とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part01

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告白編


上条当麻は家の風呂に入りながら悩んでいた。
「なんだよ、宿敵って・・・」
上条はなにに悩んでいるのか。
そう。ある一人の女の子?についてだ。
そして今日のことを思い返す。
―――――――――――――――――――――――――――――

上条はなぜか公園をぶらぶら歩いていた。
あの女の子に会うために。
しかしなかなか会えない。

「はぁ・・・」
もうすでに夕方になっている。
今日は会えなかった・・・と思っていると、後から不意に声を掛けられた。
「いたわね、あんた。今日こそ勝負しなさいよ。」
威勢のいい声が上条を振り返らせる。
そう。一日待ち望んでいたその「女の子」がそこにいたのだ。
「はぁ。なんでビリビリと勝負しなきゃいけないんだよ。」
「ビリビリじゃないわよ。私にはちゃんと『御坂美琴』っていう立派な名前があるのよ。」
そうこの少女の名はビリビ・・・もとい御坂美琴。
上条に会うたんびになんだかんだいちゃもん付けて絡んでくる。
「なんで俺と会うたんびに勝負させようとするんだよ。若い上条さんも毎日追い掛け回されれば疲れますことよ。」
「なんでもいいから早く勝負しなさい。」
「はぁ・・・不幸だ」
と上条は呟くが本当はそうは思っていなかった。
上条は御坂と毎回会うたんびにこのように勝負を仕掛けられている。
ほとんど毎日声を掛けられている。
そうしているうちに上条にはある思いが芽生えていた。

「(なんで御坂と会うと胸が詰まるんだろう・・・)」

「なに、ぼーとしてるのよ。いいから早く勝負しなさい」
御坂はまだ勝負をしろと言ってくる。

「(なんだよ・・・こんなに毎日勝負、勝負って・・・御坂はそんなに俺のことが嫌いなのか?)」
と思ったので少女自身に聞いてみることにした。

「なぁ御坂。毎日勝負って追い掛け回して、そんなに俺のこと嫌いか?」
思い切って聞いてみる。すると、
「あんたはその・・・嫌いって言うか・・・その、そう!宿敵なのよ。」
上条はちょっと残念な気持ちがした。

(宿敵?宿敵ってなんだよ)

御坂美琴は上条と別れたあと、ムカムカしながら常盤台の寮へ帰っていた。
「(なによ・・・『俺のこと嫌いなのか?』よ。好きに決まってるじゃない・・・
 嫌いな奴に会うために町中うろつく馬鹿なんていないわよ。
 鈍感過ぎるのよ。ちょっとは意識しなさいよ。)」

御坂も上条と同じ行動をしていたのだ。
でも人間国宝並みの鈍感さを持つ上条は、御坂が好意を寄せているなど知るよしもない。

(あ~も。あいつ・・・いや当麻ぁ。振り向いてよ・・・。
 でも、私も私よね。なんで当麻の前では素直になれないんだろう。)

御坂も上条とはちょっと違うがやはり異性に対しての悩みを持っていた。
「はぁ~」と考え事をしているうちに寮へ着いていた。

「ただいま~」
「お姉さま~~」
この飛びついてくる女は白井黒子。寮でのルームメイトだ。
「なによ。ちょっと離れなさい。なんであんたは毎日こうベタベタするのよ。」
「そんなの決まってますの。お姉さまと結ばれ・・・ウォ」
「さっさと離れんかい。私先にお風呂入るわよ。」
「うっ。いきなり殴るなんて酷いですの。」
「だったらベタベタするな。」
―――――――――――――――――――――――――――――

チャポ~ン

「はぁ。なんで素直になれないの。当麻のこと好きな気持ちは誰にも負けないのに・・・」
御坂だって悔やんでいる。
本当は素直になりたい。
早く上条の恋人になりたい。
頭ではそう思っていてもなかなか行動に示せない。
御坂は、悔やんでいた。


お風呂から上がるとすぐに眠りについた。
「私にとって当麻はどんな存在なんだろう・・・」
御坂は思い返す。
やはりあの妹達の事件の時からだろう。
この時から御坂は上条に対する見方が変わっていた。
その前までは只のケンカ?相手だった気がする。
しかしあの時まったく関係なかった上条が助けてくれた。

(多分あの時から私は当麻に惚れている)

御坂はすでにこの気持ちが恋愛感情だという事に気づいていた。
しかしその相手の上条が気づいてくれなければならない。

そして御坂はこの時に心を決めた。

なにがあっても絶対に上条の事を諦めないと・・・。

上条も同じころ同じ事を考えていた。
「自分にとっての御坂とは・・・」
上条は思い返す。
ここでもやはり妹達の事件だろう。
この時いつもとは明らかに違う御坂を見た。
いつもはやたらと『勝負だ』と言ってくる御坂・・・
しかしあの時は絶対に違った。
あの時御坂は『一人のか弱い女の子』だった。


そのとき上条は思った。

(この女を守ってやりたい・・・。)

その事件も解決しその後も御坂はやっぱり「勝負」と言ってくる。
(やっぱり御坂は俺のことなんとも思ってないのか・・・)
やはりそう思ってしまう。
当たり前だ、御坂の心境を知らなければそう見えるに決まっている。

(御坂の笑顔が見たい・・・。)
(御坂ともっといっぱい一緒に過ごしたい。)

この時ようやく自分の気持ちに気づいた。

(そうか。俺は御坂のことが好きなのか・・・)

そこで上条はある決意をする。
(自分は絶対に思いを伝える。たとえ笑われようとも・・・。
 そうじゃなきゃ絶対に俺は後悔する。)
と上条は計画を始める。

今日は12月25日。

俗に言ういわゆる『クリスマス』だ。

上条はこの日のために色々と準備をしてきた。


まずはプレゼント。前日にセブンスミストに買いに行った。
流石はクリスマス店は混んでいる。
そしてあるお安い宝石店で買い物をした。
上条のなけなしのお金で二つ購入。

(上条さんの家計から諭吉様が二枚も飛んで行く・・・。でも御坂の為だ。」

今の上条にはとにかく御坂を喜ばす事しか頭にない。

次にいわゆる告白をする場所を選んだ。
今年は第七学区の中心部に大きなもみの木クリスマスツリーが置かれることになっていた。
そのツリーが見える喫茶店を予約しておいた。

最後に一番肝心な御坂に約束の取り付け。
幸いにも電話番号は知っていたのですんなりと連絡をすることが出来た。
しかし電話したときの御坂の反応は覚えていない。
あまりにも緊張し過ぎてていたのだ。

そして上条は待ち合わせ場所のセブンスミストにいた。
ここでも緊張しすぎて約束の30分前に来ていた。
しかし30分前に来ているにも関わらずすでに御坂は待っていた。
「おい、なんでそんなに早いんだよ。」
「それは・・・、あんただって早いじゃないの。」
「うっ、それは・・・」
「まあ、何でもいいじゃない。それよりクリスマスに私を呼び出してなにかあるの?」
「そ、それはもうちょっと後でな。それより御坂、行きたいとこあるか?」
「行きたい所・・・、そうね、ならこの辺を少しブラブラしない?」
「いいぞ、じゃ行くか。」
と言い二人は歩き出した。
二人とも緊張しているので無口でただただ歩くだけなのだが。

(うわぁ、御坂めちゃくちゃかわええ。いつもと全然違う・・・。)

いつもは制服姿がほとんどなのだが今日に限っては私服を着ている。

いつもとは全然違う御坂に上条ドキドキしている傍らで御坂は、
(うわ、当麻とクリスマス過ごせるなんて夢みたい。今日はがんばったのよ。
 でもプレゼント用意しておいてよかった。)

上条からクリスマスを一緒に過ごそうと言われたのは昨日の夜の話。
そんな急なのになぜ御坂がプレゼントと持っているのかと言うと・・・
なんと御坂はプレゼントを一週間前からすでに用意していたのだ。
(私がプレゼント用意しないわけないじゃない。)


――――――――――――――――――――――――――――――

話はちょっと戻りクリスマス一週間前

御坂は迷っていた。
(どうしようかしら。当麻誘っちゃおうかな・・・。でも、、)
となんだかモジモジと寮の自室で悩んでいた。
「お姉さま?どうかなさいまして」
「へっ、な、何でもないわよ。何でも・・・ないの。」
「お姉さま~、クリスマスはぜひこの私とデー・・・オゥグ」
「デートなんてするわけないでしょ。あんたはいつでも何処でも変態ね。」
「うっ、お姉さま酷いですの。黒子はただクリスマスを一緒に過ごしたいだけですのに・・・。」
「はいはいありがとうね~。悪いけど忙しいの。また今度ね。」
「わかりましたの。今回は諦めますの。」
(デートなんてする分けないとか言っちゃったけど、どうしよう。当麻誘おうかしら・・・)

御坂は悩んだがとりあえずまた今度電話を掛けることにした。

―次の日
(とりあえず、プレゼントだけ買っておこう。)
と、御坂はセブンスミストへ出掛けていた。
そして最初に立ち寄った店は・・・ゲコ太ショップだった。

そして店内を見ていると、
(あっ、これいいじゃない。)
と御坂は二点買っていった。

プレゼントは買ったが上条をどう誘おうか迷っていた。

そしてモヤモヤ過ごしとうとう前日の夜になってしまった。
(どうしようかしら。一緒に過ごしたいけど当麻がどう言うか・・・)
まだ迷っていた。
(ええい、もう何でもいいや。当たって砕けろよね)
と電話を掛けようとした瞬間・・・

ピロロロ~
 ピロロロ~
ピロロロ~
ピロロロ~

「きゃっ、ビックリした。誰よ。」

発信者には

―上条当麻―

と書かれていた。

(うわ、このタイミングで。)

「はい、もしもし」
「もしもし、お、俺、上条だ」
「へっ?、あ~なによ」
「あ、明日なんだが暇か?」
「あー、暇よ。何んで?」
「明日19時、セブンスミストの前で待っています。」

 ブチッ

それだけ言い残すと電話は切れてしまった。

――――――――――――――――――――――――――――

まぁざっとこんな事があったのだ。

そんな事を思い出しながら二人はただ歩いている。

すると不意に
「なぁ、第七学区の中心部にクリスマスツリー飾ってあるの知ってる?」
「あぁ、今年から飾り始めてたとか言う?」
「そうだ。いまからそこに行かないか?」
「いいわよ。わかった。」
そんなちょっとした会話の後はまた沈黙。

「「・・・・・・」」
「「・・・・・・」」

ただ黙って黙々と歩いているとあっという間に着いていた。
「きれいね~」
「こんなに大きいツリー始めて見たかも。」
と二人で思い思いの感想を述べる。
その後はまた沈黙。

5分ぐらい見ただろうか。
するとまた不意に
「ここの近くの・・・そう、あれだ。そこの喫茶店を予約してあるんだ。」
と上条が指差す先を見ると、オシャレな店があった。
「へ~、あんたにしちゃシャレた店知ってるじゃない。」
「まっ、まあな」
と上条は頬をかいている。
「じゃあ行ってみるか」

――――――――――――――――――――――――――――

流石にツリーの見える喫茶店と言う事もあり店はかなり混んでいた。

「あの~20時に予約していた上条ですけど。」
「はい。上条様ですね。それではご案内致します。」
と店員に先導され案内された席は真正面にツリーがきれいに見える席だった。

「へぇ~、よくこんな特等席とれたわね。」
「そうですよ。上条さんがんばったんですよ。」
とちょっと自信有りげに話す。
「なんか食うか、それとも飲み物だけでいいか?」
「そうね、飲み物だけでいいわ。私紅茶で。」
「そうか。じゃあ自分はコーヒで。」
といい上条が注文する。

しばらくすると注文した品が運ばれてくる。
「おまたせしました。コーヒと、紅茶です。ごゆっくり。」
と2人の前に置かれる。
それを1口飲むとまた沈黙。
(なんでかしら。当麻今日はやけに余裕が無い様な・・・。)

しばらくすると、上条がツリーを見ながら質問をしてきた。

「なあ、御坂。お前は俺のことをぶちゃけどう思ってるんだ?」
「へっ?どう思ってるって?」
「俺はさあ、超鈍感だからさ、人の思いを踏みにじってるかもしれねえな。」
と上条は遠くを見ながら話す。
「俺は、御坂・・・御坂美琴のことが大好きだ。
 お前はなんとも思ってないかもしれないけど、俺は好きだ。」
御坂は耳を疑う。
(えぇ・・・、ちょっと待ってよ。)
「最初は俺、『なんだこいつは、男みたい』と思ってた。
 やたら突っ張って来るし、何かとかけては『勝負』と言って来るしな。
 でもな、妹達の事件のこととかがあってからは、俺はそんな目では見れなかった。
 あの時のお前は妹達の為に命を絶とうか悩んでいた1人のか弱い少女だった。
 それを見た俺はなんだか胸が苦しくなった。
 なんだかんだであの事件も解決できてなんか変わるかなと思った。
 俺と御坂の関係がな。でも特に変わらなかった。
 変わったのはお前から『勝負しろ』と言われても嫌な気持ちは無くなった。
 そう、俺は御坂に惚れていたんだと思う。」
上条の発言に御坂は驚きの表情を隠しきれない。
「とにかく、なんであれ俺は・・・美琴のことが好きだ。」
御坂は言葉も出なくなっていた。

そして気づくと目からは涙が溢れていた。
「おっおい、どうしたんだ御坂。・・・やっぱり俺なんかに告白されてもうれしかないよな。」
御坂の閉ざされた口からようやく言葉が紡ぎ出された。
「・・・ゎけない。・・・うれしくないわけ、ないよ。」
上条は目を見開いて驚く。
「あの時私は本当に死のうと思ってた。その時は死ぬ以外の答えなんて考えもしていなかった。
 でもね、本当は心の奥で『助けて・・・』と思ってた。そんな時に現れたのが、・・・当麻だった。
 それで当麻はあたしの為に怪我をしてまで戦ってくれた・・・。
 その時から私はもう当麻に一目惚れよ。
 そんなことしてくれる異性が現れたら、惚れるに決まってるじゃない。」
涙をボロボロ流しながら御坂は話す。
「私も、上条当麻の事が・・・大好きです。」
そう言うと上条はポケットをガサガサとした。
そうして
「メリークリスマス。美琴」
といってそのプレゼントを渡した。
御坂はそのプレゼントを開けた。

それはネックレスだった。
「ありがとう。うれしい。」
また涙が頬を伝った。

「実はさぁ、これ俺とおそろいなんだ。」
そう言うと同じ商品を御坂に見せる。
「えへへへ、おそろいか。
 大切にするわ・・・絶対に。当麻から初めて貰ったプレゼントですもの。」
と言うと貰ったネックレスをつける。
「どう?似合ってる。」
「ああ。とってもよく似合ってる。きれいだぞ、美琴。」
「ふにゃ~~~」
「ってちょっとおい漏電してるぞ。」
といって右手を頭に乗せる。
「はっ。あ、ありがとう。」
そう言い御坂は頬を赤らめる。

しばらくすると思い出したかのように御坂もバックの中をあさりだす。
「私からもクリスマスプレゼントがあるの。こっこれ。」
と御坂が差し出したのはゲコ太ストラップだった。
「メリークリスマス、当麻。」
と御坂は顔を真っ赤にして渡す。
「ありがとう。まさか御坂が用意してくれてるとは思ってもいなかった。」
と上条は久しぶりの笑顔を見せた。
(ああ、そうか。これを言うから当麻緊張してたんだ・・・。)
なぜだか御坂からも笑顔が零れた。
「じっ実は、このストラップもおそろいなの。」
と御坂は自分のストラップを上条に見せる。
「あぁそうなのか。俺達考えてること一緒だったんだな。」
上条は微笑んで言う。
「これからもよろしくな、美琴」
「私こそよろしく、当麻」

――聖なる夜にまた1つのカップルが生まれた。


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