とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part05

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「―――ぅ、うん…」
「おっと、気がついたか」

眠っちゃってたのか…、ゆっくりと認識しながらぼやける目を擦る。
眩しい電灯の光に目を細めると、その横には…アイツの顔があった。

「んあ…私…」
「気、失ってたぞ。大丈夫か?」
「うん…もう大丈夫…」

机に手を掛けて身体を起こす。その時額から白いタオル…お絞りがが落ちて来た。

「これは…」
「ああ、店の人に冷やしたのを貰った。冷たかったか?」
「いや…ありがと」

体には私のコートが掛けられている。
どうやら店のソファで寝てたようだ…って、あれ、おかしくない?

「ねぇ、私の頭のあったトコにアンタ、座ってるわよね」
「え、ああ。頭は高くした方がいいからな、手頃なモンなかったから膝枕で……」


…え、何。膝枕?普通逆じゃない、する立場。
ってそれはどうでもいいんだって。私が、コイツに膝枕、されて…た…。

「ちょ、おいおい!また顔赤くなってるって!」

さっき足の上に落としたお絞りを、再度額に当てられて、また寝かされた。
…また?

「ちょっと、や、やめてってば!」
「何言ってんだよ、まだ顔赤いじゃねぇか!ちょっと休んでろって!」
「だ、大丈夫よ!は、は・な・せ!」

店内なのを気にしつつも小声でのやり取り。
流石にじたばた暴れる私に観念したのか、押さえる手を離してくれた。

「…って、ご、ごめん…その、恥ずかしいのよ……」
「いや、気にするな。元気ならそれで良かったんだ。飯、食えるか?」

そういえば、と机を見れば殆ど手のついていない親子丼がある。
持って来た時は湯気が出てたが、もはや無い。
「うん」とだけ答えて、私は親子丼を持つ。
その間、アイツは自分の椅子に戻って、自分の分を食べ始める。


「…食べてなかったの?」
「ん?だってお前が倒れるから。心配だったんだぞ」
「あ…ごめん……」
「じゃあないだろ」

一瞬?状態だったが、今日一日のやり取りを思い出した。
しどろもどろしながら、私は言う。

「ぇと… ありがと…当麻」
「どういたしまして」

んじゃ食うか、と言うので私も冷めた親子丼に手をつけた。
表面は冷たかったが、ご飯はまだ温かくて、美味しかった。

―――――――――
「ご馳走様でした」
「ごっ、ごちそうさまでしたっ」
「「ありがとうございましたー」」

店員に見送られながら私達は店を後にした。
当麻の後ろでレジに表示される金額を見たが、やっぱり安過ぎない?
いや、美味しかったけど。

「ビンボー人にはアレでも少々懐に傷を抱えちゃうんですよ」
「へぇー難儀してんのね」
「まぁこの時の為にお金は溜めてるから普段より幾分も大丈夫だけどな」
「…別に無理してプレゼント買わなくてもいいわよ?今こーしてるだけで私、嬉しいし」
「は?」

……あれ?
…ちょ、私今何言って……っ!!!

「えっとごめん!今のなし!嘘冗談だから!」
「いや、別に俺もお前と今いるのが楽しいから否定されんのは…とは思いますが」
「…それ、ホント?」
「上条さんはそんな人に優しくない嘘はつきませんて。
    お前もこうやって喧嘩売らなかったら可愛いのにな」


っ! ちょ、何、コイツ…いつもより優しくない?
喧嘩売らないから?…こーしてれば…いいの…?

「喧嘩売ってたりしなければ…いいの?」
「…瞬間的にガード体制に入った上条さんはお前の普段との変わり具合に驚いていますが。
   まぁ売って欲しくはないな。そーすれば俺も(もうちょい普通に)付き合えるのによ」
「本当っ!!?」

思いっ切りその話に飛びつく私。
よくよく考えれば恥ずかしい光景だが、今の私には気にも留めてなかった。

「喧嘩吹っ掛けなかったら、横並んだり一緒にお茶して喋ったり出来んのっ!?」
「お、ああ…まぁ少なくとも逃げ回る日々はないだろうな」

「何をしているのですか、お姉様」


突如背後から声がした。機械的な反応をした声だ。

「――と、ミサカは純粋に現状の説明を求めます」

私はびくっとして振り返ると、そこには無機質な瞳の私がいた―――妹、だ。
久々に妹自体に会ったけど、流石に多少の防寒装備はしている。

「おう、御坂妹」
「こんばんは。とミサカは少しだけ頭を下げます」
「…なんでいるのよ?」
「ミサカはクリスマスイヴに外出してはいけないのですか?とミサカは残念そうに問い掛けます」

この子は…何か私には皮肉よね…。

「お前は一人か?」
「いぬも一緒です、とミサカはいぬの存在位置を示します」

するとマフラーの内側からもこもこと現れた…黒猫。


「猫よね?」
「いぬです、とミサカは強調します」

私が意味不明だという表情を浮かべてると、当麻が横から「そーいう名前だ」と言ってくれた。
…私のDNAマップを与えてるという観点からすると、凄い悲しくなるわ。

「どっか行くつもりだったの?」
「はい、近くで電気の不具合があるらしく、所謂野暮用に借り出されました、とミサカは淡々と伝えます」
「そっか、大変だな…っとちょっと待ってろ」

悪いな御坂、と私に告げて足早にどっかに行く。
私は妹と顔を見合わせて、クエスチョンマークを浮かべた。
遅いなぁ、と思いつつ待ってると、妹が口を開いた。

「お姉様は彼と何をしているのですか?とミサカは再度問いかけてみます」
「うえっ?え、えと…いや、その…」

戸惑っていると、妹は素手で私の頬を触って来る。
瞬間的に冷気が肌に伝わり、体を強張らせてしまう。

「ひやっ!?な、何よ…」
「体温が衣服によるモノを除いてでもそれ以上に上昇中。脈拍増加。つまり照れてるのですね、とミサカは判断します」
「ぐっ……」
「私に会い、照れている。彼に対する不可思議な反応。そして彼の去り際のお姉様へのアプローチ。つまり――」

思わず私は、妹の口を両手で塞ぐ。

わ、分かってるけどっ!分かってるけどもっ!!

「わ――っ!!言うな!言わないでっ!!」
「むぐぐ、むご」

妹が私の手を取ろうとするので私は手を離す。

「わかりました、とミサカは言いたかった事を胸に秘めます」
「ほっ…」
「ですが」
「?」
「ツン、デレ…というのでしょうか、こんな日くらいは素直になるべkもごっ」
「黙りなさい」

また口を覆い、少し殺意を見せた目を向けると、妹は無言で頷く。
私は再び手を離し、溜め息を吐く。
…って自分でバラしてるようなもんよね。結局一緒か。

「あー…誰にも言わないだろうけど…言わないでね?」
「はい、しかしネットワークは健在という事を忘れてはいけません、とミサカは少々手遅れな忠告をします」
「げっ……ま、まぁシスターズだけのネットワークだし…いいか」

また深い溜め息。

そんなやり取りの間に、当麻が帰って来た。
手ぶらかと思いきや、私達の許に来るとポケットから缶コーヒーを取り出した。

「ほい。素手だと寒いだろうし、暖取るなり飲むなりすればいいからな」
「ありがとう…ございます、とミサカは素直に感謝します」

お前も、と当麻は私にも渡してくれる。温かかった。
私もありがと、と言う。

「では、私はお邪魔ム…ではなく、やる事があるので、失礼致します、とミサカは頂戴しつつ別れを告げます」
「おう、クリスマスイヴなのに大変だな。頑張れよ」
「はい、お2人も頑張って下さい、とミサカは懇切丁寧に発言します」

妹は私の横を通って行き、一言呟いて去って行った。
ていうか一言一言が迷惑…なのよ。お邪魔虫って言おうとしてたでしょっ!

「頑張って…って言われても、なぁ」
「そっ、そそそうよね。ほら、早く行きましょ!」
「あ、ああ」


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