とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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少女の願い、少年の想い。part 1




12月20日 PM16:28

クリスマスの5日前。市街ではイルミネーションや飾り付けが華やかになり、冬の楽しみを彩っていた。
現在の気温は5度。コートを何枚か重ね着してやっと凌げるくらいの寒さだった。
「-だから、この台詞は熊谷次郎直実なんだ」
「ほぉ・・・。じゃあこの台詞は?」
「そこは「問ひたまふ」が前にあるから大将軍の敦盛だな。古文は台詞の直前に行動が書いてあることが多いから分かりやすいかもな」
「そうなんだ。いつも台詞ばっかり読んでてこんがらがるんだよね」
「台詞が長続きするときは上にメモするとか」
「あ、それいいかも!」
上条と美琴は現在勉強中だった。正確には、中学3年生の美琴の受験勉強を高校2年生である上条が教えているのだった。
世間がクリスマスでも学校が冬休みでも受験生は勉強に尽くさなければならない。
美琴は学校が冬休みになってから、毎日上条の家に来て半日は勉強していた。
頭の悪かった上条もこのおかげで少しずつ基礎が定着し、美琴は応用で高1レベルの問題も解けるようになっていた。
「おっ。もうこんな時間か。美琴、そろそろ帰らないと」
「待って。最後にこの問題を終わらせたい!」
「じゃあコート持っていくから解き終わったら玄関前な」
「了解―」
そういって上条は、コートを羽織って美琴の分のコートを手に持ち、携帯を持って外へ向かった。

同日  PM16:32

すでに日は沈み、東の方向にはうっすらと星が輝くほど空は暗くなり、吐く息は真っ白になるくらいの気温だった。
上条は美琴を学生寮の近くまで送っていた。
「今日もありがとう、当麻」
「俺も美琴のおかげで基礎がしっかりしてきたから、お互い様だな。ありがとな、美琴」
いつもと同じ笑顔で、いつもと同じ会話をする。それだけで心が安らぐ。
もう、不幸だなんていえない状況になっていることがとても嬉しかった。
そうしていつもと同じ別れ際―・・・。
2人は短いキスをしてから別れの挨拶をした。
「じゃ、また明日ね。気をつけて帰ってね!」
「おう。おやすみ」
そういって美琴から背を向けて、遠ざかって行ったその時。

シュルルッッ!!!!!と、路地裏から美琴の左足首に黒い物体が巻きついた。
「え!?」
巻きついた黒い物体は足首から膝まで巻きつき、強い力で美琴を路地裏に連れ込んだ。
「きゃッ・・!あッ・・・!?」
恐怖が精神を支配して能力に集中できなかった。力も強すぎて抵抗できず、
「た・・すけて!!当麻!!!!」
突然の出来事に美琴は恐怖で震えながら、必死に上条の名前を叫んだ。
「なッ・・!?美琴ッ!?」
助けてと叫ぶ声が聞こえ、振り返るとさっきまでいたはずの美琴がいなくなっている。
「助け・・・てッ!当麻・・・ッ!」
「路地裏かッ!?」
上条は助けを呼ぶ美琴の声が聞こえる路地裏に向かってダッシュした。
「美琴ッ!!どこだッ!?」

同日 PM16:34

上条は路地裏に入ると、すぐさま美琴の姿を探した。
「と・・・当麻・・・ッ!!」
「美琴ッ・・・!!どこにいるッ!?」
「あらあら。せっかく1人だと思って捕まえたのに、もう助けが来たみたいね」
すると、上条の真後ろから見知らぬ女の声が聞こえた。
振り返ると、そこには足に黒い物体を巻きつかれた美琴と、そんな彼女を抱えている紅蓮色の髪の女がいた。
「美琴ッ・・・!?お前、美琴に何しやがった!?」
「何もしてないわよ。この子に用があったから、単に捕まえただけ」
「てめぇ・・・ッ!!美琴を離せッ!!!」
「ダメダメ。やっと捕まえたのよ?発電能力者の超能力者をね。苦労したわ」
紅蓮の髪の女は美琴の頬をそっと撫で、可愛い顔してるのね、と呟いた。
「離してッ!気持ち悪いッ」
美琴は女に向かって電撃を放った。しかし、青白い電撃が直撃することはなかった。
「私に電気系の攻撃は効かないわよ。だってこの黒いヤツ、学園都市製の絶縁体でできてるのだから」
「く・・・ッ!なら・・・ッ」
美琴は砂鉄の剣を作って攻撃をしようとした。しかし、いくら電気を操っても砂鉄が集まることはなかった。
「絶縁体の意味、忘れちゃったかしら?電気を絶対に通さないのよ。砂鉄なんて操れるわけないわ」
「てめぇ・・・一体何なんだッ!!」
とうとう上条が大声をあげた。美琴を苦しめる目の前の女がとにかく許せなかった。
「美琴を捕まえて何をする気だッ!?ふざけんなッ!!さっさと美琴を離しやがれッ!!」

すると、紅蓮色の髪の女は言った。

「あなた、邪魔ね。少し黙っててもらおうかしら」




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