とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part01

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匿名ユーザー

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12月22日


―――――――――

休日前の放課後。最近の家での勉強の成果あって、珍しく補習の宣告を受けなかった上条当麻がウキウキしながら帰り支度をしていると、後ろから青髪ピアスに声をかけられた。

青ピ「なあ、カミやん。帰りちょっとつきあってくれんか?」

上条「…最初に言っておくけど、上条さんお金ないですよ」

青ピ「ボク、カミやんにたかるほど困ってへんで」

上条「くそ、そう言われると何か悔しいな!」

青ピ「まーまー。ほな、行こか」

教室内を見回し、廊下からこちらに向かってくる足音がないことを確認して、上条は鞄を持ち上げた。

上条「そうだな。小萌先生の気が変わっても困るし」

青ピ「小萌先生の個人指導なんて、ボクから見れば羨ましい限りなんやけどなあ」ハァ

上条「代われるものならいくらでも代わってやるんだけど…」

青ピ「カミやん。それ、小萌先生に聞かれたら…」

上条「!!い、いないよな!?脅かすなよテメエ!!」

ビクッと身体を震わせ、辺りを見回す。担任教師の姿が無いことを確認して、上条は青髪ピアスに掴みかかった。

青ピ「…カミやん、小萌先生が見たら泣くで?」

上条「まだ言う!?そんなに俺を苛めて楽しい!?」

青ピ「カミやんが女の子やったら女王様プレイっぽくて愉しいかもしれへんなあ」ニヘラー

上条「!?なんかニュアンスが違う!?」ビクッ

身の危険を感じて青髪ピアスを突き飛ばすと、彼はまるでバレリーナのようにくるくると回転して階段の側まで行ってこちらを向いて止まった。

青ピ「そんじゃ、ちょっとつきあってもらうで」

上条「…言っておくけど、ホントに俺、貧乏だからな!」

青ピ「あー、ハイハイ、わかってるって」



―――――

繁華街に入ってすぐの場所にあるハンバーガーショップ。財政上の理由で普段なかなか入ることのできない店内の片隅にツンツン頭の少年は座っていた。

目の前のテーブルには『ごきげんバーガセット』と銘打たれていたセットメニューが鎮座している。

上条「…」

青ピ「なんやカミやん。こっちのビックリバーガーの方が良かったか?」

上条「いや、そうじゃないけど…、これ、本当に奢り?」

疑いの眼差しで青髪ピアスを見る。

青ピ「人の好意は素直に受けておくもんやで?」

上条「あとで返せとか言うなよ?」

青ピ「そんなこと言わん。ま、相談料みたいなもんや」

上条「相談料?」

青ピ「うん。まあ、その、なんや…」カァッ

青髪ピアスは頬を染めた。身長180cmの大男が頬を染めている姿は、傍から見ると正直言ってかなり不気味である。

青ピ「…あのな、ボク、姫神ちゃんにマジ惚れしたみたいなんや」

上条「ぶっ!?」ゴホッゴホッ

青ピ「汚なっ!?ボクのポテトにかかってないやろうな!?」

上条「そんなレベルの問題!?」

青ピ「…カミやん、食べ物の恨みは恐ろしいんやで」

上条「食べ物の恨みの恐ろしさは重々承知してますけど!って言うか、マジ惚れ!?守備範囲の広さを売りにしていたお前が!?」

青ピ「言わんといて。ボク、後悔してるんや」

上条「後悔…だと!?」

青ピ「…姫神ちゃんも当然聞いてるやろ?せやからなかなか伝えられへんのや」

上条「…以外とナイーブなんだな、お前」

青ピ「失礼やなカミやん!ボクの心はガラスのように繊細なんやで!」

青髪ピアスは立ち上がってテーブルを叩いた。その音を聞いて周りの席の話し声が一斉に止まり、視線が二人に集中する。

上条「わ、わかったから落ち着け!少しは周りを気にしろ」

青ピ「せ、せやな…」

二人は小さく頷きあうと、青髪ピアスは静かに席に座ってドリンクのストローに口をつける。同時に上条当麻は何事も無かったかのようにバーガーを手に取って食べ始めた。

衆人環視の中で何事も無かったかのように振舞うのは結構大変だったが、周囲の視線はその殆どが二人から離れていき、数分後には何事も無かったかのように賑やかな店内へと戻っていた。

上条「教室と同じテンションはやばかったな」

青ピ「悪かった」ショボン

上条「まあ、青ピらしいけどな」

青ピ「関西人はどうしても突っ込んでしまうからなあ」

上条(いやいや、オマエ関西人じゃないだろ)「…で、なんで俺に?」

青ピ「カミやん、姫神ちゃんのことボクより知ってそうやし」

上条「…おいおい、ここで一緒に会ったのが初めてなの忘れたのか?」

夏休みのある日、ハンバーガーの山を前にテーブルに突っ伏していた巫女装束の少女。それが姫神秋沙であった。

青ピ「もちろん覚えてるわ。…そういえばカミやん、あのとき一緒にいたちびっこシスターと、女子寮の前で抱きついてきた常盤台のコ、どっちが彼女なん?」ニヤニヤ

上条「ぶふぉおおっ!?な、な、なにを言っているんですか!?この男は!?」

突然の質問に、食べていたバーガーを喉に詰まらせそうになってむせる。それでも噴出さずに堪えたのは、貧乏な生活を余儀なくされている悲しい性であろうか。

青ピ「カミやんお得意の知らんぷりは無しやで?」

上条「知らんぷりもなにも、あいつらはそんなんじゃなくて…」

青ピ「…カミやん。鈍感もたいがいにしとかんと、大変なことになるで」ハァ

上条「だからテメエはなにを言っているんだ!?」

青ピ「カミやん、その子らの連絡先、知ってるやろ?どっちでもええから今からボクが言うとおりに電話してみ?」

上条「は?」

青ピ「いいか?『明日、買い物に付き合ってくれ』って誘ってみるんや。絶対、二つ返事で了承するから」

上条「そんな馬鹿な」

青ピ「いいから。電話してみ?」

上条「無駄だと思うけどな…」(インデックスは電話に出ないだろうから、御坂にかけてみるか…)



―――――

制服のままベッドに寝転んで雑誌を読んでいると、ポケットの中の携帯電話が振動した。

美琴(また黒子ね)ハァ

小さく溜息をついてから携帯電話を取り出し、画面に表示された名前を見て、美琴は慌てて身体を起こす。

画面には『上条当麻』と表示されていた。

美琴(!!え、えええええええ!?ア、アイツから!!見間違いじゃないよね?間違いないよね!!うん、アイツの名前だし!)ンー、ゴホン

何度も画面を見直し、軽く咳払いをして喉の調子を確かめてから通話ボタンを押す。

美琴「もしもし…」ドキドキ

上条『…あー、御坂か?』

美琴「そりゃ、わたしの番号にかけてるんだからわたしが出るわよ」(なんでこんな言い方しかできなくなるのかなー)

上条『ん、まあ、そりゃそうだな』

美琴「それで、何の用?」(ああっ!もう!わたしの馬鹿!)

上条『あー、明日なんだけどさ、買い物に付き合ってくれないか?無理ならいいんだけど』

その言葉に鼓動が早くなるのを自覚しながら、美琴は平静を装って言葉を続けた。

美琴「!!べ、別に無理じゃないわよ」(も、もしかしてデート!?)

上条『…やっぱりそうだよな。悪い。変なこと言って』

『無理じゃない』を聞き間違えたのだろうか、断られたと思った上条が会話を終わらせようとする。

美琴「ちょっと待てゴラアアアア!!わたしはいいって言ってるでしょうが!OKよ!OK!」(なに勘違いしてるのよ、馬鹿っ!)

上条『へ?御坂さん!?』

美琴「だーかーらー、買い物でしょ?付き合ってあげるわよ。どこで待ち合わせ?」(アイツのことだから特売とかかもしれないけど)

上条『じゃ、じゃあ、とりあえずあの公園の自販機前で10時ごろ、いいか?』

美琴「りょーかい。じゃあ、明日ね」ピッ

通話終了と同時に美琴はベッドの上で思わずガッツポーズを決めていた。

美琴(アイツから誘われちゃった!!)ニヘラー



―――――

青ピ「どうや?ボクの言ったとおりやったろ?」ニヤニヤ

上条「…ああ」(御坂が俺を?いやいや、そんなそんな…)

青ピ「セブンスミストとかでアクセサリーでも買ってあげれば完璧やで、カミやん」

上条「あ、相手はまだ中学生だぞ!」

青ピ「ん?なにか問題あるんか?あー、そうかそうか。…カミやん。以外とエッチなんやなあ」ニヤニヤ

上条「んなっ!?」///

青ピ「せやろ?エッチなこと考えたから中学生ってのを持ち出してきて誤魔化そうとしたんやろ?ボクはただ、プレゼントしてあげたら?って言っただけなんだけどなー」ニヤニヤ

上条「くっ!」///

青ピ「いいっていいって、健全な男子高校生なら好きな女の子との行為を妄想するもんや。ボクも姫神ちゃんとなんて考えたりしてな…」グフフフフフ

上条「お、俺は別に…」(な、なんで御坂の顔が浮かんでくるんだ!!)

青ピ「…そ、そんなことあかんで、姫神ちゃん…。ああ、ボク、耐えられへん」ハアハア

上条「この変態!!こんなところで妄想して悶えるなぁ!!」

いきなり身体をくねらせながら身悶える大男(青髪ピアス)を目の当たりにして、上条当麻はぶん殴りたい衝動を懸命に抑え、両手で肩を掴んで強く揺さぶった。

青ピ「はっ!!ボクと姫神ちゃんの情事を邪魔するなんて、カミやん、貴様という奴は…」

上条「妄想は自分の部屋でしろ!あまつさえ逆恨みするな!」

青ピ「それもこれも姫神ちゃんが魅力的過ぎるのがいけないんや!!」

上条「そ、そうか。まあでも、時と場所を考えた方がいいと思うぞ?」

青ピ「ボクの心は姫神ちゃんへの愛で溢れているんや…」ハァ

上条「…」

臆面もなく姫神秋沙への愛を口にする青髪ピアスを見て、上条当麻は『あ、コイツ、結構マジだな』と認識を新たにしたのであった。もっとも、本人にはそんなこと言わないが。

妄想世界から帰ってきた青髪ピアスは、ストローを咥えて飲み物を一口飲んでから、ボソッと呟く。

青ピ「なあ、カミやん。ボク、姫神ちゃんにクリスマスプレゼント贈ろうと思ってるんやけど、なに贈ればええと思う?」

上条「クリスマスプレゼント?」

青ピ「明後日はクリスマスやしな。それをきっかけに姫神ちゃんと仲良くなれるようなもん、なんかない?」

上条「姫神が好きそうなもの…」ウーム

青ピ「やっぱり、女の子ってアクセサリーとかがええんかな?ネックレスとか」

ネックレスと聞いて、姫神秋沙が『吸血殺し』であることを隠すため、イギリス清教から渡された十字架を身に着けていることを思い出してフォローを入れる。

上条「あー、姫神はお守りを着けているから、ネックレスは止めといた方がいいぞ」

青ピ「お守り?」

上条「お守りの十字架を着けているそうだ」(さすがに魔術系のこと言えないけど、こう言っておけば自然だよな。うん)

青ピ「巫女さんなのにクリスチャン!?」

上条「巫女姿はバイトみたいなものだったらしいぞ」(実際は祭り上げられてただけなんだが)



青ピ「姫神ちゃんの巫女さん姿、理想通りやったのに残念やわ~」

上条「…確かに、長い黒髪の巫女さんはぐっと来るものがあるのは、上条さんも否定しない」

青ピ「せやろ?わかってるなぁ、カミやん」

上条「…姫神は、着物も似合いそうだよな」

青ピ「せやなー。姫神ちゃんは和服美人やなあ。…ところでカミやん、常盤台のコって超電磁砲?」

上条「!!な、なんでいきなり戻る!?」

青ピ「まあまあ、カミやん。さっき『御坂』って呼んでたやん。超電磁砲の名前って、御坂美琴ちゃんやろ?」

上条「テメエ、人の電話聞いてたのかよ!」

青ピ「人聞きが悪いこと言わんといてや。カミやんの声が大きかっただけやで」

上条「ぐっ、こういう店の中って結構騒がしいから、どうしても声が大きくなっちまうんだよ」

青ピ「で、どうなん?カミやん的に超電磁砲は?」

上条「な、なんでそれをテメエに話さなきゃいけないんだ!?」カァッ

青ピ「ええやんか。ボクとカミやんの仲やないか。ボクがこんだけ姫神ちゃんへの想いをあけっぴろげにしてるんやから、カミやんも教えてくれても罰は当たらんと思うんやけど?」

上条「なんでそうなるんだ!?」

青ピ「…姫神ちゃんがカミやんのこと好きかもしれへんし…」

上条「姫神が俺を?それは無いと思うけどな」

青ピ「姫神ちゃん。カミやんと話すとき、微笑むんやで?」ハァ

上条「吹寄たちと話してるときも普通に笑ってるだろ?」

青ピ「男で、話しかけて微笑んでくれるのはカミやんだけなんや」

上条「そんなことないだろ?」

青ピ「ボクや土御門君が話しかけても普通やで」ハァ

上条「話しかけるタイミングが悪いんじゃないか?」

青ピ「カミやんが吹寄に突っ込まれるのを見ても微笑んでるんやで」(カミやんを見て優しく微笑んでるんや)

上条「…それは間違いなく哀れみの微笑だ」

青ピ(鈍感で助かるわホンマ)「ま、そういうことにしとくわ。…で、超電磁砲のことは、どうなん?」

上条「だからなんでそうなるんですか!!」

青ピ「女の子への熱い想いを語り合いたいんや!あ、別にちびっこシスターへの想いでもええで?」

上条「黙秘権を行使する!」

青ピ「他に好きな子がいるんか?まさか姫神ちゃんじゃないやろうな?」(な~んて、さり気なくリサーチ)

上条「姫神は…いい友達ってことだ」

青ピ「ホンマ?」

上条「うん。まあ美人だと思うけどな」

青ピ「やっぱ、超電磁砲がええの?」

上条「御坂は…、アイツといると楽なんだよな…。なんていうか色々…」

青ピ「それ、本人に言ってやれば喜ぶんちゃう?」

上条「言えるか!恥ずかしい」カァッ

青ピ「女は好きな男には甘えて欲しいって思うもんやで?」

上条「だ、だいたいだな、御坂が俺なんかのこと…」ゴニョゴニョ

青ピ「傍から見ればあの子、完全にカミやんにホの字やったけどな~」

上条「テメエの言うことには騙されない、騙されないぞ!」

青ピ「ま、カミやんは明日、あの子のことよう見てみるんやな」

上条「…」(意識しちまうだろうが)



―――――

ふたたび、携帯電話が振動する。

美琴(まさか、アイツじゃないわよね)ドキドキ

少しだけ期待して見た着信画面には、年下の友人の名前が表示されていた。

美琴「もしもし。初春さん」

初春『御坂さん?いきなり質問してすみません。カミジョーさんって、彼氏ですか?』

周りが騒がしい場所からにもかかわらず、なぜか小さな声でぼそぼそと話す初春。だが、それは問題ではなかった。

美琴「な、な、なんで初春さんがアイツの名前を!?」カァッ

初春『えっとですね、学校帰りにお友達とハンバーガーを食べていこうってことになったんですけど、後ろの席で高校生の二人組が御坂さんの名前を言っているのを聞いてしまいまして』

美琴「へ、へえ~…」

初春『アオピさんとカミジョーさんて人が好きな女性について話し始めてですね、…御坂さん、カミジョーさんて方に寮の前で抱きついたりしたんですか?』

美琴「あ、あ、あれは、仕方なかったのよ!理事長の馬鹿ボンがしつこかったから!!」カァッ

初春『あー、抱きついちゃったんですねー。すごいなあ』

美琴「あ、あのね、初春さん…」アセアセ

初春『ええと、話し始めたみたいだからどうぞー。音声最大にしますね』ピピピ

美琴「あ、ちょっと…」

おそらく通話音量を最大に設定したのだろう。周りの喧騒に紛れて、聞き覚えのある声が聞こえてきて、美琴は口を噤んで耳を澄ました。

上条『だからなんでそうなるんですか!!』

青ピ『女の子への熱い想いを語り合いたいんや!あ、別にちびっこシスターへの想いでもええで?』

美琴(ちびっこシスターって、インデックスのことよね?)

上条『黙秘権を行使する!』

青ピ『他に好きな子がいるんか?まさか姫神ちゃんじゃないやろうな?』

上条『姫神は…いい友達ってことだ』

美琴(…)ホッ

青ピ『ホンマ?』

上条『うん。まあ美人だと思うけどな』

青ピ『やっぱ、超電磁砲がええの?』

美琴(!!)ドキドキ

上条『御坂は…、アイツといると楽なんだよな…。なんていうか色々…』

美琴(え?それって、どういうこと?)ドキドキ

青ピ『それ、本人に言ってやれば喜ぶんちゃう?』

上条『言えるか!恥ずかしい』

美琴(え?え?)ドキドキ

青ピ『女は好きな男には甘えて欲しいって思うもんやで?』

上条『だ、だいたいだな、御坂が俺なんかのこと…」』゙ニョゴニョ

美琴(もしかして、アイツ照れてる!?わたしのこと想像して)ニヘラー

青ピ『傍から見ればあの子、完全にカミやんにホの字やったけどな~』

美琴(うぇっ!?そんな風に見えてたの?わたし!?)カァッ

上条『テメエの言うことには騙されない、騙されないぞ!』

青ピ『ま、カミやんは明日、あの子のことよう見てみるんやな』

美琴(アイツの友達もいいこと言うじゃない!)ニヘラー



青ピ『なあ、カミやん』

上条『なんだよ』

青ピ『やっぱ、オーソドックスに『好き』って言うんがええ?』

上条『またストレートだな』

青ピ『カミやんもそう言うのがええんちゃう?』

上条『し、知るか!』

青ピ『ちょっとカミやん、姫神ちゃん役やってや』

上条『は?』

青ピ『ボク、今から練習するから』

美琴(れ、練習?)

上条『ちょ、ちょっと待て!』

青ピ『いくで…。やっほー。姫神ちゃん。いつも綺麗やな』

上条『う…。青ピ君。なに。急に』

美琴(って、真似るんかい!何気に声高いし!!…姫神って人知らないけど、そんな話し方なの!?)

青ピ『いつもそう思ってるんやで。姫神ちゃん綺麗やさかい』

上条『変な青ピ君』

青ピ『姫神ちゃん。ボク、姫神ちゃんのこと、好きや!』

上条『え。冗談。…だよね?』

青ピ『マジやで。姫神ちゃん。好きや!』

上条『うわ、ちょっと待てテメエ!いきなり肩を抱くな!!目を瞑るな!唇を突き出すな!!てかそんなことしたら間違いなくボディーブロー喰らうぞ馬鹿野郎!!』

青ピ『いやよいやよも好きのうちって言うやないか!』

上条『馬鹿かテメエ!』

青ピ『くっ。カミやんもやってみればわかる!…なによ!こんなところに呼び出して!!』ズバーン

上条『な、なに言ってやがる?いきなり!?』

青ピ『あなたが呼び出したんじゃない!私、こう見えても第三位だし、忙しいんだけど?』ツーン

美琴(へ!?)

上条『なっ!?御坂の真似か!?』

青ピ『まさか、なにも考えてないなんてことはないでしょうね?』(多分、高飛車お嬢様っぽかったからこんな感じだろう)

上条『…ちょっと待てテメエ。知りもしないのに勝手に御坂を作るんじゃねえ!!』

美琴(え?もしかしてアイツ、怒ってくれている?)ドキドキ

青ピ『ツンデレお嬢様なんてポイント高いで?』

上条『アイツはそういうのじゃねえんだよ!』

青ピ『じゃあどういうのなんや?』

上条『アイツは…なんていうか、甘えるのが下手な奴なんだよ。でも、そこが可愛いって言うかなんて言うか…』ゴニョゴニョ

美琴「!!」(か、可愛い!?可愛いって言った?)カァッ

初春『わぁ。御坂さんのこと可愛いって言ってますね』ボソッ

美琴「うにゃぁっ!?」ビクッ(そうだった、初春さんの携帯だったんだっけ…)



青ピ『なんかさらっと惚気てるん?』

上条『そ、そ、そ、そんなことないぞ!』

青ピ『…カミやん、まさか、特定の女の子のこと『可愛い』とか言っておいて、惚気てへんなんて言わへんよな?』

上条『う…』

青ピ『よし、ボクも姫神ちゃんの可愛さについて語るで!』

上条『さっきみたいに妄想はするんじゃねえぞ!』

青ピ『好きな子で妄想するのはむしろ健全なんやで』

上条『場所を考えろって言ってるんだ』

ぎゃあぎゃあと言い争いを始めた高校生を背に、初春は小さく微笑みながら囁くように言った。

初春『うふふ。よかったですね。御坂さん』

美琴「な、なにが!?」カァッ

初春『可愛いって』

美琴「うにゃあっ!?」///

初春『うふふ。明日のデート、楽しみですね』

美琴「デ、デ、デ、デ、デート!?」

初春『はい。セブンスミストでお買い物らしいですよ。カミジョーさん』(御坂さんになにかを買ってあげる予定なのは内緒にしておこうっと)

美琴「そ、そうなの?」

初春『はい。あ、じゃあ切りますね。また今度お話しましょう』

美琴「あ、うん。また、ね」(セブンスミスト…。特売じゃない…。これって、これってやっぱり初春さんも言ってた…デ、デ、デ、デ、デートってやつかしら!?)ドキドキ

携帯を枕元に置き、代わりに側にあった人形を抱き締めてブンブンと頭を振る。

美琴(きゃーきゃーきゃー!!)カァァァッ

ガチャッ

黒子「ただいまですの。お姉さ…ま?」ドサッ

ベッドの上でカエルの人形を抱き、ヘッドバンキングをしているルームメイトを見て、黒子は手に持っていた鞄を足元に落とした。

黒子「まさかこれは…精神系能力者の仕業!?」ハッ

美琴「可愛いって…言ったよね?ね?うふ、うふふふふふ…」ブンブン

黒子(…え?可愛い。…ま、まさか…)ワナワナ

美琴「脈ありってことよね?ね?どうしようゲコ太?ねえ?どうしたらいい??うふ、うふふふふ…」ブンブン

黒子(脈アリって…)ワナワナ

美琴「ふぇっ!?黒子!!アンタいつ帰ってきたの!?」ビクッ

黒子「た、たった今ですの。ただいまですの。お姉様」

美琴「お帰り♪黒子♪いつもご苦労様」ニコニコ

黒子「ご機嫌ですわね。お姉様」

美琴「あはは。ちょろっとね~」ニコニコ

黒子「何か素敵な事がありましたの?」

美琴「まあね~」ニコニコ

黒子「可愛いものでも見つけられましたの?」(落ち着くのですわ。黒子)

美琴「可愛い!?うふ、うふふふふふ」ニヤニヤ

黒子「お、お姉様…」

美琴「可愛いって…うふふふ。わたしのこと可愛いって…」ニヤニヤ

黒子「お、お姉様!?お気を確かに!?」

美琴「ふにゃ~」///パタン

黒子「お、お、お姉様ぁぁぁぁぁっ!?」



―――――

上条「~♪」

インデックス「とうま。なにかいいことでもあった?」

上条「ん?別にないけど?」

インデックス「鼻歌を歌ってるなんて珍しいんだよ」

上条「うぇ!?俺、歌ってたか?」

インデックス「うん」

上条(俺、もしかして御坂と買い物に行くのを楽しみにしてる?)「…うまい具合に出来たからかも」

インデックス「いい匂いなんだよっ!チキンライスなんだよ!?」ワクワク

上条「慌てるなインデックス。このチキンライスにふわふわの卵焼きを載せると…」

インデックス「!!」ワクワク

上条「そう、ボリュームも増えて、なおかつ美味いオムライスになるんだ!」

インデックス「す、すごいんだよ!とうま!!」キラキラ

上条「もう少しで出来るから、スフィンクスにご飯あげといてくれるか?」

インデックス「わかったんだよ!」パタパタ

上条(…御坂が?いやいやまさか…)

卵をボウルでかき混ぜながら、少年は茶色の髪の少女のことを思い起こす。

学園都市第三位の超能力者、超電磁砲の異名を持つ名門女子校に通う中学生の少女。

上条(御坂とはなんだかんだいって縁があるな。勉強も教えてくれるし、たまに食事なんかも作ってくれるし、インデックスのことも何かと面倒見てくれるし、学園都市の外にも一緒に行くようになったし…)

美琴『ただし、今度はひとりじゃない』

上条(…って、手を掴まれたときは驚いたよなあ。なんか迫力あったけど)

美琴『一応お揃いなんだから、あっさりなくしたりしないでよね』

少女の言葉が頭の中を過ぎる。

上条(…あれって、そういう風に解釈していいのだろうか?)ウーム

あれから、何かあるとストラップの有無を確かめられるようになった。

携帯を取り出して見せるときに、少女が嬉しそうな笑顔を見るのを密かな楽しみにしていたりもする。

上条(俺、もしかして御坂のこと…)

コンロの火を点けると、何かを振り払うように頭を軽く振ってからフライパンに油をひく。

上条(ええい!考えるの止め!とりあえず今は夕飯の支度だ!うん)

無理矢理に思考を断ち切り、上条当麻はぐっと菜箸を握り締めた。



―――――――――

クリスマス狂想曲12月22日 了




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