とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part06

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だれでも歓迎! 編集


「ここよ」

妹と別れてから2,3分歩いた先に、私の推す店があった。
木製のアンティーク風なお店。
クリスマス時期ってのも合わせて、いつもより華やかだ。

「ほぉー…俺一人ならこんなトコ絶対入れないな」
「プレゼント買ってくれるんでしょ?ほら入った入ったー」
「ちょ、押さなくても入るって!」

扉を開けると、からんころん、と鈴が鳴るのがレトロっぽい。
中は電飾で適度に眩しくて、カップルも結構いた。
笑いながら商品選び合ったり、ネックレスをつけてあげてたり……って、何見惚れてんのよ!

「ほら、まず一周見ていきましょっ」
「っと、そうだな」

私達は後ろから入って来る客に気付き、まず右回りで歩いて行く事にした。
とりあえずレジは真ん中にあるので迷惑ではない。


「…大変素朴な疑問ですが、やっぱり女性は光物は好きなんでしょうか」
「んー私の学校では好きな子が多いわね。罰せられるからこそこそとしてるけど」
「ふむ、じゃあ別の物の方がいいか」
「そういや、私に買ってくれるって行ってたけど他にも買う人いるの?あのシスター以外に」
「ん?あーお前の友達の、白井黒子だっけ。アイツとかあとは小萌先生か」
「黒子はアンタ好きではないから、ぶっ壊すかもよ…?」
「……ま、まぁ大丈夫だろ…他意はないし。
    交友関係の少ない上条さんのせめてもの繋ぎ止めですよ」

どこが交友関係少ないのかと詰問したいわね…少なかったらこっちは苦労しないっつーのっ!

「インデックスにはやっぱり十字架とかがいいのかなー。
    って逆十字なんか売ってるし!誰が買うんだよ…、っとそうだ御坂」
「ん、何?」
「根本的にだが、イアリングとかネックレスは止めといた方がいいよな。校則あるだろうし」
「んと…そうね。首周りまで襟あるしネックレスは別にバレないと思うけど」
「じゃーやっぱストラップかな。指輪は大袈裟だし…」
「ゆ、指輪!?」
「ん?いや、アクセなら指輪付けてるオンナもいると思ったんだが、御坂には合わないしなと思って」
「…割と本気で考えてるのね」
「当たり前だろ。付き合わせてるわけだし、似合わないプレゼントその場で欲しくはないだろうしなー」
「…ありがと」
「気にすんな。日頃のお礼だしな …っと、ゲコ太がやっぱりいいか?」
「ふぇっ!?」

き、気付けばゲコ太っ!!
―――っと、こほん。今日は冷静に冷静に…。


「とりあえず一周しましょうよ。そっからもっかい選んでいきましょ」
「それもそうだな」

しかし、普段はゲコ太ばっか…じゃなくて、全体見ないけど、ここ以外と物あるわね…。
多過ぎて流石に削っても迷いそう…。

「ねえ、と、当麻は何が欲しいの?」
「そろそろ詰まらなくてもいいんじゃないか?」
「きゅ、急には慣れないわよ…」
「ま、いいけどな。俺?いや、俺は別に要らねーよ」

言うと思った。

「そんなのダメよ。私に買ってくれるって言うんだしお礼よお礼」
「でもさ」
「拒否権なし」
「…わかったよ。ありがとうな、御坂」
「で、さ…その… おそろい、にしない?」
「は?」
「いや、だってさ、一緒にプレゼント選んでるんだし…
    こーなんか…一緒に選んだぞー…みたいな……」

…ダメだ、顔が赤くなっていくのが分かる…ああもう私何言い出すんだ…
ことわ…られるかな、やっぱり…


「それいいな。折角だし、そうするか」
「…えっ」
「いや、だからお揃いで買うのもいいな、って。
     もしかして今さっきの発言は罠か何か壮大な釣りでしょうか」
「「いいいや、何でもないわよ!罠じゃなくて!」
「そっか、んじゃー俺でもお前でも違和感なさそーなアクセサリーはーっと…」

ちょ、コイツ難無くOK!?いいの!?
やだ、す、凄く嬉しいんだけど…ああもう、落ち着け私っ

「おーい、御坂さーん…?」
「え、あ、ごめん。何?」
「ケータイストラップでいいか?って聞いたんだが…それくらいなら安いし手頃だろ」
「ああうん。それでいいわよ、アンタは何か付けてみたいのとかある?」
「と、言われてもなー…俺ケータイにこういうの付けた事ないからさ」
「んじゃあ私が付けてあげるわよ。じゃあ…コレ!」
「………結局ゲコ太かよ、って突っ込みはもはや定番過ぎてスルーしていいんでしょーか…」
「…冗談よ。ビーズアクセはアンタの生活上すぐ壊れそうだし…」
「返す言葉もありません」
「…分かってんの?こうやってお揃いにしてるんだし、あっという間に壊れたら覚悟してなさいよ?」
「大丈夫だよ。上条さんは他人を不幸にする能力は備わってないからな。
    御坂とお揃いならその点もしっかりケータイだけは大丈夫だと俺は踏んでる」


どん、と胸を叩く仕草にそれはどうかと突っ込みたいが、やめておこう。
…そういや、コイツは私の件だけじゃなく色々首突っ込んでんのよね…。

「…ならいいけどさ… …アンタ自身も心配なんだから、大怪我とかしないでよ…?」
「大丈夫だよ。お前に何かあれば、大怪我しても俺はいつでもまたお前を守ってやるよ」
「――っ! じゃ、なくて!怪我してるだけで私はアンタが心配なのっ!」

いつも溜め込んでいた心配の言葉を思いっきり吐き出してしまった。
当麻は私の頭に右手を乗せて撫でて来る。

「大丈夫だって。今こーしていられてるんだ。お前が心配してくれてるだけで嬉しいよ」
「………」
「ほら、早く決めちゃおうぜ。イルミネーション見に行かないとな」
「あっ! …忘れてた」
「おいおい。まだ時間はあるけどさ、どうするか…」
「じゃあ…これ、はダメ?」

と私が指差したのは小さくて透明な勾玉のストラップ。
複数の色があり、それぞれ祈願内容があるものだ。
これならまぁ大丈夫だろう。


「ほー、面白いものもあるな。んじゃ、お互いに色選ぶか?」
「うえっ?お、お互いに?」
「ああ、そっちの方が最終的に選んだ感もあっていいじゃねーか。じゃ、先選んでくれ、見ないから」

当麻はそう言って、私から背を向ける。
え、選べって……どうしよ。
『赤』は"情熱家・外交的性格で強引な人" 『青』は"自制心・真面目で良心的な人"
後は…色々あるから選べない…

「まだかー?」
「煩いわね、ちょっと待っててよ…」

どうしよう、えーっと……こ、これでいいや!
私は1種類取って、当麻に合図する。
「じゃ、俺の番だな」と言って当麻が選び始めた。

「…御坂が悩む理由が分かった…これは悩むわ…多い、実に多い…」
「私急かしてたくらいなんだからちゃっちゃと決めなさいよねー」

私は胸の前で、握った勾玉をこっそり見て、書かれていた事を思い出す。
…うん、自分が頑張って選んだんだから…大丈夫。
そうよ、佐天さんが言ってた"自分なりのお洒落"を歪曲させれば…"自信持て"って事じゃない。


「よし、俺はこれにするか」
「で、い、今見せるの?」
「んーそれも考えたんだけどな…やっぱ買ってからにしよう」

その後、当麻はシスターと先生にはビーズのブレスレット、
黒子に(消耗品がいいだろうと私が言ったので)ボールペンを買って、店を出た。

「んじゃ、はい、メリークリスマス」
「えっ、あ、ああ…メリークリスマス…」

途端な発言に惑いながらも、お互いにお互いへあげる包装されたプレゼントを渡す。
可愛い雪だるまのシールを剥がし、袋から同時に取り出す。
―――――『茶色』、正確には透明なので『クリアブラウン』の勾玉だった。

「「同じっ!?」」

そして、声がハモった。…私も『クリアブラウン』の勾玉を選んで、当麻に渡したから。


「……理由を聞いていい?」
「えっと…まぁなんというか、お前は一人で悩む性質だから…
    それってすっごい心配なんだぜ?だから、正直に言って欲しいなーと…」

そう、『茶色』は"嘘を吐かない正直な人・親身になって答えてくれる"だ。
そして、私も。

「…私は、怪我とか黙って勝手に入院して、後から知って…心配だから…」
「まぁ、お互い心配性なんだな」
「…そうね …ふふっ、あはははは」
「はははははっ」

なんか、おかしかった。10秒も笑ってなかっただろうが、とても笑った。

「ねぇ当麻」
「ん、なんだ?」
「さっきから守る守る言ってくれてるけど、それってさ」
「お前が大事だからだ。それ以外にないぞ」
「…他の、例えばあのシスターよりかは?」
「お前のが大事に決まってるだろ。……そりゃあまあ、どっかでまた危ない事あれば、そっちに行くけど」
「それは、別にいいわよ。ただ、また帰って来る保障はあるの?」
「ま、その辺は俺を信用しろ。人一倍不幸なんだから、大丈夫だ」
「それ、理由なってないわよ」
「そうか?ま、さっきも言ったけど安心しろ。人を不幸にはしない、約束する」
「…じゃあ、指きり、して?」


私が小指を出すと、当麻も小指を出してくれた。

「ゆーびきーりげんまん、うっそついたら、はーりせんぼん、のーます、っとっ!」
「それはお前もだからな?」
「分かってるって。アンタよりかは平穏無事だから心配ご無用っ」

笑顔でそう答える。
すると、低い金の音が街に響く。

「げ、もう8時か!?おい、ちゃっちゃと行くぞ!」
「え、嘘っ!う、うん!」

少し駆け足で、イルミネーション会場に向かう。
どうせバスも混んでるだろうし、走った方が早い。
手の中で握り締めた勾玉の尖った部分が妙に気持ちよかった。


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