―12月、某日、ショッピングセンター。
私たち家族は電車で隣に一駅のところにある、大型ショッピングセンターへ来ていた。
この駅は、乗換えのターミナル駅としての役目もあり、家の最寄り駅とは比較にならない規模の駅だ。
この駅は、乗換えのターミナル駅としての役目もあり、家の最寄り駅とは比較にならない規模の駅だ。
さて、このショッピングセンター。
野球場を取り壊した跡地に立てられたものらしく、駅の規模同様かなりの大きさを誇っている。
内部は大きく専門店街、百貨店、スーパーマーケットの3つに分かれており、
衣料品店、家電量販店、超巨大書店、食料品街、雑貨屋、CDショップ、果ては映画館まである。
故に「ここに来ればなんでもそろう」というのが、近隣住民の見解だ。
野球場を取り壊した跡地に立てられたものらしく、駅の規模同様かなりの大きさを誇っている。
内部は大きく専門店街、百貨店、スーパーマーケットの3つに分かれており、
衣料品店、家電量販店、超巨大書店、食料品街、雑貨屋、CDショップ、果ては映画館まである。
故に「ここに来ればなんでもそろう」というのが、近隣住民の見解だ。
ただし「大きくて何でもそろえばそれでいい」という訳でもない。
大き過ぎるが故に、店内を一回りするだけでかなりの体力を持っていかれるし、
お目当ての店を探すのにも相当骨が折れる。
故に「ここに来るのは月に1回でいい」というのもまた、近隣住民の見解である。
大き過ぎるが故に、店内を一回りするだけでかなりの体力を持っていかれるし、
お目当ての店を探すのにも相当骨が折れる。
故に「ここに来るのは月に1回でいい」というのもまた、近隣住民の見解である。
そして、我が家にとって、ここは鬼門と言うべき場所でもあるのだ。
それは…
『お呼出申し上げます。N市からお越しの上条様。お子様をお預かりしております。2階、ウエルカムガーデンまで…』
そう。
愛娘、さくらの存在である。
おてんば娘が、こんな場所に来てはしゃがない訳が無い。
あっちにはおもちゃ、こっちにはおかし。
血に飢えたゾンビのようにふらふらと彷徨い歩く。
結果、ここに来るとほぼ100%と言っていい程の確率で迷子になるのだ。
愛娘、さくらの存在である。
おてんば娘が、こんな場所に来てはしゃがない訳が無い。
あっちにはおもちゃ、こっちにはおかし。
血に飢えたゾンビのようにふらふらと彷徨い歩く。
結果、ここに来るとほぼ100%と言っていい程の確率で迷子になるのだ。
確かに目を離した私たちが悪いと言われればそれまでだ。
管理不行き届きもいいところである。
管理不行き届きもいいところである。
ところがどっこい。
さくらは、私たちがフロアガイドを確認してる間に消え去るという、恐るべき芸当を披露してくれた。
能力開発など必要とせずに、テレポートの超能力を発揮したのではないか。
そう感じさせる程、驚異的なスピードで視界から消え去った。
『恐るべき子供』である。
さくらは、私たちがフロアガイドを確認してる間に消え去るという、恐るべき芸当を披露してくれた。
能力開発など必要とせずに、テレポートの超能力を発揮したのではないか。
そう感じさせる程、驚異的なスピードで視界から消え去った。
『恐るべき子供』である。
始めて迷子になった時は慌てふためき、大声で名前を呼びながら必死になって探したものだ。
それも何度か繰り返すと耐性がついてくるらしく、『またか』という考えになってくる。
さながらオオカミ少年のようである。
それも何度か繰り返すと耐性がついてくるらしく、『またか』という考えになってくる。
さながらオオカミ少年のようである。
しかし、万が一ということもあるので、そうは言ってられない。
一刻も早くサルベージしに行かなければ。
私たちは2階のサービスカウンターへと向かっていった。
一刻も早くサルベージしに行かなければ。
私たちは2階のサービスカウンターへと向かっていった。
「もう!あれ程うろちょろするなって言ったのに!」
「ごめんなさーい」
ガイドのお姉さんに手を引かれ、こちらへやってくるさくら。
その態度に悪びれる様子は無く、まるで鬼ごっこで捕まったかのように軽い調子で謝罪する。
「ごめんなさーい」
ガイドのお姉さんに手を引かれ、こちらへやってくるさくら。
その態度に悪びれる様子は無く、まるで鬼ごっこで捕まったかのように軽い調子で謝罪する。
(この器のでかさは将来有望ね。末は女優か総理大臣か…)
と、内心つぶやく。
言ってしまいたいが、ここで言ってしまうと哀れな親バカになるので黙っておいた。
と、内心つぶやく。
言ってしまいたいが、ここで言ってしまうと哀れな親バカになるので黙っておいた。
ところが。
「さくらは器がでかいな!将来有望だ!末は女優か?それとも総理大臣になるのか?」
哀れな親バカはここにいた。
私は深々とため息をつき、肩をおとす。
サービスカウンターのお姉さんの笑顔も心無しか引きつって見える。
「さくら、ゲコ太になりたい!」
どうやら熱い期待は、愛娘にうまく伝わっていないようだった。
…まぁ、確かにゲコ太になりたいのは分かるけれど。
「さくらは器がでかいな!将来有望だ!末は女優か?それとも総理大臣になるのか?」
哀れな親バカはここにいた。
私は深々とため息をつき、肩をおとす。
サービスカウンターのお姉さんの笑顔も心無しか引きつって見える。
「さくら、ゲコ太になりたい!」
どうやら熱い期待は、愛娘にうまく伝わっていないようだった。
…まぁ、確かにゲコ太になりたいのは分かるけれど。
そんなこんなで昼下がり。
無事にさくらのランドセルも見繕い、帰路につく。
ショッピングセンターから駅へ通じる、動く歩道に乗る。
さくらは物珍しそうにきょろきょろそわそわしている。
好奇心の塊が爆発するのも時間の問題だろう。
一刻も早く爆発物処理班を要請しなければ。
…かく言う私も、少しテンションが上がっていたりするのだが。
無事にさくらのランドセルも見繕い、帰路につく。
ショッピングセンターから駅へ通じる、動く歩道に乗る。
さくらは物珍しそうにきょろきょろそわそわしている。
好奇心の塊が爆発するのも時間の問題だろう。
一刻も早く爆発物処理班を要請しなければ。
…かく言う私も、少しテンションが上がっていたりするのだが。
「きゃー!これはやいー!」
爆発物処理班の到着を待たずして、さくらの好奇心はビッグバン。
勢いに乗ったさくらは、動く歩道の終点まで猛ダッシュしていく。
爆発物処理班の到着を待たずして、さくらの好奇心はビッグバン。
勢いに乗ったさくらは、動く歩道の終点まで猛ダッシュしていく。
ああ。
何というテンプレート。
何というお約束な展開。
果たしてこの子は小学生としての責務を全う出来るのか。
先ほどとうってかわって、将来が危ぶまれる。
何というテンプレート。
何というお約束な展開。
果たしてこの子は小学生としての責務を全う出来るのか。
先ほどとうってかわって、将来が危ぶまれる。
「ねぇ、当麻。さくらの…」
当麻に相談しようと後ろを振り返り、そこまで言ったところで思わず口を噤む。
信じられない、信じたくない光景が、そこにはあった。
当麻に相談しようと後ろを振り返り、そこまで言ったところで思わず口を噤む。
信じられない、信じたくない光景が、そこにはあった。
当麻は、周囲の人の迷惑そうな視線をものともせず、動く歩道を逆向きに歩いていた。
周囲とは対照的な、晴れ晴れとした笑顔を浮かべながら。
「外から見ればムーンウォークしてるように見えるんじゃねえかこれ!」
「ムービングウォークでムーンウォーク!なんちって!」
周囲とは対照的な、晴れ晴れとした笑顔を浮かべながら。
「外から見ればムーンウォークしてるように見えるんじゃねえかこれ!」
「ムービングウォークでムーンウォーク!なんちって!」
本日2回目の深―いため息をつく。
もうすぐ三十路に差し掛かろうという親が、幼稚園児の娘と同レベルのはしゃぎ方とは。
情けなくて涙が出そうになる。
「勝手にやってろばーか」
そう言い残して私は出口を目指した。
同類に思われるのは勘弁願いたい。
もうすぐ三十路に差し掛かろうという親が、幼稚園児の娘と同レベルのはしゃぎ方とは。
情けなくて涙が出そうになる。
「勝手にやってろばーか」
そう言い残して私は出口を目指した。
同類に思われるのは勘弁願いたい。
動く歩道の降り口に差し掛かり、急激なスピードダウンで視界が揺らぐ。
思わず転びそうになるが、寸での所でこらえた。
ここで転んでいたら、肉体と精神、2つの意味で『痛い』思いをするところだった。
まぁ、後ろには『もっとイタい』大人がいるのだけれど。
思わず転びそうになるが、寸での所でこらえた。
ここで転んでいたら、肉体と精神、2つの意味で『痛い』思いをするところだった。
まぁ、後ろには『もっとイタい』大人がいるのだけれど。
「ままーきっぷはやくー!」
さくらは既に出口に到着していたらしく、券売機の前でせからしそうに待っている。
さくらは既に出口に到着していたらしく、券売機の前でせからしそうに待っている。
しかし、さくらはまだ5歳。
本来ならば幼児扱いなので無料で乗車できるけれど、わざわざ小児運賃で切符を買っている。
曰く、
「さくらもうショウガクセイだもん!おねえさんだもん!」
とのことである。
本来ならば幼児扱いなので無料で乗車できるけれど、わざわざ小児運賃で切符を買っている。
曰く、
「さくらもうショウガクセイだもん!おねえさんだもん!」
とのことである。
全く、この頑固さは誰に似たのだろう。
わたしが100円を渡し、抱っこしてあげると、手際良くこどもボタンと料金ボタンを押して切符を買う。
本来なら支払う必要のない100円。
しかし、100円で社会勉強が出来るのなら安いものだ。
わたしが100円を渡し、抱っこしてあげると、手際良くこどもボタンと料金ボタンを押して切符を買う。
本来なら支払う必要のない100円。
しかし、100円で社会勉強が出来るのなら安いものだ。
「よくできましたー!」
「さくら、もうおねえさんだもーん!」
そう言うや否や、猛スピードで改札口を突破し、一人で駅内部へと闖入ならぬ、突入していく。
「さくら、もうおねえさんだもーん!」
そう言うや否や、猛スピードで改札口を突破し、一人で駅内部へと闖入ならぬ、突入していく。
さて、問題は後ろのマ○ケルジャ○ソンだ。
さすがに正気に戻っただろうと思い、後ろを見てみる。
何やら動く歩道の真ん中に大勢の人だかりが出来ており、そのせいで人の流れが阻害されている。
騒ぎの中心部から、ツンツンの黒髪が覗いており、そこから『ポウ!』という奇声が聞こえる。
さすがに正気に戻っただろうと思い、後ろを見てみる。
何やら動く歩道の真ん中に大勢の人だかりが出来ており、そのせいで人の流れが阻害されている。
騒ぎの中心部から、ツンツンの黒髪が覗いており、そこから『ポウ!』という奇声が聞こえる。
ホント、勝手にやってろばーか。
私は背後のバカを放置したまま、駅構内へ入っていった。
私は背後のバカを放置したまま、駅構内へ入っていった。
駅構内は私たちのような家族連れや、買い物に出ていた女子高生らしき集団でごった返していた。
改札口に押し寄せる人いきれに思わず身構えてしまう。
改札口に押し寄せる人いきれに思わず身構えてしまう。
この駅は東西南北全方向に線路が通っている為、必然的にホームの数も多くなる。
故に、出口やホームの位置を示す看板がいたるところに掲げられており、さながら障害物のない大迷路のようである。
また、改札内にもかかわらず、書店や喫茶店、洋服屋などが立ち並んでおり、
小さなショッピングフロアという雰囲気も併せ持っている。
所謂『エキナカビジネス』というやつだ。
故に、出口やホームの位置を示す看板がいたるところに掲げられており、さながら障害物のない大迷路のようである。
また、改札内にもかかわらず、書店や喫茶店、洋服屋などが立ち並んでおり、
小さなショッピングフロアという雰囲気も併せ持っている。
所謂『エキナカビジネス』というやつだ。
そんな中に突入していったさくら。
また迷子になってしまわないか心配になってくる。
また迷子になってしまわないか心配になってくる。
「さーくらー!迷子になるよー!」
大声で叫びながら、駅構内を歩き回る。
可能性があるとすれば、女性向けの服屋か、スイーツショップか。
幼稚園児にして、既に女子力向上を図っているかようなチョイスである。
子供過ぎてヤンチャなのも、大人過ぎてオマセさんなのも困り者だ。
大声で叫びながら、駅構内を歩き回る。
可能性があるとすれば、女性向けの服屋か、スイーツショップか。
幼稚園児にして、既に女子力向上を図っているかようなチョイスである。
子供過ぎてヤンチャなのも、大人過ぎてオマセさんなのも困り者だ。
入り口直ぐの洋服店を覗く。
淡いピンクのパステルカラーが前面に押し出されたデザインで、
いかにも『女子力向上!』といった趣である。
しかし、店内には麗しき女子高生軍団がいるだけで、さくらはいなかった。
淡いピンクのパステルカラーが前面に押し出されたデザインで、
いかにも『女子力向上!』といった趣である。
しかし、店内には麗しき女子高生軍団がいるだけで、さくらはいなかった。
続いて改札口から入って正面にある書店の中を覗く。
さくらは書店に入ると直ぐトイレに行きたがるので、あまり行きたがらない。
なので、可能性は低かったのだが、念のため中を確認する。
店内は時間つぶしと思われる若者ばかりで、やはりそこにもさくらの姿は無かった。
さくらは書店に入ると直ぐトイレに行きたがるので、あまり行きたがらない。
なので、可能性は低かったのだが、念のため中を確認する。
店内は時間つぶしと思われる若者ばかりで、やはりそこにもさくらの姿は無かった。
(全く…どこいっちゃったのかしら)
やれやれとため息をつきながら、書店を後にする。
やれやれとため息をつきながら、書店を後にする。
突然、衣を裂いたような女性の叫び声と、大きなどよめきの声が聞こえる。
声の出所を探ると、駅中央の『カリヨンの鐘』と呼ばれる時計がある、広場の方からだ。
野次馬の人だかりと、騒ぎから離れようとする人だかりの群れをかき分け、中心部を覗く。
声の出所を探ると、駅中央の『カリヨンの鐘』と呼ばれる時計がある、広場の方からだ。
野次馬の人だかりと、騒ぎから離れようとする人だかりの群れをかき分け、中心部を覗く。
そこには。
大声をあげながら暴れまわる男と、肩を押さえてうずくまる女。
ただし、男の手には刃渡り15センチに迫ろうかという大きさのナイフ。
そして双方、全身を『赤』に染めていた。
大声をあげながら暴れまわる男と、肩を押さえてうずくまる女。
ただし、男の手には刃渡り15センチに迫ろうかという大きさのナイフ。
そして双方、全身を『赤』に染めていた。
鬼気迫る男の表情、絵の具のような赤い色、女の苦悶の表情。
全てがドラマか映画のワンシーンのように見える。
私は、またこの駅で映画を撮っているのかと思った。
全てがドラマか映画のワンシーンのように見える。
私は、またこの駅で映画を撮っているのかと思った。
しかし、
憤怒に狂った男の表情が、
苦痛に歪んだ女の表情が、
周囲に漂う張りつめた空気が、
決してこれは嘘や演技ではないことを如実に示していた。
憤怒に狂った男の表情が、
苦痛に歪んだ女の表情が、
周囲に漂う張りつめた空気が、
決してこれは嘘や演技ではないことを如実に示していた。
周囲の人々は、好奇心と恐怖心の狭間で揺れ動いているようだった。
状況を知りたいが、傷つくのは怖い、でも近づきたい。
まるで恋する乙女のようである。
恋する乙女の集団は、2人を祭り上げるかの如く取り囲んでいる。
ぽっかり空いた舞台には、主演男優と主演女優。
小道具として、鞄と幾つかの買い物袋、箱から飛び出たケーキが無惨に散らばっていた。
ケーキが勿体ないが、そんな悠長なことを言っている場合ではない。
状況を知りたいが、傷つくのは怖い、でも近づきたい。
まるで恋する乙女のようである。
恋する乙女の集団は、2人を祭り上げるかの如く取り囲んでいる。
ぽっかり空いた舞台には、主演男優と主演女優。
小道具として、鞄と幾つかの買い物袋、箱から飛び出たケーキが無惨に散らばっていた。
ケーキが勿体ないが、そんな悠長なことを言っている場合ではない。
中には男に制止を促したり女を助けようとする人もいたが、男が振るうナイフと、
「うるせえ!一歩でも近寄ったらぶっ殺すからな!」
という、お決まりの台詞を前にして、何も出来ないでいた。
「うるせえ!一歩でも近寄ったらぶっ殺すからな!」
という、お決まりの台詞を前にして、何も出来ないでいた。
ふと、ある事に気付いた。
よたよたと男の足下に歩み寄る小さな影があることに。
よたよたと男の足下に歩み寄る小さな影があることに。
その影に見覚えがあった。
そして、ついさっきも見たばかりである。
見間違える筈がない。
ここ5年間、毎日目にしているのだから。
そして、ついさっきも見たばかりである。
見間違える筈がない。
ここ5年間、毎日目にしているのだから。
気付いた頃には遅かった。
落ちているケーキに歩み寄るさくら。
そこへ襲い来る刃物。
その瞬間がスローモーションのように見える。
スローモーションで流れゆく惨劇を目の当たりにしながら、私は祈った。
落ちているケーキに歩み寄るさくら。
そこへ襲い来る刃物。
その瞬間がスローモーションのように見える。
スローモーションで流れゆく惨劇を目の当たりにしながら、私は祈った。
(お願い神様!さくらを助けてください!)
そんな都合の良い神頼みで奇跡が起きる筈が無い。
(ママ!さくらを助けてあげて!)
バカか私は。
ママは私じゃないか。
(じゃあ当麻!『あの時』みたいに私の大切なものを守って!)
しかし、願いは届かず、さくらと刃物の距離は縮まる一方。
そんな都合の良い神頼みで奇跡が起きる筈が無い。
(ママ!さくらを助けてあげて!)
バカか私は。
ママは私じゃないか。
(じゃあ当麻!『あの時』みたいに私の大切なものを守って!)
しかし、願いは届かず、さくらと刃物の距離は縮まる一方。
何でも解決してくれるママがいないのも、
困った時だけ神頼みしても奇跡は起きないのも
『あの時』イヤという程味わったではないか。
困った時だけ神頼みしても奇跡は起きないのも
『あの時』イヤという程味わったではないか。
そして。
今回は『妹達』の時の様に、泣き叫んでいたら助けてくれるヒーローが現れることも無いようだ。
今回は『妹達』の時の様に、泣き叫んでいたら助けてくれるヒーローが現れることも無いようだ。
?
『あの時』?
『あの時』っていつ?
『妹達』ってなに?
!
全身に電気が駆け巡るような感覚に陥る。
そうだ!
私は……
私は……
ナイフがさくらに到達することは無かった。
その前に男が倒れ伏せたからだ。
男は感電のショックで泡を吹いて気絶している。
感電の原因は、雷でもスタンガンでも漏電でもない。
その前に男が倒れ伏せたからだ。
男は感電のショックで泡を吹いて気絶している。
感電の原因は、雷でもスタンガンでも漏電でもない。
他ならぬ私自身の手によってである。
全ての記憶が戻った。
私は、学園都市最強の電撃使い。
私は、学園都市最強の電撃使い。
『超電磁砲』