とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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時代劇編 幕間い




さてここは城下を見下ろす常盤城は天守閣。ご母堂譲りの雷神の加護を持つ姫君・美琴姫は今日も今日とて遠眼鏡で寿司屋うおっちんぐ。
「鳳寿司? あそこかなー? あ、寿司の梅吉? あっちかなー。ねー黒子アンタどう思う?」
年頃の娘そのままに、姦しくはしゃぐ姿は町雀さながら。脇侍も兼ねてる女中、黒子を手招きして呼ぶがいつもの間の通り寄ってきませぬ。
不審に思った姫が目を筒口から部屋の隅にやってみれば。その忍び上がりの女中は大きく背を伸ばして壁をひっかいている奇行。
「猫のマネ?」と姫は小首を傾げます。
「いいえ我が君。ワタクシめはとってもこう・・・・・、心配しておりますのよ? 我が君には海原様という許婚がおりながら・・・・」
「えー、あの方は何か合いそうにないもの。隣の藩だから片手の指で足りるほどしか会ったことないし、時々送って寄越す詩は全部百人一首や古今和歌集の剽窃だし」
「しかしですね我が君。どこの馬の骨とも知れぬ寿司屋の丁稚奉公の殿方になど・・・・・」
と、ここで下の階からいま一人の女中、光子参内。よく冷えた抹茶とお菓子が盆の上にあります。平安美人の彼女は、お茶をするのが趣味のようで。
「ささ、姫も黒子さんもそうお熱くならずに。今日は氷室でよく冷やした蜜柿ですよ」
春先に蜜に漬けた柿。とても庶民がおいそれと口に出来るものではありませぬが、このころの美琴姫にはそんなことは分かりませぬ。ただこれをあの方と一緒に食べたいななどと想うのみでありまして。
姫が柿を一口齧ると、瑞々しく溢れ出た甘い果汁が豊満な乳房へと滴り落ちます。姫はそれを黒子ではなく光子に拭かせ、もう一口。これは天上の甘露でしょう。
元中忍のこの二人。黒子は縮地移動、光子は小台風ともうひとつの術を得意とし、よく尽くしてくれています。自分は良き部下に恵まれた。そこのところは素直に天へ感謝する姫でした。
だが。そんな忠臣たちにも嘘をつかねばなりません。これは自分で確かめるべきこと。小なりとも女。情熱は静かに燃やすものにてございます。

その後、姫は日課である女中たちとの歓談やお稽古事を済まし、父である常盤守旅掛、実母美鈴の方とともに夕食を摂り少しの勉学をして眠りに就きます。

そんなわけはございません。城中が寝静まった頃、姫は布団からムックリ起き出し、側の襖を軽く叩き影武者を起こします。
「またでしょうか、と、影は眠い目をこすりつつ姫に尋ねます」「ええまたよ。お願いね」
「如何に雷神の加護あれど、こんな夜更けに年端もいかぬ姫があまりウロチョロと・・・・と、影は・・・」「じゃあしばらくお願いねー」
影の小言を聞かず、町娘風に着替えて海原藩の若殿に贈られた金品を懐にえれきてる色の元気さを振りまいて外出していくじゃじゃ馬姫。恋猫は止められるものではありませぬ。
かくして姫は単身城を飛び出し、城下の賑わいの中に消えたのです。
身代わりは影に任せておいて発覚することは無いでしょう。常盤藩がそのあり余る財に任せ、影武者を集めに集めて二万人。常盤城内の全ての雑事は影たちでまかなっておりまする。
交代で休暇も取ってるため今日何人同じ顔がいるやら、誰も正確には分からないという現状でございまして。
ええ。ただし以前までなら。翌日、女中の黒子と光子は、姫の乳房の嵩が元に戻ってるのを見てまたもやかと肩を落とすのでした。
ちなみにこの話、当麻と元春卿が雪女のもうてるに到着して一泊したのと同じ頃でございます。







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