とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part02

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匿名ユーザー

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12月23日


―――――――――

ポケットから小さな紙袋を取り出し、そっと少女の前に差し出した。

姫神「これを。私に?」

青ピ「気に入ってくれると嬉しいんやけど…」

姫神「なんだろう?開けても。いい?」

青ピ「うん」

黒髪の少女はクリスマス包装された小さな紙袋のリボンを外し、開ける。

姫神「これは!」

袋の中には、鈍く輝く指輪がひとつ入っていた。

青ピ「…ボクとお揃いやったりして」

姫神「青ピ君」

青ピ「姫神ちゃん」

姫神「お兄ちゃん!朝だよ~!」

青ピ「へ?」

姫神「お兄ちゃん!朝だよ~!!」

ガバッ オニイチャン、アサダヨー カチッ

ベッドの上で飛び起きて、枕元に置いてあった目覚まし時計を止める。

青ピ「夢かいっ!!…いやしかし、姫神ちゃんの『お兄ちゃん』は新鮮やったな~」グヘヘヘヘ

――――

インデックス「とうま。今日、こもえのところに行くけど、とうまも行く?」モグモグ

上条「あー、俺は…友達と約束があるから無理だな」

インデックス「むー。明日はこもえの家でパーティーなんだよ!ご馳走が出るんだよ!行かないと損なんだよ!」

上条「あー、クリスマスだもんなー」

インデックス「そうなんだよ!」

上条(…クリスマス、か)

インデックス「あいさやこもえと明日のパーティーの準備をするんだよ。私も手伝うんだよ」

上条「がんばれよー」

インデックス「ロースト・ターキー、クリスマス・プティング、フィッシュ・アンド・チップス…ご馳走がいっぱいなんだよ」ジュルリ

上条「…そこまで本格的なのは学園都市じゃ無理なんじゃないか?」

インデックス「クリスマスなのに?」

上条「んー、七面鳥は鶏の腿肉、クリスマス・プティング?はショートケーキ、フィッシュ・アンド・チップスはフライドポテトになるかなあ?」

インデックス「ご馳走だからいいんだよ」

上条「食べるものにこだわりがあるわけじゃないのか」

インデックス「国によって食べ物が変わるのは仕方がないことなんだよ」

上条「そういうものなのか」

インデックス「うん」

上条「そうか」

インデックス「…明日は、……たいな」ボソ

上条「ん?なんだって?」

インデックス「なんでもない!」ブンブン

慌てて首を振る少女を見て、少年は険しい表情を浮かべる。

上条「インデックス…。お前…」

インデックス「え?な、なに?」ビクッ

そっと少女の額に左手を当て、右手を自分の額に当てて呟いた。

上条「んー?気のせいか?なんか熱っぽく見えたんだけどなあ」

インデックス「き、気のせいなんだよ、とうま」カァッ

少年の手から逃れるように少女は身を引いた。

上条「本当か?」

インデックス「本当だよ。ぜんぜん大丈夫なんだよ!」ブンブン

上条「ならいいけど…」

インデックス「心配してくれてありがとう、なんだよ。とうま」

上条「お、おう…」(やけにしおらしいけど、言ったら噛まれそうだから言わないでおこう)

インデックス「…なんかとうまがすごく失礼なことを考えているような気がするんだよ」カチカチ

上条「そ、そんなこと無いぞ」ダラダラ

インデックス「『疑わしきは罰せよ』なんだよ、とうま」ガブッ

上条「ぎゃああああああ!!不幸だああああああああっっ!!」



―――――

外から小鳥のさえずりが聞こえてくる。

美琴「…ね、眠れなかった」

―――アイツが悪い。

目を閉じて、布団を頭から被ると浮かんでくるアイツ。

上条「アイツは…なんていうか、甘えるのが下手な奴なんだよ。でも、そこが可愛いって言うかなんて言うか…」ゴニョゴニョ

上条「そこが可愛いって言うか…」

上条「可愛い…」

上条「可愛い」

―――可愛い

その言葉が、勝手に頭の中で繰り返される。アイツの声で。

それがわたしの胸を苦しくさせる。頬が熱くなる。

でも、嫌な感じじゃなくて…。

美琴「…はぁ」

常盤台のエース、学園都市第三位の超電磁砲。そんな肩書も、アイツの前じゃ意味を持たない。

アイツは、わたしのことを、ただの電撃使いの女の子として見てくれる。

アイツとは、友達くらいの関係にはなれていると…思う。

ロシアから戻ってきてから、半ば強引にアイツの手伝いをするようになった。

魔術師なんて聞いても最初はトリックか何かだと思っていたけど、実際に魔術を目にして、そんな考えは跡形もなく消し飛んだ。

紙切れが遊覧船くらいの船になったりとか、炎の巨人が暴れたりとか、大きな魔方陣が空中に浮かび上がって爆発的なエネルギーの奔流が起こったりとか。

まあ、ロシアでアイツがいたところも魔術で作られた空飛ぶ島なんだけど。

あんなのをいつも見ていたんじゃ、わたしに対して普通に接する理由がわかる気がした。

アイツは、いつもそんな非現実的な世界にいたのだから。

―――そんなアイツが、わたしを買い物に誘った。

それって、少しはわたしのことを『特別』に思ってくれている?

そう、思ってもいいの…かな?

アイツは、わたしにとって特別な存在だ。

アイツとの待ち合わせまであと3時間ちょっと。

眠れなかったけど、それよりもはやくアイツに会いたいと思っているわたしがいる。

美琴「…好き」ボソッ

そっと呟いてみた。

それだけで、胸が苦しくなり、頬が熱くなった。

きっと、アイツの前じゃこんなこと言えない。今の関係を壊してしまいそうで怖いから。

でも、もしかしたら…。

何かが、起こるかもしれない。



――――

美琴「…あ」

上条「よう」

30分ほど前に待ち合わせ場所へ行くと、そこにはすでにツンツン頭の少年が、両手を擦りながら立っていた。

美琴「は、早いわね」

上条「誘っておいて待たせるわけにはいかないだろ?」

美琴「そ、そう。その、ありがと」

上条「お礼を言うのは俺の方だと思うんだけど?」

美琴「そ、そうかな?」

上条「うん」

学生服にマフラーを巻いて毛糸の手袋をしているものの、少年は体を震わせていた。

一方、少女はロングコートを纏い、カシミアのマフラーを巻いて鞣革の手袋をしているのでそんなに寒さを感じていない。

美琴「…アンタ、寒そうね?」

上条「ああ、今日は結構冷えるな」ハーッ

美琴「あー、今日はお買い物に行くのよね?どこに行くの?」(寒そうね…。そういえば黒子が良く腕を絡めてくるけど、結構温かいのよね~)

上条「セブンスミストに行こうと思うのですが…」

美琴「りょーかい」ドキドキ

軽く答えて、少女はさりげなく少年の右腕に自分の左腕を絡めた。

上条「へ?み、御坂っ!?」カァッ

美琴「さ、寒いから盾になりなさい!べ、別に変な意味ないんだからっ!」(こんな感じなら自然なはず!)カァッ

上条「お、おう?」(腕になにか柔らかいものが当たるんですけど!?)ドキドキ

美琴「い、行くわよ!」(へ、平常心、平常心)ドキドキ

上条「ちょっ!?引っ張るなって!!」(な、なんなんだ!?この状況は!?)

少女に視線を向ける。よく見ると耳がほんのりと赤くなっていた。

上条(照れてる?いやいや、まさか)「おい、御坂。これじゃあお前が俺の盾になってるぞ!」

美琴「じゃあ、アンタがエスコートしなさいよ」カァッ

上条「エ、エスコートってどうすればいいのでしょうか?」

美琴「アンタがわたしを引っ張っていけばいいのよ」ギュッ

少女は後輩にされるように腕にしがみついてみた。彼女はその行為が女の子同士だからこそできるスキンシップであることに気がついていない。

上条「そ、そうか」(か、上条さんの手が御坂の大事なところに当たりそうなんですけど!?)カァッ

美琴「はい、じゃあよろしくー」ギュッ

上条「あのな御坂。そんなにしがみつかれると、歩けないんだけど」カァッ

美琴「わたしは別に平気だけど?」ギュッ(黒子なんてもっとしがみついて来るし)

上条(も、もう限界だ)「あーもー!!御坂さんには恥じらいというものはないのですか!?いろいろ当たったり、当たりそうになってるんですけど!」カァッ

美琴「へ?何が?」キョトン

上条「…胸とか…その、俺の手とか」カァッ

美琴「うぇっ!?」カァッ

絡めた腕を見てみる。少年の腕は胸に密着しているし、肘を伸ばすようにして絡めているため、手の甲はスカートの上の方で握り締められ、今にも下腹部に当たりそうになっていた。

美琴「う、うにゃああああああっっ!!」カァァァッ



上条「お、落ち着け!御坂っ!」

美琴「落ち着けるかああああっ!!」カァァッ

上条「いいから手を離せええ!!てか、動くな!!触っちまう!」カァァッ

美琴「~~~っ!!」カァァッ

上条「そ、そうそう。腕を伸ばして…よし、離れたぞ!」

美琴「あ~あうあう…」プシュー

上条「女の子同士ならああいう組み方もいいと思うけど、上条さんは男子ですから気をつけないと、な」///

美琴「そ、そうよね…あはは…」シュン

上条「…ま、気にするな」ポンポン

美琴「子供扱いしないでよ」ムゥ

上条「そんなこと言うなよ。…上条さんもいろいろテンパってるんですから…」ボソボソ

美琴「へ?」(テンパってる?)

上条「な、なんでもない!!」カァッ

美琴「気になるじゃないの!」

上条「あーのーなー、健全な男子なら当然っていいますか、その女の子特有の感覚(っていうか触感)に敏感なんです!」カァッ

美琴「ふぇ?それって?」クビカシゲ

上条「わからないならいい!忘れろ!というかむしろ忘れてください!」

美琴「…まあ、いいわ。許してあげる」(女の子として見てくれているみたいだし)

上条「サンキュー。じゃ、行くか」

美琴「うん」

少女の目の前に少年の手が差し出される。先ほどまでしがみついていたのとは反対の手。

美琴「え?」

上条「エスコートしなきゃいけないんだろ?だから」カァッ

美琴「う、うん」カァッ

躊躇いがちに右手を差し出すと、少年の左手が優しくそれを包み込んだ。

上条「うし。行くぞ」ギュッ

美琴「う、うん」(結構大きいのね。コイツの手)

上条「…」

美琴「…」(手をつないで歩いてる…)

上条「…」(な、なにか話題になりそうなことは…)

美琴「…」(夢、じゃないよね?)

上条「あー、バスってどこから乗るんだっけ?」(常盤台中学前でよかったと思うけど)

美琴「んっと、学校前でいいんじゃない?」

上条「了解」

美琴「♪」

バス停を目指して歩いているうちに、なんとなく視線を感じるようになってきた。それも複数の人間―常盤台中学の制服を身に着けた少女たち―の視線を。

上条「…」(待てよ…。常盤台って御坂の学校だよな…)ダラダラ

美琴「♪」

上条「…御坂。いったん手を離すぞ?」

美琴「却下」



上条「ええと、俺とのうわさを学校中にばら撒きたいのか?…もう手遅れかもしれないけど」

美琴「は?なに言ってるのアンタ?」

上条「俺たちは今、常盤台中学前のバス停に向かっているわけだ」

美琴「うん」

上条「部外者の上条さんと常盤台の御坂さんが手を繋いでいて、それを常盤台の子たちが目にするわけなんだけど…」

美琴「…」ダラダラ

上条「実を言うと…さっきからなんとなく視線を感じているわけですが…」

美琴「う、うにゃあああああああっ!!」ビリビリビリ

上条「ぎゃあああああ、不幸だああああ」


―――

一騒動を起こしたからなのか、常盤台中学前からバスに乗ったのは彼ら二人だけだった。すばやく乗り込むと、後ろの方の席に並んで腰を下ろす。

扉が閉まり、バスが動き出すと、少年は大きなため息を漏らした。

上条「し、死ぬかと思った…」ハァ

美琴「あはは~。…ごめん」ショボン

上条「…いや、俺も悪かったし」

美琴「へ?」

上条「…普通に手を引っ張っちまってたからな。お前の学校の近くに行くってわかってたのに」

美琴「でも、それはわたしが…」

上条「引っ張ってたのは俺。御坂は悪くない」

美琴「…わかった」

上条「…」

美琴「じゃ、せっかく遊びに行くんだから、この件はこれでおしまいね」

上条「え?」

美琴「お互い暗い顔して買い物してもつまらないでしょ?」ニコッ

上条「あ、ああ。そうだな」

美琴「あ、そういえばさ、アンタの左手が触ってても、能力使えたわね」

上条「…そういえば」

美琴「ちょろっと実験♪右手出して」

上条「あ、ああ」ミギテ サシダス

美琴 ミギテ カサネル「…なんなのかしらね?この右手は」ムニムニ

右手で相手の右手を握りながら、少女は不思議そうに少年の方へ身を乗り出す。

美琴「ねえ、ちょっと…!!」(顔近い!顔!!)///

上条「な、なんでしょう?御坂さん」(顔近い、顔!)///

見つめあったまま数秒間、二人は顔を赤くして固まった。

美琴「…あ、あのさ、ちょっとアンタの右手をわたしの頭に置いてみてくれる?」(落ち着け、落ち着け)ドキドキ

上条「あ、ああ。これで、いいか?」ポフッ(平常心、平常心)///

美琴「ふむふむ。次は肩に置いてみて?」

上条「ああ」ポン

美琴「…右手を持ってても使えないし、今も使えないから、アンタの右手が能力者の体に触れていれば、能力が使えなくなるってことみたいね」

上条「…」



美琴「じゃあ、今度は右手離して左手を出して」

上条「ああ」スッ

差し出された左手を右手で握り、精神を集中する。

美琴「…んー。右肩から能力消されちゃうみたいね。でも、右腕以外は守れそうね」

上条「えっと、何を言っているのでしょうか?」

美琴「ん?電磁力で弱い防壁を展開しているんだけど、アンタの右腕以外はカバーできてるっぽいのよねー」

上条「へー、何も感じないけどなあ」

美琴「弱いって言ってるでしょ。でも、あとで試しておきたいわね。最大出力で」

上条「…何か嫌な予感がするのですけど?」

美琴「ちょっとビリッとするかもしれないわね。でも、戦うときに便利なのよ。銃弾ぐらいなら防げるし」

上条「銃弾って、洒落にならないんですけど!?」

美琴「あのねえ、普通の人間はそういうもので攻撃してくるのよ。軍隊なんか特にね」

上条「これって、学生の会話じゃないよなあ」ハァ

美琴「まあ、いろいろ首突っ込んじゃってるから仕方ないじゃない」

上条「それはそうだけどさ、今日はそういうの無しにしようぜ」

美琴「え?」

上条「息抜きってやつ?普通に買い物してみないか?」

美琴「アンタがそう言うなら、それでも…いいけど」

上条「じゃ、決まりな」ニコッ

美琴「うん」///


――――


学舎の園の文房具店で買い物を済ませて寮へと戻る途中、オープンカフェの一角で話す少女たちの声が耳に入ってきた。

生徒A「…やっぱり彼氏とかだったりするのでしょうか?」ヒソヒソ

生徒B「手をお繋ぎになっていたのですから、そう考えるのが自然だと思いますわ」ヒソヒソ

黒子(また、くだらないことを)ハァ

生徒A「真っ赤になって可愛らしかったですわね」クスクス

生徒B「相手の殿方も電撃に巻き込まれていたように見えましたけど」

『真っ赤になって』や『殿方』まではいつもの下世話な話と思い聞き流していたものの、『電撃』というキーワードが出てきた瞬間、白井黒子の身体が硬直した。

黒子(まさか、まさかまさかまさか…)ダラダラ

生徒A「『不幸だー』なんて叫んでいましたわね」クスクス

生徒B「そのくせ、手を離さないのですから、もしかしたらあの殿方も電気系の能力をお持ちなのかもしれませんわね」

『不幸』な『殿方』が『電撃使い』と手を繋いでいた。それらから導かれることは…。

黒子「あんのおおおおおおおおおっ!!類人猿んんんんん!!」グギャアアアア

生徒A・B「!!」ビクッ!!

黒子「…コホン、風紀委員ですの。貴女方、その不純異性交遊が行われていたのはどこですの?」

生徒A「え、えーっと…」ビクビク

生徒B「バス停…です」ビクビク

黒子「こうしてはいられないですの!今すぐお姉…じゃなくて不純異性交遊を取り締まらないといけませんですの!!では失礼」シュンッ

生徒A「…」

生徒B「…」

生徒A「なんだったのでしょう?」

生徒B「さあ?」



――――


バスを降り、ショッピングモールの入口まで歩くと、少女が足を止めた。

上条「どうした?御坂」

美琴「忘れてた。携帯見せて」

上条「ん。ああ」ゴソゴソ

美琴「ん。無くしてないわね」ニコッ

上条「…」ドキッ

思わず視線を逸らしながら、ふと思ったことを口にする。

上条「…あのさ、お前は無くしてないよな?」

美琴「無くすわけないじゃないの。ほら」

少女は携帯電話を取り出すと、そこに付けられているストラップを少年の目の前に突き出して揺らしてみせた。

上条「はは」

美琴「何よ?」

上条「いや、なんか嬉しくってさ」

美琴「え?」

上条「なんていうか、友情?絆?みたいなのを感じられるとでもいいましょうか…」

美琴「あー、ふたりだけの約束みたいな?」

上条「そうそう、そんな感じ!」

美琴「そういうのも悪くないわね」ニコッ

上条「そうだろ?そうだよな?そうなんです!」(そこでその笑顔は反則だ)

美琴「…アンタとお揃いっていうのがポイントなんだけどね」ボソッ

上条「ん?何だって?」

美琴「な、なんでもない!」カァッ

上条「今、何か言ったような気がしたけど?」

美琴「あー、そのー、喉が渇いたかなー、なんて…」

上条「んー。じゃあ、その辺で何か飲むか?」

美琴「うん」ニコッ



―――


黒子(お姉様!お姉様!)シュンッ シュンッ

バス停の時刻表を確認し、目標がショッピングモール方面のバスに乗ったと判断して、自らの能力を最大限に利用して進んでいく。

黒子(ショッピングモールならまだ先回りできるですの。とりあえずお姉様の後ろに回りこんで、お姉様と一緒に類人猿から離れた場所に飛べば)シュンッ シュンッ

考えながら瞬間移動を続けていると、前の方から親愛なる第三位の超電磁砲が一人で歩いてくるのが目に入って、慌ててその場に停止する。

黒子「お、お姉様がお一人で…。ああ、颯爽とした凛々しいお姿」ハアハア

―――きっと、類人猿を追い払って寮に戻る途中ですのね。みなまで言わなくてもわかりますわ。今、お側に参りますの!

そして、ツインテールの少女は、前から歩いてくる少女の背後に瞬間移動した。

黒子「お・ね・え・さ・まああああ!!」ダキツキ

美琴?「敵襲!?とミサカは冷静に相手の腕を掴み、電撃を放ちます!」ビリビリ

黒子「ああああああんっ!!愛の鞭ですのおおおおおおっっ!!」ビクビク

美琴?『緊急事態発生。こちらはミサカ一三五七七号。第七学区を探索中にお姉さまの知り合いと遭遇。ミサカはミサカネットワークに情報の提示を要請します』

御坂妹『ミサカ一〇〇三二号より、ミサカ一三五七七号へ。対象の身体的特徴、着衣、行動などから判断して、ミサカは対象をお姉さまのルームメイト、白井黒子と断定します』

一九〇九〇号『風紀委員で空間移動の大能力者。と、ミサカは白井黒子の個人情報を提示します』

一〇〇三九号『なぜ一三五七七号は外にいるのですか?と、ミサカは同じ病院内にいるはずの一三五七七号に質問します』

一九〇九〇号『そんなことは後で聞けと、ミサカは一〇〇三九号に突っ込みを入れます』

黒子「…う…ん」

一三五七七号『対象が意識を取り戻したので、言葉遣いを緊急用《御坂美琴モード》に変更します』

御坂妹『可及的速やかに撤退することをミサカは推奨します』

一三五七七号『了解。ミサカはこれより撤退作戦を開始します』「…まったく、急に抱きついてくるんじゃないわよ」『と、ミサカは不満そうに言い放ちます』

黒子「ただのスキンシップですの!そんなことよりもお姉様!!あの類人猿に変なことされていませんよね?」

御坂妹『類人猿とは上条当麻のことで、お姉さまはそう呼んでいることを快くは思っていません。と、ミサカは補足します』

一三五七七号「アンタ、誰のことを言ってるのよ?」『と、ミサカは語気を荒くして言い放ちます』

御坂妹『もっと見下すように冷たく言い放っても良い。と、ミサカは提案します』

一九〇九〇号『私情が混じっている。と、ミサカは一〇〇三二号に突っ込みます』

黒子「そんなことよりも、お姉様、頭に何を付けているのですの?御髪が乱れてしまいますの」

一三五七七号『あっさり流しやがった。と、ミサカは毒づきます』

一〇〇三九号『白井黒子がゴーグルのことを言っているのであれば、それを何らかの実験装置として装着しているということにすれば良い。と、ミサカは提案します』

一三五七七号「…実験の計測装置よ。ってか、わたし、今、実験中だからアンタと喋ってると色々とマズいのよねー」『と、ミサカは一〇〇三九号の案に乗ります』

黒子「そんな雑な装着の仕方をするなんて…その実験の責任者に文句を言うべきですの!淑女の扱いがなっていないですの!」

一三五七七号「ああ、これ、一応秘密だから、アンタはわたしに会っていないし、わたしもアンタに会っていないってことで」『と、ミサカは白井黒子の文句を流し返します』

そのとき、一陣の風が少女たちの間をすり抜ける。ツインテールの少女は当然のようにスカートをおさえ、ショートカットの少女もまた、当然のように何もしなかった。

ふわりと、ショートカットの少女のスカートがツインテールの少女の目の前で捲れあがる。

黒子「ふおおおおおおお!?楽園はこんなところにあったですの!!」(し、縞パンですのっっ!)

一三五七七号「なにわけわからないこと言ってるのよ、アンタ」『と、ミサカは白井黒子から迸る変なオーラに本能的な恐怖を感じながら後ずさります』

黒子「…」ハッ(お姉様のクローゼットであのような縞パンを見た覚えはないですの。バス停での目撃情報、類人猿、一人で戻ってきたお姉様…)ワナワナ




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