第6話『ウソとホント』
「そうだ……アイツにストラップ返したんだ……」
とあるホテルの一室、黒子のものと思われる鉄の矢を片手に美琴は立ったまま小さくつぶやいた。
(今王冠はつけてないし……ってことは隣の部屋にいるアイツがストラップを持ってなかったら………)
その上条は偽物ということになる。
美琴の心拍数は跳ね上がった。ストラップを持っているかどうか上条に聞けば1つ不安は消える。
美琴の心拍数は跳ね上がった。ストラップを持っているかどうか上条に聞けば1つ不安は消える。
だが万が一偽物だったら?と、考えると怖くて聞きたくなくなる。
美琴はさっき初めに黒子の鉄の矢を発見したソファに座り込んだ。
美琴はさっき初めに黒子の鉄の矢を発見したソファに座り込んだ。
(どうしよう……聞きたいけど聞きたくない………)
「御坂ー?大丈夫か?」
「ええ!?」
「ええ!?」
ソファに座ってからすぐのことだった。
急に隣の部屋につながるドアが開いたかと思うと問題の上条当麻が顔を見せた。もうちょっと空気を読んでほしい。
驚いた美琴は少し大きめの声を出してしまったが眠っている女子4人は起きていないようだ。
起こすと上条との2人きりの時間が終わってしまうので4人には悪いが起こしたくない。なので美琴は小声で話し始める。
急に隣の部屋につながるドアが開いたかと思うと問題の上条当麻が顔を見せた。もうちょっと空気を読んでほしい。
驚いた美琴は少し大きめの声を出してしまったが眠っている女子4人は起きていないようだ。
起こすと上条との2人きりの時間が終わってしまうので4人には悪いが起こしたくない。なので美琴は小声で話し始める。
「ちょっと急に入ってこないでよ!」
「いや、もう10分も経ったのに全然戻ってこないから心配になって……で、なんでそこに座ってんの?こっち戻ってこいよ。」
「いや、もう10分も経ったのに全然戻ってこないから心配になって……で、なんでそこに座ってんの?こっち戻ってこいよ。」
小声でそう言いながら手招きする上条、だが美琴はためらう。上条と一緒にいたい決まっているが『偽物』という考えが頭をちらつき邪魔をする。
「いや、あの、今はちょっとそっちに行く気分じゃないっていうか……」
「『そっちに行く気分』ってなんだよ。御坂が来てくれないと上条さん寂しくて死んじゃうぞ?」
「な……」
「『そっちに行く気分』ってなんだよ。御坂が来てくれないと上条さん寂しくて死んじゃうぞ?」
「な……」
上条はまたおかしなことを言いだした。こんなこと普段の彼なら絶対言わないだろう。
そのせいで美琴の上条に対する疑惑はさらに大きくなり、ついに不安感は限界を超えた。
そのせいで美琴の上条に対する疑惑はさらに大きくなり、ついに不安感は限界を超えた。
「あのさ……」
「ん?どうした?」
「………………アンタ私がパーティの時に渡したストラップ持ってる?持ってたら……見せて。」
「え?なんで急にそんなこと……」
「いいから早く!!」
「ん?どうした?」
「………………アンタ私がパーティの時に渡したストラップ持ってる?持ってたら……見せて。」
「え?なんで急にそんなこと……」
「いいから早く!!」
美琴は勇気を振り絞った。
人前でキスをする勇気はなくともストラップについて尋ねる勇気を美琴は持っていた。
そして尋ねた後は祈ることしかできない。
人前でキスをする勇気はなくともストラップについて尋ねる勇気を美琴は持っていた。
そして尋ねた後は祈ることしかできない。
(お願い!お願いだから持ってて!!お願い―――――)
涙が出そうになる。まともに上条にの顔など見ることができない。
そんな美琴を前に上条はズボンの右ポケットに手を突っ込んで少し探った後
そんな美琴を前に上条はズボンの右ポケットに手を突っ込んで少し探った後
「ストラップ……ってこれのことだろ?ほら。」
「え……あ…」
「え……あ…」
上条が取り出したのは美琴がプレゼントタイムの時に渡したものと全く同じゲコ太ストラップ。
顔を上げてじっくり見てみたが少しついているキズの位置も同じだ、間違いない。美琴は上条が本物だと確信した。
顔を上げてじっくり見てみたが少しついているキズの位置も同じだ、間違いない。美琴は上条が本物だと確信した。
「……そっか、そうだったんだ……えへへ……」
1つ不安が消滅した美琴からは自然に笑顔がこぼれた。
上条が本物だということはさっき『可愛い』と言われたことも上条本人からの言葉でありなんだか幸せな気分になった。
上条が本物だということはさっき『可愛い』と言われたことも上条本人からの言葉でありなんだか幸せな気分になった。
「?どうしたんだよ急にストラップ見せろって言いだしたり笑顔になったり……」
「ううん、なんでもないわよ?じゃ今度こそほんとにお手洗い行ってくるから待っててね♪」
「ううん、なんでもないわよ?じゃ今度こそほんとにお手洗い行ってくるから待っててね♪」
緊張が解けたせいか美琴は本当にお手洗いに行きたくなった。
「え?じゃあ今まで何してたんだ?」
「気にしない気にしない♪」
「気にしない気にしない♪」
美琴は上条の問いかけにちゃんと答えることなくご機嫌な様子でお手洗いのある通路へと姿を消した。
「おい質問に…………行ったか…?」
美琴がいなくなったのを確認した上条はドアをしっかりと閉め小さくそう言った。
そして間接キスをしたとき美琴と一緒に座っていたソファに再び腰をかけ、右手に持つストラップを見つめる。
そして間接キスをしたとき美琴と一緒に座っていたソファに再び腰をかけ、右手に持つストラップを見つめる。
「ストラップのとこまで思い出したってわけか……よし、順調に思い出してるみたいだな。」
完全防音効果がある壁のせいで静まり返っている部屋で上条の独り言だけが聞こえる。
「にしてもストラップを見せろって言われたってことは少し怪しまれてるのか……?ま、今更作戦の変更はできねぇしこの調子で何事もなく全部思いだしてもらいたいもんだな。」
そう言いながら上条はにやりと笑みを浮かべる―――――
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
美琴「いや~これ美味しいわね。」
美琴が上条にストラップを渡してから15分後、再び自由時間となり美琴は自分の席で料理を食べていた。
美琴達のテーブルに並べられていた料理は会場内の左右に設置されている長方形のテーブルから自分で取ってきたもので、美琴は少し大きめに切られたステーキをフォークで突き刺し口へと運ぶ。
イギリス国の超一流シェフ達が作った料理は美琴達が通うお嬢様学校、常盤台中学の料理をも上回る美味しさだった。
どんどん食が進む美琴を見ていた隣の席の黒子はあきれていた。
美琴達のテーブルに並べられていた料理は会場内の左右に設置されている長方形のテーブルから自分で取ってきたもので、美琴は少し大きめに切られたステーキをフォークで突き刺し口へと運ぶ。
イギリス国の超一流シェフ達が作った料理は美琴達が通うお嬢様学校、常盤台中学の料理をも上回る美味しさだった。
どんどん食が進む美琴を見ていた隣の席の黒子はあきれていた。
黒子「お姉様、お肉ばかりではなくちゃんと野菜も食べないとお体に悪いですわよ?」
美琴「今日くらいいいじゃないの。せっかくのパーティなんだし。あ、これもおいし。」
美琴は黒子の言葉に全く耳を貸さずに別の皿の料理にも手をつけた。
すると同じく料理を食べていた固法が
すると同じく料理を食べていた固法が
固法「でも太ったりすると上条さんに嫌われちゃうわよ?」
固法の言葉が聞こえたのか美琴の手がピタリと停止する。
そしてゆっくりと隣の黒子を見たかと思うと
そしてゆっくりと隣の黒子を見たかと思うと
美琴「………………黒子、ちょっと野菜くれない?取りに行くのめんどうだし。」
黒子「……お姉様それどういうことなんですの?あの殿方に嫌われたくないから野菜を食べるわけなのでしょうか?」
美琴「……………………………ぅん。」
黒子「な……ッ!?」
ものすごく小さな声で一言だけ発したが黒子には聞こえたようだ。美琴の顔はほんのり赤くなっている。
黒子は大きな衝撃を受けたのか手に持っていたフォークを床に落っことしてしまった。
黒子は大きな衝撃を受けたのか手に持っていたフォークを床に落っことしてしまった。
黒子「お姉様本気で言っているのですか!?わたくしがお手洗いに行っている間に何が……!?」
美琴の乙女チックな反応に驚きを隠せない黒子。
そんな黒子を見た泡浮がサラダを食べていた箸を止めて
そんな黒子を見た泡浮がサラダを食べていた箸を止めて
泡浮「そういえばさっき御坂様が舞台から戻って来た時、白井さんはいませんでしたね。」
タイミングが悪いのかどうかはわからないがその時黒子はお手洗いに行っていたのだ。
黒子「それで一体何があったのですの!?早く教えてくださいまし!!」
黒子は美琴に何があったのかものすごく知りたいらしく固法の両肩に手を置き、前後に揺さぶり始めた。
固法「ちょ、ちょっと落ち着いて。簡単なことよ、御坂さんが……」
佐天&初春「「上条さんを好きって認めたんですよ!!」
黒子「ッ!!」
固法を揺さぶっていた黒子が止まった。
みんなの言う通り、悩んだ末美琴はみんなに上条が好きだと打ち明けた。
そのとき上条が普段他人に暴力を奮うなんてことはなくキャーリサが言ったあれはジョークだとみんなに説明していた。
まあ普段女性に対して暴力を奮わないというのは本当だが、キャーリサのことについては上条に悪印象を抱かれないようにするための嘘だ。
そのとき上条が普段他人に暴力を奮うなんてことはなくキャーリサが言ったあれはジョークだとみんなに説明していた。
まあ普段女性に対して暴力を奮わないというのは本当だが、キャーリサのことについては上条に悪印象を抱かれないようにするための嘘だ。
美琴「ちょ、ちょっとみんな……そんな改まって言われると恥ずかしいっていうか……私は別にアイツのことなんて……」
すでにみんなに上条が好きだとカミングアウトしたもののやはり恥ずかしい、美琴は思わず上条を好きだということを否定してしまいそうになった。
だが佐天にそれをうまく利用された。
だが佐天にそれをうまく利用された。
佐天「え?今『私は別にアイツのことなんて大好き』って言いました?」
美琴「うえ!?そんなこと全然言ってないから!!それにそれ今佐天さんが言ったのだと文章的におかしいでしょ!!」
初春「でも佐天さんみたいに言ってないとしても上条さんを大好きってのは事実なんですよね?」
美琴「じ、事実ってそんなこと……」
言葉攻めに遭い顔を真っ赤にする美琴、そしてその隣で魂が抜けたように真っ白になる黒子。
どうやら美琴が上条のことを好きだと決定的にわかり、黒子にはショックが強すぎたようだ。
どうやら美琴が上条のことを好きだと決定的にわかり、黒子にはショックが強すぎたようだ。
泡浮「白井さん大丈夫ですか……?」
たぶん大丈夫ではない。
湾内「それで御坂様、上条様とはどういった方なのですか?本当は暴力を奮うようなお方ではないというのはわかりましたが普段はどのような振舞いをなさっているのですか?」
固法「あ、それと性格とかも教えてほしいわね。そのほうがいいアドバイスできるかもしれないし。」
美琴「え、えーと、ちょっと待って。」
美琴は紅潮していた顔を元に戻そうと軽く深呼吸を行った。
だが上条の性格をいざ説明しようとすると思ったより難しく美琴は少し考えた。
だが上条の性格をいざ説明しようとすると思ったより難しく美琴は少し考えた。
美琴(どんなやつかって言われたら……バカで無鉄砲で私をビリビリとか呼んだりする失礼なやつで…でも困った人がいたら助けなくちゃ気が済まない優しいやつでそんなとこがかっこよくて……って私は一体何を考えてんのー!?)
春上「御坂さんどうしたのー?」
ぶんぶんと首を左右に振る美琴を春上は不思議そうに眺めていた。
初春「う~ん……御坂さんは恥ずかしがって全然話してくれませんしこのままだと何もわからずに終わっちゃいそうですね。」
佐天「上条さんに直接話を聞ければいいんだけどね、そんな都合良くじっくり聞く時間があるわけ……」
土御門「えーそれでは少し予定を変更して只今より上条当麻への質問タイムにしたいと思うんだにゃー!!」
ものすごく都合よく質問タイムがあった。
◇ ◇ ◇
美琴達が作戦会議的なことを行っていた時から少し時間はさかのぼる。
ここは舞台裏、しかしもう上条に話しかけようとする女の子の姿は見えない。
姿が見えるのは主役の上条と力尽きてから復活した土御門の2人だけだ。
ここは舞台裏、しかしもう上条に話しかけようとする女の子の姿は見えない。
姿が見えるのは主役の上条と力尽きてから復活した土御門の2人だけだ。
上条「おい!お前まだ着かないのかよ!とっくに始まってんだぞ!!」
上条は携帯電話を耳に当て少し大きめの声を出す。
その電話の相手はというと
その電話の相手はというと
???『うるさいな。それが北極海からお前を引き上げてやった恩人に対する言葉か?』
上条「それは今関係ねーだろ……とにかく急げってバードウェイ!」
そう、上条の命の恩人、レイヴィニア=バードウェイだ。12歳とは思えない口調で電話の向こうから彼女の声が聞こえてくる。
実はバードウェイは上条を助けたこともあり今日のパーティで紹介される予定で、当然のごとくプログラムにもその時間は組み込まれている。
ただでさせ遅れているのにこれ以上遅れてしまえばプログラムに支障が出てくるのだ。
慌てる様子の上条に対し電話の向こうのバードウェイは落ち着いた声で話す。
ただでさせ遅れているのにこれ以上遅れてしまえばプログラムに支障が出てくるのだ。
慌てる様子の上条に対し電話の向こうのバードウェイは落ち着いた声で話す。
バードウェイ『確か私は舞台上で挨拶をすればいいのだろう?問題ない、後6時間もすれば着く。』
上条「6時間ってお前来る気ねーだろ!!」
バードウェイ『いや行く気はある。お前が“お願いします。どうかわたくしのパーティに来てくださいませ。”って言ったら今すぐ行ってやらんこともない。』
上条「………」
どれだけ上から目線なんだ、と上条はツッコミたくなったが必死に我慢した。そう言って機嫌を損ねられたらさらにめんどくさいことになる。
土御門「おい上やん、そろそろバードウェイは来るのか?早くしないと時間がヤバいぜよ。」
上条「……いや…まだまだ来そうにない。しゃーない、言うか……」
しかしこれ以上時間を遅らせるわけにはいかない。
仕方がないので上条がバードウェイトの言うことに従って例のセリフを言おうと覚悟を決めた時だった。
仕方がないので上条がバードウェイトの言うことに従って例のセリフを言おうと覚悟を決めた時だった。
土御門「そうかー……ならしょうがないにゃー。」
上条「え?」
土御門は上条の手から携帯を奪い取り、バードウェイト相手に話を始める。
止める間もなかった。
止める間もなかった。
土御門「もしもしレイヴィニア=バードウェイトさんかにゃー?」
バードウェイト『ん?そうだが……』
土御門「来れないなら無理して来なくてもいいにゃー。今、面白い企画を思いついたんですたい。それじゃ!!」
バードウェイト『な!?待て!行かないとは言ってな』
そこで電話はブツリと途切れた。
土御門が容赦なく電話を切ったのだ。そしてその携帯を上条に放り投げる。
土御門が容赦なく電話を切ったのだ。そしてその携帯を上条に放り投げる。
土御門「よーし、これで万事解決だ。」
上条「おい……どこらへんが万事解決だ!絶対怒ってるぞアイツ。」
土御門「気にすんな!どうせキレられるのは上やんぜよ!!そんなことよりもっと面白いこと考えたんだにゃー。上やん、有無を言わず協力しろ。」
上条「……不幸だ…」
上条は何か言い換えそうかと思ったがそんな元気も出ず、携帯片手にうなだれるしかなかった。
◇ ◇ ◇
そんなわけで急遽上条への質問タイムが決定。
質問タイムと聞いてから会場内の皆のテンションは上がりっ放しでそれは当然美琴達も同じこと。
質問タイムと聞いてから会場内の皆のテンションは上がりっ放しでそれは当然美琴達も同じこと。
初春「さてなんて質問しましょうかねー!“御坂さんのことどう思ってますか?”とか御坂さんのこと……」
美琴「ちょ、ちょっと!質問するにしても個人名出すのは勘弁してくんない!?」
婚后「でもこれで上条様がどのようなお人なのかがはっきりしますわね。低俗なお方でないといいのですが。」
佐天「何言ってるんですか!御坂さんが惚れるような人なんだからそんなことありえるわけありませんよ!!」
美琴「惚れたって…あぅ……」
固法「あ、ほら上条さん出て来たわよ。」
美琴が友人sの言うことに対して慌てたり顔を真っ赤にしたりあうあうしている間にすべて準備から調ったようで、舞台袖から王冠を冠ったままの上条がなんとも言えない表情で姿を現した。
今にも『不幸だー』とか言いそうな雰囲気だ。まあ実際舞台裏では言っていたのだが。
今にも『不幸だー』とか言いそうな雰囲気だ。まあ実際舞台裏では言っていたのだが。
ちなみに何百万もする王冠をまだ冠っているのは、キャーリサから
『今日1日ずっと頭に乗せておけ。とったら私を殴った罪を明るみに出して国際指名手配犯にするの。』
と、脅されたからだ。理不尽極まりない。
『今日1日ずっと頭に乗せておけ。とったら私を殴った罪を明るみに出して国際指名手配犯にするの。』
と、脅されたからだ。理不尽極まりない。
上条はパーティ開始の時とギクシャクはしてないものの、重そうな足取りで舞台中央までやってくると一つため息をついた。
後で絶対バードウェイトにキレられると思ってテンションが低いのだが、それは上条と土御門しか知らない。
後で絶対バードウェイトにキレられると思ってテンションが低いのだが、それは上条と土御門しか知らない。
上条「はぁ……まあなぜか急に質問タイムとかになりましたが俺もできる限り答えたいと思います。えーとそれじゃあ……どうすんの土御門?」
上条に呼ばれ、先ほどからずっと舞台上の端で待機していた土御門が中央にやって来た。テンションが高そうだ。
土御門「それでは準備が整ったみたいなので……早速始めたいと思うぜよ!!」
気合いの入ったような始まりの挨拶と同時にパチパチと少し拍手が起こり質問タイムが始まった。
ちなみにこの質問タイムは全員参加ではないので、興味のない人は今までと変わらずにそこらへんを歩き回ったり食事をしたりしている。
ちなみにこの質問タイムは全員参加ではないので、興味のない人は今までと変わらずにそこらへんを歩き回ったり食事をしたりしている。
だが美琴達はもちろん質問に参加する派、特に佐天、初春は質問する気満々だ。
そして質問の仕方は簡単。
土御門が合図した後に各自テーブルの上に設置されている自分の目の前にあるスイッチを押し、最も早い人が上条への質問権を得られる仕組みだ。しかし場合によっては複数の人が一度に質問できる場合もあるらしい。
さらにそのスイッチを押すことにより舞台前の巨大スピーカーと音声がつながり、会場全体に自分の声が聞こえるようにもなるというわけだ。
土御門が合図した後に各自テーブルの上に設置されている自分の目の前にあるスイッチを押し、最も早い人が上条への質問権を得られる仕組みだ。しかし場合によっては複数の人が一度に質問できる場合もあるらしい。
さらにそのスイッチを押すことにより舞台前の巨大スピーカーと音声がつながり、会場全体に自分の声が聞こえるようにもなるというわけだ。
もっと簡単に説明するとカラオケみたいなマイクはないけどボタンを押せばそれだけで会場全体に押した人の声が聞こえるようになりますよ、というわけなんです。
科学の発達は偉大だ。
科学の発達は偉大だ。
佐天「さあ御坂さん早速質問しましょう!まずは『御坂さんのこと好きですか?』ってあたしが……」
佐天が自分の前のマイクのスイッチを押そうと手を近づけたその瞬間、目にも止まらぬ早さで美琴が佐天の手を掴んだ。
そしてゆっくり顔を佐天の方に向けギロリと睨みつけ、額からはかなり少量だが紫電がほとばしった。
そしてゆっくり顔を佐天の方に向けギロリと睨みつけ、額からはかなり少量だが紫電がほとばしった。
美琴「ストップ佐天さん……それはアウトよ…」
佐天「………はい……」
まさに蛇に睨まれたカエル、佐天はものすごい勢いでおとなしくなった。
そんな2人の様子を見ていたのか初春とあの婚后でさえスイッチから手をひいた。
そんな2人の様子を見ていたのか初春とあの婚后でさえスイッチから手をひいた。
???「はーい!じゃあまずボクから質問したいと思いまーす!!」
と、美琴たちがいろいろ揉めたり?しているうちに前のスピーカーから声がした。
誰かが質問スイッチを押したようだ。
誰かが質問スイッチを押したようだ。
土御門「はい!まずは……青ピか…」
明らかに土御門のテンションが下がった。
土御門としてはいつも学校で一緒にいる青ピよりももっと他の珍しい人に質問してほしかったらしい。
青ピはそんな土御門の反応が不服だったようだ。
土御門としてはいつも学校で一緒にいる青ピよりももっと他の珍しい人に質問してほしかったらしい。
青ピはそんな土御門の反応が不服だったようだ。
青ピ「ちょっとツッチーなんかテンション下がってへん!?それより上やん!ズバリ質問させてもらうで!!」
上条「なんだ?まあお前のことだからろくなこと聞かねーとは思うけどな。」
青ピ「いやいや~ボクをなめてもらったら困るで~!今からする質問は間違いなく全世界中の人が知りたがっとることやからな!!」
上条「はいはい……それで?聞きたいことあるなら早く聞けよ。」
青ピ「そうやな!ボクもすっごい知りたいことやしね、それじゃあ……」
そうやなとか言っておきながらひと呼吸入れる青ピ、長々と引っ張るのに嫌気がさしたのか上条も土御門も少しめんどくさそうな反応を見せている。
だが美琴達は青髪ピアスの質問内容が結構気になっていた。
固法「全世界中の人が知りたがってることって何かしらね。あの青髪の人上条さんのクラスメイトらしいから本当にすごい質問だったりして。」
初春「えーと例えば……『お前の正体は知っている。だからこの場で全て白状するんだ!』とかですか?」
佐天「初春……それ全然質問になってないし。ていうか正体って何よ。」
初春「いやー上条さんって結構ミステリアスだからつい…ですね。」
こんな感じで興味津々の友人s、もちろん美琴も普段は知らない上条についていろいろと知ることができそうなので少しドキドキしながら待っていた。
そして美琴の友人sがこれだけ会話できるくらいたっぷり間を空けてから青ピは上条に向かって一言
そして美琴の友人sがこれだけ会話できるくらいたっぷり間を空けてから青ピは上条に向かって一言
青ピ「上やんって彼女おんの?」
美琴「ッ!!?」
会場内の女子陣が一瞬にして静かになった。興味のない男性陣及び一部の女子ははしゃべり続けていたが謎の空気に呑まれたのか徐々に静かになっていった。
雰囲気が変わったせいか質問された上条は上条で舞台上でおろおろしていた。
雰囲気が変わったせいか質問された上条は上条で舞台上でおろおろしていた。
美琴達もしばらく黙っていたが佐天が沈黙を破った。
佐天「まさかの一発目からこんな素敵な質問がくるとは…上条さんのクラスメイトさん空気読めてますよね御坂さん!!……ってあれ?」
元気よく話しかけたのはよかったが、話しかけられた美琴はまったくの無反応だった。
というかイスに座って舞台の方を向いたまま硬直している。
というかイスに座って舞台の方を向いたまま硬直している。
黒子「お姉様……?全然反応がありませんわね。」
黒子が美琴の右肩を掴んで軽く揺らしてみたが依然として動かない。
すると固法が仮説を建てた。
すると固法が仮説を建てた。
固法「……もしかして上条さんに彼女がいるかもと思って緊張しちゃってるとか?」
初春「ええー、御坂さんに限ってそれはないんじゃないですか?」
固法の仮説を聞いた初春だが、普段の美琴とギャップを感じ信じられなかった。
で、実際はというとこんなかんじだ。
で、実際はというとこんなかんじだ。
美琴(か、か、か、彼女!?アイツまさか彼女いるの!?い、いや鈍感なあのバカに彼女がいるわけ……でもアイツは世界中を飛び回ってるわけでどこかで出会いがあったりとかしちゃって……)
まさに固法の言う通り。上条に彼女がいるのかどうかが気になって周りの声なんて全く聞こえていなかった。
そして静まり返っていた会場内も友人sのように話し出し、だんだん騒がしくなってきた。
すると騒がしくなってきたことで少し落ち着いたのか上条はまた1つため息をついた。
そして静まり返っていた会場内も友人sのように話し出し、だんだん騒がしくなってきた。
すると騒がしくなってきたことで少し落ち着いたのか上条はまた1つため息をついた。
上条「はぁ…やっぱりろくでもない質問だったな。よし……土御門、次の質問いこうぜ。」
上条は隣の土御門に方を向いて軽く笑いかけた。
だが土御門はそんなテンションじゃなかった。
だが土御門はそんなテンションじゃなかった。
土御門「上やん……言え。」
上条「は?お前何言って……」
土御門「いいから言え!!正直俺も気になる!!」
土御門はマジだった。サングラスがギラリと光る。
上条はそんな土御門に少し驚いたようだった。
上条はそんな土御門に少し驚いたようだった。
上条「なんでそんなマジになってんだ……まあ別に言ってもいいけどさ。彼女なんていないし。」
美琴「ッ!!」
上条はさらっと『彼女なんていない』と言ったが美琴は思いっきり反応し、足がテーブルにぶつかった。そのせいでテーブル上のコップがひっくり返りかけた。
こういった反応は会場内の至る所で見かけられた。
こういった反応は会場内の至る所で見かけられた。
美琴(いたた……そっか……アイツ彼女いないんだ…よかった……)
足に少し痛みはあったがすぐにそんなことは気にならなくなった。改めてはっきりと上条に彼女がいないとわかり安堵の表情を見せる。
だが安心したのもつかの間、すぐに次の質問が上条にとんだ。
だが安心したのもつかの間、すぐに次の質問が上条にとんだ。
五和「じゃ、じゃあ好きな人はいましゅか!?」
青ピに続いたのは本日上条に対し1番積極的な五和。
だが焦ったせいか噛んで『す』が『しゅ』になってしまい言い終わった後に顔が真っ赤になっている。
だが焦ったせいか噛んで『す』が『しゅ』になってしまい言い終わった後に顔が真っ赤になっている。
笑いが起こる会場、だが美琴は笑ってなどいられず再び硬直した。
で、上条はというと全く悩むそぶりもなく答えを出す。
で、上条はというと全く悩むそぶりもなく答えを出す。
上条「好きな人ねぇ……いないかな…?ていうか2連続で上条さんには全く縁のない恋愛系の質問ですか。って、痛っ!おいお前ら物を投げんな!!」
天然フラグ体質だというのに恋愛に縁がないなどとほざく上条、そんな彼には舞台下から何か物が投げつけられていた。地味に痛そうだ。
上条はそんなかんじで大変そうだが美琴は美琴で大変だった。
上条はそんなかんじで大変そうだが美琴は美琴で大変だった。
美琴(彼女はいなくて好きな人もいない、か。『好きな人がいない』ってのは喜んでいいのかどうか微妙なところね……)
と、美琴が考えるのは『好きな人がいない』ということはまだ上条と付き合える可能性は十分あるが、現時点で上条は美琴のことをなんの意識もしていないということになるからだ。
これから先どうすれば上条に一人の女の子として意識してもらえるだろうか、美琴は複雑そうな顔をした後、顔を伏せ一人悩んでいた。
これから先どうすれば上条に一人の女の子として意識してもらえるだろうか、美琴は複雑そうな顔をした後、顔を伏せ一人悩んでいた。
そんな美琴の様子を見た友人sは密かに話し始める。
まあ密かにといってもテーブルは丸いので美琴からは丸見えなのだが、顔を伏せて悩んでる美琴は奇跡的に気づいていなかった。
まあ密かにといってもテーブルは丸いので美琴からは丸見えなのだが、顔を伏せて悩んでる美琴は奇跡的に気づいていなかった。
佐天「こんな御坂さん今まで見たことないよね。それだけ上条さんのこと好きなんだろうねー。」
初春「ですよね!にしてもどうやって協力しましょうか……私たちは直接上条さんと知り合いではないですから結構難しいですよね。」
婚后「それなら良い考えがありますわ。恋愛経験が豊富なわたくしが御坂さんに直接アドバイスを……」
固法「まあそれでもいいけど……婚后さん本当に恋愛経験豊富なの?」
婚后「ッ!!」
ピクッと婚后の体が動き、表情が硬くなった。
それを隣で見た湾内は大慌て、とっさに黒子のほうを向き
それを隣で見た湾内は大慌て、とっさに黒子のほうを向き
湾内「あ、あの、白井さんももちろん協力しますよね?」
黒子「え?」
湾内がこのタイミングで黒子に質問したことは、固法が微妙に空気を読めないことを言いやばい雰囲気になりそうだったのを防ぐナイスな判断だった。
しかし美琴と上条がくっつくことに元から反対の黒子は当然協力する気などない。
しかし美琴と上条がくっつくことに元から反対の黒子は当然協力する気などない。
黒子「いやわたくしはお姉様と上条さんのことを応援する気は……」
佐天「当然しますよね!!なんたって御坂さんと白井さんは親友ですしもんね!!」
黒子「え、いや、確かにわたくしとお姉様の仲は良いですがそれとこれとは別…」
佐天の攻撃、佐天が言うことに黒子はすぐさま言い返そうとしたが
初春「いくらなんでも御坂さんと上条さんをくっつけようとしてる私たちを妨害したりしないですよね?」
黒子「う……」
続いて初春の攻撃、黒子は黙るしかなった。
固法「初春さん何言ってるのよ。白井さんがそんなことするわけないでしょ?むしろ喜んで協力してくれるわよね?」
黒子「………はい…もちろんですわ…」
『風紀委員(ジャッジメント)』の先輩である固法がとどめの一言、こうして黒子も半分強制的に協力することになった……はずだ。
それにしてもこんなので本当にうまく協力できるのか心配になる。
とりあえず友人sは作戦を立てつつ、役に立つかもしれないので他の人の上条への質問を聞くことにした。
それにしてもこんなので本当にうまく協力できるのか心配になる。
とりあえず友人sは作戦を立てつつ、役に立つかもしれないので他の人の上条への質問を聞くことにした。
レッサー「とりあえず質問しますけどどんなコスプレが好みですか?」
友人s(絶対役に立たないと思うんだけど……)