とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part04-3

最終更新:

NwQ12Pw0Fw

- view
だれでも歓迎! 編集


EPISODE 2


 私を信頼してる……?

『嬢ちゃんが抱えてるレベル5の悲しみをアイツも抱えてるんだよ。それを含めて、嬢ちゃんに挑戦してるんだ』

 あ……私と同じ悲しみを持っている……んだ……。
 雲川さんも、レベル5の苦しさを抱えてるんだ……。

『アイツは飄々としてて、人の気持ちにも自分の気持ちにも拘らないように見えるけど……根っこの部分は、……ホントに繊細で優しいヤツなんだよ……』

 マスター……。
 そうだよね。
 悲しすぎるもんね……。
 今、ココで私が逃げたら……、本当に雲川さんと向き合える人が居なくなるんだね……。

「だったら……、そんな……、そんな『幻想』を、あの人の中の『幻想』を、この私がぶち殺す!!!!!!!」
「えッ!? みっ、御坂ッ!?」
「逃げられない。逃げちゃいけないんだ!!! あの人から正面切って挑戦された、この学園都市に7人しかいない『レベル5』の『第3位』として!!!」
「バッ、バカなッ!?」
「あの人は、アンタみたいに、自分が見えるモノを他人に押し付けるような、そんなコトは絶対にしなかった。自分の苦しみを他人に押し付けるようなことはしていない!!!!!」
「ぐッ……」
「そんなコトをして、何が楽しいの? 何が嬉しいのよ!? そうじゃないでしょう? その人が苦しんでいるのなら、その苦しみを真正面から受け止めて……一緒に苦しんで、一緒に泣いて……」
「(よ、読めない……。この子の想いが……強すぎて……、私の『力』を跳ね返して……)」
「一緒に闘ってあげるのが、アンタの役目でしょうがぁああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

『ズッドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ』

 御坂の右手から放たれる『超電磁砲(レールガン)』
 それは、『魔術師』エレクトリフィカーツィヤの数メートル手前で地面に着弾した。
 その爆風でエレクトリフィカーツィヤは吹き飛ばされ、壁に叩き付けられる。

『ガハッ……!!!』

 壁全体が、エレクトリフィカーツィヤが叩き付けられた衝撃を吸収するかのように凹む。
 駆動鎧を操縦するために着込んでいる、簡易の駆動スーツがショックを吸収しているとしても……もう動くことは不可能だ。

「あ……」
「みっ、御坂ッ……!?」

 御坂が糸の切れたマリオネットのように倒れてゆく。
 オレは慌てて、御坂を支えに走る。

「だッ、大丈夫か?」
「あ、……当麻……」
「大丈夫なのかっ!? 御坂ッ!?」
「うん……、ちょっと、疲れただけ……。……ねえ、当麻?」
「なッ、何だよ……?」
「好き……。私、アナタのこと……好き……」

 そう言うと、御坂は意識を失ってしまった。

「おッ、オイッ!? 御坂ッ!? しっ、シッカリしろッ!? 御坂ぁッ!!!」

 オレはしばらく、御坂を抱えて叫ぶしかなかった。


Scene_9  【喫茶店 エトワール】

「全員、無事に帰ってきたとは言え……皆、満身創痍だな……」
「あ、アハハ……」
「笑い事じゃあねえよ。上条……ッたく……、それにしてもオマエは、回復力がスゲえな……」
「す、すいません……おやっさん……。こんなコトになっちまって……」
「しかし、良くやったな、綿流……。まさか、駆動鎧を相手にして……勝っちまうなんて……」
「あ、アレは……マスターが貸してくれた装備のお陰で……」
「とは言え……、まさか、あちらの世界からの刺客だったとは……」
「ええ……」
「あ、あの……おやっさん?『あちらの世界』って?」
「今はまだ知らなくてもイイ。だが、何れ知る必要が出て来る。その時でも遅くはないからな……」
「あ、は……ハィ……」
「それよりも……綿流く~~~~ん?」
「なッ!? 何っすか!? アッコさんっ?」
「どうなったのよォ~? ウリウリ、全部吐いちゃいなさいよぉ~?」
「えっ? だッ、だから……何のコトっすか?」
「惚けたって無駄よぉ~。ココに帰って来た時の美偉ちゃんの顔見たら、分かるゎよぉ~」
「うぐッ!!!」
「ね、何て言ったの? もう、それってプロポーズに近い言葉? どうなのよォッ!?」
「あ、それって……確か……」
「「「えッ!?」」」
「マスターと出会って、アンチスキルになるって決めたとか……」
「ふんふん!!」
「一緒にオレみたいなのを守りたいとか……」
「うんうんうん!!!」
「必ず迎えに行くから、待っててくれとか……そんなコト言ってましたよね?」
「キャーッ! やるじゃない、綿流君!!! それってもう、ほとんどプロポーズしたようなもんじゃないッ!!!!!」
「こっ、コラッ! テメエ、何勝手にくっちゃべってんだよォッ!?」
「ヘッ!?」
「ふーん、そんなコト言ったのか……綿流。でもなぁ……せめて、一人前って認められねえとなぁ……」
「うぐッ!?」
「ふふ~ん……、先はまだ長えな……。綿流?」
「おッ、おやっさん……、そんなァ~……」
「「「ハハハハハハハハハハ」」」

 店に戻ったオレ達は、マスターに装備を解いて貰い、御坂と白井はメディカルマシンに。
 固法さんはアッコさんに治療して貰った後、仮眠室で寝ている。
 オレと黒妻さんはマスターの手荒い治療を受け、今は……あの『ハンバーグディナーセット』をパクつかせて貰っている。

「ングッ……、み、……水……」
「慌てて食うなよ、上条……。料理は逃げやしねえよ……」
「だって、もう……腹減って、腹減って……」
「おやっさん、すいません……あの、例の奴を……」
「おう、確か『ムサシノ牛乳』だったな? 買ってあるぜ」
「あッ、ありがとうございまスッ!!!」
「そう言えば……、美偉ちゃんもそれ、……好きだったわよね?」
「ブウーーーーっ!?」
「うわッ、なッ、何すんですかっ……黒妻さんっ!?」
「あ……悪い。上条……」
「ああ……、不幸だ……」
「オイッ!? 黒妻は居るかっ!?」
「よおッ、ミノルじゃねえか?」
「久しぶりだな、愼。ウチのヒヨッ子が世話になったそうだな?」
「ああ、大したことじゃねえよ。綿流なら、今そこで飯食ってるぜ」
「ほほう……。そうか……」
「イイッ!? きょッ、教官……!?」
「良い度胸だよな、黒妻ァ……。追加の訓練言い渡しといたのに、事件のことを聞いた途端、血相変えて飛び出しやがって……」
「あッ、いえッ……そのッ……」
「で、なんだァ? オレじゃなく、愼のトコに来て……事件解決に一役買って……、シッカリ、その子までお持ち帰りしようってか?」
「そっ、そんなコトは考えておりませんッ!!!」
「ふーん、まあイイ。今日のところは、愼の顔を立てて勘弁してやろう」
「あッ、ありがとうございますッ!!!」
「だがッ!!!」
「うッ……」
「明日っからは、み~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っちり、扱いてやるからな」
「あ……」
「オラッ、さっさと来いッ!!! じゃあな、愼。待たな……」
「ああ、手加減してやれよ……。オマエに言っても無駄だとは思うが……」
「分かってんじゃねえか……。ワハハハハハ……じゃなッ」
「おッ、おやッさ~~~ん、たっ、助けてくれぇ~~~~~!!!!!」
「諦めろ……綿流」
「そっ、そんなァ~~~……、こっ、殺されるぅ~~~~~~!!!!!!!」

 たった今、目の前で起こったことに暫し呆然とするオレ……。

「あの……、何すか? 今の人……」
「アンチスキルの教官だよ。オレの昔の知り合いでな。鬼教官の鏡みてえなヤツなのさ」
「ミノルちゃん、相変わらずねぇ……。あの人、手加減知らないからなぁ……」
「ええッ!?」
「素手で駆動鎧を3体、スクラップにしたって言う伝説があるんだよ……アイツ……」
「ええッ!? ぅ、ウソ……でしょ?」
「ホントらしいよ……ウワサだけど……」
「それだけのことをしでかしそうなヤツなのさ。ホント、加減を知らねえんだから……。大丈夫かな? ……綿流のヤツ……」
「イイんじゃない? 何かあっても、美偉ちゃんが慰めてくれるんだから」
「それもそうだな? ワハハハハハ」
「イヤッ、笑ってる場合じゃないでしょう? それッ!!!」
「ところで、上条君はどうだったのぉ~?」
「えッ!? なッ、何のコトでせうかッ!?」
「惚けないのッ! 美琴ちゃんから、何か言われたんじゃないのぉ~~ッ?」
「(ボムッ!!!////////////////////)」
「アララ、分かりやすいわねぇ……。面白くないわ……」
「オイオイ……しかし、そうか……嬢ちゃん、言ったか……」
「えッ……、あの、マスター?」
「オマエが気にする事じゃねえよ。だが……シッカリ受け止めてやれよ。ちゃんと返事してやれ!」
「あ……、はい!!!」
「イイ返事だな(……コリャ、芹亜のヤツ……勝ち目なし……かな?)」
「えっ!? マスター、何か言いました?」
「うん? 別に……何も言ってねえよ。……それよりさっさと食っちまえ。そして帰って寝るこった。かなり疲れてんだろ?」
「あ…ハイ。あッ、……でもっ……」
「嬢ちゃん達のことなら心配しなくてイイよ。ウチでちゃんと面倒見とくから。寮の方にも連絡済みだしな」
「あ……それなら……」
「ああ、安心して任せとけって」
「ハイッ!!!」

 その後、腹一杯になったオレは、学生寮に戻り、何とか風呂にだけは入って、泥のように眠るのだった。


  Scene_10  【翌日・名前がまだ出ていない上条が通うとある高校】

「上条、居る?」
「あ……、雲川先輩? 何すか?」
「うん、ちょっとね……。付き合って欲しいんだけど……」
「へ? ドコに……?」
「うん、ちょっとね……。放課後、迎えに来るから、その時一緒に来て欲しいんだけど」
「イイっすよ。ただ……、あんまり時間取れないから。それでもイイですか?」
「うん、イイよ。そんな大したことじゃない……けど」
「じゃあ、放課後に……」
「うん、放課後に……」

 そう言ってオレは雲川先輩と別れた。
 そして席に戻ろうとしたら、土御門と青ピのヤツが何かどす黒いオーラを纏いながら近づいて来やがった。

「フーン、上や~ん。上やんは謎の美少女、雲川先輩にまでフラグを立ててたんやねぇ……」
「ホントだにゃー。上やんは一体この学校の女生徒のどれだけにフラグを立てれば気が済むのかにゃー……」
「土みー、全員やで、全員。上やんはこの学校の女子全員にフラグを立てるつもりなんや……」
「それだけは、絶対に阻止しないとイカンぜよッ!!!」
「フラグって何だよ、フラグって……。オレが何かしたって言うのかよッ!?」
「本人、全然自覚無しや……。こりゃあ、ちょっとお灸をすえんとあきまへんなぁ……」
「同意するぜよ、青ピ。何なら、クラスで異端審問会を開いてもイイにゃー」
「何でそうなるんだよッ!? 第一『異端審問会』って何だよッ!? 議題はどうすんだッ!?」
「決まってるやないか?」
「そうだにゃー」
「「『上やん病』について。それ以外に何があるんや(だにゃー)!?」」
「何だよッ、その『上やん病』って!?」
「やかましいわっ!! 大体上やんがあっちコッチでフラグを立てまくる所為で、僕らにはお零れすら回って来んのやで!?」
「そうだにゃー。以前は銀髪のロリシスターにうつつを抜かしとったと思ったら、この前は常盤台のお嬢様に鞍替え。その時はオレと同じ『ロリ趣味』だと思ってガマンしてやったのに、今回は年上の美女と来てるぜよッ!? 一体貴様はどれだけの範囲を相手にすれば気が済むんだにゃーッ!?」
「誰がテメエと同じ『ロリ』で『妹』趣味だッ!?」
「ボクも守備範囲は広いけどな……。上やんみたいに取っ換え引っ換えはしてへんでぇ~ッ!!!」
「だッ、誰が取っ換え引っ換えだよッ!? オレがそんなことしてると思ってんのか!? 第一、守備範囲が広いことを自慢気に話すなッ!!!」
「テメエのことに決まってるぜよッ!!! 胸に手を当てて、よ~~~く考えてみるにゃーッ!!!」
「本気で殴るな、コノ野郎!!!」
「上やんこそ、僕らの苦しみを思い知れッ!!!」

 ギャー、ギャーと吠えまくり、取っ組み合いを始めるデルタフォースの3人組。
 その3人を冷ややかな目で見る2人の少女が居た。

「吹寄さん、いつものように止めないの?」
「ハア……、さすがに飽きてきたのよね、あのバカ共の相手をするのは……、毎日毎日良く飽きないわよね……。そう思わない? 姫神さん?」
「……確かに……」
「……でしょ?……」
「「ハア……」」

 上条の日常は相変わらず『不幸』であり、そして『幸福』だったようだ。


Scene 11  【第七学区内 公園】

 放課後、青ピと土御門の追撃を何とか躱したオレは、雲川先輩と一緒に、いつもの公園に来ていた。
 ウーン、ココはちょっとヤバいんだけどなぁ……。

「どうしたの? 上条。何か落ち着かないみたいだけど?」
「あ、いや……何でもないです……ハハハ」
「そう……、なら、イイんだけど……」
「あ、あの……何っすか? 話って……」
「あ、ああ。その話なんだけど」
「あ、ハイ……」
「三日前に、エトワールで私が言ったコト……覚えてる?」
「先輩が言ったコト……って……。あッ!?」
「思い出してくれたみたいだけど。そう、もう一度その事をちゃんと言っておこうと思って……」
「あ……う……」
「あの時、何か有耶無耶にされちゃったところもあったけど。私の気持ちは変わらない」
「えッ!?」
「上条。お前が好きだよ。私はお前が好き。この気持ちにウソはない。今の私の本気の気持ちだけど」
「あ……うう……」
「返事……。聞かせて欲しいんだけど……って、言おうと最初は思ったんだけど……」
「えッ!?」
「この前、お前にフラレてるからね。答えを聞こうとは思わないけど」
「えッ? ……けどって……?」
「私の本気を伝えたいと思っただけ。だ・か・ら・……」

 そう言うと、雲川先輩はオレの首に手を回し、キスをしてきた。
 そして、しばらくして……唇を離すとこう言った。

「これなら、私の本気が伝わると思ったんだけど……どうかな?」
「えッ……えええええええええええええええええええええええええええええええええええええッ!?」

 その時だった。

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!」

 公園中に響き渡るような大きな声がした。
 そちらを振り向くと、顔を真っ赤に染めた御坂が肩で息をしながら、コチラを指差していた。

「くッ、雲川さんっ!? いきなりキスって……そっ、それはっ……反則じゃないんですかっ!?」
「あらッ、御坂さん。私は言ったはずだけど。コイツにキスするかもって……」
「なッ、なッ、なッ……ぐぐぐぐぐッ」
「貴女こそ、ちゃんと私が上げた時間の中で、コイツに告白したの? まあ、貴女のことだから、素直になれなくて言えてないと思うけど」
「い……言ったもん……」
「えッ!?」
「私ッ! コイツにちゃんと『好き』ってい、言いましたッ!!! あッ、アンタも聞いたゎよねッ!?」
「あ……え……えっと……、その、うん……聞いた」
「(ボムッ!!!////////////////////)」
「へえ、言ったんだ、まさかホントに言っちゃうとは思ってなかったけど」
「くッ、雲川さんからの挑戦を逃げる訳には行きませんから……」
「えッ!?」
「学園都市に7人しかいない『レベル5』の『第3位』として、そしてコイツの隣を争う一人の女の子として。雲川さんの挑戦を正面から受け止めて、そして正々堂々と勝負して……勝つって決めてますからッ!!!!!」
「御坂さん……貴女……。……フーン、イイ根性だとは思うけど、この私に勝てると思ってるのが、どうにも癪に障るんだけど!!!」
「そう簡単に負けませんからね!!!」
「でも、コイツのファーストキスは私が貰っちゃったんだけど」
「む~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!! ……こうなったら、ねえッ! アンタッ!?」
「はっ、ハイッ!?」
「キス……しよッ!?」
「バッ、……バカ野郎ッ!? なッ、何考えてんだ!? お前はぁッ!!! 中学生相手にそんなこと、出来る訳無いだろうがッ!!!!!」
「べっ、別にイイじゃないッ……キスくらい……(ゴニョゴニョ)……」
「あのなぁ……、オレを犯罪者にしたいのかッ!?」
「きっ、キスくらいで……犯罪者になる訳ないじゃない……」
「それに……オレの答えはもう……決まってるから……」
「「えッ!?」」

 そう言って、オレは雲川先輩に歩み寄る。

「あ……」

 御坂が震えた声を出した。
 ちょっと、胸が痛んだ。

「先輩。ありがとうございます。こんなオレを好きになってくれて」
「上条……」
「……でも、……スイマセン!!!!!」

 オレは、そう言って頭を下げる。

「えッ!?」

 先輩の驚きの声。
 震えている。
 さっきの御坂の時と同じように、胸が痛んだ。
 でも……、決めなきゃいけないコトだから……。

「オレ……、コイツのことが……御坂のことが好きなんです。コイツには昨日、言ったんですけど……色々あったので、覚えてないみたいで……」
「そう……なんだ……」

 雲川先輩の目から、ポロポロと滴がこぼれ落ちる。
 この人に、こんな顔をさせてしまうなんて……。
 普段の表情からは想像も付かない。
 でも、自分を偽ることは……出来ない。

「すみません。先輩……」
「謝らなくてもイイんだけど……グスッ……」
「……」
「ア~ア、結局……フラレちゃったのか……。ある程度、予想はしてたけど……」
「すみません」
「お前が悪い訳じゃないから。謝らないでよ……謝られるとさ、余計に辛くなる気がするけど……」
「あ……」
「しかし、お前も酷い男だと思うけど……」
「えッ!? そっ、それは……あの、どういう意味でせう?」
「私が告白したのを断るのはまだ良いけど……、それに託けて、私の目の前で他の女に告白しちゃうってのは……ちょっとヒドすぎると思うけどッ!!!」

『ズンッ!!!』

 そう言って、雲川先輩はオレの足を思いっ切り踏んづけた。

「いってぇぇぇぇぇえええええええええええええええええッ!?」
「ッたく……、このバカは……。……あ……」
「あ、あの……え……」
「おお、痛え……。……あ……御坂……」
「あの……アンタ、そ、その……」
「ウソじゃねえよ。御坂……。オレはオマエが好きだ」
「ッ……!!!!!!!!!!!!!!!!」
「あの時、お前が助けに来てくれた時……、初めて分かったんだ。『ああ、助けられるってこんな気持ちなんだ』……ってな」
「あ……」
「あの時は、お前が投げて繰れた糸を自分で切らなきゃならない状況だったんだけど……どうしてもやらなきゃならないコトが残っていたから……」
「う……」
「でも、帰れたら……イヤ。絶対帰ってオマエに言おうと思ったんだ。「助けてくれてありがとう」って」
「……バカ……」
「まさか、オマエがオレの事を同じ気持ちで見ていてくれるとは思ってなかったんだけどな……」
「な……何言ってんのよッ!? この鈍感ッ!!! ゎ、私がアンタのコト、どれだけ想っていたと思ってるのよッ!!!!!」
「ああ……ホントに、鈍感だな……」
「そうでなきゃ、ロシアまで……助けに行く訳無いじゃない!!!!!!!」
「ああ……そうだな……」
「バカバカバカバカバカバカバカバカバカ……当麻のバカァ~~~~~~ッ!!!!!!!!!」
「う……」
「大好きッ!! 私は……御坂美琴は、アナタのことが、上条当麻のことが大好きなのッ!!!!!」
「オレも、上条当麻も、御坂美琴のことが大好きだぞ」
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん。やっと言えた。アナタに好きだって、やっと言えたよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお……」
「ありがとう、御坂。オレを助けてくれて、本当にありがとう」

 そう言って、オレは御坂を抱き締めた。
 御坂もオレを抱き締めてくれた。
 この瞬間が、いつまでも続いて欲しい。
 そう思った。

 その時……

「ねえ……、ちょっと……」
「「え?」」
「二人で盛り上がるのはイイんだけど……」
「「あッ!?」」
「それを、私の目の前でやること無いと思うんだけど!!!」
「せ、先輩……」
「く、雲川さん……」
「ホント、酷いわ……アナタ達って……」
「「うッ……」」
「でも……」

 そう言うと、雲川先輩は御坂に近づいて……
 御坂をキュッと抱き締めた。

「御坂さん……ありがとう……」
「えッ!?」
「私なんかの想いを……正面から……受け止めて、くれて……」
「く、雲川さん?」
「ぅ、嬉しかった……。こんなふうに……正面から、受けとめて貰えるなんて……思ってもいなかったけど……」
「あ……」
「ありが…とう…。さ、さすが……常盤台の超電磁砲(レールガン)だね……グスッ……」
「雲川さん……」
「ありがとう……ありがとう……ううッ……うええええええええええええええええええええええん……」
「私こそ、ありがとうございました。……雲川さんに出会ってなかったら、当麻に素直に気持ちを伝えるなんて……到底出来なかったと思うし……」
「えッ!? ……ちょっと待って……。あ、アナタ……もしかして……マスターから……」
「あ……ハイ。……その、聞いちゃいました……。雲川さんのこと……」
「あんのクソオヤジぃぃぃぃいいいいいッ!!!!! 人のコトをベラベラとぉッ……」
「マスター、言ってましたよ。雲川さんは、本当は繊細で、優しいんだって」
「えッ!?(ポンッ!!!////////////////////)」
「えッ!? ……キャアッ、雲川さんって、スッゴいカワイいんだッ!!!」
「えっ? なッ、何言ってるのよッ……み、みっ、御坂さんっ!?」
「分かった。その本性を悟られないようにするために、いつもは飄々とした態度を取ってるんでしょうッ!!!」
「あッ、アナタねぇッ……なッ、何ッ、ひっ、人の心を勝手に読んでるのよッ!? アナタの能力は『電撃使い』でしょ? わっ私の領分にまで入って欲しくないんだけどッ!!!」
「またまたァ~、そんなコト言って、照れ隠ししたって無駄ですよ。本性が見えちゃってますから……アハッ」
「(こっ、この子……何故か分からないけど、この子の考えてることが……さっきから読めないのよね……。それに、私の本性まで……あ、侮れないわ……)」
「ねえ、雲川さん?」
「なッ、何よ……、御坂さん?」
「当麻を渡す訳には行きませんけど……、私たちって、これからも友だちでイイですよねッ!?」
「えッ!? ……うッ……くッ」
「ダメですか?」
「べっ、別に……いいけど……」
「ヤッタァ~!!! 当麻もゲットして、頼れる先輩までゲットしちゃったぁ~ッ!!!!!」
「お、オイ……キャラ、変わってないか……御坂……」
「私は元々こう言うキャラだよッ! お母さん見てたら分かるでしょ!?」
「あッ!!!」
「んフフフフ。今頃気が付いたって、もう遅いわよッ。当麻は私の恋人なんだから!!!」
「えッ!?」
「な、何よォ~。あんなスゴい告白してくれたのに……。昨日だって、あんな状況なのに、『好きだ』って言ってくれたじゃないッ!?」
「そ、その上目遣いは……ハッキリ言って、凶器ですよ……。御坂さん!?」
「美琴って呼んで!!!」
「ヘッ!?」
「美琴って呼んでッ!!!!!」
「う……み、美琴……」
「なあに、当麻?」
「(う……ヤバい、オレ……萌え死ぬかも……)」
「御坂さんって……スゴいわね」
「えっ? 何か言いましたか? 芹亜先輩ッ!?」
「えっ!?」
「だから、何か言いましたか? 芹亜先輩ッ!!!」
「なッ、何よッ!? ……その、芹亜先輩って?」
「雲川芹亜さんだから……、芹亜先輩なんですけど? ダメですか?」
「べっ、別に……イイ……けど(////////////////////)」
「じゃあ、イイですね。芹亜先輩ッ!!!」

 そう言って、美琴のヤツは雲川先輩にギュッと抱きついた。

「ちょっ、ちょっと……御坂さんっ……ったら……。うう、……ああ、もうッ!!!」
「ヘッ!?」
「(私はまだ、あのバカのこと諦めてないからねッ! イイこと、隙あらば……覚悟しとくとイイと思うけど)」
「(言いましたねッ!? 本性丸出しですね。イイですよッ!!! 元々負ける気なんて無いんだからッ!!! アイツは誰にも渡しませんからねッ!!!!!)」

 一体二人で何話してんだ?
 でも、何となく騒がしい毎日が……来そうな予感が……するぞ。

 晴れ渡る空を見上げながら、オレはこれからの新しい生活に思いを馳せた。


ウィキ募集バナー