見知らぬ記憶 4
『夢』の中のこととは言え、シン老師が居なくなってしまったという事実は、オレ達にも影を落としていた。
『夢』の中の自分にとって、シン老師という人がどれ程の影響力を持っていたのか……。
そして、どれ程心の支えとしていたのか……。
改めて、それを思い知らされた。
『夢』の中の自分にとって、シン老師という人がどれ程の影響力を持っていたのか……。
そして、どれ程心の支えとしていたのか……。
改めて、それを思い知らされた。
美琴は美琴で『夢』の中の自分に引っぱられてしまっていて……。
シン老師が居なくなった『夢』を見たその日は、朝から抱きついてきて、オレから離れようとしなかった。
学校がある日だったら……間違いなく休んでただろうな。
『夢』の中で慰められたお陰で、すぐに元に戻りはしたけど……翌日は……別の意味で学校を休むハメになった。
シン老師が居なくなった『夢』を見たその日は、朝から抱きついてきて、オレから離れようとしなかった。
学校がある日だったら……間違いなく休んでただろうな。
『夢』の中で慰められたお陰で、すぐに元に戻りはしたけど……翌日は……別の意味で学校を休むハメになった。
改めて思う。
スイッチが入ってしまった時の美琴は……ヤバい。
見境が無くなる……と言っても良い程だ。
スイッチが入ってしまった時の美琴は……ヤバい。
見境が無くなる……と言っても良い程だ。
あんな性格だったっけ?
アイツに言わせると……
アイツに言わせると……
『当麻が私をこんな風にしたのよッ! 全部当麻が悪いのよッ!!』
ということらしいが……。
そんなにオレが悪いのでせうか?
そんなにオレが悪いのでせうか?
それからの『夢』は特に変わったこともなく、何気ない日常が繰り返されるだけだった。
でも、その中で『マコ』はどんどん大きくなっていく。
『夢』の中なんだけど、子どもってこ~~~~んなにカワイいんだァ……。
もう、上条さんはデレデレです。
でも、その中で『マコ』はどんどん大きくなっていく。
『夢』の中なんだけど、子どもってこ~~~~んなにカワイいんだァ……。
もう、上条さんはデレデレです。
良く『目に入れても痛くない』なんて言うけど、アレは本当だったんだ。
本気でそう思う。
『マコ』が成長するのが楽しみで、楽しみで。
この前寝言で『早く大きくなれよォ~』なんて言ってたらしい。
美琴の機嫌が思いっ切り悪かったから、解ったんだけど……。
頼むから、自分の娘にヤキモチ妬くのは止めて欲しい。
うん。
本気でそう思う。
『マコ』が成長するのが楽しみで、楽しみで。
この前寝言で『早く大きくなれよォ~』なんて言ってたらしい。
美琴の機嫌が思いっ切り悪かったから、解ったんだけど……。
頼むから、自分の娘にヤキモチ妬くのは止めて欲しい。
うん。
『マコ』が大きくなって、美琴みたいに成長して、綺麗になって。そしたら……。
いつか、何処かの男が来て……うっ……。
『『マコ』さんをボクに下さい!!』
何て言いに来るのが出て来る……。
いつか、何処かの男が来て……うっ……。
『『マコ』さんをボクに下さい!!』
何て言いに来るのが出て来る……。
ッ!!!
ダメだ! ダメだ!! ダメだ!!! ダメだ!!!! 絶対にダメだ!!!!!
お父さんは許しませんよッ!!!
ダメだ! ダメだ!! ダメだ!!! ダメだ!!!! 絶対にダメだ!!!!!
お父さんは許しませんよッ!!!
「お父さんは絶対に許しませんからねッ!!!!!」
『バキッ!!!』
「どわぁッ!?」
「当麻……アンタ、何『親バカ』モード全開で独り言呟いているのよ?」
「ヘッ!?」
「『夢』の中の娘を思うのもイイけど、少しは『現実』の私も構いなさい!!!」
結局、自分の娘にヤキモチ妬いてんじゃねェかよ……。
「何か言ったッ!?」
「ああ……不幸だ……」
……とまあ、こんな平和な日常が戻ってきている、今日この頃。
思わず『平和だねぇ~』なんてやりたくなる。
思わず『平和だねぇ~』なんてやりたくなる。
だけど……その日は突然やって来た。
─────◇─────◇──────◇─────◇─────◇─────
『ドクンッ!!!』
空を見上げた時、それはそこにあった。
それを見た時、心臓が跳ね上がるのが解った。
それを見た時、心臓が跳ね上がるのが解った。
暗い雲のような、でも、何かが違う何か。
そう。『何か』としか言えない。得体の知れぬモノがそこにあった。
中で、何かが蠢いている。
形にはなっていないけれど、何かおどろおどろしいモノが、禍々しいモノが、それの中で蠢いている。
そう。『何か』としか言えない。得体の知れぬモノがそこにあった。
中で、何かが蠢いている。
形にはなっていないけれど、何かおどろおどろしいモノが、禍々しいモノが、それの中で蠢いている。
人の顔のようなモノが見える。
皆、苦しんでいる。
叫び声のような、呻き声のような、聞くに堪えない声が聞こえてくる。
皆、苦しんでいる。
叫び声のような、呻き声のような、聞くに堪えない声が聞こえてくる。
「何なんだ!? アレはっ!?」
『ドクンッ!!!』
まるで心臓を悪魔に直接掴まれたような感じがした。
多くの戦場を経験し、様々な敵と対峙してきたオレだったが、どんな相手にも感じた事のないとてつもない恐怖が、そこにはあった。
多くの戦場を経験し、様々な敵と対峙してきたオレだったが、どんな相手にも感じた事のないとてつもない恐怖が、そこにはあった。
目を背けたいのに、目が離せない。
見たくないのに、見てしまう。
目を背けた途端、殺されてしまう。
そんな感覚に襲われる。
見たくないのに、見てしまう。
目を背けた途端、殺されてしまう。
そんな感覚に襲われる。
「バカな!? そんなことが……そんなことがあるはずが無いッ!!!」
「どうしたのッ!? トーマ!?」
「離れてろっ、ミコトッ。アレは……アレは……ッ!?」
「何なの、アレは!? アレは一体……」
「ぐうッ!!!」
「あっ、アナタッ……」
「来るンじゃねェ……ラスト……」
「だって……だって……」
「ぐわッ……ぐッ……」
「ラストッ!!!」
「あっ、お姉様。……ラストはラストは……」
「あ、アクセラまで……。……トーマもなの……。里のみんなが苦しんでいるんだけど……」
「と、トーマまでかよォ……。こりゃあ、シャレじゃあすみそうにねェな……」
「アクセラ?」
「お前と初めて出会った頃なら、オレもお前達と同じ反応しか示してなかったろう……ぐッ……」
「アクセラッ……言うなっ!!!」
「と、トーマ……でもよォ、……言ってやらなきゃ、何が起こってるか解ンねえだろうがッ」
「ぐぅッ……。そりゃそうだけど……ぐわッ……クッ……」
「空に浮かんでいるアレは……、アレは……」
「……人の思念の集合体……だ……」
「「えっ!?」」
「トーマ、どういうコト!?」
「どういうやり方で集められたかは解らない。でも、アレは間違いなく人の想いの集合体だ。《氣》がそれを示している……」
「さっき、オレが以前のオレならお前達と同じ反応を示していたと言ったのは……、今のオレが《氣》が読めるようになっているからだ……」
「オレ達【勇者】は《龍氣》だけじゃなく、相手の《氣》を読んで相手の動きを先読みするんだ……。それは【勇者】として当然のことなんだが……」
「今は逆に、その《氣》を読む能力が……オレ達を……苦しめてやがるンだよ……」
「アレは『人の思念の集合体』だ。……つまり、アレは《氣》の塊みたいなモノなんだよ……」
「あンなモンが存在すること自体、有り得ねェ……。作ろうと思ったって作れるモンじゃねェ……」
「なのに……存在している。……一体、何処の……誰が……あんなモノを……」
「アレが『人の思念の集合体』だとして、それがどうしてアナタ達を苦しめる訳!?」
「引き込まれそうになってるンだよッ……。あの『集合体』から発せられる『負』のエネルギーになァ……」
「『負』のエネルギー?」
「イメージしやすく言えば……『闇』のエネルギーといった方がイイかな……。あの『思念の集合体』の中には、人の苦しみや悲しみが全部詰まっているんだ……」
「しかも……アレだけのエネルギーが集まっているってコトは……そのエネルギーで、この地上に……」
「あの……『思念の集合体』の苦しみが……この地上に……顕現されちまう可能性が……あるってコトなんだ……」
「何が起こるか分からねェンだ……。地下のシェルターに……早く……逃げろ……」
「私たちを逃がした後、アナタ達はどうするのよッ!?」
「決まってるだろう? アレを消しに行く!!!」
「バカなコト言わないでッ!? 今でその状態なのよッ!!! 闘える訳無いじゃ無いッ!?」
「でも……闘わないと……お前達を、守れないんだよ……」
「お前らだから、敢えてハッキリ言ってやるよ……。どう足掻いても……この国はこれで終わりだァ……」
「えっ!?」
「あれだけのエネルギーの集合体だ……。この大陸を消し飛ばして、まだ余りある程なンだ……。この世界は……もう……」
「そんな……そんな……そんなコトって……」
「うそ……うそ……うそよね……ラストは、ラストは、アナタに……ウソだと……」
「悪ィな……ラスト……お前とクロスを……守ってやれそうにねェ……」
「アナタが……アナタが……そんなことを言うなんて……ラストは、ラストは……」
「嘘でしょ!?……トーマ……、アクセラは……アクセラの言ったことは……」
「……本当だ……」
「ッ!!!!!」
「あれだけの『思念の集合体』が自分たちの苦しみで暴走しかかっているんだ……。そうなったらもう、誰にも止められない……。オレ達【勇者】であってもアレには……対抗出来ない……。……何故なら……あの『集合体』の『負』のエネルギーが……、《龍氣》を消してしまっているんだよ……」
「だったらさっき、何で闘うって言ったのよッ!? 闘うドコロじゃないクセに……」
「お前達を護りたいからな……。ココで終わったら、老師様に顔向け出来ないからな……」
「ダメッ!! イヤッ!! トーマッ!!! 行っちゃダメッ!!! 私とマコの側に居てッ!!!」
ミコトがトーマに向かって懇願する。
その時だった。
その時だった。
『ドクンッ!!!』
空にある『思念の集合体』が胎動するかのように、打ち震えた。
それと同時に、その『闇』を一気に広げる。
それと同時に、その『闇』を一気に広げる。
世界は一瞬で『闇』に包まれた。
─────◇─────◇──────◇─────◇─────◇─────
『ガバッ!!!』
「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、……クッ……ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ」
『闇』に呑み込まれた瞬間に目が覚めた。
全身にビッショリとイヤな汗をかいている。
身体の震えが止まらない。
こんなことが……こんなことが……あって良いはずが無いッ!!!!!
こんなことが……こんなことが……。
全身にビッショリとイヤな汗をかいている。
身体の震えが止まらない。
こんなことが……こんなことが……あって良いはずが無いッ!!!!!
こんなことが……こんなことが……。
あの後、オレ達はどうなったんだろう……。
『闇』に呑まれた後……オレ達は……どうなったんだろう……。
『闇』に呑まれた後……オレ達は……どうなったんだろう……。
『ピリリリリ……、ピリリリリ……、ピリリリリ……』
携帯が突然鳴り出した。
すぐに相手を確認する。
やっぱり……美琴だ。
すぐに出る。
すぐに相手を確認する。
やっぱり……美琴だ。
すぐに出る。
「美琴……美琴か!?」
『当麻……当麻……当麻なの?』
消え入りそうな声だ。
それに震えている。
そりゃそうだろう。
あんなモンを見た後なら……。
それに震えている。
そりゃそうだろう。
あんなモンを見た後なら……。
「ああ、オレだよ。美琴」
精一杯平静を装う。
でも、オレの声も震えていた。
でも、オレの声も震えていた。
『当麻……私……怖い。怖いよォ……』
「ああ、分かってる」
『怖い、怖いよ……。今すぐ会いたい。当麻と一緒でなきゃヤダ、ヤダよォ……』
「ああ、分かってる。でも……こんな時間じゃ……」
『イヤ、イヤよ。今すぐアナタの傍に行く。独りはイヤ。独りにしないで……」
「分かった。分かったよ。何とか寮を抜け出せないか?」
『寮監に見つかっても構わない。独りはイヤ……』
「分かった。じゃあ、例の公園で待ってるから……」
『うん、すぐに行くから。当麻……待っててね……』
「ああ、待ってるからな」
そう言ってオレは、携帯を切り、すぐにベッドから飛び起きて、着替える。
携帯と財布を持って部屋を出て、公園に向かって走り出す。
携帯と財布を持って部屋を出て、公園に向かって走り出す。
「今夜も月が赤いぜ……」
男は月を見上げながら独り言を呟いた。
そして、胸ポケットからタバコを取り出し、火を点ける。
そして、胸ポケットからタバコを取り出し、火を点ける。
「ふぅ~……」
口から煙を吐き出し、空へと放つ。
そして、何かを思い出すように、月を見つめる。
その時だった。
そして、何かを思い出すように、月を見つめる。
その時だった。
『パタパタパタパタ……』
足音がした。
少年が一人、こちらに向かって走ってくる。
少年が一人、こちらに向かって走ってくる。
(こんな時間に何処のバカだ?)
煙を燻らせながら、男は闇に紛れてそちらを見る。
「ハア、ハア、ハア、ハア……」
先程の電話を受けて、いつもの待ち合わせ場所に走ってきた上条当麻であった。
「ハア……美琴は……ハア……まだか……ハア……」
「それにしても……あの夢は一体?」
そう呟いた時、向こう側から走ってくる足音が聞こえた。
(美琴か?)
上条がそう考えた時、走ってくる美琴の姿が見えた。
さすがに常盤台の制服は着ていない。私服だ。
さすがに常盤台の制服は着ていない。私服だ。
「当麻!!!」
美琴はそう叫ぶと、上条の胸に飛び込んできた。
上条もそんな美琴をしっかりと抱き締める。
上条もそんな美琴をしっかりと抱き締める。
「怖い、怖いよ。当麻」
「ああ、分かってる。だけど、オレがついてる。心配するな」
「うん、うん」
そう頷いて上条の胸に顔を埋める美琴。
上条は美琴が異常に震えていることに気付く。
が、敢えて『怖いのか?』とは訊かない。
訊く必要のないことだった。
上条は美琴が異常に震えていることに気付く。
が、敢えて『怖いのか?』とは訊かない。
訊く必要のないことだった。
(あんなモノを見せられたら、誰だって怖いさ。オレだって……)
思わず美琴を抱き締める腕に力が入る。
(強すぎたか?)と思ったが、美琴も同じようにより強い力でしがみついてくる。
この自分の腕の中で震える少女を『守りたい』と、上条が考えた時だった。
(強すぎたか?)と思ったが、美琴も同じようにより強い力でしがみついてくる。
この自分の腕の中で震える少女を『守りたい』と、上条が考えた時だった。
「こんな夜中に何やってんだ、お前ら?」
突然声がした。
「「えっ!?」」
「何やってんだって聴いてんだよ。……ッたく」
『バッ』
上条は慌てて美琴を自分の後ろに隠す。
「慌てんな。オレは『警備員(アンチスキル)』だよ」
そう言うと男は、胸の三又の矛を摸したマークを見せる。
そして肩に付けているライトを二人に向ける。
そして肩に付けているライトを二人に向ける。
「ん?……ブレーカーにレールガン……か?」
「「えっ!?」」
「こんな夜中に逢瀬とは、お盛んだな。ガキのクセに」
「アンタ一体何者だ!?」
「だから、さっきから『アンチスキル(警備員)』だって言ってんだろうが?」
「その『アンチスキル(警備員)』が何の用よッ!?」
「オイオイ、今何時だと思ってんだ?……よい子はおねんねの時間だぜ。それに、お前らみたいなのを取り締まるのがオレたち『アンチスキル(警備員)』の役目だろう? まぁ、学園都市最強のバカップルじゃあしょうがねェかも知れないがな」
「だっ、誰がバカップルよッ!?」
「お前ら以外に誰がいる? この学園都市最強のレベル5の第1位、『一方通行(アクセラレーター)』を叩きのめした最強の無能力者『幻想殺し(イマジンブレーカー)』に、この学園都市で一番有名なレベル5の第3位『常盤台の超電磁砲(レールガン)』のカップルか。ウワサは聞いてるぜ」
「どうしてそれを!?……まさか?」
「ああ、オマエの親父の刀夜やレールガンの親父の旅掛の知り合いさ。ヨロシクな」
「アンタがお母さんが言ってた……あの……」
「美鈴が何か言ってたのか?……どうせ、イイ噂じゃねェだろう?」
「……よ、よくご存知で……」
「アイツは……相変わらずのようだな。今度会ったら言っとけ。いい加減歳なんだから落ち着けってな」
「そっ、そんなコト言ったら……殺されるじゃないっすか?」
「当麻、アンタウチの母親を何だと思ってんの?」
「だって、怖いんだもん……」
「当麻……アンタねぇ……」
「ワハハハハ。美鈴の教育は行き届いてるようだな。ワハハハハハ」
「……そ、そんなに笑わなくても……ハァ、不幸だ……」
「それにしても、こんな時間にどうしたんだ?」
「うっ……そ、それは……」
「ううっ……」
「イヤな夢でも見たか?」
「「ギクゥッ」」
「……何だ?……その反応は?」
「……あ……う……」
「……うう……」
(まさか、コイツら……)
「……『闇』にでも呑み込まれる『夢』でも見たのか?」
「「えっ!?」」
「空に突然現れた『思念の集合体』の『闇』に引き込まれた……」
「なっ……」
「……図星か……」
「あ……うう……」
「見たのか……あの『夢』を……」
「何でよ……何で、何でアンタが知ってるのよッ!?」
「オレも見たからさ……その『夢』をな」
「えっ!?」
「そして、それは『夢』じゃない」
「ゆ……『夢』じゃないって……どういう意味だよッ!?」
「アレは『夢』じゃない。今から1万2千年前にこの地上で本当に起こったことだ」
「い……1万2千年前って……」
「栄華を誇ったその大陸は、たった一夜にして海に没した」
「そっ……それって……」
「その大陸の名は『アトランティス』」
「そんな……バカなっ!?」
「我らは『力』の使い方を誤った。人の心の内を見ないままに『力』だけを求めた。自らの内側に渦巻く『闇』をそのままにして『力』を顕現してしまった。その結果が……お前達が見た『夢』だ」
『『ドクンッ!!!』』
「あ……か……グッ……」
「く……うう……」
「今、お前達の胸を締めつけるのは、過去世の後悔。その時代に生き、その時代を守らんと力を尽くしながら、自らの内なる『闇』に呑まれ、その願いを果たせぬままに、その生を終えた。そしてもう一つの次元でその人生を振り返り見た時に刻んだ後悔そのものだ」
((い……息が……で、出来ない……))
『パンッ!』
「「はっ!?」」
『パキイイィィィンッ!!!』
「えっ!?」
『パキイイィィィンッ!!!』
「あっ……えっ!?」
「いッ、今のは……まさか……」
「『幻想殺し(イマジンブレーカー)』!?」
「ちょっと違うな。『幻想殺し』は『神様から与えられた浄化の力を宿す右手』だ。オレが今使ったのは『この世界に遍在する神様の力』である《龍氣》だ」
「えっ!?《龍氣》だって!?」
「そう。お前達が『夢』の中で見た、【勇者】が使う『力』の源だよ」
「アンタ……一体……」
「ただの『警備員(アンチスキル)』だよ。じゃあな、サッサと帰れよ」
「あっ……あのッ……」
「また会おうぜ、お二人さん。ハハハ……ワハハハハハ」
高笑いして去っていくアンチスキルを呆然と見送るオレと美琴。
だが、ポツンと取り残されたオレ達は、そのお陰かどうかは分からないが『夢』の恐怖を忘れるコトが出来ていた。
だが、ポツンと取り残されたオレ達は、そのお陰かどうかは分からないが『夢』の恐怖を忘れるコトが出来ていた。
「ねェ、当麻……」
「あ……何だ?美琴……」
「どうするの……これから……」
「とりあえず、オレの部屋に戻ろうぜ……」
「うん……」
寄り添ったまま、オレの部屋に向かうオレと美琴。
そしてついさっき、突然に突き付けられた信じられない事実。
オレの頭じゃ処理出来ない。
突き付けられた事実に混乱しているオレ達。
そしてついさっき、突然に突き付けられた信じられない事実。
オレの頭じゃ処理出来ない。
突き付けられた事実に混乱しているオレ達。
一体何が……、何が起ころうとしているのだろう?
それとも、ただの『夢』で終わるのだろうか?
それとも、ただの『夢』で終わるのだろうか?
『ギュッ』
美琴の肩を抱き締める腕に、思わず力が入る。
「当麻?」
「ああ……ゴメン。でも……ちょっとな……」
「うん……」
「これから……何が起こるんだろうな?」
「うん。そうだね……」
「でも、何があってもオレは美琴を護ってみせるからな」
「あ……うん!!」
「美琴……ずっと側に居てくれよ。……な」
「うん、当麻……ずっと一緒だよ」
「ああ、ずっと一緒だ」
互いの気持ちを確かめ合ったオレ達は、オレの部屋へと夜の道を歩いて行った。