とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part01-2

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匿名ユーザー

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EPISODE 1


「(ふーん……それって……)」
「(ココではまだ、知られてない情報よ……)」
「(さっすが情報通。床上手な上にハッキングまでお上手とは……)ハウッ!?」
「ヒクッ!(なに、エロ親父モード展開してんのよッ!? 何ならココ。一発で痺れさせて昇天させてあげるけどぉッ!?)」
「(温子ッ、待てッ! 一生お前を愛せない身体にはなりたくないからっ!? なっ、なっ!!!)」
「(えっ!? あ……、そっ、それは……困る、わね……(ゴニョゴニョ)……)」
「(今夜は、ユックリ……な……)」
「……バカ……エヘッ……。ルン♪」
「……ハァ……助かった……」

「あ、アレ? 第1位君は?」
「あッ……アッコさん。……先程……帰られました……」
「ああ、そう? それじゃあしょうがないわね」
「あ……あの……」
「あ、もう大丈夫? 確か……御坂さん? だっけ……」
「あ……はい。黒子から聞きました。今日はご迷惑をおかけしたみたいで……」
「気にしなくてもイイわよ。その子にも言ったけど、乗りかかった船だったしね。それに……」
「そ、それに……?」
「もうちょっと大人を頼りなさいな。アンタたちが思ってるほど、弱くないつもりだからね」
「あッ、はい……」
「ねェ、御坂さん。どうせなら、全部話しちゃえば? こんなオバサンで良ければ、聞いてあげるから」
「おっ、オバサンだなんてとんでもない……。と、とてもお綺麗です」
「いやぁ~ん、お世辞でも嬉しいわぁ~」
「いえ、お世辞じゃなく、ホントに……。同性の私から見ても」
「きゃぁ~ッ、嬉しいッ!! ねェねェ何にする。全部私のオゴリでイイから、何でも好きなもの注文してっ!?」
「オイ、イイ加減にしろよ……」
「なっ、何よォ~……」
「嬢ちゃん達、見た目に騙されんじゃねェぞ。コイツはな見た目は若く見えるが、とっくにアラフォーに突入してんだから」
「「えっ!? えっ!? ええええええええええええッ!?」」
「ウソッ!? どう見ても二十歳前後にしか見えませんよッ!? 10代だって言っても通用しますッ!?」
「信じられませんわっ!? どうすればそのような美貌を保てるのですか!? 是非是非ご教授を賜りたく……」
「アンタ……何バラしてんのよッ!?」
「うっ……」
「覚悟は良いわよね。……家に帰ったら、覚えときなさい」
「あ……オレ、仕込みが……」
「じゃあ、サッサとするっ!!!」
「ハイッ!! ……ああ、不幸だ……」
「えっ!?」
「ん? どうかしたの? 御坂さん」
「あッ……いえ……」
「……ねェ、黒子ちゃん? アタシ、御坂さんとお話ししたいから、アナタは席を外してくれないかな?」
「えっ!?」
「アナタが居ると彼女も話し難いコトがあるだろうし……」
「あッ、でもっ……」
「ん? ……でも?」
「う……でッ、ですが……その……いえ、何でもありませんの……」
「じゃあ、イイかな? 御坂さんは後でアタシが責任を持って送って行くから」
「う……あ……は、はい……」
「じゃあ、イイわね」
「あ、……では、失礼致します。……あの……」
「えっ!? まだ何かあったっけ?」
「……ココアのお代は……」
「あッ!! すっかり忘れてたぁ~。アハハ……。そう言えばそんなコト言ってたっけ?」
「は、はい……」
「じゃあ、300円になります」
「では、これで……」
「はい、ありがと。じゃあ……お釣りね」
「はい。ごちそうさまでした」
「コチラこそ、ありがと。また懲りずに来てくれたら、嬉しいな」
「あ……はい」
「じゃあ、ありがとうございました」
「ありがとうございました。これで失礼致します。……お姉様のこと、よろしくお願い致します」
「うん、任せて……とは言えないかも知れないけど……彼女の場合、重症そうだしね……」
「あ……はい……」
「でも、人に喋った方が楽になる時ってヤツがあるモンなのよね。特に見ず知らずの方が、聞いてくれたりするからね」
「あ……」
「友人だったり、後輩だったりする方が、逆にその人のイメージに囚われてることがあるのよ。そういうのって本人にとっては、結構辛かったりするしね……」
(この方は……?)
「じゃあ、御坂さんのことは任せて。後でちゃんと寮まで送るから」
「はい。お願いします」
 そういうと黒子は常盤台の寮の方に帰って行った。
 独り残された美琴はかなり緊張している様子だった。
 その美琴にアッコが声をかける。

「それじゃあ、改めて自己紹介をさせてね。アタシはこの店の可愛いママさん。風見温子。お客さんには『アッコさん』て呼ばれてるわ」
「で、あっちで無愛想にしてるのが、ウチの宿六。ホント、どうしようも無いバカでねぇ……」
「宿六いうな……はぁ、不幸だ……」
「『ビクッ』……あ……。わ、私は……常盤台中学2年の……御坂美琴です。今日は、本当にありがとうございました」
「気にしない、気にしない。困った時はお互い様だから」
「あ、そんな……」
「それより……かなり、込み入った事情があるみたいね。あんなふうに彷徨って、『能力』まで暴走させちゃって……」
「あ……う……うぅ……」
「余程何かあるのかな? さっきも言ったけど、こんなオバサンで良かったら、話してみない?」
「あ……、でも……」
「アンタもそうなんだ……」
「えっ!?」
「まあ、見ず知らずの人間に、色んなコトを話すっていうのも抵抗あるだろうけど……」
「は、はい……」
「知らないから聞けるっていうこともあるし……何より、もう少し大人を頼りなさい」
「えっ!?」
「さっきの黒子ちゃんも、ウチの常連の第1位君もそうだけど……高位能力者になればなるほど、大人に頼るってコトをしないのよね……」
「う……」
「確かに、アナタ達に比べたら、『力』的には弱い相手かも知れない。でも、大人は大人で人生経験ってヤツがあるの。それはこの街ですら学ぶことが出来ないことなのよ」
「……」
「無理に……とは言わないわ。でも、今は言った方が楽になりそうに思えるから、そう言ってるだけなの。……どうかな?」
「あ……あのッ……」
「ん? なに?」
「だっ、誰にも言わないって……約束……してくれます?」
「もちろん!!」
「そ、それと……あの……(チラッ)……」
「なるほど……。異性の目があると……だよね」
「は、はい……(モジモジ)」
「アンタ、奥の部屋、使ってイイでしょ?」
「今はイイぜ。誰も居ねぇし」
「じゃあ、行きましょうか?」
「え? あ……はい……」

 そう言うと、二人は先程メディカルマシンがあった部屋に入っていった。
 そこには仮眠室のようなものもあり、二人はその部屋で話し始める。
 最初はあまり語らず、ポツリポツリと話し始めた美琴であったが、時間が経つにつれ、思っていた以上のことを話してしまっていた。
 日常のこと。学校での能力開発のこと。レベル5に昇りつめたこと。
 そして、上条のこと。その人との日常。果てはロシアに追い掛けて行ってしまったことまで、気が付いたら喋っていた。
 さすがに『妹達(シスターズ)』の件までは話さなかったが、『命の恩人』だということは話をした。
 アッコは、それをただ聞いているだけでなく、時に『ねェねぇ、じゃあさ……』と、深いところまで聞いてくる。
 だがそれが、決してイヤな感じを受けるコト無く話せてしまうこと。そして、自分がどんどん素直になって話していることが美琴には不思議だった。

「そっか、そのロシアから帰ってきていない上条君ってのは美琴ちゃんの想い人ってコトか」
「ふえっ!? そっ、そんにゃんじゃ……(ゴニョゴニョ)……」
「フフッ……隠したって無駄だし、隠せてないわよ。……それじゃあ、アタシと一緒だね」
「えっ!? アッコさんと一緒って?」
「こっちを向いて欲しくて、アタシだけを見て欲しくてさ。必死の想いで会いに行っても無視するしさ……」
「コクコク……」
「強いクセに、いつもはその強さを出さないでさ。でも、いざって時にはシッカリ護ってくれて……」
「うんうん……」
「自分がボロボロになるのはお構いなしのクセにさ、人がちょっとでも危ないことすると大騒ぎして、首突っ込むなって怒るのよね……」
「そうそう、そうなんですよねっ!!」
「……美琴ちゃん、アナタ相当重症ね」
「ヘッ!? じゅッ、重症って!?」
「上条君のこと。好きで好きで、どうしようも無いんでしょ? それこそ『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』が崩壊しかねないほどに……」
「あ……、あうあうあう……ふにゃ……」
「その人が、目の前から居なくなって……、死んじゃったかも……って、思ったらさ……グスッ、どうしたらいいか……分かんなくなって……、ヒック……」
「あ……あの、アッコさん?」
「あの時、ホント、辛かったなぁ……。急に居なくなってさ。……しかも、アタシじゃなく、他の女を救いに行きやがって……」
「えっ!?」
「必死の想いで……『アタシだってアンタの力になれるんだぞッ!』って思って……助けに行っても、……その手を振り解かれちゃって……」
「そ、それって?」
「事件は解決したけど、帰ってこなくて……必死になって探して、探して、探して、……あのバカが死んじゃったんなら、私も死ぬんだって……思ってた」
「あ、あの……」

 ポロポロ涙を流しながら、何かの想い出を語るアッコ。
 詳しい内容は分からなかったが、それは今美琴が立っているところと同じような状況である事は分かった。

「あっ! ごっ、ゴメンねっ……。急に泣いちゃったりして……。……アハ、アハハハ……」
「あ、……あの……」
「うん……。そう……。そうだよ。アナタだけじゃないんだよ。美琴ちゃんだけじゃないの。そう言う経験をしているのはさ……」
「私だけ……じゃない?」
「うん。アナタだけじゃないの。それを知って欲しい」
「も、もしかして……」
「うん……そう……」
「アッコさん……も?」
「エヘヘ……ま、まあ……ね……」
「あの……それって?」

 美琴が聞こうとした瞬間だった。
 アッコは美琴の横に座り、美琴をキュッと抱き締めると……。

「泣いてイイんだよ。泣きたかったら泣けばいい。辛かったら、辛いって言えばイイの。そうやって自分に素直にならないと、上条君が帰ってきた時に、美琴ちゃんの想いを伝えられないぞ」
「え……」
「同じ想いをしている人が必ずアナタの側に居る。他の人には言えなくても、同じ想いを持った人になら言えるよね」
「……うっ……ううっ……」
「だから、その人の前だったら、自分を作らなくてもイイ。弱い自分を見せてもイイ。一緒に泣けば……イイんだよ……」
「あ……うっ……ううっ……うあ……うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ……」
「思いっ切り泣いてイイよ。美琴ちゃん。泣きたいだけ泣けばいいから。泣き止むまで一緒に居て上げるから」
「アッコさん、アッコさん、アッコさん……わああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ……」
「全部言っちゃえ。何もかも。自分の中に溜め込んでるモノを、全部吐き出しちゃえ」
「帰って来てよ! 帰って来てよ!! 帰って来てよ!!! 帰って来てよ!!!! 私のトコロに帰って来てよォッ!!!!!」
「うんうん……」
「好きなの。好きなの! アンタが好きなの!! 上条当麻が大好きなのよ!!! だから帰って来てぇ~!!!!!」
(この子、ホントに素直になれなかったんだなぁ……)
「ヤダよ、ヤダよォ。アンタが居ないなんて、絶対にヤダよォ……。だから、帰って来てよ……。帰って来てよォ……わあああああああああああああん……」

 胸にしがみつき、泣きじゃくる美琴を優しく撫でるアッコ。
 しばらくすると美琴は泣き疲れて、アッコの胸の中で眠ってしまっていた。
 アッコは側にあったインターフォンのボタンを押し、店に居るマスターに連絡を取る。

「アンタ……美琴ちゃん、寝ちゃったから……」
『長くなりそうだったから、さっき常盤台の寮には連絡しといた』
「うん、ありがと……」
『その子が起きたら言えよ。何か作ってやるから……』
「じゃあ、アタシはハンバーグディナーセットがイイな」
『オイ……』
「イイじゃない! アタシも頑張ってんだから……」
『ヘイヘイ……。で、何処まで話したんだ?』
「ヘッ!?」
『オレを樹姉から奪ったって事は話したのか?』
「ばっ、バカなコト言ってんじゃにゃいわよッ!! そっ、そんな昔にょはにゃし……」
『ハハハ……。愛してるぜ、温子』
「う……こ、こんにゃ時に……バカ……嬉しい……。アタシも愛してるわ、シン……」
『そうやって素直になってりゃ、可愛いのになぁ……』
「うっ、うるさいッ!!! バカッ!!!!!」

 照れ隠しに怒鳴りつけてインターフォンを切るアッコ。
 そして、少し物思いに耽る。

(ホントにもう……。どうしてああいう気障なセリフを……タイミング良く言うのよ……バカ……)
(惚れちゃったんだもんね……『自分だけの現実』がボロボロになるほどに……コッチの負け……だよね……)
 そして安らかな寝顔の美琴に視線を落とす。

(素直になりなさい。そうすれば楽になるんだよ……。だけど、今の美琴ちゃんには、まだ分からないんだろうなぁ……)
(そういう日常を、この子達の当たり前の日常を……守りたい。守ってあげたい)
(ホント……守ってあげたいんだけどな……。この子達が、アタシ達のような想いをしなくて済むように……)
(まだまだ力不足よね……『もっと大人を頼りなさい』なんて言ってるけど……何も出来ない……)
(でも、まだ……そう。まだもう少し……。今はこうしてあげるくらいしかできないけど……。あと少しで……この学園都市を……)

「ゴメンね……美琴ちゃん……」

 美琴の髪を撫でながら、そう呟いた。
 すると……

「うニャ……とうまぁ……好きィ……」
「えっ!? ……この子ったら、どんな夢見てんのよ?」
「ふにゅ……ダッコ……ふにゃぁ……ふみゃぁ……エヘヘ……」
「気持ち良さそうに、まあ……。幸せそうな寝顔しちゃって……。ちょっとは役に立てたかな?」
「好き……ふにゃ……エヘヘ……」
「今、起こすのは……さすがに可哀相すぎるわね……」
「えっ……ヘッ!?……アレッ!?」
「あら……起きちゃったわ……」
「ココ……アレ……あ、アッコさん……//////////」
「おはよう、美琴ちゃん」
「あ……す、スミマセン……私……ね、寝ちゃったんだ……」
「イイ夢、見れたんじゃない? 彼とデートでもしてたのかな?」
「(ボムッ!!!)//////////」
「……ちょっとは、落ち着いた?」
「あ……はい。……ありがとうございます。……こんなに眠れたの……久しぶりで……」
「うん。……だよね……」

 そう言って美琴を優しく抱き締める。

「アッコさん……」

 美琴もアッコの胸に顔を埋める。

「ありがとう……ホントに、ありがとう……」
「うん。……泣きたくなったら、またおいで……ね」
「はい……必ず……」
「じゃ、店に戻ろうか? ウチの宿六が何か作ってくれるってさ」
「あ……でも……」
「イイって、イイって。遠慮することないわよ。それに、アタシもお腹が空いてるから……一緒に食べよ」
「あ……ハイッ!」
「ん……イイ返事だよ、美琴ちゃん」
「エヘヘ……」
「じゃ、行こ」

 そう言うと二人は店に戻り、アッコはマスターに料理をすぐ作るように急かす。

「ハイよ、お待たせ~」
「やった。来た来た。待ってました~」
「ガキみたいにはしゃぐなよ……」
「ウソ。これ……スゴい……」

 目の前に出された『ハンバーグディナーセット』を見て、美琴は呆然とする。
 特に変わったトコロがある訳ではない。
 スープ。サラダ。ハンバーグ。そしてご飯。在り来たりのラインナップだ。デザートは後で出すらしい。
 逆にオードブルがないのだから『ディナー』と名乗るのは間違いだろう。
 だが、そんなコトなど気付かせない迫力が目の前にはあった。
 イヤ、その迫力こそが『これの何処がディナーなの?』と思わせるに充分だった。
 その迫力の正体……『量』……。
 どう見ても、普通に2人前はある。美琴のお腹なら、3人前以上だ。
 テーブル一杯に並んだそれを、アッコは既にパクついている。

「あ、食べられないんなら、残してイイからな。それに味は期待しないでくれよ。『質より量』の店だから……」
「あ……そんな……」

 と返事はしたモノの、どこから食べればいいモノやら……。
 多分、スープとサラダだけでお腹一杯になるだろう。
 と、美琴は思い悩んでいた。

(あの銀髪シスターなら、平気で完食するだろうけど……)

 と、恋敵(ライバル)のコトがフッと頭を過ぎる。
 同時に『ムッ』と来た。

(何で、私があの子のことを思い出さなきゃなんないのよッ!?)

 そう思ったら余計に腹が立った。
 そうしたら、急にお腹が減っているのが分かってきた。
 そう言えばロシアから戻ってかなりの日数が経っているが、ろくな食事をした記憶がない。
 ルームメイトの黒子や、友人である佐天、初春といった面々が心配して、世話を焼いてくれたのは朧気ながら覚えている。
 でも、彼女らの好意は嬉しかったが、自分をコントロールすることが出来なかった。

(ホント……迷惑かけちゃったな……)

 素直にそう思えた。
 そして後で謝ろう。と思った。
 でも、その前にすることがある。
 目の前にある『ハンバーグディナーセット』。
 恋敵であるあの銀髪シスターなら、間違いなく完食するだろう。
 それが無性に腹立たしかった。

(負けられないわ。あの子には負けたくない)

 妙な感情が美琴を支配する。
 そして……

(負けられない。これを完食して、あの子に勝ってやる!!)

 美琴のスイッチが入ってしまった。
 傍から見たら、とんでもない理屈なのだが、今の彼女にそれを言っても無駄だろう。
 次の瞬間、美琴は目の前の『ハンバーグディナーセット』に向かって突撃していった。
 横にいるアッコとマスターが呆然とするほどに……。

「もう無理……もう……何も入らない……」
「完食しちゃったわよ……この子……」
「ウソ……だろ?」
「女の子なら3人前以上よ。美琴ちゃん、アナタ、フードファイター系の能力まであるの?」
「アハ、アハハハ……げぷッ……うう……」
「無理すんなよなァ……。どうせ、アッコに申し訳ないとか考えたんだろ?」
「あ……いえ、そうじゃなくって……ちょっと、思うところがありまして……」
「「ヘッ!?」」
「アハ、アハハハ……」
「これじゃあ、デザートは無理だな」
「アタシは食べるわよん♪」
「オイ……」
「何よォ~……」
「あ、アッコさん、可愛い……うプッ……」
「ヘッ!?……(ボンッ!)//////////」
「おっ、お嬢ちゃん。やるじゃねぇか。コイツのこと、分かってるな」
「あ、……あの、私と似てるな……って……」
「ハハハ、じゃあオマエさんも『ツンデレ』ってヤツだな」
「ヘッ!?」
「好きな奴の前じゃあ、素直になれないってぇの? コイツはその典型」
「あうあう……」
「だけどな、一つ教えておいてやるよ。男ってのは基本的に『バカ』で『鈍感』なんだよ」
「ヘッ!?」
「だから正面からぶつかる。好きなら好きって告白する。それしかないんだよ」
「あッ、でも……そんなの……」
「特にオレみたいに自分を不幸だと思ってるヤツはさ『自分を好いてくれる奴なんて居る訳がない』って思ってる。だから、コイツみたいに正面突破でぶつかって来てくれねえと気付かねえんだよな……」
「ばっ、バカッ!? なに恥ずかしい昔の話をしてんのよッ!!!」
「イイじゃねえか。どうせ何時かはこの子に話すつもりだったんだろ?」
「そっ、そりゃ……そのつもり……だったけどさ……(ゴニョゴニョ)……」
「なっ、可愛いだろ? オレはコイツのこんなトコに惚れたんだ」
「「(ポンッ!!!!!)//////////」」

 マスターのあっけらかんとした一言に、二人は一瞬で顔を真っ赤に染める。
 そして二人で後ろを向いてヒソヒソ話を始めた。

「(アッコさん、完全にやられてますね?)」
「(しょうがないでしょっ!? 何年経っても、慣れないんだから……(ゴニョゴニョ)……)」
「(アッコさん、メチャクチャ可愛い!!)」
「(美琴ちゃん、からかわないでよッ!? あのバカには……その……あの……)」
「(うんうん、分かります。分かってますから)」
「(あうあう……)」

 メンツが入れ替わったら……というシーンが展開される。
 マスターは頭の上に『?』を大量に並べるのみである。

 その時だった。

『カランカランカラ~ン』

 店の入り口のベルが鳴った。
 そして……

「うぃ~っす……」
「ん? あ、いらっしゃい」
「お久しぶりッス」
「何だ、オマエか? ホント久しぶりだな? 何してたんだ?」
「あ、イヤ……。何時もの如くで……」
「ま~た、何かに巻き込まれてやがったな……」
「アハ、アハハ、アハハハハハ……」
「で、今日はどうした?」
「あ……イヤ、ついさっき帰って来たんですけど……、食うモノが無くって……」
「何だ。そんなコトか。ホレ、サッサと座れ。今作ってやるよ」
「あ、スミマセン……。じゃあ、いつもので……」
「あいよ」

 誰か客が来たらしい。
 何気なく、ふとそちらを見る。
 向こうもコチラを見る。

(えっ!?)

 その客の顔を見た瞬間、美琴の思考は停止した。
 そして……

「よっ。ビリビリ、久しびり」

 カウンターに座り、あっけらかんとした笑顔で手を挙げてこちらを向いていたのは……。
 上条当麻、その人だった。


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