とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part01-1

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EPISODE 1


Scene_1  【第7学区】

(探さなきゃ……アイツを、探さなきゃ……)
(アイツは絶対に生きている。……アイツは必ずココに戻ってくる。だから……アイツを、探さなきゃ……)
(私が探してやらなきゃいけない……。私がアイツを助けてやらなきゃ……。アイツを助けるんだ……。アイツを……)

『どん』

 誰かと肩がぶつかった。
 ぶつかった方を見ると、茶髪でジャージにジーパンの男が立っていた。

「す、済まねえ」

 声がした。
 そちらを見る。

(アイツじゃない……)

 そう思った。
 何かちょっと驚いたような顔をしていた。
 でも、どうでもイイ。
 今の私は……アイツを……。

(探さなきゃ……。アイツを、探さなきゃ……)

 わずか十二日間で終結した『第三次世界大戦』。
 でも、その戦争を止めたヒーローは、今この学園都市に居ない。
 北極海で、アイツの携帯に着いていたはずの『ゲコ太ストラップ』を見つけてから、私の記憶はハッキリしない。
 ずっと泣き続けていたような気もする。
 ロシアから、どうやって学園都市に戻ってきたのかも覚えていない。
 一つだけ分かっているのは……アイツがまだ、この学園都市に帰って来ていないってコトだけ。

 そう。アイツ……。
 私が必死になって、ロシアまで追い掛けて行って……、あの巨大要塞の上でやっと見つけた……アイツ。
 私が伸ばした手を、最後の命綱を「まだ、やることがある」と言って、あの『右手』で断ち切ったバカ。
 上条当麻。
 私の大切な人。
 私が世界で一番好きな人。

(どうしてアンタは帰ってこないのよ!?)
(他のみんなは帰ってきてるのに……学園都市の人的被害は『0』のはずなのに……何でアンタは帰ってこないのよ!?)
(帰って来てよ。帰って来てよ! 帰って来てよ!! 帰って来てよ!!! 私のトコロに帰って来てよ!!!!!)
(アンタが居なくなったら、私はもう生きていけない。生きていけないの……。何処に居るの? アンタは今……何処に居るの?)
(帰って来てるんでしょ? この学園都市に帰って来てるんでしょ? だったら……探さなきゃ……。アンタを探さなきゃ……)
(アイツは絶対に生きている。絶対に生きてこの学園都市に帰って来ている。だから、だから探すの……。アイツを見つけるのは、私の使命だから……)

「お姉様っ!?」
「え?」
「またこんなトコロを彷徨かれて……」
「あ、……アンタ?」
「えっ!?」
「……あっ!?、イヤッ!!! ……わっ、私はっ……」
「おっ、お姉様っ!?」
(イヤッ! この子はイヤッ!!! 私にアイツを探させないようにするから……。この子、嫌いッ!!!)
「おっ、お姉様っ! 落ち着いて下さいまし!!! あっ!? キャアッ!!!」

『バチバチバチバチバチバチッ!!!』

 御坂美琴を見つけた白井黒子が、美琴を連れ戻そうとした時、美琴はそれを拒絶した。
 そして全身を帯電させ、黒子を振り払おうとする。

「お姉様っ! おやめ下さいましッ!!!」

 叫ぶ黒子の声に耳も貸さず、美琴は電圧を上げようとする。
 その時……。

『ガシッ!!!』

 美琴の電撃に思わず後退った黒子の横から腕が伸びてきて、美琴の腕を掴んだ。
 すると……。
 美琴がいきなり震え出し、声もなく倒れてしまった。

「おっ、お姉様っ!?」
「ちょっと待って!」
「えっ!?」
「もうちょっと待ってて。今、この子に触れるのはまだ危ないから」
「あ……あの、貴女は……?」
「説明は後でするわ。今はこの子の帯電を解くのが先!」
「あ、……はい」

 風紀委員(ジャッジメント)である自分を気圧する迫力。
 真剣な顔で、美琴の顔を見つめている女性の顔を覗き込む。

(スッゴい、美人……ですわね)

 それが白井黒子の第一印象であった。

「ふう。もう大丈夫そうね。ン~……でもなぁ……」
「えっ!?……あの、まだ何か……」
「一応帯電は止めたけど、何時また同じようになっちゃうか分かんないし……ね」
「あ……はい……」
「アナタ、この子のお知り合い?」
「あ、はい。常盤台中学1年、ジャッジメントの白井黒子と申します」
「黒子ちゃんね。アタシは風見温子。この近くで喫茶店をやってるの。……ん~、そうね。やっぱり店まで運ぼうかな」
「えっ!?」
「ウチの店になら、簡易だけどメディカルマシンがあるの。それで検査した方がイイかなって思って……」
「あ、でも……」
「ああ、大丈夫よ。サンプルなんて取りゃしないって。それに、統括委員会からも許可貰ってるから、安心して」
「あ……それなら……イヤ、しかし……」
「ところで、この子は……」
「あの……内密に、お願い出来ますか?」
「えっ!?」
「この方は……常盤台中学が誇る、レベル5の第3位。御坂美琴お姉様ですの」
「この子があの、常盤台の超電磁砲(レールガン)……」
「……はい」
「そう、なんだ……」
「……」
「色々事情がありそうね。でも、今はこの子を治療するのが先よ。ゴメン、アナタ手伝ってくれる?」
「あ、イヤ……そこまでして戴く訳には……」
「乗りかかった船よ。それに店もすぐそこだしね」
「で、でも……」
「イイの、イイの。こういう時は大人を頼りなさい」
「あ……」
「じゃあ、アナタはそこのトレーとポーチ、持ってくれる?」
「あ、はい……」
「じゃあ、行きましょうか?」

 そう言うと、その女性は美琴を軽々と抱えて、スタスタと歩いて行く。
 黒子は慌てて、その人を追う。

(いきなりの展開ではありますが、信用出来る方……のようですわね……)

 黒子はそんなコトを考えつつ、風見温子と名乗った女性の後に続くのだった。

  Scene_2 【エトワール】

『カランカランカラ~ン』

「あ、いらっしゃ……なんだ、オマエか……」
「なんだ、オマエか……じゃないでしょ!? 愛しい妻のお帰りなんだから、もうちょっと愛想良く出来ないの!?」
「愛しい妻って……オマエ、よくそんな恥ずかしいこと言えるなァ……」
「な~にが恥ずかしいのよッ!?」
「イヤ、だって……その……」
「何、ゴニョゴニョ言ってんのよッ!? それに、そのやる気のない目を何とかしなさいって何度言ったら分かるのよッ!!!」
「んなこと言ったってよォ……生まれつきなんだから、しょうがねぇだろう」
「客商売してんだからねっ!! ちょっとは愛想よくしなさいよッ!!! ココのマスターはアンタなんだから!!!!!」
「出前から帰って来て、いきなりガミガミ言うなよ……。それに……オマエの抱えてるその子と、後ろの子がビックリしてるだろう?」
「へっ!? ……あ……、アハ、アハ、アハハハ……」
「アハハじゃねぇっつーの……。ッたく……。それより何だよ、その子……。どうかしたのか?」
「あ、そうだ。裏のメディカルマシン、使えるわよね」
「あ、ああ。メンテ済みだけど……?」
「じゃ、使うわよ。イイでしょ?」
「イイけど……オマエ、使えんの?」
「分かってるわよ。操作はアンタがすんのよッ!!!」
「ハァ……不幸だ……」

(なっ……何なんですの!? この展開は……。この方の豹変ぶりにも驚きましたが……、何より、このうだつの上がらなさそうな殿方とご夫婦?)
(どう見ても、20歳は離れていますわね。この殿方、完全に犯罪者レベルですわ。それにしてもどうやってこの方をゲットされたのか……?)
(それに……この方の変わり様。何処かで見たような気がするのですが……。それに、お二人のやりとりも……見慣れたような気が……)
(まさか……デジャヴ?)

 いきなり見知らぬ所に連れて来られ、いきなりの展開を見せられて、白井黒子は店の入り口で一人『ポツン』と立ち尽くしていた。
 そこに、美琴を寝かせてきたのであろう。さっきの女性がやって来て黒子に声をかける。

「あっ、ゴメンねぇ~。変なトコ見せちゃって……」
「あ……いえ……」
「あの顔見ると、ついつい言いたくなっちゃってね……。ホンットに、ウチの宿六と来たら……」
「あ、あの……」
「あ、ああ。そうだったわね。ゴメンなさいね、コッチよ」

 と言われ、店の裏に案内される。

(これは……確かに簡易型ではありますが……でも、これ……最新型……ですわよね。どうしてこんなトコロにこんなモノが……?)
「まあ、驚くのも無理ないわね。何でこんなトコにこんなモノがってね」
「あ……いえ……」
「ココは、警備員(アンチスキル)の詰め所でもあるの。だからこんなモノが置いてあるのよ」
「あ、それで……」
「ウチは喫茶店でしょ? しかも学園都市じゃあ珍しい『喫煙可能』な店。まあ、それはこの宿六の都合なんだけどね」
「……うるせえなぁ……どうせ、オレは禁煙出来ませんよ……」
「お陰で、防煙設備に余分な投資がいったって訳。あ……それは関係なかったわね。アハ、アハハハ……」
「あ、はあ……」
「あ、だから……ケガをしたアンチスキルや、この街の学生達のファーストエイドが出来るように、メディカルマシンがある。って訳なの」
「だから、学園都市の統括理事会からも許可が降りている。ということなのですね?」
「そういうコト♪」
「それにしても……本当に助かりましたわ。ありがとうございました」
「気にしなくても良いわよ。困った時はお互い様でしょ?」
「あ……はい……」
「じゃ、アンタ。後よろしくね。アタシは店に戻るから……」
「……ん、ああ……」

 そう言うと、その女性は黒子を連れて店に戻っていった。

「んじゃ、改めて自己紹介をさせて貰おうかな。アタシは風見温子。この店、喫茶店『エトワール』のママさんよ♪」
「先程も自己紹介をさせていただきましたが、常盤台中学1年の白井黒子と申します。先程はジャッジメントのお仕事で巡回中にお姉様を見つけたところだったのですが……」
「いきなり帯電するんだもん、ビックリしちゃったわ」
「あの時はありがとうございました。風見さんに止めていただかなかったら、どうなっていたことか……」
「アッコでイイわよ。お客さんからもそう呼ばれてるし、その方が慣れちゃってるから」
「あ、はい。……じゃあ、アッコさん。……実は、その件でお聞きしたいことがあるのですが……」
「どうして、あの子の帯電を止めるコトが出来たのか? ……でしょ?」
「はい……」
「一応、OKだそ~……。ん?」
「あ、アンタ。ご苦労様」
「何だ。何も出してねぇのか?」
「あ、いっけない。忘れてた……」
「人にエラそうに言う割にゃあ、そーゆートコ抜けてんだよな、オマエはよォ……」
「うっさいわねぇ! そう思うんなら、何か煎れてよッ!!!」
「ヘイヘイ……ハァ、不幸だ……」
「ホントにもう……。あ、ゴメンねぇ~。えっと、どうしてあの子の帯電が止められたかってコトだったわよね?」
「あ……はい……」

 そこまで言うと、アッコさんはしばらく考え込んだ後に、マスターに向かってこう言った。

「ん~……、ねえ、アンタ……」
「ん?」
「この子に言っちゃってもイイかな?」
「オマエがイイと思うんなら、イイんじゃねェの? あ、嬢ちゃん。何がイイ?」
「えっ!? あっ、いえ……お構いなく……」
「遠慮すんなって……。まぁ、常盤台のお嬢様のお口に合うようなモノは出せねぇけどな」
「あ、そんな……」
「そうそう、遠慮しなくってもイイわよ。学生相手の『質より量』の店なんだしね」
「自慢出来るコトじゃねぇけどな……」
「アンタはいちいちうるさいッ!!!」
「何で、オレだけ……」
「あ、あの……本当に結構ですから……」
「遠慮しないの。……そうだ、この店の何かを飲んでくれたら、さっきの質問に答えてあげるわ」
「えっ!?」
「押し売りみたいになっちゃうけど、もちろんお金は頂くわよ」
「あ……、そう言うことなら……」
「じゃあ、決まりね」
「それじゃあ、ココアを……お願い出来ますか?」
「普通のココアで良いのかい?」
「あ、それならアタシはカフェ・モカがイイ」
「……オマエはよォ……誰も聞いてねぇだろ……」

 マスターがガックリと項垂れる。

「イイじゃない!? 手間は変わらないんだからさ。……何よ、カワイイ女房をもうちょっと労ってくれてもバチは当たらないと思うけどッ!!!」
「ヘイヘイ、分かりましたよ……。ハァ、……不幸だ……」
「プッ……クスクス……あ、失礼を……」
「イイわよ。いつものことだし……アタシ達も、いつもこんな調子だしね……」
「ああ、肩肘張らずに済むとこだから、気にしなくっても良いぞ」
「あ、はい」
「じゃあ、嬢ちゃんはココアで、オマエはカフェ・モカな」
「あ、あの……」
「ん?なんだい?」
「その……『カフェ・モカ』って何ですか?」
「あっ!? ……ダメッ!!」
「えっ!?」
「そうか。常盤台のお嬢様はコーヒーじゃなくって、紅茶が主流だろうから、知らなくても当然か」
「しまったァ。……始まったわね。長くなるから聞き流しといてね……」
「え!? えっ!?」
「本来『カフェ・モカ』ってのは、エスプレッソとスチームミルクとチョコレートソースを混ぜ合わせた飲み物なんだがな」
「……またやってるわ……」
「?????」
「元々は、チョコレート好きのアメリカが発祥らしいんだが、今じゃエスプレッソを入れるのが主流になってる」
「あ、はい……」
「聞き流して、聞き流して。……返事すると止まんなくなるから……」
「えっ!?」
「ウチもホントはエスプレッソで煎れたいんだけどな。本格的なエスプレッソマシンとなると高くてなぁ……。手が出ねえんだよ」
「……」
「エスプレッソコーヒーって奴はな。本来は9~11気圧の高圧蒸気で……」

 という具合にマスターの講釈が延々と続く。
 その間、アッコさんは頭を抱えたまま。
 この方、相当な『オタク』……ですわね。

「ってコトで、……ホイっと。ココアとカフェ・モカの出来上がりだ」

 やっと注文の品が出て来た。
 かれこれ、15分くらいは経っただろうか?
 たった一杯のココアとカフェ・モカにこれほどの時間をかけていたら……。
 そう思うと、この店がいつまであるのか心配になった。
 あまり期待せずに口を付ける。

「え? ……これ、美味しい」
「味はね、講釈たれるだけのことはあるのよね。……だけどさぁ、店としてはねぇ……」
「アハ……、アハハ……」
「ゴメンね。あのバカのせいで長くなっちゃって。じゃあ、どうしてアタシがあの子の電気を止められたかってコトなんだけど……」
「あ、はい……」
「実は、アタシも『能力者』なのよね。まぁ、レベルはそんなに高くはないんだけど……」
「ええッ!?」
「まぁ、驚くのも無理ないか……。でもね、考えてみて欲しいのよね。この学園都市が昨日今日出来た訳じゃないってコト」
「あッ!」
「この学園都市が出来て、もうかれこれ20年以上経つわ。だったら……分かるでしょ?」
「大人の『能力者』が居てもおかしくはない……」
「そういうコト♪ ……但し」
「えっ!?」
「これは……ひ、み、つ。にしておいて欲しいんだ」
「あ……はい。分かりました」
「アタシはあの子と同じ、発電系の能力者なのよ。だから、あの子の帯電を『阻害』することが出来たって訳」
「それで……」
「んじゃ、この話はお終いっと」
「あ、ありがとうございました。そんな秘密まで……」
「気にしない、気にしない。乗りかかった船だったしね」
「あ……はい……」

『ピーピーピーピー』

「ん? 終わったか……」
「あ、あの……今のは……」
「メディカルマシンの治療が終わった音。あの子ももうすぐ気が付くでしょう」
「そ、そうですか。重ね重ね……」
「もう、イイって。……ホンット、この学園都市の子どもって大人を頼らないんだから……」
「えっ!?」
「『高レベル能力者』であればあるほど……ね。まったく、どうして誰もそれが変だと思わないのかしらねぇ……」
「えっ……あの……」

『カランカランカラ~ン』
「う~~っす」
「あら? 第1位ちゃんじゃない。いらっしゃい」
「オイ……その呼び方すンじゃねェつってンだろうがッ! このクソババアッ!!」
「ハイハイ、ゴメン、ゴメン」
「ッたくよォ……。あれ? 今日はボンクラ居ねェのか?」
「今、奥よ」
「なんでェ……居るのか」
「居たら悪いのか?」
「うっせェなァ……。サッサと注文、聴きやが……アレ?」
「う……」
「……格下……じゃねェか……」
「えっ!?」
「なんだ、お前ら、知り合いか?」
「あッ、アンタッ!?」

 美琴は目の前にいる白髪の少年を見た途端、彼の胸ぐらを掴んで詰め寄る。

「ねぇッ!? アイツはっ!? アイツは何処ッ!? 知ってるんでしょっ!? 帰って来てるんでしょっ!?」
「オイ……」
「教えてよッ!? ロシアでアイツに会ったんでしょっ!? アイツは帰ってきてるんでしょっ!? 何処に居るのよ!? 教えてよォッ!!!」
「オイ、離せ……」
「教えてよ……。アイツが何処に居るのか……教えてよォ……えっ……えぐッ……ヒクッ……うぅ……うわぁぁあああああああああああ……」

 白髪の少年から手を離し、床にへたり込んで泣き続けてしまう美琴。
 少年はそれを冷たい赤い眼で見つめる。

「お、お姉様……」
「何か、色々と立て込んでそうだな……」
「イラねェコトに首突っ込むンじゃねェ。……死ぬぞ」
「お~、怖えぇ、怖えぇ」
「チッ」
「さ、コッチに座って……」
「……」

 美琴を席に座らせるアッコ。
 美琴の横には黒子が座り、その涙を拭う。
「で、何にする?」
「テメエ……良くこんな時にオーダー聞けるもんだな?」
「プロだからな」
「ケッ、言ってろ。……グァテマラをメッシュで……」
「アイよ」
「……まだ、帰っていやがらねェのか……あのヤロウ……」
「……」

「うっ……うっ……」
「お姉様……」
「……(チラッ)……」
「……(チラッ!? ササッ……)……」
「うっ……うっ……」
「しばらく、居て良いから……ね」
「あ、ありがとうございます……」

『ガタッ!』

「(ちょっと、アンタ!)」
「(なっ、何だよッ!?)」
「(あの女に連絡して!)」
「(あの女って……まさか!?)」
「(そうよ、アンタの昔の女よ)」
「(で、でもなぁ……)」
「イイから、言われた通りにサッサとしなさい!!! ……あ……」

 突然、大声を出してマスターを怒鳴りつけるアッコ。
 その場に居た全員がビックリしてアッコに注目する。

「あ……アハ、アハハ……ゴメンねぇ~、ちょっとこの宿六がね……」
「オイオイ、オレのせいかよ……」
「イイからアンタはこっちに来る!!!」
「ちょっ、ちょっと待てって……コイツのコーヒー……」
「アタシを『クソババア』って呼ぶ子のコーヒーなんて後でイイからっ!!!」
「おっ、オイッ!?」
「早くッ!!!」
「あ、1位。ちょっと待っててくれな……。オイッ!? 引っぱるなって……」
「ああ……ユックリしごかれて来な……」
「おっ、オマエッ!?」
「……ハァ……気にしてやがったのか。……あの『クソババア』……」

「あ、あの……」
「ン? 何だ?」
「不躾な質問で申し訳ないのですが……」
「そう思うンなら、すンじゃねェ」
「ぐッ……」
「……あのヤロウ。まだ帰って来てねェのか?」
「えっ!?」
「ヒーローだよ、ヒーロー」
「ヒーロー?」
「上条当麻。格下のヒーローさ」
「お姉様の……ヒーロー……(あの類人猿めぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええ)」
「あ……どうした?」
「あッ……、なっ、何でもありませんの……」
「スゲェ、オーラだったぞ……」
「あらっ、そうでしたかしら……オホホホホホ……」
「(……コイツもマトモじゃねェな……。学園都市ってのは、こンなのばっかりかァ?)」
「……あの……上条さんのことを……ご存知なのですか?」
「ああ、この学園都市で1度、そしてロシアでもう1度、ぶっ飛ばされたンだよ」
「えっ!?」
「ホントッ!? ホントなのッ!? ロシアでアイツに会ったのッ!?」
「大人しくしてろ、格下」
「うっ……」
「今のテメエじゃあ、オレには勝てねェぞ」
「ヒッ……」
「おっ、お姉様……」
「助けてくれるアイツも居ねェンだしなァ」
「ヒッ……うッ……いやぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!」
「騒ぐンじゃあねェッ!!!」
『ビクゥッ!!!』
「あ……ぅ、うう……だって、だって……アイツだけが……アイツだけが……」
「あッ、アナタッ!! お姉様になんてコトをっ!?」
「ヘッ、学園都市第3位も、こうなっちゃ終わりだなァ」
「ヒッ……!?」
「クッ……」
「あン時みてェによォ、オレに突っかかってきた第3位はドコに行ったンだ?」
「あ……うう……」
「あの時?」
「……クソが……。興醒めだ、帰るわ」
「えっ!?」
「……ッ……」
「オイ、格下」
「……」
「アイツは……上条は生きてる……。それを信じろ……。アイツが死ぬ訳ねェだろうが」
「えっ!?」
「じゃあな。クソッたれが……」

『カランカランカラ~ン』

「あ、アクセラレータ……」
(えっ!? アクセラレータって、学園都市に7人しか居ない、レベル5の第1位『一方通行(アクセラレータ)』のことですの!? 今の方が……その……)

「(どうよ……呼ばなくても済んだじゃねぇかよ)」
「(何エラそうに言ってんのよッ! アンタの手柄でも何でも無いじゃないッ!!!)」
「(にしても……まだ帰って来てないのか?)」
「(えっ!?……ええ、そうらしいわ……)」
「(生きてるのは確認済みだよな?)」
「(ええ、『明け色の陽射し』って言う魔術サイドの秘密結社に……)」
「(バードウェイの阿婆擦れのトコか……)」
「(今はそこに居るらしいわ……)」


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