とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part03

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集



3日目

少年はどこか神秘的な世界にいた。見渡してみると、はるか前方に少女がいた。
見覚えのある少女だった。その少女の隣には見知らぬ男性がいた。

『おい!どうしたんだよ御坂。』

少年がいくら尋ねようと少女は何も言わなかった。ただ悲しそうな顔でほほ笑むだけだった。

『どこ行くんだよ。待てよ!』

少年が走って追いかけても一向に追いつかない。少女の姿はみるみる小さくなっていき、…

ガバッ!!

上条は目を覚ました。
夢の内容ははっきり覚えている。

(夢か…よかったー)

そこで上条は違和感を感じた。

(ん?なんで俺はよかっただなんて思ってるんだ?)
(御坂は守るべき奴だからか?それとも…)
(そもそも御坂って俺にとってなんなんだ?友達か?知り合いか?悪友か?)

うーん、うーんと頭を抱えて唸る上条は何気ない気持ちで隣のベッドに目を向けた。

(あれ?)

いなかった。そこにいるはずの少女がいなかった。慌ててバスルームなども確認するが、やっぱりいなかった。
携帯に連絡が来てるかもしらないと携帯を開いて確認するも、特になにもなかった。

(こっちから連絡するか…)
(頼むから出てくれよー)

プツッという音の後に会話モードに入る。

「おい、御坂。お前どこにいるn『おはよう。上条君』だ…?」
「誰だテメェ!」
『私が誰かなんてこの際どうでもいいだろう。すでに変化に気づいてもらったことだろう』
「!御坂をどこにやった!今すぐ返しやがれ!」
『君は私が教えるとでも本当に思ってるのかね?』
「テンメェ…」
『おお、恐い。電話越しでも君の怒りが伝わってくるよ』
『超電磁砲なら無事だよ。確認するかい?』

向こう側でかすかな物音が聞こえてきた。おそらく電話を御坂に渡しているんだろう。

『ア、アンタ…』
「御坂!無事なのか!?怪我とかはないか」
『だ、大丈夫よ、だけどAIMジャマーで能力を阻害されて…』
「なっ!魔術側の仕業だと思ってたけど学園都市の奴らか!?」
『ごめんね。こんなことになっちゃって』
「馬鹿野郎!謝ってんじゃねーぞ!待ってろ御坂、お前は絶対に助け出してみせる」
『うん、信じてる。待ってるからね////』

そこまで話すと電話の声は急に男に代わった。

『話はすんだか?』
「テメエらの要求はなんだ」
『要求?そんなのないさ。』
「じゃあ一体…?」
『エッフェル塔』
「は?」
『そこで我々は待っている。君は我々の所まで来るのだ。』
「…」
『ただしただ来るだけじゃつまらないだろう。そこで期限を設けようじゃないか』
「期限?」
『そうだ。フーム…そうだな。5日間でどうかね』
『5日以内に来れたら君の勝ち、彼女を解放しよう』
「絶対だな」
『もちろんだとも。ただし…』

そこで電話の声は一旦切れた。

『期限以内に来れなければ、彼女はエッフェル塔と運命を共にするだろう』
「どういうことだ?」
『エッフェル塔は爆破する』
「そんなことできるわけ…」
『できるわけないとでも?学園都市の技術を侮ってもらっては困るね。誰の仕業かなんて外の人間に分かるわけないさ』

「くそう…!」
『では、頑張りたまえ上条君』

プツッ。プーップーッ

電話が切れ、終話を知らせる無機質な機械音だけが聞こえてきた。
ホテルの外に出ると、外はすでに明るく雲一つない空が広がっていた。

(待ってろ。もしテメエらが御坂を傷つけるってんなら…まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!)



「とは言っても…」
「金も何もないしどうしようもねえ!つか、ここどこだ?」

あれから俺はホテルを出た後、とにかく北の方向を目指して走っていた。

「道を聞くにもイタリア語話せねーし…ああもう不幸だああ!!」
「あらまぁ、こんなところで会うとは奇遇ですねー」
「へっ?」

そこにはオルソラ=アクィナスが立っていた。
相変わらずニコニコしていた。

「オルソラじゃねーか。何やってんだ、こんなところで?」
「ボランティア活動でここに来ているのですよ」
「そうなんだ。ところでオルソラ、フランスに行きたいんだけど、どっちの方向へ行けばいいか分かるか?」
「フランスですかー?フランスはいいですよね。この間五和さんに紹介してもらったおいしい洋菓子店があるのですが、…」
「いや、だからオルソラさん?」
「…特にあのショートケーキなどがお薦めで…レアも…ずせないのですよ」

もう既に洋菓子店について30分も話している。期限のこともあり、今は時間が惜しい。1秒だって無駄にしたくない。

「いや、もう洋菓子の話はいいから!フランスへはどうやって行くのかだけを教えていただけると」
「あらまぁごめんなさい。フランスならこちらですよ」
「おお!さすがオルソラ。悪いなこんなこと頼んじゃって」

「ここどこ?」
「ここは…「上条当麻!!」です」

なんだかよく知り合いに会うなーなんて思いながら声のした方を見ると、
そこにはかつて学園都市を壊滅寸前までに追い込んだ魔術師がいた。

「前方のヴェント…!何でお前がここに」
「それはこっちのセリフだよ。ローマ正教の人間の私がここにいたってなんら不思議じゃないだろ。てめえこそなんでここにいる」
「それには深い事情が…」

こうして俺はヴェントに一部始終を話した。

「つまりてめえはパリに行ければ良いんだな」
「ああ。その通りだ」
「ここにアックアがいればよかったんだけどな。そうすりゃあものの1時間でパリに着くのにな。
生憎ながらアイツ今イギリス第3王女といちゃいちゃしてるし」
「アックアさん何やってんのー!!」
「あのー…」
「どうしたオルソラ?」
「天草式呼びましょうか?」

そうか!その手があったか。

「お願いしますオルソラ様」

非常に美しい土下座をする上条。
その洗練された一連の作業に一切の無駄はない。
まさに究極の土下座というべきだろう。

「はい。はい。そういうことですので。はい。ではよろしくお願いします。失礼します」

通話を終えたらしく、オルソラはこっちを向いた。

「上条さん。皆様、今手が離せない状況にあるらしく、最低でも3日はかかるそうです」
「いや、ぜんぜん構わないよ。今は来てくれるだけでも十分ありがたいよ」
「ところでよ、上条当麻」
「なんだ」
「お前なんでそんなに必死になってんだ?」
「は?当然だろうが。知り合いが誘拐されたんだ。そりゃ必死にもなるさ」

ヴェントには確信があった。上条当麻は少なからず御坂美琴を意識してるのではないか
という確信が。というのもさきほど上条がすごく嬉しそうに美琴の話をしてたからだ。

「本当にそれだけか」
「つまりてめえはそいつを守るべき対象としか認識してねーのかって聞いてんだ」
「なんのことやらさっぱり」
「お馬鹿な上条さんにも分かるように言ってくれると」

0930事件の際、上条に救われたヴェントは借りは返そうと考えたのだ。
ここで言っても上条のためにならないと考えたヴェントはただ一言…

「後は自分で考えやがれ」

そう言い残してヴェントは去っていた。
どういう意味だったんだろうか?
天草式が来るまで3日あるし考えてみるか…

期限まであと6日





ウィキ募集バナー