……んなこと言ってると、今朝の朝食は美琴になっちまうんだけど……」

「……ポンッ!……//////////……バカ……」

「……美琴……カワイ過ぎだ……」

「……今はダ~メ……続きは……んっ!!……もう……」

「続きは……お泊まりで……。……今は……キスだけ……だろ?」

「……む~~~~~~~~~~っ……」

「怒った美琴も可愛いぜ」

「ゴニョゴニョ……ふにゃあぁぁあぁぁぁぁ~~~~~~……当麻……ゴロニャン……」

「ハイハイ、撫で撫でな……」

「うん……エヘへへ~……しあわせ……」

 すいませ~ん、冷房にしてもらえますぅ~。
 それと、ストロングのアイスコーヒー下さ~い。

 もう……朝っぱらから、桃色空間全開じゃないですか……。
 でも……、コレで向こうに行ったらどうなっちゃうんだろう?

 そんなこんなで、上条さんは美琴さんに分からないところを教えてもらった後も続けて勉強。美琴さんは朝食とお弁当を作り始めてます。
 最近は二人一緒に朝食を食べて、一緒に学校に登校。
 といっても、途中の交差点で分かれるんですけどね……。
 さすがに外では『バイバイのチュッ』はしませんけど……出掛ける時の『行って来ますのチュウ』は……ねぇ……。
 まだ3月だって言うのに……ああ……暑い、熱い。

 それにしても、アイツ……一体いつになったら……。

『キーンコーンカーンコーン』

 アララ……授業開始しちゃったよ……。
 どうするつもりなんだろ?……ホントに……。

 ん?……あ……始めたな……。

(えっ!?……何だ!?……何か景色がエラく揺らいでる……もしかして……オレ……おかしくなってきた?)

(イヤ……違う……おかしいのは周りの方……?)

(アレッ!?……何だ……どっちが上で、どっちが下かも……分からなくなって来やがった……)

『(パキィィィィン)』

(えっ!?、今……幻想殺し(イマジンブレーカー)の音がしたような……周りの揺れも収まってる……一体何が……起こったんだ?)

「……じょうちゃん……み…うちゃん……上条ちゃん!!!」

「ヘッ!?……あっ……ハイッ!!!」

「さっきまで寝てたと思ったら、急にキョロキョロし出して……もっと授業に集中しないと、また補習ですよ~」

「「「「「ワハハハハハハ……」」」」」

「???」

「どうしたんです?上条ちゃん。変な顔して……」

「い、イヤ……あの小萌先生……今、地震みたいなモノが起きませんでしたか?」

「何を寝ボケているんですか、上条ちゃん……。もう……目覚まし代わりに前に書いたこの問題を解いてみなさいなのです~」

「あ……ハイ」

「えっ!?」

「「「「「ザワザワザワザワ……」」」」」

『カッカッカッカカッカカッカッカッカッカカ……』

「ハイ……出来ました」

「「「「「「「「「「ええぇぇぇぇ~~~~~~~~ッ!?」」」」」」」」」

「ウソやっ!?上やんがあんな問題を解けるはずがない!!!」

「明日は大地震で学園都市が滅ぶかも知れないぜよ!!!」

「上条、貴様……どんな不正をしたっ!?」

「上条君、変なモノでも食べた?」

「こんな日が……こんな日が来るなんて……先生は……先生は……今、猛烈に感動しているのです~~~~!!!」

「……オマエら、何言ってんだよ。……チョット前までならダメだったろうけど、上条さんはレベルアップしたんですのコトよ」

「この一週間、補習を受け続けてるヤツのセリフじゃないにゃー」

「ヘッ!?」

「そーや、そーや。昨日も一昨日も僕らと一緒に補習を受けとったクセに、何がレベルアップや!?」

「ちょっと待て……オレ、最近補習なんて受けてないぞ?」

「「「「「ハァ?」」」」」

「美琴と一緒に過ごす時間が無くなるから、頑張って補習や追試を受けなくても済むように……」

「『美琴』って誰や!?」

「まさか『常盤台の超電磁砲(レールガン)』こと、御坂美琴のことじゃないだろうにゃー!?」

「上条、貴様!!いつ、中学生を拐かしたっ!?」

「恋人呼び……|||||」

「やっぱり、デルタフォースはロリコンだったのね!!!」

「私のことは遊びだったって言うの!?上条君!!!」

「私の時はあんなに激しかったじゃない!?(階段から落ちそうになったのを抱き留めてもらっただけだけど……)」

「私の時はあんなに強引だったじゃない!?(不良に絡まれたのから一緒に逃げただけだけど……)」

「私の時はあんなに優しかったのに!?(転んだ時に絆創膏を貼ってもらっただけだけど……)」

「私の時も優しかったじゃない!?(買い物袋を持ってもらっただけだけど……)」

「あたしなんか……」

「私だって……」

「私も……」

「オノレはどんだけフラグを立てたら気が済むんじゃい!?」

「「「「「「「「「「ギロッ!!!!!」」」」」」」」」」(クラス男子全員の視線)

「まっ、待てッ……はっ……話せば分かる……なっ……ってか、……オマエら……何でそんなに怒ってるんだぁ~~~!?」

「良いか!!上条、そこに直れ!!!!!」

「はヒッ!?」

「コレより、上条当麻を詰問する!!!!!!!!」

「「「「「「「「「「「「「「「オオ~~~~~~~~~~ッ!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」

「不幸だァ~~~~ッ!!!!!」

「ああ~……もう、散々な目に遭った……」

 あの後、クラス全員vs上条当麻の詰問委員会が開かれ、吊し上げを喰らうわ。
 災誤先生の授業の小テストで、満点を取ったらカンニングを疑われるわ。
 お昼に美琴の作ってくれたお弁当で傷ついた心を癒そうと思ったら、なぜか弁当箱まで変わってて、ご飯と梅干し(多分神裂のお手製)とタクアンが二キレしか入ってないわ。
 その上、帰り際に補習を言い渡されて、延々二時間残されるハメになるわ。
 ホントにもう……散々である。

「美琴のヤツ、怒ってんだろうなぁ……。一応メールはしといたけど……。絶対怒られるよ……。……ああ、不幸だ……」

「『超電磁砲(レールガン)連発の刑』かなぁ……『雷撃の槍乱れ打ちの刑』かなぁ……。ま、まさか……『砂鉄剣・頭上リンゴ皮むきの刑』じゃないだろうな……」

「あ……アレだけは……マジで勘弁して欲しいよなぁ……」

 そんなコトを呟きながら、トボトボといつもの道を歩く上条さん。
 ホント、スミマセンねぇ……。

 一方、その頃。いつもの自販機の前には……この世界の御坂美琴が立っていた。
 彼女は今、混乱している。大混乱していると言ってイイ。
 その原因は昼過ぎに上条から送られてきた一通のメールだ。

 to 美琴 from 上条

 sub ゴメン

 美琴。ホントにゴメン。なぜか
 判らないんだけど、急に補習を
 言い渡された。
 補習を受けなきゃならないよう
 なことはしてないはずなのに。
 2時間ぐらい遅れるから、先に
 買い物して部屋で待っててくれ。
 埋め合わせは必ずするから。ホ
 ントゴメンな。

 このメールを受け取った時、美琴は……

「何なのよ、このメールはぁ~~~~ッ!?」

 と、学校中に響き渡るのではないか?というくらいの大声で叫んでしまった。
 しかも、メールの内容が問題だ。
 メールに書かれている内容は、それほど大したことではない。補習を受けなければならなくなったので、待ち合わせに遅れる。というコトだ。
 だが……なぜ、そのような内容のメールをわざわざ自分に送りつけてくるのか?
 自分が上条を待ち伏せしているのが判っている……のではなく、約束して待ち合わせをしていることが前提……としか考えられない。
 それに、メールはいきなり名前呼びで始まっている。コレではまるで、恋人同士のメールではないか?
 しかも『先に買い物をして部屋で待っててくれ』とまであるのだ。
 『先に買い物をして』と言われても、何を買えばいいのか皆目見当がつかない。第一、上条と買い物になど行ったことすらないのだ。
 そして、美琴を一番混乱させているのが『部屋で待っててくれ』の一文である。メールで言っている『部屋』とは多分、学生寮の上条の部屋のことだろう。
 こちらの美琴は、上条の学生寮がドコにあるかは知ってはいるが、それは上条を尾行して知ったのであって、彼から教えてもらった訳ではない。
 それに、『寮の前で待っててくれ』でも『部屋の前で待っててくれ』ではなく『部屋で待っててくれ』とある。
 この内容から推察するならば、自分はもう既に上条の寮の合い鍵を持っている。
 ……ということになる……のだが……。

 実際には、そんなコトがあろうはずがない。
 顔を合わせれば『勝負よ、勝負!!』と言うのが当たり前になってしまっているし、『上条に対する想い』があることは自覚しているが、それ以上に勝負に拘ってしまっている日常の方が、既に長くなってしまっている。
 ある時までは『素直になって想いを伝えよう』としたこともあった。だが、そんなコトが思い出し難くなるほど、今は……。
 そんな日々を繰り返しているのに……今日、アイツから来たメールは……まるで恋人に送るような……相手を気遣ったとても優しいメールだった。

「……あのバカ……、何でこんなメールを……」

 上条の真意を測りかね、この世界の御坂美琴は混乱を抱えつつ、いつもの自販機の前で上条が通るのを待つのだった。


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