4日目 上条編
日曜日の朝6時である。
一般的な学生なら二度寝する時間帯だが、上条はコタツに入りながら宿題をしている。
本来なら昨日からやっていたはずなのだが、いろいろあってそれどころではなかった。
ていうか、今も頭に中はそれどころではないのだが、さすがに真っ白な宿題を提出するわけにはいかない。
小萌先生に泣かれてしまう。
そんなわけで宿題をやろうとする意志はあるのだが、やはり昨日の事を思い出してなかなか作業がはかどらない。
一般的な学生なら二度寝する時間帯だが、上条はコタツに入りながら宿題をしている。
本来なら昨日からやっていたはずなのだが、いろいろあってそれどころではなかった。
ていうか、今も頭に中はそれどころではないのだが、さすがに真っ白な宿題を提出するわけにはいかない。
小萌先生に泣かれてしまう。
そんなわけで宿題をやろうとする意志はあるのだが、やはり昨日の事を思い出してなかなか作業がはかどらない。
(美琴だって女の子だし…やっぱりアレはマズかったよな~……)
溜息をつき、コーヒーでも飲もうかとコタツから出たとき、眠り姫が目を覚ました。
「とうま、お腹すいたかも。」
彼女の朝の挨拶は「おはよう」ではない。「お腹すいた」である。
今日は朝飯を作るのが面倒だったので、おかずはごはんですよだけだ。ビンの蓋を開ければそれでいい。
だがご飯のほうは炊けるまであと10分はかかる。
今日は朝飯を作るのが面倒だったので、おかずはごはんですよだけだ。ビンの蓋を開ければそれでいい。
だがご飯のほうは炊けるまであと10分はかかる。
「とうま、ご飯はまだなのかな?」
「あー…悟飯はアレだ。ピッコロさんと修行中でまだ時間がかかる。」
「もう!早くしないとサイヤ人が攻めて来ちゃうんだよ!?」
「あー…悟飯はアレだ。ピッコロさんと修行中でまだ時間がかかる。」
「もう!早くしないとサイヤ人が攻めて来ちゃうんだよ!?」
中身の無い会話をしつつ、インスタントコーヒーを濃い目で淹れる上条。彼曰く、ゴドーブレンドの完成だそうだ。
インデックスはコタツの上にばら撒かれたプリントや問題集に目を向ける。
インデックスはコタツの上にばら撒かれたプリントや問題集に目を向ける。
「と、とうまがお勉強してる! これは悪い事がおきる前触れかも!!
きっとこれから核戦争が起きて文明が滅んで、世紀末覇者が支配する荒廃した世界になっちゃうんだよ!!」
「失礼なヤツだな君は……」
「でもしゅくだいは昨日やるってとうま言ってたよね。」
きっとこれから核戦争が起きて文明が滅んで、世紀末覇者が支配する荒廃した世界になっちゃうんだよ!!」
「失礼なヤツだな君は……」
「でもしゅくだいは昨日やるってとうま言ってたよね。」
さすがは完全記憶能力者。余計な事まで覚えていやがる。
だが言えない。「実は美琴と遊んでて宿題に手がつきませんでした~」などとは言えない。
そんな事言ったら頭をガブガブを噛み砕かれる。万事屋さんとこの定春くんだって最近はあまり噛まなくなったというのに。
だが言えない。「実は美琴と遊んでて宿題に手がつきませんでした~」などとは言えない。
そんな事言ったら頭をガブガブを噛み砕かれる。万事屋さんとこの定春くんだって最近はあまり噛まなくなったというのに。
「そ、そういえば昨日は風斬とどこ行ってたんだ!?」
上条は強引に話題を変えた。
「あのね!あのね!昨日はひょうかとね!ふれんどぱーくって所に行ったんだよ!
なんかね!すごくね!色んな機械がいっぱいあってね!ぷりくらもね!いっぱい撮ったんだよ!」
なんかね!すごくね!色んな機械がいっぱいあってね!ぷりくらもね!いっぱい撮ったんだよ!」
よほど楽しかったのだろう。興奮しすぎて喋り方が子供っぽくなっている。 かわいいなこの子。
「へー。お前達もあそこにいたのか。」
「……お前達も? 『も』ってどういうことなのかな……」
「……お前達も? 『も』ってどういうことなのかな……」
ヤバイ!と思ったときには後の祭りであった。
インデックスの歯がギラリと光る。
インデックスの歯がギラリと光る。
「もしかしてとうまもあそこにいたのかな……?
でもしゅくだいを放り出してまでとうま一人で行くとは考えにくいんだよ……
誰かと一緒だったのかな……? ひょっとして女の子なのかな……?」
でもしゅくだいを放り出してまでとうま一人で行くとは考えにくいんだよ……
誰かと一緒だったのかな……? ひょっとして女の子なのかな……?」
コロンボや古畑のようにネチネチと攻めてくるインデックス。 上条はあからさまに目を泳がせる。
「い! いやいや!! 上条さんにはナンノコトヤラワカリマセンガ!?」
「とうま……正直に言えば許してあげるんだよ?」
「…本当に? マジで? 神に誓って噛み付かない?」
「私は敬虔な十字教徒なんだよ? さすがに神に誓ったら嘘はつけないかも。」
「そ…そっか……あー、まぁなんつーか…昨日は美琴と一緒にあそこに行ってたんだ。」
「へー。どおりで気前よく五千円もくれると思ったんだよ。 短髪と遊ぶためには私は邪魔だったわけなんだね。
しかも何気に『みこと』って呼び捨てにしてるし……ホントヨカッタネーとうまー。」
「ア、アレ? ちょっと待てインデックス! どうして口を大きく開けているのでせうか!?」
「それはね、今からとうまに噛み付くためなんだよ?」
「おかしいおかしい!! 神に誓って許してくれるんじゃなかったのか!!?」
「うん。 でもそれはとうまが嘘をついたことに対して許しただけであって、
黙って短髪と遊びに行ったことは許してないんだよ?」
「なんだよそれ!! 屁理屈じゃねぇか!!」
「と~う~ま~~!!」
「ギャー!! 不幸だーーー!!!」
「とうま……正直に言えば許してあげるんだよ?」
「…本当に? マジで? 神に誓って噛み付かない?」
「私は敬虔な十字教徒なんだよ? さすがに神に誓ったら嘘はつけないかも。」
「そ…そっか……あー、まぁなんつーか…昨日は美琴と一緒にあそこに行ってたんだ。」
「へー。どおりで気前よく五千円もくれると思ったんだよ。 短髪と遊ぶためには私は邪魔だったわけなんだね。
しかも何気に『みこと』って呼び捨てにしてるし……ホントヨカッタネーとうまー。」
「ア、アレ? ちょっと待てインデックス! どうして口を大きく開けているのでせうか!?」
「それはね、今からとうまに噛み付くためなんだよ?」
「おかしいおかしい!! 神に誓って許してくれるんじゃなかったのか!!?」
「うん。 でもそれはとうまが嘘をついたことに対して許しただけであって、
黙って短髪と遊びに行ったことは許してないんだよ?」
「なんだよそれ!! 屁理屈じゃねぇか!!」
「と~う~ま~~!!」
「ギャー!! 不幸だーーー!!!」
朝っぱらから騒がしい二人である。ご飯もう炊けてるよ?
「とうまのバカ!」と言い残し、インデックスは出て行った。
ちなみに、朝ごはんはしっかり食べていった。おかわりも3回した。ごはんですよの力は偉大である。
一瞬、追いかけたほうが良いのかとは思ったが、どうせ行く宛など小萌先生の所しかないので、放っておくことにした。
それより問題は宿題である。
あまりにもはかどらないため、上条は助っ人を呼ぶことにした。
「こんなときドラえもんでもいたらなぁ~」と思うのは日本人なら仕方ないだろう。
真っ先に思い浮かんだのは御坂だ。
彼女はこういうときなぜかよく勉強を見てくれる。
そしてなぜかよく目が合う。ついでになぜかよく顔が真っ赤になる。
ちなみにインデックスのことを話すとなぜか途端に不機嫌になる。
まぁそんなわけでいつものように御坂を呼びたい所だが、昨日の今日でそれは無理だろう。
次に思い浮かんだのは土御門と青髪である。
だが即座に頭から消した。アイツ達から学ぶことなど何も無い。
と、そこで土御門でふと思い出した。
ヤツも例の現場を目撃したはずだ。
それにしてはお隣が静かすぎやしないだろうか……?
不気味である。しかし確認しに行けば、自らからかわれに行くようなものだ。
ここはそっとしておくことにした。
これが嵐の前の静けさだと分かるのは後のことだ。
しかしそうなると助っ人は誰を呼ぼうか。やはり姫神あたりだろうか、とケータイをいじる。
なんとなくフォルダ内のア行から見ていく上条。
すると真っ先に出てきた名前は「一方通行」だった。
ちなみに、朝ごはんはしっかり食べていった。おかわりも3回した。ごはんですよの力は偉大である。
一瞬、追いかけたほうが良いのかとは思ったが、どうせ行く宛など小萌先生の所しかないので、放っておくことにした。
それより問題は宿題である。
あまりにもはかどらないため、上条は助っ人を呼ぶことにした。
「こんなときドラえもんでもいたらなぁ~」と思うのは日本人なら仕方ないだろう。
真っ先に思い浮かんだのは御坂だ。
彼女はこういうときなぜかよく勉強を見てくれる。
そしてなぜかよく目が合う。ついでになぜかよく顔が真っ赤になる。
ちなみにインデックスのことを話すとなぜか途端に不機嫌になる。
まぁそんなわけでいつものように御坂を呼びたい所だが、昨日の今日でそれは無理だろう。
次に思い浮かんだのは土御門と青髪である。
だが即座に頭から消した。アイツ達から学ぶことなど何も無い。
と、そこで土御門でふと思い出した。
ヤツも例の現場を目撃したはずだ。
それにしてはお隣が静かすぎやしないだろうか……?
不気味である。しかし確認しに行けば、自らからかわれに行くようなものだ。
ここはそっとしておくことにした。
これが嵐の前の静けさだと分かるのは後のことだ。
しかしそうなると助っ人は誰を呼ぼうか。やはり姫神あたりだろうか、とケータイをいじる。
なんとなくフォルダ内のア行から見ていく上条。
すると真っ先に出てきた名前は「一方通行」だった。
(いやいや、アイツはないだろう…たしかに頭はいいだろうけど、こんなくだらないことで呼び出したら、
つぶれたトマトのでき上がり!ほひ~ほひ~ってなっちまう。
上条さんは愉快なオブジェにはされたくありませんのことよ!)
つぶれたトマトのでき上がり!ほひ~ほひ~ってなっちまう。
上条さんは愉快なオブジェにはされたくありませんのことよ!)
そう思い下へスクロールしようとした瞬間、昨日の一方通行の言葉を思い出した。
(そういえば何かあったらいつでも言えって言ってたな…イチかバチかけてみるか……?)
生きるか死ぬかの問題を、イチかバチかのギャンブルで決めるなよ。賭博黙示録じゃないんだから。
結局、一方通行にかけてみた。ざわ…ざわ…
だが3回コールした後に出てきたのは、
結局、一方通行にかけてみた。ざわ…ざわ…
だが3回コールした後に出てきたのは、
『ハイハ~イ! こちらスネーク、応答願いま~す! キャハ!!』
明らかに一方通行ではなかった。
「あ、あれ? えっと…誰? これ一方通行のケータイで合ってるよな!?」
『ミサカはミサカだよ? 第一位なら今現在、見た目10歳くらいの幼女とソープでローションプレイ中で~す!』
『ミサカはミサカだよ? 第一位なら今現在、見た目10歳くらいの幼女とソープでローションプレイ中で~す!』
要約すると、打ち止めと一緒にお風呂に入って体を洗ってあげている、ということらしい。
チッ! 期待させやがって。
チッ! 期待させやがって。
「あー…それじゃあ、風呂から出たら伝言頼めるか?」
『いいよ。……ていうかお宅はどちら様? 「ヒーロー」って名前なの?』
『いいよ。……ていうかお宅はどちら様? 「ヒーロー」って名前なの?』
どうやら一方通行のケータイでは、上条は「ヒーロー」という名前で登録されているらしい。
なんて恥ずかしいヤツなんだ。
なんて恥ずかしいヤツなんだ。
「いや…違うけど… そういうアナタはアレですか?美琴がスーパーキノコ食ったバージョンの…えーと…
そういえばお互い自己紹介がまだだったな。俺は上条当麻。アンタは?」
『あ…えと…ミサカは番外個体……』
そういえばお互い自己紹介がまだだったな。俺は上条当麻。アンタは?」
『あ…えと…ミサカは番外個体……』
この電話の声の主、番外個体は上条当麻が苦手である。
ミサカネットワーク内の悪意の塊である番外個体にとって、負の感情を和らげてしまう上条はまさに天敵なのだ。
そんなことをしたら彼女の存在価値が失われてしまう。球磨川だって改心したのだから。
ミサカネットワーク内の悪意の塊である番外個体にとって、負の感情を和らげてしまう上条はまさに天敵なのだ。
そんなことをしたら彼女の存在価値が失われてしまう。球磨川だって改心したのだから。
『あの…ご用件はなんでしょうか……』
さっきまでの変なテンションはどこへやら。番外個体は急におとなしくなる。
「ちょっと勉強教えてもらおうと思ってな。昨日会ったとき、『困ったときは力になる』的なこといってたからさ。」
『昨日って……ゲーセンみたいなところ?』
「ああ、そうだけど…なんだお前もいたのか。 俺は美琴と一緒に遊んでたんだけどな。」
『美琴ってお姉様!!?』
『昨日って……ゲーセンみたいなところ?』
「ああ、そうだけど…なんだお前もいたのか。 俺は美琴と一緒に遊んでたんだけどな。」
『美琴ってお姉様!!?』
番外個体はまだ御坂本人に会ったことはない。
だが、やはり産みの親(?)であるお姉様には少なからず興味があるようだ。
いや、それだけではない。この男についても、ミサカネットワークを通じて、ある程度の情報が入ってきている。
だが、やはり産みの親(?)であるお姉様には少なからず興味があるようだ。
いや、それだけではない。この男についても、ミサカネットワークを通じて、ある程度の情報が入ってきている。
(コイツとお姉様が遊びに行った!?
そんなの絶対、面白い【ろくでもない】ことになったに決まってるじゃない!!)
そんなの絶対、面白い【ろくでもない】ことになったに決まってるじゃない!!)
にたぁ~っと歪んだ笑みを浮かべる番外個体。藤田和日郎作品の悪役みたいな笑い方だ。
厄介な人物、四人目の誕生である。
厄介な人物、四人目の誕生である。
『ねぇ! 勉強ならミサカが見てあげよっか!?』
「え……そりゃ嬉しいけど、いいのか?」
『平気平気! ミサカだって、学習装置で脳内にあらゆる情報ムリヤリぶっ込んでんだから!!
高校の勉強くらい、食ったものをケツから出すくらい普通にできるって!!』
「本当か? 因数分解とかできるか?」
『全然余裕っち! ミサカその気になれば、2桁の掛け算から人体練成の構築式まで暗算できるから!!』
「すごいのかすごくないのかよく分かんねぇよ! けど人体練成はやめとけ! 身体、持ってかれるぞ!!」
『じゃー今から行くね。一回行ったことあるから道案内もいらないし、それじゃ!』
「え……そりゃ嬉しいけど、いいのか?」
『平気平気! ミサカだって、学習装置で脳内にあらゆる情報ムリヤリぶっ込んでんだから!!
高校の勉強くらい、食ったものをケツから出すくらい普通にできるって!!』
「本当か? 因数分解とかできるか?」
『全然余裕っち! ミサカその気になれば、2桁の掛け算から人体練成の構築式まで暗算できるから!!』
「すごいのかすごくないのかよく分かんねぇよ! けど人体練成はやめとけ! 身体、持ってかれるぞ!!」
『じゃー今から行くね。一回行ったことあるから道案内もいらないし、それじゃ!』
そう言って番外固体は通話を切った。
十数分後、番外個体が寮の前で見たものは、
コンビニのビニール袋を片手に、頭にシャケの切り身を乗せた上条の姿であった。
十数分後、番外個体が寮の前で見たものは、
コンビニのビニール袋を片手に、頭にシャケの切り身を乗せた上条の姿であった。
「えっと…これはミサカがツッコむところ?」
「いや…ははは……」
「いや…ははは……」
実はあの後上条は、
(さすがに宿題手伝ってもらうんだから、茶菓子のひとつくらいは出さなきゃだよな……)
と、思ったのだが、この家には食料を蓄えるという習慣が無い(正確に言えば人型星のカービィ【しろいあくま】が根こそぎ食べる)ため、
コンビニへ行ったのだ。
まぁそのコンビニの店員さんに、新しくフラグを建てたことは割愛しよう。本人も気付いてないし。
その帰り道、降ってきたのだ。シャケが。
シャケが好きな第四位でもこのシチュエーションは喜ばないだろう。
ちなみに、こけしや赤べこが降ってきたこともある。 不幸な彼にとってこのくらい日常である。
コンビニへ行ったのだ。
まぁそのコンビニの店員さんに、新しくフラグを建てたことは割愛しよう。本人も気付いてないし。
その帰り道、降ってきたのだ。シャケが。
シャケが好きな第四位でもこのシチュエーションは喜ばないだろう。
ちなみに、こけしや赤べこが降ってきたこともある。 不幸な彼にとってこのくらい日常である。
「まぁ入ってくれよ。散らかってっけど。」
「ねぇ、そのシャケ食べるの?」
「ねぇ、そのシャケ食べるの?」
食ってたまるか。
部屋に上がり、上条の買ってきたポッキーをポリポリつまみながら宿題を手伝う番外個体。
「……なんか意外だな。」
「何が?」
「なんつーか、電話した感じだともっとふざけてくるのかと思ったけど、マジメに教えてくれるからさ。」
「なにそれ!? 心外なんだけど!! ミサカこれでも約束は守るほうだよ!? 約束ハ大事ヨネ。」
「何が?」
「なんつーか、電話した感じだともっとふざけてくるのかと思ったけど、マジメに教えてくれるからさ。」
「なにそれ!? 心外なんだけど!! ミサカこれでも約束は守るほうだよ!? 約束ハ大事ヨネ。」
流石でございますドロッセルお嬢様。
「気を悪くしたならすまん。すごく助かるって言いたかっただけなんだ。 ありがとうな。」
そう言ってニコッと笑う上条。その笑顔に番外個体は少しドキッとする。
だが直後に首をブンブン振った。
だが直後に首をブンブン振った。
「ミ、ミサカはその手には乗らないから!!」
上条は例のごとく、なんのこっちゃ分からない。
(あぶないあぶない……危うくコイツの魔の手に引っかかるところだった。
そもそも恋愛感情なんて、ただのドーパミンの過剰分泌だってのに……いや、恋愛感情じゃないけどさ。)
そもそも恋愛感情なんて、ただのドーパミンの過剰分泌だってのに……いや、恋愛感情じゃないけどさ。)
このまま上条に主導権を握られてはいろんな意味でマズイと判断し、
番外個体はここに来た本当の目的をとっとと切り出した。
番外個体はここに来た本当の目的をとっとと切り出した。
「そういえば、昨日はお姉様とデートしたんでしょ?」
「デートじゃねぇよ。二人で一緒に遊んだだけだって。」
「……いや、男女二人で遊びに行けば、それはもう立派なデートだよ。」
「え!? そういうもんなの!!?」
「デートじゃねぇよ。二人で一緒に遊んだだけだって。」
「……いや、男女二人で遊びに行けば、それはもう立派なデートだよ。」
「え!? そういうもんなの!!?」
目からウロコとはこのことだ。
へえ~とか、ガッテン!とか鳴るボタンがあったら押しまくっていただろう。
本当にコイツはデートって何だと思ってたんだ?
へえ~とか、ガッテン!とか鳴るボタンがあったら押しまくっていただろう。
本当にコイツはデートって何だと思ってたんだ?
(落ち着け!落ち着くんだ上条当麻!!
ということはだ、以前インデックスや風斬と地下街に行ったときは……三人だから違うか。
イタリア旅行はどうだ?……あれも途中からインデックスがはぐれちまったからノーカンだよな。
罰ゲームんときは……まぁ罰ゲームだしな。
てことは、つまり昨日のアレが俺にとっての初デートぉぉおおーーーー!!?)
「は…はは……そんな記念すべき日に俺は……」
ということはだ、以前インデックスや風斬と地下街に行ったときは……三人だから違うか。
イタリア旅行はどうだ?……あれも途中からインデックスがはぐれちまったからノーカンだよな。
罰ゲームんときは……まぁ罰ゲームだしな。
てことは、つまり昨日のアレが俺にとっての初デートぉぉおおーーーー!!?)
「は…はは……そんな記念すべき日に俺は……」
なにやら思い出し落ち込みしている上条。
番外個体の目がキラリと光る。
番外個体の目がキラリと光る。
「ナニナニ!? 何か落ち込むようなことがあったの!?」
「あー…実はさ……」
「あー…実はさ……」
上条は昨日の出来事を話した。
「え~? それだけ~?」
「それだけって!! やっちまったんだぞ!?」
「どうせやっちゃうなら一夜限りの過ちとか、
もっとドロドロでヌレヌレでエロエロな展開じゃないとミサカつまんな~い。
今時、小学生でももっと進んでるよ? …まぁ学習装置からの情報だけど。」
「余計な情報まで教えんなよ学習装置!!」
「少なくとも、責任とって付き合うくらいしろよ根性なし。」
「……そういうことは好きな人同士でするもんなの!」
「だって、お姉様は上条当麻のことが好きなんでしょ?」
「いや、それはねぇよ。 まぁ嫌われてはいないみたいだったけど。
…つーか昨日の事で嫌われちまったかもしれないけど……」
「うわ…マジかコイツ……じゃあ逆に、上条当麻はお姉様のことどう思ってるの?」
「それだけって!! やっちまったんだぞ!?」
「どうせやっちゃうなら一夜限りの過ちとか、
もっとドロドロでヌレヌレでエロエロな展開じゃないとミサカつまんな~い。
今時、小学生でももっと進んでるよ? …まぁ学習装置からの情報だけど。」
「余計な情報まで教えんなよ学習装置!!」
「少なくとも、責任とって付き合うくらいしろよ根性なし。」
「……そういうことは好きな人同士でするもんなの!」
「だって、お姉様は上条当麻のことが好きなんでしょ?」
「いや、それはねぇよ。 まぁ嫌われてはいないみたいだったけど。
…つーか昨日の事で嫌われちまったかもしれないけど……」
「うわ…マジかコイツ……じゃあ逆に、上条当麻はお姉様のことどう思ってるの?」
―――俺は?―――
好きか嫌いかで聞かれたら好きなのだろう。
だが、それが恋愛感情かと聞かれたら答えられない。
なぜなら彼はインデックスのことも好きだし、吹寄や姫神のことも好きだ。
イギリス清教の人たちだって好きだし、土御門に青髪、一方通行や浜面だって好きだ。ステイルはまぁ、微妙だ。
要するに鈍感な彼は、自分の気持ちにも鈍感なのだ。
大きなくくりでの「好き」という感情は分かるが、それが家族へのものなのか、友人へのものなのか、恋人へのものなのか、
その先が細かく仕分けできない。2位じゃダメなんです。
だが、それが恋愛感情かと聞かれたら答えられない。
なぜなら彼はインデックスのことも好きだし、吹寄や姫神のことも好きだ。
イギリス清教の人たちだって好きだし、土御門に青髪、一方通行や浜面だって好きだ。ステイルはまぁ、微妙だ。
要するに鈍感な彼は、自分の気持ちにも鈍感なのだ。
大きなくくりでの「好き」という感情は分かるが、それが家族へのものなのか、友人へのものなのか、恋人へのものなのか、
その先が細かく仕分けできない。2位じゃダメなんです。
はたして御坂への好きは、どの「好き」なのだろう。
「……よく……分かんねぇ……」
番外個体はふぅ、と溜息をついた。
(ま、コイツから引き出せるのはここまでかな。)
番外個体的にはちょっと不完全燃焼だが、まぁ収穫はあった。
今、聞いた話をミサカネットワーク内に流せば、妹達は面白い反応をするだろう。
今、聞いた話をミサカネットワーク内に流せば、妹達は面白い反応をするだろう。
「…じゃあミサカもう帰るね。今日来た目的は達成されたし。」
「……えっ!? 目的って宿題手伝ってくれることだろ!? まだ半分も終わってないんだけど!!」
「ミサカ、宿題は自分の力でやらないと意味が無いと思うの。」
「ごもっともな意見!! だけど約束は!?守るほうじゃなかったっけ!?」
「……えっ!? 目的って宿題手伝ってくれることだろ!? まだ半分も終わってないんだけど!!」
「ミサカ、宿題は自分の力でやらないと意味が無いと思うの。」
「ごもっともな意見!! だけど約束は!?守るほうじゃなかったっけ!?」
帰ろうとする番外個体を引き止めようとして、上条はコタツの角に足をぶつけた。
そして倒れこむ。番外個体を押し倒す形で倒れこむ。
またかよコイツ。
そして右手は、番外個体の左胸を完全ホールドしている。私の氷はちょっぴりコールドである。
そして倒れこむ。番外個体を押し倒す形で倒れこむ。
またかよコイツ。
そして右手は、番外個体の左胸を完全ホールドしている。私の氷はちょっぴりコールドである。
「ミ、ミサカこういうこと初めてなんだけど……」
「ち、違う!!俺はそんなつもりじゃ―――」
「とうま、ただいまー! お腹すいたn……」
「ち、違う!!俺はそんなつもりじゃ―――」
「とうま、ただいまー! お腹すいたn……」
最悪のタイミングでドアが開く。
小萌先生の家でごちそうになり、上機嫌で帰ってきたインデックスは急激に不機嫌になっていく。
いや、その前にメシ4杯食って、その後人ん家でごちそうになり、まだお腹がへってるってどういうこと?
なんて言っている場合ではない。この後どうなったかは言うまでもないだろう。
番外個体はドサクサに紛れて帰った様だ。
結局、残りの宿題は自力でやることになった。
が、6分の5くらい終わったところで上条は力尽きた。
ここまでやれば、小萌先生も泣くことはないだろう。まぁ、説教くらいはあるだろうが。
小萌先生の家でごちそうになり、上機嫌で帰ってきたインデックスは急激に不機嫌になっていく。
いや、その前にメシ4杯食って、その後人ん家でごちそうになり、まだお腹がへってるってどういうこと?
なんて言っている場合ではない。この後どうなったかは言うまでもないだろう。
番外個体はドサクサに紛れて帰った様だ。
結局、残りの宿題は自力でやることになった。
が、6分の5くらい終わったところで上条は力尽きた。
ここまでやれば、小萌先生も泣くことはないだろう。まぁ、説教くらいはあるだろうが。
だが翌日、小萌先生の説教の他に、とんでもないイベントが上条を待ち構えていたのだった。