とある右手の番外編(パラレルワールドストーリー)
「しかし、……一体何で、どうして補習なんか……。しかもあの補習の内容……。この前のテストで出たトコロじゃねぇか……」
「この前のテストって、オレ……平均点はクリアしてたはずなんだけどなぁ……」
「確かに、ちょっとヤバかったのがあって、美琴にかなり怒られたけどさ……。でも、補習を受けなきゃならないような点は取ってないはずだ」
「なのに……何でなんだ?今日は勢いに流されちまったけど……明日は小萌先生にこの前のテストの点数聞かないとな」
「それにしても……美琴のヤツ……怒ってんだろうなぁ……。……アレ?……アレは……美琴?なんでこんなトコロに居るんだ?」
「ま……まさか、部屋に戻ったらお仕置きが出来ないからって……ココで待ち伏せしてるとか……ガクガク(((( ;゚Д゚)))ブルブル……」
「……逃げちゃダメだ!逃げちゃダメだ!!逃げちゃダメだ!!!逃げちゃダメだ!!!!……」
「ココで逃げたら、もっとキツいお仕置きが待っている。ココはキチンと謝るしかない……。でもなァ……怖いモノは怖いよなぁ……」
「あっ……コッチに気が付いたぞ……どうしよう……でも、逃げちゃダメだ!逃げちゃダメだ!!逃げちゃダメだ!!!……」
「ちょっと、アンタ……あのメール、何考えてんのよっ!?」
「美琴ッ!!ゴメンッ!!!!!」
そう言って、即座に土下座モードに入る上条さん。
相変わらずお美しいですなぁ……土下座が。
相変わらずお美しいですなぁ……土下座が。
「ヘッ!?」
「オレだって、訳が分からないんだよっ。この前のテストでは平均点をクリアしてたはずだし、確かに美琴に怒られたところもあったけど、補習を受けなきゃならないような点数は取ってないはずなんだよ。だから……何かの間違いだとは思うんだけど……。明日、小萌先生にもう一度聞いてみるから。だけど、今日は遅れて……本当にゴメンナサイ」
「あ……あの……」
「あ……あの~……美琴さん?」
「ヘッ!?(な、名前呼びッ!?……ま、まるで恋人同士……みたいじゃないっ!?)」
「一体、どんなお仕置きをお考えなのでせうか?」
(お、お仕置きって……何ッ!?ゎ、私……コイツにお仕置きするくらい、コイツのことを尻に敷いているってコトなのっ!?)
「アレッ!?……美琴さん?……なあ……どうしたんだ……美琴?」
(エエッ!?また名前で呼ばれたっ!?しかも今度は呼び捨てっ!?……それもスゴい自然な感じで……なにか……嬉しい……)
「どうしたんだよ?……今日のオマエ、なんか変だぞ?」
(コイツ、さっきから全然『ビリビリ』って言わないし、私を全然無視しない……。その上、恋人みたいな感じで……私を呼んでくれてる……//////////)
「アレッ!?……エラく顔が赤いじゃないか?……熱でもあるのか?……どれどれ……」
そう言って、額と額を合わせる上条さん。
(ヘッ!?……な、な、な、ななななな何?なんでいきなりこんなに顔が密着してる訳?も、も、も、も、ももももももうもうちょっとで、キス……出来ちゃう~~~~~~~~ッ)
「大したことは無さそうだけど……もしかして、オレをずっと待っててくれたとか?」
「(コクン……)」
「そっか……ありがとな……美琴。……ゴメンな……待たせて……(ナデナデ)」
(ななななな何?きょきょきょきょ今日のコイツ、メチャクチャ優しい。……それに……こいつの手が……スゴく気持ちイイ……)
「それじゃあ、買い物に行こうか?」
「……もうちょっと」
「ヘッ!?」
「もうちょっとだけ……ナデナデ……して……」
「ハイハイ……フッ、可愛いな。美琴は……」
(なっなっなっなっなんて笑顔をスルのよっ!?そんなスゴい優しい笑顔初めて見たっ!!!それが私に向けられてるなんて……信じられないっ!!!)
「じゃあ、早く行こうぜ。補習で遅くなってんだから、一緒に居られる時間が減っちまうだろ?」
「えっ!?」
「ほら?行くぞ」
そう言って、右手(私)を差し出す上条さん。
それを見た瞬間、美琴さんは完全にパニックに陥ったご様子。
上条さんの顔と右手を交互に見て、オロオロするばかり。
それを見た瞬間、美琴さんは完全にパニックに陥ったご様子。
上条さんの顔と右手を交互に見て、オロオロするばかり。
「なにやってんだよ……いつもなら、腕に抱きついてくるクセに。『ちゃんとエスコートしないとダメなんだからねっ』っていつも言ってるじゃないか?」
そう言われて、おずおずと上条さんの腕を取る美琴さん。
でも……いつものような『ギュッ』はありません。(当然でしょうけど……)
でも……いつものような『ギュッ』はありません。(当然でしょうけど……)
「???」
その様子に首を傾げながらも、いつものスーパーに向けて歩いて行く上条さん。
美琴さん、かなりギクシャクしながら付いて来ますね……。ああ、手と足が一緒に出てますよ……。なんか壊れたロボットみたいです。
美琴さん、かなりギクシャクしながら付いて来ますね……。ああ、手と足が一緒に出てますよ……。なんか壊れたロボットみたいです。
(こんな……こんなの……夢じゃないよねっ!?……もし、夢だったら……絶対に覚めないで欲しいッ!!!)
「なァ、美琴?今日のオマエ、やっぱり変だぞ?……も、もしかして……やっぱり怒ってる?」
「えっ!?……ううん、そ、そ、そそそんなこと……ない……」
「さっきから全然喋らないし……俯いて黙ったままだし……ドコか具合でも悪いのか?」
「あっ、えっと……だ、だ、大丈……夫……だよ。……(当麻)……」
(名前……言えない……言いたいけど……言えないよォ……)
「それならイイけど……具合が悪くなったら、ちゃんと言えよ。寮まで送ってやるからさ」
「ヘッ!?」
「当たり前だろ?具合の悪い彼女をそのまま一人で帰らせる訳にはいかないからな」
(か……か……か……彼女ぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!?)
「ふんにゃぁぁぁぁぁあああああああああああ~~~~~~~~~~~~~~」
「ワワワッ……『バキィィイン』……って、何こんなトコで漏電してんだよっ!?」
やっぱり最近は漏電を止める役が多いんだよなぁ……。
あ……だからって、電撃を止めたいって訳じゃありませんからねっ!!!
あ……だからって、電撃を止めたいって訳じゃありませんからねっ!!!
「もう……しょうがねぇなぁ……無理してんじゃねぇよ。ほら、寮まで送ってやるから……シャッキリしろ」
「えッ!?……寮?……送る?……ヤダッ!ヤダッ!!……このまま、このままがイイッ!!!!!」
「ヘッ!?」
(ヤダッ!ヤダよォ……!!終わるのなんて、絶対にヤダッ!!!こんなに楽しいの知らない。こんなに嬉しいの……私、知らないッ!!!!!)
「だ、大丈夫、……大丈夫だから……。と、と、当麻と一緒に……一緒に居たいのッ!!!」
(な、名前で……呼んじゃった……恥ずかしい……でも、嬉しい!!!)
「分かった、分かったよ。でも、無理はするなよ」
「う……うん……」
(スッゴい優しい……。こんな当麻知らないッ。こんな当麻と一緒に居られるなんて……ホントに夢みたい……だから、終わりたくない。終わらせたくない!!!)
上条さんの腕を『ギュッ』と掴んで離さない美琴さん。
よほど嬉しかったんでしょうねぇ……。
でも、この当麻さんはアナタの知ってる当麻さんじゃないんですよ……。
よほど嬉しかったんでしょうねぇ……。
でも、この当麻さんはアナタの知ってる当麻さんじゃないんですよ……。
「でもさ、美琴は今日具合が悪そうだし、オレが晩メシ作るよ」
「えっ!?」
「さすがに美琴には敵わないけどな」
「そ、そ、そんな……」
「ハハッ……でもさ、オレの腕もそんなに悪くはないはずだぜ。で、何がイイ?」
「えっ!?」
「美琴は何が食べたいんだ?」
「な、なんでも……イイ……」
「何言ってんだよ。オレがそれ言ったら、すぐ怒るクセに……」
「と……当麻……イイ……」
「へっ!?」
「当麻が……イイ……」
「(ボンッ!!!)……そ、そ、それはぁ……/////」
「当麻が作ってくれるなら、何でもイイ……」
「あ、……ああ……(あー、吃驚した。オレをお買い上げかと思ったぜ……)そ、そうか?……ハハハ……」
(でも、やっぱり何か変だぞ、今日の美琴……。体調が悪いって訳では無さそうだけど……。ちょっと震えてる?何か緊張してる……?)
「ど、どう……したの?」
「あ、イヤ……別に……」
「うん……そう……」
(一緒に居られるって、こんなに嬉しいんだ……。こんなに楽しいんだ……。コイツってこんなに優しいんだ……。知らなかった……何にも知らなかったよォ……。だから、……このままがイイ。ずっとこのままで居たい。終わらせたくないッ!!!)
(お願いッ!!夢なら絶対に覚めないで!!!……もう、こんな世界があるって知ったら、昨日には戻れない。……戻りたくないっ!!!)
(もう、あんなのはイヤッ!!……ケンカ腰で、ビリビリして……、嫌われてると思ってた……。ホントは、私を見て欲しくて……でも……素直にはなれなくて……)
(私は……私は、この人が好き。上条当麻が好き。……ずっと忘れてた……毎日、毎日ケンカして……嫌われてると思ったから……考えないようにしてた……)
「おっ、今日の特売品は『鮭の切り身』か……。そのまま焼いてもイイけど……、それだけってのもなァ……。時間がないから、パパッと作れるもの……」
(今のコイツになら……素直になれる。……こんなに優しいんだもん……。告白して……『好き』って言って……ずっと一緒に……)
「ネギ……高ぇなァ……。おっ、大葉はお買い得……だな。ん~……」
(今なら言える……ううん、言わなきゃ!!……でも……でも……今でもこんなに優しいんなら……もし、もし告白して……断られたら……)
「そう言えば……パスタが残ってたはず……だよな。簡単にスパゲッティーにするか?……スープか何か付けたら……大丈夫そうだしな」
(断られて、今の関係が壊れるのなら……今のままがイイ。だって、……コイツは……当麻は……こんなに優しいんだもん……)
「卵は昨日の特売で買ってあるし……、中華スープのダシはまだあったよな……。うんっ……よしっ」
(ダメッ!……言わないと……もっと、ちゃんと恋人になりたいッ!!!……でも、……もし……断られたら……どうしよう……)
「後は……サラダか何かがあれば……おっ、100円引きゲットだぜ!!」
(断られたら……、そんなのヤダッ!!……だったら、今のままで……)
「あっ、オイ……美琴。ボーッとしてたら、他の人が通れないだろ?……あ、スミマセン」
(もう少し、今のままで……甘えてても……イイ……よね……)
「じゃあ、メニューもほぼ決まったし……レジ行って、部屋に戻るか?……美琴、……オイ、美琴?」
「えっ!?……えっ!?……な、なななな何ッ!?……と、と、ととと当麻……?」
「何、ボーッとしてんだよ?……ほら、行くぞ」
「あ……ぅ、うん……」
(でも……でも……ホントは言いたい。……『好き』って……『アナタが好きです』って……ちゃんと……言いたい……)
(……でも、……でも、もし……断られたら……怖い……怖いよォ……)
『ありがとうございましたー』
(言いたい……けど……断られたら……って考えたら……怖い……。どうしたら……私……どうしたら……どうしたらいいの?)
「……うっ……えぐっ……ヒクッ……うっ……ううっ……」
「ヘッ!?……エエッ!?……みっ、みっみみ美琴ッ!?」
ふと上条さんが美琴さんを見ると、美琴さんは俯いたままポロポロと大粒の涙をこぼしてます。そして……
「うわぁぁぁぁああああああああん」
スーパーから出た途端……美琴さんがいきなり泣き出してしまいました。
上条さんは、何が何やら分かりません。
そりゃそうですよね。
上条さんは、何が何やら分かりません。
そりゃそうですよね。
「お、オオオオオイ、み、みみみ美琴ッ……ど、どどどどどどうしたんだっ!?ドコか痛いのか?具合でも悪くなったのか?」
「うぇぇぇぇぇええええええええええええん……」
「どうしたって言うんだよ……一体!?……どうして泣いてるんだ?」
「当麻……当麻……当麻……当麻……うわぁぁぁぁあああああん」
泣きながら、上条さんに抱きついてくる美琴さん。
上条さんは事態に困惑しながらも、優しく美琴さんを抱き締めてあげてます。
上条さんは事態に困惑しながらも、優しく美琴さんを抱き締めてあげてます。
「……」
「うわぁぁぁぁあああああん」
「……何か……良く分からないけど……何かあったのか?」
「(フルフル)」
泣きながら、クビを横に振る美琴さん。
「そっか……まだ、言えないのか?」
「(ビクッ!)」
「そうか……そうか……だったら、思いっ切り……泣いてイイよ……美琴」
「うぇぇぇぇぇええええええええええええん……」
「気が済むまで……泣いてイイからな……」
「ううぅぅ~~~~~~~~~~~~~~~」
「話せる時が来たら、ちゃんと話してくれよ。な……」
「(コクン)」
「オレは待つから……な」
「(コクン)」
美琴さん、本当は『こうしたかった』『こうして欲しかった』という現実が、目の前にいきなり現れて……。
でも、こちらの世界では、まだお二人はそういう関係じゃないんですよね……。
毎日毎日、ビリビリ追いかけっこにケンカ三昧。
そんな想いがあることすら、忘れていたような感じですね。
そこに、この上条さんが現れて……。
でも、こちらの世界では、まだお二人はそういう関係じゃないんですよね……。
毎日毎日、ビリビリ追いかけっこにケンカ三昧。
そんな想いがあることすら、忘れていたような感じですね。
そこに、この上条さんが現れて……。
「じゃあ、そろそろ……イイか?」
「(コクン)」
「ん……じゃあ、行くか?」
「あ……、あ……うんっ!!!!!!」
(嬉しい、優しい。嬉しい、優しい。嬉しい!優しい!!……私、嬉しい!!!!当麻が優しいよォ!!!!!)
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、でも……精一杯の笑顔で上条さんに微笑みかける美琴さん。
その泣き笑顔を、優しく見つめる上条さん。
どうしよう……上条さんったら、……コッチの世界の美琴さんに、フラグ……立てちゃったよ……。
その泣き笑顔を、優しく見つめる上条さん。
どうしよう……上条さんったら、……コッチの世界の美琴さんに、フラグ……立てちゃったよ……。