とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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「とーうまっ♪ お疲れ様♪」

 上条が自分達のチームの控え室のドアを開けると、笑顔と愛嬌全開で美琴が抱きついてきた。

(み、美琴がどうしてここに? けど正直こんな嬉しいお出迎えは無いわけだから……ま、いっか♪)
「きゃっ♪ もう当麻ったら」

 控え室に美琴が居た疑問など上条にとっては大した問題ではなく、美琴のハグに自分も答えるようにハグしている腕に力を入れる。
 そんな上琴バカップルを上条チームの面々が呆れ顔で見つめる中、勇気ある(?)2人がツッコミを入れた。

「もー、当麻お兄ちゃんったら私達のことは気付いてくれないんですね。美琴お姉さんに夢中なのは分かるんですけど」
「しょうがないよ飾利。美琴姉さんが大好きだからこその当麻兄さんなんだからさ」

 美琴と同じく控え室に居た初春と佐天の言葉にハッと我に返ると上琴はすぐさま離れる。
 上条は舞い上がっていたことを反省すると、自分を訪ねてくれた義妹の2人の頭を優しく撫でた。

「飾利と涙子もわざわざ来てくれてありがとな。気付くのに遅れてゴメン。けどとっても嬉しいぞ」
「えへへ~♪」
(これ、普通の女の子なら誤解するよね……。飾利はとっくに吹っ切ってるしあたしも当麻兄さんのことはそんな風に思ってないから平気だけど)
「そういえばどうして3人だけなんだ? 確か神裂も一緒って聞いてたけ」
「ひいいいいいいいいいいいいいっ!!!」

 上条と初春&佐天の義兄妹のほのぼの雰囲気をぶち壊したのは情報屋、理由は初春の姿を見たからである。
 初春と神裂がトラウマになっている情報屋は控え室の隅っこに座り込んで「花飾りこわい」を呟き始める。
 情報屋の急変に驚いた吹寄、姫神、翔太が駆けつける中、土御門は初春と小声で話し始めた。

「う~ん、今の情報屋を見るとあの時はやり過ぎたって改めて思うぜよ」
「私もです。いくら土御門さんのシナリオ通りにやったとはいっても実際にあの紫木さんを見たら……」
「初春ちゃん、全部が全部オレのせいにするってのは酷くないかにゃー? お前さんとねーちんの演技力にも責任はあるんだぜい」
「そ、それはそうですけど……。そ、それよりも皆さんに伝えないといけないことが!」

 土御門の意地悪な追及から逃れる為に、初春はここに来た目的でもあるロンドン短期留学のことを告げる(魔術の話は一切伏せて)。
 話を聞いた上条、土御門、青ピ、浜面が寂しそうにする中、日頃から初春に思う所がある一方通行だけは喜んだ。

「そっか頑張れよ初春。いっそのこと短期じゃなくて永住でもしちまったらどうだ? そうすりゃあっちのテメェの義姉どもも大喜びだぜェ」
「一方通行さんにそこまで応援されるなんてちょっと嬉しいです。でも安心して下さい、私が居ない間はオルソラさんが私の代わりとしてこっちに来ますから♪」
「よしキッチリ勉強してちゃんとココに帰って来い(冗談じゃねェぞ! コイツがロンドンに永住したらババアシスターがこっちにずっと居る……そンなのはゴメンだァ!)」
「ありがとうございます♪ とはいっても2週間で帰ってきますからご心配なく」

 学園都市最強を唯一オモチャに出来る初春が渡英すれば自分の身は安泰と考えた一方通行だがオルソラと比較した結果、すぐさま手の平を返した。
 一方通行の態度に満足した初春は今すぐここを発つことを告げた後で皆に挨拶をする。

「じゃあ皆さん、行ってきます♪ 私が居ない間、火織お姉ちゃんと建宮さんのこと、宜しくお願いしますね」

 初春の挨拶に上条たちはそれぞれに激励の言葉を初春に贈ると、絹旗への挨拶もあるということで控え室を佐天と共に後にしようとした。
 しかしいきなり初春が振り返ると、上条に対してギュッと抱きついた。

「か、飾利?」
「えへへっ♪ しばらく会えないから当麻お兄ちゃん分を補充です~。美琴お姉さん分はすでに補充してますから」

 美琴と佐天以外が呆然とする中、初春は満足げな笑顔を浮かべて今度こそ佐天と一緒に控え室を後にするのだった。

 一方、医務室ではずっと試合の様子をモニターで見ていたあの男が黙々と準備を始めていた。

「真夜ー?何処行く気だ?」
「ん?真昼さん、ただ少し調子にのっているみんなを黙らせに行くだけだよ?」

 満面の笑顔でさらりと怖いことを言ってのける男―――井ノ原真夜。
 そんな笑顔を見て、真昼は心の中で『歩く教会』チームの面々にご冥福を祈った。

(………とりあえず赤音の奴を故意ではないにしても怪我させた削板ってやつが一番危ねーな)
「あ!でも俺が行っちゃうと、誰が真昼さんやこの後入ってくる赤音さん達の面倒は一体だれが―――」
「――その役目は僕に任せて貰おうか。一応本職だからね」

 扉の方からそんな声が聞こえ、真夜が振り向くとそこにはカエルが立っていた。
 いや、正確にはカエルではなくカエル顔の医者―――冥土帰しだった。

「………少し頼まれてね。多分凄い事になりそうだから医務室に居てくれってね」
「………木山先生かな?」
「木山先生だろ」

 そんな風に頼むのは木山先生しかいない、と真夜と真昼は推測した。
 しかし、本当は彼に頼んだのは木山先生ではなくブレインこと雲川芹亜である声を彼らは知る余地もない。
 するとその時、また扉が開く音が聞こえた。

「にゃー!井ノ原弟、出番だにゃー!」
「あ、元春くん。準備はバッチリだよ」
「………って最初っからぶちぎれてるぅ!?俺らが戦ってる間に何があったんだにゃー!?」
「………土御門、察しろ」
「ああ、茜川か………そういや井ノ原姉、風邪は大丈夫かにゃー?」
「ああ、だいぶ良くなってきた」

 そのままたわいもない会話を始める真昼と土御門。
 するとその話が盛り上がる前に冥土帰しからストップがかかった。

「まあ、元気になったのはいいけど君はまだ安静だよ。それと怪我がないならそろそろ戻ってくれないかい?もうすぐ怪我人が大量に運ばれてくるからね」
「おお、それは失礼だったにゃー。行くぜい、井ノ原弟」
「うん。じゃあ真昼さん、あとで勝利の報告にくるから」

 そう言って真夜と土御門はそのまま医務室をあとにした。
 しかし彼らは知らない。
 ちょうど今、上条は初春の件でクラスメイト達からしばかれている事を………

「上条てめぇこの野郎! 可愛い恋人の次は可愛い妹か! リア充爆死しろ!」
「まさか中学生にお兄ちゃんって呼ばせてるなんて……上条くん不潔!」
「どうゆうことか説明しろ上条! そしてそのポジションは是非俺に!」
「せ、説明って言われても海よりも深く山よりも険しい事情があるような無いような……つーか爆死とか不潔ってあんまりだろ!」

 最初は純粋に選手達を励ましに来た上条のクラスメイト達だったが初春が最後に上条に抱きついたシーンを間の悪いことに目撃してしまったのだ。
 初春と佐天に気付かれないように隠れた後、2人の姿が見えなくなってから上条強襲を実行したのだった。
 上条とハーフタイム中だけでも一緒に居る為に控え室に残った美琴、本当なら雷撃を上条を襲ってる人間全員にみまってやりたかったのだが、

「み、美琴ちゃん。ここはガマンせんでもカミやん助けるために雷撃かましてもええと思うで?」
「そうしたいのは山々なんですけどああも当麻に密着してると当麻も攻撃することになっちゃいますので……」
(それって要は上条さえ居なかったら躊躇わずに攻撃するってことだよな……)

 【幻想殺し】で防げない所から感電して上条にダメージを与えるという理由で敢え無く断念。
 ちなみに吹寄と姫神も参加しているはずなのだが、情報屋の状態の方が気になっていたので上条に起こったことの経緯が分からず不参加。
 そうゆう意味では上条の不幸もランクダウンとはいっても不幸なことには変わりないわけだが、その不幸を終わらせる者が控え室へと入ってきた。
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