上条は美琴の横顔を見つめた。かすかに赤らんでいるが、寒さのせいとも言える程度だ。
(残念……? このままでも別に構わないって事か。なら……)
「いや、このまま止めずに行こう。お前には迷惑かけるかもしんねーけど」
「いいわよ別に。親にはお互い後でなんとでもなるっしょー?」
「そういうこった。じゃあ3日間、これで通すぞ」
「らじゃー♪」
(このノリノリっぷりは一体……)
(残念……? このままでも別に構わないって事か。なら……)
「いや、このまま止めずに行こう。お前には迷惑かけるかもしんねーけど」
「いいわよ別に。親にはお互い後でなんとでもなるっしょー?」
「そういうこった。じゃあ3日間、これで通すぞ」
「らじゃー♪」
(このノリノリっぷりは一体……)
「なにラブラブ作戦会議してんの?」
美鈴がニヤニヤしながら突っ込んでくる。
「うっさいわね!サプライズ作戦が失敗したからどうしようか相談してただけよ!」
「まあ、うっさいだなんて!未来のお母様が見ていらっしゃるのに!」
「ぐ……」
「あらあら、大覇星祭で美琴さんの元気娘っぷりは知ってるから気にしないでねぇ。むしろ変に飾らないトコがいいわぁ」
「うう……」
ママさんズ攻撃を美琴に引き受けて貰っている間、上条は『初期設定』を考えていた。
美鈴がニヤニヤしながら突っ込んでくる。
「うっさいわね!サプライズ作戦が失敗したからどうしようか相談してただけよ!」
「まあ、うっさいだなんて!未来のお母様が見ていらっしゃるのに!」
「ぐ……」
「あらあら、大覇星祭で美琴さんの元気娘っぷりは知ってるから気にしないでねぇ。むしろ変に飾らないトコがいいわぁ」
「うう……」
ママさんズ攻撃を美琴に引き受けて貰っている間、上条は『初期設定』を考えていた。
(どっちかが告白とかじゃなく、何度も会ってる内に親密になった、という事でいいか)
(下手に物語作っても破綻するしな。よし、スキをみて御坂に伝えて……)
「で、どっちから告白したの?」
上条は思いっきり吹き出した。
(下手に物語作っても破綻するしな。よし、スキをみて御坂に伝えて……)
「で、どっちから告白したの?」
上条は思いっきり吹き出した。
「わ、わたし」
(御坂!?)
「ほほう、奥手な美琴ちゃんからとはね……」
「当麻さんったら、女の子から告白させるなんて……やっぱり刀夜さんの子ねぇ」
「あの、大覇星祭で勝負して、その罰ゲームって話になって」
「ああ、美琴ちゃん勝ったのよね。そういえば当麻くんに何やらせたのか気になってた」
「それで、罰ゲームで携帯のペア契約お願いしますって。それでOK貰って」
「ペア契約って……美琴ちゃんスゴイじゃない。いつからそんな積極的になったの!?」
「あらあら、今時の告白の仕方ってこういうパターンもあるのねぇ。さすが学園都市ね~」
(御坂!?)
「ほほう、奥手な美琴ちゃんからとはね……」
「当麻さんったら、女の子から告白させるなんて……やっぱり刀夜さんの子ねぇ」
「あの、大覇星祭で勝負して、その罰ゲームって話になって」
「ああ、美琴ちゃん勝ったのよね。そういえば当麻くんに何やらせたのか気になってた」
「それで、罰ゲームで携帯のペア契約お願いしますって。それでOK貰って」
「ペア契約って……美琴ちゃんスゴイじゃない。いつからそんな積極的になったの!?」
「あらあら、今時の告白の仕方ってこういうパターンもあるのねぇ。さすが学園都市ね~」
これはどういうことだ。上条は呆然としていた。
美琴は全く嘘を言っていない。肝心な部分を端折ったりもしていない。
なのに、この話で上条と美琴が恋仲であることが保証されつつある?
つまり……
普通、世間一般では、アレは、『告白』で、『交際OK』したことになるのか!?
上条はあの時のシチュエーションを思い出す。
御坂妹やラストオーダーの乱入で、美琴は結局怒って帰ってしまい、
その後は学園自体が無茶苦茶な状態になり、有耶無耶で終わってしまった。
美琴は全く嘘を言っていない。肝心な部分を端折ったりもしていない。
なのに、この話で上条と美琴が恋仲であることが保証されつつある?
つまり……
普通、世間一般では、アレは、『告白』で、『交際OK』したことになるのか!?
上条はあの時のシチュエーションを思い出す。
御坂妹やラストオーダーの乱入で、美琴は結局怒って帰ってしまい、
その後は学園自体が無茶苦茶な状態になり、有耶無耶で終わってしまった。
まさか。
俺は美琴の告白に気がつかず、スルーしてたってのか?
ゲコ太ストラップが本命だったなら笑い話だが、
ストラップがダミーなら……あの怒りは……そういう事なのか?
その可能性に、上条は愕然としていた。
俺は美琴の告白に気がつかず、スルーしてたってのか?
ゲコ太ストラップが本命だったなら笑い話だが、
ストラップがダミーなら……あの怒りは……そういう事なのか?
その可能性に、上条は愕然としていた。
美琴はスラスラと説明している自分に驚いていた。
といっても事実なので、無理もしていない。
後ろの上条の気配が、次第に落ち着きがなくなっていくのが分かる。
(ふん、あの馬鹿もちょっとは気がついたかしらね……いつも私ばっかり悩ませやがって)
「そこから、お付き合いが始まったということなの。後はもう言わない!」
「言わないって、例えば当麻くんは言葉や行為でこう返してくれた、とかあるでしょ~?」
「言わない!」
「まあまあ美鈴さん。初々しくてホント美琴さんかわいいわぁ。じゃあ当麻さんにお聞きしましょうか」
母親からのキラーパスに、上条は我に返った。
といっても事実なので、無理もしていない。
後ろの上条の気配が、次第に落ち着きがなくなっていくのが分かる。
(ふん、あの馬鹿もちょっとは気がついたかしらね……いつも私ばっかり悩ませやがって)
「そこから、お付き合いが始まったということなの。後はもう言わない!」
「言わないって、例えば当麻くんは言葉や行為でこう返してくれた、とかあるでしょ~?」
「言わない!」
「まあまあ美鈴さん。初々しくてホント美琴さんかわいいわぁ。じゃあ当麻さんにお聞きしましょうか」
母親からのキラーパスに、上条は我に返った。
「い、いやいや、母親とはいえ言えませんって。自分で悶え死にしちまうわ」
「え~、当麻さんひどぉい」
「言っちゃえ言っちゃえ当麻くん。惚れ直してくれるかもよ~」
知らなかったのか。ボスからは逃げられない。
上条の頭にどこかで聞いたようなフレーズがこだまする。
逃げられない、ならば。
「俺は美琴と、その周りの世界を守る、と誓っているんです。それしか言えない」
「え~、当麻さんひどぉい」
「言っちゃえ言っちゃえ当麻くん。惚れ直してくれるかもよ~」
知らなかったのか。ボスからは逃げられない。
上条の頭にどこかで聞いたようなフレーズがこだまする。
逃げられない、ならば。
「俺は美琴と、その周りの世界を守る、と誓っているんです。それしか言えない」
親たちの動きが止まった。美琴の動きも。
美鈴が右手で髪をかき上げる。
「あちゃ~、こりゃ惚れるわ。参ったね。これがまた有言実行君だしね」
「わが子ながら、これは天性のものかしらね……」
どうやら合格点を貰えたらしい。
美琴は真っ赤になっていた。
(あの台詞をここで言うなんてっ!……あの馬鹿ってば)
美鈴が右手で髪をかき上げる。
「あちゃ~、こりゃ惚れるわ。参ったね。これがまた有言実行君だしね」
「わが子ながら、これは天性のものかしらね……」
どうやら合格点を貰えたらしい。
美琴は真っ赤になっていた。
(あの台詞をここで言うなんてっ!……あの馬鹿ってば)
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「ねえ詩菜さん。学園都市に子供を預けてるってのは不安だけど……子供ってきちんと育つのねー」
「ホントねえ。たぶんこの子たちは出来すぎだと思いますけどねぇ」
所変わって美琴の家に向かう車の中。
前が親たち、後ろが子供たちの構図である。
なにやら合同でおせち料理を作っており、午前中も一緒に作っていたらしい。
美琴の帰る時間が両家に伝わってたのは当たり前だったのだ。
「ウチは何もしなくていいのかよ?大掃除とかさ」
「引越したばかりで、まだ綺麗だし。この数カ月の汚れなら刀夜さん一人で十分ですって」
「引越し?実家でしょ?」
「ああ、新居が燃えちまってな。実家に戻ってきたんだよ」
「当麻ぜんぜんそういう事教えてくんないのね……」
(コ、コイツもう数カ月恋人状態であると錯覚してないか?)
「当麻くんはあんまり自分の事話さないタイプかな~?」
「はは、まあ……」
記憶がないから下手に話せないのだが、こういう話の流れは過去話に移行しやすいので、
上条は強引に話を変える。
「ホントねえ。たぶんこの子たちは出来すぎだと思いますけどねぇ」
所変わって美琴の家に向かう車の中。
前が親たち、後ろが子供たちの構図である。
なにやら合同でおせち料理を作っており、午前中も一緒に作っていたらしい。
美琴の帰る時間が両家に伝わってたのは当たり前だったのだ。
「ウチは何もしなくていいのかよ?大掃除とかさ」
「引越したばかりで、まだ綺麗だし。この数カ月の汚れなら刀夜さん一人で十分ですって」
「引越し?実家でしょ?」
「ああ、新居が燃えちまってな。実家に戻ってきたんだよ」
「当麻ぜんぜんそういう事教えてくんないのね……」
(コ、コイツもう数カ月恋人状態であると錯覚してないか?)
「当麻くんはあんまり自分の事話さないタイプかな~?」
「はは、まあ……」
記憶がないから下手に話せないのだが、こういう話の流れは過去話に移行しやすいので、
上条は強引に話を変える。
「えと、聞いたらマズイのかな?美琴のお父さんは……?」
「ああ、ウチの人はちゃんと戻ってくる予定だったんだけど……」
「……向こうが悪天候らしくて。こっちはこんなにいい天気なのに」
ちょっと美琴がムクれて言う。
「海外か。大変だなー」
「そういえば当麻。私をほっといて海外行きまくってるよね?どういう事?」
「あらあら、初耳。当麻さん何しに行ってるの?」
……どう話を振っても追い詰められる上条であった。
「ああ、ウチの人はちゃんと戻ってくる予定だったんだけど……」
「……向こうが悪天候らしくて。こっちはこんなにいい天気なのに」
ちょっと美琴がムクれて言う。
「海外か。大変だなー」
「そういえば当麻。私をほっといて海外行きまくってるよね?どういう事?」
「あらあら、初耳。当麻さん何しに行ってるの?」
……どう話を振っても追い詰められる上条であった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
駅から10分少々で美琴の家に着いた。
車内の1vs3攻撃ですでにグッタリな上条は、「不幸だ不幸だ」とブツブツつぶやいている。
美琴のお嬢様っぷりを見て、下手すりゃプール付きの大豪邸も有り得ると思っていたのだが、
広さは至ってノーマルで、質重視の西洋風住宅だった。
「んふふ、どういう家をイメージしてたかわかんないけど……」
美鈴が上条に話しかける。
「コレほとんど全部あたしの好みでやってまーす。家も注文住宅」
「は~。スゲエ」
「広いとメンテナンス大変だしね、ほとんど一人だから……美琴ちゃん、ママ寂しい」
「はいはい……着替えてくるね」
「なにそのスルースキル。んじゃどうしよっかな。当麻くんはのんびりしてていいけど」
「あ~、力仕事ならやりますよ。あとおせち料理もちょっと興味あったり」
「じゃあ台所へ~、おせち見て見て。力仕事なら……」
そういって美鈴は力こぶを見せる。俺より逞しそうだと上条は首を振る。
車内の1vs3攻撃ですでにグッタリな上条は、「不幸だ不幸だ」とブツブツつぶやいている。
美琴のお嬢様っぷりを見て、下手すりゃプール付きの大豪邸も有り得ると思っていたのだが、
広さは至ってノーマルで、質重視の西洋風住宅だった。
「んふふ、どういう家をイメージしてたかわかんないけど……」
美鈴が上条に話しかける。
「コレほとんど全部あたしの好みでやってまーす。家も注文住宅」
「は~。スゲエ」
「広いとメンテナンス大変だしね、ほとんど一人だから……美琴ちゃん、ママ寂しい」
「はいはい……着替えてくるね」
「なにそのスルースキル。んじゃどうしよっかな。当麻くんはのんびりしてていいけど」
「あ~、力仕事ならやりますよ。あとおせち料理もちょっと興味あったり」
「じゃあ台所へ~、おせち見て見て。力仕事なら……」
そういって美鈴は力こぶを見せる。俺より逞しそうだと上条は首を振る。
詩菜は勝手知ったるという感じで、すでにおせち作りを再開していた。
「お~、IH調理器に食洗機、広いシステムキッチン……いいなあコレ」
上条は貧素な寮の台所まわりとの差に悄然とする。
20年先は進んでいると言われている学園都市も、寮レベルでは外と変わらない。
「当麻くんは料理できるんだっけ。一人暮らし長いもんね」
「すっげー適当ですよ。味はともかく見た目最悪だし」
「美琴ちゃんと逆ねえ。あの子きっちりしすぎて大さじ2杯とされたらその通りしかやんないし」
「コラー!変な先入観植え付けんなー!」
やたら早く美琴がエプロン姿で戻ってきた。どうやらコートとエプロンが交換されただけのようだ。
美琴の初エプロン姿に、上条はやや動揺する。
「お~、IH調理器に食洗機、広いシステムキッチン……いいなあコレ」
上条は貧素な寮の台所まわりとの差に悄然とする。
20年先は進んでいると言われている学園都市も、寮レベルでは外と変わらない。
「当麻くんは料理できるんだっけ。一人暮らし長いもんね」
「すっげー適当ですよ。味はともかく見た目最悪だし」
「美琴ちゃんと逆ねえ。あの子きっちりしすぎて大さじ2杯とされたらその通りしかやんないし」
「コラー!変な先入観植え付けんなー!」
やたら早く美琴がエプロン姿で戻ってきた。どうやらコートとエプロンが交換されただけのようだ。
美琴の初エプロン姿に、上条はやや動揺する。
美鈴はその動揺を見逃さず、
「あっれ~、当麻くん。女の子のエプロン姿にムラムラしてない~?」
「なに言ってんのよこのバカ親!エプロン一つで何でそうなるのよ!」
「……美琴ちゃんはエプロンの破壊力知らないのね……そのまま当麻くん見つめてごらん」
美琴がそのまま上条を見つめてくる。
「………」
上条は5秒でそっぽを向いた。エプロン+見つめる攻撃は正視するのは不可能である。
「ね?」
「……」 (美琴はあきれた目に切り替わっている)
「そういや彼のウチにご飯作りに行ってあげたりしないの?美琴ちゃん」
「いやスミマセン。免疫なくてスミマセン!ウチの寮女子禁制なんですスミマセン!」
上条は早々に降参モードでこの空気からの脱出を図る。
「あっれ~、当麻くん。女の子のエプロン姿にムラムラしてない~?」
「なに言ってんのよこのバカ親!エプロン一つで何でそうなるのよ!」
「……美琴ちゃんはエプロンの破壊力知らないのね……そのまま当麻くん見つめてごらん」
美琴がそのまま上条を見つめてくる。
「………」
上条は5秒でそっぽを向いた。エプロン+見つめる攻撃は正視するのは不可能である。
「ね?」
「……」 (美琴はあきれた目に切り替わっている)
「そういや彼のウチにご飯作りに行ってあげたりしないの?美琴ちゃん」
「いやスミマセン。免疫なくてスミマセン!ウチの寮女子禁制なんですスミマセン!」
上条は早々に降参モードでこの空気からの脱出を図る。
「さあさあ、手が止まってますよ~。美琴さんには何作って貰おうかな~」
「あ、手伝います」
美琴がいそいそと詩菜の所へ駆け寄る。
「ん~と、じゃあ筑前煮作りましょうか。あの子大好きだし、これなら冷えても美味しいからお弁当でも、ね」
「もしかして上条家直伝の味付けとか?」
「あらあら、鋭いわね美琴さん。伝授するから覚えてね♪厳密には龍神家直伝だけど……」
「はい!お願いします。……お母様」
流石に最後の言葉は照れたのか、小さな声になる。
「うふふ。様なんて堅苦しくしなくていいわよー。詩菜さんでもお母さんでも。んもう、ホントかわいいっ」
「あ、手伝います」
美琴がいそいそと詩菜の所へ駆け寄る。
「ん~と、じゃあ筑前煮作りましょうか。あの子大好きだし、これなら冷えても美味しいからお弁当でも、ね」
「もしかして上条家直伝の味付けとか?」
「あらあら、鋭いわね美琴さん。伝授するから覚えてね♪厳密には龍神家直伝だけど……」
「はい!お願いします。……お母様」
流石に最後の言葉は照れたのか、小さな声になる。
「うふふ。様なんて堅苦しくしなくていいわよー。詩菜さんでもお母さんでも。んもう、ホントかわいいっ」
(何だコレ何だコレ何だコレ)
もはや恋人どころか婚約者モードである。
もうあれは嘘でしたゴメンナサイが通用するレベルではない。
絶望に追い詰められた者を右手一本で救い出してきた上条当麻が、絶望に追い詰められていた。
もはや恋人どころか婚約者モードである。
もうあれは嘘でしたゴメンナサイが通用するレベルではない。
絶望に追い詰められた者を右手一本で救い出してきた上条当麻が、絶望に追い詰められていた。
「んっ、おいしっ♪」
筑前煮は上出来な代物となった。
どうやらみりんの使い方に上条家独特のものがあるらしく、
みりん多めのためテリが強く甘みもやや強くなる、が、特に美琴が嫌な味付けでもなかった。
「これが、あの子が昔ずっと食べていた味。機会があったら作ってあげてねぇ」
「は、はい。ありがとうございます、詩菜さん」
そこへ上条がひょいっと顔を出す。
「おー、出来たみたいだなー。感心感心」
詩菜と美琴が何やらゴショゴショと小声で話している。
「まあ、お約束ってことで。当麻さん?」
「はい?」
「はい、あーん」
頬を真っ赤にして、箸に鶏肉を挟んで手を突き出している美琴の姿が、そこにあった。
筑前煮は上出来な代物となった。
どうやらみりんの使い方に上条家独特のものがあるらしく、
みりん多めのためテリが強く甘みもやや強くなる、が、特に美琴が嫌な味付けでもなかった。
「これが、あの子が昔ずっと食べていた味。機会があったら作ってあげてねぇ」
「は、はい。ありがとうございます、詩菜さん」
そこへ上条がひょいっと顔を出す。
「おー、出来たみたいだなー。感心感心」
詩菜と美琴が何やらゴショゴショと小声で話している。
「まあ、お約束ってことで。当麻さん?」
「はい?」
「はい、あーん」
頬を真っ赤にして、箸に鶏肉を挟んで手を突き出している美琴の姿が、そこにあった。
(早く食べなさいよ馬鹿)
意外にあっさり、ぱくっ!と上条は食べてくれた。
「うめえ」
味を再現できたかしら?と思ったと同時に「あっ!」と思い出した。
上条当麻には記憶がない。比較する味がないのだ。
「もっとクレ」
「ダメ!明日になったら好きなだけ食べなさい!」
「あらあら、当麻さん的にはお味はど~う?上条家の味に仕上げて貰ったけど」
「一切れじゃなあ。でも旨かったぞ。これからも向こうで食えるんだよな?」
「き、機会があればね!」
そう言いながらレンコンを箸でつまんで上条に差し出す。
上条はぱくっと食いつき、ニコニコと食べてくれている。
(あー、満たされる~)
ちょっと違う世界に飛びそうになったので、美琴は慌てて首をふり、
「じゃあ詩菜さん、そろそろ盛り付けしません?」
「そうね~、美鈴さんが始めてるから、そちらに移りましょ~」
「はーい」
意外にあっさり、ぱくっ!と上条は食べてくれた。
「うめえ」
味を再現できたかしら?と思ったと同時に「あっ!」と思い出した。
上条当麻には記憶がない。比較する味がないのだ。
「もっとクレ」
「ダメ!明日になったら好きなだけ食べなさい!」
「あらあら、当麻さん的にはお味はど~う?上条家の味に仕上げて貰ったけど」
「一切れじゃなあ。でも旨かったぞ。これからも向こうで食えるんだよな?」
「き、機会があればね!」
そう言いながらレンコンを箸でつまんで上条に差し出す。
上条はぱくっと食いつき、ニコニコと食べてくれている。
(あー、満たされる~)
ちょっと違う世界に飛びそうになったので、美琴は慌てて首をふり、
「じゃあ詩菜さん、そろそろ盛り付けしません?」
「そうね~、美鈴さんが始めてるから、そちらに移りましょ~」
「はーい」
洗い物でも手伝いたかった上条だが、食洗機に出番を取られている。
女3人の近くにいけばネタにされるし、
寂しくTVの特番でも見ているしかなかった。
女3人の近くにいけばネタにされるし、
寂しくTVの特番でも見ているしかなかった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
各々のお重におせち料理は綺麗に盛り付けられ、無事完了した。
しばらくして上条刀夜が迎えに来て、詩菜と当麻は車に乗って帰っていった。
「ふう……」
ベランダに出て美琴はため息をつく。ずっと気を張り詰めっぱなしだったのだ。
「なんで帰り際にハグしなかったの?」
「するかっ!」
「んふふ……でもほんと……いい子見つけたわよ」
「///」
「ま、今日は親子水入らずで……馴れ初めから色々と全部話しても・ら・う・からねえ~~~」
「!!!」
(本当は抱えてる悩み……秘密の方を聞きたいトコだけどネ。今日はまあいっか☆)
しばらくして上条刀夜が迎えに来て、詩菜と当麻は車に乗って帰っていった。
「ふう……」
ベランダに出て美琴はため息をつく。ずっと気を張り詰めっぱなしだったのだ。
「なんで帰り際にハグしなかったの?」
「するかっ!」
「んふふ……でもほんと……いい子見つけたわよ」
「///」
「ま、今日は親子水入らずで……馴れ初めから色々と全部話しても・ら・う・からねえ~~~」
「!!!」
(本当は抱えてる悩み……秘密の方を聞きたいトコだけどネ。今日はまあいっか☆)