Let's_enjoy_the_party!
10月最後の日曜日にしてハロウィンパーティ当日。
3人の少年と7人の少女が、第3学区の個室サロンへとやって来た。
「オープン・ザ・ドア!」
呪文のように唱えて、佐天が元気よく扉を開け放つ。
3人の少年と7人の少女が、第3学区の個室サロンへとやって来た。
「オープン・ザ・ドア!」
呪文のように唱えて、佐天が元気よく扉を開け放つ。
10人が借りた部屋は、カラオケボックスの大部屋を豪華にしたような部屋だった。
入って右側には大型テレビとカラオケやゲームの機材があるだけで、左側が奥まで広がっている。
長方形のガラステーブルを高級そうなソファーがコの字に囲んでいて、10人でもゆったりと座れる余裕があった。
また、部屋に入ってちょうど向かい側には備え付けの棚があり、カードゲームやボードゲームなどがいくつも収められているようだった。
入って右側には大型テレビとカラオケやゲームの機材があるだけで、左側が奥まで広がっている。
長方形のガラステーブルを高級そうなソファーがコの字に囲んでいて、10人でもゆったりと座れる余裕があった。
また、部屋に入ってちょうど向かい側には備え付けの棚があり、カードゲームやボードゲームなどがいくつも収められているようだった。
「では、早速コスチュームに着替え始めましょう!」
各自が手荷物をソファーや床の上に置いた後、元気いっぱいの佐天が全員に向かって告げる。
「一人一人トイレで着替えると時間が掛かるので、女子はここで一斉に着替えちゃいましょう。
申し訳ないですが、男性陣は部屋を出てすぐ前にあったトイレで着替えて下さい。着替え終わったら知らせるので、それまで覗いちゃダメですよ?」
各自が手荷物をソファーや床の上に置いた後、元気いっぱいの佐天が全員に向かって告げる。
「一人一人トイレで着替えると時間が掛かるので、女子はここで一斉に着替えちゃいましょう。
申し訳ないですが、男性陣は部屋を出てすぐ前にあったトイレで着替えて下さい。着替え終わったら知らせるので、それまで覗いちゃダメですよ?」
必要な物だけを持って部屋を出る少年3名。
扉が完全に閉まったのを確認してから、佐天はある人物に向かって声を掛ける。
「御坂さん」
佐天の視線の先にいたのは、部屋の隅へ移動しようとしていた美琴であった。
呼ばれた美琴は、ぎこちない笑みを浮かべて振り返る。
「な、何かしら?」
「言っときますけど、『恥ずかしいからやっぱり無理!』ってのはダメですよ? 猫耳と尻尾もフル装備して下さいね」
「で、でも佐天さん。コスチュームだけでも十分可愛いし、耳は別に重要じゃないと思うんだけど……」
「何言っちゃってるんですか。あのコスチュームは耳と尻尾があってこそ真価を発揮するんですよ! 何たって『黒猫ロリメイド』なんですからっ!!」
拳を固く握って力説する佐天。弁論大会などで優勝出来そうな勢いだ。
さらに、そんな佐天の隣に立ち、真っ直ぐ美琴を見据えている人物がもう一人いる。
「それに御坂さん。ズバリお聞きしますけど、御坂さんは上条さんが好きなんですよね?」
「んにゃ!? ちょ、初春さんまでいきなり何を!?」
「誤魔化さなくていいです。見ればわかります。これで気付かない上条さんがおかしいんです」
「なっ……」
「そういう鈍感な人には直球どストライクな言葉を投げるだけじゃ足りません。
猫耳でも尻尾でもパソコン部品でも、使えるものは全て使って挑むべきなんです!」
……何か一つ余計なものを含んでいないか初春飾利。それではただの変態である。
「そ、それはそうかもしれないけど……」
弱気な友人に、初春は優しく声を掛ける。
「大丈夫ですよ御坂さん。心配要りません。私たちがついています」
初春はにっこりと笑って、言葉を続ける。
「それに、もしも着替えるのに勇気がいるならば、白井さんがきっかけをくれますよ」
「え……?」
「御坂さんが今着ている常盤台の制服を空間移動させちゃいます。そうなると下着姿か猫耳メイド姿かで上条さんに会わなきゃいけなくなりますが……
もちろん猫耳メイドの方がいいですよね?」
まさかの発言に、美琴が青ざめる。
「そ、そんな横暴な……」
「そういうことですの。さあ、お姉様。黒子がその衣服を空間移動して差し上げますわ」
両手をワキワキさせながら美琴に歩み寄る白井。その様子に数歩後退りして、美琴は叫ぶ。
「っ!? わかったわかったから! 自分で着替えるからこっち来るなーっ!?」
慌てて服を脱ぎ始める美琴。
その様子に、佐天と初春は満足げな笑みを浮かべた。
扉が完全に閉まったのを確認してから、佐天はある人物に向かって声を掛ける。
「御坂さん」
佐天の視線の先にいたのは、部屋の隅へ移動しようとしていた美琴であった。
呼ばれた美琴は、ぎこちない笑みを浮かべて振り返る。
「な、何かしら?」
「言っときますけど、『恥ずかしいからやっぱり無理!』ってのはダメですよ? 猫耳と尻尾もフル装備して下さいね」
「で、でも佐天さん。コスチュームだけでも十分可愛いし、耳は別に重要じゃないと思うんだけど……」
「何言っちゃってるんですか。あのコスチュームは耳と尻尾があってこそ真価を発揮するんですよ! 何たって『黒猫ロリメイド』なんですからっ!!」
拳を固く握って力説する佐天。弁論大会などで優勝出来そうな勢いだ。
さらに、そんな佐天の隣に立ち、真っ直ぐ美琴を見据えている人物がもう一人いる。
「それに御坂さん。ズバリお聞きしますけど、御坂さんは上条さんが好きなんですよね?」
「んにゃ!? ちょ、初春さんまでいきなり何を!?」
「誤魔化さなくていいです。見ればわかります。これで気付かない上条さんがおかしいんです」
「なっ……」
「そういう鈍感な人には直球どストライクな言葉を投げるだけじゃ足りません。
猫耳でも尻尾でもパソコン部品でも、使えるものは全て使って挑むべきなんです!」
……何か一つ余計なものを含んでいないか初春飾利。それではただの変態である。
「そ、それはそうかもしれないけど……」
弱気な友人に、初春は優しく声を掛ける。
「大丈夫ですよ御坂さん。心配要りません。私たちがついています」
初春はにっこりと笑って、言葉を続ける。
「それに、もしも着替えるのに勇気がいるならば、白井さんがきっかけをくれますよ」
「え……?」
「御坂さんが今着ている常盤台の制服を空間移動させちゃいます。そうなると下着姿か猫耳メイド姿かで上条さんに会わなきゃいけなくなりますが……
もちろん猫耳メイドの方がいいですよね?」
まさかの発言に、美琴が青ざめる。
「そ、そんな横暴な……」
「そういうことですの。さあ、お姉様。黒子がその衣服を空間移動して差し上げますわ」
両手をワキワキさせながら美琴に歩み寄る白井。その様子に数歩後退りして、美琴は叫ぶ。
「っ!? わかったわかったから! 自分で着替えるからこっち来るなーっ!?」
慌てて服を脱ぎ始める美琴。
その様子に、佐天と初春は満足げな笑みを浮かべた。
一方、男子トイレへと移動した3人はさっさと着替えを終わらせていた。
「つっちーもカミやんも似合ってるやん!」
「青ピもなかなか似合ってるぜい」
「頬にバーコード型のペイントでもしてみるか? そういう神父も実際いることだし」
新○組もどきの土御門、神父姿の青髪ピアス、ヴァンパイアの上条。
鏡の前に立つ3人は、互いのいつもとは違う姿に各々テンションを上げていた。
「にしてもカミやん。その髪型でその衣装やと、ホストにしか見えへんな」
隣に立つ上条を見て、青髪ピアスが率直な感想を述べる。
現在、上条の髪型は土御門の手によってオールバックへとスタイルチェンジされていた。
「これがフラグ建築士カミやんの真の姿なんだにゃー!」
「黙れエセ侍! それにそこのエセ神父! ホストじゃなくてヴァンパイアだ!」
さすがはデルタフォース。馬鹿げた会話を、ノリ良く繰り広げている。
「つっちーもカミやんも似合ってるやん!」
「青ピもなかなか似合ってるぜい」
「頬にバーコード型のペイントでもしてみるか? そういう神父も実際いることだし」
新○組もどきの土御門、神父姿の青髪ピアス、ヴァンパイアの上条。
鏡の前に立つ3人は、互いのいつもとは違う姿に各々テンションを上げていた。
「にしてもカミやん。その髪型でその衣装やと、ホストにしか見えへんな」
隣に立つ上条を見て、青髪ピアスが率直な感想を述べる。
現在、上条の髪型は土御門の手によってオールバックへとスタイルチェンジされていた。
「これがフラグ建築士カミやんの真の姿なんだにゃー!」
「黙れエセ侍! それにそこのエセ神父! ホストじゃなくてヴァンパイアだ!」
さすがはデルタフォース。馬鹿げた会話を、ノリ良く繰り広げている。
「そろそろみんな着替え終わる頃ちゃう? ボク、外に出てるわ」
しばらく馬鹿な会話を続けた後、青髪ピアスが一人先にトイレを出た。
続いて上条も外に出ようとするが、土御門に肩を掴まれて立ち止まる。
「何だ? お前もオールバックにするんだったら喜んで力になるぞ」
ふざけた調子で振り返った上条だが、その目に飛び込んできたのは先程までとは打って変わって真面目な表情をした土御門だった。
「……どうした? もしかしてまた、魔術関連か?」
しかし、土御門の答えは上条の予想に反するものだった。
「いや、今のところそれは大丈夫だぜい。そういうことじゃなくてだな、カミやん」
そして、土御門は数秒の間をとってから問い掛ける。
「カミやんは好きな子がいるか?」
しばらく馬鹿な会話を続けた後、青髪ピアスが一人先にトイレを出た。
続いて上条も外に出ようとするが、土御門に肩を掴まれて立ち止まる。
「何だ? お前もオールバックにするんだったら喜んで力になるぞ」
ふざけた調子で振り返った上条だが、その目に飛び込んできたのは先程までとは打って変わって真面目な表情をした土御門だった。
「……どうした? もしかしてまた、魔術関連か?」
しかし、土御門の答えは上条の予想に反するものだった。
「いや、今のところそれは大丈夫だぜい。そういうことじゃなくてだな、カミやん」
そして、土御門は数秒の間をとってから問い掛ける。
「カミやんは好きな子がいるか?」
奇妙な沈黙が生まれた。
「……、すまん。もう一度」
「だから、カミやんは好きな子がいるかって質問だぜい」
「いや、ちょっと待て。そんな真面目な顔して聞くことがそれなのか?」
すると、土御門はちらりとトイレの扉の方を見た。
そして、学校の女子がよくするヒソヒソ話のように、声のトーンを落として言う。
「……実はだな、カミやん」
一瞬の間をおいて、土御門は告げる。
「青ピの奴、あの7人の中に好きな子がいるらしいぜい」
「……え?」
予想外の展開に、目を丸くする上条。
「あの7人って、御坂たちのことだよな?」
「他にどの7人がいるのか教えて欲しいにゃー」
「全員中学生だぞ? しかも、御坂と婚后以外はみんな春まで小学生だったんだぞ?」
「愛に年齢は関係ないぜい。ましてや許容範囲の広い青ピにとって、中学生なんて何の問題でもないにゃー」
確かに、人外でも女のコであればオールOKという青髪ピアスにとって、中学生との年齢差など全く問題ではないに違いない。
「だから、カミやん。もしもあの7人の誰かに気があるのなら、気をつけた方がいいぜよ。アイツはこういうことに積極的だからにゃー。
うかうかしてると、手遅れになるぜい?」
「いや、手遅れと言われましても上条さんは別に……」
「ま、カミやんがいいなら別にいいんだけどにゃー。俺は一応伝えておくまでだぜい」
言いたいことを全て言い終わったらしく、土御門は上条の肩をポンと軽く叩いてからトイレを出る。
「……、」
残された上条は妙なモヤモヤを抱えて、土御門が去った方を見ていた。
「……、すまん。もう一度」
「だから、カミやんは好きな子がいるかって質問だぜい」
「いや、ちょっと待て。そんな真面目な顔して聞くことがそれなのか?」
すると、土御門はちらりとトイレの扉の方を見た。
そして、学校の女子がよくするヒソヒソ話のように、声のトーンを落として言う。
「……実はだな、カミやん」
一瞬の間をおいて、土御門は告げる。
「青ピの奴、あの7人の中に好きな子がいるらしいぜい」
「……え?」
予想外の展開に、目を丸くする上条。
「あの7人って、御坂たちのことだよな?」
「他にどの7人がいるのか教えて欲しいにゃー」
「全員中学生だぞ? しかも、御坂と婚后以外はみんな春まで小学生だったんだぞ?」
「愛に年齢は関係ないぜい。ましてや許容範囲の広い青ピにとって、中学生なんて何の問題でもないにゃー」
確かに、人外でも女のコであればオールOKという青髪ピアスにとって、中学生との年齢差など全く問題ではないに違いない。
「だから、カミやん。もしもあの7人の誰かに気があるのなら、気をつけた方がいいぜよ。アイツはこういうことに積極的だからにゃー。
うかうかしてると、手遅れになるぜい?」
「いや、手遅れと言われましても上条さんは別に……」
「ま、カミやんがいいなら別にいいんだけどにゃー。俺は一応伝えておくまでだぜい」
言いたいことを全て言い終わったらしく、土御門は上条の肩をポンと軽く叩いてからトイレを出る。
「……、」
残された上条は妙なモヤモヤを抱えて、土御門が去った方を見ていた。
上条がトイレを出て間もなく、佐天が扉を開けた。
「お待たせしましたっ! どうぞ中へお戻り下さい♪」
佐天に促され、少年たちは部屋へと入る。そして、
「「おーっ!!」」
その光景に歓声を上げた。
「天国(パライソ)や!」
「これは見事だにゃー」
今にも昇天しそうな勢いで感激する青髪ピアスと、得心の笑みを浮かべて頷く土御門。
2人がこんな反応をするのも無理はない。
なぜなら、彼らの目に飛び込んできたのは、7人の少女たちが各々の魅力を最大限に引き出すようなコスチュームに身を包んで立っている光景だったのだから。
「お待たせしましたっ! どうぞ中へお戻り下さい♪」
佐天に促され、少年たちは部屋へと入る。そして、
「「おーっ!!」」
その光景に歓声を上げた。
「天国(パライソ)や!」
「これは見事だにゃー」
今にも昇天しそうな勢いで感激する青髪ピアスと、得心の笑みを浮かべて頷く土御門。
2人がこんな反応をするのも無理はない。
なぜなら、彼らの目に飛び込んできたのは、7人の少女たちが各々の魅力を最大限に引き出すようなコスチュームに身を包んで立っている光景だったのだから。
部屋に入ってすぐ、紫の魔女に扮した佐天の横に立つのは、パンプキンガールとなった初春。
カボチャをイメージしたワンピースを着て、オレンジのタイツを履いている。
湾内と泡浮は2人で考えたらしく、湾内が天使で泡浮きが悪魔のコスチュームに身を包んで、2人して恥ずかしそうに立っていた。
そんな2人とは対照的に堂々としているのが、深紅の薔薇を散りばめた漆黒のドレスに身を包んだ婚后である。
オーダメイドで世界に一着しかないというそれは、『夜の女王』という名のセクシー&ゴージャスなコスチュームだ。
白井は高級そうなソファーに腰掛けていて、『スパイダードレス』という蜘蛛の網をイメージした黒のワンピースを着ている。
よくよく見れば半分以上がスケスケ素材で、白井の趣味をよく反映したコスチュームなのだとわかるであろう。
そして、その白井の横で大人しく座っているのが、猫耳と尻尾フル装備のロリメイド、美琴である。
カボチャをイメージしたワンピースを着て、オレンジのタイツを履いている。
湾内と泡浮は2人で考えたらしく、湾内が天使で泡浮きが悪魔のコスチュームに身を包んで、2人して恥ずかしそうに立っていた。
そんな2人とは対照的に堂々としているのが、深紅の薔薇を散りばめた漆黒のドレスに身を包んだ婚后である。
オーダメイドで世界に一着しかないというそれは、『夜の女王』という名のセクシー&ゴージャスなコスチュームだ。
白井は高級そうなソファーに腰掛けていて、『スパイダードレス』という蜘蛛の網をイメージした黒のワンピースを着ている。
よくよく見れば半分以上がスケスケ素材で、白井の趣味をよく反映したコスチュームなのだとわかるであろう。
そして、その白井の横で大人しく座っているのが、猫耳と尻尾フル装備のロリメイド、美琴である。
「ボク、天国が本当にあるって知らなかったわ」
「またまた青ピさんったら、上手いこといいますねー」
「みんな、よく似合ってるぜよ」
「あなたも素敵でしてよ土御門さん」
楽しそうに少女たちと話す青髪ピアスと土御門。
しかし、上条はそんな2人とは対照的に、一人静かに佇んでいた。
「上条さん?」
そんな上条を不思議に思った初春が、上条の顔を覗き込む。
「どうかされました?」
「え? あ、ああ……別に何でもありませんのことよ」
ぎこちない笑みを返す上条。
それを見た佐天は、ニヤニヤと上条の脇腹を肘で小突いて言う。
「もしかしてまた御坂さんに見とれてたんですかぁ?」
「へ!? い、いやそんなことは……」
「気持ちはわかりますけど、あんまり見詰めると御坂さんがまた漏電しちゃいますから気を付けて下さいね?」
「またまた青ピさんったら、上手いこといいますねー」
「みんな、よく似合ってるぜよ」
「あなたも素敵でしてよ土御門さん」
楽しそうに少女たちと話す青髪ピアスと土御門。
しかし、上条はそんな2人とは対照的に、一人静かに佇んでいた。
「上条さん?」
そんな上条を不思議に思った初春が、上条の顔を覗き込む。
「どうかされました?」
「え? あ、ああ……別に何でもありませんのことよ」
ぎこちない笑みを返す上条。
それを見た佐天は、ニヤニヤと上条の脇腹を肘で小突いて言う。
「もしかしてまた御坂さんに見とれてたんですかぁ?」
「へ!? い、いやそんなことは……」
「気持ちはわかりますけど、あんまり見詰めると御坂さんがまた漏電しちゃいますから気を付けて下さいね?」
実際、佐天の発言は的を射ていた。
ぼんやりと立つ上条の視線の先には、頬を染めた美琴の姿がある。
(やっぱり目のやり場に困るなありゃ……)
上条がそんなことをぼんやりと考えていると、よく知るテノールボイスが嬉しそうな声を上げた。
「わぁー噂通りの可愛さやね!」
ニコニコ顔の青髪ピアスが白井と挟むように美琴の隣に座り、上条の視界に現れる。
「試着の時の話つっちーから聞いて、今日会えるのめっちゃ楽しみにしてたんよ。いやーホンマ可愛いわ」
「え、あ、ありがとうございます……」
褒められてまんざらでもないのか、美琴がはにかみながらも笑みを返す。
その様子を見ていた上条の脳裏に、ある考えが浮かぶ。
(まさか土御門が言ってた青ピの好きな奴って……)
トイレで感じたモヤモヤが、一段と大きくなった気がした。
ぼんやりと立つ上条の視線の先には、頬を染めた美琴の姿がある。
(やっぱり目のやり場に困るなありゃ……)
上条がそんなことをぼんやりと考えていると、よく知るテノールボイスが嬉しそうな声を上げた。
「わぁー噂通りの可愛さやね!」
ニコニコ顔の青髪ピアスが白井と挟むように美琴の隣に座り、上条の視界に現れる。
「試着の時の話つっちーから聞いて、今日会えるのめっちゃ楽しみにしてたんよ。いやーホンマ可愛いわ」
「え、あ、ありがとうございます……」
褒められてまんざらでもないのか、美琴がはにかみながらも笑みを返す。
その様子を見ていた上条の脳裏に、ある考えが浮かぶ。
(まさか土御門が言ってた青ピの好きな奴って……)
トイレで感じたモヤモヤが、一段と大きくなった気がした。
互いの仮装姿に感想を言い合ったりした後、一同は持ってきた料理や菓子をテーブルのそれぞれ取り出した。
ガラステーブルの上に、美味しそうな料理や菓子が並べられる。
「アンタ、忘れずにちゃんと持ってきたんでしょうね?」
「もちろんですとも。落としてもいないから安心しろ」
昨日美琴と上条が一緒に作ったパンプキンパイはガラステーブルの中央に置かれた。
ガラステーブルの上に、美味しそうな料理や菓子が並べられる。
「アンタ、忘れずにちゃんと持ってきたんでしょうね?」
「もちろんですとも。落としてもいないから安心しろ」
昨日美琴と上条が一緒に作ったパンプキンパイはガラステーブルの中央に置かれた。
セッティングを終えた後は佐天に促されるまま、各自適当にソファーへと腰を下ろす。
「お姉様は黒子の隣ですのっ!」
「あ、ちょっ!? わかったから引っ張るな擦り寄るな抱きつくなっ!」
「じゃあボクぁその隣で」
大型テレビ向かって右側に座るのは、扉付近から順に土御門・上条・佐天・初春・婚后の5名。その対面にはそれぞれ青髪・美琴・白井・湾内・泡浮が座った。
(ど、どうしようっ!? アイツが目の前で食べるとか恥ずかし過ぎるんだけどっ!?)
(青ピの奴、ちゃっかり御坂の隣に座りやがったな……)
もっとも、適当に座ったと思っているのは上条と美琴のみで、これは応援隊の意図に基づく並びだ。
ちなみに、大型テレビと向かい合った壁側のソファー上には、みんなの手荷物が置いてある。
「お姉様は黒子の隣ですのっ!」
「あ、ちょっ!? わかったから引っ張るな擦り寄るな抱きつくなっ!」
「じゃあボクぁその隣で」
大型テレビ向かって右側に座るのは、扉付近から順に土御門・上条・佐天・初春・婚后の5名。その対面にはそれぞれ青髪・美琴・白井・湾内・泡浮が座った。
(ど、どうしようっ!? アイツが目の前で食べるとか恥ずかし過ぎるんだけどっ!?)
(青ピの奴、ちゃっかり御坂の隣に座りやがったな……)
もっとも、適当に座ったと思っているのは上条と美琴のみで、これは応援隊の意図に基づく並びだ。
ちなみに、大型テレビと向かい合った壁側のソファー上には、みんなの手荷物が置いてある。
「さて、それではみなさん、クラッカーは渡りましたか?」
土御門と青髪ピアスが用意したクラッカーを手にした佐天がみんなの様子を伺う。
全員の手に色とりどりのクラッカーが握られていることを確認して、佐天は高らかに言う。
「では準備も整いましたので、これより10人の男女混合ハロウィンパーティを始めたいと思いますっ! それではみなさん、ハッピーハロウィーンっ!」
パーン、と一斉にクラッカーが鳴る。
種類がいくつかあったようで、国旗が飛び出しているものもあれば、7色のテープが飛び出ているものもあった。
土御門と青髪ピアスが用意したクラッカーを手にした佐天がみんなの様子を伺う。
全員の手に色とりどりのクラッカーが握られていることを確認して、佐天は高らかに言う。
「では準備も整いましたので、これより10人の男女混合ハロウィンパーティを始めたいと思いますっ! それではみなさん、ハッピーハロウィーンっ!」
パーン、と一斉にクラッカーが鳴る。
種類がいくつかあったようで、国旗が飛び出しているものもあれば、7色のテープが飛び出ているものもあった。
使用済みのクラッカーを袋にまとめて、10人はそれぞれ料理へと手を伸ばす。
まずみんなが食べ始めたのは、佐天・初春・白井が担当した料理だ。
「ラザニアとサラダ、両方とも美味しいぜい」
「カボチャにレーズン入れたのは佐天さん式ですよ。私は入れたこと無かったんですけど、美味しいですよね」
「レーズンが嫌いっていう人も多いから迷ったんですけどね。みなさん大丈夫でした?」
「ええ、とっても美味しいですわ」
「作り方、今度是非教えて下さいね」
「心配せんでも大丈夫やで佐天さん。女のコの手料理なら何でも完食出来るってもんや!」
「ところで白井さんは何を作りましたの? 2品しか見当たりませんわよ」
「私は2人を手伝っただけですの。私の能力はあなたと違って料理にも有効ですのよ?」
(ラザニア……大好きだけど口にソース付いちゃったら恥ずかしいな……)
(何か御坂、顔が赤いな……ってあれ? 何で上条さんは御坂のことばかり考えてるんでせうか?)
ワイワイと食べる周りの8人と違い、割と静かに箸を進める美琴と上条。
実は互いに意識し合っているなど、本人たちは夢にも思っていないらしい。
まずみんなが食べ始めたのは、佐天・初春・白井が担当した料理だ。
「ラザニアとサラダ、両方とも美味しいぜい」
「カボチャにレーズン入れたのは佐天さん式ですよ。私は入れたこと無かったんですけど、美味しいですよね」
「レーズンが嫌いっていう人も多いから迷ったんですけどね。みなさん大丈夫でした?」
「ええ、とっても美味しいですわ」
「作り方、今度是非教えて下さいね」
「心配せんでも大丈夫やで佐天さん。女のコの手料理なら何でも完食出来るってもんや!」
「ところで白井さんは何を作りましたの? 2品しか見当たりませんわよ」
「私は2人を手伝っただけですの。私の能力はあなたと違って料理にも有効ですのよ?」
(ラザニア……大好きだけど口にソース付いちゃったら恥ずかしいな……)
(何か御坂、顔が赤いな……ってあれ? 何で上条さんは御坂のことばかり考えてるんでせうか?)
ワイワイと食べる周りの8人と違い、割と静かに箸を進める美琴と上条。
実は互いに意識し合っているなど、本人たちは夢にも思っていないらしい。
30分ほど掛けて食べ終わった後、続いて始まったのは菓子タイムだ。
甘いものは別腹。誰が言い出したのかは知らないが、まさにその通りである。
甘いものは別腹。誰が言い出したのかは知らないが、まさにその通りである。
美琴と上条が作ったパンプキンパイの他にも、婚后たちが買ってきたケーキやクッキーがある。
もちろん、婚后たちが持ってきたそれらは全て、佐天がメールで猛烈にリクエストしたパスティッチェリア・マニカーニ……
日本では学舎の園内にしかないという有名ケーキ店のものだ。
「わぁっ!! パスティッチェリア・マニカーニがこんなにいっぱい!!」
「御坂さんと上条さんのパンプキンパイも美味しそうです! さながらケーキバイキングですねっ!!」
瞳を爛々と輝かせる佐天と初春。
「「いっただーきまーす♪」」
そう言うやいなや早速、2人の少女はハイスピードで皿にケーキを盛り始める。
多くはないと言え、ラザニアとサラダを食べた後のこの食欲。いつか暴食シスターを越えるかもしれない。
「私たちもいただきますね、御坂様、上条さん」
他の面々も各々好きな菓子を好きなだけ、自分の皿に盛り始めた。
早めに盛っておかないと、佐天初春コンビに全部食べられてしまうかもしれない。
もちろん、婚后たちが持ってきたそれらは全て、佐天がメールで猛烈にリクエストしたパスティッチェリア・マニカーニ……
日本では学舎の園内にしかないという有名ケーキ店のものだ。
「わぁっ!! パスティッチェリア・マニカーニがこんなにいっぱい!!」
「御坂さんと上条さんのパンプキンパイも美味しそうです! さながらケーキバイキングですねっ!!」
瞳を爛々と輝かせる佐天と初春。
「「いっただーきまーす♪」」
そう言うやいなや早速、2人の少女はハイスピードで皿にケーキを盛り始める。
多くはないと言え、ラザニアとサラダを食べた後のこの食欲。いつか暴食シスターを越えるかもしれない。
「私たちもいただきますね、御坂様、上条さん」
他の面々も各々好きな菓子を好きなだけ、自分の皿に盛り始めた。
早めに盛っておかないと、佐天初春コンビに全部食べられてしまうかもしれない。
「「あ……」」
そんな中、上条と美琴は同時にパンプキンパイへと手を伸ばしていた。
「ごめん、先に取っていいぞ」
手を引っ込めて、美琴に譲る上条。
「あ、うん。じゃあ……」
美琴はすでにカットされているパイの1ピースを新しい紙皿に盛る。
そして、目の前の上条に差し出した。
「はい」
「え? いいよ、俺は自分で取るし……」
「いいから。これ食べなさい」
何故か上目遣いの美琴。
恥ずかしくて上条の顔を直視出来ない美琴が、俯きながらも目を合わせようと頑張った結果だ。
「さ、サンキュー」
ドキッとしつつ、美琴から皿を受け取る上条。
受け取る際、美琴の指に触れてしまったことで、さらに胸が高鳴った。
「どういたしまして」
今度は自分の分を皿に盛りながら、美琴は答える。しかし、
「御坂さん、ボクにも1つ取ってくれへん?」
そう美琴に頼むのは、満面の笑みを浮かべた青髪ピアス。
自分で取れる距離にいるはずなのだが、何を思ったかわざわざ美琴に頼む。
「あ、じゃあこれどうぞ」
「ありがとー」
皿を支える美琴の手のひらごと包み込むように、皿を受け取る青髪ピアス。
美琴は特に気を留めることなく、今度こそ自分の分を皿に盛る。
(……、)
黙ってそれを見ていた上条は、自分のモヤモヤがさらに大きく膨れ上がったことを自覚した。
そんな中、上条と美琴は同時にパンプキンパイへと手を伸ばしていた。
「ごめん、先に取っていいぞ」
手を引っ込めて、美琴に譲る上条。
「あ、うん。じゃあ……」
美琴はすでにカットされているパイの1ピースを新しい紙皿に盛る。
そして、目の前の上条に差し出した。
「はい」
「え? いいよ、俺は自分で取るし……」
「いいから。これ食べなさい」
何故か上目遣いの美琴。
恥ずかしくて上条の顔を直視出来ない美琴が、俯きながらも目を合わせようと頑張った結果だ。
「さ、サンキュー」
ドキッとしつつ、美琴から皿を受け取る上条。
受け取る際、美琴の指に触れてしまったことで、さらに胸が高鳴った。
「どういたしまして」
今度は自分の分を皿に盛りながら、美琴は答える。しかし、
「御坂さん、ボクにも1つ取ってくれへん?」
そう美琴に頼むのは、満面の笑みを浮かべた青髪ピアス。
自分で取れる距離にいるはずなのだが、何を思ったかわざわざ美琴に頼む。
「あ、じゃあこれどうぞ」
「ありがとー」
皿を支える美琴の手のひらごと包み込むように、皿を受け取る青髪ピアス。
美琴は特に気を留めることなく、今度こそ自分の分を皿に盛る。
(……、)
黙ってそれを見ていた上条は、自分のモヤモヤがさらに大きく膨れ上がったことを自覚した。
(……初春)
そんな上条の隣で、ケーキに夢中になっているとばかり思われていた佐天が初春に耳打ちする。
(土御門さんの作戦、結構いい感じなんじゃない?)
頬張っていたクッキーを飲み込んだ初春は、ちらりと横目で上条の横顔を確認して頷いた。
(ですね。上条さん、相当モヤモヤしてますよ)
(このまま上手くいけば上条さんの方から告白してくれるかも!)
(どうするつもりですか?)
(そりゃあ……)
と、佐天はソファーの上に置かれたとある大きな紙袋に目をやる。土御門が持ってきた袋だ。
そして、ニヤリと笑って言葉を続ける。
(アレの出番でしょ♪)
そんな上条の隣で、ケーキに夢中になっているとばかり思われていた佐天が初春に耳打ちする。
(土御門さんの作戦、結構いい感じなんじゃない?)
頬張っていたクッキーを飲み込んだ初春は、ちらりと横目で上条の横顔を確認して頷いた。
(ですね。上条さん、相当モヤモヤしてますよ)
(このまま上手くいけば上条さんの方から告白してくれるかも!)
(どうするつもりですか?)
(そりゃあ……)
と、佐天はソファーの上に置かれたとある大きな紙袋に目をやる。土御門が持ってきた袋だ。
そして、ニヤリと笑って言葉を続ける。
(アレの出番でしょ♪)
テーブルの上の食べ物がクッキーを残して全て胃袋の中へ消え去った頃。
「それではみんなでゲームしましょう!」
佐天が意気揚々と立ち上がって、そんな事を言った。
「それではみんなでゲームしましょう!」
佐天が意気揚々と立ち上がって、そんな事を言った。
「ゲーム?」
「はいっ! 土御門さんが面白いもの見つけてきて下さったんですよ♪」
首を傾げる美琴に、佐天が得意げに答える。
「土御門さん、例のブツを!」
「がってんだにゃー。婚后さん、悪いがそこの大きな紙袋の中身を取り出して欲しいぜよ」
「こちらですか?」
婚后が紙袋を覗けば、中からは大きなサイコロが入っていた。
各面に数字でなく文字が印刷されている、奇妙でカラフルなサイコロだ。
「どこかで見たことあるようなサイコロだな……」
婚后が取り出した物を見て、上条がそんなことを呟く。
「おっ? 上条さんご存知なんですか? これ、昔流行ったお昼の番組で使われていたサイコロがモチーフなんですよ」
婚后からサイコロを受け取った佐天は、ニコニコと説明を続ける。
「ルールは簡単! このサイコロを振って、出た目に書いてあるお題でトークするだけです。『何が出るかな? 何が出るかな?』ってサイコロ振って喋るだけの簡単なゲームですよ♪」
「まあ、楽しそうですね!」
「是非やってみたいですわ!」
即座に良い反応を返す湾内&泡浮ペア。
ちなみにこの2人の反応も応援隊のシナリオ通りだったりする。
「それで各面には何て書いてあるの?」
興味津々の美琴。
パーティが始まってすでに1時間以上経った今では、衣装に対する恥ずかしさも薄れているようだった。
「お、いい質問です御坂さん。えーっとですね……」
大きなサイコロを回しながら、佐天は全ての面を読み上げてゆく。
「泣ける話、笑える話、悩める話、どうしても言いたい話、気になる話、ここだけの話、……この6つですよ!」
「へぇーなんか面白そうね」
割と普通の質問に、美琴は安心した。
佐天のテンションに何か嫌な予感を覚えたのだが、どうやら気のせいだったらしい。
……だが、美琴の予感は違う形で当たることとなる。
「はいっ! 土御門さんが面白いもの見つけてきて下さったんですよ♪」
首を傾げる美琴に、佐天が得意げに答える。
「土御門さん、例のブツを!」
「がってんだにゃー。婚后さん、悪いがそこの大きな紙袋の中身を取り出して欲しいぜよ」
「こちらですか?」
婚后が紙袋を覗けば、中からは大きなサイコロが入っていた。
各面に数字でなく文字が印刷されている、奇妙でカラフルなサイコロだ。
「どこかで見たことあるようなサイコロだな……」
婚后が取り出した物を見て、上条がそんなことを呟く。
「おっ? 上条さんご存知なんですか? これ、昔流行ったお昼の番組で使われていたサイコロがモチーフなんですよ」
婚后からサイコロを受け取った佐天は、ニコニコと説明を続ける。
「ルールは簡単! このサイコロを振って、出た目に書いてあるお題でトークするだけです。『何が出るかな? 何が出るかな?』ってサイコロ振って喋るだけの簡単なゲームですよ♪」
「まあ、楽しそうですね!」
「是非やってみたいですわ!」
即座に良い反応を返す湾内&泡浮ペア。
ちなみにこの2人の反応も応援隊のシナリオ通りだったりする。
「それで各面には何て書いてあるの?」
興味津々の美琴。
パーティが始まってすでに1時間以上経った今では、衣装に対する恥ずかしさも薄れているようだった。
「お、いい質問です御坂さん。えーっとですね……」
大きなサイコロを回しながら、佐天は全ての面を読み上げてゆく。
「泣ける話、笑える話、悩める話、どうしても言いたい話、気になる話、ここだけの話、……この6つですよ!」
「へぇーなんか面白そうね」
割と普通の質問に、美琴は安心した。
佐天のテンションに何か嫌な予感を覚えたのだが、どうやら気のせいだったらしい。
……だが、美琴の予感は違う形で当たることとなる。
「じゃあ、早速始めましょう! まずは土御門さんからどうぞ♪」
「わかったぜい」
テレビの前に立ち、受け取ったサイコロを転がす土御門。
「何が出るかにゃー何が出るかにゃー……」
出た目は『気になる話』。
そして、土御門が選んだ話題は、
「気になる話ならちょうどいいのがあるぜい? 青ピの奴に好きな子が出来たみたいなんだが、その相手がわからなくて気になってるんだにゃー」
「なっ!?」
思わず反応してしまった上条。
佐天と初春がニヤリと笑ったが、上条は全く気付いていない。
「ちょっとつっちー!? こういうのは自分をネタにするのが鉄則なんやで!?」
「おおっ!! 初っ端から衝撃的な展開がっ!? これは面白いゲームになりそうです!!」
「そうですね佐天さん! これは詳しく聞く必要がありそうですっ!」
大げさなアクション付きで盛り上げる佐天と初春。
自然な流れのようにも見えるが、ここまでの流れは全て応援隊のシナリオに沿っていた。
さらに言えば、全く違うお題が6つもあるサイコロだが、実はどの目が出ても作戦に支障はなかったりする。
泣ける話となれば『親友に先を越されるかもしれないと思うと泣けるぜい』と言い、笑える話となれば『アイツが中学生に惚れるとは笑っちゃうにゃー!』と言う……どの目が出ても最終的にこの話題に結びつくよう、念入りに打ち合わせ済みなのだ。
そして、シナリオはこう続く。
「その方はひょっとしてこの中にいるのではありませんか?」
「わかったぜい」
テレビの前に立ち、受け取ったサイコロを転がす土御門。
「何が出るかにゃー何が出るかにゃー……」
出た目は『気になる話』。
そして、土御門が選んだ話題は、
「気になる話ならちょうどいいのがあるぜい? 青ピの奴に好きな子が出来たみたいなんだが、その相手がわからなくて気になってるんだにゃー」
「なっ!?」
思わず反応してしまった上条。
佐天と初春がニヤリと笑ったが、上条は全く気付いていない。
「ちょっとつっちー!? こういうのは自分をネタにするのが鉄則なんやで!?」
「おおっ!! 初っ端から衝撃的な展開がっ!? これは面白いゲームになりそうです!!」
「そうですね佐天さん! これは詳しく聞く必要がありそうですっ!」
大げさなアクション付きで盛り上げる佐天と初春。
自然な流れのようにも見えるが、ここまでの流れは全て応援隊のシナリオに沿っていた。
さらに言えば、全く違うお題が6つもあるサイコロだが、実はどの目が出ても作戦に支障はなかったりする。
泣ける話となれば『親友に先を越されるかもしれないと思うと泣けるぜい』と言い、笑える話となれば『アイツが中学生に惚れるとは笑っちゃうにゃー!』と言う……どの目が出ても最終的にこの話題に結びつくよう、念入りに打ち合わせ済みなのだ。
そして、シナリオはこう続く。
「その方はひょっとしてこの中にいるのではありませんか?」
トンデモ発言を担当したのは、婚后であった。
それを受けて、青髪ピアスが慌てた声を上げる。
「わわっ!? 婚后さんアンタ結構ズバリ言うんやね?」
「まぁ、もしかしてその慌てぶり……」
「婚后さんは的を射ていたのではなくて?」
「いやーさすがは婚后さん実に鋭いにゃー」
「あれ? 青ピさんの好きな人がこの中にいるって知ってたんですか?」
ここでシナリオを知らない美琴が口を挟む。
「知らないから気になる、って言ってませんでしたっけ?」
「その通りだぜい。この中の誰かってことは聞き出せたんだが、肝心の誰かまでは教えてくれなかったんだにゃー」
それを受けて、青髪ピアスが慌てた声を上げる。
「わわっ!? 婚后さんアンタ結構ズバリ言うんやね?」
「まぁ、もしかしてその慌てぶり……」
「婚后さんは的を射ていたのではなくて?」
「いやーさすがは婚后さん実に鋭いにゃー」
「あれ? 青ピさんの好きな人がこの中にいるって知ってたんですか?」
ここでシナリオを知らない美琴が口を挟む。
「知らないから気になる、って言ってませんでしたっけ?」
「その通りだぜい。この中の誰かってことは聞き出せたんだが、肝心の誰かまでは教えてくれなかったんだにゃー」
美琴を含め、その場の全員が青髪ピアスに注目する。
上条だけは表情が固い。
「さあ、観念して洗いざらい吐いちゃって下さいっ!」
バンっと勢い良くテーブルを叩いて、佐天が身を乗り出す。
テレビの前で立ったままの土御門が、青髪ピアスの手を引っ張って前に立たせる。
さらに、テレビ横に備えられていたカラオケ用のマイクを手渡した。
「さあ、青ピ! ここでその気持ちを真っ直ぐ相手にぶつけてみるんだにゃー!」
「んな無茶な。フラれたらどないするつもり? 楽しいパーティの気分が台無しになるやん」
「安心しろい、俺とカミやんがついてるぜよ! そうだろカミやん?」
土御門の問い掛けに、上条はぎこちなく頷いてみせる。
それを確認して、青髪ピアスはいよいよ告白の態勢に入る。
深く息を吸って吐いてを3度繰り返した後、青髪ピアスはマイクを握る力を強める。
「よっしゃ! ほんなら言うで」
そして、先程まで自分が座っていた所まで歩み寄り、見下ろしたそこで目を丸くした少女に告げる。
「御坂美琴さん! 好きなんや。ボクと付き合ってくれへんやろか?」
上条だけは表情が固い。
「さあ、観念して洗いざらい吐いちゃって下さいっ!」
バンっと勢い良くテーブルを叩いて、佐天が身を乗り出す。
テレビの前で立ったままの土御門が、青髪ピアスの手を引っ張って前に立たせる。
さらに、テレビ横に備えられていたカラオケ用のマイクを手渡した。
「さあ、青ピ! ここでその気持ちを真っ直ぐ相手にぶつけてみるんだにゃー!」
「んな無茶な。フラれたらどないするつもり? 楽しいパーティの気分が台無しになるやん」
「安心しろい、俺とカミやんがついてるぜよ! そうだろカミやん?」
土御門の問い掛けに、上条はぎこちなく頷いてみせる。
それを確認して、青髪ピアスはいよいよ告白の態勢に入る。
深く息を吸って吐いてを3度繰り返した後、青髪ピアスはマイクを握る力を強める。
「よっしゃ! ほんなら言うで」
そして、先程まで自分が座っていた所まで歩み寄り、見下ろしたそこで目を丸くした少女に告げる。
「御坂美琴さん! 好きなんや。ボクと付き合ってくれへんやろか?」
(っ!!)
青髪ピアスが衝撃的な告白をした瞬間、上条はまるで銃で撃たれたかのように目を見開いていた。
「ええっ!? わわわ私っ!?」
衝撃の告白をされた側である美琴は、真っ赤になって上ずった声を上げる。
「ここここれはまさかの展開っ!!」
「御坂さんどうしますっ!?」
「え、どうするって、それは……」
困惑した瞳で青髪ピアスを見上げる美琴。
そんな美琴に、青髪ピアスは優しく語りかける。
「御坂さんの正直な答え、聞かせてくれればいいよ。ボクの気持ちに無理に応える必要はあらへんで」
「そうだぜい。御坂さんの正直な気持ちをコイツに聞かせてやればいいんだにゃー」
2人の言葉を噛み締め、美琴はゆっくりとその場に立ち上がる。そして、
「ごめんなさい。私、青ピさんとお付き合い出来ませんっ」
はっきりと断った上で、美琴は深く頭を下げた。
美琴は気付いていないが、先程まで固かった上条の表情が少し和らぐ。
「嫌やわ、そんな頭下げんといてな。それよりも理由聞かせてくれへん?」
「え? り、理由ですか?」
「うん。ひょっとして他に好きなヒトでもおるん?」
青髪ピアスからの真っ直ぐな質問。
何と答えるか迷った美琴だったが、嘘をつくのは躊躇われた。
「……、います」
小さな声で、しかし、はっきりとした口調で美琴は答える。
「好きな人がいます。だから、ごめんなさい」
少し和らいでいた上条の表情が、再び固いものへと変わった。
青髪ピアスが衝撃的な告白をした瞬間、上条はまるで銃で撃たれたかのように目を見開いていた。
「ええっ!? わわわ私っ!?」
衝撃の告白をされた側である美琴は、真っ赤になって上ずった声を上げる。
「ここここれはまさかの展開っ!!」
「御坂さんどうしますっ!?」
「え、どうするって、それは……」
困惑した瞳で青髪ピアスを見上げる美琴。
そんな美琴に、青髪ピアスは優しく語りかける。
「御坂さんの正直な答え、聞かせてくれればいいよ。ボクの気持ちに無理に応える必要はあらへんで」
「そうだぜい。御坂さんの正直な気持ちをコイツに聞かせてやればいいんだにゃー」
2人の言葉を噛み締め、美琴はゆっくりとその場に立ち上がる。そして、
「ごめんなさい。私、青ピさんとお付き合い出来ませんっ」
はっきりと断った上で、美琴は深く頭を下げた。
美琴は気付いていないが、先程まで固かった上条の表情が少し和らぐ。
「嫌やわ、そんな頭下げんといてな。それよりも理由聞かせてくれへん?」
「え? り、理由ですか?」
「うん。ひょっとして他に好きなヒトでもおるん?」
青髪ピアスからの真っ直ぐな質問。
何と答えるか迷った美琴だったが、嘘をつくのは躊躇われた。
「……、います」
小さな声で、しかし、はっきりとした口調で美琴は答える。
「好きな人がいます。だから、ごめんなさい」
少し和らいでいた上条の表情が、再び固いものへと変わった。
上条の心境は複雑だった。
青髪ピアスの告白で心に生じたモヤモヤがこれまでになく膨らんだかと思えば、美琴の返事で一気に消えた。
それなのに、美琴に好きな相手がいるとわかった瞬間、そのモヤモヤはまた生まれて膨らんだ。
(もしも御坂が他の奴と付き合ったら……俺は嫌なのか?)
答えがわからない自問自答。残念ながら問題が問題だけに、いつも課題で助けてくれる美琴センセーに聞くわけにもいかない。
得体のしれないモヤモヤだけが、上条の心に渦を巻く。
青髪ピアスの告白で心に生じたモヤモヤがこれまでになく膨らんだかと思えば、美琴の返事で一気に消えた。
それなのに、美琴に好きな相手がいるとわかった瞬間、そのモヤモヤはまた生まれて膨らんだ。
(もしも御坂が他の奴と付き合ったら……俺は嫌なのか?)
答えがわからない自問自答。残念ながら問題が問題だけに、いつも課題で助けてくれる美琴センセーに聞くわけにもいかない。
得体のしれないモヤモヤだけが、上条の心に渦を巻く。
一方の美琴も、心境は複雑だった。
大勢に囲まれた中で勇気を振り絞って告白してくれた青髪ピアス。
自分の気持ちに向き合うことさえ出来ない自分が、そんな勇気ある少年を振ったのだ。
(最悪だ私……何でこう素直になれないんだろう……)
目の前にあった壁は全て乗り越えてきた。
もう無理だと諦めかけていた壁すらも上条と共に越えて、美琴は今ここにいる。
それなのに、たった一言、自分の気持ちを素直に伝えるだけのことが、どうして出来ないのだろう。
大勢に囲まれた中で勇気を振り絞って告白してくれた青髪ピアス。
自分の気持ちに向き合うことさえ出来ない自分が、そんな勇気ある少年を振ったのだ。
(最悪だ私……何でこう素直になれないんだろう……)
目の前にあった壁は全て乗り越えてきた。
もう無理だと諦めかけていた壁すらも上条と共に越えて、美琴は今ここにいる。
それなのに、たった一言、自分の気持ちを素直に伝えるだけのことが、どうして出来ないのだろう。
「御坂さん」
再び腰を下ろして俯いてしまった美琴に、佐天が話し掛ける。
「いい機会なんじゃないですか?」
何が、とは言わない。けれど、佐天が言わんとすることはしっかり美琴に伝わった。
『御坂さんも自分の気持ちに素直になるいい機会なんじゃないですか?』
佐天の真っ直ぐな瞳が、そう問いかけてくる。
「……、」
ギュッと2つの拳を膝の上で握り締め、下唇を噛む美琴。
すっと顔を挙げて、対面に座る上条を見据えながら美琴は口を開く。
「あのね、私も好きな人いるの」
固い表情の上条と目が合うが、視線は外さずに言葉を紡ぐ。
「その人はね、いつも私のこと助けてくれるの。馬鹿だけど、馬鹿みたいに真っ直ぐで、誰よりも優しい人なの」
必死に言葉を探しながら想いを伝える美琴に、応援隊の面々は優しい顔で耳を傾ける。
応援隊が考えたシナリオが最高の結末を迎えるまで、あと少し。
「最大出力の電撃も難なく打ち消されちゃうし、呼んでもメール送ってもスルーされるし、たった2歳差なのに子供扱いされてムカツクことも多いけど」
「え? それって……」
固かった上条の表情は、だんだんと驚きの表情に変わってゆく。
「その人のことが頭から離れなくて、どうしても離れなくて……」
「御坂……?」
「あああああ、もうっ!」
溢れる想いが自身のキャパシティーを超えたらしく、美琴はバンっとテーブルを叩いて立ち上がる。
そして、右の人差し指でビシっと目の前の少年を指さした。
「アンタのことが好きで好きで堪らないのよっ!! いい加減に気付きなさいよこのド馬鹿っッッ!!」
「っ!?」
(あー……もうちょっとだったのに……)
(やっぱりツンデレは簡単に治るもんじゃないにゃー)
素直になった美琴の告白は、最後の最後で思いっ切りツンツンしたものになった。
再び腰を下ろして俯いてしまった美琴に、佐天が話し掛ける。
「いい機会なんじゃないですか?」
何が、とは言わない。けれど、佐天が言わんとすることはしっかり美琴に伝わった。
『御坂さんも自分の気持ちに素直になるいい機会なんじゃないですか?』
佐天の真っ直ぐな瞳が、そう問いかけてくる。
「……、」
ギュッと2つの拳を膝の上で握り締め、下唇を噛む美琴。
すっと顔を挙げて、対面に座る上条を見据えながら美琴は口を開く。
「あのね、私も好きな人いるの」
固い表情の上条と目が合うが、視線は外さずに言葉を紡ぐ。
「その人はね、いつも私のこと助けてくれるの。馬鹿だけど、馬鹿みたいに真っ直ぐで、誰よりも優しい人なの」
必死に言葉を探しながら想いを伝える美琴に、応援隊の面々は優しい顔で耳を傾ける。
応援隊が考えたシナリオが最高の結末を迎えるまで、あと少し。
「最大出力の電撃も難なく打ち消されちゃうし、呼んでもメール送ってもスルーされるし、たった2歳差なのに子供扱いされてムカツクことも多いけど」
「え? それって……」
固かった上条の表情は、だんだんと驚きの表情に変わってゆく。
「その人のことが頭から離れなくて、どうしても離れなくて……」
「御坂……?」
「あああああ、もうっ!」
溢れる想いが自身のキャパシティーを超えたらしく、美琴はバンっとテーブルを叩いて立ち上がる。
そして、右の人差し指でビシっと目の前の少年を指さした。
「アンタのことが好きで好きで堪らないのよっ!! いい加減に気付きなさいよこのド馬鹿っッッ!!」
「っ!?」
(あー……もうちょっとだったのに……)
(やっぱりツンデレは簡単に治るもんじゃないにゃー)
素直になった美琴の告白は、最後の最後で思いっ切りツンツンしたものになった。
それでも、告白出来たことに変わりはないわけで。
「御坂……」
その真っ直ぐな想いはしっかり相手に届いてたようで。
「俺もお前のことが好きだ」
「……へ?」
予想外の上条の返事に、つい間の抜けた顔をしてしまう美琴。
そんな美琴に、上条も立ち上がって笑いかける。
「だから御坂。俺と付き合ってくれるか?」
それは美琴が夢にまで見た瞬間。そして、応援隊のみんなが待ち望んだ瞬間だった。
「う、うんっ!!」
「御坂……」
その真っ直ぐな想いはしっかり相手に届いてたようで。
「俺もお前のことが好きだ」
「……へ?」
予想外の上条の返事に、つい間の抜けた顔をしてしまう美琴。
そんな美琴に、上条も立ち上がって笑いかける。
「だから御坂。俺と付き合ってくれるか?」
それは美琴が夢にまで見た瞬間。そして、応援隊のみんなが待ち望んだ瞬間だった。
「う、うんっ!!」
次の瞬間、部屋に拍手が響き渡った。
「よく言ったカミやん!」
「御坂さん、良かったですね!」
「いやー最後の一言は見事なツンデレっぷりでした♪」
「お姉様、今日のところはとりあえずお祝い申し上げますの」
「いやーボクもフラれたかいあったわー」
「見事な告白でしたわ」
「おめでとうございます御坂様」
「上条さんも、おめでとうございます」
次々と祝いの言葉を口にする応援隊8名に、上条と美琴は目を丸くする。
祝福されて嬉しいのだが、何か聞き流してはいけない言葉があったような。
「……え?」
「えっと……これは一体……」
変わる状況についていけてない2人が呆然とする中、応援隊の面々は嬉しそうに言葉を交わす。
「我ら『御坂さん応援隊』の努力がついに報われましたねーっ」
「作戦大成功ですね。本当に良かったです」
「成功して当然ですわ。なぜならこの婚后光子も力添えしているのですから!」
「カミやんがついにフラグを回収したにゃー」
「これで次のバレンタインにはボクらにも希望があるでー」
「今日は素晴らしい記念日になりますわね」
「御坂様に恋人が出来たとなれば皆さん驚くでしょうね」
「言っときますけど上条さん、お姉様を泣かせたら即刻死刑に処しますので肝に銘じておいて下さいですの」
……若干1名複雑な顔で恐ろしいことを言っている者はいるが、ほとんど全員がお祝いモードである。
「よく言ったカミやん!」
「御坂さん、良かったですね!」
「いやー最後の一言は見事なツンデレっぷりでした♪」
「お姉様、今日のところはとりあえずお祝い申し上げますの」
「いやーボクもフラれたかいあったわー」
「見事な告白でしたわ」
「おめでとうございます御坂様」
「上条さんも、おめでとうございます」
次々と祝いの言葉を口にする応援隊8名に、上条と美琴は目を丸くする。
祝福されて嬉しいのだが、何か聞き流してはいけない言葉があったような。
「……え?」
「えっと……これは一体……」
変わる状況についていけてない2人が呆然とする中、応援隊の面々は嬉しそうに言葉を交わす。
「我ら『御坂さん応援隊』の努力がついに報われましたねーっ」
「作戦大成功ですね。本当に良かったです」
「成功して当然ですわ。なぜならこの婚后光子も力添えしているのですから!」
「カミやんがついにフラグを回収したにゃー」
「これで次のバレンタインにはボクらにも希望があるでー」
「今日は素晴らしい記念日になりますわね」
「御坂様に恋人が出来たとなれば皆さん驚くでしょうね」
「言っときますけど上条さん、お姉様を泣かせたら即刻死刑に処しますので肝に銘じておいて下さいですの」
……若干1名複雑な顔で恐ろしいことを言っている者はいるが、ほとんど全員がお祝いモードである。
「ちょ、ちょっと待て」
「ん? 何やカミやん? ……はっ!! い、祝い金ならないで?」
勝手に勘違いして警戒心を露にする青髪ピアスに、上条が探るように問い掛ける。
「お前、さっき御坂に告白してフラれたんだよな?」
すると、一瞬きょとんとした青髪ピアスだが、すぐにニヤニヤとした笑みを浮かべた。
「あ、そうやったそうやった。ボクぁフラれたばっかりの可哀想な少年やでー」
その様子に、美琴はハッと息を呑む。
「まさか……全部嘘だったの……?」
「全てはお姉様と上条さんをくっつけるための作戦。佐天さんと土御門さんが主に考えたシナリオですの」
答えたのは白井。実に複雑な表情を浮かべている。
「ボクの演技最高やったと思わん? アカデミーも真っ青やで」
「それを言うなら俺の揺さぶりもオスカーものだぜい」
少年2人が顔を見合わせてニヤニヤと自賛する。
「そ、そんな……」
「や、やられた……」
まさかのオチに2人してペタンとソファーに座り込む美琴と上条。
佐天たちが何か企んでいるような気はしていたが、まさかここまで壮大に仕組まれていたとは思いもしなかった美琴である。
上条に至っては、今この瞬間まで全く気づいていなかった。
「ん? 何やカミやん? ……はっ!! い、祝い金ならないで?」
勝手に勘違いして警戒心を露にする青髪ピアスに、上条が探るように問い掛ける。
「お前、さっき御坂に告白してフラれたんだよな?」
すると、一瞬きょとんとした青髪ピアスだが、すぐにニヤニヤとした笑みを浮かべた。
「あ、そうやったそうやった。ボクぁフラれたばっかりの可哀想な少年やでー」
その様子に、美琴はハッと息を呑む。
「まさか……全部嘘だったの……?」
「全てはお姉様と上条さんをくっつけるための作戦。佐天さんと土御門さんが主に考えたシナリオですの」
答えたのは白井。実に複雑な表情を浮かべている。
「ボクの演技最高やったと思わん? アカデミーも真っ青やで」
「それを言うなら俺の揺さぶりもオスカーものだぜい」
少年2人が顔を見合わせてニヤニヤと自賛する。
「そ、そんな……」
「や、やられた……」
まさかのオチに2人してペタンとソファーに座り込む美琴と上条。
佐天たちが何か企んでいるような気はしていたが、まさかここまで壮大に仕組まれていたとは思いもしなかった美琴である。
上条に至っては、今この瞬間まで全く気づいていなかった。
「まぁまぁ2人ともそんな脱力しないで下さいよ。細かいことはどうでもいいじゃありませんか」
「そうですよ。今やお2人は晴れて恋人同士なんですから。もっとパーっとお祝いしましょう!」
気が付けば、本日2本目となるクラッカーがテーブルの上に置かれていた。
どうやら初めからこうなることを願って、2回分のクラッカーを用意していたらしい。
「皆さん。クラッカーは持ってますね?」
佐天が周りを見回して確認をとる。そして、
「それでは、御坂さんと上条さん、幸せなカップル誕生を祝って!」
パーンっと、本日2度目のクラッカーが部屋中に鳴り響いた。
「そうですよ。今やお2人は晴れて恋人同士なんですから。もっとパーっとお祝いしましょう!」
気が付けば、本日2本目となるクラッカーがテーブルの上に置かれていた。
どうやら初めからこうなることを願って、2回分のクラッカーを用意していたらしい。
「皆さん。クラッカーは持ってますね?」
佐天が周りを見回して確認をとる。そして、
「それでは、御坂さんと上条さん、幸せなカップル誕生を祝って!」
パーンっと、本日2度目のクラッカーが部屋中に鳴り響いた。
使用済みのクラッカーを回収した後、上条と美琴はテレビの前に2人して立たされた。
恥ずかしそうに並んで立つ2人に向かって、佐天が明るい声で言う。
「実はお2人に記念のプレゼントを用意してるんです」
「「へ?」」
驚く2人。もしも残念な結果に終わっていたらこのパーティはどうなっていたのだろうか。
「プレゼントって言ってもそんな豪華なものじゃないですよ?」
佐天がそう言っていると、それぞれセブンスミストの紙袋を持った湾内と泡浮が2人の目の前に立った。
「「どうぞ」」
何とも優しげな微笑を浮かべる湾内と泡浮から、上条と美琴はそれぞれ紙袋を受け取った。
中身は別の包装紙に包まれていて、開けてみるまで何かはわかりそうにない。
恥ずかしそうに並んで立つ2人に向かって、佐天が明るい声で言う。
「実はお2人に記念のプレゼントを用意してるんです」
「「へ?」」
驚く2人。もしも残念な結果に終わっていたらこのパーティはどうなっていたのだろうか。
「プレゼントって言ってもそんな豪華なものじゃないですよ?」
佐天がそう言っていると、それぞれセブンスミストの紙袋を持った湾内と泡浮が2人の目の前に立った。
「「どうぞ」」
何とも優しげな微笑を浮かべる湾内と泡浮から、上条と美琴はそれぞれ紙袋を受け取った。
中身は別の包装紙に包まれていて、開けてみるまで何かはわかりそうにない。
「何がいいのか迷ったんですけど、白井さんが見つけて下さったんですよ」
そう言って微笑むのは初春だ。
「え、白井が?」
「黒子……」
目を丸くして白井を見る上条と美琴。
2人にとって両親よりも障害になるであろう存在が、小姑的白井であるはずなのだ。
その白井が選んでくれたというのだから、それは驚きもする。
「……ですの」
白井はつまらなさそうに言う。
「え? 黒子、今何て……」
「黒子は! ……お姉様の幸せが1番ですの」
「黒子……」
愛おしげに白井を見詰める美琴。
変態は卒業して欲しいが、それでも白井は美琴にとって最高のパートナーに違いない。
「ありがとう、黒子」
「いえ。きっと喜んでいただけると思いますの、お姉様に」
頬を染めて答える白井。
部屋は穏やかな雰囲気に包まれた。
そう言って微笑むのは初春だ。
「え、白井が?」
「黒子……」
目を丸くして白井を見る上条と美琴。
2人にとって両親よりも障害になるであろう存在が、小姑的白井であるはずなのだ。
その白井が選んでくれたというのだから、それは驚きもする。
「……ですの」
白井はつまらなさそうに言う。
「え? 黒子、今何て……」
「黒子は! ……お姉様の幸せが1番ですの」
「黒子……」
愛おしげに白井を見詰める美琴。
変態は卒業して欲しいが、それでも白井は美琴にとって最高のパートナーに違いない。
「ありがとう、黒子」
「いえ。きっと喜んでいただけると思いますの、お姉様に」
頬を染めて答える白井。
部屋は穏やかな雰囲気に包まれた。
その後はずっと、時間が来るまでカラオケで盛り上がっていた。
最近の歌に詳しくないという湾内と泡浮は、美しい二重唱を披露した。
逆に流行に敏感な佐天は、テンション高く最新曲を次々と熱唱した。
和風コスチュームの土御門が歌うのは、何故かイギリスのロックが多かった。
採点モードでは白井と婚后が張り合って火花を散らした。(どんぐりの背比べ)
青髪ピアスの歌う『千の風になって』は満点で、大盛り上がりとなった。
2番目に高い得点を叩き出したのは初春で、とある軽音部アニメの主題歌だった。
上条の歌うラブソングに、美琴が漏電しかけて一時騒然となった時もあった。
美琴自身は色々な歌を歌ったが、衝撃的だったのは『劇場版 ゲコタの大冒険』の主題歌を熱唱したことだった。
とにかく、最後までとても楽しいハロウィンパーティとなった。
最近の歌に詳しくないという湾内と泡浮は、美しい二重唱を披露した。
逆に流行に敏感な佐天は、テンション高く最新曲を次々と熱唱した。
和風コスチュームの土御門が歌うのは、何故かイギリスのロックが多かった。
採点モードでは白井と婚后が張り合って火花を散らした。(どんぐりの背比べ)
青髪ピアスの歌う『千の風になって』は満点で、大盛り上がりとなった。
2番目に高い得点を叩き出したのは初春で、とある軽音部アニメの主題歌だった。
上条の歌うラブソングに、美琴が漏電しかけて一時騒然となった時もあった。
美琴自身は色々な歌を歌ったが、衝撃的だったのは『劇場版 ゲコタの大冒険』の主題歌を熱唱したことだった。
とにかく、最後までとても楽しいハロウィンパーティとなった。
とある10月最後の日曜日。
この日、学園都市に新たなカップルが誕生した。
そのカップル誕生のために尽力した者たちは、年齢も学校もバラバラな8人の素晴らしき少年少女であった。
この日、学園都市に新たなカップルが誕生した。
そのカップル誕生のために尽力した者たちは、年齢も学校もバラバラな8人の素晴らしき少年少女であった。