とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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小ネタ ちょうどいい甘さで?



「アンタ、ブラックだなんてよく飲めるわね」
「そういう美琴だって砂糖入れ過ぎじゃないか。胸やけしそうだぞ、これ」

四月のある休日、無事に進級した上条当麻と御坂美琴はデートの度にいつも立ち寄る喫茶店にいた。
上条当麻が頼んだのはごく普通のレギュラーコーヒー。
それに対して御坂美琴が頼んだのはカフェ・オレ。
お互いがいつも美味しそうに飲んでるので、たまには交換しようという流れになったのだが

「この甘さは凶器だろ……」
「こんな苦いだけのもの、飲んでたって美味しくないじゃない」
「おやおやぁ、美琴さんはやっぱり舌が子供なんですね」
「な、何よその顔は。ちょっと苦いのが苦手なだけで子供じゃないわよ!!」
「……へー」
「くっ、むかつく……」

喫茶店の中ということもありさすがに電撃を出すのは堪えているが、
「私怒ってます」と言わんばかりにこめかみを引きつらせている御坂美琴をよそに上条当麻は窓の外を見ていた。

上条当麻と御坂美琴の全力の追いかけっこが始まるまであと五分。




「はぁ…はぁ……つ、疲れた」
「ただいまー。アンタが悪いんだからね」

口ではそういうが、追いかけっこを堪能したのか「私、楽しくて幸せです」といった顔の御坂美琴。
未だに素直になりきれない自分の彼女から、満足してますという感情を読み取った上条当麻は苦笑を浮かべると御坂美琴に座って待つように伝え飲み物の準備を始めた。

「で、アンタはブラックを用意して私への嫌がらせをしたいの?」
「今日のことで考えてたんだけどな、苦すぎず甘すぎずちょうどいい甘さに出来ればと思ったんだよ」
「まあそうね……私もアンタと同じ物飲みたいし、ふ、深い意味なんてないのよ!!」
「分かってるって、俺も美琴と同じ気持ちだしな」
「あ……と、当麻」

気持ちが同じ、通じ合ってるということに夢ごこちになる御坂美琴だったが、ようやくおかしなところに気づいた。

「あれ?そういえば何で一つしかカップがないの?」
「あぁ、それか。言ったろ、ちょうどいい甘さにしたい、一緒のもの飲みたいって」
「え…え……え?それって」
「こういうことだよ」
「ぅん……」

御坂美琴が感じたのは唇に感じる愛しい人の温もり、愛しい人の匂い、口の中に溢れてくるコーヒーの程よい苦味。

「と、とうまぁ……もう一回、ダメ、かな」
「ダメじゃないけど、そのあとは美琴が俺に飲ませてくれよな」
「う、うん……頑張る」

あまりの幸せに意識を手放しそうになるのを堪えて、目の前の彼の為に御坂美琴は微笑むのだった。


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